【2024年最新版】おすすめCPUの選び方とベンチマーク性能比較 Intel Core, AMD Ryzenを横断的にランキング評価

ウェブサイト閲覧やYoutubeの視聴、ゲーム、プログラミング(ソフトウェア開発)、動画エンコード、Excel/Wordなどパソコンの用途は様々です。

また生成AIで使われる機械学習の他に、金融時系列分析といったかなり本格的にコンピュータを使うハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)といった用途もあります。

そのような用途ごとの観点から、どのCPUがおすすめかというランキングを作りました。

またCPUは毎年新しい製品が発売されるという非常に進歩と陳腐化が著しい分野です。

そこで、どんなに年月が経過して技術が進歩しても根本的に変わらない部分をこのページの後半に記載しました。初めてコンピュータ(電子コンピュータ)が登場した1945年から現在まで出回っているプロセッサは全て古典的なチューリングマシン(フォンノイマン型orデータフローマシン)に分類されます。つまり世の中にコンピュータが登場してから現在まで80年近くCPUの根本的な仕組みは全く変わっていません。

今後Intelからは毎年次々に新しい世代のCPUが出てくるでしょうが、どれだけ新しいものが出てきても変えることのできない普遍的なことを知っておけば今後新しく出てくるCPUを評価する上で役に立ちます。

インデックス:

CPUの性能比較はカタログスペックやピーク性能ではなく、実効性能(Effective Flops performance)で比較するのが重要

プロセッサ性能比較では1秒間あたりに浮動小数点演算を何回実行できるかという指標であるFlops(floating point operations per second)を使うのが一般的です。1秒間で小数の掛け算・割り算を多くできるCPUの性能が高いだろうという考え方でこの指標が使われています。

これは国際的なスパコンの性能比較でも使われており、コンピュータ・アーキテクチャ分野で現在でも使われる古典的な比較方法だと言えます。

コンピュータ・アーキテクチャを研究する大学などの学術的な研究分野でもこのFlops値でCPU性能を競い合っています。実は日本において90年代までは「1クロックサイクルあたりにいくつの命令を実行できるか」を表すIPC(instructions per cycle)での比較が民間企業を中心に一般的だったため、その時代に日本の大学を出た世代やコンピュータ業界に就職して働き始めた人は「IPC」でCPUの性能を比較する傾向にありますが、Hennesy&Pattersonによるコンピュータ・アーキテクチャの名著(通称ヘネパタ書)においてFlops重視が主張されて以降、この業界ではFlopsでの性能評価がスタンダードになっています。

ヘネパタ書は学部4年か修士1年でコンピュータアーキテクチャ授業の参考書として使われたり、また研究室での輪講の教材として使われたりする古典的名著です。読める余力がある人は一読をおすすめします。
大学でコンピュータアーキテクチャを専攻していた人なら必ず知っているほど有名な書で、「実際の用途で登場しない空想的なベンチマークは無意味。実際的な用途での性能を計測できるベンチマークが重要」としつこく指摘していることでも有名なコンピュータ書です。2人の著者の共通点は現在のCPUで主流となったRISCを推進してきた人物だということです。そのためヘネパタでもRISCのメリットが強調されています。
John Hennessy
はStanford大学のComputer Science学科長を務めた後にStanfordの学長になり現在はGoogle社にいます。なぜならGoogle創業者はStanford出身だからです。実はComputer Science分野においてはHarvardよりもStanfordの方が名門です。
他方David PattersonはCalifornia大学Berkeley校で教鞭をとっていた人物です。日本ではUCLAが有名な中でBerkeley校と言ってもピンとこないかもしれませんが、UNIXの著名ディストリビューションFreeBSDの元となったBSDを産み出した名門校です。

そしてこのFlops性能には、カタログスペックをフルに活かせたと仮定した”理論的”なピーク性能Flops(peak flops)と、理論的な性能より実際使うときにどのくらい速いかという”実際的”なFlops値として、実効性能Flops(effective flops)というものがあります。当然後者の実効性能Flopsで比較すべきです。”effective flops”という用語は私が考えたものではなくIntelも使っている用語です。

分かりやすい例で言えば、自動車の「カタログ燃費」と「実燃費」の関係と全く同じです。車のカタログスペック表に載っている「カタログ燃費」の航続距離だけ実際走れると信じて車を買っている人なんて殆どいないでしょう。そこまで車に詳しくなくても世の中の一般人の間でも「カタログ燃費」と「実燃費」の関係は周知されており、「メーカーが表示してるカタログ燃費と,実際走らせたときの実燃費は全く違う」と誰もが知っているはずです。CPUの「カタログスペック性能」と「実効性能」の関係もそれと全く同じです。

また、日本の”富岳”や米国の”Sequoia”などの大型スパコンのように世界に1台しかないものなら、その1台のスパコンだけで実行したベンチマーク結果だけでいいでしょうが、個人が使うようなパソコン用のCPUではたった1つのベンチマークではあてにできません。CPUを購入した人の数だけ大量にパソコンが存在するわけですから、それぞれの人の環境での実効性能の平均値をとるなり中央値を取るなりして、誰が使っても高い性能が引き出せるCPUなのかどうかを判断する必要があります。そのCPUの実効性能が高くなるように最適化されて組まれたパソコンでたまたま良いベンチマーク結果が出ても、その結果だけでは購入の参考になりません。

CPUの性能というのは環境によって大きく差が出るものもあれば、差が出ないCPUもあります。これは統計量でいう分散とその平方根である標準偏差にあたります。

分散が小さければそのCPUはどんな環境でも同じ性能を叩き出すということです。分散が大きければパソコンを組むときの構成によって大きく影響を受けたり、ソフトウェア環境の影響を受けて、ユーザーそれぞれで大きくCPU性能に違いが出てしまうことになります。当然分散が小さければ散らばり具合が小さいということなので、環境によって性能が左右されないCPUということで分散が小さいほうが望ましいです。

このようにCPU選びでは、カタログスペックや理論性能ではなく実効性能を参考にすることが第一点目として必要であり、さらにその実効性能のサンプルを多数集めてその平均値(または中央値)、散らばり具合(分散)を見て、平均が高くかつ散らばり具合が小さいCPUを選ぶことが重要です。本記事では多数のサンプルの平均をとった実効性能と、その散らばり具合がわかるようにしています。

CPU(デスクトップ用)の大分類:360度対応可能な本当の意味での汎用的なCPUは存在しない 用途に応じて最適なCPUがある

CPUの高速化を取り扱うコンピュータ・アーキテクチャの教科書にはどの本でも必ずコンピュータ史が書かれており、大学の授業でも必ずコンピュータの開発史は取り扱います。

特に有名なのはIBM System/360です。これは「360度どんな分野にも対応できる真に汎用的なコンピュータ」を謳って命名されました。しかしこのような「360度対応できるCPU」という考え方は現在では否定されています。

現在においては「用途ごとに最適なコンピュータがある」という考え方が主流です。つまり「目的用途ごとに最適なCPUがある」ということです。

バッテリで駆動するノートパソコンに、サーバ向けの高消費電力なCPUを搭載しても無意味です。また、シングルスレッド性能が重視されるゲームのようなInteractiveな用途にサーバ用の「1コアあたりの性能は低いがコア数は多い」CPUを使うのも無意味です。

そのためCPUはある程度大きく分類してから比較しランキング化する必要があります。

以下、ここでは3つのカテゴリに分けてランキングを掲載していきます。

第1:大多数の人におすすめな一般向けである通常デスクトップPC用のCPU(Intel Core Ultra, i9,i7,i5,i3 | AMD Ryzen 9,7,5,3 | Intel Pentium | Intel Celeronなど)

一般家庭でネット閲覧とYoutube再生やWordでの文書作成、PCゲーム、家計簿や会計ソフトの利用、Amazon Prime Videoでの映画視聴等の一般的な用途におすすめなCPU。ほとんどの方にはこのカテゴリのCPUがおすすめです。

本記事ではこのカテゴリのCPUランキングを紹介していきます。この通常デスクトップ向けCPUは企業でも多く採用されており、一般家庭向けから大企業・官公庁、プロゲーマーに至るまで幅広く採用されており、非常に守備範囲の広いカテゴリです。特殊な用途でもない限り、一般的には汎用性の高いこのカテゴリのCPUで十分であり、下手に他のカテゴリのCPUを選ぶよりも高性能(高速)になることが多いです。

いわゆる普通のパソコンとして使うならIntel Coreシリーズがベストです。

他方、並列性が高い上に信頼性の高いコアが大量に必要な非常に重い科学技術計算や、メモリエラーによる計算の誤りが許されない高い信頼性を要求される分野で使うのなら別記事で取り上げるIntel Xeonシリーズも選択肢に入ります。

家庭用PCとしてブラウザを使ったWeb閲覧やYoutube動画再生をしたり、Wordでレポートを作成したり、ゲームをするのに最適なプロセッサがこのカテゴリになります。グラフィックボードを別途購入しなくてもCPU内部にグラフィック機能を搭載していてPCモニタで画面表示できるのがこのカテゴリのCPUです。ただし例外としてRyzen5000シリーズ以前のRyzenはCPU内部に内蔵グラフィクスを搭載しておらず、Intel CoreでもCore i9 14900KFのように内蔵グラフィクスが無効化されているモデルがあり別途グラフィックボードが必要ですが一部このカテゴリに含めています。

第2:SIMD演算器とコア数が多いハイエンドデスクトップPCとエントリーワークステーション用のエンスージアスト向けCPU(Intel Xeon W | AMD Ryzen Threadripper)

深層学習(ディープラーニング)をコプロセッサではなくホストプロセッサで並列実行したい場合や、金融分析などをやる場合におすすめです。
信頼性の高さよりも、SIMD演算命令を使ったデータレベル並列処理や、多いコア数を使ったスレッドレベル並列処理の性能重視用です。

このカテゴリのCPUは「エンスージアスト向けCPU」「ハイエンドデスクトップPC向けCPU」と呼ばれたりします。エンスージアスト(enthusiast)向けというのは、パソコンの性能を高く追求することを目的としているユーザ向けという意味です。

このカテゴリのCPUは内蔵グラフィックスが搭載されていないのが特徴です。ディスプレイ出力をするために別途グラフィックボードを用意するのが必須となります。

このエンスージアスト向けCPUを積極的に選ぶ場合、「SIMD演算器」が充実したIntel Xeon Wプロセッサがおすすめです。SIMDとは”Single Instruction, Multiple Data”のことで、たった1回の命令実行で多数のデータに対して一括して演算を実行できるコンピュータ形態を指します。スーパーコンピュータの「富岳」を含めて、近年のスパコンはこのSIMD演算性能を高めることによってスパコンの高性能化を実現しています。

通常デスクトップ向けのIntel Coreプロセッサでは、256bit幅のFMA演算器×2を搭載しており、このFMA演算器がSIMD演算器の一種です。

一方でこのエンスージアスト向けのIntel Xeon Wになると第7世代~第11世代では512bit幅のFMA演算器×2となり、2倍のSIMD演算性能を実現しています。2倍というのは非常に大きな数字であり+100%の性能向上です。

第3:故障検知機能がついていて金融機関・行政機関のワークステーションとサーバーでも採用されているCPU(Intel Xeon Scalable)

メモリエラーの検知・訂正機能で高い信頼性を確保したい場合におすすめです。演算結果のミスがどうしても許されないようなミッションクリティカル度が高い用途で使います。

Xeon Scalableプロセッサは企業・官公庁のサーバー向けで主に採用されています。実際に金融機関のようにミスが許されない分野において大量に採用されています。Xeon Scalableプロセッサは1つ1つのコアの性能は大したことありません。その代わりCPUに多数のコアを搭載し、それだけでなくCPU自体を複数搭載するマルチプロセッシングに対応しています。1つのマザーボードに、Xeon Scalableプロセッサを2基搭載する2wayから、4-way(4基)、8way(8基)も可能です(先ほど記載したXeon Wでは1wayのみであり、複数のプロセッサを搭載するマルチプロセッシングには対応していません)。

2つ接続すると性能が2倍、4つ接続すると性能が4倍のように性能が向上していくことを「Scalabilityがある」「Scalableな性能向上をする」と表現します。Xeon ScalableプロセッサのScalableとは当に「スケールする」という特徴から来ています。

以上紹介してきた「第1」「第2」のカテゴリのCPUでは、1つのマザーボードに1基のCPUしか搭載できませんが、Xeon Scalableプロセッサでは複数のCPUを搭載できてしまいます。

このIntel Xeon Scalableプロセッサはたとえ大企業や官公庁で採用されるとしても、従業員や職員のデスクに置いてある「普段使うパソコン」で使われるCPUではありません。大企業・官公庁であっても普段使うパソコンは以上紹介してきた「第1」「第2」のカテゴリのIntel Coreであり、Xeon Scalableは別室や別棟のサーバールームにラックとして設置されていることが多いです。業務としてリモートでXeon Scalableプロセッサ搭載サーバーにログインし計算を実行したり、金融機関が保有する多数の金融商品の理論価格を日次で自動計算するような用途がXeon Scalableプロセッサの使い方です。普段の事務作業に使うPC用としてXeon Scalableプロセッサは逆に不便になります。

現時点でおすすめのCPUは第14世代Intel Core(Raptor Lake Refresh)

2023年10月発売の第14世代Intel Core(Raptor Lake Refresh)プロセッサが現時点で最もおすすめです。第13世代Intel Core(Raptor Lake)のクロックを引き上げ、L2キャッシュサイズを拡大したマイナーチェンジ版です。

Raptor Coveマイクロアーキテクチャを採用した高性能(Performance)Core:P-Coreと、Gracemontマイクロアーキテクチャを採用した高効率(Efficient)Core:E-Coreのハイブリッド構成になっています。

今すぐPCが必要な人には第14世代Intel Coreがおすすめですが、急ぎでないのなら次のArrow Lake世代まで待つのが得策です。Arrow Lakeではマイクロアーキテクチャだけでなく製造プロセスも大幅に刷新される「フルモデルチェンジ」に該当する世代です。第12世代~第14世代Intel Coreの3世代は根本は似たりよったりでマイナーチェンジの繰り返しでしたが、Arrow Lake世代(第15世代Intel Core)からは上位モデルで「Intel Core Ultra」というモデル呼称が採用されます。

E-Coreは高効率コアと呼ぶよりも低消費電力コアと呼んだほうが、E-Core導入の背景等の実態に合っています。消費電力が高くてもそれ以上に性能が高ければそれも「高効率」ということになりますが、E-Coreの役割は「消費電力を低くしてコアを大量に増やす」ところにあるからです。本記事の最後の方で解説していますが「スレッドレベル並列性が高い処理ならばクロックを半分にしコア数を2倍にすることで,性能を維持しつつ消費電力を半分」にできてしまいます。クロックを1/2にすると電圧も半分にでき、電圧が半分になると消費電力は1/4になるからです。Intelが低クロックなE-Coreをひたすら増やしているのもそれが目的です。Arrow Lake RefreshではE-Coreが32コアまで増やされます。

Intelが低消費電力コアと命名しなかったのは「低消費電力≒低性能」というイメージがつきまとうからです。他方Efficientという用語はComputer Science分野ではイメージが良い言葉で、コードを最適化し計算資源(computing resource)あたりの性能を高めて高速化するプログラミングをEfficient Programmingと呼ぶようにこの分野ではよく使われる用語です。ハードウェアでも同様で、リソース(消費電力)あたりの性能を高めたという意味でEfficientという用語を使ったことになります。日本語にしても「”高”効率」の方が性能が高い印象がありますし、「”低”消費電力」では”低い”という印象が拭えないから「高効率」としたと考えられます。

ただ、「高効率コア」という呼び方は専門外の人からすると「高効率とは何を意味するのか?」と疑問を持つようなので、低消費電力コアと読んだ方が多くの人に理解されやすいということで本サイトではE-Coreを説明するときは高効率コアではなく低消費電力コアと呼ぶこともあります。

第13世代Intel Coreでは、低消費電力なE-Coreを第12世代Intel Core比で倍増したことによってAMD Ryzenの「コア数が多い」という優位性を潰しにきました。さらにE-Coreは低消費電力なAtom系プロセッサにも関わらず、Ryzen 9 7950Xのマルチスレッド性能を超えてしまいAMD Ryzenの面目を丸つぶれにしてしまいました。第14世代Intel CoreになるとRyzen 7000シリーズはさらに不利になりました。

既に敗北が約束されているRyzen 9000(Zen5) AMDはTSMC4nmしか使わせてもらえず、一方でIntelは次のArrow Lake(第15世代)でTSMC3nm or Intel 20A(2nm)を使用

Ryzen 7000(Zen4)の次の世代の2024年発売のRyzen 9000(Zen5)シリーズになります。しかし、せっかくの次期モデルなのに最近ではAMD信者ですらも「次のZen5は買わない」と言っていることが多いです。それはなぜかというと、AMD Ryzen 9000シリーズは製造プロセスでIntelに対し劣っており敗北することが確定しているためです。

AMDは自前のファウンドリを持たないため2017年の第1世代Ryzenからずっと台湾企業のTSMCに依頼してCPUを生産してきました。それだけ長年TSMCにお金を貢いできたにも関わらず、TSMC3nmという最先端プロセスの製造ラインを割り当てたのはAMDではなくIntelでした。

2024年にリリースされるRyzen 9000シリーズ(Zen5)は既に時代遅れのTSMC4nmで製造されます。一方で同時期に発売されるIntel Arrow Lake世代はTSMC3nm+Intel 20A(2nm)で製造されます。Intelは自前のファウンドリで2nmプロセスで生産できるにも関わらず、TSMCはIntelを優遇し3nmプロセスをIntelに割り当てました。もうこれだけでAMD Ryzen 9000シリーズ(Zen5+TSMC4nm)は失敗が約束されているようなものです。

1位: Core i9 13900K

2022年10月に発売された第13世代Intel Core(Raptor Lake)の24コアCPUです。AMDユーザをしても「今回のRyzen7000シリーズはCore i9 13900Kにあらゆる面で完敗していて買いたくない」と言わせしめるほどのCPUであり、価格は高いものの高性能であることは間違いありません。

ただしあえて私の本音を言うなら、このCore i9 13900Kの購入は見送ってもいいと思います。理由は第14世代Intel Core(Meteor Lake)までの中継ぎとしての位置づけだからです。今回の第13世代Intel Coreはマイナーチェンジに相当する程度の変化ですが、第14世代Intel Coreはフルモデルチェンジに該当するほどの抜本的改良になるため、PC調達や更新を急いでないなら待つのも得策です。

Intel Core i9 13900Kのベンチマーク評価

Core i9 13900K単体のベンチマーク結果は以下の通りです。

CPUベンチマーク名 Intel Core i9 13900Kのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は各ベンチごとの母数を元にノーマライズ)

1コアあたりの性能だけでなく、マルチスレッド性能が非常に高いことがわかります。

Intel Core i9 13900KとAMD Ryzen 9 7950Xの比較

Core i9 13900KとRyzen 9 7950Xとのベンチマーク比較は以下の通りです。

CPUベンチマーク名 Intel Core i9 13900K vs. AMD Ryzen 9 7950Xのベンチマーク性能比較

%の差で、Ryzen 9 7950Xに対しCore i9 13900Kが勝利しています。

Intel Core i9 13900Kの価格

Ryzen 9 7950Xと比べてほぼ同じ価格です。しかし、Ryzen7000はソケットが変更されたためマザーボード買換が必須であり、毎年新CPUを買ってるような自作PCユーザにとってはRyzen7000割高になります。一方でCore i9 13900Kは第12世代Intel時代のマザーボードを流用できるため平均コストを低く抑えることができるユーザが多いです。

2位: Core i9 12900KS

メーカー・モデル名Intel Core i9 12900KS
コア数16コア24スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:8コア8スレッド)
動作周波数(P-Core)3.4GHz~5.5GHz
動作周波数(E-Core)2.5GHz~4.0GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2022年4月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)150W~241W
L1キャッシュ1.4MB (640KB/12~8way + 768KB/8way)
L2キャッシュ14MB (P:10MB/10way + E:4MB/16way)
L3キャッシュ30MB (P:24MB/12way + E:6MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 770
iGPU最大画面数4
iGPU基本周波数300MHz
iGPU最大周波数1,550MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.7936 TFLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)119

2022年4月発売。このCore i9 12900KSはCore i9 12900Kのクロックを引き上げただけのCPUでありキャッシュサイズ等は全く同等です。高性能コア(P-Core)の全コア同時5.2GHzを達成しています。グラフィクスのクロックはCore i9 12900Kと同じです。絶対性能は確かにCore i9 12900KSの方が上ですが、大きな性能差はないためあえて選択する必要はなくCore i9 12900Kでも十分です。

Core i9 12900KSとRyzen 9 5950Xの比較

Core i9 12900KSと同じ16コアのRyzen 9 5950Xと比較してみます。

このように+14%もCore i9 12900KSがRyzen 9 5950Xよりも上であり、以前は多コア主義のRyzenが強かったWorkstation用途でもIntelが+14ポイントの大差で勝っています。

Intel Core i9 12900KSの価格

Core i9 12900KSの価格は非常に高価でCore i7 12700Kの約2倍以上です。Core i9 12900無印とCore i7 12700Kの性能がほぼ同等なことからすると2倍は性能差以上に高額です。

3位: Core i9 12900K

メーカー・モデル名Intel Core i9 12900K
コア数16コア24スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:8コア8スレッド)
動作周波数(P-Core)3.2GHz~5.2GHz
動作周波数(E-Core)2.4GHz~3.9GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~241W
L1キャッシュ1.4MB (640KB/12~8way + 768KB/8way)
L2キャッシュ14MB (P:10MB/10way + E:4MB/16way)
L3キャッシュ30MB (P:24MB/12way + E:6MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 770
iGPU最大画面数4
iGPU基本周波数300MHz
iGPU最大周波数1,550MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.7936 TFLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)117

2021年11月発売。デスクトップ向け第12世代Intel Coreプロセッサのフラッグシップモデルです。

高消費電力なP-Core(Performance-Core)×8コアと、低消費電力なE-Core(Efficient-Core)×8コアのハイブリッド構成になっているのが特徴です。P-Coreは全コア同時5.1GHz、E-Coreでは全コア同時3.9GHzを実現します。キャッシュサイズが増えたことや、ReservationStationから発行される命令ポート数の増加、命令を実行する演算器数の増加により第12世代Intel Coreはシングルスレッド性能が非常に高くなっています。第11世代Intel CoreではP-Core相当の8コアのみでTDP125W水準の発熱量(単位時間あたりの発熱量≒消費電力)でしたが、第12世代Intel Coreでは16コアでTDP125Wを実現しています。単にコア数増加だけでなく、「演算器数増加」「命令発行ポート数増加」「内蔵グラフィック性能向上」「キャッシュサイズ増加」といったマイクロアーキテクチャの改良でトランジスタ数が大幅に増大していながらも、第11世代と同じTDP値に抑えているのはIntel 7半導体製造プロセスを採用した恩恵です。

Core i9 12900KとRyzen 9 5950Xの比較

第11世代Intel Core相手にも勝てなかったRyzen 5950Xでは全くお話にならないレベルでRyzenを引き離しています。

Ryzen 9 5950Xの強みだったWorkstationのようなスレッドレベル並列性が高い用途でもCore i9 12900Kの勝利です。特に強力なのがE-Coreであり、E-Coreは同時マルチスレッディングが無効なため1コアあたり1スレッドのみの実行かつ3.9GHzまでのクロック周波数にも関わらず、1コアあたり2スレッドを処理する第4世代Ryzen 9 5950Xを上回るマルチスレッド性能を有しています。

Intel Core i9 12900Kの価格

Core i7 12700Kと比較すると約+2万円の価格帯になります。

Core i9 12900KF

メーカー・モデル名Intel Core i9 12900KF
コア数16コア24スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:8コア8スレッド)
動作周波数(P-Core)3.2GHz~5.2GHz
動作周波数(E-Core)2.4GHz~3.9GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~241W
L1キャッシュ1.4MB (640KB/12~8way + 768KB/8way)
L2キャッシュ14MB (10MB/10way + 4MB/16way)
L3キャッシュ30MB (24MB/12way + 6MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)117

2021年11月発売。このCore i9 12900KFは、Core i9 12900Kから内蔵グラフィクスを無効化した版のCPUです。Core i9 12900Kと比較すると、殆どの人は内蔵グラフィクスを使用できるCore i9 12900Kを購入します。その分だけCore i9 12900KFの流通量が多いため、BTOパソコン企業ではこのCore i9 12900KFを使ったモデルを提供していることが多いです。CPU単体の価格もCore i9 12900KFの方がCore i9 12900Kよりも安いこともあり、さらにはCore i9 12900KFレベルのCPUを搭載するBTOパソコンはゲーム用を謳っており高性能なグラフィックボードを搭載していることが多いため、あえて内蔵グラフィクス非搭載のCore i9 12900KFを採用する傾向にあります。しかし汎用コアの性能だけみればCore i9 12900Kの方が、Core i9 12900KFよりも若干高くなっています。消費電力の割にクロックの上がりやすい良質なチップをCore i9 12900Kに割り当てているフシがあります。

Intel Core i9 12900KFの価格

Core i9 12900KFは必ずしもCore i9 12900Kより安いとは限りません。実際にCore i9 12900KFの方が高額になっていることが多々あるため注意です。

Intel Core i9 12900KF搭載デスクトップパソコン

Core i9 12900KFを搭載している割には安いPCです。グラボのグレードを下げることで安さを実現している一例です。

FRONTIER
280,200円(税込)(2022/03/30時点)
【カスタマイズ構成】
CPU: Intel Core i9 12900KF
グラフィクス: NVIDIA GeForce RTX 3050 8GB 【他:GeForce RTX 3060 12GB, GeForce RTX 3070 Ti 8GB, GeForce RTX 3080 10GB, GeForce RTX 3090 24GB】

4位: Ryzen 9 7950X

メーカー・モデル名AMD Ryzen 9 7950X
合計コア数16コア
基本クロック4.5 GHz
最大クロック5.7 GHz
コードネームRaphael (AMD Ryzen 7000シリーズ)
発売日2022年9月
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
定格外オーバークロック対応
PBP(基本消費電力≒TDP)170W
L1キャッシュ1MB
L2キャッシュ16MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-5200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅83.2GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットSocket AM5
グラフィクス(iGPU)AMD Radeon Graphics (RDNA 2)
iGPU最大画面数4
iGPU最大周波数2,200 MHz
iGPU CU数2基
iGPU単精度コア数128個
iGPU単精度性能0.5632 FLOPS
アーキテクチャZen 4
プロセスルールTSMC 5N (5nm)
SIMD拡張命令Intel AVX-512, SSE4.2
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載
Userbenchmark(Normal)238
Userbenchmark(Heavy)1,188
Userbenchmark(Server)3,741
CrossMark2,373

2022年9月に発売されたRyzen7000シリーズの中でフラッグシップモデルとして位置づけられるのがこのRyzen 9 7950Xです。しかし同時期に発売された第13世代Intel Core(Raptor Lake)を超えるどころかCore i9 12900Kを下回る結果です。

CPUベンチマーク名 AMD Ryzen 9 7950Xのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は各ベンチごとの母数を元にノーマライズ)
Userbenchmark(Heavy) 1,188
Userbenchmark(Server) 3,741
CrossMark 2,373
Cinebench R23(Single) 2,073
Cinebench R23(Multi) 37,864
PassMark CPU(Single) 4,336
PassMark CPU(Multi) 64,229

特に注目すべきなのはRyzenが得意とするCinebenchR23のシングルスレッドスコアで第12世代Intel Core i9 12900Kに負けてる結果が出ていることです。Ryzenで良い結果が出やすいPassmarkのシングルスレッドスコアでもCore i9 12900KSに負けています。今回のRyzen 9 7950Xはマルチスレッド性能が大幅に向上しており、マルチスレッド性能はCore i9 12900KSを大幅に上回りますが、Core i9 13900K相手になるとマルチスレッド性能は互角になります。つまりsingle threadとmulti thread総合でみるとRyzen 9 7950Xの敗北と見ることができます。

このようなRyzen敗北の結果になったのはZen4マイクロアーキテクチャが劣っているためです。Zen3まで開発を担当したジム・ケラー氏はZen4に関わっておらず、分岐予測精度の向上とL2キャッシュ増量でお茶を濁してもIPCは殆ど向上しませんでした。よってZen4世代Ryzenのシングルコア性能の向上は殆どクロック頼みであり、それはAMDの技術ではなくTSMCの技術によるものです。今回おまけ要素として内蔵グラフィクス搭載になりましたが、単精度Flops値はCore i9 12900K(Intel UHD Graphics)の半分程度しかありません。Ryzen 9 7950Xは発売間もなくして既に失敗作の烙印を押されている状況です。

Ryzen 9 7950XはRyzen 9 7900Xと比較して大きな優位性があり、それは全コア同時周波数の高さです。Ryzen 9 5950Xは全コア同時周波数が低く、全コア稼働させると1コアあたりのクロックが下がってしまいスケーラブルに性能が向上しませんでしたが、Ryzen 9 7950Xでは全コアが高い周波数で稼働するようになっておりマルチスレッド性能が格段に高くなっています。

5位: Core i7 12700K

メーカー・モデル名Intel Core i7 12700K
コア数12コア20スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:4コア4スレッド)
動作周波数(P-Core)3.6GHz~5.0GHz
動作周波数(E-Core)2.7GHz~3.8GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~190W
L1キャッシュ1MB (640KB/12~8way + 384KB/8way)
L2キャッシュ12MB (P:10MB/10way + E:2MB/16way)
L3キャッシュ25MB (P:24MB/12way + E:1MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 770
iGPU最大画面数4
iGPU基本周波数300MHz
iGPU最大周波数1,500MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.768 TFLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)114

2021年11月発売。高性能なP-Core×8コアと、低消費電力なE-Core×4コアの合計12コアプロセッサです。Core i9 12900Kとどちらが良いかどうかという論点では、予算に問題がないのならCore i9 12900Kが全面的に優れています。理由を以下説明します。

第11世代Intel Core(Rocket Lake)までは、多コアなCPUよりもコア数を絞ったCPUの方がシングルスレッド性能が高いことがありました。当然AMD Ryzenも同様で、1コアあたりの性能では16コアのRyzen 9よりも6コアのRyzen 5の方が高いのが当然でした。このように「同質系の対称型プロセッサではコア数が増えれば増えるほどシングルスレッド性能では不利」という性質があります。

しかし今回の第12世代Intel Core(Alder Lake)では、コア数が多いCore i9 12900Kの方がシングルスレッド性能でも上であり、「コア数が増えるほどシングルスレッド性能では不利」という性質が妥当しません。このようになった理由は、第12世代Intel Core(Alder Lake)では非対称型プロセッサが採用されたためです。つまり、低負荷なバックグラウンドタスクを低消費電力なE-Coreに任せることで、高性能なP-Coreが高負荷処理(ゲーム等)に専念できるようになりました。CPUの各コアではOSのタスクスケジューラによって頻繁にスレッドの切り替え(内部割込みによるもの)が実施されており、ゲーム等のリアルタイム性が要求される重い処理が、他のバックグラウンドタスクによって邪魔(割込み)されないことが重要です。E-CoreはCore i9 12900Kが8コア、Core i7 12700KのE-Coreが4コアであるため、バックグラウンドタスクを処理する能力がCore i9 12900Kの方が高く、それが結果的に8つのP-Coreが邪魔されず、Core i9 12900Kの方がシングルスレッド性能を高くできる要因になっています。

よって予算さえ許すならCore i9 12900Kの方がおすすめです。単純にCore i7 12700KはCore i9 12900Kの廉価版と捉えることができます。P-CoreのL3キャッシュサイズはCore i9 12900Kと同じなのですが、E-Coreの(1コアあたり)L3キャッシュ容量がCore i9 12900Kと比べて1/3まで削減されているため、データアクセスの時間的局所性と空間的局所性を有するアプリケーションを実行する場合はCore i9 12900Kが大幅に有利です。

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Core i7 12700KF

メーカー・モデル名Intel Core i7 12700KF
コア数12コア20スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:4コア4スレッド)
動作周波数(P-Core)3.6GHz~5.0GHz
動作周波数(E-Core)2.7GHz~3.8GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~190W
L1キャッシュ1MB (640KB/12~8way + 384KB/8way)
L2キャッシュ12MB (P:10MB/10way + E:2MB/16way)
L3キャッシュ25MB (P:24MB/12way + E:1MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)113

Core i7 12700Kに搭載されている内蔵グラフィクスの機能を無効化したのがこのCore i7 12700KFです。内蔵グラフィクスの機能が無効化されているということはグラボ必須ということを意味しますが、グラボを使うからといってCore i7 12700KFをCore i7 12700Kよりも優先的に選ぶ必要はありません。

Core i7 12700KFはCore i7 12700Kよりもクロックが上がりにくいチップを使っているため、同じ条件下で使用すればCore i7 12700Kの方が若干高性能です。

PCMark10等の一部ベンチマークではこちらのCore i7 12700KFの方が高いスコアが出ていますが、全体的にみれば軒並みCore i7 12700Kよりもスコアが低くなっています。Core i7 12700KFの方が低価格で売っていたり入手しやすい場合は尚更Core i7 12700KFの採用を検討するのがいいでしょう。

6位: Core i9 12900

メーカー・モデル名Intel Core i9 12900
コア数16コア24スレッド(P-Core:8コア16スレッド + E-Core:8コア8スレッド)
動作周波数(P-Core)2.4GHz~5.1GHz
動作周波数(E-Core)1.8GHz~3.8GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2022年1月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W~202W
L1キャッシュ1.4MB (P:640KB + E:768KB)
L2キャッシュ14MB (P:10MB + E:4MB)
L3キャッシュ30MB (P:24MB + E:6MB)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 770
iGPU最大画面数4
iGPU基本周波数300MHz
iGPU最大周波数1,550MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.7936 TFLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)113

Core i9 12900は第12世代Intel Core(Alder Lake-S)のCore i9 12900Kの汎用コアクロックを引き下げただけのCPUです。汎用コアのクロック以外のスペックはCore i9 12900Kと全く同じです(内蔵グラフィックスのクロックも同じ)。つまりCore i9 12900Kよりも低消費電力化を図っています。しかし低消費電力と言ってもブーストが働くと200Wを超える消費電力(≒単位時間あたりの発熱量)となるため、Core i7 12700Kよりも総じて高性能になっています。

Intel Core i9 12900無印の価格

Core i9 12900の価格はCore i7 12700Kよりも高額になっています。クロックは低くてもコア数が多いため歩留まりが低いのが要因です。

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7位: Core i5 12600K

メーカー・モデル名Intel Core i5 12600K
コア数10コア16スレッド(P-Core:6コア12スレッド + E-Core:4コア4スレッド)
動作周波数(P-Core)3.7GHz~4.9GHz
動作周波数(E-Core)2.8GHz~3.6GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~150W
L1キャッシュ1MB (480KB/12~8way + 384KB/8way)
L2キャッシュ9.5MB (P:7.5MB/10way + E:2MB/16way)
L3キャッシュ20MB (P:18MB/12way + E:2MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 770
iGPU最大画面数4
iGPU基本周波数300MHz
iGPU最大周波数1,450MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.7424 TFLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)109

Core i5 12600Kは高消費電力なP-CoreがCore i7 12700Kと比較し2コア減っています。その代わり低価格を実現していますが、スペック上Core i7 12700Kより優れている側面があります。それはE-CoreのL3キャッシュがCore i7 12700Kよりも大容量になっていることです。

Core i7 12700KもCore i5 12600KもE-Coreは4コアですがL3キャッシュの構成が異なっており、Core i5 12600Kの1コアあたりのL3キャッシュはCore i7 12700Kの2倍もあります。つまりCore i5 12600KはE-Coreの性能を引き上げることを重視しており、P-Coreのコア数が2コア減っている代わりにE-Coreのキャッシュ構成はCore i7 12700Kよりも強化されています。ベンチマーク結果ではP-Coreが2コア減っているだけあってマルチスレッド性能がCore i7 12700Kよりも大幅に低くなっています。

動作クロック面では完全にCore i7 12700Kの方が上でコア数も多くなっています。そのためCore i5 12600KはCore i7 12700Kよりも、いずれのベンチマークにおいてもスコアが低くなっています。

Core i5 12600KF

メーカー・モデル名Intel Core i5 12600KF
コア数10コア16スレッド(P-Core:6コア12スレッド + E-Core:4コア4スレッド)
動作周波数(P-Core)3.7GHz~4.9GHz
動作周波数(E-Core)2.8GHz~3.6GHz
コードネームAlder Lake-S (第12世代Intel)
発売日2021年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効(P) + 無効(E)
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W~150W
L1キャッシュ1MB (480KB/12~8way + 384KB/8way)
L2キャッシュ9.5MB (P:7.5MB/10way + E:2MB/16way)
L3キャッシュ20MB (P:18MB/12way + E:2MB/12way)
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR5-4800 / DDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅76.8GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1700
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャGolden Cove + Gracemont
プロセスルールIntel 7
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-VNNI (Intel Deep Learning Boost)
Userbenchmark(Effective)109

Core i5 12600KFはCore i5 12600Kの内蔵グラフィクスを無効化しただけのCPUです。どうしても内蔵グラフィクス搭載版は品薄になりやすいため、BTOパソコンではこのようなKFタイプのCPUが採用されていることが多いです。Core i5 12600Kが普通に買えるならそちらの方が絶対におすすめです。Core i5 12600KFのような”F”付きモデルは単にCPUの供給不足を補うために設定されてるモデルだと認識するのが正しいです。

8位: Core i5 12600

Core i5 12600は2022年1月に発売されたCPUで、第12世代シリーズに属します。Core i5 12600Kは10コアプロセッサですが、このCore i5 12600はE-Coreが全て無効化されておりP-Core×6コアのみの合計6コアプロセッサになっていることに注意が必要です。単純にCore i5 12600Kのクロックを引き下げただけの違いではなく、コア数も変更になっています。

Intel Core i5 12600とAMD Ryzen 7 5800X3Dのベンチマーク性能評価比較

Core i5 12600よりも後の2022年4月に発売されたRyzen 7 5800X3Dと比較してみます。コア数は8コアなのでカタログスペック上はRyzen 7 5800X3Dにとって有利な比較条件になっています。

結果は8コアのRyzen 7 5800X3Dに対し、Core i5 12600が+3%差で上回っています。特にRyzen 7 5800X3Dは発売時に「ゲームは世界最速」を謳っていましたがゲーミング性能ではCore i5 12600の方が+3ポイント差で勝っています。Ryzen 7 5800X3Dお得意であるはずのゲーム用途でもCore i5 12600の勝利です。

9位: Core i9 11900K

メーカー・モデル名Core i9-11900K (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.5 GHz
最大動作周波数5.3 GHz
全コア同時最大周波数4.8 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。第11世代Intel Core(Rocket Lake)の各プロセッサの中で、全コア同時最大周波数5.1GHzを実現したフラッグシップモデルです。第11世代Intel Core(Rocket Lake)では、これまで2015年から使われていたSkylakeマイクロアーキテクチャが抜本的に刷新され、新規にCypress Cove(Willow Cove)マイクロアーキテクチャが採用されています。

Core i9 11900Kの特徴はAdaptiveBoostが有効化されていることです。オーバークロックではなく定格内(保証範囲内)動作で自動的に全コア同時5.1GHzまで上昇します。1~2コアだけなら5.3GHzまで自動的に上昇します。

同じ8コアのCore i7 11700Kの場合全コア同時最大周波数は4.7GHzで、1~2コアでは5.0GHzまでの上昇です。Core i9 11900KはCore i7 11700Kと比較して全コアでも単コアでもクロックが大幅に高いことがわかります。すべてのコアに同時に負荷がかかった際の性能を重視する場合はCore i7 11700KよりもCore i9 11900Kが最適です。

多くの人が比較したがる第4世代Ryzenのフラッグシップモデル、Ryzen 9 5950Xとのベンチマーク比較は以下の通りです。

Ryzen 9 5950Xは16コアもあるにも関わらず、8コアのCore i9 11900Kが+9%の性能差でRyzen 9 5950Xに勝利しています。しかも実際はCore i9 11900Kを持ち出すまでもなく、Core i5でもRyzen 9 5950Xに勝ててしまいます。

このCore i9 11900Kはゲーマーからの支持が高いです。特に2021年8月からTwitch著名配信者のStylishnoob氏がCore i9 11900K+GeForce RTX3090搭載PCを使い始めたことは有名です。彼が以前所属していたDeToNatorはIntelと昵懇だったため、彼がDeToNatorを脱退したことで「Intelと手を切りAMD Ryzenを搭載したPCに切り替えてRyzenの広告塔としての役割を果たしてくれる」という”願望”がAMDユーザの間にありましたが結局彼は再度Intel Coreを採用し、グラボもRadeonを使わずGeForceを選んだことで、ゲーマーはIntel Core+NVIDIA GeForceを好むという事実を再認識させました。

Core i9 11900Kの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

Core i9 11900KF

メーカー・モデル名Core i9-11900KF (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.5 GHz
最大動作周波数5.3 GHz
全コア同時最大周波数4.8 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i9 11900Kから内蔵グラフィクスを無効化し、vProとIntel Trusted Execution Technology(TXT)も無効化したCPUです。法人等の業務用としては向きませんが、グラボを用意する前提のゲーム用としては適しているCPUです。当然ながらAdaptive BoostもThermal Velocity Boost(TVB)も有効化されていて、オーバークロックせずに全コア同時5.1GHz動作が可能です。

10位: Core i7 11700K

メーカー・モデル名Core i7-11700K (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.6 GHz
最大動作周波数5.0 GHz
全コア同時最大周波数4.6 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。第11世代Intel Core(Rocket Lake)プロセッサの8コアモデルです。8コアは他にCore i9 11900Kが存在しますが、全コア同時最大周波数が大きく異なります。Core i9 11900KではAdaptiveBoostが有効化されているため全てのコアが同時にTurboBoost2.0上限の5.1GHzまで到達しますが、Core i7 11700KではAdaptive Boostが無効化されているためTurboBoost2.0全コア動作時の4.7GHz留まりです。さらに、Core i7 11700KではThermal Velocity Boostも無効化されているため、1~2コアの最大クロックはTurboBoost3.0の5.0GHzが上限になります。

第4世代Ryzenで最高峰のCPU、16コアのRyzen 9 5950XとCore i7 11700Kを比較してみます。

このように8コアのCore i7 11700Kが、16コアのRyzen 9 5950Xに性能差7%で勝利してしまいます。Ryzen 9 5950Xはコア数を増やしすぎたため1コアあたりの性能が下がり、その結果8コアかつ1コアあたりの性能が高いCore i7 11700Kに対し負けてしまっています。

Core i7 11700Kの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

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Core i7 11700KF

メーカー・モデル名Core i7-11700KF (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.6 GHz
最大動作周波数5.0 GHz
全コア同時最大周波数4.6 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i7 11700Kでは有効化されていた内蔵グラフィクスを無効化したCPUです。vProやIntel TXTも無効化されています。vProもIntel TXTも法人向けで多用される機能なので、個人のゲーム用途には最適なCPUです。Thermal Velocity Boostが無効化されていて、TurboBoost3.0が有効化されている点もCore i7 11700Kと同じです。

11位: Ryzen 7 5800X3D

Ryzen 7 5800X3Dは2022年4月に発売されたCPUです。AMD 3D V-Cacheテクノロジを採用した初のAMDプロセッサでしたが、キャッシュレイテンシが大きかったり3Dキャッシュと既存キャッシュとの接続上の問題でクロックの引き上げに制約がかる等問題の多いCPUです。以下のベンチマーク結果の通り、2022年発売のCPUにしては性能が芳しくありません。

AMD Ryzen 7 5800X3DとIntel Core i5 12600のベンチマーク性能評価比較

Ryzen 7 5800X3DはTDP105Wの高消費電力タイプですが、Ryzen 7 5800X3Dとほぼ同時期に発売された第12世代Intel Core(Tiger Lake)のTDP65Wプロセッサと比較してみます。

Core i5 12600の方が低消費電力にも関わらず、Ryzen 7 5800X3Dが負けてしまっている結果です。しかもRyzen 7 5800X3Dは「ゲーム性能なら世界最速」を謳ってリリースされましたが、肝心のゲーム用途でもCore i5 12600に負けてしまっている有様です。

AMD Ryzen 7 5800X3D BOX単品の価格

日本のAmazonでは品薄が続いてますがその他の小売店には比較的在庫があります。Ryzen 7 5800X3Dがさほど売れてない理由は同じ価格で同時期に発売された第12世代Intel Core(Alder Lake)の方が高い性能のCPUが手に入るためです。

AMD Ryzen 7 5800X3D搭載のデスクトップパソコン

Ryzen 7 5800X3Dは元々ゲーム用途を謳ってリリースされたのでゲーミングPCとして組み込まれることが多いです。内蔵グラフィックス非搭載なためグラボが必須でありゲーミングPCとして売るしかない側面もあります。以下のパソコンは「Alienware Aurora R14 AMD Ryzen7 5800X3D」です。

12位: Core i9 11900

メーカー・モデル名Core i9-11900 (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.5 GHz
最大動作周波数5.2 GHz
全コア同時最大周波数4.7 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i9 11900Kの動作クロックを引き下げた上で、Adaptive Boostを無効化したCPUです。キャッシュサイズ等はCore i9 11900Kと全く同じです。Adaptive Boostが無効化されているため全コア同時に5.0GHzは達成できませんが、Thermal Velocity Boost(TVB)は有効化されているため全コア同時に4.7GHz動作が可能で、1~2コアだけなら5.2GHzまでクロックが上昇します。

このCore i9 11900は第4世代Ryzen5000シリーズの中では最高峰のRyzen 9 5950Xに余裕で勝ってしまう性能です。

+5%もRyzen 9 5950Xに対してCore i9 11900が勝っています。コア数で2倍のRyzen 9 5950XにもCore i9 11900が勝ってしまうのはコア数の多さが性能向上に直結しない実例として特筆すべきところです。

◆取寄せ!Corei9-11900 BOX 2.5GHz BX8070811900
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Core i9 11900F

メーカー・モデル名Core i9-11900F (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.5 GHz
最大動作周波数5.2 GHz
全コア同時最大周波数4.7 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i9 11900では有効化されている内蔵グラフィクス(Intel UHD Graphics 750)がCore i9 11900Fでは無効化されています。他にはvProも無効化されています。その他のスペックは全く同じです。Thermal Velocity Boost(TVB)は当然有効化されているため全コア同時に4.7GHzまでクロックが自動的に上がります。グラボが必須であることと、法人向けで重宝される業務用有用な機能が無効化されている点だけ注意すれば良いCPUです。

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13位: Core i5 11600K

メーカー・モデル名Core i5-11600K (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.9 GHz
最大動作周波数4.9 GHz
全コア同時最大周波数4.6 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。第11世代Intel Core(Rocket Lake)プロセッサの6コアモデルです。Core i7 11700Kで有効化されているTurboBoost3.0はCore i5 11600Kでは無効化されています。そのためCore i5 11600KではTurbo Boost2.0の1~2コアクロック4.9GHzが最大クロックです。

このCore i5 11600Kは第4世代RyzenのフラッグシップCPU、16コアRyzen 9 5950Xを超える性能です。

このように+4%の性能差でCore i5 11600KがRyzen 9 5950Xを上回っています。コア数が多くても性能が高いとは限らないというのはコンピュータ・アーキテクチャ分野で講学上よく知られた事実ですが、それが綺麗に当てはまっている実例です。

Core i5 11600Kの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

Core i5 11600KF

メーカー・モデル名Core i5-11600KF (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.9 GHz
最大動作周波数4.9 GHz
全コア同時最大周波数4.6 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i5 11600KFは内蔵グラフィクスが無効化されているCPUです。業務用で使われることの多いvProとIntel Trusted Execution Technology機能も無効化されています。他はCore i5 11600Kと全く同じスペックです。グラボを別途用意することが当然のようになっているゲーム用途を想定してラインナップされているCPUです。

14位: Core i5 11600

メーカー・モデル名Core i5-11600 (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.8 GHz
最大動作周波数4.8 GHz
全コア同時最大周波数4.3 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i5 11600はCore i5 11600Kの動作クロックを引き下げただけのCPUです。キャッシュサイズはCore i5 11600Kと同じで、TurboBoost2.0が有効化されている点も同じです。単純にCore i5 11600Kの低消費電力版と見ることができます。これよりもさらにクロックを引き下げたTDP35W版としてCore i5 11600Tが存在します。

このCore i5 11600は、第4世代Ryzenプロセッサ(Vermeer)の中で最高峰と位置付けられているRyzen 9 5950Xに勝つ性能です。

+3%の性能差でCore 11600がRyzen 9 5950Xに対し勝利しています。Ryzen 9 5950Xはコア数を増やしすぎた結果逆に全体的な性能が下がってしまい、コア数が少ないCPU(Core i5 11600)に負けた実例の一つです。

15位: Core i5 11500

メーカー・モデル名Core i5-11500 (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.7 GHz
最大動作周波数4.6 GHz
全コア同時最大周波数4.2 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i5 11500はCore i5 11600の動作クロックを引き下げただけのCPUです。その他のスペックは全てにおいて全く同じです。キャッシュサイズはCore i5 11600と同じで、TurboBoost2.0が有効化されている点も同じです。

このCore i5 11500は、第11世代Intel Coreシリーズを上位と下位とで分ける際の「国境線」に該当します。(Core i5 11500を含めた)Core i5 11500以上のモデルでは末尾文字(suffix)が”F”でない限りはvProとIntel Trusted Execution Technologyが有効化されています。つまり法人等でPCを大量調達してWindowsUpdateを一元管理したい場合はCore i5 11500以上のCPUが必要になります。一方で、Core i5 11500より下のCore i5 11400以下のCPUになると末尾文字が”F”でなくてもvProとIntel Trusted Execution Technologyが無効化されています。また、Core i5 11400以下になると内蔵グラフィクスがIntel UHD Graphics 730となり、Core i5 11500以上のCPUと比較して内蔵グラフィクスの性能が下がります。Core i5 11400以下のIntel Coreはいわゆる法人向け用途には向かないCPUです。

第4世代Ryzenとの比較では、Core i5 11500の4グレードも上のRyzen 9 5950XとRyzen 9 5900X相手にも勝利する性能です。当然ながら同じ6コアのRyzen 5 5600Xにも圧勝しています。ここではあえて、第4世代Ryzenで最高峰とされるRyzen 9 5950Xと比較してみます。下位のRyzen 5 5600Xと比較するよりも面白いためです。

第4世代Ryzenでフラッグシップモデルとされる16コアのRyzen 9 5950Xに対して、たった6コアのCore i5 11500が勝ってしまっています。しかも第4世代Ryzen 9 5950Xには内蔵グラフィクスが搭載されておらず、vProに相当するセキュリティ機能も搭載されていないので、性能面でもその他の情報セキュリティ面でもCore i5 11500の完勝です。

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16位: Core i9 10900K

メーカー・モデル名Core i9-10900K (第10世代Intel)
コア数10コア20スレッド
基本動作周波数3.7GHz
最大動作周波数5.3GHz
全コア同時最大周波数4.9GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ2.5MB
L3キャッシュ20MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月20日発売。Intel第10世代Comet Lake-Sプロセッサの中ではフラッグシップモデルです。2015年から5世代に渡り長く続いたSkylakeマイクロアーキテクチャを採用するデスクトップ向けプロセッサの中で最終世代のプロセッサになります。理由は、次のRocket LakeプロセッサからはCypress Cove(Willow Cove)マイクロアーキテクチャを採用することが既に確定しているためです。

基本的にはこのCore i9 10900Kは、Core i9 9900Kの8コアを2つ増やして10コアに上で、クロック周波数をさらに引き上げたプロセッサです。

Core i9 10900Kは10コア20スレッドで動作クロックは3.7GHz~5.3GHzです。前世代のCore i9 9900Kの3.6GHz~5.0GHzと比較すると、Core i9 10900Kではベースクロックもブーストクロックも共に上昇しています。ただし、全コア同時に5.3GHzになるのではありません。消費電力(単位時間あたりの発熱量)に余裕がある場合に一部のコアのみが5.3GHzに到達します。全コア同時では4.9GHzまで上昇します。

その一方で、第3世代Ryzen 9 3950X,Ryzen 7 3700Xでは全コア同時で3.9GHzまでしかクロックが上がらず、Ryzen 9 3900X(12コア),Ryzen 7 3800X(8コア)であっても全コア同時で4.1GHzまでしかクロックが上昇しません。そのため10コアで全コア同時に4.9GHzまでクロックが上昇するCore i9 10900Kはマルチスレッド性能も高いです。

Core i9 10900Kは1コアあたりの性能が高いためExcel等の事務仕事のみならず、ゲーム用途にも最適なCPUです。元プロゲーマーで現在ゲーム配信者(ストリーマー)として著名なShaka氏はドスパラの「GALLERIA UA9C-R80T(Core i9 10900K搭載)」を入手し使用開始したことを2020年8月20日に報告しています。

Core i9 10900Kは2019年7月発売の第3世代Ryzen 9 3950Xに圧勝しています。

前世代のCore i9 9900KでもRyzen 9 3950Xを上回る性能だったので当然の結果です。

Core i9 10900Kの詳細レビューはこちらに掲載しています。

Core i9 10900KF

メーカー・モデル名Core i9-10900KF (第10世代Intel)
コア数10コア20スレッド
基本動作周波数3.7GHz
最大動作周波数5.3GHz
全コア同時最大周波数4.9GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ2.5MB
L3キャッシュ20MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Core i9 10900KFはCore i9 10900Kから内蔵グラフィックス機能を無効化したものです。動作クロックは3.7GHz~5.3GHzでありCore i9 10900Kと全く同じです。

グラフィックボードを別途用意する用途(例えばゲーム)を前提としたり、明示的に手動で定格外オーバークロックするのなら、このCore i9 10900KFがCore i9 10900Kよりもおすすめです。

17位: Core i9 9900KS

型番Core i9-9900KS (第9世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数4.0GHz
最大動作周波数5.0GHz
全コア同時最大周波数5.0GHz
発売日2019年10月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)127W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームCoffee Lake-S R
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1151
アーキテクチャCoffee Lake Refresh
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2019年5月に発表された第9世代Intel Core Coffee Lake Refreshのデスクトップ向けプロセッサです。マイクロアーキテクチャはCore i9 9900Kと全く同じなので8コア16スレッド。共有キャッシュサイズも同じです。

改善されたのは動作クロックで、Core i9 9900KSのベースクロックは4.0GHzもあります。2018年に発売された9900Kが3.6GHzなのでベースクロックだけでも+11%向上しています。

ベースクロックで4.0GHzの大台に載ったのは通常版だと2017年1月発売のCore i7 7700K以来です。特別版も含めれば2018年のCore i7 8086K以来です。

2015年発売のCore i7 6700Kはベースクロック4.0GHzで、2017年1月発売のCore i7 7700Kが4.2GHz、2017年11月発売のCore i7 8700Kが3.7GHzで、この8700Kで4.0GHzの大台を割ってしまいました。

8700Kの動作クロックが下がってしまったのはコア数がそれまでの4コアから6コアに増えたからです。そして2018年発売のCore i9 9900K、Core i7 9700Kは+2コアで8コアになったため、ベースクロックが3.6GHzとなりさらに0.1GHz下がりました。

今回の9900KSでベースクロックが4.0GHzの大台に乗ったことは、FPSゲームで高いフレームレートを求めているゲーマーには朗報になります。ゲームではコア数の多さよりも高い動作クロックが必要だからです。

もう一つ9900KSで改善された点があり、それは8コア全てを定格動作で同時に5.0GHzまで自動的にクロックが上昇するようになりました。定格外で保証外のオーバークロックをせずに、定格内の保証範囲内の動作で全8コアが同時に5.0GHzになります。2018年発売の9900Kでは8コアのうち5.0GHzまでクロックが上昇するのは2コアまでに限られていました。全8コア同時だと4.7GHzが9900Kの限界でした。それが9900KSだと全8コア同時に5.0GHzまで自動的に保証範囲内で動作クロックを上げてくれます。

特にゲームと動画エンコードを同時に1台のPCで実行しているTwitchやYoutubeのストリーマーにとっては非常に恩恵が大きいです。配信をせずゲーム単独であっても、裏でゲーム以外のアプリケーションを起動してバッググラウンドタスクを動かしている場合は9900Kだと5.0GHzまで動作クロックが上がらない場合があります。9900KSだと裏で何を動かしていても5.0GHzまで動作クロックが上昇するので、ゲームのフレームレート性能を追求するユーザにとって9900Kよりも大きなメリットがあります。

このCore i9 9900KSは、2020年に発売されたCore i9 10700Kよりも高性能です。そういった意味ではもっと上位に持っていっても良いプロセッサです。

しかし、このCore i9 9900KSは”Limited Edition”に近い位置づけとして発売されたため流通量が限られています。Core i9 9900KSは数が多く出てメインストリームになることは無いプロセッサです。

18位: Ryzen 9 5900X

メーカー・モデル名AMD Ryzen 9 5900X
コア数12コア24スレッド
基本動作周波数3.7GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2020年11月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ768KB
L2キャッシュ6MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームVermeer (AMD Zen3世代Ryzen 5000)
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 3
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Ryzen 9 5900Xは2020年11月発売の第4世代Ryzenの中でRyzen 9 5950Xに次ぐ位置づけとされていますが、実際はこの12コア製品の方がシングルスレッド性能とマルチスレッド性能のバランスに優れており、16コアのRyzen 9 5950Xよりも実効性能が高いです。

第4世代Ryzenで採用された2020年のZen3マイクロアーキテクチャはようやく2015年のIntel Skylakeマイクロアーキテクチャに追いつきつつあるものの、製造を担う台湾TSMC7nm半導体の「クロックが上がりにくい」特性と、世界的な半導体需要の逼迫という外部要因で第4世代Ryzenは辛酸を嘗めているCPUです。

2020年以降、半導体需要が高まりTSMCもサムスンも生産が追いつかず、世界的な半導体不足です。そんな中で、TSMCやサムスンは米国Qualcomm社(5G等の通信用半導体を設計)といった代わりの効かない企業に生産枠を割り当て、Intelプロセッサが存在し代わりの効くPC向けCPU分野ではAMDの優先度は低く後回しにされてしまい、第4世代RyzenではTSMCから生産枠を割り当ててもらえず出荷数が非常に限られたCPUになりました。

その上、クロックが上がりにくいTSMC7nmのままでさらに無理にクロックをあげようとした結果、ただでさえ第3世代Ryzenでも悪かった歩留まり(良品率)がさらに悪化し、製品が小売店に殆ど出回らない異常事態に陥っています。

第4世代Ryzenは「発表したけれども市場に出回らず」の状態であり、文書上(登記上)は存在してるが実体が無いペーパーカンパニーのようなCPUになっています。

歩留まりの悪化覚悟でさらにクロックを引き上げたといっても、単コアのブーストクロックが0.2GHz上がったのみで、それと引き換えにベースクロックはむしろ0.1GHz下がりました。ベースクロックを引き下げて余った発熱許容枠を、単コアのブーストクロック引き上げに割り当てただけだからです。第3世代RyzenからTSMC7nmの半導体の性能自体が変わってないため、何かを得るには何かを犠牲にしなければならない状態に陥っています。

Ryzen 9 5900XとIntel Core i9 12900Kの比較

16コア24スレッドのCore i9 12900Kと比較してみます。24スレッドCPU同士の比較になります。

デスクトップPCの事務作業用途でもゲーム用途でもCore i9 12900Kが圧倒的に高性能です。しかも従来Ryzenが強い分野だったWorkstationのようなスレッドレベル並列性が高い分野でもCore i9 12900Kが圧勝しています。

Ryzen 9 5900Xの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

19位: Core i7 11700

メーカー・モデル名Core i7-11700 (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.5 GHz
最大動作周波数4.9 GHz
全コア同時最大周波数4.4 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i7 11700はCore i7 11700Kのクロックを引き下げただけのCPUです。キャッシュサイズは当然同じで、TurboBoost3.0が有効化されている点もCore i7 11700Kと同じです。1~2コアだけなら最大4.9GHzまで自動的にクロックが上がるので、少数のコアの性能を重視する場合にはCore i7 11700の性能でも十分です。

Core i7 11700F

メーカー・モデル名Core i7-11700F (第11世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.5 GHz
最大動作周波数4.9 GHz
全コア同時最大周波数4.4 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i7 11700FはCore i7 11700では有効化されているIntel UHD Graphics 750を無効化したCPUです。その他のキャッシュサイズやクロックはCore i7 11700と全く同じです。ゲーム用途を想定してCPUを買う人はグラボを別途用意するのが通常なので、その場合にはこのCore i7 11700Fでも問題ありません。vProやIntel Trusted Execution Technologyが無効化されているのがCore i7 11700Fの特徴ですが、ゲーム用途の場合には殆ど問題になりません。法人等でPCを大量調達する場合にはCore i7 11700FよりもCore i7 11700を選択すべきです。

20位: Ryzen 9 5950X

メーカー・モデル名AMD Ryzen 9 5950X
コア数16コア32スレッド
基本動作周波数3.4GHz
最大動作周波数4.9GHz
全コア同時最大周波数3.7GHz
発売日2020年11月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ1MB
L2キャッシュ8MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームVermeer (AMD Zen3世代Ryzen 5000)
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 3
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年11月に発売された第4世代Ryzen 9 5950Xは、第3世代Ryzen 9 3950X(3.5GHz~4.7GHz)よりも全コア同時クロックが下がっており退化しています。Ryzen 9 5950Xの全コア同時最大クロックは3.7GHzであり、第3世代Ryzen 9 3950Xの全コア同時クロック3.9GHzよりも下がっています。

このクロックの低さについては米国メディアのAnandTechが実測で立証しています。AnandTechはRyzen 9 5950Xの全コア同時クロックがRyzen 9 3950Xよりも下がった原因についても言及しています。

Ryzen 9 5950Xで採用したZen3マイクロアーキテクチャでは1コアあたりの性能を向上させるために、FMA演算のサイクルを5サイクルから1サイクル短縮し4サイクルにしたり、Load,Store命令のスループットを向上させIPCを引き上げました。

しかし一方で、IPCの引き上げにより電力密度が向上し、単位体積あたりの発熱量が増加してしまいクロックを下げざるを得なくなったということです。

1コアあたりの性能を引き上げるには「IPCの引き上げ」と「クロックの引き上げ」2つの方法があり、その2つを同時に実施する方法もあります。第11世代Intel Coreではこの2つを同時に実施して性能向上を図っています。

しかし、Zen3マイクロアーキテクチャを採用した第4世代Ryzen 9 5950Xでは、IPC向上と引き換えにクロックを引き下げる羽目になりました。その原因としてAnandTechは「半導体の特性に問題がある」と指摘しています。これは第4世代RyzenがCPU製造に利用している台湾国TSMC社の7nmプロセスでは「クロックを高くするとリーク電流が急増し発熱量が増えてしまうためクロックを下げざるを得ない」特性を意味しています。

つまり第4世代Ryzen 9 5950Xでは、IPCの引き上げで電力密度と単位体積あたりの発熱量が急増してしまい、仕方なくクロックを引き下げて対応するしかなかったこということです。クロックを引き下げれば当然ながら1コアあたりの性能は低下します。せっかくIPCを引き上げてもクロックが下がってしまっては意味がありません。

Ryzen 9 5950XはRyzen 9 3950Xと比較してスペック表上の差はクロックくらいです。第4世代RyzenではRyzen長年の欠陥だった「キャッシュヒット率の低さ」を改善したものになるため、スペック上はその違いが出てきません。第3世代RyzenまではL3”共有”キャッシュが「共有」の文字とは裏腹に、全く共有されていないL3キャッシュでした。他のコアが所属するL3キャッシュにはデータが乗っているのに、別のコアがメモリアクセスをするとL3キャッシュヒットとはならずキャッシュミスとなり多大なレイテンシの「キャッシュミスペナルティ」が発生していたのが第3世代Ryzen以前です。

それが第4世代RyzenになってようやくL3キャッシュが「共有」キャッシュとなりました。コンピュータ・アーキテクチャ上当たり前のことがようやく実装されただけなので、改善というよりも「Ryzen積年の欠陥を解決した」というのが実情です。

Ryzen 9 5950XとIntel Core i9 12900Kの比較

同じ16コア同士のCore i9 12900Kと比較します。

コア数の多さが重要になるWorkstation用途でもCore i9 12900KがRyzen 9 5900に対し圧勝しています。

Ryzen 9 5950Xの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

AMD Ryzen 9 5950Xの価格

Ryzen 9 5950Xは委託生産で製造原価が高いため値下げができず、Core i9 12900Kよりも低性能なのにも関わらず割高です。

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21位: Core i5 12400

2022年1月に発売された6コアの第12世代Intel Core(Alder Lake)プロセッサです。E-Coreが全て無効化されていてP-Core×6のみですが多くの人にとってはこのCore i5 12400の性能で十分なほど高性能です。

22位: Ryzen 7 5800X

メーカー・モデル名AMD Ryzen 7 5800X
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.7GHz
全コア同時最大周波数4.2GHz
発売日2020年11月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームVermeer (AMD Zen3世代Ryzen 5000)
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 3
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Ryzen 7 5800Xは2020年11月に発売された第4世代Ryzenの8コアモデルです。

このRyzen 7 5800Xに限らず第4世代Ryzenは非常に流通量が少なくなっています。これはTSMC7nmプロセスでは高クロックのチップを製造するには歩留まりが悪すぎて、正常に動作する合格品の数を確保できないためです。

また第4世代Ryzenでは2020年11月発売時にラインナップされたモデル数がたったの4モデルしかありません。これは2020年以降の半導体需要の逼迫で台湾TSMCはAMD以外のメーカーへの半導体製造で手一杯であり、AMD向けは後回しにされているためです。TSMCの生産枠をAMDが確保できなかったことから4モデルしかラインナップできず、その上、たった4モデルに絞ったにも関わらず歩留まりの悪さで極めて少ない流通量となっています。それならクロックを大幅に引き下げて歩留まりを良くする方法もありますが、クロックを引き下げるとIntel Coreにさらに大差をつけられてしまうため、歩留まりが悪い無理をしてでもクロックを引き上げざるを得ないAMDの都合によりこのような結果となっています。

Ryzen 7 5800Xの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

23位: Core i5 11400

メーカー・モデル名Core i5-11400 (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.6 GHz
最大動作周波数4.4 GHz
全コア同時最大周波数4.2 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 730
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4992TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i5 11400はCore i5 11500の動作クロックを引き下げた上で、vProとIntel Trusted Execution Technologyを無効化したCPUです。vProが無効化されていても、Core i5 11400では内蔵グラフィクスは有効化されているのでグラボ無しでディスプレイ出力可能です。ただし、内蔵グラフィクスの性能はCore i5 11500よりも引き下げられています。Core i5 11500では単精度演算器256コア搭載のIntel UHD Graphics 750でしたが、Core i5 11400では単精度演算器192コアのIntel UHD Graphics 730になっています。Core i5 11500とCore i5 11400を境に内蔵グラフィクスの性能も引き下げられています。

その他のスペックは全てにおいてCore i5 11500と全く同じです。キャッシュサイズはCore i5 11500どころかさらに上位のCore i5 11600Kとも同じで、TurboBoost2.0が有効化されている点も同じです。

このCore i5 11400は、第11世代Intel Coreシリーズを上位と下位とで分ける際の「下位グループ」の先頭に属します。Core i5 11400以下のCPUになると末尾文字が”F”でなくてもvProとIntel Trusted Execution Technologyが無効化されています。もしvProが必要ならCore i5 11500以上を選ぶ必要があります。

このCore i5 11400は同じ6コアのRyzen 5 5600X相手に勝利する性能です。

Ryzen 5 5600Xは、Zen3マイクロアーキテクチャを採用した第4世代Ryzen5000シリーズ(Vermeer)の6コアプロセッサの中では最も高クロックな製品です。Core i5 11400は第11世代Intel Coreの6コアモデルの中では最も低クロックな製品にも関わらず、高クロックなRyzen 5 5600Xに勝利しています。

Core i5 11400の詳細レビューはこちらに掲載しています。

Core i5 11400F

メーカー・モデル名Core i5-11400F (第11世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.6 GHz
最大動作周波数4.4 GHz
全コア同時最大周波数4.2 GHz
発売日2021年3月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ480KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50GB毎秒
コードネームRocket Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0基
iGPU単精度性能0 FLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令AVX-512 VNNI

2021年3月発売。Core i5 11400FはCore i5 11400と全く同じ動作クロックであり、違いはCore i5 11400Fでは内蔵グラフィクス(Intel UHD Graphics 750)が無効化されている部分だけです。グラボ無しでディスプレイ出力ができないためグラボが必ず必要です。

その他のスペックは全てにおいてCore i5 11400と全く同じです。もし内蔵グラフィクスが必要ならCore i5 11400を選択をした方がいいですし、不要ならこのCore i5 11400Fでもいいでしょう。

性能に関してはCore i5 11400と同じくCore i5 11400FでもRyzen 5 5600Xを敗北させ、Ryzen 7 5800Xと互角の性能を持っています。

Core i5 11400Fよりもクロックが+1.1GHzも高いRyzen 5 5600Xが敗北しています。第11世代Intel Coreが発売された時点で最も低いグレードのCore i5 11400Fに対し、第4世代Ryzenの中では最高峰の6コアCPUであるRyzen 5 5600Xが敗北してしまったのはAMDにとって痛手です。

Core i5 11400Fの詳細レビューはこちらに掲載しています。

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24位: Core i7 10700K

メーカー・モデル名Core i7-10700K (第10世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数5.1GHz
全コア同時最大周波数4.7GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。第10世代Intel Coreプロセッサの代表格的なモデルです。デスクトップ向けプロセッサのフラッグシップモデルはCore i9 10900Kですが、大多数の一般的なユーザにとっては8コア16スレッドのCore i7 10700Kプロセッサでも十分です。

Core i7 10700Kは8コア16スレッドで、動作クロック周波数は3.8GHz~5.1GHz。先代の第9世代Intel Core i7 9700K(8コア8スレッド,3.6GHz~4.9GHz)、Core i9 9900K(8コア16スレッド3.6GHz~5.0GHz)よりもベースクロックもブーストクロックも高くなっています。

Core i7 10700Kは形式的にはCore i7 9700Kの後継ですが、実質的にはCore i9 9900Kの後継モデルです。

なぜなら、Core i7 10700Kは同時マルチスレッディング(ハイパースレッディング・テクノロジー)が有効化されているので8コア16スレッドのプロセッサですが、Core i7 9700Kは同時マルチスレッディングが無効化されていたので8コア8スレッドのプロセッサだったからです。

同一プロセスの半導体製造コストは年月の経過とともに下がっていくため、Core i9 9900Kよりもコストを抑える一方で、Core i9 9900Kよりもクロックを引き上げて高性能を実現したのがこのCore i7 10700Kになります。

2019年11月に発売されたRyzen 9 3950Xと比較してみます。

+11%もCore i7 10700KがRyzen 9 3950Xを上回る結果です。

Core i7 10700Kの詳細レビューはこちらに掲載しています。

Core i7 10700KF

メーカー・モデル名Core i7-10700KF (第10世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数5.1GHz
全コア同時最大周波数4.7GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年6月発売。このCore i7 10700KFはCore i7 10700Kの内蔵グラフィックス無効化版です。動作クロックは3.8GHz~5.1GHzで同スペック。定格外オーバークロックにこだわるのならCore i7 10700KよりもこのCore i7 10700KFがおすすめです。

25位: Core i9 10900

メーカー・モデル名Core i9-10900 (第10世代Intel)
コア数10コア20スレッド
基本動作周波数2.8GHz
最大動作周波数5.2GHz
全コア同時最大周波数4.6GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ2.5MB
L3キャッシュ20MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。Core i9 10900は、Core i9 10900Kの動作クロックを引き下げる代わりに価格を低く抑えたプロセッサです。動作クロック以外の部分はCore i9 10900Kと全く同じであり、同時マルチスレッディング(ハイパースレッディング・テクノロジー)が有効化されてる点も、キャッシュサイズ等もCore i9 10900Kと同じです。

このCore i9 10900の動作クロックは2.8GHz~5.2GHzです。TDP65Wプロセッサにしては、最高クロックの5.2GHzは非常に高クロックです。

ただしTDP65Wとはいっても、定格動作でも一時的に消費電力が200W近くになることがあるので単位時間あたりの発熱量は膨大になります。このプロセッサの性能を最大限引き出したい場合は、TDP250W級以上でも十分冷やせる大型ヒートシンクのCPUクーラーを使うべきです。

Core i9 10900F

メーカー・モデル名Core i9-10900F (第10世代Intel)
コア数10コア20スレッド
基本動作周波数2.8GHz
最大動作周波数5.2GHz
全コア同時最大周波数4.6GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ2.5MB
L3キャッシュ20MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年6月発売。Core i9 10900Fは、Core i9 10900の内蔵グラフィックス(Intel UHD Graphics)を無効化したCPUです。動作クロックもCore i9 10900と全く同じであり、同時マルチスレッディング(ハイパースレッディング・テクノロジー)が有効化されてる点も、キャッシュサイズ等もCore i9 10900と同じです。

26位: Core i9 9900K

型番Core i9-9900K (第9世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数5.0GHz
全コア同時最大周波数4.7GHz
発売日2018年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)95W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームCoffee Lake-S R
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1151
アーキテクチャCoffee Lake Refresh
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2018年10月27日発売。第9世代Intel Coreプロセッサのフラッグシップモデルです。マイクロアーキテクチャ面ではCoffee Lakeを改良したCofee Lake Refreshであり抜本的な刷新ではありません。歩留まり率を向上させたことで8コアを高い動作周波数で稼働できるようにしたものです。

Core i9 9900Kは3.6GHz~5.0GHzの動作周波数です。Core i7 8700Kに比べると基本動作周波数が0.1GHz下がっていますが、マイクロアーキテクチャの改良により1コア単体での性能も向上しています。

オーバークロックをしない定格動作のTurboBoost機能では、アクティブコアが2コアまでなら最大5.0GHzで動作します。アクティブコアが4~5コアのときは最大4.8GHz、6~8コアのときは最大4.7GHzです。オーバークロックをすれば全8コアを5.0GHzで動作させることも可能です。PUBGのように1コアに大きな負担がかかるバトロワ系FPSではアクティブコアが少ないため5.0GHz動作可能です。1コアに大きな負担がかかるゲームでは9900Kは最適です。

Core i7 8700Kの後継はCore i7 9700Kになると思われがちですがCore i7 9700Kは8コア8スレッドでありハイパースレッディングが無効化された微妙なプロセッサになります。Core i7 8700Kの後継品は事実上このCore i9 9900Kです。

2017年に発売されたCore i9シリーズはCore-Xシリーズに該当しチップ上に内蔵グラフィクスをそもそも搭載していません(無効化ではなく最初からチップ上に回路が存在しない)。しかし2018年発売のCore i9 9900Kは内蔵グラフィクス(Intel UHD Graphics 630)が搭載されているため拡張グラボ無しでも4K@60fpsトリプルディスプレイ可能です。

L3共有キャッシュは16MBです。1コアあたり2MBになります。Core i7 8700KやCore i7 8086Kでは6コアで12MBのL3共有キャッシュだったため、1コアあたりのキャッシュサイズは変わっていません。全体的なキャッシュサイズはコア数が2つ増えたことにより増加しました。

このCore i9 9900Kの弱点は価格の高さです。Core i7 9700Kは8700Kの価格を踏襲しましたがCore i9 9900Kは1万円ほどさらに高額になりました。

対応マザーボードについてはZ370等の300シリーズマザーボードならBIOSアップデートで第9世代Core i9 9900Kに対応します。既に300シリーズマザーボードを保有している場合はわざわざZ390を新規購入する必要はありません。

Core i9 9900Kは2018年10月に発売されたCPUですが、2019年7月に発売された第3世代Ryzen 9 3950Xの性能を上回っています。

コア数16コアのRyzen 9 3950Xの性能を、8コアのCore i9 9900Kが上回っています。このような結果になった理由は、生産性の低い従業員16名と、生産性の高い従業員8名では、後者のほうが速くタスクを完了させる類推で説明することができます。

Core i9 9900Kの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

27位: Core i7 9700K

型番Core i7-9700K (第9世代Intel)
コア数8コア8スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.9GHz
全コア同時最大周波数4.6GHz
発売日2018年11月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング無効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)95W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームCoffee Lake-S R
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1151
アーキテクチャCoffee Lake Refresh
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2018年10月27日発売。第9世代Coffee Lake Refreshプロセッサです。第8世代まではCore i7 8700Kのグレード7のプロセッサがデスクトップ向けCore-Sシリーズの中ではフラッグシップモデルでしたが、第9世代のCore i7 9700Kはハイパースレッディングが無効化されている微妙な仕上がりになっています。

Core i7 9700Kの動作周波数は3.6GHz~4.9GHzです。ターボ・ブースト・テクノロジー動作時の最大動作周波数が、Core i9 9900Kの5.0GHzよりも0.1GHz低くなっています。

キャッシュサイズについてもCore i9 9900Kより劣っています。Core i9 9900Kでは1コアあたり2MBで合計16MBのL3共有キャッシュが搭載されていますが、Core i7 9700Kでは合計12MBであり、1コアあたりのL3共有キャッシュサイズは1.5MBとなっています。

1世代前のCore i7 8700Kでは6コアにもかかわらず12MBのL3供給キャッシュがあったので、1コアあたりのキャッシュサイズは2MBでした。

もしCore i7 9700Kも8コア16スレッドだったら多少動作周波数が低くても大半の人はCore i7 9700Kを買うと想像できます。今までのCore i7 8700KやCore i7 7700Kの購入層をCore i7 9700Kではなく高価なCore i9 9900Kへ流すためにあえてCore i7 9700Kのハイパースレッディングを無効化してCore i7 9700Kが設定されたことになります。

1コアあたりの性能ではCore i9 9900KよりもCore i7 9700Kのほうが若干上回っています。これはハイパースレッディングが無効化されているためです。

ハイパースレッディングというのはIntelの技術用語ですが、学術上(講学上)の一般化された概念では「同時マルチスレッディング」といいます。

同時マルチスレッディングの考え方は、使用されず余っている演算器を他のスレッドに使わせてあげて演算器の使用効率を向上させることで、時分割の平行(concurrent)ではなく並列(parallel)でスループットを向上させるものです。例えばスレッドAが加減算器(足し算引き算)を使っている間、乗算器(掛け算)は空き状態になってしまいます。これは使われていない乗算器がもったないです。

そこで同時マルチスレッディングでは、スレッドAが加減算器(足し算引き算)を使い、別のスレッドBが乗算器(掛け算)を必要としている場合、スレッドAが使っていない乗算器をスレッドBにも使わせてあげることで「同時に」スレッドAとスレッドBを1つのコアに割り当ててスループットを向上させます。これは同時マルチスレッディングが綺麗に機能しているパターンです。

しかし、スレッドAでもスレッドBでも乗算器を使う(掛け算をする)命令が多数含まれている場合、スレッドBが乗算器を使っている間はその乗算器が空くまでスレッドAは待たされてしまうことになります。CPU側から見るとスレッドAもスレッドBも公平に扱ってスレッドAとスレッドBに交互に乗算器を使わせてあげるように差配します。つまりスレッドAが非常に重いゲームのスレッドだった場合、スレッドAから見ればスレッドBが存在するせいで乗算器の取り合いが起こりスレッドAの実行速度が落ちることを意味します。

一方で同時マルチスレッディングが無効=ハイパースレッディングが無効だと、スレッドAがOSによってコアに割り当てられている間は1コアの演算器を丸々スレッドAが独占できます。このことが、1つのスレッドが非常に重くなるゲーム(特にPUBGのようなゲーム)用途においてハイパースレッディングを無効化した9700Kのほうがフレームレートが伸びる理由です。

しかし多くのスレッドが同時に実行される中では当然Core i9 9900Kのほうが性能が上です。

PUBGのようなタイプのゲームでは同時に稼働するスレッド数が少なく1コアに非常に大きな負荷がかかる性質があります。そのようなゲーム単独で実行する場合はハイパースレッディングに対応していないCore i7 9700Kで十分です。TwitchやYoutube動画配信用のエンコードを同時にやるのなら9900Kが有利ですが、配信せずゲームをやるだけの用途ならCore i9 9900KよりもCore i7 9700Kのほうが積極的に採用されています。

2018年に発売されたCore i7 9700Kは、2019年に発売されたRyzen 7 3800Xの性能を上回っています。

+12%もCore i7 9700Kの性能がRyzen 7 3800Xよりも上です。9700Kは内蔵グラフィクスを搭載しているハンデがありながらも、内蔵グラフィクスを搭載していないRyzen 7 3800Xを上回る性能でありおすすめです。

Core i7 9700Kの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

28位: Core i5 10600K

メーカー・モデル名Core i5-10600K (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数4.1GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.5GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年発売。Core i5 10600Kは6コア12スレッドで4.1GHz~4.8GHz。先代の第9世代Core i5 9600Kは同時マルチスレッディング(ハイパースレッディング・テクノロジー)が無効化されている6コア6スレッドだったので、第10世代ではさらに+6スレッド分をコンカレント(並行)実行できるためマルチスレッド性能が大幅に向上しています。

Core i5 10600KF

メーカー・モデル名Core i5-10600KF (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数4.1GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.5GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年発売。Core i5 10600Kの内蔵グラフィックス(Intel UHD Graphics 630)を無効化しただけのCPUです。それ以外のスペックは全く同じです。

29位: Ryzen 5 5600X

メーカー・モデル名AMD Ryzen 5 5600X
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.7GHz
最大動作周波数4.6GHz
全コア同時最大周波数4.2GHz
発売日2020年11月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームVermeer (AMD Zen3世代Ryzen 5000)
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 3
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Ryzen 5 5600Xは2020年11月に発売された第4世代Ryzenプロセッサの6コアモデルです。第4世代Ryzenの6コアの中で最も高いクロックを有する位置付けになっています。

Ryzen 5 5600Xの詳細なベンチマーク比較レビューはこちらに掲載しています。

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30位: Core i7 8086K Limited Edition

2018年6月8日(金曜日)発売。2018年6月5日(火曜日)に発表されたCPUです。Core i7 8700K(3.7GHz~4.7GHz)の基本動作周波数と最大動作周波数を、ともに大幅に引き上げて4.0GHz~5.0GHzとしたもので、それ以外の技術的仕様はまったく同じです。内蔵グラフィクス(iGPU)であるIntel UHD Graphics 630を搭載しており、共有キャッシュサイズは1コアあたり2MBの合計12MBです。

マイクロアーキテクチャはそのままで、ウェーハから切り取ったチップの中で動作周波数を高くだせる適合品だけを8086Kとして高額価格で販売しています。8086Kも第8世代Coffee Lakeマイクロアーキテクチャ採用であり、マザーボードもチップセット300番台(Z390,Z370,H370,B360,H310)のもので動作します。

当初この8086Kは単なる噂程度の話としてまともに取り上げられていませんでしたが実際に発売されました。なぜ噂扱いされていたかというと、「4.0GHzの基本動作周波数と5.0GHzの最大動作周波数という自己責任のオーバークロックレベルの動作をIntelお墨付きの保証範囲内の定格動作として提供できるわけがない」と思われていたからです。しかもこの8086Kの動作周波数でもTDPは95Wであり、このTDP値のままで動作周波数だけを引き上げることは無理だと思われていたことも単なる噂扱いされていた要因でした。

8086Kと同じ14nmプロセスのCore i7 7700Kでは4.2GHz~4.7GHzの動作周波数を実現していましたがこれは4コアCPUでした。続くCore i7 8700Kでは6コアになりましたが、動作周波数は3.7GHz~4.7GHzに引き下げられました。コアを増やしたことで消費電力が増え発熱量も増えてしまったため動作周波数を引き下げたわけです。そして8086Kでも14nmプロセスでしかもアーキテクチャは変更されていないとなると、同じ6コアTDP95Wで4.0GHz~5.0GHzを実現できるわけがないと見られていたことになります。しかしIntelは技術的改良で実際にリリースまで持ってきました。

CPUには1コアあたりの性能を優先する考え方と、Ryzenのようにコア数をとにかく増やしてスレッドレベル並列処理を優先する考え方の2通りのコンセプトがありますが、この8086Kは1コアあたりの性能の高さを最優先するコンセプトを採用したCPUの急先鋒です。

この8086Kはゲーム用途を強く意識しています。PUBGのようなゲームでは各オブジェクトの処理をたった1つのコアで実行しています。処理する対象のオブジェクトを1つのスレッド内で次々に切替えて実行しているため、1つのスレッドにだけ多大な計算負荷がかかります。このスレッドは分割できない(並列化できない)ため、結果的に1つのコアに大きな負荷がかかってしまいます。

このようなゲームでは1コアあたりの性能が低いRyzenのようなCPUより動作周波数が極めて高い8086Kが有利になります。

動作周波数が低い8700Kと比較すると8086Kのほうが+3%高速です。

また2018年に発売された第2世代RyzenのフラッグシップモデルRyzen 7 2700Xと、同じく2018年に発売された8086Kを比較すると圧倒的な差がつきます。

+12%もCore i7 8086Kのほうが高速です。コア数が2つ多いRyzen 7 2700Xはその分だけ1コアあたりの性能を犠牲にしておりここまでの性能差がついています。

そしてこのCore i7 8086Kは同じ2018年に発売されたRyzen Threadripper 2920Xにも勝っています。

+1%だけですがCore i7 8086KがRyzen Threadripper 2920Xを上回る性能です。しかもRyzen Threadripper 2920Xには内蔵グラフィクスが搭載されておらず、Ryzenの多数のコアを使い切る用途がほぼ存在しないため、大多数の人が必要としている用途ではCore i7 8086Kが最適です。

31位: Core i7 10700

メーカー・モデル名Core i7-10700 (第10世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.9GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.6GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i7 10700は、Core i7 10700Kの動作クロックを引き下げたものです。このCore i7 10700の動作クロックは2.9GHz~4.8GHz、Core i7 10700Kの動作クロックは3.8GHz~5.1GHzです。

ベースクロックが0.9GHz引き下げられているのみならずブーストクロックも0.3GHz引き下げられていることがわかります。Core i5 10600K(4.1GHz~4.8GHz)の動作クロックを引き下げたCore i5 10600(3.3GHz~4.8GHz)では、ブーストクロックがCore i5 10600Kと同じ4.8GHzで維持されたままになったのと比較すると、Core i7 10700ではCore i7 10700Kよりもブーストクロックが大幅に引き下げられた印象です。

このCore i7 10700は公称TDP65W(≒消費電力)のプロセッサですが、消費電力はプロセッサの温度と負荷の状況によってPL2,PL3,PL4と段階的に自動的に引き上げられていきます。PL4になると200W以上になります。そうなると、Core i7 10700が高消費電力のCore i7 10700Kより低消費電力なプロセッサとは言いにくく、しかもCore i7 10700Kよりブーストクロックが0.3GHzも低く抑えられてしまっているので、Core i7 10700はあまりメリットの見いだせないプロセッサです。これを買うなら大して価格の変わらないCore i7 10700Kがおすすめです。

Core i7 10700F

メーカー・モデル名Core i7-10700F (第10世代Intel)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数2.9GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.6GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2933
メモリチャネル2
メモリ帯域幅45.8GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i7 10700Fは、Core i7 10700の内蔵グラフィックス(Intel UHD Graphics)を無効化したバージョンです。

このCore i7 10700Fの動作クロックは2.9GHz~4.8GHzであり、動作クロックもキャッシュサイズも全くCore i7 10700と同じです。

32位: Core i5 9600K

2018年10月19日発売。第9世代Coffee Lake RefreshのCore i5 9600Kは、第8世代のCore i5 8600Kとほぼ同じです。若干動作周波数が上がった程度とみればいいでしょう。6コア6スレッドである点も同じです。

Core i5 9600Kの動作周波数は3.7GHz~4.6GHzです。1世代前のCore i5 8600Kが3.6GHz~4.3GHzだったことを踏まえると、基本動作クロック周波数がCore i5 9600Kは0.1GHz増加し、ターボ・ブースト時の最大動作周波数が0.3GHz上昇していることになります。

L3共有キャッシュサイズは全く同じ9MBです。Core i5 9600Kも1世代前のCore i5 8600Kもコア数がともに6コアであるため、1コアあたりのキャッシュサイズも1.5MBで全く同じです。

Core i5 9600Kの詳細レビューはこちらに掲載しています。

33位: Core i5 10600

メーカー・モデル名Core i5-10600 (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.3GHz
最大動作周波数4.8GHz
全コア同時最大周波数4.4GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,200MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4608TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i5 10600は、Core i5 10600Kのベースクロックを引き下げたものです。動作クロックは3.3GHz~4.8GHzになります。注目すべきは最大動作クロックがCore i5 10600Kと同じであることです。TDP65Wのプロセッサではありますが、動作クロックが4.8GHzまで上昇すると、単位時間あたりの発熱量≒消費電力は200W以上まで届きます。Core i5 10600KやCore i7 10700KやCore i9 10900Kであっても冷却するのに十分な性能のCPUクーラーを、このCore i5 10600でも使うべきです。

34位: Core i7 8700K

米国時間2017年9月24日(日曜日)にIntelの第8世代Coffee LakeプロセッサであるCore i7 8700Kが発表されました。発売は2017年10月の予定です。

半導体回路の最小スケールを表すプロセスルールは14nmであり第6世代Skylake, 第7世代Kaby Lakeから変わっていません。しかし14nm++と改善がほどこされており、マイクロアーキテクチャレベルの論理回路を半導体回路に落とし込む際の最適化が実施されています。

1コアあたりの動作周波数は7700Kよりダウンしています。コア数が7700Kの4コアから、7800Kでは6コアに増えたためです。

しかし動作周波数の低下がありながら、1コアあたりの性能は8700Kの方が上回っています。単コアでも8700Kの方が上回っているのに、8700Kでは2コア増えて6コアになっているわけですから全体での性能も当然7700Kを上回っています。

Core i7 8700Kと同じ2017年に発売されたRyzen 7 1700Xと比較してみます。

このように+21%もCore i7 8700Kが上回る性能です。これは圧倒的大差と言ってもいいほどの性能差です。

それに加えてCore i7 8700Kには内蔵グラフィクスが搭載されています。当然Ryzenには内蔵グラフィクスは搭載されていませんので、グラフィックボードを必要としない事務作業用途ならCore i7 8700Kがおすすめです。

35位: Core i5 8600K

2017年発売のIntel第8世代CPUです。第7世代Kaby LakeのCore i7 7700Kを買うくらいなら、第8世代Coffee LakeのCore i5 8600Kを買うことをおすすめします。

7700Kで用いる2xxシリーズチップセットと、8600Kで用いる3xxシリーズチップセットの間で互換性がないことも第8世代をおすすめする理由です。3xxチップセットを買っておけば後から8700Kに乗り換えることも、8700にして無音PCを作ることも可能です。

性能面でも第8世代Core i5 8600Kは第7世代の7700Kを超えています。しかも価格面では7700Kよりも8600Kの方が圧倒的に安くなるでしょう。

8600Kはハイパースレッディング非対応なので6コア6スレッドです。またキャッシュサイズが少し小さくなり、動作周波数も8700Kより0.1GHz低くなります。絶対性能を求めるなら8700K、コスパを求めるなら8600Kといったところです。

36位: Core i5 10500

メーカー・モデル名Core i5-10500 (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.1GHz
最大動作周波数4.5GHz
全コア同時最大周波数4.2GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,150MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4416TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Core i5 10500はCore i5 10600の動作クロックを単純に引き下げただけのプロセッサです。それ以外のスペックは全く同じです。

このCore i5 10500の動作クロックは3.1GHz~4.5GHzです。Core i5 10600の動作クロック3.3GHz~4.8GHzから動作クロックが多少落ちています。

またこのCore i5 10500は、vProプラットフォーム対応のプロセッサの中では最低グレードとなります。これより下のCore i5 10400ではvProプラットフォーム非対応になります。

37位: Ryzen 7 3800XT

型番Ryzen 7 3800XT (Zen2 第3世代AMD)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.9GHz
最大動作周波数4.7GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2020年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年7月発売。このRyzen 7 3800XTは、2019年7月に発売されたRyzen 7 3800Xの焼き直し版です。 Ryzen 7 3800X(3.9GHz~4.5GHz)のブーストクロックを引き上げたことで、Ryzen 7 3800XTでは3.9GHz~4.7GHzの動作クロックを実現しています。動作クロックを見ると分かる通り、ベースクロックは全く変化していません。理由はベースクロックを引き上げてしまうと消費電力が増えてしまうためです。半導体製造プロセスの改善によって低消費電力化に成功していればベースクロックを引き上げることが可能ですが、Ryzen 7 3800XTでベースクロックが上がらなかったということは半導体製造プロセスは改善しておらず、物としてはRyzen 7 3800Xから何ら変化していないことになります。

キャッシュサイズや対応メモリのクロック等もRyzen 7 3800Xと全く同じで改善されていません。

今回のRyzen 7 3800XTでブーストクロックだけを引き上げたのは、最大動作クロックを4.7GHzまで引き上げても正常に動作するチップの良品率が向上したためです。この4.7GHzという数字はRyzen 9 3900XTと同じです。

Ryzenプロセッサは自己責任の手動オーバークロックで4.7GHzを超えるクロック周波数にすることができます。しかし公式にサポート(保証の範囲内の定格動作で)できる最大は4.7GHzです。つまり第3世代Ryzenプロセッサでは信頼性を維持しつつ動作クロックを引き上げるのは4.7GHzが限界だということです。

これは2018年発売の第9世代Intel Coreが最大5.0GHz、2020年発売の第10世代Intel Coreが最大5.3GHzまで定格動作の保証の範囲内で実現しているのと比較すると、Ryzen 7 3800XTやRyzen 9 3900XTの最大4.7GHzというのは非常に低いブーストクロックです。第3世代RyzenのZen2マイクロアーキテクチャと半導体製造プロセスでは、信頼性を維持したままこれより上のブーストクロックを実現できなかったことになります。

38位: Core i3 10320

メーカー・モデル名Core i3-10320 (第10世代Intel)
コア数4コア8スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.6GHz
全コア同時最大周波数4.4GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ256KB
L2キャッシュ1MB
L3キャッシュ8MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,150MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4416TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i3 10320はIntel第10世代Comet LakeプロセッサのCore i5 10400よりも一つ下位に相当するモデルです。Core i3 10320は4コア8スレッドであり、一つ上位グレードのCore i5 10400の6コア12スレッドから2コア減っています。その代わりCore i3 10320の動作クロックは3.8GHz~4.6GHzであり、Core i5 10400よりも動作クロックが高いです。

Core i5 10400と同様にvProプラットフォームには非対応なので、Core i3 10320もIntel Coreシリーズの中では下位に位置します。法人等のPC端末大量採用としては向かないプロセッサですが、個人の事務作業用途なら十分高性能なプロセッサです。

39位: Core i3 9350KF

2019年3月発売。Core i3 9350KFはCore i3 8350K(第8世代CoffeeLake)の後継モデルという位置づけですが、ターボ・ブースト・テクノロジー2.0に対応、内蔵グラフィクスが無効化になっている等の変更点があります。

8350Kから変化していない点は、基本動作周波数が4.0GHz、TDP91W、共有キャッシュ8MBです。このキャッシュは4コアで共有しています。8MBを分割してそれぞれのコアに割り当てているのではありません。各全てのコアから見ると8MBのキャッシュ容量があるように見えるようになっています。コアごとに分割したキャッシュでは、同じメモリアドレスのデータを各キャッシュそれぞれで「重複して」保持することが起こります。この場合キャッシュコヒーレンシ(coherency)管理を行わなければなりません。特にマルチコアではこのキャッシュコヒーレンシ管理のために、L1やL2キャッシュに乗っているデータをどのように他のコアのデータと一貫性を持たせるかのアルゴリズムが重要になります。特に複数のコアでバリア同期をとるために使っているデータの場合は重要です。その実現のために教科書的ないくつかの方法がありますが、Intelはそのアルゴリズムを公開しておらず、それをsmart cacheと名付けて秘匿しています。

ここまでは9350KFでも8350Kでも同様です。

9350KFになって変更されたのはターボ・ブースト・テクノロジー2.0に対応したことです。3.0には対応していません。8350Kではターボ・ブースト・テクノロジーに非対応だったので動作周波数が4.0GHzを超えて上がることはありませんでした(明示的に定格外のオーバークロックをしない場合)。しかし9350KFではターボ・ブースト・テクノロジー2.0に対応したため、オーバークロックをしなくても自動的に「定格内」で動作周波数が最大4.6GHzまで上昇します。この4.6GHzは全てのコアが同時に4.6GHzを意味するのではありません。「4つのコアの動作状況によって、少なくとも1コアが4.6GHzに達する場合が存在する」という意味です。ターボ・ブースト・テクノロジー3.0では全てのコアが同じ動作周波数で動作することを「保証(Guarantee)」していますが、ターボ・ブースト・テクノロジー2.0では4.6GHzの達成は「Best Effort」です。

そしてCore i3 9350KFではオンボードグラフィクス(iGPU:Integrated Graphics Processing Unit、内蔵グラフィクス)を無効化してあります。チップ上の半導体回路としては内蔵グラフィクスが搭載されているのですが、あえて無効化してあります。なぜ無効化されているのかといえば、この9350KFを使用するユーザは別途グラボを用意していることが想定されているからです。この9350KFはコア数こそ4コアで少ないですが1コアあたりの性能は極めて高いです。そのため1コアに大きな負担がかかるゲーム用途に適しています。そのような用途のユーザならグラフィックボードは別途自前で用意するだろうということで、この9350KFは内蔵グラフィクスが無効化されています。無効化することはメリットもあります。なぜなら内蔵グラフィクス部分の回路に電流が流れなくなるため、汎用コアに消費電力を割くことができるからです。TDP91Wの熱許容量をすべて汎用コアに割くことができるので、内蔵グラフィクスが有効化されているプロセッサより汎用コアの性能が向上します。

このCore i3 9350KFはTDP65W級のCore i7 9700やCore i5 9600、Core i5 9400F、Core i7 8700、Core i5 8600よりも1コアあたりの性能は高性能です。TDP91Wの高発熱量を4つのコアに割り振っているため、1コアあたりの性能に特化したプロセッサです。単にゲームをやるだけならおすすめできるのはCore i3 9350KFです。ただし、同時に動画配信用の動画エンコードも1台のPCでやるというのなら、コア数が多い9900KFや9700KFがおすすめです。

Core i3 9350KFの詳細レビューはこちらに掲載しています。

40位: Ryzen 9 3900XT

型番Ryzen 9 3900XT (Zen2 第3世代AMD)
コア数12コア24スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.7GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ768KB
L2キャッシュ6MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年7月発売。このRyzen 9 3900XTは、2019年7月に発売され未完成品だったRyzen 9 3900Xの焼き直し版です。動作クロックは3.8GHz~4.7GHz。単にブーストクロックがRyzen 9 3900X(3.8GHz~4.6GHz)から0.1GHz上昇したのみであり、それ以外のスペック(キャッシュサイズ,TDP,対応メモリクロック等)は全く変わっていません。ベースクロックを引き上げることができなかったのは、Ryzen 9 3900X発売から1年経過しても消費電力の削減が全く進歩していないことを意味しています。

2019年7月に発売された第3世代Ryzenは未完のまま見切り発車で発売されました。なぜなら2019年7月7日という日付で験を担ぎ発売するスケジュール(納期)ありきのリリースだったためです。Ryzen 9 3950Xは歩留りの問題で見切り発車すらできない状態であり、Ryzen 9 3900Xと同時発売できず9月発売に先送りされましたが、結局歩留りの問題が長引き2019年12月まで発売することができませんでした。さらに、2019年7月7日に同時発売されたGPUであるRadeon RX 5700XTがリファレンスモデルしか発売されず、オリジナルファンモデルが出回ったのが数カ月後だったことからも、CPU・GPU共に2019年7月が無理なスケジュールだったことの傍証になっています。

そのため今回のRyzen 9 3900XTが「本来のRyzen 9 3900X」です。本来はこのRyzen 9 3900XTと同じスペックのものを2019年に発売すべきでしたが、歩留りの困難の問題で2020年にずれ込んだことになります。

2019年7月から1年が経過して、ブーストクロックを0.1GHz引き上げても正常に動作する個体(チップ)の良品率が向上し、許容範囲のコスト(製造原価)に収まったことになります。しかし問題はベースクロックが全く向上していないことです。ベースクロックを引き上げるためには半導体製造プロセスを改善させて、低消費電力化を図らなければいけません。つまりベースクロックがRyzen 9 3900XとRyzen 9 3900XTで同じということは、低消費電力化が実施されておらず、それは半導体製造プロセスがほぼ全く改善されていないことを意味します。

AMD製のGPUで例えれば、今回のRyzen 9 3900XTの位置づけは、Radeon RX 580(Ryzen 9 3900X)の焼き直し版としてRadeon RX 590(Ryzen 9 3900XT)が発売されたのと同じ文脈であると捉えればわかりやすいでしょう。

41位: Core i5 10400

メーカー・モデル名Core i5-10400 (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.9GHz
最大動作周波数4.3GHz
全コア同時最大周波数4.0GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,100MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4224TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i5 10400は6コア12スレッドで動作クロックは2.9GHz~4.3GHz。Core i5 10500の3.1GHz~4.5GHzから引き下げられています。

このCore i5 10400と、一つ上位グレードのCore i5 10500との違いは動作クロックだけではありません。

Intel Coreプロセッサは、Core i9 10900K~Core i5 10500のグループと、Core i5 10400~Core i3 10100のグループといった、大きく2つのグループに分けることができます。

このCore i5 10400はその境界に位置しています。

細かい点での違いは、Core i5 10400の内蔵グラフィックス(Intel UHD Graphics)のブーストクロック1.10GHzですが、上位のCore i5 10500では1.15GHzあります。

また大きな違いとしてはまず一つに、Core i5 10400ではvProプラットフォーム非対応ですが、Core i5 10500では対応しています。vProプラットフォーム対応のCPUを搭載したコンピュータに対しては、遠隔から一括してWindowsUpdateをかけることができます。端末を多数所有する法人用途で好まれる機能です。

二つ目の大きな違いとしては、Core i5 10400ではTXT(トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー:Intel Trusted Execution Technology)に非対応ですが、Core i5 10500ではTXTに対応しています。TXTとは、TPMチップを使用してUEFI(BIOS),ブートローダーが改竄されていないことをチェックするセキュリティ機能です。

これら2つのセキュリティ機能が必要な場合は、Core i5 10500以上のプロセッサを選択するのがおすすめです。特に必要性を感じない場合はこのCore i5 10400でもいいでしょう。

Core i5 10400F

メーカー・モデル名Core i5-10400F (第10世代Intel)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数2.9GHz
最大動作周波数4.3GHz
全コア同時最大周波数4.0GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ1.5MB
L3キャッシュ12MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)無効
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU EU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年6月発売。Core i5 10400Fは、Core i5 10400の内蔵グラフィックスを無効化したものです。違いはそれだけになります。

Core i5 10400FはIntel Coreプロセッサの中では低グレードに位置するため、このCPUを選択するユーザはグラフィックボードを別途用意しないことも多いでしょう。そうなると内蔵グラフィックスが無効化されているCore i5 10400Fは不都合です。Core i5 10400をおすすめします。

42位: Ryzen 9 3900X

型番Ryzen 9 3900X (Zen2 第3世代AMD)
コア数12コア24スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.6GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ768KB
L2キャッシュ6MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2019年7月発売。第3世代Ryzenの12コア24スレッド版であり動作クロックは3.8GHz~4.6GHzを実現しています。

まずはベンチマーク結果から見ていきましょう。Ryzenプロセッサのカタログスペックの性能と、実際のソフトウェア・プログラムを実行した性能はかなり異なります。自動車で言えばカタログ燃費と実燃費が大幅に異なるのと同じです。現実的に意味のないベンチマークで取ったカタログ性能ではなく、現実で使われる実際的なソフトウェアを実行したときの実効性能のベンチマーク結果は以下の通りです。

このようにRyzen 9 3900Xは、Core i3 9350KFと互角の性能です。

本来このRyzen 9 3900Xは16コア32スレッドとなるはずでしたが、価格の安さを維持しながら16コアを実現する技術力がAMDに無かったためコア数を減らした12コアとして登場しました。

このRyzen 9 3900XはRyzen 5 3600X(6コア12スレッド、3.8GHz~4.4GHz)に搭載されているチップを2つ連結しただけの製品です。ベースクロックは3.8GHzで一致しています。

注意すべき点は、Ryzen 9 3900Xの1コアあたりの性能はどんなに高くてもRyzen 5 3600Xと同じだということです。Ryzen 5 3600Xより高いシングルスレッド性能は出ません。Ryzen 5 3600Xは8コアでTDP95Wの発熱許容量(消費電力上限)を独占できるため、1コアあたりの性能の高さだったらRyzen 7 3600Xのほうが有利です。

これがRyzen 9 3900Xになってしまうと、12コアでTDP105の発熱許容量の範囲内に収めなければならず、必然的に1コアあたりが使える消費電力量も減少します。つまりゲームのフレームレートを高くしたいのならRyzen 9 3900Xはむしろ不利であり、Ryzen 5 3600Xのほうが有利になるという「逆転現象」になってしまっています。

Ryzen 7 3800Xの8コアは内蔵グラフィクスを搭載した通常デスクトップ向けのCore i9 9900KやCore i7 9700と同じコア数であり、1コアあたりの性能ではRyzen 7 3800XをもってしてもIntel Coreにまだまだ勝てないので、8コアの第3世代Ryzenを買うなら第9世代Intel Coreのほうが高速な上に内蔵グラフィクスも搭載されています。価格はCore i7やCore i9より安いので、「性能が低くてもいいから安いものがいい」といった場合は第3世代Ryzenがいいでしょう。

Ryzen 9 3900Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

43位: Core i7 7700K

2017年に発売された第7世代Intel Coreプロセッサです。このCPUは第6世代Intel Core Skylake-S用のZ170やH170などのチップセットを積んだマザーボードでも使いまわしができます。

すでに6700Kを持っている人なら7700Kを買ってきて付け替えてマザーボードのBIOSアップデートをするだけで済んでしまいます。現時点で6700Kを持っておらず、これからCPUを買う人なら1コアあたりの性能が高い7700Kの方がいいでしょう。以下のように7700Kの方が+8%ほど性能が高いです。

サーバーではなくデスクトップ作業PCとして使うなら7700Kのように1コアあたりの性能の高さは重要です。

44位: Ryzen 7 3800X

型番Ryzen 7 3800X (Zen2 第3世代AMD)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.9GHz
最大動作周波数4.5GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

8コア16スレッドで動作クロック3.9GHz~4.5GHzの第3世代Ryzenプロセッサです。IOチップを除けば、8コアが乗ったダイを1枚だけ使ったワンチップ構成になっています。2チップで12コアを実現しているRyzen 9 3900Xと異なる点です。

Core i9 9900K(最大5.0GHz)やCore i7 9700K(最大4.9GHz)と同じ8コアですが、動作クロックがRyzen 7 3800Xでは低すぎるので微妙なプロセッサとなっており、4コアのIntel Coreプロセッサにもベンチマークで勝てない結果となってしまっています。

4コアのCore i3 9350KFと比較してみます。

Ryzen 7 3800Xの性能を、Core i3 9350KFが若干上回っています。つまり2019年発売のRyzen 7よりも、2018年発売のCore i7やCore i3のほうが高性能です。

第3世代Ryzenにとって不利になってしまったのは、動作クロックが思うほど伸びなかったことです。最低でも5.0GHzに届いて欲しいというのがRyzenユーザの要望だったらしいですが、実際は大きく下回る4.5GHz止まりとなりました。AMDの公式発表によれば12nmプロセスから7nmプロセスの移行によって半導体回路の性能向上(伝搬遅延の短縮化)は達成できず12nmと同じ性能に留まったようです。そのかわりトランジスタ数あたりの消費電力は下がったため今までの8コアのRyzenより低消費電力になっています。

2019年発売の第3世代Ryzenの中で最もゲーム用途に向いているのは6コアの第3世代Ryzenですが、8コア以上だとこのRyzen 7 3800Xが最もゲーム用途に向いています。ベースクロックが3.9GHzもあるからです。Ryzen 9 3900Xは汎用コアが2チップ構成になっておりキャッシュミス等でチップ間の通信が発生すると多大なオーバーヘッド(無駄な処理)が発生し処理が遅くなります。そのためキャッシュを有効活用したいならRyzen 7 3800Xのほうがおすすめです。

Ryzen 7 3800Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

45位: Ryzen 9 3950X

型番Ryzen 9 3950X (Zen2 第3世代AMD)
コア数16コア32スレッド
基本動作周波数3.5GHz
最大動作周波数4.7GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2019年12月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)105W
L1キャッシュ1MB
L2キャッシュ8MB
L3キャッシュ64MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2019年11月発売。16コア32スレッドかつ動作クロック3.5MHz~4.7GHzのプロセッサです。Zen2アーキテクチャを採用した製品の中では最高峰のフラッグシップモデルになっています。

2019年に発売された4コアのCore i3 9350KFと比較してみます。

このように、Ryzen 9 3950XはCore i3 9350KF相手でようやく互角の性能になります。

作業効率の悪い従業員が16人でタスクをこなすよりも、作業効率の良い従業員4人でタスクをこなしたほうが早く結果を出せるのと同じです。もともと分割できないタスクは16人もいても人余りになり暇な人がでてきます。これはCPUのコアでも同じで、分割できないタスク(アプリケーションソフトウェアのスレッド)は多くのコアがあってもコアが余って遊び状態になるだけです。また、タスクを16人分に分割しても、分割したそれぞれのタスクの整合性を取るために、相互の連携をとる必要がでてきます。これはCPUでも同じで、各コアで実行されてるスレッド間でバリア同期が必要になり、この同期作業によって余計に実行時間がかかってしまいます。コア数が2倍3倍4倍になっても性能が2倍3倍4倍になるわけではない典型的な事例の一つです。

このRyzen 3950Xは歩留まりがあまりにも悪く良品を確保できずに発売日が次々に延期されたCPUです。ただでさえRyzen 7 3700Xの歩留りが悪いにもかかわらず、それを2枚連結することでさらに歩留まりがひどく悪化してしまい良品の数を揃えることができず発売が後に後にずれました。

Ryzen 9 3950Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

46位: Core i3 10300

メーカー・モデル名Core i3-10300 (第10世代Intel)
コア数4コア8スレッド
基本動作周波数3.7GHz
最大動作周波数4.4GHz
全コア同時最大周波数4.2GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ256KB
L2キャッシュ1MB
L3キャッシュ8MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,150MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4416TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。Core i3 10300はCore i3 10320の動作クロックを引き下げたものです。Core i3 10300の動作クロックは3.7GHz~4.4GHzであり、Core i3 10320の3.8GHz~4.6GHzよりも低くなっています。

このCore i3 10300より下位のプロセッサとしてCore i3 10100が存在しますが、Core i3 10300とCore i3 10100ではキャッシュサイズが異なります。Core i3 10300のキャッシュサイズは8MBですが、Core i3 10100は6MBです。

一方で、上位モデルのCore i3 10320のキャッシュサイズは8MBであり、これはCore i3 10300と同じキャッシュサイズです。

つまり、Core i3 10300はCore i3 10100よりもCore i3 10320寄りのプロセッサです。キャッシュサイズの差は大きく、キャッシュサイズが大きいことによってキャッシュヒット率が上昇すると、パイプラインをスムーズに流す(ストールを減らす)ことに貢献してくれるため、クロックあたりの命令実行数(IPC)を上昇させることができます。予算に問題がなければCore i3 10100よりもこのCore i3 10300がおすすめです。

47位: Ryzen 7 3700X

型番Ryzen 7 3700X (Zen2 第3世代AMD)
コア数8コア16スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.4GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

第3世代Ryzenプロセッサのラインナップの中の1つです。8コア16スレッドの上位モデルであるRyzen 7 3800Xの動作クロックを引き下げたものです。Ryzen 7 3700Xのクロックは3.6GHz~4.4GHzであり、Ryzen 7 3800Xの3.9GHz~4.5GHzと比較すると減少しています。

特にベースクロックの落ち込みが激しく、Ryzen 7 3700Xを基準にするとRyzen 7 3800Xのベースクロックは+8%増。Ryzen 7 3800Xから見ると、Ryzen 7 3700Xのベースクロックは-7.6%です。ブースト時の最大動作クロックは0.1GHz差ありますが大したことありません。そもそもこの4.4GHzという最大クロックは8コアのうちほんの一部のコアが一時的に達成するだけなので、クロックの高さはベースクロックが重要です。

動作クロックが低い分だけ消費電力(単位時間あたりの発熱量)が減少しており公称TDP65Wです。

このRyzen 7 3700Xは高いクロックを実現できなかった「劣ったダイ」を用いた製品です。ウェーハから切り取ったダイはクロックを上昇させても動作するダイと、クロックを上昇させるとソフトエラーで動作しなくなる瑕疵ある「劣ったダイ」が存在します。瑕疵のあるダイを捨ててしまうと、そのダイの製造原価を他のダイの製造原価に転嫁しなければならないので歩留まりが極端に悪化し最終的な売価も上昇します。

そのため動作クロック上がらないダイもこのようにRyzen 7 3700Xとして製品化して売られています。価格を気にしないのなら全てにおいてRyzen 7 3800Xのほうが優れているのでそちらがおすすめです。

そしてスレッドレベル並列性がある特殊な用途向けのRyzen 9 3950Xはこの3700Xの劣ったダイを2枚搭載して価格の高騰を抑えています。3800Xの8コア用ダイを使ってしまうとあまりにも価格が高くなりすぎてしまうというAMDユーザ向けのマーケティング上の都合です。実際にベースクロックはRyzen 7 3700Xよりも低くなっています。

Ryzen 7 3700Xと互角の性能になるIntel Coreプロセッサと比較してみます。

このように2019年発売のRyzen 7 3700Xと互角なのは同じ2019年発売のCore i5 9400です。

Ryzen 7 3700Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

48位: Ryzen 5 3600XT

型番Ryzen 5 3600XT (Zen2 第3世代AMD)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.5GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)95W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年7月発売。このRyzen 5 3600XTは、2019年7月7日に発売されたRyzen 5 3600Xの焼き直し版です。Ryzen 5 3600Xの動作クロック3.8GHz~4.4GHzのブーストクロックのみを0.1GHz引き上げて動作クロック3.8GHz~4.5GHzにしたものがRyzen 5 3600XTです。マイクロアーキテクチャは2019年リリースのZen2のままであるため、キャッシュ構成は当然ながらキャッシュサイズもRyzen 5 3600Xと同じです。ベースクロックが3.8GHzのままであり、ブーストクロックがたった0.1GHz上昇したことからしても、2019年7月から1年経過したにも関わらず低消費電力化が図られていないことがわかります。低消費電力化に成功すればベースクロックを引き上げることができるためです。

本来、前世代から1年経過すれば「マイクロアーキテクチャの刷新」もしくは「半導体微細化・最適化」、またはその両方を実施するのが通例です。しかしこのRyzen 5 3600XTでは、2019年7月のRyzen 5 3600Xの発売から1年の時間経過の間で単に歩留りが若干向上したのみで、公称ブーストクロック(信頼性を維持できる保証の範囲内で提供できる最大クロック)を0.1GHz引き上げても製造原価(コスト)が上昇しない程度の改善しか達成できませんでした。

49位: Core i3 10100

メーカー・モデル名Core i3-10100 (第10世代Intel)
コア数4コア8スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.3GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2020年5月
セキュアブート対応
vProテクノロジ非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック非対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ256KB
L2キャッシュ1MB
L3キャッシュ6MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-2666
メモリチャネル2
メモリ帯域幅41.6GB毎秒
コードネームComet Lake-S
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 630
iGPU最大画面数3
iGPU最大ビデオメモリ64GB
iGPU基本周波数350MHz
iGPU最大周波数1,100MHz
iGPU EU数24
iGPU単精度コア数192
iGPU単精度性能0.4224TFLOPS
ソケットLGA 1200
アーキテクチャComet Lake
プロセスルールIntel14nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このCore i3 10100は、第10世代Intel Core Comet Lake-Sプロセッサの中で最も下のグレードに位置するものです。2020年に発売されたデスクトップ向けIntel Coreプロセッサの中で最も廉価なモデルということになります。

スペックは4コア8スレッドで3.6GHz~4.3GHz。これより1つ上位のCore i3 10300も4コアですが、Core i3 10300は動作クロックが3.7GHz~4.4GHzあるので、Core i3 10100のほうが動作クロックが0.1GHz低いです。

動作クロック以外にはキャッシュサイズの差があります。Core i3 10300の共有キャッシュサイズは8MBですが、Core i3 10100の共有キャッシュサイズは6MB。Core i3 10300のキャッシュの一部を無効化し、歩留まり(半導体製造上の良品率)を改善することで価格を安くしているのがCore i3 10100です。

Intel Coreの中で最もグレードが下位のCore i3 10100であっても、Core i9と同じようにSIMD演算命令であるAVX2命令を利用可能であるため普通に高性能です。

50位: Core i3 8350K

2017年発売のIntel 第8世代Coffee Lakeプロセッサです。第8世代のCore i3シリーズの中では最高峰になりますが、Core i3にもかかわらず性能がRyzen 5 1600を上回り、Ryzen 7 1700と拮抗しているのは特筆すべきことです。またRyzen 7 1700はオンボードグラフィックスが載っていないため、汎用コアとグラフィックコアを総合してCore i3 8350Kの勝利です。

51位: Ryzen 5 3600X

型番Ryzen 5 3600X (Zen2 第3世代AMD)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.4GHz
全コア同時最大周波数4.1GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)95W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

Ryzen 5 3600X(6コア12スレッド、3.8GHz~4.4GHz、TDP95W)は、Ryzen 7 3700X(8コア16スレッド、3.6GHz~4.4GHz、TDP65W)よりも潜在的には高性能です。

Ryzen 7 3700Xは、Ryzen 7 3800Xほどの動作クロックが出なかったチップをそのまま捨ててしまうのはもったいないので、動作クロックを引き下げて動作するようにした上で販売されたものだからです。

Ryzen 5 3600Xは非常に重要なプロセッサで、これはRyzen 9 3900Xにも使われているのと同じダイを搭載しています。このRyzen 5 3600Xの6コアダイを2つ連結して12コアにしているのがRyzen 9 3900Xだからです。

つまり、ゲーム等のスレッドレベル並列性を必要としない用途ならこのRyzen 5 3600Xを買ったほうがお得な上に、1つのコアあたりに割り当てることができる電力も大きいので有利です。

逆にRyzen 9 3900Xになってしまうと、TDP105Wしかないため12コア1つあたりに割り当てることのできる電力量が少なくなります。そうなると1コアあたりの性能が高く出ません。

もともとRyzen 5 3600Xのチップを2つ使って実現されているのがRyzen 9 3900Xなので、下地の出来自体としてはRyzen 5 3600Xと同じです。12コアを使い切れるスレッドレベル並列性が高い特殊な用途ならRyzen 9 3900XやRyzen Threadripperのほうがいいですが、そこまで並列性が高くないゲームのような用途だったらRyzen 5 3600Xのほうがむしろ有利になります。

第9世代Intel Coreを持ち出すまでもなく、さらに1世代前のCore i5 8500の性能もRyzen 5 3600Xが下回ります。

Core i5 8500が+3%、Ryzen 5 3600Xを上回る性能です。Core i5 8500は内蔵グラフィックスを搭載しているのでグラフィック回路にチップのリソースを割かれながらもRyzen 5 3600Xに勝利しています。

Ryzen 5 3600Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

52位: Core i7 6700K

2015年発売。第6世代Skylakeマイクロアーキテクチャ採用プロセッサです。先代の第5世代BroadwellマイクロアーキテクチャはHaswellマイクロアーキテクチャの焼き直し品でした。

しかし2015年の第6世代からはマイクロアーキテクチャが抜本的に変更されSkylakeマイクロアーキテクチャになっています。そしてこのSkylakeマイクロアーキテクチャは、第7世代のKaby Lake、第8世代のCoffee Lake、第9世代のCoffee Lake Refreshでも採用され続けます。

性能は7700Kの方が+8%ほど高いです。

Broadwellマイクロアーキテクチャ以前のCore i7はオーバークロックしない限り、末尾にKがついている製品と、Kがついていない無印の製品の性能差はありませんでした。つまり末尾がKのアンロックCPUを買っておきながら、オーバークロックしないのは単なる宝の持ち腐れだったのです。

しかし第6世代のSkylake Core i7ではオーバークロックしなくても、末尾文字(suffix)のCPUのほうが高性能になっています。

オーバークロックしなくても定格動作クロック周波数が4.0GHzもあり、さらに条件が揃えば自動的に定格動作の範囲内で4.2GHzに動作クロック周波数を上げてくれます。

さらに性能のわりには消費電力が少ないのでCPUクーラーのファン回転数をかなり抑えることができます。よってほぼ無音の環境ができます。

当然ながら内蔵グラフィクス搭載です。グラフィックボードを用意しなくてもトリプルディスプレイ可能です。

53位: Ryzen 5 3500X

型番Ryzen 5 3500X (Zen2 第3世代AMD)
コア数6コア6スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.1GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2019年11月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング無効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2019年12月発売。日本国内で単品では正規販売されていないプロセッサ。パソコンを組み立てる法人メーカーへ納入(OEM提供)し、市場に提供することを主目的としてリリースされたものです。Ryzen 5 3600との違いとしては、Ryzen 5 3500Xでは同時マルチスレッディングが無効化されており6コア6スレッド、単コア最大クロックが4.1GHzでありRyzen 5 3600よりも0.1GHz低いというものです。キャッシュサイズについてはL1,L2L3全てにおいてRyzen 5 3600と同じです。

Ryzen 5 3500Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

54位: Ryzen 5 3600

型番Ryzen 5 3600 (Zen2 第3世代AMD)
コア数6コア12スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.2GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2019年7月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ32MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2019年7月発売。6コア12スレッドで動作クロックは3.6GHz~4.2GHz。上位モデルのRyzen 5 3600X(3.8GHz~4.4GHz)からクロックを引き下げたモデルです。

チップのモノ自体はRyzen 5 3600Xと全く同じです。しかし、製造する過程で動作クロックの上がらなかった瑕疵のあるチップをそのまま捨てるのはもったいないので、チップが動作するレベルまでクロックを引き下げて売られているのがRyzen 5 3600です。これはRyzen 7 3800XとRyzen 7 3700Xとの関係と全く同じです。

ベースクロックは3.6GHzであり、Ryzen 5 3600Xから0.2GHz引き下げられていますが、比率にするとそこまで大きくありません。Ryzen 5 3600からみてもRyzen 5 3600Xは+5.5%なので、Ryzen 7 3700X→Ryzen 7 3800Xの+8%と比べるとベースクロックの性能差は小さくなっています。

公称TDPは65Wですがクロック4.2GHzの水準までブーストが働くともっと消費電力(単位時間あたりの発熱量)は増えます。またこのブーストクロックは全コア同時ではなく6コアのうち一部のみが一時的に4.2GHzになるだけです。常時全コア4.2GHzにするには定格動作では無理なので手動でオーバークロックしなければなりません。

この2019年7月発売のRyzen 5 3600は、2017年10月発売のCore i5 8400と互角の性能です。

2年も前に発売されたCore i5と互角という事実だけでなく、Ryzen 5 3600は型番600のグレードなのに対し、Core i5 8400は型番400のグレードです。つまりRyzen 5 3600は2年前のさらに下位グレードのIntel Coreに負けてしまったことになります。

Ryzen 5 3600の詳細レビューはこちらに掲載しています。

55位: Core i7 4790K

2014年発売。一時期は一世を風靡したプロセッサでしたが2017年頃から人気が落ちてきました。どんなに消費電力が高くてもいいからとにかく性能を最優先したということで一時は大人気だったCPUです。2017年に第7世代のKaby Lakeマイクロアーキテクチャ採用プロセッサがでてきたことによって、このCore i7 4790Kという第4世代のHaswellマイクロアーキテクチャ採用プロセッサはCore i5 7600にすら負ける結果になりました。この4790Kを買うなら、新しいCore i5(しかも定格外オーバークロック非対応で倍率ロックされている無印タイプで十分)を買ったほうが高速だということです。

このCPUの汎用コアの性能は6700Kと同等です。

そのため2015年にSkylakeマイクロアーキテクチャ採用のプロセッサが登場しても、4790Kから乗り換える人はほぼいませんでした。しかし第7世代Kaby Lakeマイクロアーキテクチャになってから消費電力を無視してもさすがに勝てなくなってきたので、少しずつ4790Kから脱却しているユーザが増えているようです。

この4790KのHaswellマイクロアーキテクチャ世代と、Skylakeマイクロアーキテクチャ世代での違いはマイクロアーキテクチャレベルでの改良も当然実施されているのですが、半導体プロセスの改善も実施されました。そのため消費電力の観点からは圧倒的に4790Kが不利です。

マイクロアーキテクチャ改良の観点だと、Skylake以降は内蔵グラフィクスの高速化が重視され内蔵グラフィクスのチップ面積比率が増加しています。

CPUのチップ面積は限られているので、その面積を何に使うのかというリソースの割り振りが重要になります。汎用コア部分は4790Kと6700Kの性能が同等になるようになっていますが、内蔵グラフィクス性能は6700Kの方が格段に高くなっています。そのため2015年にSkylakeの乗り換える4790Kユーザが多かったわけですが2017年には汎用コア性能でも負けてしまったことになります。

さらに重要なことは、この4790KのHaswellマイクロアーキテクチャで対応するメモリの規格はDDR3であり、DDR4よりも遅いものになっています。ただしPCI Expressのリビジョンは3でありSkylake世代と同等です。

プロセッサの演算性能だけを測るベンチマークのように扱うデータサイズが大きくないものでは4790Kが速くても、実際の用途では思うほど速くないのは、パソコンの実際的応用(実アプリケーションの振舞い)でボトルネックになるメモリアクセスがHaswell世代では遅いためです。第6世代Skylake以上で対応しているDDR4との差が現れています。

しかも4790Kの生産が終わり流通量が減っていく中で2014年当初より高いプレミアムが付いていしまっている現状では、適正な価格で他に良いCPUがいくらでも出ているので積極的に購入するモデルではありません。

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56位: Core i5 7600K

実はCore i5 7600KはRyzenシリーズの最上位Ryzen 7 1800Xに勝っています。しかも6700Kにも勝っています。さらには内蔵グラフィクスがCore i5には搭載されておりRyzenには搭載されていません。

Ryzenを買うならcore i5の方がおすすめです。

57位: Ryzen 5 3500

型番Ryzen 5 3500 (Zen2 第3世代AMD)
コア数6コア6スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数4.1GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2020年2月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング無効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ384KB
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年2月発売。6コア6スレッドで動作クロックは3.6GHz~4.1GHzであり、Ryzen 5 3500Xと動作クロックは同じです。同時マルチスレッディングが無効化されてる点も同様です。

違いはキャッシュサイズであり、Ryzen 5 3500XのL3キャッシュサイズ32MBに対し、このRyzen 5 3500はL3キャッシュが16MBしかありません。L1,L2キャッシュサイズについてはRyzen 5 3500Xと同じです。

58位: Ryzen 3 3300X

型番Ryzen 3 3300X (Zen2 第3世代AMD)
コア数4コア8スレッド
基本動作周波数3.8GHz
最大動作周波数4.3GHz
全コア同時最大周波数4.3GHz
発売日2020年4月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ256KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。4コア8スレッドで、動作クロックは3.8GHz~4.3GHz。

8コア16スレッドの第2世代Ryzen 7 2700Xに迫る性能を、第3世代では4コア8スレッドのRyzen 3で実現してしまっています。これはひとえにマイクロアーキテクチャの改良による効果です。

しかし比較対象であるCore i3 8350KFと比較するとRyzen 3 3300Xは大きく見劣りのする性能です。

59位: Ryzen 7 2700X

2018年4月19日発売の第2世代Ryzenプロセッサ。第1世代Ryzen 7 1700Xと同じ8コア16スレッドですが、動作周波数が3.7GHz~4.3GHzであり上昇しています。TDPは105Wなのですべてのコアが同時に4.3GHzになるわけではありません。TDP105Wの範囲内で一部のコアの動作周波数を4.3GHzまで上げることになります。キャッシュサイズは16MBです。

発売がRyzen 7 2700Xより1年古い2017年発売のIntel Coreと比較する場合は、8700Kを持ち出すまでもなくCore i5 8600Kでも十分です。Core i5 8600Kには内蔵グラフィクスが搭載されている一方で、Ryzen 7 2700Xには内蔵グラフィクス非搭載であるためIntel側にハンデがありフェアな比較ではないのですが、Ryzen側が有利になる条件下であえて比較してみます。

このようにCore i5 8600KがRyzen 7 2700Xに+2%勝利しています。第一世代Ryzenのときもそうでしたが、本来Ryzen 1800Xと比較すべきは内蔵グラフィクス非搭載のCore i7 7800Xなのですが、Core i7 7700Kでも十分勝ててしまっていました。

今回の第2世代Ryzenも同じであり、Ryzen 7 2700Xと比較すべきはCore i7 8700Kであるにもかかわらず、それよりもワンランク下であるCore i5 8600KでもRyzen 7 2700Xに勝ててしまったことになります。

このような結果になったのは6コアのCore i5 8600Kのほうが8コアのRyzen 7 2700Xよりも1コアあたりの性能が高いからです。並列性が高いアプリケーションは限られているので、多くの用途では1コアあたりの性能が高いIntel Coreプロセッサのほうが有利です。

60位: Ryzen 3 3100

型番Ryzen 3 3100 (Zen2 第3世代AMD)
コア数4コア8スレッド
基本動作周波数3.6GHz
最大動作周波数3.9GHz
全コア同時最大周波数3.9GHz
発売日2020年4月
セキュアブート非対応
AMD Pro(AMD版vPro)非対応
同時マルチスレッディング有効
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)65W
L1キャッシュ256KB
L2キャッシュ2MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅47.68GB毎秒
コードネームMatisse
コンピュータの形態デスクトップ
グラフィクス(iGPU)非搭載
iGPU最大画面数0
iGPU最大ビデオメモリ0GB
iGPU基本周波数0Hz
iGPU最大周波数0Hz
iGPU CU数0基
iGPU単精度コア数0個
iGPU単精度性能0 FLOPS
ソケットSocket AM4
アーキテクチャZen 2
プロセスルールTSMC7nm
SIMD拡張命令Intel AVX2, SSE
SIMD演算器256bit FMA×2
SIMD倍精度演算性能16 FLOPs/cycle
AI(深層学習)拡張命令非搭載

2020年5月発売。このRyzen 3 3100は4コア8スレッドで動作クロックは3.6GHz~3.9GHz。2019年7月から発売された第3世代Ryzenプロセッサの一連のモデルのうち最も下のグレードに位置するCPUです。

61位: Ryzen 7 1800X

2017年3月発売。第1世代Ryzen(Summit Ridge)の最高峰として発売されたフラッグシップモデルです。

Core i5 8600Kと比較してみます。8700Kと比較してハイパースレッディングが無効化されており動作クロック周波数も低くなっています。

Core i5であっても+9%もRyzen 7 1800Xを上回っています。パイプラインをスムーズに流すためのキャッシュ機構と命令レベル並列処理技術がCore i5 8600Kが上回っているためです。しかも内蔵グラフィクスを搭載しているというハンデがCore i5にありながらもこの結果です。

次は同じ2017年発売のCore i3 8350KとRyzen 7 1800Xを比較してみます。コア数は4コアしかなくRyzen 7 1800Xの半分です。

このようにCore i3 8350KとRyzen 7 1800Xが互角です。Ryzen 7 1800Xは同じ2017年に発売されたCore i3と互角の性能だということです。しかもCore i3は内蔵グラフィクスが搭載されています。ベースクロック周波数が4.0GHzもあるため1コアあたりの性能が高く、コア数が4コアしかなくても8コアのRyzen 7 1800Xと互角になってしまいました。

Ryzen 7 1800Xの詳細レビューはこちらに掲載しています。

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62位: Ryzen 5 1600 AF

2020年5月発売。このRyzen 5 1600 AFは”12nm Refresh”とも呼ばれています。第1世代Ryzenは14nmプロセスで製造されていたので、これを12nm製造プロセスで焼き直したものがRyzen 5 1600 AFだという意図でそう呼ばれています。

とはいってもこのRyzen 5 1600 AFは実質的に第2世代Ryzenプロセッサです。型番が1000シリーズになっているので第1世代Ryzenと勘違いされ易いですが、採用しているのはZen+マイクロアーキテクチャであり第2世代Ryzenで採用されたものです。つまりマイクロアーキテクチャの観点からもこれは第2世代Ryzenであり、半導体製造プロセスの観点からも12nmであるので第2世代Ryzenプロセッサです。

ではなぜ型番が1000シリーズになっているかというと、スペック上の位置づけが「Ryzen 5 2600より下」で「Ryzen 5 2500Xより上」だからです。

各種CPUベンチマーク評価結果のランキング

ここでは各種ベンチマークでCPU評価した結果をスコア順にソート(並び替え)してランク付けしています。各ベンチマークごとに特定のCPUがどの程度の位置づけにあるか確認することができます。

Userbenchmark

Userbenchmarkは各ユーザが各自のコンピュータ環境で実行したベンチマーク結果を集計し公開しているベンチマークの一つです。様々な環境において実行されたベンチマーク値の平均値を取っているためスコアがrobustであり、一部のユーザが特定のCPUのスコアを実力以上に高く見せかけようと結果操作することが難しくなっています。

Userbenchmark(Effective:実効)

Userbenchmarkの中でもEffective(実効)が最も重要なスコアです。CrossMarkやPCMarkのように「実際的なコンピュータ用途」に近いベンチマークになっています。実際現れないような単純処理を淡々と実行するベンチマークだらけの中で、実効ベンチマークは現実に即したものになっています。

CPUモデル名 Userbenchmark(実効)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 119
Intel Core i9 12900K 117
Intel Core i9 12900KF 117
Intel Core i9 12900F 114
Intel Core i7 12700K 114
Intel Core i9 12900 113
Intel Core i7 12700KF 113
Intel Core i7 12700 109
Intel Core i7 12700F 109
Intel Core i5 12600K 109
Intel Core i5 12600KF 109
Intel Core i5 12600 104
AMD Ryzen 7 5800X3D 103
Intel Core i5 12500 101
AMD Ryzen 9 5950X 100
AMD Ryzen 9 5900X 98.7
Intel Core i5 12400F 98.3
Intel Core i5 12400 98.2
AMD Ryzen 7 5800X 98.2
AMD Ryzen 9 5900 97.7
AMD Ryzen 7 5700X 97.3
AMD Ryzen 7 5800 96.5
AMD Ryzen 5 5600X 96
Intel Core i3 12300 95.6
Intel Core i3 12100 94.3
Intel Core i3 12100F 94.2
AMD Ryzen 5 5600 92.5
AMD Ryzen 7 5700G 91.2
AMD Ryzen 5 5600G 88.4
AMD Ryzen 5 5500 85.7
AMD Ryzen 3 5300G 76.8
Intel Pentium G7400 69.1
Intel Celeron G6900 57.4

Userbenchmark(Normal)

UserbenchmarkのNormalスコアは1~2コアに負荷をかけた場合のスコアです。事実上シングルスレッド性能のスコアに近いものです。

CPUモデル名 Userbenchmark(Normal)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 13900KS 259
Intel Core i9 12900KS 242
Intel Core i9 12900K 234
Intel Core i9 12900KF 234
Intel Core i9 12900F 231
Intel Core i9 12900 230
Intel Core i7 12700KF 228
Intel Core i7 12700K 227
Intel Core i5 12600K 223
Intel Core i5 12600KF 223
Intel Core i7 12700 221
Intel Core i7 12700F 218
Intel Core i5 12600 216
Intel Core i5 12500 209
Intel Core i7 12700T 208
Intel Core i3 12300 206
Intel Core i5 12600T 203
Intel Core i9 12900T 202
Intel Core i5 12400 199
Intel Core i5 12500T 198
Intel Core i3 12100 198
Intel Core i5 12400F 197
Intel Core i3 12100F 194
AMD Ryzen 7 5800X 189
AMD Ryzen 9 5900X 188
AMD Ryzen 9 5900 188
AMD Ryzen 9 5950X 187
AMD Ryzen 7 5800 187
AMD Ryzen 7 5800X3D 185
AMD Ryzen 5 5600X 185
AMD Ryzen 7 5700X 184
Intel Core i3 12300T 182
Intel Core i5 12400T 181
AMD Ryzen 5 5600 180
AMD Ryzen 7 5700G 178
AMD Ryzen 5 5600G 176
Intel Core i3 12100T 174
AMD Ryzen 5 5500 167
Intel Pentium G7400 164
Intel Celeron G6900 159
AMD Ryzen 3 5300G 157
Intel Pentium G7400T 139
Intel Celeron G6900T 128

Userbenchmark(Heavy)

UserbenchmarkのHeavyスコアは4~8コアに負荷をかけた場合のスコアです。Heavyとは言ってもゲーム時の負荷として通常レベルの負荷です。

CPUモデル名 Userbenchmark(Heavy)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 13900KS 1,324
Intel Core i9 12900KS 1,222
Intel Core i9 12900KF 1,176
Intel Core i9 12900K 1,170
Intel Core i9 12900F 1,151
Intel Core i9 12900 1,145
Intel Core i7 12700K 1,124
Intel Core i7 12700KF 1,123
Intel Core i7 12700 1,078
Intel Core i7 12700F 1,046
Intel Core i5 12600K 999
Intel Core i5 12600KF 998
AMD Ryzen 9 5950X 905
Intel Core i9 12900T 893
Intel Core i7 12700T 888
AMD Ryzen 9 5900X 879
Intel Core i5 12600 874
AMD Ryzen 9 5900 833
Intel Core i5 12500 825
AMD Ryzen 7 5800X 825
AMD Ryzen 7 5800 810
AMD Ryzen 7 5800X3D 801
Intel Core i5 12400 797
Intel Core i5 12400F 797
AMD Ryzen 7 5700X 791
AMD Ryzen 7 5700G 770
Intel Core i5 12600T 748
Intel Core i5 12500T 739
AMD Ryzen 5 5600X 738
Intel Core i3 12300 722
Intel Core i3 12100 708
AMD Ryzen 5 5600 706
AMD Ryzen 5 5600G 698
Intel Core i3 12100F 690
Intel Core i5 12400T 679
AMD Ryzen 5 5500 661
Intel Core i3 12300T 634
Intel Core i3 12100T 583
AMD Ryzen 3 5300G 554
Intel Pentium G7400 374
Intel Pentium G7400T 298
Intel Celeron G6900 270
Intel Celeron G6900T 229

Userbenchmark(Server)

Userbenchmark(Server)は64スレッドを生成し実行するベンチマークテストです。Userbenchmarkが提供するマルチスレッドベンチマークの中では最もスレッド数が多いものです。

CPUモデル名 Userbenchmark(Server)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 13900KS 4,207
AMD Ryzen 9 7950X3D 3,741
AMD Ryzen 9 7950X 3,741
Intel Core i9 12900KS 2,926
Intel Core i9 12900KF 2,856
Intel Core i9 12900K 2,833
Intel Core i9 12900F 2,772
AMD Ryzen 9 7900X3D 2,757
AMD Ryzen 9 7900X 2,757
AMD Ryzen 9 7900 2,757
Intel Core i9 12900 2,707
AMD Ryzen 9 5950X 2,707
Intel Core i7 12700K 2,328
Intel Core i7 12700KF 2,305
Intel Core i7 12700 2,179
Intel Core i7 12700F 2,134
AMD Ryzen 9 5900X 2,086
Intel Core i9 12900T 2,022
AMD Ryzen 7 7800X3D 1,864
AMD Ryzen 7 7700X 1,864
AMD Ryzen 7 7700 1,864
Intel Core i5 12600K 1,789
AMD Ryzen 9 5900 1,779
Intel Core i5 12600KF 1,775
Intel Core i7 12700T 1,700
AMD Ryzen 7 5800X 1,495
AMD Ryzen 5 7600X 1,429
AMD Ryzen 5 7600 1,429
AMD Ryzen 7 5800 1,417
AMD Ryzen 7 5800X3D 1,394
AMD Ryzen 7 5700G 1,391
AMD Ryzen 7 5700X 1,356
Intel Core i5 12600 1,301
Intel Core i5 12500 1,217
Intel Core i5 12400F 1,196
Intel Core i5 12400 1,194
Intel Core i5 12600T 1,103
AMD Ryzen 5 5600X 1,092
Intel Core i5 12500T 1,059
AMD Ryzen 5 5600 1,054
AMD Ryzen 5 5600G 1,043
AMD Ryzen 5 5500 1,003
Intel Core i5 12400T 999
Intel Core i3 12300 860
Intel Core i3 12100 837
Intel Core i3 12100F 817
Intel Core i3 12300T 749
Intel Core i3 12100T 694
AMD Ryzen 3 5300G 669
Intel Pentium G7400 376
Intel Pentium G7400T 304
Intel Celeron G6900 271
Intel Celeron G6900T 229

CrossMark

CrossMarkは現実のアプリケーションに極めて近いベンチマークです。Intelはヘネパタ本を引用しつつこのCrossMarkが最も「ヘネパタが言うところの実際的なベンチマーク」に最も近いと提示しています。

CPUモデル名 CrossMarkのベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900K 2,737
Intel Core i5 12600K 2,581
Intel Core i9 12900KS 2,552
Intel Core i9 12900KF 2,464
Intel Core i7 12700KF 2,389
AMD Ryzen 9 7950X3D 2,373
AMD Ryzen 9 7950X 2,373
AMD Ryzen 9 7900X3D 2,348
AMD Ryzen 9 7900X 2,348
AMD Ryzen 9 7900 2,348
Intel Core i7 12700K 2,331
Intel Core i7 12700 2,286
Intel Core i9 12900 2,257
Intel Core i5 12600KF 2,248
Intel Core i9 12900F 2,240
AMD Ryzen 7 7800X3D 2,224
AMD Ryzen 7 7700X 2,224
AMD Ryzen 7 7700 2,224
Intel Core i5 12400F 2,156
AMD Ryzen 9 5950X 2,082
AMD Ryzen 9 5900X 2,017
Intel Core i7 12700F 2,014
Intel Core i5 12400 1,916
AMD Ryzen 7 5800X 1,801
Intel Core i5 12500 1,773
AMD Ryzen 5 7600X 1,710
AMD Ryzen 5 7600 1,710
AMD Ryzen 5 5600X 1,710
AMD Ryzen 7 5700X 1,697
AMD Ryzen 7 5800X3D 1,684
AMD Ryzen 7 5700G 1,671
Intel Core i5 12600 1,627
AMD Ryzen 7 5800 1,626
Intel Core i5 12500T 1,552
AMD Ryzen 5 5600G 1,508
AMD Ryzen 9 5900 1,498
Intel Core i3 12100 1,491
AMD Ryzen 5 5600 1,466
Intel Core i3 12100F 1,403
Intel Pentium G7400 1,140
Intel Celeron G6900 918
Intel Celeron G6900T 824

Mozilla Kraken

Mozilla KrakenはMozilla Foundationで開発されたベンチマークです。ブラウザでのウェブサイト閲覧パフォーマンスを計測します。MozillaはFirefoxを開発していることでも有名ですが、Mozilla Krakenは「Firefoxをパソコン上で実行した場合のベンチマーク」として事実上使われています。

CPUモデル名 Mozilla Kraken(1/second)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 2,151
Intel Core i9 12900K 2,092
AMD Ryzen 9 5950X 1,721

R Benchmark

Rは統計分析の言語であると同時に統計分析ライブラリです。有償の数値解析・統計分析アプリケーションとしてはMatLabが有名ですがRは無償です。そのため開発前のフィージビリティスタディの段階でRが使われたり、金融機関では本番開発でもRライブラリが採用されることもあります。統計分析用の簡易なプログラミング言語としてはPythonが主流になったため、現在ではRは言語ではなく統計ライブラリとして使われることの方が多くなっています。特に仕組債をはじめとしたデリバティブ評価数理モデルや金融時系列分析向けのライブラリ開発の補助目的として有用です。Visual Studio向けにR.NETが提供されているためC#から簡単に呼び出し可能でかなり実際的なベンチマークの一つです。

CPUモデル名 R Benchmark(1/second)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900K 2,534
AMD Ryzen 9 5950X 2,129

PCMark10

PCMark10はCrossMarkと似た傾向のベンチマークで、世の中で一般的に使われるアプリケーションの処理に近いベンチマークです。特にパソコンを使う上で必ず発生するような必須の計算処理を集めたPCMark10 Essensialのスコアが重要です。以下の結果を見てわかる通り、Ryzenに関してはコア数が多いと逆にスコアが下がるCPUが存在します。これはコア数を実力以上に無駄に増やしすぎたために、実際的な用途では逆に低性能となってしまった例です。

CPUモデル名 PCMark 10のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 11,350
Intel Core i9 12900K 11,116
Intel Core i9 12900 11,096
Intel Core i3 12300 11,057
Intel Core i9 12900KF 11,017
Intel Core i7 12700KF 11,015
Intel Core i7 12700K 10,967
Intel Core i9 12900F 10,858
Intel Core i5 12600KF 10,736
Intel Core i7 12700F 10,718
Intel Core i7 12700 10,666
Intel Core i5 12600K 10,623
Intel Core i9 12900T 10,548
Intel Core i5 12600 10,470
Intel Core i3 12300T 10,442
Intel Core i5 12500 10,372
Intel Core i7 12700T 10,299
AMD Ryzen 7 5800X 10,292
Intel Core i3 12100 10,236
AMD Ryzen 7 5700G 10,173
Intel Core i5 12400F 10,162
AMD Ryzen 5 5600X 10,150
Intel Core i5 12400 10,145
AMD Ryzen 5 5600G 10,075
AMD Ryzen 9 5900X 10,040
AMD Ryzen 7 5700X 10,028
AMD Ryzen 9 5950X 10,003
Intel Core i3 12100F 9,985
AMD Ryzen 7 5800X3D 9,972
AMD Ryzen 5 5600 9,954
AMD Ryzen 3 5300G 9,936
AMD Ryzen 7 5800 9,805
AMD Ryzen 5 5500 9,580
AMD Ryzen 9 5900 9,466
Intel Core i3 12100T 9,354
Intel Core i5 12400T 9,217
Intel Pentium G7400 8,995
Intel Pentium G7400T 8,193
Intel Celeron G6900 7,754

Cinebench R23

Cinebenchはシングルスレッドとマルチスレッドで評価するベンチマークの一つです。本来GPU(グラフィックボード)で実行するようなレンダリング処理をCPUで実行するもので、現実のアプリケーションでは登場することのない処理を実行するため実際的な用途からかけ離れており役に立たないベンチマークの一つでもあります。Cinebenchは多数のスレッドを生成するベンチマークの先駆的存在でした。2017年に登場したAMD Ryzenは多コア主義を採用していたため、Cinebenchを使えばRyzenの性能を高く見せることができました。そのためCinebenchはAMDユーザから重宝されてきました。しかしIntel Coreが第12世代Intel Coreから多コア化したためCinebenchでIntel Coreに逆転されることが相次いだため、CinebenchはAMDユーザの支持離れが起きています。シングルスレッドスコアもマルチスレッドスコアもIntelの方がAMD Ryzenより高く出る傾向にあります。

Cinebench R23(Single)

Cinebenchにもシングルスレッドのスコアが存在しますが、基本的にこちらのスコアはAMDユーザから見ればおまけ的存在です。なぜならIntel Coreが圧勝してしまうためです。

CPUモデル名 Cinebench R23(Single)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 2,142
AMD Ryzen 9 7950X3D 2,073
AMD Ryzen 9 7950X 2,073
Intel Core i9 12900K 2,023
AMD Ryzen 9 7900X3D 2,018
AMD Ryzen 9 7900X 2,018
AMD Ryzen 9 7900 2,018
Intel Core i9 12900KF 2,010
Intel Core i9 12900 2,004
AMD Ryzen 7 7800X3D 1,983
AMD Ryzen 7 7700X 1,983
AMD Ryzen 7 7700 1,983
AMD Ryzen 5 7600X 1,955
AMD Ryzen 5 7600 1,955
Intel Core i7 12700K 1,955
Intel Core i7 12700KF 1,943
Intel Core i5 12600KF 1,936
Intel Core i5 12600K 1,927
AMD Ryzen 9 5950X 1,618
AMD Ryzen 7 5800X 1,593
AMD Ryzen 9 5900X 1,587
AMD Ryzen 5 5600X 1,558

Cinebench R23(Multi)

Cinebenchと言ったらこちらのMultiスコアが注目されます。多数のスレッドを生成するため、第1世代Ryzenから続いた多コア主義のプロセッサにとっては高いスコアが出るためです。しかし第12世代Intel Coreを境にAMD RyzenがこのCinebench R23(Multi)で敗北することが相次いだため、以前のように過剰に持て囃される機会が減ったベンチマークです。

CPUモデル名 Cinebench R23(Multi)のベンチマーク性能評価スコア値
AMD Ryzen 9 7950X3D 37,864
AMD Ryzen 9 7950X 37,864
AMD Ryzen 9 7900X3D 29,052
AMD Ryzen 9 7900X 29,052
AMD Ryzen 9 7900 29,052
Intel Core i9 12900KS 28,686
Intel Core i9 12900KF 27,580
Intel Core i9 12900K 27,500
AMD Ryzen 9 5950X 26,976
Intel Core i9 12900 26,646
Intel Core i7 12700K 23,026
Intel Core i7 12700KF 22,816
AMD Ryzen 9 5900X 19,910
AMD Ryzen 7 7800X3D 19,797
AMD Ryzen 7 7700X 19,797
AMD Ryzen 7 7700 19,797
Intel Core i5 12600K 17,793
Intel Core i5 12600KF 17,716
AMD Ryzen 7 5800X 15,267
AMD Ryzen 5 7600X 14,814
AMD Ryzen 5 7600 14,814
AMD Ryzen 5 5600X 11,610

Geekbench5

GeekbenchはSingleThreadとMultiThreadで評価する著名ベンチマークの一つです。PassMarkと双璧を成すベンチマークと言っていいでしょう。

Geekbench5(Single)

Geekbench5の中でも単一のスレッドのみを生成するベンチマークです。圧倒的にIntel Coreが強いことがわかります。

CPUモデル名 Geekbench 5(Single)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 2,080
Intel Core i9 12900K 1,990
Intel Core i9 12900 1,968
Intel Core i9 12900KF 1,948
Intel Core i7 12700K 1,902
Intel Core i7 12700KF 1,890
Intel Core i5 12600K 1,857
Intel Core i5 12600KF 1,848
AMD Ryzen 9 5950X 1,687
AMD Ryzen 7 5800X 1,671
AMD Ryzen 9 5900X 1,670
AMD Ryzen 5 5600X 1,615

Geekbench5(Multi)

多数のスレッドを生成するベンチマークです。以下の結果のように、同じコア数同士でもIntel CoreがAMD Ryzenを上回ることが多いです。

CPUモデル名 Geekbench 5(Multi)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 19,010
Intel Core i9 12900K 17,182
Intel Core i9 12900KF 16,839
AMD Ryzen 9 5950X 16,534
Intel Core i9 12900 15,712
Intel Core i7 12700K 14,029
AMD Ryzen 9 5900X 13,971
Intel Core i7 12700KF 13,797
Intel Core i5 12600K 11,593
Intel Core i5 12600KF 11,322
AMD Ryzen 7 5800X 10,337
AMD Ryzen 5 5600X 8,156

PassMark

PassMarkはCPUからGPUまで幅広くベンチマークが揃っています。CPUの場合はSingle-ThreadのスコアとMulti-Threadのスコアが存在します。シングルスレッドのスコアは相変わらずIntel Coreに対しAMD Ryzenが大敗する結果ですが、マルチスレッドのスコアに関してはCinebenchよりもAMD Ryzenに有利な結果がです。そのためAMDユーザからはCinebenchよりも好まれているベンチマークです。

PassMark(Single)

1スレッドのみ生成するタイプのPassMarkベンチマークです。結果はIntel CoreがAMD Ryzenに圧勝する傾向にあります。

CPUモデル名 PassMark CPU(Single)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 4,395
AMD Ryzen 9 7950X3D 4,336
AMD Ryzen 9 7950X 4,336
AMD Ryzen 7 7800X3D 4,262
AMD Ryzen 7 7700X 4,262
AMD Ryzen 7 7700 4,262
AMD Ryzen 9 7900X3D 4,253
AMD Ryzen 9 7900X 4,253
AMD Ryzen 9 7900 4,253
Intel Core i9 12900KF 4,214
Intel Core i9 12900K 4,208
AMD Ryzen 5 7600X 4,203
AMD Ryzen 5 7600 4,203
Intel Core i9 12900F 4,107
Intel Core i9 12900 4,087
Intel Core i7 12700K 4,061
Intel Core i7 12700KF 4,047
Intel Core i9 12900T 3,983
Intel Core i5 12600K 3,980
Intel Core i5 12600KF 3,972
Intel Core i7 12700F 3,955
Intel Core i7 12700 3,949
Intel Core i5 12600 3,831
Intel Core i7 12700T 3,770
Intel Core i5 12500 3,746
Intel Core i3 12300 3,675
Intel Core i5 12500T 3,640
Intel Core i5 12400F 3,564
Intel Core i3 12100 3,557
Intel Core i5 12400 3,538
Intel Core i3 12100F 3,518
AMD Ryzen 7 5800X 3,484
AMD Ryzen 9 5900X 3,467
Intel Core i5 12400T 3,463
AMD Ryzen 9 5950X 3,463
AMD Ryzen 7 5800X3D 3,447
AMD Ryzen 9 5900 3,444
Intel Core i3 12100T 3,400
AMD Ryzen 7 5800 3,385
AMD Ryzen 7 5700X 3,355
AMD Ryzen 5 5600X 3,355
Intel Core i5 12600T 3,313
AMD Ryzen 7 5700G 3,273
AMD Ryzen 5 5600 3,233
AMD Ryzen 5 5600G 3,175
Intel Pentium G7400 3,041
AMD Ryzen 5 5500 3,036
AMD Ryzen 3 5300G 3,023
Intel Celeron G6900 2,692
Intel Pentium G7400T 2,603
Intel Celeron G6900T 2,348

PassMark(Multi)

多数のスレッドを生成するタイプのPassMarkベンチマークです。以下の結果の通り、Ryzenとって有利な結果がでています。

CPUモデル名 PassMark CPU(Multi)のベンチマーク性能評価スコア値
AMD Ryzen 9 7950X3D 64,229
AMD Ryzen 9 7950X 64,229
AMD Ryzen 9 7900X3D 51,454
AMD Ryzen 9 7900X 51,454
AMD Ryzen 9 7900 51,454
AMD Ryzen 9 5950X 45,850
Intel Core i9 12900KS 44,623
Intel Core i9 12900K 41,507
Intel Core i9 12900KF 41,497
AMD Ryzen 9 5900X 39,304
Intel Core i9 12900F 37,465
AMD Ryzen 7 7800X3D 36,605
AMD Ryzen 7 7700X 36,605
AMD Ryzen 7 7700 36,605
Intel Core i9 12900 36,074
Intel Core i7 12700K 34,663
AMD Ryzen 9 5900 34,636
Intel Core i7 12700KF 34,489
Intel Core i9 12900T 32,169
Intel Core i7 12700F 31,457
Intel Core i7 12700 31,315
AMD Ryzen 5 7600X 28,531
AMD Ryzen 5 7600 28,531
AMD Ryzen 7 5800X 28,360
AMD Ryzen 7 5800X3D 28,127
Intel Core i5 12600K 27,722
Intel Core i5 12600KF 27,388
AMD Ryzen 7 5700X 26,673
AMD Ryzen 7 5800 25,825
AMD Ryzen 7 5700G 24,560
Intel Core i7 12700T 22,645
AMD Ryzen 5 5600X 21,961
AMD Ryzen 5 5600 21,518
Intel Core i5 12600 21,210
Intel Core i5 12500 20,307
AMD Ryzen 5 5600G 19,833
Intel Core i5 12400F 19,800
Intel Core i5 12400 19,515
AMD Ryzen 5 5500 19,485
Intel Core i5 12500T 17,512
Intel Core i5 12600T 17,033
Intel Core i5 12400T 16,534
Intel Core i3 12300 15,023
Intel Core i3 12100F 14,348
Intel Core i3 12100 14,338
AMD Ryzen 3 5300G 13,011
Intel Core i3 12100T 12,840
Intel Pentium G7400 6,749
Intel Pentium G7400T 5,883
Intel Celeron G6900 4,394
Intel Celeron G6900T 4,024

3DMark Port Royal(Overall Score)

3DMark Port Royalは3DMarkの中でも最先端技術の評価が可能なベンチマークです。2018年にリリースされました。これは2018年に発売されたTuring世代のNVIDIA GeForceの新機能実装に適応できるように作られたベンチマークです。

NVIDIA GeForceで充実しているRayTracing Coreや、Tensor Core(半精度浮動小数点数4×4行列の積和演算器)を活用したDLSSの評価に対応しています。第一義的にはGPU向けのベンチマークですが、GPUは単独では動作しません。CPUが描画の前提となるベクトル座標を計算し、CPUがGPUに対し命令発行して動作します。

3DMark Port RoyalにはOverallスコアとGraphicsスコアの2つが存在します。後者のGraphicsスコアは文字通りGPU(グラフィックボード)の性能評価に特化したものでCPUの影響を取り除いています。一方で前者のOverallスコアはCPUの性能も影響します。ここではCPUの性能評価が目的なので、OverallスコアをもってCPUを比較しています。

3DMark Port Royalの計算処理の特性としては多数のスレッドが動くためコア数が多いほうが有利です。同時に1コアあたりの性能も重視されるため、ほぼ同じコア数同士の比較ならIntel Coreが有利になります。

CPUモデル名 3DMark Port Royalのベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 14,858
Intel Core i9 12900K 13,497
AMD Ryzen 9 5950X 13,255
Intel Core i9 12900KF 13,112
AMD Ryzen 7 5800X3D 12,557
AMD Ryzen 9 5900X 12,099
Intel Core i7 12700K 12,091
Intel Core i7 12700KF 11,529
AMD Ryzen 7 5800X 11,412
Intel Core i9 12900 11,366
AMD Ryzen 9 5900 11,260
Intel Core i9 12900F 11,181
AMD Ryzen 5 5600X 10,283
Intel Core i7 12700 10,261
Intel Core i5 12600K 9,435
AMD Ryzen 7 5700X 9,234
AMD Ryzen 7 5800 8,803
Intel Core i5 12600KF 8,789
Intel Core i7 12700F 8,779
Intel Core i5 12400 7,619
AMD Ryzen 7 5700G 7,188
Intel Core i5 12400F 7,126
AMD Ryzen 5 5600 6,963
Intel Core i5 12600 6,961
Intel Core i7 12700T 6,957
Intel Core i5 12600T 6,681
AMD Ryzen 5 5600G 6,501
Intel Core i9 12900T 6,500
Intel Core i5 12500 6,091
Intel Core i3 12100F 5,476
AMD Ryzen 5 5500 5,075
Intel Core i3 12300 4,978
Intel Core i3 12100 4,500
AMD Ryzen 3 5300G 4,497
Intel Celeron G6900 3,961
Intel Pentium G7400 3,616

3DMark Night Raid (CPU Score)

2018年にリリースされた3DMark Night Raidは、2016年にリリースされた3DMark Time Spyの軽量版ベンチマークです。生成されるスレッド数が少ないため、コア数が少なくてもスコアはそこそこ良くなります。3DMark Night Raidのスコアには、全体のスコアであるOverallスコアと、GPU(グラフィックボード)性能要因のみのGraphicsスコアと、CPU性能要因のみのCPUスコアがあります。ここではCPUスコアを採用して比較しています。

コア数が少なくても1コアあたりの性能が高いCPUが有利なためIntel Coreで高いスコアが出ます。3DMark Port RoyalよりもIntel Coreにとって有利です。

CPUモデル名 3DMark Night Raid(CPU)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 21,861
Intel Core i9 12900K 20,533
Intel Core i9 12900KF 20,436
Intel Core i7 12700K 19,498
Intel Core i7 12700KF 19,485
Intel Core i9 12900F 19,381
Intel Core i9 12900 19,068
Intel Core i7 12700F 18,560
Intel Core i7 12700 18,419
Intel Core i9 12900T 17,951
AMD Ryzen 9 5950X 16,366
Intel Core i5 12600K 16,324
AMD Ryzen 9 5900X 16,311
Intel Core i5 12600KF 16,231
Intel Core i7 12700T 15,418
AMD Ryzen 7 5800X 15,054
AMD Ryzen 7 5800X3D 15,036
AMD Ryzen 9 5900 14,259
AMD Ryzen 7 5800 14,259
AMD Ryzen 7 5700G 14,111
Intel Core i5 12600 13,936
AMD Ryzen 7 5700X 13,914
Intel Core i5 12500 13,653
Intel Core i5 12400F 13,107
Intel Core i5 12400 12,991
AMD Ryzen 5 5600X 12,289
AMD Ryzen 5 5600 12,187
Intel Core i5 12500T 12,133
AMD Ryzen 5 5600G 12,051
AMD Ryzen 5 5500 11,889
Intel Core i3 12300 11,324
Intel Core i3 12100F 11,060
Intel Core i3 12100 11,003
Intel Core i5 12400T 10,510
Intel Core i3 12100T 10,000
AMD Ryzen 3 5300G 9,779
Intel Pentium G7400 4,946
Intel Celeron G6900 3,377

3DMark Time Spy (CPU Score)

3DMark Time Spyは2016年にリリースされDirectX12のパフォーマンス測定に対応したベンチマークです。3DMark Time Spyも第一義的にはGPU(グラフィックボード)の性能を計測するためのベンチマークですがCPUの性能も計測可能です。3DMark Time SpyにはOverallスコアとGraphicsスコアとCPUスコアがありますが、ここではCPU性能の測定に特化したCPUスコアで比較しています。

この3DMark Time Spyは未だに一部メディアで好まれるベンチマークです。それには理由があり、3DMark Time SpyはRayTracing CoreやTensor Coreの性能測定に対応していないためです。3DMark Port RoyalではRayTracing CoreやTensor Coreに対応しており、NVIDIA GeForceが圧勝する結果になってしまいます。一部メディアではAMD Radeonを有利に見せかけたいバイアスが働いているため、古いベンチマークである3DMark Time Spyが未だに大きく取り上げられています。CPU分野で言うと、Ryzen発売前のAMD発表では極めて良好な結果が出るBlenderを使ったベンチマーク結果を好むとの似た事情だと捉えればいいでしょう。

3DMark Time SpyはGPU分野ではAMD Radeonでも健闘しますが、CPU分野ではAMD Ryzenの結果は芳しくなくIntel Coreが圧倒的に強いです。

CPUモデル名 3DMark Time Spy(CPU)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 20,212
Intel Core i9 12900K 18,188
Intel Core i9 12900KF 17,739
Intel Core i7 12700K 16,256
Intel Core i9 12900F 16,137
Intel Core i7 12700KF 16,129
Intel Core i9 12900 15,515
Intel Core i7 12700F 15,032
Intel Core i7 12700 15,025
Intel Core i7 12700T 14,306
AMD Ryzen 9 5950X 13,820
Intel Core i5 12600K 13,149
AMD Ryzen 9 5900X 13,148
Intel Core i5 12600KF 13,055
Intel Core i9 12900T 12,578
AMD Ryzen 7 5800X3D 11,451
AMD Ryzen 7 5800X 11,386
AMD Ryzen 9 5900 10,767
AMD Ryzen 7 5800 10,674
AMD Ryzen 7 5700X 10,597
AMD Ryzen 7 5700G 10,120
Intel Core i5 12600 9,940
Intel Core i5 12500 9,494
Intel Core i5 12400 9,347
Intel Core i5 12500T 9,346
Intel Core i5 12400F 9,329
Intel Core i5 12600T 9,052
AMD Ryzen 5 5600X 8,114
AMD Ryzen 5 5600 8,021
AMD Ryzen 5 5500 7,659
AMD Ryzen 5 5600G 7,582
Intel Core i3 12300 7,260
Intel Core i5 12400T 7,166
Intel Core i3 12100F 6,512
Intel Core i3 12100 6,492
Intel Core i3 12300T 6,187
Intel Core i3 12100T 6,013
AMD Ryzen 3 5300G 5,025
Intel Pentium G7400 3,111
Intel Pentium G7400T 2,687
Intel Celeron G6900 2,100

3DMark Fire Strike (Physics Score)

3DMark Fire Strikeは2013年にリリースされた古いベンチマークです。DirectX11に対応したことをコンセプトとして当時リリースされました。

3Dmark Fire Strikeのスコアとしては全体のOverallスコアの他にGraphicsスコアとPhysicsスコアがあります。PhysicsスコアがCPUの性能測定に該当します。

コア数の多さが強く反映されるベンチマークであるため、AMD Ryzenのコア数マウンティングが機能していた時期は高いスコアが出ており、AMDユーザから好まれていたベンチマークです。しかし近年はIntel Coreの方がコア数が増えてきたため、AMD Ryzenが負けてしまう局面が増えました。

CPUモデル名 3DMark Fire Strike(Phys)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 43,801
Intel Core i9 12900KF 41,271
Intel Core i9 12900K 41,135
AMD Ryzen 9 5950X 38,714
Intel Core i9 12900F 38,604
Intel Core i9 12900 36,985
Intel Core i7 12700K 36,573
Intel Core i7 12700KF 36,453
AMD Ryzen 9 5900X 35,136
Intel Core i7 12700F 34,754
Intel Core i7 12700 34,662
Intel Core i5 12600K 30,745
Intel Core i9 12900T 30,638
Intel Core i5 12600KF 30,487
AMD Ryzen 9 5900 30,162
AMD Ryzen 7 5800X 30,049
Intel Core i7 12700T 29,497
AMD Ryzen 7 5800X3D 28,986
AMD Ryzen 7 5700X 28,196
AMD Ryzen 7 5800 28,191
AMD Ryzen 7 5700G 26,863
Intel Core i5 12600 25,824
AMD Ryzen 5 5600X 24,492
Intel Core i5 12500 24,226
AMD Ryzen 5 5600 24,039
Intel Core i5 12400F 23,708
Intel Core i5 12400 23,643
AMD Ryzen 5 5600G 22,360
AMD Ryzen 5 5500 22,101
Intel Core i5 12600T 21,322
Intel Core i5 12500T 20,651
Intel Core i5 12400T 19,167
Intel Core i3 12300 18,520
Intel Core i3 12100 17,778
Intel Core i3 12100F 17,703
Intel Core i3 12100T 16,216
AMD Ryzen 3 5300G 15,896
Intel Pentium G7400 8,517
Intel Pentium G7400T 7,225
Intel Celeron G6900 5,557

3DMark CPU Profile

3DMark CPU ProfileはCPUのベンチマークに特化したベンチマークです。3DMarkは基本的にGPUの性能を測定するためのベンチマークですが、GPUに処理命令を発行するためにはCPUでの処理も付随して発生します。そのためCPU性能の計測も3DMarkでカバーしています。1スレッドからマルチスレッドまで細かく測定可能です。

3DMark CPU Profile(1thread)

3DMark CPU Profile(1thread)は単純に1スレッドのみ走らせるタイプのベンチマークです。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(1T)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 1,151
Intel Core i9 12900K 1,096
Intel Core i9 12900KF 1,094
Intel Core i9 12900 1,063
Intel Core i9 12900F 1,063
Intel Core i7 12700K 1,054
Intel Core i7 12700KF 1,053
Intel Core i5 12600K 1,033
Intel Core i5 12600KF 1,030
Intel Core i7 12700F 1,025
Intel Core i9 12900T 1,022
Intel Core i7 12700 1,022
Intel Core i5 12600 1,009
Intel Core i7 12700T 993
Intel Core i5 12500 958
AMD Ryzen 7 5800X 952
AMD Ryzen 9 5950X 950
AMD Ryzen 9 5900X 949
Intel Core i3 12300 938
AMD Ryzen 9 5900 931
Intel Core i5 12600T 925
AMD Ryzen 7 5700X 923
AMD Ryzen 5 5600X 923
AMD Ryzen 7 5800 922
Intel Core i5 12400 918
Intel Core i5 12400F 917
AMD Ryzen 7 5700G 908
Intel Core i3 12100 905
Intel Core i3 12100F 901
Intel Core i3 12300T 893
AMD Ryzen 7 5800X3D 886
AMD Ryzen 5 5600 885
AMD Ryzen 5 5600G 878
Intel Core i3 12100T 874
Intel Core i5 12500T 865
Intel Core i5 12400T 853
AMD Ryzen 5 5500 840
AMD Ryzen 3 5300G 839
Intel Pentium G7400 788
Intel Celeron G6900 715
Intel Celeron G6900T 587

3DMark CPU Profile(2thread)

3DMark CPU Profile(2thread)は2スレッドのみ実行するベンチマークです。2スレッドになっても、1コアあたりの性能の高さに優位性があるIntel Coreが有利です。2コアのみに負荷がかかる状況下ではIntel CoreのTurboBoostで最大クロック値を出しやすいためです。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(2T)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 2,232
Intel Core i9 12900K 2,147
Intel Core i9 12900KF 2,143
Intel Core i7 12700K 2,073
Intel Core i7 12700KF 2,072
Intel Core i9 12900F 2,070
Intel Core i9 12900 2,032
Intel Core i5 12600K 2,026
Intel Core i5 12600KF 2,023
Intel Core i7 12700F 1,983
Intel Core i7 12700 1,965
Intel Core i9 12900T 1,916
Intel Core i5 12600 1,893
Intel Core i7 12700T 1,880
AMD Ryzen 9 5950X 1,872
AMD Ryzen 9 5900X 1,871
AMD Ryzen 7 5800X 1,867
AMD Ryzen 9 5900 1,822
AMD Ryzen 7 5700X 1,821
AMD Ryzen 7 5800 1,817
AMD Ryzen 5 5600X 1,813
Intel Core i3 12300 1,789
Intel Core i5 12500 1,785
AMD Ryzen 7 5700G 1,775
AMD Ryzen 7 5800X3D 1,744
AMD Ryzen 5 5600 1,742
AMD Ryzen 5 5600G 1,725
Intel Core i5 12400 1,716
Intel Core i5 12600T 1,714
Intel Core i5 12400F 1,714
Intel Core i3 12100F 1,695
Intel Core i3 12100 1,680
AMD Ryzen 5 5500 1,654
AMD Ryzen 3 5300G 1,644
Intel Core i3 12100T 1,630
Intel Core i3 12300T 1,622
Intel Core i5 12500T 1,581
Intel Core i5 12400T 1,559
Intel Pentium G7400 1,389
Intel Celeron G6900 1,381
Intel Celeron G6900T 1,124

3DMark CPU Profile(4thread)

4スレッドのみ動作させるベンチマークテストです。これは4コア8スレッドのCore i3等に適したテストです。たとえ4コアかつ同時マルチスレッディングが有効であっても1コアの計算資源を2スレッドで奪い合う(共有する)ことになるため、4コアのプロセッサに対するベンチマークスコアがスケーラブルに伸びるのは4スレッドのベンチマークが限界です。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(4T)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 4,334
Intel Core i9 12900K 4,163
Intel Core i9 12900KF 4,152
Intel Core i7 12700K 4,023
Intel Core i7 12700KF 4,023
Intel Core i9 12900F 4,009
Intel Core i9 12900 3,940
Intel Core i5 12600K 3,868
Intel Core i5 12600KF 3,865
Intel Core i7 12700F 3,832
Intel Core i7 12700 3,791
AMD Ryzen 9 5950X 3,601
AMD Ryzen 9 5900X 3,587
AMD Ryzen 7 5800X 3,555
Intel Core i9 12900T 3,486
Intel Core i7 12700T 3,478
AMD Ryzen 7 5700X 3,478
AMD Ryzen 7 5800 3,462
Intel Core i5 12600 3,416
AMD Ryzen 7 5700G 3,398
AMD Ryzen 5 5600X 3,372
AMD Ryzen 7 5800X3D 3,357
AMD Ryzen 9 5900 3,337
AMD Ryzen 5 5600 3,312
AMD Ryzen 5 5600G 3,269
Intel Core i5 12500 3,239
AMD Ryzen 5 5500 3,139
Intel Core i5 12400F 3,137
Intel Core i5 12400 3,108
Intel Core i5 12600T 3,098
Intel Core i3 12300 3,063
Intel Core i3 12100F 2,915
Intel Core i5 12500T 2,911
AMD Ryzen 3 5300G 2,845
Intel Core i3 12100 2,842
Intel Core i3 12100T 2,801
Intel Core i5 12400T 2,732
Intel Core i3 12300T 2,494
Intel Pentium G7400 1,868
Intel Celeron G6900 1,387
Intel Celeron G6900T 1,144

3DMark CPU Profile(8thread)

8スレッドのみ走らせるタイプのベンチマークです。これはIntel Coreの高性能コア(P-Core)を8コア搭載したCPUにおいて良いスコアが出るベンチマークです。16コアのRyzenよりも、P-Coreを8コア有するIntel Coreの方が有利です。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(8T)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 8,215
Intel Core i9 12900K 7,871
Intel Core i9 12900KF 7,847
Intel Core i7 12700K 7,465
Intel Core i7 12700KF 7,451
Intel Core i9 12900F 7,431
Intel Core i9 12900 7,314
Intel Core i7 12700F 7,038
Intel Core i7 12700 7,001
AMD Ryzen 9 5950X 6,589
AMD Ryzen 9 5900X 6,570
Intel Core i5 12600K 6,297
Intel Core i5 12600KF 6,265
Intel Core i9 12900T 6,242
Intel Core i7 12700T 5,885
AMD Ryzen 7 5800X 5,877
AMD Ryzen 7 5800 5,653
AMD Ryzen 7 5800X3D 5,634
AMD Ryzen 7 5700X 5,560
AMD Ryzen 9 5900 5,535
AMD Ryzen 7 5700G 5,472
Intel Core i5 12600 5,336
Intel Core i5 12500 5,011
Intel Core i5 12400F 4,874
Intel Core i5 12400 4,835
AMD Ryzen 5 5600 4,715
AMD Ryzen 5 5600X 4,687
AMD Ryzen 5 5600G 4,618
Intel Core i5 12600T 4,526
AMD Ryzen 5 5500 4,515
Intel Core i5 12500T 4,514
Intel Core i3 12300 4,177
Intel Core i5 12400T 4,100
Intel Core i3 12100F 4,058
Intel Core i3 12100 4,050
Intel Core i3 12300T 3,743
Intel Core i3 12100T 3,670
AMD Ryzen 3 5300G 3,655
Intel Pentium G7400 1,866
Intel Celeron G6900 1,396
Intel Celeron G6900T 1,153

3DMark CPU Profile(16thread)

16スレッドを走らせるタイプのベンチマークです。これは16コアを有するRyzenにとって有利なベンチマークです。P-Core×8コア+E-Core×8コアタイプのIntel Coreよりも16コアRyzenが有利です。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(16T)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 10,919
AMD Ryzen 9 5950X 10,550
Intel Core i9 12900K 10,317
Intel Core i9 12900KF 10,273
Intel Core i9 12900F 9,764
Intel Core i9 12900 9,599
Intel Core i7 12700K 9,487
Intel Core i7 12700KF 9,484
AMD Ryzen 9 5900X 9,070
Intel Core i7 12700F 9,006
Intel Core i7 12700 8,997
Intel Core i9 12900T 8,537
Intel Core i5 12600K 8,115
Intel Core i5 12600KF 8,081
AMD Ryzen 7 5800X 7,695
Intel Core i7 12700T 7,506
AMD Ryzen 7 5800 7,396
AMD Ryzen 9 5900 7,350
AMD Ryzen 7 5800X3D 7,291
AMD Ryzen 7 5700X 6,806
AMD Ryzen 7 5700G 6,727
Intel Core i5 12600 6,519
Intel Core i5 12500 6,066
Intel Core i5 12400F 5,941
Intel Core i5 12400 5,931
AMD Ryzen 5 5600X 5,678
AMD Ryzen 5 5600 5,664
AMD Ryzen 5 5600G 5,480
Intel Core i5 12600T 5,463
AMD Ryzen 5 5500 5,461
Intel Core i5 12500T 5,342
Intel Core i5 12400T 5,032
Intel Core i3 12300 4,167
Intel Core i3 12100F 4,076
Intel Core i3 12100 4,065
Intel Core i3 12300T 3,781
Intel Core i3 12100T 3,687
AMD Ryzen 3 5300G 3,666
Intel Pentium G7400 1,862
Intel Celeron G6900 1,391
Intel Celeron G6900T 1,144

3DMark CPU Profile(MaxThread)

生成可能なだけスレッドを生成するタイプのベンチマークです。このベンチマークではRaptor Lake以降のIntel Coreが有利です。それ以前では16コアを有するRyzenが有利です。

基本的には多数の低消費電力コア(E-Core)を有しているIntel Coreが有利になります。

また、多数のスレッドが生成するとスケジューラの割込みによるコンテキストスイッチが多発しますがその点はIntel CoreではL3キャッシュを全コアで共有しているため有利です。

CPUモデル名 3DMark CPU Profile(Max)のベンチマーク性能評価スコア値
Intel Core i9 12900KS 12,578
AMD Ryzen 9 5950X 12,176
Intel Core i9 12900K 11,920
Intel Core i9 12900KF 11,895
Intel Core i9 12900F 11,330
Intel Core i9 12900 11,128
AMD Ryzen 9 5900X 10,292
Intel Core i7 12700K 10,167
Intel Core i7 12700KF 10,164
Intel Core i9 12900T 9,682
Intel Core i7 12700F 9,658
Intel Core i7 12700 9,637
Intel Core i7 12700T 8,172
Intel Core i5 12600K 8,116
Intel Core i5 12600KF 8,069
AMD Ryzen 9 5900 8,036
AMD Ryzen 7 5800X 7,690
AMD Ryzen 7 5800 7,372
AMD Ryzen 7 5800X3D 7,284
AMD Ryzen 7 5700X 6,802
AMD Ryzen 7 5700G 6,726
Intel Core i5 12600 6,571
Intel Core i5 12500 6,103
Intel Core i5 12400F 5,979
Intel Core i5 12400 5,967
AMD Ryzen 5 5600X 5,705
AMD Ryzen 5 5600 5,691
Intel Core i5 12600T 5,535
AMD Ryzen 5 5600G 5,500
AMD Ryzen 5 5500 5,479
Intel Core i5 12500T 5,369
Intel Core i5 12400T 5,073
Intel Core i3 12300 4,152
Intel Core i3 12100F 4,056
Intel Core i3 12100 4,049
Intel Core i3 12300T 3,761
AMD Ryzen 3 5300G 3,689
Intel Core i3 12100T 3,655
Intel Pentium G7400 1,866
Intel Celeron G6900 1,369
Intel Celeron G6900T 1,111

動作クロックを向上させることは技術的に難しい

CPUは「AND、OR、NOT」の論理素子を組合せた論理回路です(実装ではNANDゲートが基本)。論理回路の中でも特に順序回路(逐次回路:シーケンシャル回路)に分類されます。

論理回路はbool代数上の理論的な回路なので、その論理回路を現実に実装するために半導体を使った電子回路として実装されています。

論理回路の実装は別に電子回路でなくてもいいです。機械式でもいいし、リレーを使った電気回路でもいいし、NTT持株研究所が研究開発している光学式の光半導体でも構いません。古典的な論理回路で重要なことは、deterministic(決定論的)な性質を有していることです。量子コンピュータのように確率的な不確定性を有している実装方法は適しません。
現時点ではコストが安く小型化しやすいこととスイッチングの性能の高さのバランスから、電子回路(いわゆるチップ状のMPU)として実装されているのが主流です。

しかし、理論上の論理回路とは異なり、実際の電子回路では様々な問題に直面します。

論理回路(順序回路)では、クロック信号の立ち上がりや立ち下がりに合わせて同時に演算を開始するように「同期」をとっています。このクロック信号の立ち上がりのタイミングがずれてしまうと演算結果が誤ってしまう「ソフトエラー」が発生します。ここでいう「ソフト」とはコンピュータソフトウェアのことを指しているのではありません。CPU等のコンピュータハードウェアのハードウェアが断線しているといった「ハードエラー」に対して、回路は正しく電気的に接続されてるけれども信号の伝搬の不具合によって演算結果に誤りが発生してしまうことを「ソフトエラー」と呼びます。「ソフトエラー」は電圧の不足、ノイズの影響、高い温度等の要因で発生します。

実は動作周波数を上昇させればさせるほど、クロック信号の立ち上がりが鈍くなりソフトエラーが発生しやすくなります。クロック信号のような矩形波をフーリエ変換してみるとわかりますが、クロック信号には高周波成分が含まれています。この高周波成分が欠けると丸みを帯びたクロック信号になってしまい、そうすると演算開始の同期が正確にとれずに演算結果の誤りが発生します。なぜクロック信号の高周波成分が減衰し丸みを帯びたクロック信号になってしまうかというと、高周波成分は回路の線路(導線)を通過すると大きく減衰してしまうからです。高周波成分を減衰させないためには高い電圧が必要であり、しかし高い電圧をかけると消費電力が電圧上昇の二乗に比例して上昇し高温になってしまうため、半導体回路が正常に動作しないソフトエラーを招きます。

オーバークロックの際電圧を引き上げることが伴いますが、これは「電圧の不足」によるソフトエラーを防止するためです。逆に電圧を引き上げすぎてもCPUが動作しなくなることに直面しますが、これは「高い温度」や「リーク電流の増加」によってMOS-FETのスイッチングが正常に動作しなくなるソフトエラーによるものです。

このように、動作クロックを上昇させると様々な技術的困難に直面します。逆に言えば動作クロックを下げた状態なら高度な技術力は必要なく簡単に実現できてしまいます。

しかしこの技術的に難しいことをやりとげているのがIntelのCPUです。Intelは技術力が高いので、高性能コア(P-Core)のクロックはAMD Ryzenより高い傾向にあります。しかし高度な技術力のないAMDは、Intel Coreで言うところのP-Coreに相当するコアの数を増やす(IntelのP-Coreに相当するコアをRyzenでは16コアにしている)方向性でCPUを展開しています。

コア数を2倍にすると性能を維持したまま動作周波数を半分&消費電力を1/2にできる

Xeonシリーズの最大発熱量(消費電力)が250Wであるように、だいたいCPU1ソケットあたりの消費電力はこのあたりが限界です。

現在のCPUは「消費電力を抑えた上で高速化する」という方向性で作られています。2000年代までは「CPUは速ければ速いほどいい」「消費電力は問題ではない」という方策が採られていました。しかしデナード則が通用しなくなったことによりリーク電流の増大による消費電力増加は無視できなくなりました。結果的にクロックの上昇に限界が出てきたということです。

そのために採られた手段がマルチコア化です。マルチコア化はIntelやAMDが好きでやってるのではなくて、集積度が上がりすぎて電力密度の限界がきてしまっているので、消費電力を下げるために仕方なくマルチコアを採用せざるを得ないという切実な背景があります。

CPUには4GHzや5GHzなどの動作周波数がありますが、実は動作周波数を上げるには電圧も上げなければなりません。

そして電圧を上げると電流も上昇するので(プロセッサ回路の抵抗値が一定のため)、消費電力は電圧上昇の2乗に比例して大きくなってしまいます。これが最近のCPUの最大クロックが5GHz台から動作周波数がいっこうに上がらない理由です。動作周波数においては4GHzというレベルを2003年頃のPentium4ですら達成していました。それから20年近く経過しても多くのCPUの高い動作周波数帯は5GHz台のままです。特にAMD Ryzenは高性能モデルでも4GHz~5GHzのクロックをうろうろしているので、動作クロック面では2003年当時のIntelと同等ということになります。

そこでマルチコア化するわけです。

2つのコアに分ければ極端な話、動作周波数を2~3GHzに下げてもいいことになります。そうすると電圧を下げても問題なく、それは電流も下がることを意味するので消費電力は激減します。

動作周波数を1/2にすると電圧も1/2にしてもよくなります。結果的に電流も1/2となり消費電力は1/4です。よって仮にコア数が2倍になっても消費電力は元の1/2まで減ります。

後述しますが、「性能を維持したまま消費電力を1/2にする」だけで終わりにすることは実際の製品ではほとんどありません。「消費電力を1/2にできるんだったらその空いた電力枠を使って少し欲張ってクロックを√2倍へ引き上げorコア数を2倍にして性能を向上させる」ことを実施します。

1コアあたりの性能向上も毎年されていますが、それに加えてコア数を増やすという手法で現在はCPUを高速化しています。

コア数増加の恩恵を受けるためには「アプリケーションに高いスレッドレベル並列性が存在する」ことが大前提

しかし、これはソフトウェア内部のコードに十分なスレッドレベル並列性がある場合に限ります。まったく並列性が無い場合は、コア数を2倍にして動作周波数を1/2にしたCPUを使うと速度は1/2になってしまいます。これがコア数を増やす最大のデメリットです。AMD Ryzenはこのコア数を増やすことに特化して1コアあたりの性能向上を諦めたプロセッサです。

並列実行するように作られているソフトウェアは動画エンコードを行うものなど非常に限られています。よって、1アプリケーションのみで多数のコアを活用するのではなく、Wordやブラウザや数値計算など、複数のアプリケーション(タスク≒プロセス)を同時稼働させ、それぞれのコアにプロレスをOSが割り当てることがマルチコアCPUを活用する最も簡単な方法です。

よってコア数が増えるほど全コア同時稼働時の動作周波数(~GHz)が低くなる

コア数を2倍にすると消費電力は単純に2倍になってしまいます。

だから必然的に動作周波数を下げざるを得ません。

例えば1コア6GHzのプロセッサのコア数を2倍に増やし2コア6GHzにした場合消費電力は単純に2倍になってしまいます。そこでこの6GHzの動作周波数を下げて3GHzにしてみます。3GHzに周波数を下げても2つもCPUがあるわけですから、1コア6GHzと比較して全体としては速度は落ちていません(複数のコアを使い切れるだけの十分なスレッドレベル並列性がある場合に限ります)。つまり性能を維持したまま動作周波数を下げることができるわけです。

このように、マルチコア化すると動作周波数は下げることもできるし、逆に消費電力上の制約から下げざるを得ないという状況にもあると言えます。

実際にXeonの上位モデルで50コア以上のものは、動作周波数が2GHz程度しかなく動作周波数が低いと感じるでしょう。でもこれは消費電力を250W以内に収めるために仕方ないことだということです。

コア数を4倍にすると消費電力を維持したまま性能を2倍にできる

先程の例では「コア数を2倍にすると性能を維持しつつ消費電力を1/2」と書きました。これはこれで正しいです。しかし、世の中では常に「性能向上」が求められています。そこで「クロックを半分にすると消費電力を1/4にできる」という性質を使って以下のようなことができます。

まず「アプリケーションのスレッドレベル並列性が高い」ことが大前提です。これは先程と変わりません。

次に、コア数を2倍ではなく4倍にします。そのかわりクロックを半分にします。クロックを半分にすると電圧を半分にでき、半導体回路抵抗が一定だとすると電流も半分になるため消費電力は1/4になります。すると、コア数を4倍にしても消費電力が1/4になるため、全体として消費電力は変化しません。

つまり「コア数を4倍にしても消費電力はそのまま」という状況を作れてしまいます。

ここで「クロックを半分」にしていたことに注意します。つまり1コアあたりの性能は半分です。コア数が4倍かつ1コアあたりの性能が1/2なので、トータルとして性能は2倍です。

結果的に「コア数を4倍にして性能は2倍にしつつ消費電力はそのまま」という状況を作ることができてしまいます。

Intel CoreのE-Core(高効率コア)はこの性質を最大限活用したもの

実はこの性質を最大限活用したのがIntelが第12世代Intel Core(Alder Lake)で初採用したE-Core(高効率コア)です。E-Coreは4つ分でおよそP-Core1つ分の消費電力を有しています。そしてE-Coreは4つのコアで1クラスタを形成しており、4コアでワンセットです。実はこのE-Core、半導体チップ上の面積で見てもP-Coreの1コア分の面積がE-Core4コア分の面積とほぼ等しくなっています。

ただし、E-Coreの最大クロックはP-Coreの半分ではなく、半分よりも少し高めになっています。つまりこれではP-Core1つよりE-Core4つの方が消費電力が高くなってしまいます。それを解決するためにIntelが採用したのがAtom系のマイクロアーキテクチャです。

E-CoreにおいてはAtom系のマイクロアーキテクチャを採用することにより、同時マルチスレッディングのような高消費電力な機能を省きました。マイクロアーキテクチャを単純化することにより低消費電力化を達成したわけです。

つまりE-Coreではクロックを引き下げると同時にマイクロアーキテクチャ面からも消費電力引き下げることによって低消費電力化を実現し、面積あたり(消費電力あたり)のコア数をP-Coreの4倍にしています。

コア数増加と密接な「性能向上派 vs. 低消費電力派(Hot Chips vs. Cool Chips)」

大学のコンピュータアーキテクチャ分野でもいろいろな教員がいて様々な研究室があります。とにかく高速化を重視する研究室(東大のお茶の水博士と呼ばれることもある平木敬名誉教授が有名)や、ミッションクリティカル度の高いシステムを稼働させるための信頼性の高さを重視する研究室(データフローマシン好きの坂井修一研究室が有名)があります。

消費電力が増えようともコア数をできるかぎり増やすのは性能重視派です。逆に、消費電力を維持したまま性能を向上させようとするのは低消費電力派です。

コンピュータの歴史は性能向上の歴史でもあるため、大学の教員のほとんどは性能向上派です。しかしその分野は競争が激しいため、少し目的関数をずらして「低消費電力」や「高信頼性」にテーマをずらしてきた研究室もあります。

IEEEのHot ChipsとCool Chips

Hot ChipsはIEEE Computer Societyが実施するカンファレンスの一つです。IEEEは規格の標準化も行っているため規格名として有名ですが、本来は米国の学術学会の名称です。電気電子や情報工学分野で有名な学会でありACMと双璧をなします。

Hot ChipsはHigh Performance Computing(HPC)という分野の研究者が集まるもので、ここで発表することは名誉なことです。HPCとはコンピュータの高性能化をひたすら追求する研究分野です。

しかし、その後Cool Chipsというカンファレンスが設置されました。これはHot Chipsを揶揄したもので、「低消費電力かつ高性能な情報処理を目指す」というコンセプトです。要は「低消費電力なプロセッサを研究開発する人が発表する」場所になっています。

CISCとRISCも有名な論争ですが、情報工学分野ではこういった対立軸があちこちにあります。このHot ChipsとCool Chipsもその一つです。

コア数をひたすら増やす手法も、Hot ChipsとCool Chipsではその活用方法が異なります。どちらかというとAMD RyzenはHot Chipsの観点からコア数を増やしてきました。一方でIntel CoreのE-CoreはCool Chipsの観点からコア数を増やしてきたと言えます。

2ソケット以上のマルチプロセッサと、マルチ「コア」プロセッサの違いは何か

プロセッサのコア数を増やして、動画エンコードのようなスレッドレベル並列性の高いアプリケーションを高速化するという手法はMIMD(Multiple Instruction Multiple Data)に分類されます。実はこのMIMDによる高速化は日本を含めて世界中で研究されていて、大学の研究室が発表した論文は山ほどあり書籍も大量に出版されています。

1つのプロセッサの性能を向上させるのに限界がでてきたら、それを2つ3つと増やして並列処理すればいいという考え方は大昔からある古典的手法だということです。実際に今でもスパコンはこのMIMD手法で高速化されています。

マルチプロセッサは、マザーボード上に2つのソケットがあり2つのCPUを搭載できるようになってるものが一つの例です。別のソケットに複数のCPUを挿すことでプロセッサを増やすわけです。

一方で、マルチコアプロセッサは1つのCPUチップ上に複数のコアを実現します。現在Intel CoreやAMD Ryzenが採用しているのはこの手法です。一方でIntel Xeonはマルチ「コア」化と、複数のソケットによるマルチ「プロセッサ」化の2つを同時に実現しています。

このマルチ「プロセッサ」とマルチ「コア」はOSからみるとどちらも複数のCPUとして見えますが、実際はかなり違うわけです。

理想から言うと、複数のソケットに分けずに複数のコアとして1チップ上にすべて押し込んでしまうのがベストです。

なぜなら、物理的に距離の離れたCPU同士で通信しようとすると数百クロックレベルの多大な時間を要するからです。これは普通のCPUで、並列化したプログラムを実行するときの待ち合わせ(同期処理)時に非常に不利になります。一方でマルチコアならコア同士は同じチップ上に載っておりすぐ隣にあります。しかもIntelプロセッサの場合は全てのコアで1つの共有キャシュを共有しているため同期が非常に高速化されます。

結局のところ、マルチプロセッサとマルチコアプロセッサの大きな違いは「各コアでキャッシュを共有しているか」に尽きます。
キャッシュを共有していれば連携が低レイテンシで可能であり、高速性に直結します。逆に言うと、各コアで実行されるスレッド同士で同期を取る必要がなく、かつ完全に独立したデータ参照を有している(あるコアが参照するデータを他のコアが参照することが無い)場合はマルチプロセッサでもマルチコアプロセッサでも優劣がありません。

そのためマルチコアなら20~30クロックレベルの待合せで他のコアと通信して連携できるわけです。これが全てのコアを1チップ上に押し込むマルチコアの大きなメリットです。

ですが全てのコア(例えばスパコンレベルの数百万コア)をワンチップに押し込むのは技術的に難くなります。コア数を増やそうとするとチップ面積が増えるので、面積が増えると不良品になってしまう確率が一気に高くなり歩留まりが悪くなります。歩留まりが悪くなると販売価格が高騰してしまうため1チップに詰め込めるコア数はいくらでも増やせるわけではありません。

そこでチップを複数に分割してしまうと、そのチップとチップは別々のキャッシュを共有するため、コアとコア同士の同期のレイテンシが非常に長くなってしまい速度が遅くなります。

このように技術的な限界から1チップあたりは64コア程度に抑えて、そのチップを複数連結して256コアにするといったことが実施されています。理想からいうとすべてのコアを1枚のチップに収めてしまうマルチコアの方が各コア同士の通信速度が速いし、コンパクトだし、消費電力の面でも有利だと言えます。

CPUよりも高速化の方法に乏しく頭打ちのメモリ

CPUは集積度を上げて1コアあたりの性能を増やしつつ、同時にコア数を増やすことでまだまだ性能を向上できる余地があります。

一方で速度の頭打ちが深刻なのがメモリです。メモリの「容量」は年月が経つにつれて劇的にアップし続けていますが、読み書きの速度は10年前どころか20年程度のスパンで見ても大して速くなっていません。

メモリはチャネル数を増やすことで並列アクセスを可能にして高速化しています。ただしIntel Xeonでさえメモリチャネル数は6つです。24枚メモリモジュールを使っても並列にアクセスできるのは6つまでです。

しかしチャネル数を増やすことはスループット(throughput)を向上させることはできてもレイテンシ(latency)の向上には繋がりません。

スループットとはネットワークで言えば帯域幅のことです。ネットワーク(インターネットもネットワークの一種)の事例がわかりやすいのでこれを使って例示してみます。

インターネットアクセス速度が100Mbps、1Gbps、10Gbpsのように向上してきていますがこれはスループットのことを指します。一方でレイテンシとは目的のサーバからデータを送出して、手元に届き始めるまでの時間です。実はこのレイテンシは物理的な距離が大きいと改善に限界があります。物理的に離れているとどんなに技術が進歩してもレイテンシを短縮することができなくなります。例えば日本からだと丁度地球の真反対にあるのはブラジルの近海になりますが、ブラジルから日本まで一直線で通信回線を引いても光の速度1秒間に地球を7周半のうち半周分もかかってしまいます。光が地球を半周するのにかかる時間は0.06秒です。一方で60fpsでゲームをしていると1フレームが0.016秒で切り替わり、120fpsでゲームをしていると1フレームが0.008秒で切り替わります。つまりフレームレートがどんなに高くても、物理的に距離が離れてしまうと、たとえ光の速度(物理的に可能な最大速度)でネットワーク接続されていたとしても0.06秒もの遅延が発生してしまいます。これはディスプレイ表示の1フレームが切り替わる時間に比べると非常に長い時間です。実際はさらに長くなってしまいます。電気信号の速度は光よりかなり遅く、しかも一直線でネットワーク接続されているわけではなく途中いくつものルータを経由して迂回しながらようやく日本まで届きます。FPSゲームのように遅延があると致命的になるゲームではネットワークのping値が重視されていますが、これは今後インターネット接続速度が100Gbpsだとか1Tbpsのように高速化されても、レイテンシ(ping値の約1/2)が改善されることはありません。なぜなら電気信号の進む速さはどんなに速くても光の速度が上限だからです。

これはメモリの速度と同じで、CPUがメモリからデータを取ってくるまでの待ち時間というのはCPUとメモリまでの物理的距離が大きく影響します。メモリを24枚も挿せるようにしてしまうと、どうしてもCPUから距離の離れたメモリスロットが出てきてしまいます。

CPUからメモリまでは数百クロックもかかってしまい、キャッシュより10倍以上の時間がかかります。この数百クロックが改善することはありません。なぜなら電気信号の理想的な最大速度はどんなに速くても光の速度(30万キロメートル毎秒)が限界であり、実際の電気信号は光の速度より遅くなるからです。意外に思えるかもしれませんが光の速度は遅いです。光の速度30万キロメートル毎秒をCPU4GHzのクロック数(1秒間に40億回)で割ると、1クロックでどのくらい光が進めるか計算できますがそれはたった7.5cmです。メモリのクロック2,000MHzを基準にしても1クロックで15cmです。

Mini ITXマザーボードは1辺17cmなので、CPUが1クロック待っている間にメモリからのデータはマザーボード上の距離の半分も進めません。それどころかこの1クロックで7.5cmというのは理想的な光の速度です。電気信号は抵抗値とキャパシタ(コンデンサ)値のある配線上を流れますから実際はこれよりはるかに遅くなります。一直線でも遅いのに、この電気信号が同期の待合せやエラー検出・エラー訂正されるステップを踏むとなるとさらに遅くなります。CPUとメモリの位置が離れるとたとえ電気のように流れるのが速いものでも到達に時間がかかり大きなロスとなってしまうわけです。

そのためCPU上のキャッシュサイズを大きくしていくことで、メモリのレイテンシの大きさの影響を受けないようにしているわけですが、キャッシュサイズを大きくすると今度はキャッシュのレイテンシが増えてしまうというトレードオフが発生します。つまりメモリとキャッシュの高速化はCPUの1コアあたりの性能の向上よりも限界がきています。

メモリ速度とCPU速度の頭打ちはSSDでカバーできる

このようにメモリのレイテンシが向上しない以上、どんなにCPUが高速化されてもデータが届くまで待たされてしまうため高速化できません。

またCPUの1コアあたりの動作周波数も5GHz台で頭打ちになっています。

このような中でどのようにしてさらに体感速度を上げていくかというと、Intel Core i7やXeonのようにマルチコア化していくわけです。ですがこのマルチコア化は1つのソフトウェア実行を高速化するのではなく、ブラウザやExcelなど複数のソフトウェアを同時に動かしているときに速くなるだけということを前述してきました。

そこで1つのソフトウェアだけでも高速化する方法としてSSDの採用が現在はオーソドックスになっています。

特に個人のパソコン用途ではHDDなどのストレージへのアクセスが多いのが特徴であり、このストレージアクセスを高速化するだけで体感速度がかなり速くなるわけです。

そして幸いなことに、このストレージはSSDの発展によって劇的に高速化されています。ストレージはハードディスクドライブ(HDD)の時代が終わりを告げようとしており、近い将来完全にSSDに取って代わるでしょう。

このSSDの速度はまだまだ改善の余地があり、SSDの高速化がパソコン全体の高速化につながる状況は今後も続きます。

なぜならSSD自体は現在でも相当高速なのですが、それをCPUと接続するバスの部分が低速であり、SSDの本来の速度を十分に発揮できないというSSDが「手持ち無沙汰」の状態にあるのが現状なのです。そのような「手持ち無沙汰」の状態である現在のSSDでも高速に感じるのですから、そのボトルネックが解消されたあとのSSDはとてつもなく速くなるでしょう。

よってまだまだSSDはさらに高速になる潜在能力があり、今後のさらなる発展が期待できる分野です。

Intel CPUもPCI Expressのリビジョンを第6世代Skylakeで3.0,第11世代Rocket Lakeで4.0に上げるなど、バスの高速化に力を入れています。そのPCI Express接続を使ったSSDがNVMe対応のSSDです。IntelはCPUだけでなくMicronと協業してSSD開発にもかなり投資しているので、パソコンを購入する側もSSDの性能にお金をかけることによって高速なパソコンを手に入れることができます。

IntelはMath Kernel Libraryで数値計算を高精度で高速化できる 機械学習や金融分析をするならIntel一択

Intel製プロセッサはParallel Studioに含まれているMath Kernel Library(MKL)を使うことでSIMD演算命令やコア間の並列化を自動化してくれます。

行列演算はまさに並列性が高くSIMD演算命令が得意とするところですが、そのような命令を意識せずにMKLを使うことで自動的にSIMD演算器に命令を割り当てたり、コアにスレッドを割り当てて並列化してくれます。

Visual StudioではNugetでMath.NETライブラリをインストールすることができますが、このMath.NETはMKLを内部的に使用したバージョンも配布されています。これはC#のマネージドなメモリから、アンマネージドなメモリにマーシャルコピーをしてMKLを呼び出し演算をさせるというものです。いちいち自分でマーシャルコピーをせずにMKLの恩恵を受けることができるのでおすすめです。

このようなMKLは深層学習(deep learnig)や金融分析において大きなメリットがあります。金融時系列分析では行列の固有値を求めたり逆行列を求めることが多々発生しますが、そのようなときに倍精度浮動小数点演算で高速に演算結果を叩き出してくれるIntel Coreプロセッサは使い勝手がいいです。

Math Kernel LibraryはIntelプロセッサ専用です。たとえx86命令セットアーキテクチャを採用していてもAMD製プロセッサではMath Kernel Libraryを使うことができません。

あえてMicrosoft社がVisual StudioのプラットフォームでMath Kernel Libraryに対応している理由は、Intel社とMicrosoft社は以前から強固な連携を行っているためです。Visual StudioはIntelプロセッサで実行することを前提とした方が有利になるような環境です。

Ryzenは各コア自体の性能は高くなく、コア数を多くして高性能に見せかけているプロセッサなので、スレッドレベルの並列性がないアプリケーションの場合逆に遅くなります。スレッドレベルの並列性が高いアプリケーションというのはあまり存在しません。一部のゲームや動画エンコードくらいです。

Intel Coreのほうがオールラウンドなgeneral purposeプロセッサであり、Ryzenは極一部のニーズにマッチするspecial purposeなプロセッサに近いので、様々な用途に使う予定ならIntel Coreのほうが間違いない選択です。

CPUは業界第一位の設備投資額が最も大きいメーカーのものを買う:現状はIntel

CPUというのは半導体でありメモリもSSDも半導体ですが、これら半導体産業に共通する法則(経験則)があります。

それは、金額で他の企業を上回る第1位の巨額投資をしないかぎり良い製品ができないという法則です。

例えばCPUを作るために1兆1千億円の投資をしたA企業と1兆円の投資をしたB企業があるとします。

投資額からみると、A企業はB企業より10%大きい金額を投資しているので、CPUの性能もA企業はB企業よりも10%速いものを作ると思うでしょう。

ですが現実はまったく違って、A企業はB企業よりも2,3倍(100~200%)も速いCPUを作ってしまいます。

これが半導体産業の特殊なところで、半導体は一番大きい巨額の投資を一度にやった企業が圧倒的勝利を納めます。それが現状Intelです。

つまりIntelが資本力(貸借対照表の純資産の部)や投資額で最も大きい業界第一位を走ってる以上、IntelにはCPU分野で勝てません。投資額が少なくても工夫すればなんとかなる他の業界とは根本的に異なると言えます。

よって重要なことは、そのときどきで業界第一位の企業が出すCPUを買うことです。それは現状Intelなので、多少高くてもIntel製を買うことがあとあと後悔せずに済むということです。

また、Intelは自前のファウンドリを所有しており自己完結性の高い企業です。ここが全面的に他社依存型のAMDと決定的に異なります。

近年の米国と中国の経済戦争、中国の台湾侵攻リスクの増加により、Intelは米国の半導体分野の国策企業としての役割を担い初めています。TSMCやSamsungに依存しないサプライチェーンを築くために米政府はIntelを重用しています。他方、AMDは米政府から戦力外扱いされています。なぜならファウンドリを持たないAMDには自己完結性を期待できないからです。

性能だけでなく、企業の安定性(永続性)や信頼性も重視するのならIntelプロセッサを選んでおくのが無難であり実際多くの大企業はそうしています。AMDを選んだりゴリ推してるのは秋葉原界隈の(特に非大卒の)一部の信者・マニアだけであり一般的だとは言えない状況です。

実はコンピュータの中心はCPUではない CPUはチップセットにぶら下がっている構成要素の一つ

パソコンの中心的な部品は何かと質問したら、大多数の人が「CPU」と答えるのではないでしょうか?これは情報工学分野に詳しくないパソコン初心者のみならず、「PCの自作に自信がある」と自称する人でも「CPU」と回答するでしょう。しかしそれは誤りです。CPUはコンピュータの「心臓部」だとか「脳」と表現している入門書籍も多いですが違います。実際はCPUの役割は「手足」です。

パソコン(コンピュータ)の中心は「チップセット」です。

コンピュータには様々な構成要素があります。まず演算を行うためのCPU。そしてCPUが処理する対象のデータを格納しておく主記憶(メモリ:RAM)。この2つだけでもコンピュータは動作しますが、主記憶に収まりきらないデータを格納しておくための補助記憶(ストレージ:SSDやHDD)もあります。つまりCPUは「コンピュータの構成要素の1つ」にしか過ぎません。

これらの構成要素がばらばらに動作してもコンピュータは動作しません。お互いを接続する仲介役が必要です。それがチップセットです。CPUやメモリやSSDといった部品はチップセットの下にぶら下がる形で接続されています。SSDからメモリへデータを転送させるのもチップセットの仕事ですし、メモリへ転送が完了したらそれをCPUに伝えてあげるのもチップセットの仕事です。

チップセットというものはスター型接続でパソコンの構成部品を取り仕切っています。たとえCPUであってもチップセットにぶら下がっている一つの部品に過ぎないとうことです。

「CPU(Central Processing Unit)の”C”の字はCentralだからCPUがコンピュータの中心だ」と主張する人が出てきそうですが、これは数ある「プロセッサ(Processing Unit)」の中で「中心的(Central)」なのが「CPU」という意味なので、コンピュータの中心という意味ではないのです。

CPUとマイクロプロセッサ(MPU)の違い

プロセッサとはProcessorのことで「処理系」と翻訳されますが、これを理解するためにはコンピュータ・サイエンス分野の全体を捉えることが必要です。”Information Processing”という用語が日本に伝わったとき、日本ではそれを「情報処理」と翻訳しました。これは日本の情報工学分野の筆頭学会である「情報処理学会」にも現れています。

これに付随してProcessorとは「処理を行う役割を担うもの」つまり「処理系」と翻訳されました。処理系とは何かと言うと、データを読込み、それを加工し、加工後のデータをまた書き込むといった一連の処理を行う系のことです。

何か情報を処理する作業を行うためには必ずインプットとなるデータがあります。例えばキーボードからの入力であったり、ファイルの読込みであったり、インターネット上から取得したウェブデータ等、本当に様々なインプットデータがあります。

そのインプットに対してコンピュータは何らかの「処理」をします。動画だったらエンコードの作業を行います。そしてエンコード後の動画の書き出しを行います。このような一連の流れが「処理=プロセッシング」です。この作業を担うのが「処理系=プロセッサ」です。

つまりコンピュータでの情報処理というのは、「データ→処理→データ」の一連の作業の繰り返しです。データを読込み、それに何らかの処理を行い、その結果を書き出す。そしてまたそれを読み込むの繰り返しです。この真中にある「処理」を実施するのが「プロセッサ」です。

このプロセッサとは非常に広い概念であり、CPUもマイクロプロセッサ(MPU)も包括する概念です。

ベン図で言えばCPUもマイクロプロセッサ(MPU)も「プロセッサ」の内側にあります。

処理系(プロセッサ)は非常に広い概念であるため様々な処理内容を含んでいます。例えばSSDやHDDの通信を担うSATA接続もある意味で処理系です。LANケーブルから伝わってきた伝送信号に対してエラー検出・エラー訂正して0と1のビットデータにするのも処理系です。

このようにコンピュータ上に存在するありとあらゆる処理系の中で、特に重要で中心的な役割を担っている部分を「中心的な処理系」として「Central Processing Unit(CPU)」と呼ぶようになりました。重要なことは、ここでいうCPUとは「チップ上に一体化された」という意味は含んでいないということです。あくまでも機能(役割)として「中心」を担っていればCPUです。たとえそれが真空管+抵抗+コンデンサという前時代的な部品で組まれていても中心的な役割を担っているならCPUですし、電子計算機(電子コンピュータ)ではなく機械式のコンピュータであってもそれが中心的な処理系ならCPUです。

一方で、マイクロプロセッサ(MPU)というのは「半導体チップ上に処理系の機能を統合したプロセッサ」という意味です。つまりこのMPUが現在の「いわゆるCPU」と一番イメージが近いものになります。しかしマイクロプロセッサ(MPU)には「中心的な処理を担う」といった意味は入っていません。たとえそれが脇役的な役割を担うためのプロセッサであっても、半導体チップ上に載っていれば「マイクロプロセッサ(MPU)」です。

つまり、Intel Coreプロセッサのような「いわゆるCPU」というのは、「中心的な役割を担うプロセッサ(CPU)」と、「半導体チップ上に処理系を載せたMPU」の積集合を意味していることになります。「いわゆるCPU」=「本来の意味のCPU」∩「MPU」だということです。

実は、Intelがプロセッサに参入するまでは「MPU」という呼称が一般的でした。IntelはRAM(メモリ)を作っていたメーカーでしたが、日本のRAMメーカーに勝てなくなり仕方なくMPUに参入し、Intelが「CPU」という名称で商品を売り始めそれが爆発的にヒットしたため「CPU」という名称が普及し定着し一般的になったということです。「コンピュータの中心はCPU」というイメージを作り上げたのも、「MPUではなくCPUと呼ぶ」のも実はIntelプロセッサの一強状態が作り出してくれたものです。つまり「CPU」という用語を使っている時点でIntelの影響を非常に強く受けているということになります。