この記事ではPCI Express通信規格のSSDに焦点をあてています。PCI Express通信規格であってもM.2サイズ規格のものは別の記事として別掲しています。
1: 2.5インチサイズかつSATA接続規格のSSDはこちらに掲載
2: M.2規格かつ{PCIe(NVMe)またはSATA(AHCI)}のSSDはこちらに掲載
3: U.2規格のSSD、または2.5インチサイズかつPCIe接続規格のSSDは本記事に掲載
個人のPC向けだと「1」と「2」のタイプのSSDが扱い易く流通量が多いためこのような分け方にしてあります。PCI Express通信規格(NVMeプロトコルインターフェース)採用のSSDであっても、M.2規格サイズのSSDについては「2」の記事にまとめて掲載してあります。
「3」のタイプのSSDはエンタープライズ向けが多いため高額かつ流通量が少なめになります。私の考えとしてはPCI Express通信規格採用のSSDでは「2」のM.2規格サイズのほうが普及に勢いがあり、Mini ITXマザーボードを採用したSFF用途等、他の用途への転用がM.2規格なら容易であるため迷ったらM.2規格をおすすめします。
本記事では「3」に該当するSSDを取り扱います。
「3」に該当するPCI Express通信規格のSSDは、コネクタ規格によって以下の2つにさらに細分化できます。U.2コネクタタイプと拡張カードスロットに直挿しするタイプです。本記事では両方とも取り扱います。
PCI Express拡張カードスロット(HHHL規格)に直挿しするタイプのSSDです。M.2規格サイズより基板の面積を確保でき冷却性が高いので、ストレージIOが多いアプリケーションを使ったり、拡張スロットの空きに余裕があるのならこのタイプを使ってもいいでしょう。PCI Express×4レーンで1スロットの空きがあれば十分です。CPU管理のPCI Expressバスではなくチップセット管理のPCIE Expressバスで十分です。
8TB
1位: Intel DC-5 P4320 SSDPE2NV076T801
Intel(Micron)製64層 3D QLC NAND(1Tbit)を採用したSSDです。SLCキャッシュバッファ非対応であるため書込み速度が低めです。2枚基板構成になっているため15mm厚です。
そのかわり書込み耐久性が高くランダムアクセスであってもTBWが2,803.2TB(0.2DWPD)もあります。シーケンシャル書込み100%で使い続けた場合のTBWは12.6144PB(0.9DWPD)です。
シーケンシャル・リード速度は3,200MB毎秒、シーケンシャル・ライト速度は1,000MB毎秒。
4KBランダム・リード速度は427k IOPS、4KBランダム・ライト速度は36k IOPS。5年保証。
4TB, 3TB
4TBのモデルとしてはエンタープライズ向けの高価なものしか存在しません。
1位: Intel DC P3608 シリーズ 4TB
2016年に発売されたSSDであり、容量速度ともに現在トップを走っています。その代わり価格は100万円近くします。とても一般人に手が届くものではありません。米国でも買ってる人は少ないようなので今は買うべきではないでしょう。DCとはDataCenterのことでレンタルサーバーや総研のような企業が使うようなものです。
2位: Intel DC P3608 シリーズ 3.2TB
2TB, 1.6TB
1位 Corsair
米国企業。東芝製NAND採用
・Neutron Series NX500 CSSD-N1600GBNX500
2017年8月発売。東芝製NANDを採用したMLCタイプのSSDです。
2位 Intel
・DC P3600 Series SSDPEDME020T401
これはITベンダーがデータセンターに使うような超高級品です。
・DC P3520 SSDPE2MX020T701
PCI Express接続のSSDですが本体形状は2.5インチです。コネクタはU.2規格なので、別途U.2コネクタとPCI Expressスロットの変換ケーブルが必要です。データセンター向けです。
1TB, 1.2TB, 960GB, 800GB
1位 Plextor
・M9Pe(Y) PX-1TM9PeY
2018年3月発売。M8Peシリーズの後継となりますが、M9PeではTLCタイプになってしまいました。そのため総書き込みバイト数(TBW)も下がっています。M8Peでは1,536TBのTBWがありましたがM9Peでは640TBです。M.2規格と異なりボードサイズが大きいので冷却能力は十分です。
・M8Se PX-1TM8SeY
MLCとして2016年に発売されたM8PeシリーズをTLCにしたM8Seシリーズが2017年に発売されました。東芝製NANDチップを採用しています。
TLCのわりに総書き込みバイト数(TBW)が優秀であることと発熱量が少なくなったことの他は基本的にM8Peの劣化版になっています。
データ書き換えを頻繁にするのなら2016年発売のM8Peでいいでしょうが、品薄になってきているのと価格が高いため、普通の用途なら今回のM8Seでいいでしょう。
・M8Pe PX-1TM8PeY
これも2016年8月発売です。これはPCI-Expressスロットに直接差し込めるサイプです。その分だけ物理的なサイズが大きいですが、表面積が大きい分だけ放熱もし易いと言えます。M.2スロットが余ってるなら上記のM8Pe PX-1TM8PeGNの方がいいです。M.2スロットが無かったらこのPCIExpressスロット直挿しのタイプがいいでしょう。性能同じです。
2位 Corsair
・Neutron Series NX500 CSSD-N800GBNX500
2017年8月発売。東芝製MLCタイプNAND採用
3位 OCZ(東芝グループの米国企業)
OCZは米国の企業で東芝のグループ企業なので搭載siteiruNANDチップは東芝製です。
・RD400A RVD400-M22280-1T-A
4位 Intel
・Optane SSD 905P SSDPED1D960GAX1
2018年5月発売。Intel OptaneMemoryの960GB版。Intel OptaneMemoryはSSDとしても使えますが、本来はHDDのキャッシュとして利用しHDDのスループットを高速化するために販売されたものです。少し前まではOptaneMemoryは32GBや64GBのような低容量なものしかありませんでした。その理由はキャッシュとして利用するなら960GBも不要だからです。
しかし私はOptaneMemoryのコンセプトにそもそも賛同できず、いずれSSDはHDDの容量を超えるのでHDDを高速化するためのキャッシュとしてのOptaneMemoryは不要だと考えています。この960GBのOptaneMemoryは単体でSSDとして利用可能で、キャッシュとして用いず単体として使っても他のSSDよりも高速ですが価格に見合う高速性が得られるわけではありません。よって960GBのSSDを買うなら他のPCI Express接続のSSDを選択したほうが合理的です。ただし12TBHDDを使用しつつSSDの高速性が欲しいならOptaneMemoryの採用を考えてもいいでしょう。
・750 Series SSDPEDMW800G4X1
上記の高さが1/2タイプのものです。
・750 Series SSDPEDMW012T401
1.2TBのSSDがこれはマウスコンピュータなどのワークステーションモデルのPCでは採用されていたりします。
しかし最近はこのSSDは品薄であり現実的ではありません。より容量の少ない800,400GBタイプなどを考えたほうがいいです。
・750 Series SSDPEDMW012T4X1
上記の1.2TBモデルで高さが1/2のもの(ロープロファイル版)です。この750シリーズは超高品質です。高級タイプと言えます。半導体メーカーとしてトップのIntelらしさが現れた良いものと言えますが、発売が2015年4月とだいぶ時間が経過しているのがデメリットです。実はこの製品、個人向けとして初めて発売されたNVMe対応のSSDです。これ以前はSATA接続だけでした。サムスンのNVMe接続SSDより早く発売されていたものです。容量が1.2TBと中途半端で、しかも性能が良すぎて発売された当初は余裕で10万円を超えていた高級品でしたが、今はだいぶ安くなってきました。とはいっても、1年以上経過した2016年8月にはPlextorから同じくPCI-Expressに挿すタイプのものが出ていて、Plextorの方が速度が向上している上に圧倒的に安くなっています。今となってはそこまで積極的に買う製品ではなくなってしまいました。
5位 G.SKILL
台湾のメーカー
・Phoenix Blade FM-PCx8G2R4-960G
2015年発売。これはおすすめしません。欧州圏で発売されたSSDであり、米国のAmazon.comでも取り扱われていません。日本で売られているとしたらそれは非正規品です。またこれはPCI Express 2.0規格のものであり転送速度が遅く比較的古いSSDです。使用しているNANDはIntel-Micron製のMLCなので悪くはないのですが、これよりも流通量が多くて最近発売されてかつ価格が安いSSDはいくらでもあるので、あえてこのSSDを選択するメリットはないでしょう。
512GB, 400GB
1位 Plextor
東芝製NAND採用
・M9Pe(Y) PX-512M9PeY
2018年3月発売。M8Peシリーズの後継です。このM9PeシリーズではTLCになってしまいました。2016年発売のM8PeシリーズはMLCだったので総書き込みバイト数が768TBありましたがこのM9Peではたった320TBです。
・M8Se PX-512M8SeY
2017年6月発売。TLC東芝製NANDを採用したSSD。2016年発売M8Peの廉価版。
・M8Pe PX-512M8PeY
2016年8月発売。MLC東芝製NANDを採用した総書き込みバイト数(TBW)768GBの高耐久性SSDです。
ようやく出回るようになってきたPCI Express接続の高速SSDです。このPCIExpressスロットに直接挿せるタイプはIntelくらいしかありませんでした。それがIntelよりもかなり安く手に入るようになったのは画期的です。さらにはこのSSDの中身は東芝製の半導体です。今まで高速SSDといったらIntelかサムスンしか事実上ありませんでしたがついに純日本製の高速SSDが出てきました。しかもIntelとサムスンより安いときているので現在PCI Express対応SSDならこのPlextorのSSD一択だと言えるでしょう。
2位 Corsair
米国企業。東芝製NAND採用
・Neutron Series NX500 CSSD-N400GBNX500
2017年8月発売。東芝製MLCタイプNAND採用。
3位 Intel
Micron製NAND採用
・Optane SSD 900P SSDPED1D480GASX
2017年11月発売。
・Intel 750シリーズ
このSSDは2.5インチですがSATAではありません。NVMe U.2接続なのでPCI Expressにカードを挿してU.2接続に変換しなければなりません。よってこれもどちらかというと玄人向けです。手軽にNVMeをする場合はPCI Expressスロットに直挿しするタイプか、M.2タイプの方がいいでしょう。
256GB
1位 Plextor
・M9Pe(Y) PX-256M9PeY
2018年3月発売。M8Peシリーズの後継です。2016年発売のM8PeはMLCタイプであり総書き込みバイト数(TBW)が384TBありましたが、このM9PeはTLCタイプなので160TBです。
・M8Se PX-256M8SeY
2017年6月発売のTLC東芝製NAND採用のSSD。書きM8Peシリーズの廉価版。耐久性を優先するのなら下記モデルのM8Peの方が優秀。
・M8Pe PX-256M8PeY
2016年8月発売。東芝製MLCNAND採用。Intelやサムスンより安い上に国産品ときて注目をあびているPlextorの高速SSDの256GB版です。NVMe対応のSSDを買うなら現在はこれ一択になりました。以前はほぼ現実的な価格ではサムスン一択でしたが、Plextorのは半額近く安くなってるのでサムスン製1つ買うならPlextorを2つ買うか容量2倍のモデルを1つ買ったほうがいいです。
2位 Intel
・Optane SSD 900P SSDPED1D280GASX
2017年11月発売。Optaneメモリー搭載のSSDなので非常に高価です。高速性を最優先する人には最適です。
・Optane SSD DC P4800X SSDPED1K375GA01
2017年9月発売。データセンター向けのOptaneメモリSSDです。ここまで高価になると個人用途としては現実的な価格ではありません。信頼性に関しては申し分ないと言えます。
128GB
1位 Plextor
・M8Se PX-128M8SeY
2017年6月発売の東芝製NANDを採用したSSDです。下記モデルはMLCですがこのモデルはTLCです。耐久性重視なら下記モデル、価格の安さ重視ならこちらでいいでしょう。
・M8Pe PX-128M8PeY
2016年8月発売のMLC東芝製NANDを採用したSSDです。
いままで高速SSDでは128GB帯のものがほとんどなかったので、NVMeかつ128GBの高速SSDが手頃な価格で出てきたのは大きな進歩です。このSSDは東芝製NANDかつ組み立ても国内のPlextorなのでそこは問題ないのですが、注意すべき点はPCI Expressスロットに直接挿すタイプなので、しっかりスロットに空きがあるかどうか事前に確認しておく必要があります。
PCI ExpressのGeneration3 x4に対応しているので、Gen3対応のチップセットを搭載したマザーボード&対応CPUであることが望まれます。理想はSkylake以上、H170かZ170チップセット以上のものです。H110などではGen2までしか対応していないので、このSSDでも一応は動作しますがせっかくの高速SSDのメリットが享受できません。Gen3対応のチップセットを搭載したマザーボードとCPUでこのSSDを使うことが理想です。
また既にグラフィックボードを挿している場合は、PCI Expressのバスレーンが共有されていないかどうかを確認しておく必要があります。共有だとグラフィックボードの帯域幅が落ちたり、排他使用するタイプだとどちらか片方しか動かなくなったりします。