PCパーツの中で予算的に後回しにされがちなファンですが、ケースファンはPCケースに設置する目的だけでなく、CPUクーラーのファンとしても使われるので非常に重要なPCパーツです。
20cm(厚さ25mm)
20cmファンを使う機会は少ないかもしれません。CPUクーラー用のファンとして20cmファンを使うことはほぼないでしょう。使うとしたらPCケースに取り付けるファン用途です。
20cmファンを搭載できるPCケースはそこそこあります。オランダPhanteks社のEnthoo Evolv ITXはMini ITX用のPCケースながらフロントパネル部分に20cmファンを搭載できます。
また有名所ではThermaltakeのCoreV1やCoreV21ケースもフロントファンとして20cmファンが搭載できるケースです。
あとは既に品薄で過去のケースとなってしまいましたが、MicroATXケースであるAerocoolのDS Cube Windowもフロントに20cmファンを搭載しています。
現在でも手に入るMicroATXケースの有名所ではSilverStone SST-SG09,SST-SG10があります。この2つのケースはトップファンとして18cmファンを標準搭載していますがこれをNoctua製20cmファンに換装することができます。
20cmファンが搭載できるのは、CoreV1のようにマザーボードを平置きするタイプのケースか、または単純に横幅がひろくCPUクーラークリアランスを大きく確保しているケースが多いです。
1位 Noctua NF-A20 PWM
20cmファンに関してはNoctuaの「一強」です。4ピンタイプの20cmファンです。Noctuaのケースファンでは、4ピンを3ピンに変換するコネクタコードが付属しているので、それを使えば3ピンにして電圧可変でファン回転数を変えられるようになります。このファンの最大回転数は800rpmであり、そのときのノイズは18.1dB、毎時146.9立方メートルの送風量があります。付属品のL.N.A(Low Noise Adaptor)を接続すると、最大回転数を550rpmまで抑えるため、10.7dBのノイズとなり送風量は100.8立方メートル毎時となります。
この100.8立方メートル毎時の送風量は、14cmファンである「NoctuaNF-A15 PWM」の最大回転数1200rpmのときの送風量115.5立方メートル毎時より少し低い程度です。しかも14cmファンでは19.2dBもの騒音があります。100.8立方メートル毎時の送風量をたった10.7dBで実現できるのは20cmファンの特権です。
このように最大回転数の11dBのときでも非常に静かです。このファン2基をPCケースのトップファンとして2枚並べることができれば、CPUクーラー本体にファンを付けなくてもケースファンのみで冷却が可能になります。
14cm(厚さ25mm)
14cmファンはPCケースのリアファンとしては最大直径といってもいいでしょう。Fractal Design Core 500ではリアパネルに14cmファンが設置できます。また水冷のラジエータでも14cmファン×2を搭載しているものがあるため、そこでも14cmファンは採用されています。NoctuaのNH-D15Sのような大型CPUクーラーでも14cmファンが採用されています。
1位 Noctua NF-A14x25 PWM
Noctuaが開発中の14cmタイプフラッグシップファンです。NF-A12x25 PWMの14cm版です。14cmファンでもNF-A12x25 PWMタイプのフラッグシップファンの開発が進んでいるということは報道されていましたが、2019年5月にプロトタイプが公開されました。発売はまだ先になりそうですが発売されれば14cmファンの中では最高峰になるばかりか、12cmファンを超える「ノイズあたりの送風量の大きさ」を実現できそうです。
2位 Noctua NF-A14 PWM
外形が14cm×14cmの一般的な14cmファンです。ネジ穴のマウントスペースも14cmファンの規格です。
Noctua製の14cmファンには主に2種類があります。NF-A15 PWMとNF-A14 PWMの2つです。NF-A15はファンの直径が15cmあるわけではありません。ファンの直径はNF-A15もNF-A14も同じです。
何が違うかというとNF-A15では外枠の1辺を15cm、もう一辺を14cmの長方形にするかわりに丸みを帯びたラウンドデザインを採用してマザーボードと干渉しないようクリアランスを確保しています。12cmファン用のネジ穴間隔にフィットするようになっているのもNF-A15の特徴です。
一方でNF-A14では従来どおりの角ばった正方形のファンです。固定するためのネジ穴も14cmファン用の広い間隔になっています。
このような外見上の違いはありますが、実は両方とも「回転数が同じなら騒音も送風量も全く同じ」です。
違いはNF-A15は最大回転数が制限されていますが、回転数を一致させれば騒音と送風量はNF-A14と同じです。
このファンは最大1500rpmの回転数ですが、付属品のL.N.Aアダプタ(抵抗)を使うことで1200rpmまで最大回転数を落とすことができます。実はこのL.N.Aアダプタを付けた状態の回転数は、下記の「NF-A15 PWM」の最大回転数と同じです。この「NF-A14 PWM」の最大回転数を落としたバージョンが「NF-A15 PWM」と捉えることもできます。
つまり風量を確保したい場合はこのNF-A14 PWMがおすすめです。風量よりも他のPCパーツと干渉しないクリアランス重視なら下記のNF-A15 PWMです。両者ともファン自体のスペックは同じであり、同じ回転数で回せばノイズも風量も同じです。
このノイズでわかる通り、回転数が増すとかなりの騒音が発生しますが、この動画はファンの騒音の音が多く入っているので下記のNF-A15の動画のほうが参考になります。この両者のファンは同じものなので、回転数が同じなら騒音値も同じです。
他のPCパーツと干渉しない(クリアランスに問題がない)場合はこちらのNF-A14をおすすめします。回転数が多すぎるようだったら付属のL.N.Aアダプタを接続して、NF-A15と同じ回転数まで落とせばいいだけだからです。
3位 Noctua NF-A15 PWM
外形が15cm×14cmのファンです。綺麗な長方形ではなくファンの形状にあわせて丸みを帯びた外枠になっています。
これはNH-D15SというCPUクーラーで採用されているファンです。なぜ丸みを帯びたラウンドデザインになってるかと言えば、角ばったNF-A14のような角ばったデザインのファンだとマザーボード上のヒートシンク等と干渉してしまうためです。クリアランスをよくするためにこの丸みを帯びたNF-A15がNH-D15Sでは採用されています。
またファンを固定するためのネジ穴が105mm離れたものになっているため、12cmファン用の固定穴でPCケースに固定できます。
このように最高回転数でも、小型ファンにありがちなキーンといった音がしません。直径の大きいファンらしい音がします。
4位 Corsair ML140 PRO
毎分400~2,000回転、公称ノイズ16~37dB、実測ノイズ9~26db
2016年8月発売の高級ケースファンです。5年も保証がついているのはケースファンではなかなかありません。
このファンのいいところは400RPMという低速から2000RPMという高速まで幅広く調整ができることです。公称でノイズレベル16dbはかなり低いレベルです。
実際のノイズはこれよりも低いようです。400RPMほどでノイズは約9dbほどであるとこちらの動画で実測されています。左下に表示されているデータシートを見るとわかります。
私は今年組む予定のFractalDesignCore500の標準搭載ケースファンをこのCorsair製のファンに取り替えるつもりです。
このファンは4つのバリエーションで発売されています。
・ML140 PRO CO-9050045-WW
これが一番おすすめです。なぜならLED搭載モデルより安いことと、さらにはLEDのようなギミックが付いているものよりかは付いていないほうが故障率が下がるからです。ファンそのものの故障と、LEDの故障の両方が可能性としてあり得るので、LED故障が単なる点灯せずで終わってくれればいいですが過電流になるなど実害があるのならファンごと取り外すしかなくなります。よって私はこのLED無しバージョンをおすすめします。
・ML140 PRO LED Blue CO-9050048-WW
・ML140 PRO LED White CO-9050046-WW
・ML140 PRO LED Red CO-9050047-WW
5位 CRYORIG QF140 SILENT
CryorigはNoctuaに比べるとそこまで性能がよくないのでNoctuaファンがおすすめです。
12cm(厚さ25mm)
古いPCケースだとリアファンの直径が8cmのものが主流でした。その後9cmのファンが搭載されるようになり、現在でもCPUクーラー高が14cm以下程度に制限されている小型PCケースだと9cmファン搭載のものが多いです。クーラー高16cm程度でも搭載できるPCケースだと、リアファンとして12cmファンが搭載可能なPCケースが一般的です。
1位 Noctua
・NF-A12x25 PWM
2018年5月発売。Noctuaから発売される12cmファンの中ではフラッグシップモデルであり最高級品。PWM対応の4ピンで、回転数は450rpm~2000rpmで、回転数2000rpm時の最大ノイズレベルは22.6db。厚さは25mmであるため通常の厚み。コンパクト性よりも冷却性能と静音性を同時達成したい場合に選択するファンです。
私はこのファンをいくつも購入して実際に使っているのですが、ほぼ無音状態を維持するのなら1000rpmあたりが限界です。CPUクーラーのファンとして使うなら1200rpmでもほぼ無音なのですが、ケースファンとして使う場合は音が外に出やすいので1000rpmくらいまでです。
また意外だったのが、最大回転数で回したときに15mm厚のNF-A12x15 PWMのほうが体感的には静かだということです。計測する騒音値としてはA12x15のほうが大きいのですが、実際に耳で聴く音としてはこのフラッグシップファンNF-A12x25 PWMよりもNF-A12x15 PWMのほうが静かです。風量は15mm厚のほうが10㎥/時程度少なく静圧値も小さいのですが、Corsair H60のラジエータファンとして使ってもCinebench R20一周後にNF-A12x25 PWMより1℃高くなってしまう程度です。15mm厚ファンは25mm厚ファンを搭載するスペースがないときに「妥協して」使うものだと考えている人が多く私もその一人だったのですが、実際に双方のファンを交換して何度も試したところ実際に耳で聴こえる騒音値としては15mm厚のほうが静かなので、特に小型のPCケースを使う場合には15mmのNoctuaファンも検討してみるといいと思います。
・NF-A12x25 FLX
2018年5月発売。上記モデル「NF-A12x25 PWM」の3ピン版です。電圧制御で回転数を制御することになります。最大回転数は2000rpmであり上記モデルPWM版と全く同じ。最大ノイズレベルも22.6dbで全く同じです。PWM制御に対応しているマザーボードなら上記モデルのほうがいいでしょう。
・NF-A12x25 ULN
2018年5月発売。上記モデル「NF-A12x25 FLX」の最大回転数を落としたバージョンです。もの自体は全く同じなので品質は同じであり、単に最大回転数を1200rpmに制限することによって、最大ノイズレベルを12.1dbにしているだけです。3ピンの上記モデルや4ピンのモデルの回転数が1200rpmのときも12.1dbのノイズレベルになるので、ファン自体そのものは全く同じということになります。PWM制御に対応していないマザーボードを使いつつ、最大回転数を抑えて静音にしたい場合はこのファンを選択します。4ピン対応でPWM制御できるマザーボードなら「NF-A12x25 PWM」を買えば最大回転数を1200rpmに設定することもできるので、PWM対応版を買ったほうがいいです。
2位 be quiet
私は以前このメーカーに見向きもしていなかったのですが使ってみたら良いものでした。しかしフラッグシップモデルのSILENT WINGS 3であっても、Noctuaフラッグシップモデルには敵いません。
・SILENT WINGS 3 120mm PWM BL066
私は以前このファンを実際に使用していましたが、Noctua NF-A12x25 PWMと比較すると明らかに騒音が大きいです。Noctuaのほうが静かな上に送風量も多く、またコネクタの出来もNoctuaのほうが優れています。このSILENT WINGS3のコネクタは一度接続すると硬くてなかなか取り外せません。Noctuaはファンのコネクタのみならず、付属する延長ケーブルやLNAケーブルのコネクタも簡単に取り外せます。すべての出来においてNoctuaのほうが上です。
・SILENT WINGS 2 PWM BL030
2014年発売。後継品としてWINGS 3が発売されています。
・SILENT WINGS 3 120mm PWM High-Speed BL070
14cm 薄型タイプ(厚さ15mm以下)
小型ケースに大型ヒートシンクのCPUクーラーなどを組み込んでいると、ヒートシンクがリアケースファンとぶつかり干渉することがあります。
大半のケースファンは25mmの厚みがあるので、これを15mm以下の薄型ケースファンに取り替えるだけで干渉を回避できることが多いです。
また大型CPUクーラーだと高さが15~16cmあり、ケースファンを天板(トップ)に取り付ける場合にこれまた干渉しやすいので、その場合も薄型のケースファンにすることでCPUクーラーとの干渉を回避することができます。
14cmの薄型ファンはNoctuaからラインナップがないため、消去法的にThermalrightが一番おすすめです。
1位 Thermalright
・Thermalright TY-14013
あまりにも品薄で、Amazon.co.jpでもAmazon.comでもプレミア価格になってしまっているケースファンです。全く入手できないわけではありません。ロープロファイル型のThermalright AXP-200というCPUクーラーを買うと付属ファンとしてくっついてきます。しかしヒートシンク本体が要らないのに付属ファンだけのためにCPUクーラーを買うのも微妙です。
14cmかつ薄型のファンとして静音性も冷却性能の間違いなくトップなので、ここまでプレミアム価格になってしまっています。せっかくいい製品なのに品薄で手に入りにくいのは本当に残念です。
このファンには色ごとに派生品があります。
・・TY-14013R
これが一番手に入れやすいです。色はファンがレッド、フレームがブラックです。
・・TY-14013WB
WBはWhiteBlackのことです。このファンは単品というよりも付属ファンとして出回っています。ブラウンよりもこちらの方が私は好きですが単品で売られていないのが残念です。
2位 Raijintek
RaijintekはCryorigよりも廉価なメーカーという位置づけですが、14cmの薄型ファンに関しては優秀だと思います。
・Aeolus α(アイオロス アルファ)
このAeolus αシリーズは以下の3色が展開されています。以下3つの性能は同じなので色の好みだけです。
・・Aeolus RW OR400001
・・Aeolus BW OR400002
・・Aeolus BB OR400003
静音性と風量の評価をしていきます。
最小回転数が770rpmになっており最小回転数のわりに大きい数字ですが、風量は40.8CFMもありノイズはたったの11.3dbです。以下のCryorig XT140よりも0.1ポイントだけノイズが大きいですが、XT140の風量はあまりにも少ないのでこちらのファンの方が優秀です。
また回転数1,342rpmで風量68.7CFMに達してノイズはわずか20.3dbです。Cryorig XT140が1305rpm,56.5CFMで21.5dbであることを鑑みるとこの回転数でもRaijintekの方が優秀です。
3位 Cryorig
メーカー自体の信頼性ではCryorigの方がRaijintekより上ですが、製品の静音性と風量を評価した上でCryorigは3位としました。
・XT140
XT140の実測値は最小回転数622rpmで風量27.5CFMに達しそのときのノイズは11.2dbとなっています。回転数のわりに風量が少ないことがわかります。
回転数1,305rpmの場合は風量56.5CFMに達してノイズは21.5dbです。最大回転数でもノイズは比較的小さいです。
4位 SilverStone
・SST-FW141
5位 PROLIMA TECH
・Ultra Sleek Vortex 14
2013年発売。発売から時間が経過し品薄になっているためプレミア価格になってしまっていますが、そこまで価値があるファンかというとそうでもなさそうです。
最大回転数が低いのがメリットだと言えそうですが、最低回転数578rpmで11.7dbノイズでありあまり静かとは言えません。最大回転数964rpmで17.9dbのノイズになっていますが風量はたった53.6CFMです。この風量は先程のRaijintekのファンではたった15.5dbで達成しています。
価格が数万単位になってしまっているのであえて買う必要もないと思います。
12cm 薄型タイプ(厚さ15mm以下)
12cmの薄型ファンもNoctuaの一強です。
1位 Noctua
・NF-A12x15 PWM
最大回転数1850rpm(23.9dB)でそのときの風量は94.2㎥/時です。この風量は15mm厚にしてはとても多いです。
例えば2018年に発売されたNoctuaフラッグシップモデルの「NF-A12x25 PWM」は最大回転数2,000rpm(22.6dB)で風量102.1㎥/時です。たった7.9㎥/時の差です。しかも回転数はこちらの15mm厚ファンのほうが低いです。しかし最大回転数時の騒音値は15mm厚のほうが遥かに大きいです。たった1.3ポイントの差ですがデシベル値は対数値なので1.3ポイントあがるだけでかなり騒音が大きくなります。
静音性を重視するなら25mm厚のNoctuaファンの方が圧倒的に有利です。しかし風量だけを気にするのなら、そこまで大きく性能が変わらないのでこの15mmファンもかなり使えます。
2位 クーラーマスター
Noctuaの15mm厚ファンが25mm厚ファンと同じくらい静音性と風量で優秀なのであえて2位以下は選ばなくていいと思います。
・XtraFlo 120 Slim R4-XFXS-16PK-J1
このファンのいいところは最低回転数がとても低いことです。最低回転数が576rpmと低く、最低ノイズ11.6dbです。さらに回転数の上限に近い1502rpmでも20.3dbのノイズです。これはかなり静音な方です。
しかも回転数あたりの風量はSilverStone SST-FW121より多く、ノイズあたりの風量もほんの若干ですが多いです。12cmかつ薄型では現状これが消去法的にベストではないかと思います。
3位 SilverStone
・SST-FW121
2014年発売。4ピンでPWM制御対応。私はこれをThermalright製ロープロファイルCPUクーラーのファンにしました。Thermalright純正の付属ファンはあまり出来がよくなかったためです。さらにノイズが小さいものがサイズから出ていますがそちらは電圧制御での回転数制御しかできません。電圧制御だと低速でファンを回し続けることが難しいためです。PWM制御を使えば低速でも回転させることができるので、このファンの方がサイズ製のファンよりも静音にできます。
このファンが微妙なところは最低でも12.3dbのノイズが出てしまうところです。最低回転数が1098rmpであり大きいと言えます。
最大回転数は2025rpmとなっており、これはカタログスペックの2000rpmそのものです。このとき22.4dbもノイズが出てしまうので少し五月蝿いです。
・SST-FN123
2014年発売。上記のファンのPWM制御非対応番です。3ピンです。つまり電圧制御で回転数を変えるタイプです。このタイプはSilverStoneであってもおすすめしません。
最低回転数が937rpmと高めなのもSST-FW121と同じです。このとき11.8dbのノイズが発生します。クーラーマスターよりも大きいです。
また最大回転数に近い1842rpmのとき20.5dbのノイズが発生しています。これもクーラーマスターのファンより大きいです。
4位 AINEX
・AKASA Slimfan AK-FN078A
・AKASA Slimfan AK-FN078
2014年発売。このモデルの型番を変更しただけのものが上記のAK-FN078Aです。
・CFZ-12015SB
2016年発売。3ピンPWM非対応。下記ファンの後継品。ファンの羽枚数が13に増加。
回転数1300RPM、ノイズ24.5dB、風量43.0CFM。先行品のCFZ-12015SAよりも風量が少し増えていますがノイズも増えています。
・CFZ-12015SA
2015年発売。3ピン、PWM非対応。9枚羽でありこれの13枚羽版が上記のモデルです。上記モデルの先行品がこのファンです。
1300RPM、ノイズ24.19dB、風量42.09CFM。
・CFZ-12015S
上記モデルCFZ-12015SAと全く中身は同じです。
5位 サイズ
サイズのファンというのは非常にわかりやすく、最大回転数ごとにファンがラインナップされています。サイズから出ているものはすべて電圧制御なので、回転数を制御しCPU不可が低いときには低速で回すといった用途には向きません。PWM制御対応のものは一つも発売されていません。最大回転数になってもうるさくならないように、最初から最大800rpm(回転毎分)のファンに仕立て上げてしまう、というのがサイズ製ファンの特徴です。
・KAZE-JYUNIスリム SY1212SL12SL
2009年発売。800rpmで。最大回転数が800rpmしかないので
ケースファンの品質はPCの静音性に直結する
ケースファンはPCの静音化において非常に重要です。なぜならPCケースのリアパネルやフロントパネルに直付けしてファンを設置するため、ファンの騒音がPCの外に漏れやすいためです。CPUクーラーの場合はPCケースの内部にあるので、CPUクーラーに付けるファンの騒音がそのままの大きさでPCケース外に漏れ出すわけではありません。しかしケースファンの騒音は直接的にPCケース外への騒音となるため、PCを利用するユーザーが耳にする騒音に直結します。
PCケース付属のファンは粗悪品が多い
PCケースに付属しているケースファンは粗悪品が多いです。粗悪の定義は「回転数が大きいかつ騒音も大きいのに、風量が小さく冷却性が悪い」ことです。良いケースファンというのは「回転数が少ないかつ静音なのに、風量が大きく冷却性が高い」ことです。
PCケース付属のケースファンが粗悪な理由は単純で、PCケースの価格競争力を高めるためにはファンに製造原価をかけてる余裕がないからです。PCケース製造企業はPCケース本体の製造にお金をかけるため、ファンの品質は二の次になると言ってもいいでしょう。
PCケース内部の冷却性向上と静音性向上のためには、付属のPCケースファンを取り外し、別途購入した高品質なケースファンに交換するというのは自作PCでは基本中の基本です。
「ケースファン」はCPUクーラーのファンとしても使う
CPUクーラーに付属しているファンも、PCケースに取り付けるファンも違いはありません。両方とも等しく「PC用のファン」です。「ケースファン」として売られているものは当然CPUクーラーのファンとしても使えるということです。
「ケースファン」という用語は「PC用の規格に準じたファン」という意味が正確です。PCケースで使われるファンは小さいものから8cm、9cm、12cm、14cm、20cmで規格化されています。厚さは25mmか15mmが多いです。CPUクーラーで使うファンもそれに合わせておくと部品交換の面でメリットが大きいため、CPUクーラー用のファンもこれらの規格に順じていることが多いです。
CPUクーラーの場合は、クリアランスを優先するために独自規格の形状のファンを付属させていることがたまにあります。例えばCryorigのC1は独自規格のファンであり、一般的なケースファンに交換できません。またBeQuietのCPUクーラーも135mmの特殊サイズファンを付属させていたりします。これらのCPUクーラーのファンは部品交換の面で不利ですが、ファンを固定するためのクリップさえ入手できれば一般的なケースファンに交換できます。
このようにCPUクーラーを静音化したくて、CPUクーラー付属のファンを交換するためにわざわざ「ケースファン」を購入する人はとても多いです。むしろそちらのほうが「PCケース本体に設置するためのファン購入」よりも需要は大きいと思います。
ラジエータをPCケースに内蔵させるタイプの水冷CPUクーラーを使うのなら、水冷CPUクーラーのラジエータファンでケースファンの役割も兼務させることができます。その場合ラジエータファンをNoctua製の静音ファンを購入して取り付けたほうが静音化できます。
ファンは大型かつ厚いほうが冷却性能高(送風量大)
ファンは「設置スペースが許される限り、大型かつ厚いものを選ぶ」が鉄則です。
ケースファンは12cmか14cmあるのが理想です。直径が大きければ大きいほど低い回転数で大きい風量が得られるからです。
同じ回転数なら直径が大きいファンほど風量が増えます。冷却重視の場合は直径が大きいファンの方が有利です。
またファンは厚ければ厚いほど「少ない回転数でも送風量を大きく」できます。また、「同じ騒音値でも、ファンが厚いほうが送風量を大きく」できます。つまり25mmのファンを設置できるスペースがあるのなら、15mmのファンを使うよりも25mmのファンを使ったほうが有利です。
取り付けることができるケースファンの大きさはPCケースの仕様によって制約されています。できるだけ静音のファンを取り付けたい場合は、PCケースの選定時点から考慮すべきです。
フロントファンは14cmが取り付けられるケースが多いですが、リアファンの場合は大型ケースでも12cmファンまでしか取り付けられないものが多いので注意です。
意外とうるさい14cmファン 静音性重視なら12cmファンが優秀
ファンは直径が大きければ大きいほど、ファンの回転数を下げられるため静音化できるというのが「通説」です。しかし実際に14cmファンや12cmファンを使ってみるとそうでもないことがわかります。
まずNoctuaの14cmファン「NF-A14 PWM」の場合です。このファンは静音性を維持するのなら500rpmが限界です。最低回転数は300rpmのファンですが、静音で使えるのは450rpmくらいまでです。600rpmまで行ってしまうとこの時点でかなりの轟音になります。このファンの最大回転数は1500rpmで、そのときの送風量は140㎥/時です。ファンの回転数500rpm時の送風量は47㎥/時程度です。つまり静音性を重視するとしたら14cmファンの送風量は大して大きくありません。
一方で12cmファンの「NF-A12x25 PWM」だと1000rpmでもまだまだ静音です。1200rpmまでいくと騒音が少し聴こえてきます。このNF-A12x25 PWMの最大回転数は2000rpmでありそのときの送風量は102㎥/時です。つまり静音である1000rpmのときの送風量は51㎥/時であり、14cmファンのNF-14 PWMを上回る送風量です。
たとえ回転数が低くてもファンが風を切る音というのは思いの他大きいということがわkります。
ただし、最大回転数にしたときに送り込める風量の絶対数は14cmファンのほうが遥かに大きいです。静音性は度外視してとにかく冷却性能重視というのなら12cmファンより14cmのほうが良い選択です。
ファンが送り込める風量の単位CFMと㎥/h
ファンの風量の単位としてCFM(cubic feet per minute)がありますが、具体的にどの程度の風量なのかイメージがわかない人が多いのではないでしょうか。
1フィートは12インチなので、1辺が12インチの立方体におさまる空気を1分間に送り出す量が1CFMです。
1インチを2.54cmとすると1フィート=12インチは約30cmです。つまり1辺が30cmの立方体を考えて、その中におさまる空気が1分間で何個分だけファンを通過するかという単位です。
例えば60CFMだとしたら、1辺30cmの立方体におさまる空気を1秒間で送り出すことになります。これはかなり大きい数値です。実際にファンを60CFMの風量で回すとかなりのノイズになります。
㎥/hをCFM変換するときは約0.6倍する
CFM以外にも送風量の単位があります。㎥/hです。これは1辺が100cmの立方体に入る気体量を1時間に送り出す風量の単位です。1㎥は1cubic feetの約35.34倍です。ここでCFMは1分間あたりの単位である一方、㎥/hは1時間あたりの単位であることに注意すると、35.34/60で0.589倍となります。つまり㎥/h単位の風量数値の約6割がCFM単位の風量数値になります。