【2019年最新版】おすすめCPUクーラーの比較 サイドフロー・トップフロー空冷式をクーラー高ごとにメーカーランキング評価

空冷式のCPUクーラーをクーラー高ごとに比較しています。サイドフロー型とトップフロー型のメリット、デメリットを比較したあとにクーラー高ごとにおすすめのCPUクーラーを覚え書きとして記載しています。

簡易水冷式(ポンプとラジエータ一体型)CPUクーラーについてはこちらで比較しています。

インデックス:

サイドフロー型CPUクーラーのメリットとデメリット

PCケースは前面から空気を吸い込んで、背面から熱風を排出するパターンのものが殆どです。そのようになっている理由は、PCケース前面から排気するようにしてしまうと扇風機の風のように人体に風が常時当たることになり好ましくないからです。通常PCは壁の近くに置いて、PCの向こう側には人が居ない壁になります。よってPCの排気は背面から行うのが一般的です。

そのようなエアフローと親和的なのがサイドフロー型CPUクーラーです。

2013年の「虎徹」発売によって大流行したサイドフロー型

2014年以降あたりからサイドフロー型の全盛期でした。虎徹が2013年に発売されたことにより、「安くて冷えるクーラー」として16cm高のCPUクーラーが流行しました。

サイドフロー型CPUクーラーは2005年発売の「Noctua NH-U12」から存在していましたが、大きく流行したのは株式会社サイズから虎徹が発売されて以降です。

メリット1: サイドフロー型はPCケース内部のエアフローと親和的

PCケース内部のエアフローではケース前面からケース背面に空気が流れますが、この流れだとサイドフロー型のCPUクーラーの親和性が高くなります。前面から背面への空気の流れの途中にサイドフロー型CPUクーラーを置けば、CPUの熱を拡散させた熱気をそのまま綺麗にPCケース背面まで持っていけるからです。

一方でトップフロー型だと、PCケース前面からPCケース背面へのエアフローと、トップフロー型CPUクーラーのファンがCPUソケットへ送りつけるエアフローと直交することになってしまいます。つまり90度方向が異なります。

トップフロー型のCPUクーラーでCPUの熱を含んだ熱気はPC背面に送られずにCPU周囲360度に拡散されます。CPU上部からマザーボードに熱気を吹き付ける形です。

こうなるとマザーボードで反射した熱気は再度上昇し、またCPU上部のCPUクーラーのファンに吸い込まれるループに陥ります。これがトップフロー型CPUクーラーよりもサイドフロー型CPUクーラーのほうが冷却性能で有利と言われる理由です。

デメリット1: サイドフロー型は最低でも110mmのクーラー高が必要

PCケースに搭載可能なCPUクーラーの高さの余裕のことを「CPUクーラークリアランス」と呼びます。コンパクトなPCケースだとCPUクーラーのクリアランスが悪いことが多く、逆にクリアランスを良くしようとすると大型のPCケースが必要です。

NoctuaのNH-D9Lは全高110mmで小型の9cmファンながらもよく冷えるクーラーなのですが、サイドフロー型を選ぶとなると最低でもこのくらいのクーラー高になってしまいます。PCケースが大型になってしまうのがサイドフロー型CPUクーラーのデメリットです。

デメリット2. クーラー高の割にファンが小さいサイドフロー型

年数が経過するに連れてサイドフロー型の欠点も浮き彫りになってきました。それはサイドフロー型はクーラー高が高いわりには取り付けるファンの直径を大きくできないということです。

NoctuaのNH-D15Sは14cmファンに対応していますが、それでも正方形タイプのファンではなくラウンドタイプのファンになってしまいます。

虎徹にいたってはクーラー高16cmもあるのに搭載できるのはたった12cmのファンでした。それは2017年に発売された後継品でも同じです。

虎徹が12cmファンしか搭載できないのは正方形タイプの12cmファンを使っているからです。もし14cmファンにしたい場合はNH-D15Sのようにラウンドタイプのファンにしなければなりません。

サイドフロー型でファンを大きくできない理由は、サイドフロー型だとファンがマザーボード上の部品と干渉してしまうからです。

2019年頃から復権してきているトップフロー型

トップフロー型のCPUクーラーはサイドフロー型よりも昔から存在していた「古典的な」CPUクーラーです。「古典的な」という意味は古くて時代遅れという意味ではなく、昔も現在でも通用する枯れた技術のCPUクーラーという意味です。

CPUの性能が低く発熱量が低い時代に好んでトップフロー型が使われていたため「トップフロー型=ローエンド」というイメージが強く定着しています。実際はハイエンドのトップフロー型CPUクーラーもあるのですが、数の多さでいえばローエンド向けが多いので「トップフロー型はローエンド」という位置づけが現在でも主流です。

しかし現在ではMini ITXマザーボードが使用されることが増えたり、冷却が難しいM.2 SSDをマザーボード上に搭載することが増えたことから、これらマザーボード上の部品を冷却することができてしまうハイエンド向けのトップフロー型のCPUクーラーが見直されてきています。

トップフロー型はCPUソケット方向への送風のほうが冷える

トップフロー型にするときはファンの送風方向をCPUソケット方向にするのか、あるいは逆に向けてPCケースのカバー方向に送風するのかといった「パラメータ」が発生します。これについてはCPUソケット方向のほうがCPUの冷却効率が高いことがわかっています。

理由は、PCケース外の低い温度の空気を取り込んでCPU方向に吹き付けるほうが冷却効率が高いからです。ケース外方向への送風にしてしまうと吸い込む気体はPC内部の温まった気体になってしまいます。さらにPCケース方向へ送風しようとしてもその空気はPCケースから全て出てくれず一部はPCケースで跳ね返って来てしまいます。

そのためPCケース外へ向けた送風は不利であり、CPUソケット方向への送風のほうが冷えることになります。

メリット1. トップフロー型はクーラー高37mm~134mmまで幅広くラインアップ

トップフロー型はクーラー高が低いものがメインで、低いものだとNoctua NH-L9iの37mmがあります。これはTDP95Wが限界ですが、クーラー高37mmのサイドフロー型CPUクーラーというのは存在しないので、低いタイプのクーラーが存在するのはサイドフロー型のメリットです。

トップフロー型でクーラー高が高いものだとDark Rock TFがあり、ファンをNoctua製に換装してクーラー高134mmです。これはTDP220Wまで対応しています。このように冷却能力ごとに幅広いラインナップがあるのがトップフロー型の特徴です。

メリット2. トップフロー型はクーラー高が低くても14cmファン搭載可

トップフロー型で最も冷えると言われているBeQuietのDark Rock TFはクーラー高たった131mmです。トップファンをNoctua製に交換しても全高134mmです。それなのに通常の「正方形タイプの14cmファン」を2つも搭載できます。サイドフロー型は14cmファンを2基搭載するにはクーラー高157mm以上を確保しなければなりません。しかもサイドフロー型だと正方形14cmは搭載できず、丸みを帯びたラウンドデザインの14cmファンだけです。NoctuaのNF-A14(正方形タイプ)とNF-A15(ラウンドデザイン)を比較してみるとわかりますが、正方形タイプのNF-A14のほうが回転数を多く確保できています。回転数あたりの送風量とノイズはNF-A14もNF-A15も全く同じです。ラウンドデザインのNF-A15では回転数をあらかじめ絞ってあるのは、ラウンドデザインだとフレームが弱く回転数を多くすると振動が大きくなるためどうしても回転数を正方形タイプ(NF-A14)より少なくしなければならないからです。

一方でトップフロー型は正方形タイプの14cmファン(25mm厚)を2基搭載するために、たった134mmのクーラー高があるだけで足ります。

メリット3. トップフロー型はM.2SSD、VRM、メモリを冷やせる効果もある

トップフロー型ではファンの送風方向をCPUソケット方向にしたほうがCPUが冷えることは明らかになっていますが、実はCPUだけでなくマザーボード上の他の部品を冷やす効果もあるのがトップフロー型のメリットです。

マザーボード上には電圧を制御するVRM(Voltage Regulator Module)やM.2SSDなど発熱量が大きい部品が点在しています。メモリ(RAM)も冷却にこだわるユーザがいるパーツの一つです。これらの部品を冷やすために個別に小型ファンを設置するのは面倒な上に騒音の元になります。

トップフロー型のCPUクーラーで14cmファンを搭載するとメモリにも付随的に送風できてしまいます。またマザーボード表面にあるM.2SSDにも自動的に風を当てることができます。サイドフロー型のCPUクーラーではこのような送風はできません。

特にMini ITXマザーボードは一辺が17cmの正方形です。14cmファンをトップフロー型で使うと、マザーボードのほぼ全面をカバーして送風することができます。VRM、チップセット、M.2SSDなどヒートシンクが搭載されている高発熱パーツに対して、14cmの巨大ファンで送風できることはトップフロー型の大きなメリットです。

デメリット1. トップフロー型はメモリの上部と干渉しやすい

トップフロー型がハイエンドのものになるとメモリ上を覆ってしまうタイプのものが多いです。つまりメモリの高さが制限されます。ヒートシンクが大きいメモリを使おうとするとトップフロー型CPUクーラーのヒートシンクやファンと干渉します。

デメリット2. トップフロー型は熱気を再度吸い込み易い

サイドフロー型だとヒートシンクを通過した熱気はそのままPCケース背面からケースファンケースで出ていってくれます。しかしトップフロー型だとマザーボードへ風を送るため、それが跳ね返ってきたものがなかなかPC外部へ出てくれず、再びCPUクーラーのファンがその熱気を吸い込むループに陥りがちです。PCケース内部のエアフローが難しくなるのがトップフロー型のデメリットです。

空冷式と水冷式で異なる冷却特性 空冷式は瞬時にCPU温度が上がってしまうが水冷式はゆっくり上昇していく

空冷式CPUクーラーではCPU負荷が上昇し消費電力が急激に増えるとCPU温度も急激に上昇します。一方で水冷式CPUクーラーではCPUの負荷が上昇してもゆっくりCPU温度が上昇し急激に上がることはありません。このような違いはどこから来るのでしょうか?

この違いは、水冷式クーラーは「比熱の大きい液体」が熱伝搬の役割を担っていることに起因します。一方で空冷式クーラーは熱伝搬の役割を担っているのは銅製のヒートパイプです。銅は熱伝導率が非常に高い素材ですが、比熱が0.379[J/g・K](単位はジュール毎グラム・ケルビンと読む)であり非常に小さいです。この0.379という数値は1gの銅を1℃上昇させるのにたった0.379Jの熱量があればいいことを表しています。1秒間あたりに1J発生させる仕事率を1Wと定義するため、TDP95Wの発熱量があるCPUを1秒間動作させると95J発生するので250gの銅をたった1秒で+1℃も上昇させてしまいます。10秒間だと+10℃です。つまりCPUの負荷が上がり消費電力が増えると、発生した熱は短時間で銅の温度を上昇させてしまいます。さらに銅製ヒートパイプと接続されているヒートシンクのフィンはアルミ製です。アルミの比熱は0.880[J/g・K]でありこれまた小さい数値です。

これが空冷式CPUクーラーを使ったときにCPU温度が急激に70~80℃近くまで上昇し、負荷が下がると急激に冷えて20~30℃台まで下がるといった大きな起伏を繰り返す特性の要因になっています。

一方で水冷式CPUクーラーの場合、CPUからラジエータまでの熱伝搬の役割を担うのは銅ではなく液体です。水の比熱は4.217[J/g・K]もあります。実際には水冷式CPUクーラーで使われる液体(クーラント)は防錆剤が入っているため水の比熱よりも小さいのですが、ここでは水の比熱4.217[J/g・K]を使って計算してみます。

簡易水冷一体型の水冷式CPUクーラーでは約150mlの冷却液が充填されています。水は1ミリリットルあたり1gなので、150gの冷却液が水冷式CPUクーラーのチューブやポンプやラジエータに充填されているわけです。

仮にラジータのファンを停止させてラジエータからの放熱量がゼロだと仮定しても、TDP95WのCPU発熱量が10秒間続いた場合であってもたった+1.5℃の温度上昇に留まります(95W×10秒÷4.217÷150g)。100秒間続いたとしても+15℃の上昇です。ラジエータから全く放熱されていないと仮定してもこの上昇幅です。先程の銅の事例でみた10秒間で+10℃の上昇に比べると非常に小さい上昇幅になっていることがわかります。

そのかわり水のように比熱が大きいと冷却するときも時間がかかります。つまり水冷では温度上昇もゆっくりだけれども、冷やすときもゆっくり冷えていくということです。そういう意味では比熱の大きい冷却液は、比熱の小さい銅よりも優れてもなければ劣っているわけでもありません。単にCPUから発生した熱の放熱作業を先延ばしをするための「バッファ」としての特性が水冷式CPUクーラーの冷却液にあるというだけであり、先延ばしした放熱作業は最終的にラジエータが一手に担うことになります。冷却液の比熱の大きさに甘えて放熱を先延ばししても、その後ラジエータから冷却液の熱を放熱する時間が長くかかることで跳ね返ってきます。

つまり最終的にはラジエータの熱拡散性能が全てだということです。ラジエータの熱拡散性能が水冷式CPUクーラーの性能を決定します。

水冷式より故障率が低く可用性が高い空冷式CPUクーラー

空冷式CPUクーラーは水冷式CPUクーラーよりも故障率が低いです。

水冷式CPUクーラーは「1.ラジエータのファン」、「2.冷却液を運ぶポンプ」の2つの駆動部品を抱えています。

この2つの駆動部品のうち片方だけでも故障してしまえば水冷式は機能しません。例えばポンプの稼働率を99.9%(故障率0.1%)、ラジエータファンの稼働率を99.9%(故障率0.1%)と仮定します。水冷式CPUクーラーが故障するのは「ポンプとラジエータファンの少なくとも一方が故障したとき」です。この故障率を計算すると、1-0.999×0.999=1.000-0.998(有効桁数3)=0.002となり、故障率は0.2%になります。

ファン単品の故障率は0.1%である一方、水冷式CPUクーラーの故障率は0.2%となり約2倍の故障率となっていることがわかります。水冷式だとポンプかファンかどちらか片方でも故障した時点でダメになるのでこのような結果になります。

一方で、空冷式の駆動部品はヒートシンクに取り付けるファンのみです。ファンの稼働率を99.9%とすれば故障率は0.1%であり、これが空冷式CPUクーラーの故障率です。水冷式CPUクーラーよりも可用性が高いことがわかります。

さらにデュアルファン構成の空冷式CPUクーラーだと故障率は更に低くなります。ファンを2基搭載した空冷式CPUクーラーでは、ファンが片方故障して停止してももう片方のファンが稼働していればCPUの温度は数度上がる程度で済みます。つまり「空冷式CPUクーラーは2つのファンのうち少なくとも一方が稼働していればOK」ということです。

これを元にデュアルファン構成の空冷式CPUクーラーの故障率を計算してみると、0.001×0.001=0.000001(有効桁数1)となり、デュアルファン空冷式クーラーの故障率はたった0.0001%です。全く故障しない状態を稼働率100%(有効桁数無限大)とすると、このデュアルファン構成の稼働率は99.9999%になります。

まとめると、水冷式ではラジエータのファンとポンプのモーター2つが同時に稼働していなければならないので、どちらか一つでも故障するとアウトであるため稼働率は低くなり故障率は高くなります。空冷式では駆動部品がファンだけであるため、ファンが動き続けてる限り空冷式CPUクーラーは故障せず、高い稼働率=低い故障率を実現しています。

CPUクーラーに搭載するファンで騒音値がほぼ決まる

CPUクーラーの騒音には空気がヒートシンクを切る音も含まれるのですが、最も支配的なのはファンの回転数から起こるファン自体から出る騒音です。

よってファンの回転数を下げることはCPUクーラーの騒音低減に直結します。

しかしファンの回転数を下げると風量(㎥/時、CFM)が下がり、CPUクーラーの冷却性能が低下します。

そこでファンの直径が大きければ、少ないファンの回転数でもある程度の風量を確保することができます。遅い回転でもファンの直径が大きければCFMはある程度大きくなるわけです。

よってファンの直径は大きければ大きいほど静音性で有利なのですが、大きいファンを使うとCPUクーラー高が大きくなりPCケースに収まらないことが起こり得ます。静音化のためにはある程度大きなPCケースが必要であり、トレードオフの関係にあります。

Noctua NH-D15Sのようなクーラーでは14cmファンが搭載されているものもあります。

Noctua製のファンに換装するのが定石

Cryorig製のCPUクーラーにはCryorig製のファンが付属しており、Thermalright製のCPUクーラーにはThermalright製のファンが付属しています。自社が販売するファンを付属させるのは自然です。

しかしそれらの付属ファンは決して高品質とは限りません。Noctua製のファンは優秀なので、Noctua製のCPUクーラーに付属しているファンを買い換える人はあまりいませんが、他社のCPUクーラーを買ったときに別途Noctua製のファンに換装するのは静音性や冷却性にこだわる自作ユーザの間では定石です。

16cm ≦ クーラー高

このクーラー高に対応しているMini ITXケースは「RAIJINTEK Metis plus」が有名です。「Fractal Design Core500」や「Fractal Design Define Nano S」は無駄なスペースが大きいですがMetis plusはクーラー高16cm対応な割に小型ケースであるため、Metis plus+Noctua NH-D15Sで冷却能力の高い小型PCを組んでいる人も多いです。

1位 Be Quiet

・DARK ROCK PRO 4 BK022

全高162.8mmの大型クーラー。TDP240W。6mm径のヒートパイプ7本。これだけ外形が大きいのに対応TDPたった240Wと思うかもしれませんが、Be QuietのCPUクーラーは数値を盛っていないので実際にこの対応TDPだけの冷却性能があります。

国内正規代理店がないこともあって日本国内では各メディアが積極的に取り上げずあまり人気のないCPUクーラー。海外ではNoctuaとBe QuietとサイズのCPUクーラーが空冷では支持されています。このDark Rock Pro 4はツインタワー式のクーラーで、NoctuaのNH-D15SやCRYORIG R1 Ultimate V2と競合するCPUクーラーです。

名称が似ている「Dark Rock 4」はツインタワーではなくシングルタイプでヒートパイプが6本であり、「Dark Rock Pro 4」とは異なるので注意。

このDark Rock Pro 4に限らずBeQuiet製のCPUクーラーは取り付けが難しい(面倒な)ことで有名。取り付けさえクリアすればこのDark Rock Pro4はNH-D15Sより冷えますが、インストールの難しさを嫌ってNoctua製を選ぶユーザは多いです。日本では個人出品者が高値で出品しているものを買うことになってしまうことが多いので米国Amazon.comから個人輸入するのが安上がりになります。

2位 Noctua

・Noctua NH-D15

2014年5月発売。クーラー高165mm、14cmファン(NF-A15 PWMが付属)。ヒートパイプ6本。

結論から言うとヒートシンク自体の性能はNH-D15とNH-D15Sなら、NH-D15のほうが上です。ただノイズあたりの冷却性能になると、ファンが標準2基のNH-D15は不利です。特に高回転数になる高発熱時だと、NH-D15はNH-D15Sよりもノイズあたりの冷却性能で不利になります。

そのかわり、ファン2基のNH-D15のほうがノイズあたりの冷却性能は有利です。

とはいっても、NH-D15だからといってファン2基搭載しなければならない制約なんてないので、1基に減らして運用してもOKです。逆にNH-D15Sをファン×2で運用してもいいわけです(NH-D15Sにはファンクリップがもう一組おまけで付属している)。

ファンの個数条件が同じなら、NH-D15SよりもNH-D15のほうがノイズあたりの冷却性能でも絶対性能でも優秀です。NH-D15のデメリットはクーラー高が高すぎてクリアランスが悪いこと、これに尽きるとおもいます。

ノイズあたりの冷却性能でみると、Noctuaファンに換装した忍者5やLe Grand Macho RTと比較してもNH-D15が優秀です。ヒートシンクファンノイズを無視できるのならLe Grand Machoのほうが優秀です。Le Grand Machoはファンノイズを拾って増幅しやすい特性がありますが、NH-D15はファンを搭載しても静かなのが優秀なので、総合的にみればNH-D15のほうがLe Grand Macho(Noctuaファン換装版)よりも上です。

・Noctua NH-U14S

2013年発売。クーラー高165mm、ラウンド型の14cmファン搭載。

・Noctua NH-D15 SE-AM4

2017年3月発売。2014年に発売されたIntelソケット向けのD15をAMD Socket AM4に対応させたもの。クーラー高165mm。

・Noctua NH-U14S TR4-SP3

2017年8月発売。全高165mm。AMD Socket TR、AMD Socket SP3専用。付属ファンは直径15cm。

3位 Thermalright

・Silver Arrow IB-E Extreme Rev. B

2019年3月発売。全高163mm。6mmヒートパイプ8本。ThermalrightのCPUクーラーの中ではLe Grand Machoと同等のフラッグシップモデル。対応TDPは320Wで、Le Grand Macho RTの320Wと同じ。違いはLe Grand Machoは全高が160mm未満であるかわりに、バックパネル側のクリアランスが悪く、Mini ITXマザーボードにLe Grand Machoを搭載するとケースファンが搭載できないか、場合によってはケース背面にヒートシンクが接触してしまいLe Grand Macho自体を設置できない。その点、このSilver Arrowはヒートシンクが薄いためバックパネル側のクリアランスが良好。Mini ITXマザーボードに搭載してもケースファンを搭載できるスペースがある。

このCPUクーラーは「Silver Arrow IB-E Extreme」の焼き直しの「Rev.B」であるためあまり新規性がありません。このクーラーよりも、「Noctua NH-D15S」のコンセプトを模倣した「Thermalright Silver Arrow T8(2019年2月発売)」がおすすめです。Silver Arrow T8は全高を158mmに抑えながらもTDPは320W対応。しかもファン×1のみでメモリのヒートシンクがいくら高くても全く干渉しないタイプです。選ぶならSilver Arrow T8がおすすめです。

・TRUE Spirit 140 Direct

ダイレクトダッチ式を採用しているため厚みの少ないヒートシンクながら冷却能力は高いCPUクーラー。ファンはNoctua製に換装することをおすすめします。

・Macho X2

4位 Cryorig

・R1 Ultimate V2

全高168.3mm。CryorigのCPUクーラーの中でも最も大型で高価なフラッグシップモデル。ツインタワー型。ヒートパイプは7本。冷却性能はNH-D15と互角。R1 Ultimateのほうが冷えるというデータもあればNH-D15のほうが冷えるというデータも出ており拮抗している。このR1 Ultimateはクーラー高が168mmもあるので、NH-D15S等の16mm未満モデルのほうがおすすめ。Dark Rock Pro 4よりは明らかに冷却性能が劣るので、冷却重視ならThermalright Le Grand MachoかBe QuietDark Rock Pro 4がおすすめ。

5位 サイズ

・虎徹 SCKTT-1000

全高160mm。ヒートパイプ4本。12cmファン×1。とてつもなく安いことから大流行したCPUクーラーです。しかし、クーラー高16cmもある割にファンは12cm角であったり対応TDPが160W程度までという実際はしょぼいクーラーです。人気がでたのはやはり「価格の安さ」の一点でした。

虎徹MkIIではクリアランスを改善し全高は6mm低い154mmになっています。対応TDPは160で維持されています。

しかし、虎徹はCryorig H7 Quad Lumi(クーラー高145mm)と同じ冷却性能であることが海外のフォーラムで報告されています。ヒートパイプ4本で12cmファンであることは虎徹もH7 Quad Lumiも共通ですが、ヒートシンクがCryorigのほうが優秀なためクーラ高が虎徹より低くても冷却性能が同じになっています。

15cm ≦ クーラー高 < 16cm

1位 Thermalright

・Silver Arrow T8

2019年2月発売。クーラー高158mm。対応TDP320W。Silver Arrow T8はLe Grand Machoよりも薄型のサイズにしてケース背面方向への干渉を抑えた、クリアランスが良好なクーラーです。ヒートシンクサイズは明らかにこちらのほうが小さいです。Le Grand Machoはマザーボードのバックパネル(リアファン)方向へ大きく突き出しています。Mini ITXケースに搭載しようとするとリアファン取り付け不可です。そのためLe Grand Macho+Mini ITXの場合は180度ひっくり返してメモリ方向に突き出すように設置する必要があります。

一方でSilver Arrow T8はリアファン方向、メモリ方向の奥行きが非常に短いため、Mini ITXケースでも余裕で設置できます。Silver Arrow T8のヒートシンクサイズが小さいのにもかかわらず、Le Grand Machoと同等のTDPに対応している理由は2つあります。

第1に、Silver Arrow T8はヒートパイプが8本ありLe Grand Machoは7本しかないからです。熱伝導は単位面積あたりの仕事率(W/㎡)で定義されます(グリスの性能表記で使われる熱伝導「率」は単位長さと単位温度あたりの仕事率 W/m・Tのことなので熱伝導とは次元の異なる物理量です)。

熱伝導の単位はW/㎡であることから、ヒートパイプで使われる物質が同じなら面積が大きければ大きいほど熱を多く運ぶことができるのは自明です。つまりヒートパイプの本数を増やすことは冷却性能の向上に直結します。ヒートシンクサイズが多少小さくても、ヒートパイプ本数(断面積×本数)が大きいCPUクーラーが勝ちます。

第2に、Silver Arrow T8はツインタワー型であるのが理由です。Le Grand Machoのようなシングルタワー型の欠点は、冷却ファンから近いヒートパイプと遠いヒートパイプが出てきてしまうことです。ファンが設置してあるメモリ側に近いほうのヒートパイプからヒートシンクに逃された熱は効率的に空気中に拡散できるものの、ファンから遠い側のヒートパイプから運ばれた熱は効率的に空気中へ放熱できません。その点、このSilver Arrow T8は中央に挟み込む形でファンを搭載しているため、ファンから見た両方のヒートパイプへの距離が等しくなっています。つまりほぼ公平にヒートパイプの熱を拡散できるようになっています。

このような158mm級でツインタワー型で競合するクーラーはNoctuaのNH-D15Sです。ヒートシンクの体積はNH-D15Sのほうが大きいのですが、冷却性能はこのSilverArrowT8が勝っています(ただしファンをNH-A15 PWMに換装必須)。理由はやはりヒートパイプが2本も多いことです。

2019年3月にはNoctuaから初の7本ヒートパイプのCPUクーラーNH-U12Aが発売されました。今まで6本までだったことからするとNoctuaクーラーとしては斬新です。今後この流れが14cmファン級のクーラーにも波及し、NH-D15Sのヒートパイプを7本や8本に増やしたモデルが出てくればこのSilverArrow T8の冷却性能を上回ることは確実です。

・Le GRAND MACHO RT

クーラー高159mm。付属のファンは最大20dBで124㎥/h(73.6CFM)の風量を実現していると公式表記されているが、実際はその程度の風量が得られているかは微妙。NoctuaのNF-A15 PWMの115.5㎥/hのほうが実際は冷えている。同時にNoctuaのファンも購入して換装するのがおすすめ。

基本的にファン1つで冷えるが、このクーラーはツインタワータイプでないためファンを中央に設置するタイプではない。その場合ファンに近い部分のヒートシンクへ当たる風は良いが、反対側の部分だと距離が遠すぎて流れが乱れてしまう。そのためできればもう1基ファンを装着してデュアルファンにするのが望ましい。しかしクリップが1ペアしか付属していないため、もう1基のファンはケースファン+ファンダクト(Thermalrightの別売り品で存在)のやり方が第一の選択肢。しかしこのファンダクトが現在品薄のため今はあまり現実的ではない。

おすすめの方法は、Noctuaのファンに付属するAnti-Vibration Mounts「NA-SAV2」を使うもの。これはゴム製のファン固定ピンのようなもので、金属製のネジのかわりに使う防振ゴム。これをファンに取り付けたあとに、Le Grand Machoのヒートシンクのフィンの隙間にゴムを押し込むと意外としっかり固定できる。

Le Grand Machoの欠点は大きすぎるため小型タイプのMini ITXケース搭載できない場合が多いこと。Fractal Design Define Nano SのようなMini ITXフォームファクタのPCケースの中で大型のケースであっても、本来の方向に取り付けをするとPCケースの排気ファンを取り付けするスペースがない。そのため180度ひっくり返してメモリ方向に突き出すように設置しなければならない。

要望を言えばヒートパイプを8本にしてダイレクトダッチ式にしてくれたら言うことのないパーフェクトなCPUクーラーになる。ヒートシンク単品での冷却性能ではNH-D15Sを超えており、クリアランスの問題さえなければ最も優秀な空冷CPUクーラー。

またこのCPUクーラーは、「Le Grand Macho」としてファンが付属しないファンレスCPUクーラーとして発売されたのが初出だった。それにファンを付属させた「RT版」が1年後に発売された。付属ファン自体の出来はよくないので、ファンクリップだけしっかり保存しておいてNoctuaのファンに換装したほうが良い。

ヒートシンクにファンを取り付けなくても、ケースファンさえ回しておけばTDP95Wの発熱まで冷却できるとされているが実際はそれ以上のTDPでも冷却できる。

ケースファン(Noctua NF-A12x25 PWM)1基を800rpm程度で回しておくだけで、ヒートシンクファンを搭載しなくても、Core i9 9900KのCINEBENCH R20を連続で3周させても80℃がピーク。1,2周目は70℃台だが、3周目になると80℃台に到達する。その後は何回ベンチマークをまわしても80℃台をキープする。

あとこのLe Grand Macho RTはヒートシンクにファンを付けると騒音がかなり大きい。NoctuaのNF-A12x25 PWMに換装しても同様。ヒートシンクがファンの微量のノイズを増幅してしまう構造になっている。ファンはケースファンのみにして、ダクトで接続すると静音のままなので、このLe Grand MachoはPCケースの吸気ファンや排気ファンの送風に頼って使うと超静音になる。

・Macho 120 SBM

2位 Noctua

・Noctua NH-U12A

2019年3月発売。クーラー高158mm。6mm径のヒートパイプ7本を使用し最大TDP205Wに対応したクーラーです。このクーラーのアピールポイントは「12cmファンにもかかわらず、14cmファンを搭載したNH-D15SやNH-D15と同等の冷却性能」にあります。

付属しているファンは同じくNoctua製の「NF-A12x25 PWM」であり、12cmファンの中では最高峰のフラッグシップモデルと位置づけられている高級ファンです。このファンは以前の「NF-A12 PWM」よりも回転数あたりの風量が増しており、同じ風量ならノイズを低く抑えることができています。

ファンの改善のみならず、このCPUクーラーはNoctua製クーラー初の「7本ヒートパイプ」に対応した点に新規性があります。7本ヒートパイプはBe Quietの「Dark Rock Pro4」やThermalrightのLe Grand MachoやCryorigの

・Noctua NH-D15S

2015年発売。クーラー高157mm、14cmファン。下記先行モデルNH-D15の冷却性能を維持しつつファンの数を×1に減らし、さらにクーラー高をファン含めて160mmに抑えたモデルです。Noctuaの中でも最も高価な部類に入るフラッグシップモデルであり、他のCRYORIGやThermalrightを含めた空冷式CPUクーラーの中でも最も優秀な水準のクーラーです。付属品はシングルファンですが、別売りでNoctuaの同型番のファンを購入してデュアルファン構成にすると、下記NH-D15(デュアルファン構成)の冷却能力を上回ります。

またこのNH-D15Sは、12cmファン×2の240mmラジエータ簡易水冷Corsair H100i Proより冷却能力が上です。静音性でも上です。海外の英語圏フォーラムでは「Noctua NH-D15SをCorsair H100i Pro RGBは打ち負かすことができない」というコンセンサスができています。

14cmファン×2で280mmラジエータ搭載のH115i Pro RGBになってようやくNH-D15Sと冷却能力が互角です。静音性では当然NH-D15Sが上です。

12cmファン×3の360mmラジエータ搭載のH150i Pro RGBになってようやくNH-D15Sを上回る冷却能力を持つ簡易水冷になります。ただし静音性では当然NH-D15Sのほうが静かです。

それほどまでこのNH-D15Sは優秀なので、CPU上のクリアランスが16cm以上あるのなら。Core i9 9900Kの8コア全てを5.0GHz動作させても余裕で冷却できます。

1位にしてもいいほど優秀なクーラーであるものの、Le Grand Machoの冷却能力が優秀であるため2番手としました。

・Noctua NH-U12S

2013年4月発売。150mm、12cmファン。

・Noctua NH-U12S SE-AM4

2017年5月発売。全高158mm、12cmファン。

・Noctua NH-U12S TR4-SP3

2017年8月発売。全高158mm、12cmファン。Ryzen Threadripper用のAMD Socket TR、Ryzen EPYC用のAMD Socket SP3専用。

3位 サイズ

・虎徹 MarkII SCKTT-2000

2017年発売。クーラー高154mm。前モデルの虎徹の後継品です。前モデルと同じく、虎徹MarkIIになっても最大の売りは「価格の安さ」になっています。以前の虎徹はクーラー高が160mmを超えてしまう大型にもかかわらず12cmファンしか搭載できないものでした。この虎徹MarkIIも12cmファンしか搭載できませんが、クーラー高が154mmになっており小型化されています。クーラー高が低くなっても冷却性能は維持されておりTDP160Wです。

この虎徹MarkIIよりも、2019年発売Noctua NH-U12Aのほうがおすすめです。両方とも12cmファン対応のクーラーである点は共通です。しかしNH-U12AはTDP205Wに対応しておりNH-D15(NH-D15S)と同等の性能です。NH-U12Aの弱点は価格の高さです。弱点はそのくらいで他は全て虎徹MarkIIを上回る性能です。

14cm ≦ クーラー高 < 15cm

Lian Li製のPCケースにはクーラー高140mmまでのものが多いです。

1位 Noctua

・NH-C14S

TDP205Wに対応しているトップフロー型クーラーです。Noctuaから出ているトップフロー型クーラーの中では最高峰です。さらに冷却性能面でも、これを上回る冷却性能を持つクーラーはNH-D15とNH-D15Sのようなサイドフロー型の大型クーラーのみです。

NH-C14Sにはファン自体は1つしか付属していませんが、ファンクリップは2セット付属しています。追加でNF-A14PWMを購入したときのために余分にもう1セットだけファンクリップが付属しています。当然ですが、ファンクリップは「ファン」を購入したときには付属しません。ファンクリップは「CPUクーラー」ごとに規格サイズが異なり、CPUクーラーにあわせてファンクリップを製造するため、ファンクリップはCPUクーラーに付属します。

このNH-C14Sはファンを下に取り付けるボトムタイプと、上に取り付けるトップタイプ2つの取り付け方に加えて、もう1つファンを別途購入することによってトップとボトム両方にファンを付ける運用方法も可能です。トップにファンを付けると142mmのクーラー高になります。もし15mmタイプのファンに付け替えるのなら132mmのクーラー高にできます。トップファンを装着せずにボトムファンのみの運用ならクーラー高115mmです。

Dark Rock TFよりも数度だけ温度が高くなるため冷却性能はDark Rock TFのほうが上ですが、このNH-C14Sはマザーボードへの取り付け作業がしやすいです。Dark Rock TFに限らずBeQuietのクーラーは取り付けが面倒なことで有名であるため、それを回避したいならNH-C14Sがいいでしょう。

2位 Cryorig

以下のCryorig製CPUクーラーは日本国内だと正規品が品薄のため高値の転売しか見当たりません。私がこの記事を執筆している時点では、米国Amazon.comや英国Amazon.co.ukにAmazon販売発送の定価品があります。

・CRYORIG H7

クーラー高145mm。対応TDP140W。ヒートパイプ3本。12cmファン×1付属。9cmファン付属のM9iがクーラー高124.6mmなので、その次に大きいのがこのH7です。12cmファン搭載のCPUクーラーとしてはクーラー高が低いのが大きな特徴です。サイズの虎徹のように、12cmファンを搭載するクーラーは15cm~16cm高のものが非常に多い中で、H7のような小型クーラーは貴重です。Nocutaのサイドフロー型クーラーもそうですが全高110mmや125mmのCPUクーラーの次の大きさが15cmを超える大きさになるため、丁度14cm台の中堅モデルがCryorig以外だとなかなか存在しません。存在してもトップフロー型だったりします。14cm台の中堅モデルかつサイドフロー型ならこのH7系シリーズがおすすめです。

このCPUクーラーにはファンクリップが1組しか付属していません。そのためファンを1つ増設して2基にするためには自前でファンクリップを用意する必要があります。

もしファン×2で運用することを想定しているのなら下記のH7 Plusなら最初からファンが2つ付属しているので、ファンクリップが2組手に入ります。

またCryorig M9iからH7に換装を考えている場合、バックプレートに取り付けるネジの型が異なるため一度バックプレート側から取り外す必要があります。その点は面倒です。M9iから換装するのなら以下のH7 Quad Lumiがおすすめです。

・H7 Plus

2018年に登場した比較的新しいCPUクーラーですが、これは上記H7の焼き直し版です。H7と全く同じ145mm高とヒートパイプ3本です。単にH7にファンをもう1つ付属させ、対応TDPを150Wに+10W微増しているだけのものです。

このH7 Plus付属のファンよりも、NoctuaのNF-A12x25 PWMに換装することをおすすめします。ファンクリップはH7 Plus付属のものをそのまま使えます。

・H7 Quad Lumi

H7をベースにしているのでクーラー高は145mmで共通です。Quadの意味はヒートパイプが4本になっていることを意味します。他のH7シリーズは3本なので、このH7 Quad Lumiは対応TDPが160Wまでアップしています。そして「Lumi」はIlluminationを意味しており、USBコネクタに接続することによってLED装飾をコントロールできます。

正直いってこのCPUクーラーにおいてLEDは余計なものだと私は思っていますので、このCPUクーラーをおすすめするのは145mmのクーラー高にもかかわらず対応TDP160Wを達成している点です。LED搭載を評価しているわけではありません。電源コネクタを接続しなければいいだけなので、LED無点灯で使うことができます。LED故障時の電源トラブルを回避するためにも、最初からLEDコネクタを接続せずに運用することをおすすめします。

このH7 Quad Lumiが他のH7シリーズより優秀なのは、ヒートパイプ4本になったことで対応TDPが増えていることだけではありません。9cmファンサイズのCPUクーラーM9iからの換装に最適であるというメリットがあります。理由はバックプレートもネジも共通だからです。単純にCPUクーラーを固定しているネジ2本をとりはずすだけでH7 Quad LumiにM9iから換装できます。バックプレート関連のネジ類は一切変更する必要がなく簡単に取替ができます。

12cm ≦ クーラー高 < 14cm

最近このクーラー高帯のCPUクーラーが注目されています。

少し古いケースですが「NCase M1 V5」のCPUクーラークリアランスは130mmです。実際はNCaseにDark Rock TFを装着できるらしいので134mmまで対応しているそうです。

また「Lazer3D LZ7」ではHDPLEXのADアダプタ電源にするとクーラー高135mmに対応するためこのあたりのクーラーを採用することもありえます(一般論としてACアダプタ電源の採用はおすすめしません)。LZ7を拡張した2019年に発売のLazer3D XTD(グラボ全長267mm,10.5インチに対応)はSFX電源を採用してクーラー高135mmを実現しています。このあたりの超小型Mini ITXケース用のCPUクーラーとして最適なクーラー高です。

1位 BeQuiet

・Dark Rock TF

2015年発売。クーラー高134mm(トップファンを外してボトムファン×1の運用なら110mm)。ヒートパイプ6本。対応TDP220W。トップフロー型ながら、BeQuietの最高峰CPUクーラーDark Rock Pro4(TDP250W)に次ぐ第2位のTDP対応値220Wを実現しています。しかもクーラー高はトップファン搭載時でも134mmです(付属ファンを使うなら22mm厚なので131mmまで低くなる)。トップフロー型なのにTDP220W対応であるため、NoctuaのNH-C14S(クーラー高140mm)のTDP205Wを超える冷却性能です。実際に同じファン回転数だとDark Rock TFのほうがNH-C14Sよりも冷えることが海外のフォーラムで検証されているので、ヒートシンクの性能はDark Rock TFのほうが上です。

このDark Rock TFが冷える理由は、実質的にツインタワー型のクーラーだからです。NoctuaのNH-D15SやNH-D15はツインタワー型であり冷却性能が申し分ないことはよく知られています。ツインタワー型はヒートパイプ双方へ流れる熱がヒートシンクで合流しないため冷える要因になっています。

そしてDark Rock TFでは、サイドフロー型CPUクーラーのヒートシンクを内側に折りたたんでトップフロー型にした形をしています。つまり実質的にこれはツインタワー型のCPUクーラーです。NoctuaのNH-C14Sはクーラー高が140mmでDark Rock TFよりも高い上に、ヒートシンクの体積もNH-C14Sのほうが上です。にもかかわらずNH-C14Sのほうが冷却性能が低いのは、ヒートパイプを片方にしか伸ばさず打ち切ってしまっているためです。

静音性の面でもDark Rock TFは優秀なため、下手なサイドフロー型よりも冷えるトップフロー型クーラーです。

2位 Noctua

・Noctua NH-U9S

2015年1月発売。クーラー高125mm、9cmファン。ヒートパイプ5本。対応TDP195W。このクーラーはツインタワーではなくシングルタワー式で、ツインタワー式の「NH-D9L」と同等の冷却能力を持ちます。このNH-U9Sをデュアルファンにすると数度程度温度を下げることができます。

・Noctua NH-U9 TR4-SP3

2017年8月発売。上記モデルU9SのAMDソケット版。クーラー高125mm、9cmファン。AMD Socket TR、AMD Socket SP3専用。

3位 Cryorig

・CRYORIG M9i

2015年発売。対応TDP120W。クーラー高125mm。ヒートパイプ3本。9cmファン×1付属。このCPUクーラーを選ぶなら上記のNH-U9Sのほうがおすすめです。対応TDPがNH-U9Sのほうが圧倒的に高く、しかもU9SにはNoctuaのファン「NF-A9 PWM」が付属しているのでわざわざ換装用のNoctuaファンを買う必要がありません。グリスも付属していますがグリスも別メーカーのを使用したほうがいいです。

・CRYORIG M9 Plus

対応TDP130W。クーラー高125mm。ヒートパイプ3本。9cmファン×2付属。2018年に発売されたCPUクーラーですが、M9iと中身はほぼ同じです。単にファンをもう1つ追加してファンが2つ付属し、ファンクリップも2組付属しているだけです。取付時のマウンタやネジ等の規格は全く同じです。これについてもNoctuaの9cmファンNF-A9 PWMを2基購入して換装したほうが冷却性能があがります。しかしわざわざNoctuaファンを購入するくらいなら、最初からNH-U9Sを購入したほうが対応TDPも高いしファンも付属するのでおすすめです。

4位 Thermalright

・Macho 90

9cm ≦ クーラー高 < 12cm

この9~12cm高のCPUクーラーはサイドフロー型が存在する最低高帯です。少なくともこのくらいのクーラー高がないとサイドフロー型にできません。6cmファンや8cmファンを使うのならもっと低くできるでしょうが、9cmファンから8cmファンまで直径を落とすとファンの送風量が一気に減少してしまうため8cmファンがCPUクーラーで採用されることはほぼないです。

クーラー高110mmのNoctua NH-D9Lが、それなりに実用性のあるCPUクーラーの中では最も低いクーラー高を持つ製品です。

1位 be quiet!

・Shadow Rock TF2 BK003

クーラー高112mm。トップフロー型のなかでは最も高い冷却能力を持っているクーラーです。そのかわりクーラー高はトップフローと思えないほど高くなっています。下記のNH-D9Lよりも冷却能力は高いです。

2位 Noctua

・Noctua NH-D9L

2015年1月発売。クーラー高110mm、9cmファン。ヒートパイプ4本。このクーラーは125mm高の「Noctua NH-U9S」と同等のTDP195Wです。クーラー高がU9Sの125mmよりも低い110mmかつ、ヒートパイプが1本少ないにもかかわらず同等のTDPに対応しているあたりツインタワー式の冷却度の高さがわかります。

・Noctua NH-D9DX i4 3U

2014年発売。Socket 2011系専用。全高110mm、9cmファン。

7cm ≦ クーラー高 < 9cm

小型PCケース「Lazer3D LZ7」が7cmまでのクーラー高に対応しているため、このクーラー高帯のNH-L12Sが優秀です。

1位 Noctua

・Noctua NH-L12S

2017年12月発売。対応TDP185W。NH-L12と同等の冷却性能です。全高70mm。1151ソケットのどのCPU世代でもTDP95Wを冷却可能なロープロファイルクーラー。全高37mmのNH-L9iでは9900K,9700K,9600K,8700K,8600Kを冷却し続けるには無理がありますが、このNH-L12Sは余裕で冷却できます。

Noctuaの「TDP Guidelines」は非常に保守的(謙虚)にまとめられている、冷却可能CPU(TDP)の一覧表ですが、それでもTDP185Wに対応しています。

「Lazer3D LZ7」はCPUクーラー最大70mmまで対応(推奨は60mm以下)なので、このNH-L12Sを搭載してLZ7を組んでいるユーザが大多数です。

しかし冷却能力では「be quiet! Shadow Rock LP BK002」のほうが優秀です。Shadow Rock LPは付属の25mmファンをNoctuaの14mmファンに交換することによって全高65mmのCPUクーラーにすることができます。全高65mmであっても、全高70mmのNH-L12Sよりも冷却能力は優秀です。

Shadow Rock LPの弱点はインストールが難しいことです。Shadow Rock LPはNH-L12Sよりも数度程度、高負荷時のCPU温度を下げられる程度なので、インストールが楽で入手が楽なNH-L12Sを利用する人が多いようです。

2位 Thermalright

・AXP-200 Muscle

クーラー高が73mmもある割には、上記のNH-L12Sに比べて大した冷却能力のないクーラーです。使わなくて良いでしょう。公称TDPはあてにならないクーラーです。

5cm ≦ クーラー高 < 7cm

Dan Caseの登場に端を発して小型PCケースが続々登場していますが、Dan Caseよりもクーラー高に余裕がある「Lazer3D LZ7(クーラー最大高70mm)」や「Louqe Ghost S1(クーラー最大高66mm)」で採用されることの多いCPUクーラーです。この水準まで来るとCPU補助電源8ピン×1程度のオーバークロックなら対応できるようになります。Mini ITXマザーボードは高々CPU補助電源8ピン×1程度しか搭載していないため、Mini ITXマザーボードを前提とした小型PCを組むのならこのクーラー高のCPUクーラーを選んでおきたいところです。

1位 be quiet!(Listan GmbH & Co. KG)

・Shadow Rock LP BK002

クーラー高75.4mmですが、Noctua製の14mmファンに交換すれば65mmまでクーラー高を低くできます。公式ではTDP130W対応とありますが実際はそれよりも高い性能です。

しかもNoctua公称TDP185W対応のNH-L12SやNH-L12を超える冷却能力を持ち、Big Shuriken 2よりも高い冷却性能です。クーラー高あたりの冷却能力は申し分ありません。欠点はクーラー設置作業の難しさです。それさえ苦でなければ良いクーラーです。

2位 Noctua

・Noctua NH-L12

2012年発売。対応TDP185W。クーラー高66mm、9cmファン(+12cmファン)。ヒートパイプ4本。ヒートシンクを9cmボトムファンと12cmトップファンで挟み込むタイプのロープロファイルタイプクーラー。9cmファンのみならクーラー高66mm。12cmトップファンを取り付けるとなるとクーラー高93mm。14mm厚の12cmファンを用意して搭載すればクーラー高82mmになります。

このCPUクーラーはLouqe Ghost S1で推奨されているクーラーです。理由は静音性が高いことですが、「Big Shuriken 2」や、「Be Quiet! Shadow Rock LP」のほうが冷却能力は優秀です。このクーラーの欠点はシングルファン構成のときに9cmファンしか搭載できないことです。このクーラーの後に発売されたNH-L12Sは14mm厚の12cmファンを搭載可能で160WのTDPにも対応しています。しかしNH-L12Sはクーラー高70mmです。もし70mmのクーラーが入るケースならNH-L12Sを強くおすすめします。Louqe Ghost S1のように70mmクーラーが搭載できないケースの場合は仕方なくこのNH-L12を採用するしかないでしょう。

・Noctua NH-L9x65

2015年3月発売。クーラー高65mm。9cmファン。ヒートパイプは半4本。対応TDPは155W。このNH-L9x65はCore i9 9900K、Core i7 9700K、Core i7 8700K、Core i5 8600Kも冷却できますが対応TDP155Wでギリギリなので、ファンがほぼ最大回転数で回ることになります。クーラー高が許すならNH-L12やNH-L12Sがおすすめです。

3位 EKL(ドイツ)

EKL(エー・カー・エル)はドイツのLeutkirch(ロイトキルヒ)に本社があるメーカーです。

・Alpenföhn Black Ridge(9cm+12cmのデュアルファン構成)

Black RidgeはEKL社が展開するブランドAlpenföhn(アルペンフェーン)のCPUクーラーです。

Dan Cases A4 SFXを想定して設計されたCPUクーラーなので全高47mmですが、ベースプレートとヒートシンクの間に9cmファンを挟むタイプなのでトップファンが付属していません。そこで、Noctuaの12cm×厚さ15mmのファンを別途用意してトップファンとして装着すると全高62mmのデュアルファンCPUクーラーになります。Black Ridgeはトップファンを搭載するとオーバークロック対応となるので、それに加えて9cmファンも搭載してるとなればオーバークロック耐性はより高くなります。良いクーラーなのですが入手の困難製からこの順位としておきます。日本国内の正規代理店は株式会社ゼノン(XENON)に決まっているものの各小売店に出回っていません。

このBlack RidgeはサイズのBig Shuriken 3と競合するクーラーです。

まずBig Shuriken 3はボトムファンは搭載不可であり、ボトム部分にはヒートシンクのフィンが搭載されています。つまりファンを搭載するスペースを無くしたかわりにヒートシンクに割り当てたということです。そのためBig Shuriken 3はトップファン必須となります。

一方でBlack Ridgeはボトムファンもトップファンも搭載可能であり、ボトム部分にヒートシンクがありません。つまりヒートシンクの体積はBig Shuriken 3よりも小さく、その点Black Ridgeは不利であるかのように見えます。

しかしBlack Ridgeの冷却性能の高さは6本のヒートパイプ(直径6mm)にあります。Big Shuriken 3はヒートパイプ5本、Big Shuriken 2はヒートパイプ4本です。

トップファンを搭載したBlack RidgeならBig Shuriken 3に勝てます。しかしボトムファン9cmのみだとBig Shuriken 3が上です。しかしBlack RidgeはVLP(very low profile)タイプのメモリを使う場合はクリアランスが良くなりボトムファンとして直径12cm×15mm厚のファンを使用できます。この場合はBig Shuriken 3よりも冷却性能が上です。

4位 サイズ

・BIG SHURIKEN3(大手裏剣 参) SCBSK-3000

全高69mm。TDP185W対応。付属しているファンは17mm厚です。Noctua NF-A12x15PWMに換装すると全高67mmになります。ヒートシンクのみの高さは52mmで、Big Shuriken2から6mm高くなっています。Big Shuriken2ではヒートパイプをベースの両側から出していましたが、このBig Shuriken3では片方からだけヒートパイプを出しています。これは冷却性能を下げる要因になります。そこでこのBig Shuriken3ではヒートシンクを厚くしているわけです。Big Shuriken3がBig Shuriken2に比べると冷えるかというと微妙なところで、Big Shuriken2のほうが冷えると報告されている海外フォーラムの例もあります。

・BIG SHURIKEN2(大手裏剣2) Rev.B SCBSK-2100

全高58mm。TDP185W対応。ヒートパイプ5本。付属ファンは12cm角の厚さ12mmファン。NoctuaのNF-A12x15 PWMに換装すると全高61mmになります。ヒートシンクのみの高さは46mm。

海外のフォーラムでは非常に評価されているBig Shuriken 2。本来の名称は「大手裏剣」だったのですが、日本よりも海外でこのCPUクーラーが評価され流行したので日本の公式サイトでも「Big Shuriken」を筆頭名称にするようになってしまいました。

CPUクーラーのインストール作業(設置)が楽であることと付属ファンを取り外しNoctuaの14cmファンを搭載すると冷却能力がそこそこ優秀であることが人気の理由です。クーラー高が60mm前後で低いこともメリットです。

このBig Shuriken 2はNH-L12(9cmファン1つのみ)よりも高い冷却能力を持ちます。しかしNH-L12S(全高70mm)よりはBig Shuriken2の冷却能力は劣ります。

クーラー高65mmの「Noctua NH-L9x65」(TDP155W)よりも高い冷却能力を持っているのは特筆すべき点です。Louqe Ghost S1への搭載に推奨されているクーラーです。

5位 Thermalright

・AXP-100R H

全高65mm。このモデルは、下記のMuscleにはない14cmファンを設置できるマウンタ付属です。対応TDPは同じなのでこちらのモデルがおすすめです。ただし、対応TDP180Wというスペックははったりです。TDP95W程度だと見ておくべきです。

・AXP-100H Muscle

全高65mm。こちらのモデルには拡張ファンマウンタが付属しません。つまり14cmファンは搭載不可です。対応TDPは上記モデル「AXP-100R H」と同じで180Wが公称ですが、この公称通りの冷却能力はありません。せいぜい95Wです。

4cm ≦ クーラー高 < 5cm

ドイツ製の超小型PCケースDan Cases A4 SFX(最大クーラー高48mm)の登場で需要が増えているCPUクーラー高です。

1位 EKL

・Alpenföhn Black Ridge(ボトムファンのみ)

2018年発売。ドイツEKL社が展開するAlpenföhn(アルペンフェーン)ブランドのCPUクーラーです。

デュアルチャンバー式の超小型Mini ITXケースDan Cases A4-SFX(最大クーラー高48mm)にフィットさせるために企画されたCPUクーラーです。

このクーラーの全高47mmはDan Case A4に入るギリギリのサイズです。Noctua NH-L12S(全高70mm)のようにファンを挟み込むタイプを採用しています。標準で付属するファンは92mm角で厚さ15mmですが120mm角ファン(厚さ15mm)も搭載可能です。ただし、12cm角のファンを搭載する場合は通常のRAM(メモリ)と干渉します。通常のLP(Low Profile)タイプのメモリでは低さが不十分です。VLP(Very Low Profile)と呼ばれるタイプのメモリを使わなければ、このCPUクーラーのボトムファンに12cm角のファンを搭載できません。

通常タイプのメモリを搭載しつつ12cmファンを搭載したい場合はトップファンとして装着する必要があります。ただしそうするとクーラー高47mmを大幅にオーバーサイズしてしまいます。

公称対応TDPは95Wであり、Core i7 8700Kであっても短時間のTurbo Boostをギリギリ冷却しきれるくらいで、Core i9 9900KのTurboBoost時を冷却するには厳しいクーラーです。全コア3.6GHz運用(TDP95W)なら長時間にわたって冷却し続けることができます。さらに追加でトップにも120mmファンをつけてデュアルファン構成にすると3コア×5.0GHz、4~5コア×4.8GHz、6~8コア×4.7GHzといった動作周波数を長時間にわたって冷却し続けることができますが、当然ながらトップファンを付けるとDan Caseds A4には搭載できません。空冷の場合は最低でもLouqe Ghost S1のクーラー高66mmのケースを用いてShadow Rock LPかBig Shuriken 2を採用したほうがいいでしょう。

2位 SilverStone

・SST-AR11

2018年1月発売。ArgonシリーズのCPUクーラー。

全高47mmでファンの直径は92mmでPWM対応。しかし最低回転数が1200rpmであり最大回転数は3000rpmにもなるため、Noctua製の14mmファンに交換して使うのが定石です。

このAR11はダイレクトダッチ仕様なので、「アルミ製のCryorig C7+Noctua 14mmファン」よりも冷えます。ヒートシンクの出来自体はCryorig C7より上です。ただし銅製のCryorig C7 Cuよりは若干冷却能力が弱く、「Cryorig C7 Cu+Noctua 14mm」よりは「AR11+Noctua14mmファン」のほうが少し冷却能力で劣ります。Noctua NH-L9iの冷却能力と比較するとAR11のほうが大幅に冷却能力が高いです。

3位 Noctua

・Noctua NH-L9i

厚さ14mmファン込みで全高37mm。対応TDPは130W。冷却能力がCRYORIG C7に比べて低いことを除けば、強くおすすめできるクーラーです。静音性においては圧倒的にNoctua NH-L9iがCRYORIG C7より優れています。このCPUクーラーの対応TDPは130Wです。しかしCore i9 9900K、Core i7 9700K、Core i7 8700K、Core i5 8600Kは公称TDP95WですがこのNH-L9iでは冷却しきれません。理由はTDP95Wの動作は基本動作周波数のときであり、ターボブーストが発動するときはたとえ定格動作であってもTDP130Wを超えてしまうからです。もしこれらのCPUを冷却したい場合は最低でも「Noctua NH-L9x65」が必要です。

Core i7 7700KはAVX拡張命令のOffsetを設定し、AVX命令使用時のクロック周波数を下げるようにすれば7700Kも冷却できますCore i5 7600K、Core i7 6700Kは何も設定せず冷却可能です。

このCPUクーラーはDan Caseを使用する場合に選択されることが多いです。Dan社の公式ウェブサイトでも推奨CPUクーラー一覧にこのクーラーが記載されています。しかしコンパクトかつハイエンドなPCを組むためのDan Caseにおいて8700KレベルのCPUを採用できないのはもったいないので、以下のCRYORIG C7のノイズを我慢して使う人もいます。おすすめはCRYORIG C7のヒートシンク+Noctua NF-A9x14 PWMという組み合わせです。

このヒートシンクに25mmのNoctua製ファンを取り付ければ冷却能力を上げることができますが、Dan Caseの48mm制限ギリギリになってしまうので振動ノイズが懸念されます。

・Noctua NH-L9a-AM4

2017年9月発売。上記モデル「Noctua NH-L9i」のAMD Socket AM4版。

4位 CRYORIG

・Cryorig C7 Cu

2018年発売。外形スペックは下記モデルと同じですが、ヒートシンクを全て銅製にしたことでTDP115Wまで対応しています。ファンのノイズなどの問題は下記モデルと同様かかえていますが、これもファンのみを「「Noctua NF-A9x14 PWM」に交換することで解決できます。しかも冷却能力はさらに向上するので、TDP125W程度までなら冷却できるようになります。純正ファンはノイズがひどいので使うべきではありません。

・CRYORIG C7 V2

2017年発売。TDP100Wまで対応。ファン込で47mmのクーラーですが、このCPUクーラーのファンはC7専用の特殊形状をしておりファン厚みが15mmを超えています。ヒートシンクがそもそもかなり厚いのにファンも厚いので47mmになっています。このクーラーはDan Caseにおいて採用数が多いクーラーですが、ノイズが大きいことで有名で静音化には難があります。またこのC7をDan Caseに取り付けるとケースとほぼ隙間がなくなり高速回転したときに振動ノイズが発生することが報告されています。

おすすめされているのがこのC7のヒートシンク+「Noctua NF-A9x14 PWMファン」の組み合わせです。Noctuaの14mmファンをケーブルバンドを使用してC7ヒートシンクに固定します。クーラー高は43mm程度になりしかもNoctuaファンにより静音化され、冷却能力はC7の付属ファンよりも向上します。

このC7の良くないところは、ファンが特殊サイズであり一般的な規格のファンが搭載しづらいことです。

4位 THERMOLAB

Thermolabは製品が少ないこともあってマイナーなメーカーですがNoFanと同じ品質です。

・THERMOLAB ITX30

2013年発売。Noctua公式ではCore i7 8700Kを「Noctua NH-L9i」では冷却しきれないというデータシートが公表されていますが、たった全高30mmのこの「THERMOLAB ITX30」では8700Kを冷却しきれるというのはかなりムリをしている印象です。これを買うくらいならSilverStoneのAR11のほうがいいでしょう。