学生時代からLet’s NoteシリーズとThinkPadを使って来ましたが、自分用の次のノートパソコンを購入しようといろいろ調べている中で参考となるサーベイ結果を覚書としてまとめています。
Lenovo ThinkPad X1 Carbonシリーズは14.0インチディスプレイで全部入りの高スペックPCで便利なのですが、ThinkPad X1 Carbonのデメリットは1.13kgと重いことです。X1 Carbonに限らずThinkPadシリーズは歴史的に重量が大きいです。1kgを切ったThinkPad X1 Nanoが発売されましたが光学式ドライブ非搭載にしてはやはりThinkPadは重い部類に入ります。
その点を補完するため用途ごとに性能よりも軽さを最優先にしたノートパソコンも新たに追加調達しようと考えて最近またノートパソコンをいろいろサーベイしています。結果を覚え書きとしてまとめています。
Panasonic Let’s Note FVシリーズ 【14.0型】
2022年よりシリーズが一新されました。14.0型はFVシリーズとなり光学式ドライブが撤去され、LenovoでいうところのThinkPad X1 Carbonのカウンターパートのような
持ち運びよりも据え置きを想定している
このパソコンはLet’sNoteのシリーズ内では社内や自宅の据え置きを想定しています。移動させるとしてもデスクと会議室の間の移動や、大学の研究室と講義室の間の移動程度の軽度な移動に限ったほうが便利です。
実際にこのノートパソコンを採用している法人は社内のデスク上に、デスクトップPCと並べてこのLet’sNoteを置いていたりします。
法人ではインターネット上のウェブに接続できるパソコンと、社内ネットワークに接続できるパソコンで物理的にネットワーク的に分離させてることがあります。例えば国税庁では国税庁の内部システムのネットワークと、外部のネットワーク(インターネット)に接続できるパソコンを物理的に分けています。これは情報セキュリティ上の理由です。物理的にネットワーク(パソコン)を分離しておけば、例えウイルスに感染してもネットワーク経由で情報漏洩しようがないからです。
そのような場合に片方はノートパソコンにすることがあります。
さらに情報セキュリティ規定が厳しい法人だと、デスクにLet’sNoteをケンジントンロックで固定してしまって会議室へも持っていけないようになっています。
また私は大学院時代この大きさのLet’sNoteを研究室から貸与されていました。基本的に研究室に置きっぱなしにしてたまに授業に持っていったりする程度の用途でした。
システムコンサルティング企業のSEからも支持されている
私の学部・修士の同期で修士卒で野村総研のSEになった人から聞いた話ですが、社内で使う貸与ノートパソコンとしてこのLet’sNoteとHPのノートパソコンを各自選択できるようになっているようです。そして殆どの社員がLet’sNoteを選択するようで、「どう考えても普通はLet’sNoteを選択する」と言っていました。実際に個人向けとして売られているノートパソコンでもLet’sNoteとHPだったらLet’sNoteの方が高価です。パナソニックの販売員さんに、「同じスペックのHPのノートパソコンは安いですね」と言ったら「HPさんは本当に安いです。よくあそこまで安くできるものだと思います」と言っていました。私は価格と品質は比例するものだと思っているので、どちらか自由に選択して貸与されるということだったらLet’sNoteをほとんどの社員が選択するのはとてもよく理解できます。
Panasonic Let’s Note SVシリーズ【12.1型】
Panasonic Let’s Note SVシリーズには3つの特徴があります。「12.1型のディスプレイ」、「ドライブ搭載モデルも有り(無しもある)」、「ディスプレイが脱着不可(クラムシェルタイプ=折りたたみタイプ)」の3点です。画面がもう少し小さくてもいい、光学式ドライブは不要、ディスプレイが取り外せた方(2 in 1)がいいという人はSVシリーズ以外のモデルでもいいでしょう。SVシリーズは発売順ごとに番号が振られます。このSVシリーズは2022年のシリーズ刷新の際にも存続しました。
マスメディアの記者用として強く支持されるSVシリーズ
実はこのLet’s NoteのSVシリーズ、新聞社やテレビ局等の大手メディアが法人用途で大量調達し記者に貸与していることで有名なノートパソコンです。この分野においてはほぼ一強と言ってもいいです。大手メディア所属で、個人のフリーランス記者でもない限りはこのLet’s Noteを広げています。大規模な記者会見場において大勢の記者がこのLet’s Noteを使っている姿は圧巻です。
理由は軽量にも関わらず光学式ドライブ(Blu-ray,DVD,CDドライブ)を搭載しているからです。
現在でも記者会見の際、報道資料は未だにDVD-R,CD-R等の光学式メディアでデータが配布されることが多いのです。USBメモリや電子メールでの報道資料配布を企業や官公庁は嫌う傾向にあります。帰社後ではなくその場で光学式メディアを読み取って報道資料を読むことができるということでこのSVシリーズはマスメディアから重宝されています。そういった大顧客からの大量調達において不利にならないよう、名称の混乱を招かないようにSVの名前は維持されたと考えられます。
廃止された過去のシリーズ
Let’sNoteはThinkPadと違って、シリーズが設定されては廃止されてしまいあまり一貫性がないです。ここは日本企業が昔から下手な部分で、長期継続的にシリーズを維持しシリーズ名をブランド化することが本当に苦手です。普段から見慣れている詳しい人にとっては気にしないのですが、多くの人はパソコンを選ぶ機会はめったになく初見に近いです。自動車で言えばメルセデスのClass表記は歴史が長く、メルセデスに詳しくない人でもS-Classのセグメントが上でC-Classのセグメントが下だと知っています。このような一貫性があり長期継続するわかりやすいネーミングルールが無いのがPanasonic Let’s Noteの残念なところです。
【12.0型】 Let’s Note XZシリーズ Panasonic初の脱着式2in1、タブレット兼用ノート
このXZシリーズはシリーズ名こそ廃止されましたが、実質的には「QVシリーズ」として存続しました。Panasonic Let’s Noteの中で最も高額な最高級モデルです。最も高いカスタマイズ構成にすると40万円以上します。
小型なのに性能重視 高消費電力版Intel Core Uを搭載している
XZシリーズは画面部分とキーボード下の本体部分にそれぞれ1ずつ合計2個もバッテリーパックを内蔵しているためIntel Core Uでもバッテリーの持ちが良くなっています。
XZシリーズは2017年春モデルから初投入されたまだまだ新しいシリーズ
XZシリーズは2017年2月発売の春モデルからできたシリーズです。それまでのLet’s Noteはクラムシェルと言われる画面を開いたり閉じたりするだけのいわゆる普通のノートパソコンタイプだけでした。
このXZシリーズは、キーボードと画面を切り離すことができてタブレットとして使えるようになったいわゆる2 in 1タイプのノートパソコンです。
Let’s Noteで初の脱着式、タブレット・ノート2 in 1タイプのノートパソコン
Let’s Noteはデザインを見ても分かる通り非常に保守的なノートです。冒険をせず質実剛健に、従来からのデザインを使い続けます。他メーカの先進的なデザインを見ると、Let’s Noteは野暮ったくダサく見えてしまうこともありますが、それは堅牢性といった実益重視から来ているものです。
そんな保守的なLet’s Noteでも2 in 1という新しい取り組みを導入しました。それがこのXZシリーズで、画面が脱着可能になりました。それまでクラムシェルモデルしかなかったLet’s Noteにとって大きな変化です。
タッチパネルを採用しているため重量は少し重い
タッチパネルを採用しているノートPC共通ですが、タッチパネルにするとどうしても重くなってしまいます。このXZシリーズも他のLet’sNoteと比較し重めです。
画面はノングレアではない
業務用途としてはここはデメリットです。映画を観る用途だったら別として、仕事として使うなら画面に光沢がないノングレアタイプが普通は支持されます。一般事務の法人向けで支持のある液晶ディスプレイEIZO FlexScanシリーズも、映り込まないノングレアであることを積極的に売りにしています。ノングレアではない光沢タイプになってしまうのは、タブレットとしても使える2in1タイプでは仕方のないことかもしれません。タッチパネルを採用するとどうしてもノングレアにするのは難しくなります。
XZ他のシリーズより長い4年保証
XZシリーズは他のシリーズの3年保証と比較して、1年長い4年保証が適用されています。
この理由としては、XZシリーズがLet’sNoteで初めての脱着式ということもあって、Let’sNoteが売りにしている「堅牢性」が損なわれるのではないかという顧客の懸念を払拭するためだと言われています。
パナソニックとしては、このように脱着式にしたことによって堅牢性が失われた点は一切なく、他のクラムシェルタイプのノートパソコンと同じ堅牢性を備えていることを衝突実験で実証しているようです。
それでも一般的な先入観として「クラムシェルよりも脱着式の方が壊れやすそう」というイメージを顧客に持たれてしまうため、その先入観を払拭するためにあえて保証期間を1年伸ばし、「他のシリーズより1年長い4年保証を提供するくらい堅牢性に自信があります」というメッセージだそうです。
このXZシリーズが発売されてから1年以上が経過しましたが、故障しやすいというレビューは見かけないので本当に今までのLet’sNoteと同じように頑丈なのでしょう。
【14.0型】 LXシリーズ 光学式ドライブ搭載
LXシリーズはLet’sNoteの中で最も特大サイズであり、サイズ自体はFVシリーズに引き継がれました。しかし多くの点でFVシリーズとは異なっています。
違いはLXシリーズはLet’sNoteはDVDドライブ搭載、LTEモジュールが非搭載であることです。それ以外はThinkPad X1 Carbonと似ているのでLet’sNote LXシリーズはThinkPad X1 Carbonと競合していました。新しいFVシリーズではLTEモジュールが搭載される選択肢が存在し、光学式ドライブが撤去されたため益々ThinkPad X1 Carbonを意識して競合したことになります。
LXシリーズの画面解像度はFull HD(1920×1080) 縦の解像度が低い
ディスプレイが1200ではなく1080であることが残念な点です。これはもし1200にしてしまうとノートパソコンの奥行きが大きくなりすぎてしまって不便になることからこの解像度にせざるを得ないというのが本当のところでしょう。同じく14インチを採用しているThinkPad X1 Carbonも1920×1080です。他のLet’sNoteのシリーズでは縦の解像度が1200あるのでその点LXシリーズは他のシリーズより優位性がありません。
LTEモジュール非搭載
Let’sNoteの各シリーズの中でLTEモジュールを選択できないのはこのLXシリーズのみでした。それはLet’sNoteの中で最も大きいサイズなので据え置き用途を想定しており、そもそもLTEモジュールの需要がないと見ていたからでしょう。
【10.1型】 Panasonic Let’s Note RZシリーズ Let’s Noteで最小・最軽量タイプ
このRZシリーズはLet’sNoteで最小サイズでした。好きなシリーズだったので廃止されたのは残念です。このノートパソコンは横幅が25cm、奥行きが18cmしかありません。B5ノートサイズよりも縦横1cmずつ小さいです。
ThinkPad X1 CarbonのようないわゆるA4ノートは、専用PCケースに入れると37cm~39cm程度になり、そのケースを男性向けバッグ(40cm程度)に入れようとするとギリギリになります。
しかしこのLet’s Note RZシリーズは横幅が25cmしかないので、PCケースに入れてからバッグに入れても余裕でバッグのスペースが余ります。
このRZシリーズのサイズなら女性向けバッグでも余裕です。女性のバッグは30cmが主流で大きくても35cmです。例えばエルメスバーキンでも女性向けは30cmのバーキン30が主流であり、バーキン35は少数派です。30cmのバッグでもこのRZシリーズなら余裕で収まります。
とにかく小型軽量であることを最優先したい人向けのPCです。このサイズのLet’s Noteはシリーズ名こそ違うものの2004年頃からありました。見た目は昔から変わっていません。このRZシリーズに限らず、Let’sNoteは本当にデザインがほとんど変わらないノートパソコンです。黄緑色のランプが付く電源スイッチも全く変化していません。
このRZシリーズの弱点としてはキーボードが打ちにくいということです。ストロークが1.5mmと浅く(通常ノートPCは2.0mm程度)、縦のキーピッチが狭14.2mmと狭いので本格的な打鍵はしないほうがいいでしょう。ブラウザにURLを打ち込んだり、少しだけソースコードを修正してビルドするくらいならいいと思います。本格的に一から文書を作成する作業をこのノートパソコンでするとかなり疲労が溜まると思います。
本当に外回りが多い法人ではこのRZは使われているのかもしませんが、私が今まで見てきた業態では法人向けとしてはあまりRZは採用されていない印象です。個人向けの採用としては良いと思います。
私が学部生の頃、このサイズのLet’sNoteを購入して持ち歩いている同期がいました。その人は就活時もこのサイズのLet’sNoteを使っていました。このノートパソコン画面でレポート作成などの文書作成はキツイでしょうが、自宅で外付けディスプレイに接続して外付けキーボードを接続すればこれ一台で事足りるでしょう。
縦の解像度が1200もあるのも嬉しい点です。1080だと文書を読む時に無駄にスクロールする必要が出てきて一覧性が損なわれます。1920×1200という解像度はゲームや動画を見る用途には不人気ですが、テキスト(Word,Excel,Webサイト)閲覧には適しています。