2018年10月8日23時月曜日(日本時間)にIntelからZ390マザーボードが発表され翌日10月9日火曜日から発売されました。
当時に2018年10月19日にはIntel第9世代Coffee Lake Refresh CoreプロセッサであるCore i9 9900K、Core i7 9700K、Core i5 9600Kが発売され、Z390マザーボードはこの第9世代Coreプロセッサを意識してリリースされたものです。勿論第8世代CoffeeLakeプロセッサも対応しています。第7世代KabyLakeには対応していません。
ただし、以前から販売されているIntel 300シリーズチップセット(Z370,H370,B360,H310)を搭載したマザーボードでも第9世代Intel Coreプロセッサが動作します。そのため既にIntel300シリーズチップセットを搭載したマザーボードを保有しているユーザはわざわざZ390に買い換える必要はありません。
つまり以下のようなフローでZ390マザーボード購入の是非を判断することになります。
H370,B360,H310のチップセットはZ390より廉価ですが、オーバークロックをしないなら十分です。
しかしオーバークロックするなら、既に生産終了したZ370を選んでも流通量が減っており無駄に価格が高くなっていたりでメリットは無いので、新しいZ390搭載モデルのほうがチップセット内部にWiFi/Bluetoothコントローラ内蔵、USB 3.1 gen2コントローラ内蔵なのでZ390搭載モデルをおすすめします。
Z390以前の300シリーズマザーボード(Z370,H370,B360,H310)はこちらに掲載しています。この記事ではZ390のみを扱います。
フォームファクタごとのインデックス:
Mini ITX
Mini ITXは私が一番おすすめしているフォームファクタです。Dan Cacesのような容量7リットル級の超小型PCケースに使用できる上に、マザーボードが小さい分には大型ケースにも格納できるからです。逆にATXサイズのマザーボードは小型PCケースに搭載できません。
ただし、グラボを2枚挿ししてNVLinkやSLI接続でGPU資源を一元化する場合には最低でもMicroATXが必要です。MicroATXならCPU管理のPCI Express×16スロットが2つ用意されていることが多いです。Mini ITXはPCI Express×16スロットは1つのみです。
1位 Supermicro(SuperO)
バックパネルの端子の充実度など機能面ではASRockより劣りますが品質面で上です。グラボを挿すならバックパネルのディスプレイ端子の少なさは気にならないので、グラボありきならASRockよりSupermicroがおすすめです。
・SuperO C9Z390-CG-IW
Z370版の「C7Z370-CG-IW」から改良された点はバックパネルのUSB端子の通信規格です。
今回の「C9Z390-CG-IW」ではUSB 3.1 Gen2×4(うち1つはType Cコネクタ)、USB 3.1 Gen1×2になりました。Z370の「C7Z370-CG-IW」ではUSB 3.1 Gen2×2(うち1つはType Cコネクタ)、USB 3.1 Gen 1×4でした。バックパネルに搭載されているUSBコネクタの総数は同じですが通信規格が上位のUSB 3.1 Gen2の端子数が増えています。
ディスプレイ出力はDisplayport×1、HDMI×1で貧弱です。このマザーボードのUSB Type CコネクタはThunderbolt規格ではないのでディスプレイ出力はできません。
2位 ASRock
ASUS製のMini ITXは200シリーズから全く進歩しておらずバックパネル端子が貧弱なためASRockを1位にしました。
・Z390 Phantom Gaming-ITX/ac
このマザーボードは非常にいい線をいっている製品ですが微妙に足りないところがあります。ディスプレイ出力端子がDisplayport×1、HDMI×1しかないのでこの2つだけではトリプルディスプレイにできません。トリプルディスプレイにするためにはUSB Type C端子も使う必要があります。本マザーボードのUSB Type CはThunderbolt規格です。そのためトリプルディスプレイにするとUSB Type C端子が埋まってしまうことを意味します。デメリットはそのくらいで他は優れています。
このマザーボードはM.2スロットが2つあります。ASUSが2017年1月にZ270を搭載したROG STRIXシリーズで「Mini ITXでもM.2スロット2つ」を初めて実現しましたが、ASRockのこのマザーボードでも実現されています。
またバックパネルのUSB端子にUSB2.0がないのも良い点です。USB 3.1 Gen1×2、USB 3.1 Gen2×4になっており申し分ありません。光学式オーディオ出力S/PDIF端子も搭載されています。そのかわり有線LANコネクタが1つしかありません。
・Z390M-ITX/ac
上記のPhantom Gamingシリーズよりこちらのほうが下位で安いのですが、私はこのマザーボードをおすすめします。理由はバックパネル端子の数です。このマザーボードはDisplayport×1とHDMI×2のディスプレイ出力端子が3つ揃っておりこれだけでトリプルディスプレイにできます。さらにUSB Type C(USB 3.1 Gen2)も備えており、ディスプレイ出力のためにType C端子が埋まることがありません。マザーボードによってはUSB Type C(Thunderbolt通信規格対応)にディスプレイ出力を兼務させてるものがあります。そのようなマザーボードではトリプルディスプレイ出力にするとUSB Type C端子がディスプレイで埋まってしまい不便です。
ただしこのマザーボードのUSB Type CはThunderbolt規格ではないのでディスプレイ出力には使えません。ディスプレイ出力にはDisplayportとHDMI×2が用意されているのでそちらを使います。
このマザーボードではUSB 3.1 Gen2 Type A端子が5つバックパネルに搭載されてます。USB 2.0端子は2つです。つまりUSB Type A端子×7+Type C×1です。数は多いのですがUSB2.0は微妙です。有線LANコネクタが2つあるのも嬉しいところです。LANコネクタは故障しやすいので2つあれば代替措置が採れます。
上記のPhantom Gamingシリーズよりこのマザーボードが劣っている点は、M.2 2280スロットが1つしかないことです。また光学式オーディオ出力のS/PDIF端子がありません。
3位 ASUS
私はASUSを比較的評価しているのですが単なるチップセットの置換えだけでマザーボード自体は以前の設計をそのまま流用しており全く改良が施されていないため順位を降格させました。
・ROG STRIX Z390-I GAMING
このマザーボードは2017年1月発売のZ270から何も変更されていません。Z370も同様であり今回のZ390までも同じ設計品となりました。
Z270のMini ITXマザーボードが発売されたときはこのROG STRIXは他メーカより頭一つ抜けて優秀でした。それまではMini ITXマザーボードといったらM.2 2280スロットがマザーボード裏面に1つしかなかったのですが、ASUS ROG STRIXは表面に1つ、裏面に1つで合計2つのM.2スロットを搭載しました。
しかし、その後この手法は他メーカーも採用しM.2スロットが2つあるMini ITXマザーボードは珍しくなくなりました。他メーカーのマザーボードはチップセット更新の都度どこかしらチップセット以外の部分もアップデートされてきたにもかかわらず、ASUSのMini ITXは2017年1月当時の新規性にあぐらをかきつづけて焼き直しが続き、他メーカー品に遅れを取りました。
このマザーボードはディスプレイ出力端子が2つしかなく、USB Type C端子はThunderbolt規格非対応です。つまりUSB Type C端子がディスプレイ出力として使えません。トリプルディスプレイにしたい場合はDisplayportからデイジーチェーン接続する必要があります。
Thunderbolt規格非対応だけならまだしも、通信規格はUSB 3.1 Gen1です。Type Cコネクタを使いながら通信規格がGen1なのは他製品と比較しかなり見劣りします。
2017年当時はMini ITXマザーボードでは首位を独走していたような斬新なマザーボードで高く評価していましたが、今となっては他に良いMini ITXマザーボードはいくらでも出ているのであえてこのモデルを選ぶ必要はないでしょう。
4位 MSI
・MPG Z390I GAMING EDGE AC
このマザーボードにはUSB Type Cコネクタが一つもありません。ディスプレイ出力もHDMI×1、Displayport×1のみで貧弱です。
5位 GIGABYTE
・Z390 I AORUS PRO WIFI (rev. 1.0)
USB Type Cコネクタ(3.1 Gen2)がバックパネルに付属しているもののThunderbolt規格ではありません。ディスプレイ出力はHDMIとDisplayportの2つのみです。
MicroATX
1位 ASRock
・Z390M Pro4
2位 ASUS
・ROG MAXIMUS XI GENE
・TUF Z390M-PRO GAMING (WI-FI)
・TUF Z390M-PRO GAMING
・PRIME Z390M-PLUS
3位 MSI
・MPG Z390M GAMING EDGE AC
4位 GIGABYTE
・Z390 M GAMING (rev. 1.0)
ATX
1位 Supermicro(SuperO)
他のメーカーのATXマザーボードは「どうせグラボを挿すんだろうからバックパネルのディスプレイ端子は気休め程度でいいだろう」ということで充実していないことが多く、むしろ小型のMini -ITXのほうがディスプレイ端子が充実している逆転現象が多いわけですが、Supermicroの場合はATXフォームファクタでもDisplayport×2・HDMI×1が搭載されており手厚いです。D-SubやDVIを搭載していない点も評価できます。
・SuperO C9Z390-PGW
ATXフォームファクタのSupermicroマザーボードはこの「PGW」と下記の「CGW」の2つ出ています。この「PGW」のほうが上位です。違いはメモリの対応クロック、CPUにぶら下がっているPCI Expressスロットの数、U.2スロットの有無です。
最大メモリクロックDDR4 4133(PC4-33000)、CPU管理のPCI Express×16スロット4基、M.2スロット×2、U.2スロット×2
・SuperO C9Z390-CGW
上記の「PGW」よりも下位モデルですがこちらでも十分です。グラボは2基も挿せれば十分ですしU.2スロットはエンタープライズ向けSSDを使わない限り不要です。
最大メモリクロックDDR4 3866(PC4-30900)、CPU管理のPCI Express×16スロット2基、M.2スロット×2
・SuperO C9Z390-CG
上記モデル「CGW」からWiFi+Bluetooth機能を削ったものです。