SSD選びはメーカーが多く、さらに同一メーカーでもシリーズが多いためとても難解です。
SSDを購入する際にSSDのサーベイ(調査)を徹底的に行ったため、SSD選びのコツを記録しておこうと思います。
M.2規格のSSDについてはNVMe接続とSATA接続も含めてこちらで比較しています。
SSDのシリーズごとのランキングを掲載した後、容量ごとのランキングを掲載しています。
2022年時点で、8TBのSSD(QLCタイプ)が約8万円、8TBの3.5インチHDDが約1万4千円であり、価格差は約6倍もあります。ただ、16TBの3.5インチHDDが約4万円であるため、割高な16TBHDDと比較すればSSDとの容量あたり価格差は4倍程度まで縮まってきています。
しかし、8TBのSSDで多用されているQLCタイプNANDは殆どの人が想定している以上に書込み耐久性が低いです。書込みを頻繁に行う場合はTLCタイプでなければ実用性に乏しいため、HDDとの価格差は4倍よりもまだまだ大きいというのが現状です。
インデックス:
- 1位: Western Digital WD Red SA500 NAS SATA WDS 1R0A
- 2位: Samsung 870 QVO
- 3位: KIOXIA(東芝) EXCERIA SATA SSD-CK
- 16TB
- 8TB
- 4TB
- 2TB
- 1TB, 960GB, 800GB
- 512GB, 480GB, 400GB, 750GB, 640GB
- 256GB, 240GB, 275GB
- 128GB, 125GB, 120GB, 160GB
- 64GB
- 32GB
- SSD(Solid State Drive)とは何か
- ハードディスクドライブ(HDD)は速度が遅く、モーター等の駆動部品があることで故障率が高く消費電力も高く騒音も大きい
- QLC、TLC、MLC、SLCの違い
- 個人PCでQLC NANDが最適なのはRead:Write=70%:30%までのリードメイン用途
- 従来のMLCよりも「3D TLC」のほうが耐久性が高くなっている
- 全世界でNAND Flashダイメーカーは5グループしか存在しない
- NAND FlashダイとそれをパッケージングしたBGAは別物
- 耐久性と速度と容量を決定するコントローラ: 1. チャネル数は並列アクセス数を決定、 2. CE数は平行アクセス可能なダイ枚数を決定、 3. CE1つあたりで制御可能なダイ枚数は1~8枚、 4. 特にDRAMキャッシュバッファ搭載可能かどうかで価格が大きく変化する
- おすすめSSDメーカーをNAND製造元別に評価
- おすすめしないSSDメーカー
- コントローラをメーカー別に評価
- SSDの仕組み・内部構造と今後のSSD容量増加の展望
- 12TB
1位: Western Digital WD Red SA500 NAS SATA WDS 1R0A
2019年12月発売。WD Blueシリーズより書込み耐久性を大幅に向上させたWD Redシリーズです。SSDとしてWD Redシリーズが投入されるのはこの製品が初になります。型番の”WDS”はWDシリーズのSSDを指しています。WesternDigitalは元はHDDメーカなので、HDDの場合は”WD”です。”1R0A”の内、最初の”1″が第1世代を意味し、次の”R”がRedシリーズを意味しています。”0A”というのは派生を表していて、”1R0A”が本製品の第1世代Redの2.5インチSATAであり、もし”1R0B”ならM.2のSATA、”1R0C”ならM.2のPCIeを意味しています。
このSSDはWD Redという名称を使っていることから、用途が誤解されやすい製品です。このSSDはHDDのWD Redシリーズとは異なり、NASに保存するためのストレージ本体としての使用を想定したものではありません。あくまでもNASのストレージとしてはHDDを用いて、そのHDDからのリード・ライトを高速化するためのキャッシュとしてこのWD RedシリーズSSDを用います。NAS機器にはHDDの他に、キャッシュとして用いるための2.5インチSSDが挿入できるようになっているタイプが存在します。そのようなNASで用いることを想定しているのがWD RedシリーズのSSDです。
ここで今言及した「キャッシュ」とは、SSD内部でオーバープロビジョニング領域をSLCキャッシュとして用いてSSDの書込み耐久性を高めたり、書込み速度を高めるための「キャッシュ」のことではありません(一応このSSDではオーバープロビジョニングに対応しています)。
このWD RedシリーズSSDの用途として想定されている「キャッシュ」の意味は、アプリケーション(ストレージの応用例)としてのNASがSSDをキャッシュのように用いるという意味です。SSD内部でSLCキャッシュやDRAMキャッシュを搭載しているかは関係なく(透過性で感知しない)、SSD全体をNASから見たキャッシュとして用いるという意味です。
つまり、PCのOS領域としてのストレージはSSDの使用で高速化されても、大容量データ格納場所としてのNASがHDDのままでは全体としてのスループットが低下してしまうので、NASに搭載したSSDをNASのキャッシュとして用いて、NASが高速に動作しているように「見せる」ために使うのがこのWD RedシリーズSSDです。
SSDをキャッシュとして使うということは、データが格納されているHDDからデータをSSDにキャッシングするときにはSSDへのライトが発生します。キャッシュヒットのときはSSDに対するリードが発生します。NASへのライトが全く無く、SSDに十分に載るサイズの特定データに対するリードばかり(空間的局所性が高い)なら、キャッシュとして用いるSSDもリードばかりになるのでWD Blueシリーズでも十分ですが、実際のNAS用途ではリードとライトが半々ずつ発生するアプリケーションが多いため、このWD Redシリーズはリードとライトが50%ずつ発生することを前提に最適化して設計されています。
以上のことから、WD RedシリーズSSDは書込み耐久性がWD Blueシリーズより向上しています。WD Blueシリーズは「一度書込んだ後はほとんど読込みのみ」を想定したものだからです。実際、WD BlueシリーズSSDの4TBモデルでは総書込みバイト数(TBW)が600TBしかないのに対し、このWD RedシリーズSSDの4TBモデルではTBWが2,500TBに達します。書込み耐久性の高さを重視したいユーザにとってはこのWD Redシリーズはおすすめです。
採用されているコントローラはWD BlueやSandiskウルトラ3Dと同じ「Marvell 88SS1074」です。理論シーケンシャルリード・シーケンシャルライト速度についてはWD Blueと全く同じです。この4TBのWD Redのランダムリード・ランダムライト速度についてもWD Blueと全く同じです。ただし、4TB以外の容量である2TB,1TB,500GBの製品に関しては、WD RedとWD Blueで速度が異なるので注意です。
・【4TB】 WD Red SA500 NAS SATA WDS400T1R0A
メーカー | Western Digital |
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型番 | WD Red SA500 NAS SATA WDS400T1R0A |
容量 | 4TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2019年11月 |
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耐久性(TBW) | 2500 TBW |
耐久性(DWPD) | 0.342 |
NAND構造 | BiCS3 64層3D TLC (256Gbit, 15nm) |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | Marvell 88SS1074 |
DRAMキャッシュ | 512 MB DDR3-1600 (Nanya NT5CC256M16ER-DIB) |
MTTF:平均故障間隔 | 200万時間 |
保証期間 | 5年 |
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厚さ | 7mm |
質量 | ― |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 95,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 82,000 IOPS |
この4TBモデルはWD Red SA500シリーズの他の容量と比較して理論ランダムライト速度が遅いことに注意です。TBWは最も大きく2500TBW。DRAMキャッシュサイズは共通の512MB。本来容量は4096GBなのですが、96GB分はオーバープロビジョニング用として別途確保されており、実質容量は4TBです。現時点で4TBのSSDとしてはサムスン製よりおすすめできます。
・【2TB】 WD Red SA500 NAS SATA WDS200T1R0A
メーカー | Western Digital |
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型番 | WD Red SA500 NAS SATA WDS200T1R0A |
容量 | 2TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2019年11月 |
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耐久性(TBW) | 1300 TBW |
耐久性(DWPD) | 0.356 |
NAND構造 | BiCS3 64層3D TLC (256Gbit, 15nm) |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | Marvell 88SS1074 |
DRAMキャッシュ | 512 MB DDR3-1600 (Nanya NT5CC256M16ER-DIB) |
MTTF:平均故障間隔 | 200万時間 |
保証期間 | 5年 |
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厚さ | 7mm |
質量 | ― |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 95,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 85,000 IOPS |
4TBモデルよりも容量あたりの書込み耐久性が上です。4TBモデルの2500TBWに対し、2TBモデルでは1300TBWあるためです。結果的にDWPDが大きくなっています。理論ランダムライト性能はこちらの方が少し高くなっています。この2TB版も4TBモデルと同様にオーバープロビジョニング対応のため、2024GBのうち実際の容量は2000GBです。
・【1TB】 WD Red SA500 NAS SATA WDS100T1R0A
メーカー | Western Digital |
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型番 | WD Red SA500 NAS SATA WDS100T1R0A |
容量 | 1TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2019年11月 |
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耐久性(TBW) | 600 TBW |
耐久性(DWPD) | 0.329 |
NAND構造 | BiCS3 64層3D TLC (256Gbit, 15nm) |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | Marvell 88SS1074 |
DRAMキャッシュ | 512 MB DDR3-1600 (Nanya NT5CC256M16ER-DIB) |
MTTF:平均故障間隔 | 200万時間 |
保証期間 | 5年 |
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厚さ | 7mm |
質量 | ― |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 95,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 85,000 IOPS |
WD Red SA500シリーズの1TBモデルは容量あたりの書込み耐久性が4TB,2TBモデルと比較して低めです。総書込みバイト数は600TBWあるものの容量あたりの耐久性を表すDWPDは0.329です。書込み耐久性を重視する場合は2TBモデル以上がおすすめです。DRAMキャッシュのサイズは変更ありません。1024GBのうち24GBはオーバープロビジョニング用です。
・【500GB】 WD Red SA500 NAS SATA WDS500G1R0A
メーカー | Western Digital |
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型番 | WD Red SA500 NAS SATA WDS500G1R0A |
容量 | 500GB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2019年11月 |
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耐久性(TBW) | 350 TBW |
耐久性(DWPD) | 0.384 |
NAND構造 | BiCS3 64層3D TLC (256Gbit, 15nm) |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | Marvell 88SS1074 |
DRAMキャッシュ | 512 MB DDR3-1600 (Nanya NT5CC256M16ER-DIB) |
MTTF:平均故障間隔 | 200万時間 |
保証期間 | 5年 |
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厚さ | 7mm |
質量 | ― |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 95,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 85,000 IOPS |
第1世代のWD Red SSDシリーズの中では最小容量の500GBモデルですが、容量あたりの書込み耐久性は最も高くなっています。絶対値としては書込み耐久性は350TBWしかありませんが、容量あたりでみるとDWPDは0.384もあり同シリーズの各容量ではトップです。MLCを採用した他のSSDと比べると書込み耐久性の低さは否めませんが、TLCのSATASSDの中では高い耐久性です。
2位: Samsung 870 QVO
2020年に発売されたSSDで8TBの容量がラインナップされた貴重なシリーズです。どの容量でもリード・ライト速度の理論値(カタログスペック上の速度)は同じですが実測値はかなり異なります。各容量ごとのカタログスペック上の違いは書込み耐久性とDRAMキャッシュの容量、重量、消費電力だけですが、ベンチマーク結果を見て分かる通り8TBモデルが最も優秀です。また、型番上は~/ITと~/ECがありますが、/ECはAmazon用国内正規品型番で、/ITはAmazon以外の国内正規品型番です。
また、書込み耐久性を重視する人はたとえ安くてもこの870QVOはやめておいた方がいいです。QLCタイプの中ではサムスン製は優れた方ですが所詮はQLCです。海外レビューでは「避けたほうが無難」とされています。
・【8TB】Samsung 870 QVO MZ-77Q8T0B/IT (MZ-77Q8T0B/EC)
メーカー | サムスン |
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商品名 | 870 QVO MZ-77Q8T0B (MZ-77Q8T0B/IT, MZ-77Q8T0B/EC) |
容量 | 8TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | QLC |
発売日 | 2020年8月 |
耐久性(TBW) | 2,880 TB |
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耐久性(DWPD) | 0.329 |
NANDメーカー | Samsung |
NAND構造 | 92層 3D |
コントローラ | Samsung MKX |
DRAMキャッシュ | ○(LPDDR4 8GB) |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 6.8mm |
質量 | 57g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 98k IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88k IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 480.54 MB毎秒 |
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実測シーケンシャル・ライト速度 | 404.97 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 339.27 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 26.92 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 79.38 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 42.20 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 323.30 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 275.01 MB毎秒 |
実測並列リードライトMIX速度 | 292.50 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 1,002 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 398 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 395 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 287 |
PassMark Drive Benchスコア | 4,671 |
870 QVOシリーズで最大の容量8TBのモデル。DRAMキャッシュは8GBもあり総書込みバイト数(TBW)は2,880TBあります。870 QVOシリーズの中では最も高い書込み耐久性を持っていますが、シーケンシャルリードに関しては4TBよりも少し低い速度になっています。しかしそれ以外の項目は軒並み他の容量より優秀です。
・【4TB】Samsung 870 QVO MZ-77Q4T0B/IT (MZ-77Q4T0B/EC)
メーカー | サムスン |
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商品名 | 870 QVO MZ-77Q4T0B (MZ-77Q4T0B/IT, MZ-77Q4T0B/EC) |
容量 | 4TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | QLC |
発売日 | 2020年8月 |
耐久性(TBW) | 1,440 TB |
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耐久性(DWPD) | 0.329 |
NANDメーカー | Samsung |
NAND構造 | 92層 3D |
コントローラ | Samsung MKX |
DRAMキャッシュ | ○(LPDDR4 4GB) |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 6.8mm |
質量 | 54g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 98k IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88k IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 487.59 MB毎秒 |
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実測シーケンシャル・ライト速度 | 374.48 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 339.81 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 25.38 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 74.12 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 40.45 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 325.38 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 271.33 MB毎秒 |
実測並列リードライトMIX速度 | 287.45 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 989 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 400 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 383 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 280 |
PassMark Drive Benchスコア | 4,208 |
これは4TBモデルなので8TBモデルと比べてTBWは半減し1,440TBです。他のカタログスペック上の違いはDRAMキャッシュが4GB、重量が8TBより若干軽くなり消費電力も少し低くなってる程度です。実測値においてはシーケンシャルリードは8TBモデルより上であるものの、ランダム速度に関してはやはり4TBモデルの方が劣ります。
・【2TB】Samsung 870 QVO MZ-77Q2T0B/IT (MZ-77Q2T0B/EC)
メーカー | サムスン |
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商品名 | 870 QVO MZ-77Q2T0B (MZ-77Q2T0B/IT, MZ-77Q2T0B/EC) |
容量 | 2TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | QLC |
発売日 | 2020年8月 |
耐久性(TBW) | 720 TB |
---|---|
耐久性(DWPD) | 0.329 |
NANDメーカー | Samsung |
NAND構造 | 92層 3D |
コントローラ | Samsung MKX |
DRAMキャッシュ | ○(LPDDR4 2GB) |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 6.8mm |
質量 | 46g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 98k IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88k IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 480.33 MB毎秒 |
---|---|
実測シーケンシャル・ライト速度 | 371.29 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 326.12 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 24.96 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 73.84 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 39.59 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 340.21 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 284.82 MB毎秒 |
実測並列リードライトMIX速度 | 299.18 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 1,023 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 413 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 396 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 280 |
PassMark Drive Benchスコア | 4,262 |
2TBではDRAMキャッシュが2GBになります。重量は1TBモデルと同じです。この2TBモデルのカタログスペックの理論速度では1TBモデルと同じですが、実測値は1TBモデルよりも大幅に高速です。シーケンシャル、ランダム、並列アクセスいずれにおいても2TBモデルの方が圧倒的に高速なので、1TBモデルを買うくらいだったら多少予算を上積みしてこちらを選ぶべきです。また、4TBモデルの速度とは互角です。PassMarkベンチマークスコアに関しては2TBモデルの方が4TBモデルより高くなっています。
・【1TB】Samsung 870 QVO MZ-77Q1T0B/IT (MZ-77Q1T0B/EC)
メーカー | サムスン |
---|---|
商品名 | 870 QVO MZ-77Q1T0B (MZ-77Q1T0B/IT, MZ-77Q1T0B/EC) |
容量 | 1TB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | QLC |
発売日 | 2020年8月 |
耐久性(TBW) | 360 TB |
---|---|
耐久性(DWPD) | 0.329 |
NANDメーカー | Samsung |
NAND構造 | 92層 3D |
コントローラ | Samsung MKX |
DRAMキャッシュ | ○(LPDDR4 1GB) |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 6.8mm |
質量 | 46g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 560 MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 530 MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 98k IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88k IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 473.83 MB毎秒 |
---|---|
実測シーケンシャル・ライト速度 | 341.92 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 311.57 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 23.72 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 69.98 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 37.29 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 318.50 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 268.24 MB毎秒 |
実測並列リードライトMIX速度 | 282.06 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 962 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 390 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 372 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 267 |
PassMark Drive Benchスコア | 4,041 |
1TBは870 QVOの中で最も少ない容量で価格も最も安いですが、QLCタイプならではの「容量あたり低コスト」が1TBだとそこまで活きてきません。容量が少なくなると耐久性も下がるため、1TBなら他のTLCタイプのSSDをおすすめします。
しかも、870 QVOシリーズの場合1TBモデルは相当に実測速度が遅いです。4TBモデルと2TBモデルとの差の比ではありません。870 QVOシリーズは1TBモデルと2TB以上のモデルの間に大きな断絶があると言っていいでしょう。PassMarkスコアも相当低いです。1TBモデルはおすすめできず、870 QVOシリーズなら2TB以上が必要です。
3位: KIOXIA(東芝) EXCERIA SATA SSD-CK
東芝関連会社のKIOXIAホールディングス傘下のKIOXIA(旧東芝メモリ)製NANDを採用したSSDです。日本企業のNANDということで信頼性は高いのですが、このKIOXIA製SSDの各シリーズの中でも廉価なエントリーモデルとして位置づけられる製品であり、高性能路線のSSDではありません。KIOXIA製SSDの中で最も価格帯が安いシリーズになっています。実測値は低く書込み耐久性もお世辞にも高いとは言えないので、品質重視の場合は別のSSDを選んだ方がいいです。
・【960GB】 KIOXIA(東芝) EXCERIA SATA SSD-CK960S/J (SSD-CK960S/N, LTC10Z960GG8)
メーカー | KIOXIA(キオクシア):東芝関連会社 |
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型番 | EXCERIA SATA SSD SSD-CK960S/J, SSD-CK960S/N, LTC10Z960GG8 |
容量 | 960GB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2021年10月 |
耐久性(TBW) | 240 TB |
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耐久性(DWPD) | 0.228 |
NAND構造 | 3D |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | 東芝(KIOXIA) |
DRAMキャッシュ | 非搭載 |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 7.20 mm |
質量 | 45.7g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 555MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 540MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 81,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88,000 IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 372.88 MB毎秒 |
---|---|
実測シーケンシャル・ライト速度 | 240.68 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 233.01 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 27.60 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 61.90 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 31.56 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 226.73 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 237.30 MB毎秒 |
実測並列MIX速度 | 163.92 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 768 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 292 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 323 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 206 |
PassMark Drive Benchスコア | ― |
960GBは容量こそ上であるものの480GBモデルよりランダムアクセス性能が公称値(理論値)でも低くなっており、実際にベンチマーク結果でも低いスコアとなっています。シーケンシャルアクセスに関しても240GBモデルに負けてる状況です。
・【480GB】 KIOXIA(東芝) EXCERIA SATA SSD-CK480S/J (SSD-CK480S/N, LTC10Z480GG8)
メーカー | KIOXIA(キオクシア):東芝関連会社 |
---|---|
型番 | EXCERIA SATA SSD SSD-CK480S/J, SSD-CK480S/N, LTC10Z480GG8 |
容量 | 480GB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2021年10月 |
耐久性(TBW) | 120 TB |
---|---|
耐久性(DWPD) | 0.228 |
NAND構造 | 3D |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | 東芝(KIOXIA) |
DRAMキャッシュ | 非搭載 |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 7.20 mm |
質量 | 45.6g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 555MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 540MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 82,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 88,000 IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 395.55 MB毎秒 |
---|---|
実測シーケンシャル・ライト速度 | 258.47 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 254.36 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 32.80 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 67.90 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 36.77 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 263.11 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 266.38 MB毎秒 |
実測並列MIX速度 | 189.67 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 873 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 335 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 360 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 223 |
PassMark Drive Benchスコア | ― |
このシリーズで一番優秀なのがこの480GBモデルです。ランダムアクセス性能は公称値(理論値)でも960GBモデルより上であり実測値でもかなり上にでています。総合的に見てこのEXCERIA SATA SSD-CKシリーズの中では速度面では最も優秀です。しかし容量が480GBしかないので書込み耐久性が低くそこまでおすすめできるモデルではありません。
・【240GB】 KIOXIA(東芝) EXCERIA SATA SSD-CK240S/J (SSD-CK240S/N, LTC10Z240GG8)
メーカー | KIOXIA(キオクシア):東芝関連会社 |
---|---|
型番 | EXCERIA SATA SSD SSD-CK240S/J, SSD-CK240S/N, LTC10Z240GG8 |
容量 | 240GB |
フォームファクタ | 2.5インチ |
通信規格 | SATA 6Gbps |
NANDタイプ | TLC |
発売日 | 2021年10月 |
耐久性(TBW) | 60 TB |
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耐久性(DWPD) | 0.228 |
NAND構造 | 3D |
NANDメーカー | 東芝(KIOXIA) |
コントローラ | 東芝(KIOXIA) |
DRAMキャッシュ | 非搭載 |
MTTF:平均故障間隔 | 150万時間 |
保証期間 | 3年 |
厚さ | 7.20 mm |
質量 | 45.5g |
理論シーケンシャル・リード速度 | 555MB毎秒 |
理論シーケンシャル・ライト速度 | 540MB毎秒 |
理論4Kランダム・リード速度 | 79,000 IOPS |
理論4Kランダム・ライト速度 | 87,000 IOPS |
実測シーケンシャル・リード速度 | 407.26 MB毎秒 |
---|---|
実測シーケンシャル・ライト速度 | 244.17 MB毎秒 |
実測シーケンシャルMIX速度 | 256.62 MB毎秒 |
実測4Kランダム・リード速度 | 30.90 MB毎秒 |
実測4Kランダム・ライト速度 | 66.90 MB毎秒 |
実測4KランダムMIX速度 | 33.74 MB毎秒 |
実測並列リード速度 | 261.96 MB毎秒 |
実測並列ライト速度 | 233.13 MB毎秒 |
実測並列MIX速度 | 143.28 MB毎秒 |
AS SSD Benchmark Totalスコア | 832 |
AS SSD Benchmark Readスコア | 334 |
AS SSD Benchmark Writeスコア | 324 |
Userbenchmark (Effective:実効) | 219 |
PassMark Drive Benchスコア | ― |
ランダムアクセス性能は480GBよりは劣りますが、シーケンシャルアクセスに関して優秀です。そのため各種ベンチマークの総合スコアではこの240GBモデルの方が480GBモデルより上になっています。項目によっては実測値が960GBモデルより上になっています。ただし容量が少ないことから書込み耐久性はかなり低いためそこだけは960GBモデルより劣っています。
16TB
2019年4月に米国Micron社から15.38TBを実現したSSD、9300シリーズがリリースされました。事実上の16TBSSDです。ただしこれはU.2コネクタ規格・PCIe通信規格・NVMeプロトコル規格であり一般的なSATA規格のSSDではありません。
実は2017年には同じくU.2規格のMicron 9200シリーズがリリースされこの9200は7.68TBを実現していました。そして翌年2018年にMicron 5200 ECO,5210 IONシリーズがリリースされて7.68TBのSSDがSATA規格でも手に入るようになりました。
つまりU.2規格の9300シリーズで15.3TBモデルが用意されたということは、今後SATA規格の5300シリーズ、5310シリーズがリリースされることを意味します。もしかしたらHDDメーカーが3.5インチ16TBを量産してスケールメリットで容量あたりの価格を下げようとしている間に、2.5インチSSDはあっけなく16TBを達成してしまうかもしれません。
1位 Micron 9300 Pro MTFDHAL15T3TDP-1AT1ZABYY 15.36TB 64層3D TLC NAND
2019年発売。SATA接続ではなく、U.2コネクタ規格でPCI Express 3.0×4レーン通信規格を採用し、NVMeプロトコルインタフェースに対応したSSDです。つまりエンタープライズ向けです。
厚みが15mm(通常は7mm)もあることからもわかる通り、2枚基板(PCB)構成です。
このSSDで採用されているのは第2世代のMicron製64層3D TLC NAND(512Gbit)であり、これは2018年発売の5200 ECOシリーズ7.68TBで採用されたのと同じNAND Flashです。
5200 ECOでは512Gbit(64GB)のNAND Flashダイ8枚を1基のBGAにパッケージングし、そのBGAを基板表面に8基、裏面に8基搭載して{1BGAあたり8枚×BGA16基=128枚}で合計128枚のNAND Flashダイを搭載して8TBを実現していました。
そしてこの16TBSSDでは、このNANDを256枚搭載して16TBを実現しています。またU.2規格対応にするためにフルサイズの2.5インチ基板×1枚ではスペースが足りずもう1枚基板を追加しています。そのため15mmの厚さをもつSSDになっています。
256枚の512Gbit(64GB)NAND Flashダイを搭載すると16.384TBになり、実容量の15.36TBを差し引くと1.024TB少ないことがわかります。この1.024TBはオーバープロビジョニング用の予備領域です。このSSDのコントローラはSLCキャッシュバッファに対応しており、この1.024TBの予備領域の一部をキャッシュとして使って耐久性を高めています。また書込みエラーとなったNANDブロックが発生した場合は、そのエラーブロックを無効化して、この1.024TBの予備領域に新しくブロックを割り当てることでSSDの寿命を伸ばしています。この1.024TBの予備領域にアクセスできるのはSSD内部に搭載されているコントローラだけなので、ユーザ領域として使えるのは15.36TBまでです。
8TB
2018年の3月にMicronから64層の3D TLCタイプSSD「Micron 5200 ECO」シリーズが発売されました。さらに2018年11月には64層のQLCタイプSSDである「Micron 5210 ION」シリーズが発売されました。私も現在このSSDを使用しています。いずれも容量は7.68TBです。8TB帯のSSD購入を考えている場合にはこの2機種をおすすめします。これらのSSDの登場は、長い間サムスンの4TB品が最大容量だった現状を変更することになりました。当然Micronからも4TB品が発売されていますが注目すべきはこの8TB品です。
単品8TBのSSDを使わない場合、SSDで8TB以上を実現しようとすると4TBの2.5インチSSDを2枚か、2TBのSSDを4枚使ってRAIDやJBODを組むことになります。
しかし2.5インチサイズ1枚で8TBのSSDでないと不便です。そのニーズに応えるのがこの8TB帯SSDです。
現在は8TB帯のSSDどころか4TB帯のSSDですら一般には普及しているとは言い難い状況です。一般的なPCパーツショップに出回って普通に買えるくらいの流通量と価格になれば世の中に8TBSSDが普及したと判断できます。
2019年には8TBのSSDが900ドルを下回りました。4TBのSSD2枚でRAIDやJBODを組むといった面倒なことをしなくても8TBのSSD1枚で十分です。
SSDがHDDに劣る点が1つあるとしたらそれは価格です。逆に言えば予算を気にしない人ならSSDにデメリットは存在しません。
少し前までは「容量はSSDよりもHDDのほうが大きい」と言われてきましたが、2.5インチサイズに限れば2.5インチHDDは4~6TB止まりです。しかしSSDは2.5インチサイズで既に8TBを達成しており、容量ベースでもSSDはHDDを追い抜きました。
容量あたりの価格の問題だけ解決すれば、性能(高速性)、省スペース性、モーターなどの駆動部品が無いことによる静音性・低消費電力性・可用性(低故障率)、全てにおいてSSDがHDDに勝ることになります。もはやHDDがSSDに勝っている点は「安さ」だけとなってしまいました。
1位 Micron 5210 ION MTFDDAK7T6QDE-2AV1ZABYY 7.68TB 64層 QLC
2018年11月に発売されたQLCタイプのSSDです。1セルに4bit詰め込む64層3D QLC NAND(1Tbit)を採用しています。QLCタイプであっても総書込バイト数(TBW)は大きめです。SLCバッファを搭載し、空き容量が大きいうちはSLCとして用いるアルゴリズムをコントローラに搭載することで耐久性を高くしています。総書込バイト数は11.213PB(1万1,213TB)もあります。しかしQLCタイプだけあって書き込み速度は360MB毎秒まで落ちます。書き込み速度を優先するのならTLC版の「Micron 5200 ECO」がおすすめです。
このSSDはシンガポール製です。Micron社のNAND事業はシンガポール工場が中心的役割を果たしているためです。
このSSDの替わりとして2019年に発売されたサムスンの860QVO(QLCタイプ)4TBを2枚でRAIDやJBODを組む選択肢もありますが、価格的にこちらのMicron製とほぼ同じです。またサムスン860QVO(4TB)の総書込みバイト数(TBW)はたった1,440TBであり、2枚合計して2,880TBあるとしても、Micron 5210 IONの11,213TBの約25%しかありません。耐久性と、SSD1枚で8TBを実現できる利便性を考慮するならこのMicron 5210がおすすめです。
私はこのSSDを実際に使用して評価していますのでレビューはこちらをご覧ください。
Micronは現在のところほぼ唯一の8TB帯SSDメーカーです。厳密に言うと7.68TBのSSDをリリースしています。8TB帯を考えている場合におすすめできるほぼ唯一のメーカーです。
2位 Micron 5200 ECO MTFDDAK7T6TDC-1AT1ZABYY 7.68TB 64層 3D TLC
2018年3月発売。5210 IONシリーズよりも先行品です。5210 IONシリーズよりもこちらの5200 ECOシリーズのほうが古いのですが、TLC版ということもあって少しだけ高価です。こちらは総書込バイト数(TBW)は8.4PBと5210 IONモデルに比べて少なめに見えますが、これは100%4Kバイトランダム書込みのときのTBWです。4Kバイトランダム書込みオンリーの場合のTBWは、5210 IONシリーズの場合700TBまで下がります。よって耐久性ではこちらの5200が上です。
こちらはTLCタイプであるため書き込み速度が520MB/sあります。QLC版の5210 IONでは360MB/sですから、書き込み速度も古いTLC版のほうが優れます。
ちなみに5200シリーズには5200PROや5200MAXといったものもありますが、PROやMAXシリーズに8TB帯のものはありません。5200 ECOはTBWを小さくする替わりに容量を増やしたもので、5200PROや5200MAXはTBWを大きくする替わりに容量を小さくしたものです。
この5200 ECOはMicron製64層3D TLC NANDを採用しています。Micronの64層3D TLC NAND Flashダイには256Gbitと512Gbitのものがありますがこの5200 ECOで採用されているものは512Gbit(64GB)タイプです。この512Gbitダイを8枚封入し1基のBGAとしています。このNAND BGAを基盤表面に8基、裏面に8基で合計16基搭載して7.68TBのユーザ容量を実現しています。ダイ1枚あたり64GBを128枚搭載すると8,192GBになりますが、差分の512GBはSLCキャッシュバッファのための予備領域です。また搭載コントローラは「Marvell 88SS1074」で4チャネル8CEのコントローラであるため1CEで4枚のNAND Flashダイを制御しています。
4TB
2.5インチサイズ1枚で4TBのSSDは2017年頃に出回ってきました。HDDでも人気容量帯は4~8TBなので、4TBのSSDはHDDにとっては大きな脅威です。HDDは「振動に弱い・遅い・高消費電力・騒音が大きい」というデメリットがあるからです。
SSDはまだまだ高価ですが、SSDは1年で40%程度安くなる価格低下が続いたため2019年には4TBモデルが450ドルまで安くなってきています。
当初は4TBのSSDはサムスン製しか販売されておらず、競争が働かないことで価格が高止まりしていましたがMicronが4TBを出したことで容量あたりの価格が下がってきました。Micronからは同時期に8TBもでています。MicronのSSDは2018年に1100シリーズの2TB品が日本のPCショップで出回ったことにより、大きくSSDの価格を下げることに貢献しました。この4TBの容量帯についても、以前はサムスン1社しか個人向けに販売していなかったため20万円弱していたのですが、競争が働いたことでかなり価格が下がってきました。
2TBのSSDにおいて値下げの牽引役となったMicron 1100が2019年には税込3万円を下回りました。この2TB SSDを2台でRAIDを組んでも4TBのSSDを実現できますが、今となっては4TBのMicron SSD1枚のほうが省スペースな上にRAIDを組む必要もなく容量あたりの価格も同じくらいです。その後Micronに続いてIntelやKingstonからも4TBモデルが発売されました。両方ともIntel・Micron連合の3D TLC NANDか3D QLC NANDを用いているものです。
そして2019年にはWestern Digital(Sandiskの親会社)からも4TBの2.5インチSSDがリリースされました。東芝製のBiCS3世代3D TLC NAND(512Gbit)を使用したものです。東芝製NAND採用SSDが出るまで4TBモデルを待っていた人にとっては朗報です。
3.5インチのHDDは16TBまで容量が増えていますが、2.5インチサイズのHDDでは5TBが上限であるため、2.5インチサイズに関してはSSDがHDDの絶対容量に既に追いついています。既に8TBのSSDが存在するためです。容積(体積)あたりの容量ではなく絶対容量でも追いついています。
いままで2.5インチサイズのポータブルHDDを使っていたユーザにとっては、4TBのSSDに乗り換える時期になってきています。
1位: Sandisk ウルトラ 3D SSD SDSSDH3-4T00-J25
2019年9月発売。個人向けの4TBSSDはサムスン製しか当初は存在しなかった中、その後個人向けでもWestern Digitalといったまともなメーカーから4TBモデルが存在し、ようやくSandiskの個人向けモデルにも4TBがラインナップされました。これでサムスン製を選ぶ理由は何も無くなったことになります。4TB帯のSSDの中ではこのSandisk Ultra 3DシリーズまたはWD Blueシリーズが無難な選択になります。実はこのSandisk Ultra 3DはWestern Digital WD Blueと全く同じスペックになります。
使用されているNAND FlashダイはWestern Digital製の4TBモデルと同じで、東芝製BiCS3世代64層3D TLC NAND 512Gbitです。
コントローラについてもWD Blueと全く同じ「Marvell 88SS1074」。シーケンシャルリード速度560MB毎秒、シーケンシャルライト速度530MB毎秒も同じであり、ランダムリード速度95k IOPS、ランダムライト速度82k IOPSも同じです。
Sandisk Ultra 3Dを選ぶか、WD Blueを選ぶかはその時々の価格・入手のし易さ・小売店のサポート体制(Amazon販売発送の正規品として手に入るかどうか)で決めればいいでしょう。
2位: Western Digital WD Blue 3D NAND SATA WDS400T2B0A
2019年6月発売。2016年に発売された第1世代WD Blue(2D TLC NAND採用で1TB以下のみ)に続いて、2017年には第2世代WD Blue(64層3D TLC NAND採用で2TB以下のみ)が発売されていました。それからしばらく時間が開いて、2019年6月には第2世代WD Blueと同じ仕様で4TBモデルが追加されました。
コントローラはMarvell 88SS1074を搭載しており従来の2TBモデルと同じです。NAND Flashダイについては東芝製BiCS3世代64層3D TLC NAND 512Gbit(64GB)が使われておりこれも2017年発売の2TBモデルと同じです。
これまでは4TBのSSDはMicron製,Intel製,Kingston製といったMicron NAND採用モデルかサムスン製NAND採用モデルしかありませんでしたが、東芝・Western Digital連合のNAND Flashダイを採用した4TBSSDが登場したことになります。
コントローラは4チャネル8CEなので、1CEあたりで2枚のNAND Flashダイを制御して合計64枚の512Gbitダイを搭載しています。
Micron製の4TB SSDはエンタープライズ向けとあって日本国内で正規品として入手するのは難しい一方でWestern Digital製は国内正規品としての入手性が高いです。しかも東芝製NANDのほうが高品質なので、4TBのSSDを選ぶとしたらMicronやサムスンよりもWD Blue 4TBがおすすめです。また、このWD Blue 4TBはSandisk Ultra 3D 4TBと中身が全く同じなので、Sandisk製のほうが安かったらそちらを購入しても問題ありません。
ただし、このWD Blue 4TBは耐久性は容量の割に大きくありません。4TBにもかかわらず総書込みバイト数(TBW)は600TBです。WD Blue容量1TBモデルのTBWが400TB、容量2TBモデルのTBWが500TBであることと比較すると容量4TBなのにTBW600TBはかなり小さいです。書込み耐久性を重視する人はWD RedシリーズのSSDがおすすめです。
リードライト性能についてはSandisk Ultra 3Dと全く同じです。
3位: Kingston Data Center DC500M SEDC500M/3840G
KingstonのDC500シリーズの中ではフラッグシップモデル。読書が混在した用途で使うDC500Mシリーズの3.84TB版。
DC500Mシリーズの”M”は読書混在を意味したmixed-workloadのことで、リードとライトが両方とも頻繁に発生する用途を想定したものです。リードに特化したDC500Rシリーズより書込耐久性が大幅に高くなっています。
採用コントローラはPhisonのS12でDRAMキャッシュ対応。数あるコントローラの中でも高級品です。
4位: Kingston Data Center DC500R SEDC500R/3840G
KingstonのDC500シリーズの中でリード用途に特化したDC500Rシリーズの3.84TB版。
DC500Rシリーズの”R”はread-intensiveを意味しており、Staticなウェブサイトを扱うサーバーのように一度データを書き込んだらあとは読込しか発生しないような用途で使います。読書がともに発生するECサイト用途には向きませんが、官報公示のように一度書き込んで公開したらあとは閲覧者がひたすら読み込むだけの用途に向いています。
読書混在(Mixed-workload)用途を想定したDC500Mより書込耐久性が低くなっています。ランダム書込性能も低いです。全体的にみればDC500Mの廉価版がDC500Rです。
5位: Intel D3-S4510 SSDSC2KB038T801
2018年8月発売。3.84TBの大容量SSDで第2世代Intel(Micron)製64層 3D TLC NANDを採用しています。データセンター向けといってもSATA接続であり、U.2コネクタ規格ではありません。2017年発売DC S4500シリーズの後継シリーズに該当します。
耐久性は非常に高いです。データセンター向けのSSDなので耐久性が重視されています。総書き込みバイト数は13.1PB(=13,000TB)もあります。個人のPCで使うのならまったく耐久性については心配ありません。デメリットは価格の高さです
6位: Intel DC S4500 SSDSC2KB038T701
2017年8月発売。3.84TBの大容量SSDで、第1世代Intel(Micron)製32層 3D TLC NAND(384Gbit)を採用しています。「S4500」のSはSATAを指しておりこれのPCIe通信規格版(U.2コネクタ規格)としてP4500シリーズが存在します。
S4500シリーズは240GB~3.84TBまでラインナップされておりS4500シリーズの中でも最も大容量なのがこの3.84TBモデルです。
しかし平均故障間隔はサムスンが150万時間なのに対して、このIntelの製品は200万時間あります。データセンター用として出されているSSDは200万時間確保しているものが多いのでこDC S4500シリーズもそういった意味でデータセンター向けです。
使用しているのは米Micron社のNANDであり耐久性が非常に高いので価格も高くなっています。
7位: サムスン 860 QVO MZ-76Q4T0B/IT
2019年2月発売。1セルに4ビット詰め込むQLCタイプのSSDです。ほぼ同時期にCrucial(Micron)等からもQLCタイプが発売されました。以前はサムスンの4TBSSDといったら10万円を大きく超えて20万円弱していましたが、いまとなっては競合のMicronが4TBを投入してきたため価格を下げざるをえず、サムスンの4TB品は10万円を大きく割り込むくらいまで安くなりました。総書込バイト数は720TBです。
8位: サムスン 860 PRO MZ-76P4T0B/IT
2018年2月2日発売の予定でしたが、日本国内ではこの4TBかつMLCタイプの860 PROだけ発売が遅れているようです。米国Amazon.comでは「MZ-76P4T0BW」として販売されています。2.5インチ規格SATA接続MLCタイプのSSDです。サムスンはTLCのことを”3bit MLC”、MLCのことを”2bit MLC”と独自の呼称を使っているので要注意ですが、このSSDは”いわゆるMLC”の方です。1セルに2ビット詰め込むタイプです。
サムスンのシリーズ名称としては、MLCタイプのSATA接続が「860 PRO」、TLCタイプのSATA接続が「860 EVO」となっています。当然前者のほうが高く、後者のほうが安くなります。
またMLCタイプのPCIe接続(NVMe)が「960 PRO」、TLCタイプのPCIe接続(NVMe)が「960 EVO」となっています。
今回のこの4TBSSDはSATA接続かつMLCなので860 PROとなります。これのTLC版(サムスン独自呼称では3bit MLC)も出ており、860 EVOとして同時発売されています。
9位: サムスン 860 EVO MZ-76E4T0B/IT
2018年2月2日発売。860 PROの廉価版です。2.5インチ規格SATA接続です。860 PRO比較してこちらはTLCであり、860 PROはMLCです。
大変紛らわしいのですが、サムスン製品はTLCのことを「3bit MLC」と呼んで表記しています。1セルに3bitをMultiple(多重)に詰め込むという意味でMLCという呼称を使っているのだと推察しますが、これは一般においてはミスリード(誤解)を生みやすいものとなっています。
普通はMLCといったらTLCと対比して「MLCの方がTLCよりも信頼性が高い」と認識されています。その理由は一般的にはMLCのことを1セルに2bit詰め込むMultipleの意味で使っており、Multipleは”2つ”という意味でMLCが使われているからです。そしてTLCは1セルに3bit詰め込むというTripleの意味でTLCが使われており、TLCと聞けばだれでもこの3bitタイプだと認識しています。
一方でサムスンの場合は、本来ならばTLCと表記すべきものを、1セルに3bitを詰め込むという意味で「3bit MLC」と表記しています。これは「MLC=信頼性が高い、TLC=信頼性が低い」と一般に認識されていることを利用し「MLC」の3文字の好印象にあやかって、「TLC」というマイナスイメージの3文字をあえて避けているためです。
このような「あえてTLCと書かない」表記の仕方はさすがサムスンらしいと言えます。基本的にサムスンの「EVO」シリーズはTLC、「PRO」シリーズはMLCと見ておけば間違いありません。
また相変わらずサムスンのSSDは日本市場では他国と比較して非常に高値で販売しており、為替レート換算をすると1ドル150円程度になっています。この製品は米国Amazonだと140ドル未満で買えてしまいます。
そのうちCrucialやSandiskからサムスン製よりも信頼性が高くしかも米国本国とほぼ同じ価格で4TBのSSDが出て来るでしょうから、それまで待つのが得策だと思います。
2TB
2TBで現実的な価格で提供されているものは2016年上期まではサムスンしかありませんでしたが、2016年上期の終わり頃の9月にCrucialから2TBのSSDが出ました。
さらに続いてWestern Digitalから東芝製NANDを搭載したSSDが発売されました。
2017年後半にはようやくSandiskからも2TBのSSDが発売されました。これで2TB帯は大手メーカー品が揃ったことになります。
2018年時点で既に容量あたりの価格が最も安いのは2TB帯です。2017年前半までは1TBが最も容量あたりの価格が安かったのですが、2017年後半から最も割安な容量帯は2TBに移りました。
特に2018年下期において、Micron 1100シリーズが税込3万円を割ったことにより2TB以下の容量帯のSSDが全面安となる好ましい流れができています。
実は3.5インチHDDにおいて最も容量あたりの価格が安いのは6TB帯です。つまりSSDがHDDにかなり追いついてきていることになります。ただし、絶対価格でみるとまだまだ7倍程度SSDの方が割高です。
2TBのSSDは事実上SandiskとCrucialが頂上争いをしており、次がWestern Digitalとサムスンが追いかける格好です。USB3.0接続の外付けSSDでもいいという場合は、SandiskのExtreme900シリーズに2TB帯の製品があります。
1位: Western Digital(東芝製NAND採用) WD Blue 3D NAND SATA WDS200T2B0A
2017年6月に発売された2.5インチ、SATA規格のSSDです。最近はNVMe規格の注目度が落ち始めており、SATAの通信速度でも十分ではというコンセンサスが出来つつあります。価格が同じで発熱量も同じならNVMeでもいいと思います。しかしNVMeは消費電力と発熱量が大きく、また価格が若干高い傾向にあるので、それならばWD BlueシリーズのようなSATA規格でも十分だと言えます。
WD Blueシリーズは1TBまでしかでていませんでしたが、ようやく2TBのものが出てきてくれました。NANDチップは東芝製なので米Micron社以上の高品質です。当然サムスン製やSK hynix製よりも上です。
このSSDは全く同じ性能でM.2接続版のSSDも出ています。マザーボードのM.2スロットが空いているのならM.2版でもいいでしょう。
このWD Blue 2TBのリード・ライト速度、総書込みバイト数(TBW)等のスペックはSandisk Ultra 3D 2TBと全く同じです。
2位: Sandisk ウルトラ 3D SSD SDSSDH3-2T00-J25
2017年発売。ようやくSandiskから2TBのSSDが出てくれました。非常に歓迎できる製品です。このSSDを4枚接続すれば8TBのSSDができますが大容量SSDがほしいならMicronから8TBのものが存在します。このSandisk Ultra 3Dの2TBモデルは、WD Blue 2TBモデルと全く同じスペックです。採用コントローラは「Marvell 88SS1074」。総書込みバイト数(TBW)は500TBであり、シーケンシャルリード速度560MB毎秒、シーケンシャルライト速度530MB毎秒。ランダムリード速度95k IOPS、ランダムライト速度84k IOPS。
3位: Corsair(東芝製NAND採用) Neutron Series XTi CSSD-N1920GBXTI
Phisonコントローラと、東芝製NANDを搭載した2.5インチSATA接続のSSDです。TLCではなくMLCであることがポイントです。SATA2.5インチのSSDの中では最高級の部類だと言えます。NANDが東芝製というのみならず、外箱を作っているのは米国のCorsair社というのもプラスポイントです。
4位: キングストン SSDNow DC400 SEDC400S37/1600G
2017年4月発売。2.5インチかつSATA。東芝製NANDを採用しています。NANDチップにはKingstonと刻印されていますが、Kingstonは自社でNANDチップを生産しておらず(生産する技術を持っていない)、東芝に製造してもらったときにKingstonと刻印してもらっているのでしょう。さらにMLCです。この製品はDCとあることからもデータセンター用途であり、平均故障間隔がKC400シリーズの2倍の200万時間になっています。保証期間5年は同じですが、こちらの方がKC400よりも上位品です。KC400と同じく誤り検出・誤り訂正機能も付いています
残念な点は容量が1.6TBと中途半端なところです。
5位: Crucial(米国マイクロン社) MX500 CT2000MX500SSD1/JP
Micron純正ブランドのCrucialから発売される2TB SSDとしては2作目になります。Crucialの2TBSSD1作目は、それまで2TB帯SSDといったらサムスン製しか無かった中で、Crucialが2TBを出してくれたおかけで一気に2TBのSSDが手頃な価格で手に入るようになった画期的なものでした。CrucialのSSDは米国Amazon.comでの価格をみるとわかりますが、日本国内での価格は単にドル円の為替レート分の差だけで良心的です。サムスンのように日本市場でボッタクリのようなことはしていません。サムスン製SSDは米国Amazon.comの価格を見ればわかりますが、日本市場の価格を比べると為替レートでいえば1ドル180円~100円くらいのレートで売られています。つまりサムスンから日本市場は足元を見られているわけですが、CrucialやSandisk製ではそのようなことがないのがメリットです。
この2TBCrucial SSDは、2.5インチ規格でTLCタイプSATA接続であり現在のスタンダードとも言えるスペックです。Sandiskのウルトラシリーズのシーケンシャル書込速度530MB毎秒と比べて、このCrucialSSDは510MB毎秒と若干遅いですが、価格分で十分吸収できる差でしょう。読込速度がSandiskの2TBウルトラシリーズとCrucialの2TBが出揃ったことによって、容量あたりの価格は2TB帯が最も安くなってきました。
6位: Micron 5210 ION MTFDDAK1T9QDE-2AV1ZABYY
2018年11月発売。有名な1100シリーズよりだいぶ後に発売された製品で、64層QLC NAND搭載です。この5210 IONシリーズの存在意義は8TBや4TBと大容量にもかかわらず2.5インチかつ低価格を実現した部分にあります。2TB帯だと他の2TBSSDと比較して大して優位性がありません。ものすごく安くなってきたらこの5210 IONでもいいでしょうが、まずはSandisk、WD、Crucialの2TBSSDを見てみてそちらのほうが安かったらわざわざこの5210 IONを買うメリットはそこまでありません。
7位: Kingston Data Center DC500M SEDC500M/1920G
KingstonのDC500シリーズの中でリード・ライトが混在した用途で使うDC500Mシリーズの1.92TB版
DC500Mシリーズの”M”はmixed workloadを意味しており、リードとライトが混在する用途を想定しているものです。リードが多い用途を想定したDC500Rより書込耐久性が高くなっています。またランダム書込性能がDC500Rより大きく向上しているのもDC500Mの特徴です。
8位: Kingston Data Center DC500R SEDC500R/1920G
KingstonのDC500シリーズでリードに特化したDC500Rシリーズの1.92TB版
DC500Rシリーズの”R”はread intensiveを意味しており、一度データを書き込んだらあとはリード処理ばかりの用途を想定しているものです。読書混在(Mixed)用途を想定したDC500Mより書込耐久性が低くなっています。ランダム書込性能が低いのもDC500Rの特徴です。
9位: Micron 1100 MTFDDAK2T0TBN-1AR1ZABYY
日本国内では2018年2月頃から出回り始めた2TBにしてはとても安いSSDです。海外では2016年8月には発売されていました。採用されているのは32層3D TLC NANDであり、既に64層3D TLC NANDが登場していた2018年にしては既に古かったので価格が安くなっていました。
単に安いだけならSK hynixあたりのを選べばいいですが、Micron製NANDを使用してかつここまで安いということで人気になっています。国内正規品ではないバルク品としての扱いです。パチモンではなくしっかりMicron社が製造しているものなので中身は確かですが、容量が2TBもあるのに総書き込みバイト数(TBW)が400TBしかないのは十分に注意が必要です。400TBというTBWは、容量が512GBのSSDで見られるTBWです。
64層3D TLC NANDを搭載したCrucial等を選ぶことが本来望ましいですが価格の安さを優先するならこちらが良いでしょう。
この2TB SSDの価値は当時高止まりしていた日本国内のSSD価格を一気に引き下げる起爆剤となったことです。2TB帯のみならず他の容量帯のSSDもこの1100シリーズに引っ張られる形で容量単価が暴落しました。
Micron製のはエンタープライズ向けということもあって型番が難解ですが以下のようなルールになっています。
384GbitのTLC NAND Flashダイを搭載していることから古い32層3D TLC NANDだとわかります。64層のMicron製3D TLC NANDは256Gbitまたは512Gbitであるためです。2018年は既に64層のMicron製NANDが出回った時期なので、この2TBSSDが安かったのは型落ち品であることが理由です。
そしてこの384Gbit(48GB)のNAND Flashダイを6枚封入して1つのBGAパッケージにしています。つまりBGAあたり288GBです。このBGAを基盤の表面に4基、裏面に4基搭載しています。これだと288GB×8基=2304GBになり2048GBとの差分が256GBも存在しますがこの差分はoverprovisioning用の予備領域です。
コントローラはMicron製SSDで毎回採用されているMavell 88SS1074でDRAMキャッシュ対応です。
10位: Intel D3-S4510 SSDSC2KB019T801
2018年8月発売。TLCタイプですが耐久性は非常に高く、総書き込みバイト数(TBW)は7.1PB(=7100TB)もあります。データセンター用ながらSATA接続なのもメリットです
Intelは個人向けの2TB帯SSD提供で出遅れており、今のところ法人で使うようなものしかありません。
11位: Seagate Nytro SATA SSD XF1230-1A1920
信頼性が要求される業務用を想定したSeagateのエンタープライズモデルです。SeagateはHDDメーカーですがNytroシリーズはSSDになっています。
Seagateのエンタープライズ向けSSDの中でもこのXF1230シリーズは最も下位に位置するものであり耐久性が他のシリーズより低めです。それでもエンタープライズ向けというだけあって
価格が高いため人気がありません。eMLCはEnterprise MLCを意味しており通常のMLCよりも高信頼性で、SLCよりも信頼性が低いという位置づけです。SLCのSSDがほぼ発売されなくなった現状ではかなりの高信頼性を有した製品です。NANDはMicron製でありコントローラはMarvell製です。HDDとしてのSeagateの信頼性は業界最下位といってもいいほど壊れやすいですが、このSSDに関しては全く逆でSSD業界内でも東芝製よりは下ですがIntelと比肩するレベルで高品質です。
12位: ADATA Ultimate SU800 ASU800SS-2TT-C
2018年8月発売。Micron製のTLCNANDを採用したSSD。「Ultimate SU900 ASU900SS-2TM-C」はMLCですが、このSU800シリーズはTLCです。
13位: サムスン 860 QVO MZ-76Q2T0B/IT
2019年1月発売。サムスンの中では初となるQLCタイプのNANDを採用したSSDです。他に4TB品と1TB品が発売されています。総書込バイト数は720TBであり、競合製品のMicron製5210 ION 3.84TBの総書込バイト数5,600TBと比較してかなり少ないです。耐久性を重視するならMicronがおすすめです。
14位: サムスン 860 PRO MZ-76P2T0B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチSATA接続MLCタイプのSSDです。”2bit MLC”と書いてあるのでいわゆるMLCのことです。
15位: サムスン 860 EVO MZ-76E2T0B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチSATA接続TLCタイプのSSD。サムスン公式には”3bit MLC”と書いてあるので紛らわしいのですが、これはいわゆるTLCのSSDです。
1TB, 960GB, 800GB
1位: Western Digital WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0A
2017年版のWD Blueシリーズです。SATAタイプかつ2.5インチサイズです。2017年発売の世代から3D NAND採用になり、従来の2D TLCと比べて書込み耐久性が向上しています。
NANDチップには東芝製のTLC NANDを使っています。WD子会社のSandiskが東芝の工場で生産しており、事実上東芝製SSDとみて構いません。
このWD Blue 1TBモデルはSandisk Ultra 3Dの1TBモデルと速度・総書込みバイト数ともに全く同じスペックです。1TB容量の割には書込み耐久性がそこまで高くありません。書込み耐久性を重視する人はWD Redシリーズがおすすめです。
2位: Sandisk(東芝と共同出資した三重県四日市工場を持つ) ウルトラ 3D SSD SDSSDH3-1T00-J25
1TBSSDにおいて「これを買っておけばハズレがなく正解だろう」と判断できる終着地点のようなSSDがようやく発売されました。2017年発売の3D TLCタイプ、2.5インチ規格、SATA接続のSSDです。
Extreme Proに比べるとカタログスペックは見劣りしますが、2D構造から3D構造のNANDになったことによって閾値に余裕ができ、MLCでなくても十分信頼性が高くなっており対費用効果で有利です。このSandiskのSSDが1TB帯で無難に支持されるスタンダードなSSDになっていくことは間違いないでしょう。選択に迷ったら下手なメーカーの安物を買うよりこれを選んでおくのがおすすめです。
このSandisk Ultra 3Dの1TBモデルは、Western Digital WD Blue 1TBと全く同じスペックです。入手しやすいほうを選択すれば問題ありません。性能はシーケンシャルリード速度560MB毎秒、シーケンシャルライト速度530MB毎秒。ランダムリード速度95k IOPS、ランダムライト速度84k IOPS。耐久性を表す総書込みバイト数(TBW)は400TBでWD Blue 1TBと同じです。
3位: CFD CSSD-S6T960NMG3V
2017年9月発売。東芝製TLC NANDを採用した製品です。同じくTLCのSandisk 3Dウルトラシリーズと価格を比較して買いやすいほうを選択していいと思います。NAND自体は同じ工場で作られているものです。
CFDは1Qシリーズと4Qシリーズは東芝製です。CFD=東芝製というわけではないことに注意です。
4位: Plextor PX-1TM6Pro
2014年発売。このPlextorのものは東芝製NANDチップが採用されています。よってPlextorのSSDは他社より高めです。
コントローラはMarvell製88SS9187、 NANDは東芝製19nm Toggle MLCです。発売から時間が経過しているものの、東芝製かつMLCということで未だに人気が根強くプレミア価格が付いてしまっている製品です。
5位: Corsair Force Series LE200 CSSD-F960GBLE200B
2018年5月発売。国内正規品としては480GBまでが展開されていますが、海外では960GBまで出ています。主に出回っているのは並行輸入品です。東芝製のTLCタイプNANDを採用しているため高品質ですが価格が高止まりしているため他のSSDのほうがいいでしょう。
6位: LITEON(ライトン) PH6-CE960-L1
2018年発売。東芝製TLC NAND+Phison製コントローラ搭載。高品質なSSDですがライトン製にしては価格が高いです。東芝製NANDを採用した他のSSDのほうがいいでしょう。
7位: グリーンハウス GH-SSDR2SA960
2018年8月発売。東芝製TLCNANDとPhison製コントローラ搭載。
8位: Kingston Data Center DC500M SEDC500M/960G
KingstonのDC500Mシリーズは読書混在のmixed workloadを想定したSSDです。一度書き込んだらリードばかりの用途ではより安いDC500Rシリーズが向いています。搭載コントローラはDC500MでもDC500Rでも同じPhison S12でDRAMキャッシュ搭載です。
9位: Kingston Data Center DC500R SEDC500R/960G
KingstonのDC500Rシリーズは一度書き込んだらその後の処理はほぼ読み込みだけの用途に最適なSSDです。読み込み用途に特化しているので書き込み耐久性(TBW)は低くそのかわり安くなっています。価格を気にしないのならDC500Mがおすすめです。
10位: Crucial(クルーシャル) BX500 CT960BX500SSD1JP
2019年1月発売。このBX500 960GB版は他の容量(480GB以下)と異なる点が多いです。採用されているNANDはMicron製96層3D TLC NANDでNAND Flashダイ1枚あたり512Gbitです。480GB以下のモデルの64層3D TLC NAND(256Gbit)より積層数が多くなっています。64層から96層になっただけで容量が2倍なのは一見計算が合いませんが、64層から96層では面積も増やしているため容量は2倍になっています。実は積層数を増やしたことで容量が増えるとは限らず、例えば32層3D TLC NANDは384Gbitありましたが64層3D TLC NANDでは256Gbitに容量が減りました。これは32層→64層で面積が縮小されているためです。これは全てのNAND Flashダイ共通ではなく、Micron 5200ECOといったエンタープライズ向けの64層3D TLC NANDでは面積が縮小されていないため1ダイあたり768Gbitあります。
積層数が増えても面積が減れば容量は減り、積層数が1.5倍にしかなっていなくても面積が増えれば容量は2倍になります。
コントローラにも違いがあり、960GBモデルは「Silicon Motion SM2259XT」を採用しています。480GB以下のモデルのコントローラは「Silicon Motion SM2258XT」です。両方ともDRAMキャッシュ非対応という点では共通しています。しかし960GBモデルのSM2259XTはSM2258XTより新しいコントローラでSLCキャッシュバッファに対応しており(DRAM-less)と呼ばれています。DRAMは搭載していないけれどもNANDをSLCとして使ってキャッシュとしての機能は有しているという意味です。ただDRAMを用いたキャッシュのほうが望ましいことには変わりないので、たとえ960GBモデルであってもMX500シリーズと比較すれば廉価版です。
NANDとコントローラの違いを除けばシーケンシャル読込速度540MB毎秒、シーケンシャル書込速度500MB毎秒は480GB以下のモデルと同じ。
耐久性(TBW)は240TBです。
このSSDは512Gbit(64GB)の96層3D TLC NANDのNAND Flashダイを16枚搭載して実現されています。ダイ4枚を1つのBGAに封入しているため合計4基のBGAが基盤に搭載されています。基盤はハーフサイズで表面と裏面に2基ずつ、NANDを4枚封入したBGAが搭載されています。
11位: Crucial MX500 CT1000MX500SSD1/JP
2018年に発売されたCrucialのメインストリームSSDとも言えるフラッグシップモデルです。Sandiskのウルトラ3Dシリーズに相当するものです。2.5インチ規格のTLCタイプです。
Sandiskのウルトラシリーズ1TBと比較すると、シーケンシャル読込速度は560MB毎秒で同等です。これはSATA接続の転送速度の限界点です。
しかし書き込み速度では差が付きました。Sandiskウルトラシリーズ1TBはシーケンシャル書込速度が530MB毎秒あるのに対し、このCrucial1TBSSDは510MB毎秒です。
Sandiskの方が高級モデルということになりそうですが、Crucialブランドは業界2番手の品質を持っていることは確かです。
MicronNANDを搭載した中国製などのSSDを買うより、Micron社純正ブランドのCrucialを買ったほうが明らかに対費用効果は優れています。
12位: Crucial MX500 CT1000MX500SSD1
「MX500 CT1000MX500SSD1/JP」のインターナショナル版です。
13位: Intel SSD 545s SSDSC2KW010T8X1
2018年4月発売。540sシリーズの後継である545sシリーズの1TB版は少し遅れて発売されました。540sシリーズは低品質なSK hynix製NANDを使っていましたが、この545sシリーズではIntel-Micron連合のTLCタイプNANDを採用しているので高品質です。
14位: Micron 1100 MTFDDAK1T0TBN-1AR1ZABYY
日本国内では2018年2月頃から市場に出回り始めたSSDです。海外では有名な製品でしたが日本国内ではだいぶ遅れて流通しました。
15位: Colorful SL500 960G V2
Intel-Micron製のNANDを採用していますがパッケージングしたのはその他のメーカであるため公式に「Intel-Micron製NAND」と謳われていません。V2ではない先行品は「Intel製NAND」と公式に謳われていたのでV2はそれより廉価になっています。コントローラは先行品と全く同じSiliconMotionの”XT”でDRAMキャッシュ非搭載。
16位: ADATA(エーデータ) XPG SX950U ASX950USS-960GT-C
2018年発売。「XPG SX950 ASX950SS-960GM-C」のTLC版です。信頼性を優先するならMLCモデルの「XPG SX950 ASX950SS-960GM-C」が上です。こちらは廉価版とみていいでしょう。SMI社コントローラとIntel-MicronのNAND採用です。
17位: 旭東エレクトロニクス SUNEAST SE800-960GB
2017年11月発売。SMI製コントローラとIntel-Micron製NANDを採用した廉価なSSD。価格の安さから一定の人気があります。私ならこれを買うくらいならCrucialを買います。
18位: Colorful SL500 1TB Boost
2018年7月発売。Intel・Micron製の第2世代3D MLC NAND(256Gbit)を採用したSSDです。Nanya製の512MB DDR3 RAM×2を搭載し1GBのDRAMキャシュバッファ対応。”Boost”という型番末尾文字は単にMLCタイプを表すための独自表記でありそれ以上それ以下でもありません。
19位: Patriot Memory Blast PBT960GS25SSDR
Patriot製のSSDは毎回Phison製のコントローラ+Micron製NANDです。このBlastシリーズはPhison PS3110-S10コントローラ+Micron TLC NANDです。
20位: サムスン 860 QVO MZ-76Q1T0B/IT
2019年1月発売。いままでのEVOシリーズはTLCタイプのNANDでしたが、これはQLCタイプです。4TBのように他メーカーの選択肢が少ないならサムスンのこのSSDもありかもしれませんが、1TB帯では他にもQLCタイプを含めて多数のSSDがリリースされているのであれてサムスン製にこだわる必要もないでしょう。
21位: サムスン 860 PRO MZ-76P1T0B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続MLCタイプのSSDです。850 PROシリーズの後継品です。”PRO”はMLCであることを表し、860の”8″はSATA接続であることを表しています。”2bit MLC”とサムスン独特の表記法で記載されていますが、つまりは2ビットを1セルに多重(Multiple)に詰め込むタイプということで、いわゆるMLCのことを指しています。MLCなのにあまりシーケンシャル書込速度が速くなく、Sandiskの3Dウルトラシリーズ(TLC)と同じ読込・書込速度です。Sandiskの3DウルトラシリーズはTLCにもかかわらずシーケンシャル読込560MB毎秒、シーケンシャル書込530MB毎秒を実現しています。サムスンのTLC版である860 EVOでは、それよりも10MB毎秒も読み書きそれぞれで遅くなっています。読み書き速度がSandiskのTLC=サムスンのMLCになっていることからして、860 PROはあまり優秀なSSDではありません。
22位: サムスン 860 EVO MZ-76E1T0B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続TLCタイプのSSD。850 EVOの後継品であり、EVOはTLCであることを表し、860の”8″はSATAであることを表しています。
860 PROはMLCでしたがこちらはTLCです。”3bit MLC”とサムスン公式では表記されていますがこれはいわゆるTLCのことです。MLCだと勘違いしないようにしましょう。
860 PROとの違いとしては、こちらの860 EVOのほうがシーケンシャル読込・書込ともに10MB毎秒速度が遅くなっており、シーケンシャル読込速度550MB毎秒、シーケンシャル書込速度520MB毎秒です。Sandiskの3D Ultraシリーズよりも10M毎秒遅いです。Sandiskの3D Ultraシリーズは、860 EVOと同じTLCにもかかわらず860 EVOよりも安いです。しかもSandiskのNANDチップは日本製なので、海外製のこのSSDよりも読書速度、価格、信頼性すべてにおいてSandiskの3D Ultraシリーズの方がおすすめです。
512GB, 480GB, 400GB, 750GB, 640GB
1位: Western Digital WD Blue 3D NAND SATA WDS500G2B0A
2017年発売のWD Blueシリーズです。2.5インチかつSATA規格であり、東芝製の3D TLC NANDを採用しています。このSSDのスペックはSandisk Ultra 3Dの500GBモデルと全く同じです。採用しているコントローラが「Marvell 88SS1074」である点も同じです。シーケンシャルリード速度560MB毎秒、シーケンシャルライト速度530MB毎秒。ランダムリード速度95k IOPS、ランダムライト速度84k IOPS。書込み耐久性を表す総書込みバイト数(TBW)は200TB。TBWが小さいので、書込み耐久性の高さを重視する人はWD Redシリーズがおすすめです。WD Redシリーズのラインナップでは500GBモデルが設定されています。
2位: Sandisk ウルトラ 3D SSD SDSSDH3-500G-J25
2017年発売。500GB帯SSDのスタンダードと言っても良いほどの代表的なSSDです。2.5インチ規格SATA接続TLCタイプ。WD Blueと同じく東芝製3D TLC NANDを採用しています。このSSDは「WD Blue 3D NAND SATA WDS500G2B0A」と全く同じスペックです。使用しているコントローラも「Marvell 88SS1074」で同じです。リード・ライト速度も同じですし、書込み耐久性を表す総書込みバイト数(TBW)も同じです。
3位: CFD
・CSSD-S6O480CG3VP
2018年4月発売。たった2ヶ月の差で発売された「CSSD-S6O480NCG3V」と当製品で何が違うかと言うと、こちらは台湾Phison社製のコントローラ「Phison PS3110-S10」を採用しています。また当製品はDDR3キャッシュを搭載しておりランダムアクセスの性能向上に貢献しています。
Phison製コントローラは東芝製NANDを搭載したSSDとセットで採用されることが多く、東芝はPhisonにも取締役を派遣しているほど協業関係にある2社です。
このSSDはいわゆる「自封片」品であり、Phison社が東芝から仕入れたダイをPhison社がパッケージングしたものです。東芝が自らパッケージングしたものはTOSHIBAの刻印がされていますが、当製品はPhison社がパッケージングしたものなのでTOSHIBA刻印は入っていません。ダイ自体は東芝製なので、他よりも安く東芝製NAND採用のSSDを入手したい場合はこの製品でもいいでしょう。
・CSSD-S6O480NCG3V
2018年2月発売。このSSDは東芝製NANDではなくMicron製NAND採用です。CFDでは東芝製のNANDを使うときは積極的に東芝の名前を出してアピールします。コントローラが「Phison S11T」なので東芝製と思われるかもしれませんが違います。
この製品は「CSSD-S6O480CG3VP」と異なりDDR3キャッシュを搭載していません。またTBWがたったの60TBしかありません。本製品は「CSSD-S6O480CG3VP」より下位です。
4位: Plextor
PlextorのSSDには東芝製NANDを使用しているものと、SK hynixのような低品質なNANDを採用しているものが混在していますので、選ぶ際は商品ごとに個別具体的に見ていく必要があります。
・M8VC PX-512M8VC
2019年4月発売。M8Vシリーズの2.5インチ規格サイズ版。
M8VシリーズはM.2規格サイズでもリリースされていますがこの512GBのM.2版の流通量は少ないです。そのためM8Vシリーズかつ512GBとなるとこの2.5インチ版しか事実上選択肢がありません。
東芝製BiCS3世代64層3D TLC NAND採用。コントローラはSilicon Motion SM2258でDRAMキャッシュバッファ対応。DRAMはDDR3 1,024MB。総書込みバイト数(TBW)は280TBで保証期間3年。
シーケンシャル・リード速度560MB毎秒、シーケンシャル・ライト速度520MB毎秒。4KBランダム・リード速度82k IOPS、4KBランダム・ライト速度81k IOPS。
・S3C PX-512S3C
2017年6月発売のSSDです。2.5インチかつSATA規格です。PlextorのSSDの中でも低価格な廉価品として位置づけられる製品であり、使用しているNANDは海外の低品質SK hynix社のものです。東芝製ではありません。価格は確かに安いでしょうが、品質、特に信頼性が重要なデータ記憶ストレージにおいてはSK hynix NANDを搭載したSSDはおすすめしません。
5位: Corsair(東芝製NAND採用)
安定のCorsairです。一度Corsair製品の良さに気づいてしまうと、電源からケースからメモリからクーラーまで全てCorsair製品で統一したくなってくるほど質が高いです。さすがにCPUは無理ですが、SSDもCorsairにしてしまえば後はCorsairで揃わないのはマザーボードくらいになります。今回のこのSSDもかなりおすすめです。CorsairはSSDの販売頻度が低かったり、国内正規品でなかったり、ラインナップが少なかったりするので5位にしてありますが、本来はSandiskの次の順位でもいいくらいです。
・Force Series LE200 CSSD-F480GBLE200B
2018年5月発売。東芝製TLCタイプNANDを搭載した良品です。LE500がMLCでLE200がTLCという位置づけです。
・Neutron Series XTi CSSD-N480GBXTI
東芝製NANDを採用した2.5インチSATASSDです。MLC採用であり2017年発売かつMLCは希少です。耐久性を重視する人にはおすすめです。
6位: 東芝
・Q300 HDTS848AZSTA
米国で販売されている東芝製のSSDです。日本国内正規品ではありませんので保証重視の方はPlextorやWesternDigitalやCFD製を買ったほうがいいでしょう。2016年発売のSSDです。
7位: Kingston Data Center DC500M SEDC500M/480G
KingstonのDC500Mシリーズで最も容量が小さいモデル。DC500Mは読書が混在した用途向けで耐久性が高くなっています。DM500Mの”M”はmixed workloadの意で、ライトとリードが同程度混在する用途でも使える耐久性になっています。より廉価なDM500Rは一度書き込んだらあとはリードのみの用途を想定しています。たとえリードメインの用途でも耐久性が高いにこしたことはないので予算に余裕があるならDC500Mがおすすめです。
8位: Kingston Data Center DC500R SEDC500R/480G
KingstonのDC500Rシリーズで最も小容量のモデル。DC500Rの”R”はRead-Intensiveを意味しており、一度書き込んだらあとはリードのみの用途を想定しています。そのためリード・ライト混在用途を想定したDC500Mより下位であり価格も安いです。ランダム書込性能についてもDC500Mより大幅に悪化しています。
搭載してるコントローラはDC500Mシリーズと同じ高級品のPhison S12を搭載している上にDRAMキャッシュも搭載しているので他のメーカのSSDに比べるとかなり高い耐久性(TBW)になっています。
9位: Crucial(クルーシャル)
CrucialはMicron社のブランド名であり、MicronはNAND Flashダイメーカーでもあるため自社ですべて生産できることが低価格化の強みになっています。
NANDを作ることができるメーカーは、東芝・Sandisk、Intel・Micron、SK hynix、サムスンくらいしかありません。そのうちの一つ、Micronが自社製造しているのがCrucialです。
・BX500 CT480BX500SSD1
2018年9月発売。Micron製64層3D TLC NANDを搭載したSSDです。この480GBモデルは64層NANDですが960GBモデルは96層の3D TLC NANDを搭載している点が少し異なります。
この480GBモデルの64層NAND Flashダイは1枚あたり256Gbit(32GB)であるためこのダイを合計16枚搭載して480GBを実現しています。16枚×32GB=512GBと480GB(ユーザ容量)との差分32GBは予備領域です。
このBX500シリーズがMX500シリーズより安いのは搭載しているコントローラがDRAMキャッシュバッファ非対応で安価な「Silicon Motion SM2258XT」だからです。
総書込みバイト数(TBW)は120TB。シーケンシャル読込速度540MB毎秒、シーケンシャル書込速度500MB毎秒は他の容量と同じ。
NAND Flashダイが16枚ありながらも1基のBGAにダイ4枚を封入しているためBGA(NAND)×4基とBGA(コントローラ)×1基のみで構成されており基盤はハーフサイズです。徹底的にコスト削減を図っています。
・MX500 CT500MX500SSD1/JP
2018年1月発売。2.5インチ規格TLCタイプSATA接続のSSD。500GBのSSDでありながら、同じMX500シリーズの2TBSSDと同じ読み書き速度を実現しています。シーケンシャル読込速度は560MB毎秒で、シーケンシャル書込速度は510MB毎秒です。SandiskのTLCSSD(ウルトラ3Dシリーズ)とシーケンシャル読込速度は同じで、シーケンシャル書込速度はSandiskの530MB毎秒より20MB毎秒遅いだけでほとんど変わりません。
・MX500 CT500MX500SSD1
「MX500 CT500MX500SSD1/JP」のインターナショナル版です。
10位: Micron(マイクロン)
Crucialブランドを展開しているMicron社が自社名ブランドで販売しているSSDです。
・1100 MTFDDAK512TBN-1AR1ZABYY
2018年に発売され2TBのSSDを税込み4万円弱で有名になったMicron社が製造販売するSSDの512GB版です。このSSDの問題点は総書き込みバイト数(TBW)が小さいことです。1TBと2TBモデルでもたった400TBしかありません。この512GB版では240TBのTBWしかありません。同じ512GBの他SSDを比べても明らかにTBWが小さいので、耐久性を重視するなら他のSSDがおすすめです。
11位: Intel
・SSD 545s SSDSC2KW512G8X1
2017年発売。SATA接続TLCタイプのSSD。NANDチップはIntel-Micron連合が生産しているものなので実質的にCrucialのTLCSSDとほぼ同等です。
12位: Transcend(トランセンド) SSD370 TS512GSSD370S
サムスン製K4B4G16460-BYK0のDDR3 512MB DRAMキャッシュバッファ搭載。
13位: ライトン
ライトンは台湾の企業で、以前はDVD-R、Bluray、CD-RドライブをOEM生産していたのがメインイメージの企業です。ついにSSDにも参入しました。
とはいってもライトンは半導体チップを設計製造するような技術はないので、中身は東芝製のNANDチップです。あえてライトンを選ばなくても、CFD、Plextor、Western Digitalが東芝製NANDを採用しているので、この中から使用者の多い=使用感情報の多いものを選べばいいと思います。
・MU 3 PH6-CE480-L2
2018年7月発売。「MU 3 PH6-CE480」のMLC版です。東芝製の3D MLC NANDを採用しています。
・MU 3 PH6-CE480
2018年3月発売。「MU 2 PH3-CE480」は2D TLCNANDでしたが、このSSDは3D MLC NANDです。利用者側からすると半導体が3次元構造だろうが2次元だろうが使い勝手は変わりません。単に製造側の製造原価を下げられるといったメリットのためです。他のもっと著名なメーカーからも東芝製3DNANDを採用したSSDが出ているのでそちらを選んだほうがいいです。
・MU 2 PH3-CE480
東芝製NANDを採用したSATA2.5インチSSDです。2016年4月発売です。2Dの15nm TLC NAND搭載です。
信頼性はCFDのTLC東芝NANDを採用した1Qシリーズと同程度とみていいでしょう。ただマイナーすぎるため私はあえてライトンで買おうとは思いません。
14位: Kingston(キングストン)
・SSDNow DC400 SEDC400S37/480G
2017年4月発売。キングストンにしては高級品です。DC400シリーズは東芝製NANDチップを採用しています。平均故障間隔が200万時間ととてつもなく長く保証期間は5年でありビジネス用であることがわかります。読み書きのデータにエラーが発生しないよう誤り検出・誤り訂正の機能も備えています。価格の安さよりとにかく高品質を追求する場合はいい選択だと思いますが、同容量の他製品と比べて2倍以上高価です。
・SSDNow V300 Drive SV300S37A/480G
SSDNow V300シリーズは東芝製NANDではありません。Kingstonの自社NANDのようです。TLC版です。その分だけKingstonの中でも安い方のSSDです。
15位: ADATA
私も以前メインで使っていたSSDです。ADATAは台湾の半導体メーカーなので安いわりにはそこそこの速度と耐久性があります。毎日10GBのデータをライトし続けても未だに使えています。米国メーカーのCrucialや日本で製造しているSandisk東芝の次としては台湾のADATAが良質だと思います。
・XPG SX950U ASX950USS-480GT-C
2018年発売。下記XPG SX950シリーズのTLC版です。当然下記のMLC版のほうが高品質なので、こちらは廉価版という位置づけになります。
16位: Palit Microsystems(パリット マイクロシステムズ)
Palitは台湾籍の企業であり、使用しているNANDチップは米国Micron製なので品質が高いSSDだと言えます。日本ではドスパラで購入することができます。
・UVS-SSD512
2017年4月発売。下記の「UVS-SSD480」と性能は全く同じです。使用しているコントローラはPhison社製のS3111-S11で全く同じ。シーケンシャル読込速度は525MB毎秒で、シーケンシャル書込速度は465MB毎秒であり、これもまた480GB版と全く同じスペックです。
違いと言えば容量が若干多い文だけ総書き込みバイト数が少しだけ大きくなることが期待できるくらいです。
・UVS-SSD480
2017年4月発売のTLCSSDです。米国Micron社製のNANDを使用しており品質は高く、Crucialと価格を比較して購入しやすい方を買うのがいいでしょう。
17位: AGI(Agile Gear International)
AGIは台湾のメーカーです。AGIはIntelのパートナー企業であり、Intel-Micron連合のNANDを用いてSSDを製造しています。
・AGI640G06AI138
2018年5月発売。Intel-Micron連合のTLCタイプNANDを使用した2.5インチSSDです。640GBという中途半端な容量にすることによって、1TBSSDよりお得感を出しています。しかしこれは見た目のお得感だけではなく、単位容量あたりの価格を計算しても比較的安い部類に入るため、容量単価を重視するユーザから人気のSSDです。
18位: J&A Information
J&A Informationは台湾のメーカーです。
・LEVEN JS700 SSD JS700SSD640GB
2018年5月発売。このSSDは下記JS300シリーズより低品質です。Micron製NANDでない上にシーケンシャル読込速度が540MB毎秒であり、下記JS300の560MB毎秒より劣っています。NAND製造元はおそらくSK hynixです。
・LEVEN JS300 SSD 480GB
2018年1月発売。Micron製のTLCタイプSATA接続SSD。この製品が人気があるのは価格が安いからであり、Micron製チップのSSDがほしいもののCrucialは高いという層から支持があります。
19位: Colorful
・SL500 720G
2018年11月発売。Intel Micron製の3D TLCNANDを使用したSSDです。今までは3D構造のNANDを用いたものはColorfulから出ていませんでしたが今回3D NANDを採用したものが発売されました。MLCタイプに比べると耐久性は低いですが通常のTLCタイプよりは耐久性が高くなっています。他に1TBモデルもでているのでそちらのほうが一般的です。
・SL500 640G BLUE Limited Edition
2018年7月発売。下記モデルの色違い版です。
・SL500 640G
2017年12月発売。480GB版とは異なりTLCです。Intel製のNANDを採用している点は480GB版と同じです。このSSDが人気なのは単に安いという価格面で支持があるからです。Colorfulというメーカー自体は決して良くないので、私なら他の信頼あるメーカー品を選びます。
・SL500 480G
Intel製のMLCを採用しているSSDです。Intel製ということは生産拠点はMicron社と同じなのでかなり高品質です。しかしColorfulというメーカー自体は中国ということもあってMicron-Intel連合のSSDの中では最低ランクとしました。できるならIntelやMicron(Crucial)が直接販売しているSSDが望ましいです。
20位: サムスン
・860 PRO MZ-76P512B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続かつMLCタイプのSSDです。このMLCというのは”いわゆるMLC”であり、1セルに2ビット詰め込むタイプです。
・860 EVO MZ-76E500B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続TLCタイプのSSD。このSSDはMLCではなくTLCです。サムスン公式に”3bit MLC”と書いてあるので、1セルに3ビット詰め込むということは2の3乗なので、1セルを8つの領域に区分してどのビットが立っているかを判別するということなのでこれはTLCです。
21位: SiliconPower
・S55 SP480GBSS3S55S25
2014年発売のSSD。S55シリーズです。コントローラはPHISON製PS3108-S8-Iを使用しており、NANDはMicron製です。
22位: AFOX
AFOXは香港のメーカー。
・AFSN6N3AW512G
2018年発売。Micron製のNANDを採用しているSSDです。Micronに買収されたIMFT社製のMLCを使用しています。
23位: KingFast
KingFastは中国メーカーです。
・F6 PRO 2710DCS23-480
2018年発売。Intel・Micron連合のTLCタイプNANDを使用しているSSDです。非常に人気のSSDですが、その理由は価格の安さです。高品質で高価なSSDよりも、中国製の低品質で安価なSSDのほうがよく売れている傾向があります。自作PCを作る上でSSDを高額にしてしまうとBTOPCより遥かに高くなってしまうことがあるので、価格の安さを優先する場合によく選択されます。
24位: KingSpec(恵安販売)
KingSpecは中国メーカーで日本国内では恵安が販売代理店をしています。
・P3-512
Micron製NANDを採用している2.5インチSATA接続MLCタイプのSSDですが、価格が安いこともあって人気があるようです。中身はMicronといっても下手したらCrucialのTLCの方が信頼性が高いかもしれません。購入する場合は中国製ということを念頭においておきましょう。
25位: UMAX
・S330TL480
2018年9月発売。Intel-Micron製のTLCNANDとSMI製コントローラ搭載。
26位: SK hynix
・SL308 HFS500G32TND-N1A2A
2017年3月に発売されたSK hynixのSSDです。500GBの容量ながらかなりの低価格に抑えられていると言えます。SK hynixは全世界のSSDNANDチップシェアでも最下位です。だからこそ低価格で勝負してなんとか東芝・Sandiskや米国Micronに太刀打ちしようとしていますが、日本国内でSSDを買う人は耐久性や品質重視である人が多いのであまりSK hynix製は見向きされていないのが現状です。価格のやすさを優先するのならおすすめですが、私は東芝・SandiskかMicron製のSSDをおすすめします。
・SL300 HFS500G32TND-3112A
SK hynixはCFD(非東芝版)の1QシリーズやIntelの540sシリーズで採用され国内販売されています。SK hynix製のNANDチップを採用したSSDは安いSSDの代名詞とも言えます。
販売はCFDやIntelでも中身はSK hynixのものがあるように、入れ物はSK hynixでなくても中身はSK hynixというものが多くあるので、どうしてもSK hynixNANDを採用したものを買いたい場合はCFDやIntelの540sを買ったほうがいいです。なぜならこの製品は並行輸入品であり国内正規品ではないからです。CFDやIntelとして売られているものは国内正規品なので、どうしてもSK hynixのSSDが欲しい場合はSK hunixのNANDを用いた他社の国内正規品SSDをおすすめします。
27位: ESSENCORE
中国メーカーのEssencoreはおすすめしません。
・KLEVV NEO N600 D480GAA-N600
2017年3月発売。日本で流通し始めたのは2017年9月です。低品質メーカーのSK hynix製NANDを用いていて、中国メーカーがパッケージングしているという低価格低品質なSSDです。全くおすすめしません。
256GB, 240GB, 275GB
1位: Sandisk
Sandiskの概要としては、個人向けとしてウルトラシリーズとそれより安いSSDプラスシリーズがあります。法人向けとしてはX400シリーズとX300シリーズがあります
・ウルトラ 3D SSD SDSSDH3-250G-J25
2017年発売のSSDです。Sandiskが販売している個人向けSSDの中でもっともスタンダードなメインストリームSSDと言ってもいいでしょう。250GBという低容量なので絶対価格で見ると安いですが、容量あたりで見ると割高です。この容量帯でSSDを選ぶとしたらこのSandiskかWesternDigitalのSSDが最もおすすめです。このSandisk Ultra 3Dシリーズの250GBモデルは、WD Blue 250GBモデルと全く同じスペックです。両者のうち入手しやすいほうを選んで購入して問題ありません。採用されているコントローラは「Marvell 88SS1074」で、シーケンシャルリード速度550MB毎秒、シーケンシャルライト速度525MB毎秒、ランダムリード速度95k IOPS、ランダムライト速度81k IOPSであり、WD Blue 250GBと全く同じです。総書込みバイト数(TBW)も100TBで同じです。
2位: Western Digital
米国のWestern Digital社は世界最大のHDDメーカーです。今後HDDからSSDへの移行が間違いないために、Western Digital社はSSD参入への手段として米国Sandisk社を子会社化しました。
そしてSandisk社と資本提携している東芝のNANDを使う形で、2016年10月にWestern DigitalはSSDを発売しました。
・WD Blue 3D NAND SATA WDS250G2B0A
2017年発売。東芝製の3DNANDを採用しており、TLCタイプです。2017年に発売されたWD Blue SSDシリーズの中では最小容量です。リード・ライト速度や、書込み耐久性を表す総書込みバイト数(TBW)等のスペックはSandisk Ultra 3Dの250GBモデルと全く同じです。採用されているコントローラは「Marvell 88SS1074」である点も同じです。このWD Blue 250GBモデルを選んでも、Sandisk Ultra 3D 250GBモデルを選んでも中身に違いはありません。
書込み耐久性を向上させたWD Redシリーズが2019年に発売されましたが250GB帯のモデルは設定されませんでした。
・WD Green WDS240G2G0A
2017年発売のTLCタイプ2.5インチ規格SATA接続のSSDです。2016年のGreenシリーズの2017年版です。Blueシリーズよりも廉価であり、Western DigitalのSSDの中では最も安いシリーズです。
3位: CFD(東芝製NAND含む)
・CSSD-S6O240CG3VP
2018年4月発売。東芝製NAND採用。コントローラは「Phison PS3110-S10」。「CSSD-S6O240NCG3V」は東芝がダイを封入したものではなくPhisonが封入したものなので安いです。こちらのSSDのNANDは東芝が封入したものなので東芝ロゴが刻印されています。
・CSSD-S6O240NCG3V
2018年2月発売。搭載しているコントローラはPhison PS3111-S11。搭載しているNANDは東芝製なのですが、東芝からダイの状態で購入したものをPhisonがパッケージングしている製品であるため、売るCFDとしては「東芝製」と書くわけにはいかない製品です。つまり東芝製チップを用いた安い製品だということです。
4位: Plextor
PlextorはSSDの本体とも言えるNANDチップは東芝製を採用しているものもあります。
・M8VC PX-256M8VC
2019年4月発売。M.2規格サイズの「Plextor M8VG PX-256M8VG」と中身は同じです。
東芝製BiCS3世代64層3D TLC NAND採用。コントローラはSilicon Motion SM2258でDRAMキャッシュバッファ対応。DRAMはDDR3 512MB。総書込みバイト数(TBW)は140TBで保証期間3年。
シーケンシャル・リード速度560MB毎秒、シーケンシャル・ライト速度510MB毎秒。4KBランダム・リード速度81k IOPS、4KBランダム・ライト速度80k IOPS。
・S3C PX-256S3C
2017年6月発売の2.5インチSATA規格SSDです。これは低品質メーカーのSK hynix社のNANDを使用しており東芝製NANDではありません。PlextorのSSDには東芝製NANDのイメージがありますが、このように廉価品はSK hynixのものを使用しているものがあるので要注意です。
・M7V PX-256M7VC
東芝製のTLCNANDを採用した2.5インチかつSATAタイプのSSDです。Plextorと言えば最近はPCIExpress接続のSSDというイメージが強くなってきましたが、この製品のように2.5インチでSATA接続タイプのSSDも出しています。2016年4月発売なので、CFD販売の東芝製NANDSSDよりも少し新しいです。またCFDが240GBに対してこのPlextorは256GBです。
5位: Corsair(東芝製NAND)
Corsairはほとんどの場合東芝製NANDを使用しています。
・Force Series LE200 CSSD-F240GBLE200B
2018年発売。東芝製TLCNAND+Phison製コントローラを採用したSSD
・Neutron Series XTi CSSD-N240GBXTI
2.5インチSATA接続のSSDです。Phison製コントローラと東芝製NANDを採用しています。2017年発売にしては珍しくMLC採用です。国内正規品ではないのが残念ですが、ものとしてはこれ以上無い高級品です。
6位: 東芝(国内正規品ではない米国市場向けの販売)
これはあまりおすすめしません。国内正規品ではないからです。米国市場向けの製品であり、日本向けに発売されているものではありません。
それでもこの製品は東芝NAND採用かつ販売も東芝ということもあって一定の支持を得ているようです。私ならPlextorで代用します。
・A100 THN-S101Z2400A8
2017年2月発売のSSDです。TLC採用であり、日本を除くアジア地域で販売用の国内非正規品です。
・Q300 HDTS824AZSTA
2016年4月発売です。724は19nmプロセスでしたが、本製品は15nmプロセスになっておりより微細化しています。メリットとしては単位面積あたりの容量を大きくしたり、ローカリティがアップすることで高速性に寄与するのですが、SATA接続なのでそこがボトルネックになり効果は期待できないでしょう。時間が経過したぶんだけ技術進歩したのがこの824シリーズと見ておけばいいです。
・Q300 HDTS724EZSTA
2015年9月発売です。19nmプロセスを採用しています。今買うならこの724より新しい824の方がいいと思います。この両者は技術的に新しいか古いかの違いくらいしかありません。
7位: Crucial
・BX500 CT240BX500SSD1
2018年9月発売。Micron製64層3D TLC NANDを採用したSSDです。NAND Flashダイ1枚の容量は256Gbit(32GB)で、このダイを8枚搭載して240GBを実現しています。差分の16GBは耐久性向上のための予備領域です。
コントローラはDRAMキャッシュバッファ非対応の「Silicon Motion SM2258XT」が搭載されており、このコントローラの存在がBX500シリーズを安いものにしています。DRAM非搭載のため耐久性はMX500より低くなっています。
耐久性を表す総書込みバイト数(TBW)は80TB。
このSSDは1つのBGAに2枚の256Gbit NAND Flashダイを封入しており、そのBGAを4基搭載して合計8枚のダイを搭載しています。
・MX500 CT250MX500SSD1/JP
2018年1月発売の2.5インチ規格TLCタイプSATA接続のSSDです。256GB帯になると大容量SSDと比べて書込速度が遅くなってしまうものですが、このSSDはシーケンシャル書込速度が510MBもあり、2TBのCrucialSSDと同じ速度です。256GB帯のSSDは絶対価格がそもそも安いですから、あえて中国製のようなさらに安いものを買わずに、米国Micron社の純正ブランドであるCrucialや米国Sandisk(親会社は米国WesternDigital)を買ったほうがいいです。たった数千円程度中国製より高くなるだけですし、データを保存する重要な部品ですからCrucialのようにしっかりしたものを選んだほうがいいです。
・MX500 CT250MX500SSD1
上記モデル”MX500 CT250MX500SSD1/JP”のインターナショナル版です。
8位: Intel
以前はIntel製SSDといったら高級品でしたが、最近はそうでもありません。SK hynixといったかなり安いNANDを採用した廉価SSDも出てきましたので、Intelだから高品質ではなくて、しっかり個別製品ごとに見ていく必要があります。
・SSD 545s SSDSC2KW256G8X1
2017年発売。540sとは違ってSK hynixのNANDを使っていない点は評価できます。普通のSATA接続TLCタイプのSSDであり、IntelMicron共同生産拠点で製造されたものなのでCrucialのTLCSSDと同等です。
・D3-S4510 SSDSC2KB240G801
2018年8月発売。総書き込みバイト数(TBW)が900TBもある高耐久SSSです。容量が大きいSSDほどTBWは上昇しますが、安いものだと2TBのMicron製SSDでも500TB程度のTBWなので、たった240GBのこのSSDで900TBものTBWがあるのは耐久性を徹底的に追求しているコンセプトだからです。
9位: Micron
・1100 MTFDDAK256TBN-1AR1ZABYY
2018年2月頃から流通しだしたSSDです。2017年から海外では流通していました。Micron製の32層3D TLC NANDを使用しているため2018年当時は既に型落ち品でした。それが当時安かった理由です。この1100シリーズの投入は2TBモデルのインパクトが強く、日本国内で高止まりしていたSSD価格を全容量帯で引き下げた効果があったことで有名です。この1100シリーズSSDの価値は2TBモデルの価格の安さだったので256GBモデルに関しては特段このSSDを選ぶメリットはありません。Micron製NAND搭載のSSDがよかったらCrucialのほうがいいですし、東芝製NANDがいいならWesternDigital製を選ぶなど他にいくらでも良い製品があります。
この256GBモデルは基盤表面にコントローラとDRAM、裏面にNAND Flashダイを3枚封入したBGAが2基搭載されています。
32層3D TLC NANDはダイ1枚あたり384Gbit(48GB)なので、それが3枚封入されていることが1BGAあたり144GBです。それが2基搭載されているので288GB。256GBのユーザ容量との差分32GBは耐久性を向上させるための予備領域です。
10位: トランセンド
トランセンド(Transcend)は米国Micron社のNANDを採用しているCrucialと中身は同じです。私だったらCrucialを選びます。
・SSD340 TS256GSSD340K
2016年発売の、米Micron製NANDを採用したSSDです。この時期には珍しくMLCです。
同じくMicronNANDを採用しているCrucialでMLCタイプが手に入らない場合は、こちらを選ぶという選択肢もあります。
・SSD220 TS240GSSD220S
2016年発売のSSDです。このSSD220シリーズは廉価なエントリー向けです。つまり一番安いモデルということです。それはTLCを採用しているからです。以下のSSD370はMLCを採用しているため高く、また2015年発売と1年古いです。私は新しい220シリーズをおすすめします。価格も370シリーズより安いのでデメリットは感じないでしょう。
・SSD370 TS256GSSD370S
2015年発売の米国Micron製SSDを積んだSSDです。MLC採用ですが特段新しい技術を用いているわけでもなく、中身はMicronなのでCrucialと同じであり、しかもそこまで安くないということからあえて選択する必要はあまりないんじゃないかと思います。
11位: Transcend TS256GSSD370
2014年7月発売。
K4B2G1646Q-bck0
12位: ライトン
Litonは台湾の半導体メーカーであり、CD・DVD・Blu-rayドライブのイメージが強いメーカーです。SSDには最近参入したようで、SSDメーカーとしてはまだ歴史が浅いと言えます。当然NANDは作っていません。他所から仕入れたNANDを組み込んで製品化しています。
このLiton製SSDを販売している恵安は池袋に本社があり中国の黄安信が社長をやっている会社です。この会社は平成24年6月14日に消費者庁から不当景品類及び不当表示防止法第6条に基づく措置命令を突きつけられています。
恵安が販売していたLED電球が60W相当以上の明るさがないのにもかかわらず、60W相当とパッケージに表示して販売していたからです。
私はこのメーカーをおすすめしません。
・MU 2 PH3-CE240
東芝製のTLC NANDを搭載したタイプです。ですが同じく東芝製TLCを採用したSSDがCFDから出ているので、Litonより日本のCFDを買ったほうがいいです。
13位: Kingston
・SSDNow KC400 Drive SKC400S3B7A/256G
2017年10月発売。東芝製MLCNANDを用いた高級品です。DC400シリーズよりは耐久性で下ですが、誤り検出・誤り訂正の機能を有しています。
・SSDNow V300 Drive SV300S37A/240G
Kingstonには東芝製NANDを用いたものもありますが、このV300シリーズは違います。Kingston製のNANDなので少し安いものです。
14位: ADATA
最近のADATA製品は米国Micron社製のNANDを使うことが多くなってきたのでおすすめです。たまにSK hynixを使ったシリーズが出ているのでそこは注意です。
・XPG SX950U ASX950USS-240GT-C
2018年発売。下記XPG SX950シリーズのTLC版です。SMI製コントローラ+Intel-Micron製NAND搭載です。
15位: Palit Microsystems(パリット マイクロシステムズ)
Palitは台湾籍の企業ですが、日本ではドスパラが正規代理店として専売契約を結んでいると想定され、ドスパラでしかPalit製の製品は見かけません。Palitは普通ならファン有りになってしまう高性能なグラフィックスチップを搭載しつつも、ファンレスとしてグラフィックボードを出している数少ないメーカーとして有名であり貴重です。また現時点で販売されているPalit製のSSDは米国Micron社製のNANDを用いているのでSSDも品質は高いと言えるでしょう。2018年に流通しはじめたものには東芝製NANDのものもあります。
・UVS-SSD256
東芝製NANDを採用しているSSDです。このSSDに搭載されているPhison製コントローラはPhison S3111-S11であり東芝製NAND向けに設計されたものです。またPhison社は東芝製NANDを搭載したSSD向けに優先してコントローラチップを提供しているのでこのSSDのNANDは東芝製とみて間違いないでしょう。TLCタイプです。日本ではドスパラのみで購入できます。
・GFS-SSD240
2017年4月発売のSSDです。米国Micron社製のNANDを採用しており品質は高いと言えます。またこのSSDはMLCなので、最近出ているCrucial製SSDはTLCばかりになってしまった中でMLC版が欲しい場合は良い選択肢になります。
・UVS-SSD240
このSSDはTLCです。Palitからは同時に上記のMLC版も出ています。2017年5月発売です。使用しているNANDチップは米国Micron社のものなので、CrucialのTLCSSDと価格を比較して選択するのが良いでしょう。
16位: J&A Information
J&A Information社は台湾のメーカーです。
・LEVEN JS700 SSD JS700SSD320GB
2018年発売。下記モデルより上位に見えますが、JS700はシーケンシャル読込速度が540MB毎秒であり、下記JS300の560MB毎秒を下回っています。またJS300はMicron製のNANDでしたが、こちらのJS700はその旨の明記がないのでおそらくSK hynix製だと思われます。
・LEVEN JS300 SSD 240GB
2018年1月発売。Micron製TLCNANDを採用した2.5インチ規格SATA接続のSSD。
17位: Colorful
Colorful社は中国メーカーです。
・SL500 360G
2018年11月発売。SL500シリーズは安さが売りですが、その本領が発揮されるのは1TB以上の容量帯です。この360GBの容量帯ではさすがのSL500シリーズも割高感が出ています。Intel-Micron製のTLCNANDを採用しています。
・SL500 256G (MLC + DDR)
2018年6月発売。Intel-Micron製のMLCタイプNANDを使用、DDRキャッシュも搭載しており、256GB帯にしては高品質なものです。
・SL500 240G V2
2018年5月発売。「SL500 240G」の単なる型番変更リニューアル品です。スペックは同じままです。Intel-Micron製のTLCタイプNANDを採用している比較的廉価なSSDです。
・SL500 320G
このSSDはTLCです。同じくColorfulから出ているSL500 480GはMLCですが、このSL500 320GはTLCであることに注意です。NANDチップはIntel製なので米Micron社製と同等のものです。このSSDが人気なのは低価格であることが全てでしょう。価格が低くなかったら中国メーカーということもあって買う気は起きません。Micron-Intel連合のNANDを採用しておきながら、しかも256GBよりも大容量である320GBで1万円前後の価格であることが支持されているようです。私ならこのSSDを選ぶくらいならCrucialのTLCを選びます。Micron-IntelのNANDが特別高品質なわけではありませんが、Micron-IntelのSSDを選ぶなら中国のColorfulよりも本家Crucialのほうがおすすめです。
18位: AFOX(エイフォックス)
香港のメーカーです。一律に高品質とは認定できず、各製品ごとに個別具体的に見ていく必要があります。
・AFSN6N3AW256G
2018年発売。Intel・Micron連合のNANDを採用したSSDです。Synchronous MLCを製造しているIMFT社はMicronに買収されたため、このSSDの中身はMicron製レベルの品質です。
・AFSN25BW256G
2017年7月発売のMLCSSD。東芝製NANDを採用している点は高品質と言えますが、広く流通しているものではなく価格の安さだけが唯一の取り柄になっています。多少高くても流通量が多い一般的なメーカー製の製品を選ぶことをおすすめします。
NTTX Storeで流通しているようです。
19位: サムスン
・860 PRO MZ-76P256B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続MLCタイプのSSDです。シーケンシャル読込速度560MB毎秒、シーケンシャル書込速度530MB毎秒であり、SandiskのUltraシリーズと同じです。
・860 EVO MZ-76E250B/IT
2018年2月2日発売。2.5インチ規格SATA接続TLCタイプのSSDです。サムスン公式には”3bit MLC”と書かれていますが、これは”MLC”であると誤解させるためのミスリードであり、単に普通のTLCのことを指しています。普通は3bitを1セルに詰め込んだものはTripleの意味からTLCと呼称し、2bitを詰め込んだものは2つという意味でMultipleを使ってMLCと呼称しています。サムスンが言う”3bit MLC”というものは、1セルに3bitを多重(Multiple)に詰め込んだものという意味でMLCを使っているので、いわゆる一般的に言われるMLCでは”ない”ということです。これはいわゆるTLCのことを指しています。EVOシリーズは基本TLCなので、EVOだったらMLCの文字が見えてもTLCと見ておけば間違いないでしょう。
20位: Silicon Power
・SP240GBSS3S55S25
2013年発売のTLC版SSDです。2013年はまだTLC採用としては黎明期だったので正直不安があります。2016年になって十分技術が習熟してからでてきた東芝のTLC版なら十分でしょうが、一昔前のTLCは不安があります。
21位: PatriotMemory
・Spark PSK256GS25SSDR
2016年発売のSSDです。SparkシリーズはBlastシリーズより新しく安いのでこちらをおすすめします。
・Blast PBT240GS25SSDR
米国の半導体メーカーですが、かなり廉価なものを販売しています。これならADATAの方が品質が良さそうです。これは2015年発売なので、2016年発売でかつ安いSparkシリーズをおすすめします。
22位: KingFast
・F6 PRO 2710DCS23-240
2018年発売。SMI製コントローラとIntel-Micron製NAND採用のSSDです。下記モデルの240GB版です。
・F6 PRO 2710DCS23-360
2018年発売。KingFastは中国メーカーですが、NANDチップはIntel・Micron連合のものです。360GBという中途半端な容量帯ですが、250GBや500GB帯だと他の製品と価格で比較されてしまうので、あえてニッチな容量にすることで比較を難しくしてお得感を出しているSSDです。本質的には容量あたりの価格で優れているわけではないので512GB帯などの他のSSDのほうがおすすめですが、価格の安さを優先するユーザから強く支持されているSSDです。特に単位容量あたりの価格の安さが優秀です。
23位: SK hynix
SK hynixはIntelの540sシリーズ、CFDの1Qシリーズ(東芝製ではないほう)、ADATAのSP550シリーズなど数多くのメーカーで採用されているNAND提供メーカーです。廉価の代名詞といってもいいでしょう。その代わり品質は価格相応と言えます。
・SL308 HFS250G32TND-N1A2A
海外では2016年6月頃から出回っていましたが、日本で出回りだしたのは2017年1月です。どうやら日本国内正規品ではないらしいので、わざわざこれを買わずにSK hynixNANDを採用した別のSSDを選ぶのが妥当です。
・SL300 HFS250G32TND-3112A
2015年10月発売のSSDです。SK hynix製のNANDを積んだSSDはCFDなどから出ているのでそちらを買ったほうがいいでしょう。こちらはそこまで安くないですし、国内正規品でかつ安いCFDやIntel 530シリーズを買ったほうがいいです。
24位: KingSpec(恵安販売)
KingSpecは中国メーカーです
・P3-256
Intel製NANDを採用したMLCタイプSSDです。これの512GB版はMicron製と公式ページに書いてある謎仕様なのですが、Intel-Micron連合と言われるように両者のNAND製造ラインは同じです。単にIntelとして製造しているかどうかの違いなので単に容量の違いだと言っていいでしょう。256GB帯はそもそもが安いのであえて中国製を買わなくてもSandiskでも十分安いです。私はKingSpecをおすすめしません。
25位: UMAX
UMAX非常にマイナーな企業です。台湾の半導体企業ですが、NANDチップを自社で製造しているとは思えないので、ノーブランドのものを調達してきてパッケージングして製造していると思われます。
・S330TL240
2018年9月発売。下記モデルの後継品。SMI製コントローラ+Intel-Micron製TLCNAND搭載
・S300TL240
TLCNANDを搭載した2016年12月発売のSSDです。公式ウェブページをみても、NANDがどこの企業のものなのか書いてありません。コントローラがSMI製であることからIntel-MicronのNANDだと思われます。
26位: ESSENCORE
香港という名の中国メーカーです。
・KLEVV URBANE U610 D240GAA-U610
2017年10月発売。東芝製MLCを使っていますが中国メーカーなのでおすすめしません。
・KLEVV NEO N600 KVN600SSD240G
2017年に発売された安物SSDの一つ。中身であるNANDチップは低品質メーカーのSK hynix製なので品質は最低レベルです。しかもパッケージングは中国メーカーなので、とにかく価格の安さを最優先して品質はどうでもいい場合に買うようなものでしょう。
128GB, 125GB, 120GB, 160GB
1位: Plextor
NVMe対応のSSDが欲しいなら今はPlextorがベストです。少し前まではサムスン製の独壇場でしたが、2016年8月にPlextorがNVMeSSDの新製品を投入してからはこちらの方がいいです。使っているチップも東芝製NANDです。
・M8VC PX-128M8VC
2019年4月発売。このSSDはM.2サイズの「PLEXTOR M8VG PX-128M8VG」を2.5インチサイズにしただけのもので性能仕様は同じです。
東芝製BiCS3世代64層3D TLC NAND採用。コントローラはSilicon Motion SM2258でDRAMキャッシュバッファ対応。DRAMはDDR3 256MB。総書込みバイト数(TBW)は70TBで保証期間3年。
シーケンシャル・リード速度560MB毎秒、シーケンシャル・ライト速度400MB毎秒。4KBランダム・リード速度60k IOPS、4KBランダム・ライト速度70k IOPS。
・S3C PX-128S3C
2017年6月発売のSSD。Plextorは日本のメーカですが、SSDの本体とも言えるNANDチップは低品質メーカのSK hynix社が製造しているものです。NANDチップメーカの中では最低品質のメーカなのでPlextorと言えどこの製品は買わないほうがいいでしょう。
・S1C PX-128S1C
2016年10月発売のPlextorのSSDですがマイナーなSSDです。これは日本国内正規品ではありません。よって国内ではあまり流通していません。
NANDは東芝製を使用しており品質としては悪くありません。しかもTLCではなくMLCです。それでも、あえてこの製品を購入するメリットはあまりないと思われるので、MLCが欲しい場合はCFDから東芝製NANDかつMLCのものが出ていますし、TLCでいいのならWDからもCFDからも大量に出ています。Sandiskも東芝とNAND工場は一緒なのでSandisk製でもいいです。
・S2C PX-128S2C
上記のSSDのTLC番です。2016年10月発売です。これも国内正規品ではないのであまり流通していません。TLCSSDはCFDのものが比較的安いのでそちらでいいでしょう。NVMeがよかったらPlextorから別途製品が出ています。
2位: 東芝
これらは欧州圏や日本以外のアジア圏向けのものであり国内正規品ではないので、東芝純正の品質とはいえ他の販売会社のSSDをおすすめします。
・A100 THN-S101Z1200E8
2016年11月発売のSSDです。東芝製のSSDというのは、CFDだったりPlextorだったりWesternDigitalが販売しているSSDで採用されているNANDが東芝製という形で主に存在しています。東芝が単独で販売するSSDというのは日本国内の個人向けではないのですが、欧州向けとしては存在しており、それが日本国内でも「非正規品」として出回っています。この製品は品番の一番後ろにE8とついているので欧州地域向けということです。
ですがそれらはあまりおすすめしません。流通量が少なく価格が高めですし、サポートは受けられないと思われるので、日本国内正規品として保証が受けられるCFDやPlextorなどの東芝製NAND搭載SSDを買えば十分だと思われます。
・A100 THN-S101Z1200A8
2017年2月発売のSSDです。これはものとしては上記のA100 THN-S101Z1200E8と同じです。こちらは品番がA8となっていることからも分かる通り、日本以外のアジア地域向けの製品です。つまり国内正規品ではありません。品質はいいのでしょうが、日本国内においては非正規品ということでこちらも同様あまりおすすめしません。
3位: Intel
・SSD 545s SSDSC2KW128G8X1
2017年発売。SATA接続TLCタイプのSSD。IntelMicron製のNANDを採用しているため品質は問題ありません。以下の540sは低品質なSK hynix社製を採用していたので論外でしたが、この545sは別物といっていいほど品質は上です。
4位: Crucial
・BX500 CT120BX500SSD1
2018年9月発売。Micron製64層3D TLC NANDを採用したSSDです。このNAND Flashダイは1枚あたり256Gbit(32GB)の容量があります。このダイを4枚使用して120GBが実現されています。32GBが4枚なら128GBになりますが余った8GBは予備領域として用いられています。このSSDはDRAMキャッシュバッファ非対応のコントローラ「Silicon Motion SM2258XT」を採用しているため、予備領域を多く取っておかないと耐久性が低くなり過ぎてしまうためです。
シーケンシャル読込速度は540MB毎秒、シーケンシャル書込速度は500MB毎秒で同じBX500シリーズの上位容量モデルと同じ速度です。
総書込みバイト数(TBW)は40TB。搭載されているBGAパッケージは4基であるため1BGAあたり1枚のNAND Flashダイが封入されていることになります。
5位: Western Digital
・WD Green WDS120G2G0A
2017年発売の2.5インチ規格TLCタイプSATA接続SSDです。下記の2016年発売Greenシリーズの2017年版です。改善されたのは読み込み速度が545MB毎秒で若干上昇したことです。
6位: Corsair
・Force Series LE200 CSSD-F120GBLE200B
2018年発売。東芝製TLCNANDとPhison製コントローラを使用した高品質SSDです
7位: Transcend(トランセンド) SSD220 TS120GSSD220S
2016年5月発売のSSDです。MLCを採用した下記の370シリーズとは違って、これはTLC版です。その分だけ安くなっています。今買うならこのTLC版で十分だと言えます。
8位: Transcend SSD370 TS128GSSD370S
2015年4月発売。NANDはMicronの128Gbitの20nm 2D MLC NAND採用。サムスン製LPDDR2を用いたDRAMキャッシュバッファ搭載。コントローラは「Transcend TS6500」で中身はSilicon Motion社の「SM2246EN」。1ダイで128Gbit=16GBであるためこれを4枚搭載している。コントローラが4チャネル対応のため、速度は32GBから倍増しシーケンシャルリードは450MB毎秒、シーケンシャルライトは80MB毎秒、ランダムリード40,000IOPS、ランダムライト20,000IOPS。TBWは80TB。
9位: ライトン(LITEON)
・MU 3 PH6-CE120
台湾のLITEON社が製造し、日本の恵安株式会社(代表取締役社長は中国から)が代理店を引き受けて日本国内で販売されているSSDです。
使用しているNANDチップはMicronのMLCであり悪くありません。しかしMicron製のMLCならADARAからも出ていますし、あえてライトン製や恵安販売のものを選ぶ必要もないと思っています。ましてや128GB帯というそもそもが非常に安い価格帯ですからもう少し高品質なメーカー品を買うことをおすすめします。
10位: Kingston
・SSDNow UV400 SUV400S37/120G
2016年6月に発売されたTLCのSSDです。NANDはKingston製のチップを使っており、コントローラーは米国のMarvell社製です。SK hynixのSSDよりは良いと言えそうですが、キングストンはどちらかというと中位か廉価なものであり、もう少し高品質なものをおすすめします。
11位: PNY
・SSD7CS1311-120-RB
これは並行輸入品なので日本国内の正規品ではありません。
PNYは米国の半導体メーカーであるため、品質としては悪くありません。ですが120GBのSSDはSandiskのような良いものであっても4,000円くらいで買えるので、+1,000円支払ってより確かなものを選ぶことを私はすすめます。
12位: ADATA
台湾の半導体メーカーで、半導体ストレージとしては台湾のリーディングカンパニーです。
・XPG SX950U ASX950USS-120GT-C
2018年発売。ADATAの中でも上位であるXPGシリーズが120GB帯でも発売されました。これは過去なかったことです。ADATAでは上位シリーズは低容量帯で販売されてきませんでしたが今回は用意されました。TLCタイプのIntel-Micron製NANDとSMI製コントローラ搭載です
13位: Palit Microsystems(パリット マイクロシステムズ)
台湾企業のPalit社のSSDは米国Micron製のNANDを採用するものが出ているので良質です。ドスパラで購入することができます。
・UVS10AT-SSD120
2017年4月発売のTLCSSDです。Crucialと同じMicron社製のNANDを使っているので高品質です。
14位: J&A Information
台湾メーカー
・LEVEN JS700 SSD JS700SSD160GB
2018年発売。
・LEVEN JS300 SSD 120GB
2018年1月発売。Micron社のNANDチップを搭載したTLCタイプのSSD。Micron製NANDを使っているにも関わらず価格が安いため人気があります。
15位: Colorful
Colorfulは中国メーカーです。
・SL300 160G
とにかく価格が安いということで大人気のSSDです。5000円前後という安さが支持されています。やはり大多数の人は品質や容量あたりの安さよりも、絶対価格の安さを優先していると思わされるSSDです。NAND自体はIntel Micron連合のチップを使っているので問題ないですが、そのチップを使ってSSD本体を製造しているのがColorfulという中国メーカーであることが残念な点です。TLCであるという点もマイナス点です。また160GBという低容量だと総書き込みバイト数(TBW)がかなり低く耐久性が低くなりがちなので、これだけ低容量ならMLCを選択したいところです。
・SL300 160G PINK Limited Edition
2018年4月発売。単に見かけがピンク版というだけであり上記モデルと全く同じです。
16位: Patriot Memory
Patriot Memoryは台湾に本社がある半導体メーカーです。
・Spark PSK128GS25SSDR
SSDの中でもかなり廉価な部類に入るものです。2016年発売です。Phison製のコントローラ&NANDはTLCです。Phison製コントローラ搭載ということからおそらく東芝製のNAND採用でしょう。
17位: SiliconPower
台湾のメーカーです。台湾首位のADATAよりはシェアは低いですが、ADATAよりも廉価路線を行くメーカーです。
・S60 SP120GBSS3S60S25JB
価格の安さ優先のSSDの代名詞とも言えるSiliconPowerのSSDです。
120GBという容量もSSDの中ではかなり少ない方なので容量としても安いですし、更には台湾のADATAよりも安いSiliconPowerなので、今出回ってるSSDの中ではこれより安いSSDを見つけるのは難しいんじゃないかというレベルで、他のSSDとくらべても圧倒的に安いです。
私も全てのSSDを知っているわけではありませんが、このSiliconPower120GBのSSDより安いものは見たことがありません。
とりあえずSSDというものを使ってみたいが、とにかく安いものが欲しいといったときには120GBかつSiliconPowerであるこれが最も手頃なのかもしれません。
18位: SK hynix
・SL308 HFS120G32TND-N1A2A
低品質SSDです。しかもTLCです。120GBのSSDは価格が低いのだからMLCを選んでも十分に安いです。120GBのSSDはそもそも価格が高くないので素直にSandiskを買っておけばいいでしょう。
・SC300A HFS128G32MND-3210A
2016年12月に日本国内で出回りだしたSSDです。国内正規品ではなく海外向けと思われます。海外ではもっと早くから販売されていたでしょうから、2016年12月に出回りだしたにしてはそこまで最新の製品とは言えないでしょう。
どうしてもSK hynix製がいいのならIntelやCFDやADATAからもSK hynix NANDを採用したものがでていますから、そちらのほうが国内正規品なので問題がないと言えます。
19位: ESSENCORE
香港籍のメーカーですが、事実上の中国メーカーとみていいでしょう。
・KLEVV NEO N600 KVN600SSD120G
2017年に発売されたキワモノ系のあやしいSSDです。EssenscoreでGoogleニュース検索すると中国語のオンパレードです。要はそういう系のSSDです。使っているNANDチップはSK hynix製。最も買ってはいけないタイプのSSDです。
64GB
64GBというサイズは一昔前のノートパソコンに換装する場合のニーズが主です。64GBもあればWindows10のWindowsUpdateが失敗することはありません。しかしそれはクリーンインストール直後の話であり、他のソフトウェアをインストールしてしまうと64GBあってもWindowsUpdateに失敗します。
1位: Transcend SSD570 TS64GSSD570K
2位: Transcend SSD370 TS64GSSD370S
2015年4月発売。NANDはMicronの128Gbitの16nm 2D MLC NAND採用。サムスン製LPDDR2を用いたDRAMキャッシュバッファ搭載。コントローラは「Transcend TS6500」で中身はSilicon Motion社の「SM2246EN」。1ダイで128Gbit=16GBであるためこれを4枚搭載している。コントローラが4チャネル対応のため、速度は32GBから倍増しシーケンシャルリードは450MB毎秒、シーケンシャルライトは80MB毎秒、ランダムリード40,000IOPS、ランダムライト20,000IOPS。TBWは80TB。
3位: Transcend TS64GSSD370
2014年7月発売。SSD370Sシリーズ(2015/4発売)の先行品。NANDはMicron社の2D MLC NAND(20nmプロセス)搭載。コントローラも370Sと同様でその他のスペックも370Sシリーズと同様。
4位: Transcend SSD340 TS64GSSD340K
SATAかつMLCの64GBSSDです。2016年発売のものです。
1TBや512GBのSSDが主流になってくると、64GBのSSDは容量あたりの価格が非常に割高になってきます。
それでもこのSSDを使うメリットがあるとしたら、もともと64GB程度のHDDを搭載していたノートパソコンのHDD換装用です。
私は2004年に購入したノートパソコンのHDDをTranscend製の64GBSSDに換装したことがあります。そのノートパソコンが出た頃はまだSATAではなくIDE接続が一般的だったので、そのTranscendSSDもIDE接続のものでした。
今回のこのSSDはSATA接続なので、私が使っていたものより遥かに速いでしょう。
このように古いノートパソコンのストレージを換装する目的としては、TranscendのSSDは非常に重宝します。
32GB
32GB容量は非常に古いノートパソコンの換装用かベアボーン向けです。Windows10はクリーンインストールしても10GBくらいは消費するので32GBだとキツイと思います。アップグレードインストールだと20~30GBいくのでほぼ無理です。またWindows10は空き容量が少ないとWindowsUpdateが中断してしまうので、Windows10を使うとしても32GBは厳しい容量です。
1位: Transcend SSD370 TS32GSSD370S
2015年4月発売のSSD。NANDはMicron社の1ダイあたり128Gbitの16nmプロセス2D MLC NAND。サムスン製LPDDR2を用いたDRAMキャッシュバッファ搭載。コントローラは「Transcend TS6500」だが、中身はSilicon Motion社の「SM2246EN」。1ダイで128Gbitであるため16GB。つまりこの製品はダイ2枚で32GBを達成している。よってコントローラの4チャネル32CEを使い切れない。そのためシーケンシャルリードは230MB毎秒、シーケンシャルライトは40MB毎秒、ランダムリード20,000IOPS、ランダムライト10,000IOPSに留まっている。TBWは45TB。
2位: Transcend TS32GSSD370
2014年7月発売。「SSD370S」シリーズの先行品。こちらは20nmプロセスのMicron 2D MLC NANDを採用している。16nmプロセスを採用したものが2015年にSSD370Sシリーズとしてリリースされている。スペックは370Sシリーズの32GB品と同様。
SSD(Solid State Drive)とは何か
SSD(Solid State Drive)とはストレージの一種です。パソコンには主記憶(メモリ)と補助記憶(ストレージ)がありますが、そのストレージに相当する部品がSSDです。
ストレージはSSDだけでなくHDDもあります。この「SSD vs. HDD」という構図が現在のストレージの覇権争いになっています。
Solid State Driveの”Solid”とは「固形の」とか「固体の」という意味です。つまり「半導体」のことを指しています。”Solid”という単語は、「真空管やブラウン管は古い」もので「半導体は新しい」といった半導体をプッシュするときに使うことが多いです。
例えば半導体を使ったアンプをSolid State AMPと呼び、真空管を使ったアンプをTube AMPと呼びます。
他にはブラウン管テレビも英語で”Tube”と呼びます。YouTubeの”Tube”もブラウン管という意味です。一方で液晶テレビや液晶パソコンモニタは半導体を用いて色を出しているので”Solid”です。
HDDはプラッタ(円盤)を回転させアームで読み取るという前時代的な装置
HDDは内部で円盤を回転させ、その円盤で記録したい部分までヘッド(アーム)を移動させて目標の場所に磁気で書き込みます。つまりHDDの原型はレコードのようなものです。レコードでは表面の凸凹で音を録音していますが、HDDは磁気で0と1を記録しているだけです。またフロッピーディスクも磁気で記録する媒体です。フロッピーディスクは円盤の回転数が非常に遅く、記録密度も低く、ヘッド(磁気読取装置)が動く速度が遅いためHDDよりもフロッピーディスクドライブは非常に低速ですが、原理はまったく一緒です。HDDの速度が一向に向上しないのはこの前時代的な原理を未だに引きずっているためです。
SSDは電子の量で”0″と”1″を書き込む
しかしSSDは電子の量(負電荷の量)で書込を行います。半導体のセルに電子を蓄積しておくと、ゲート電圧をかけたときにこの電子と電位を打ち消し合ってくれます。つまりドレイン電流が流れないことになりこれが”0″です。一方で電子が蓄積されていない半導体セルにゲート電圧をかけると電位が打ち消されないため電流が流れます。これが”1″です。このようにSSDはモーター+円盤といった駆動部品もなければ、ヘッド(アーム)を動かすための駆動部品もなく非常に高速です。円盤は1分間に7200回転しかできません。質量が大きいヘッドを動かす速さにも限界があります。しかしSSDでは動かす対象は非常に軽い電荷だけなので非常に高速に動作します。
つまり、SSD(Solid State Drive)からみるとHDD(ハードディスクドライブ)というのはもはやブラウン管テレビのようなもので、SSDはHDDと対比して「半導体にデータを書き込むストレージだから先進的」という意味が「Solid State」に込められています。実際にSSDのほうが小型であり消費電力も低く高速であり、HDDよりも根本的に優れています。
ハードディスクドライブ(HDD)は速度が遅く、モーター等の駆動部品があることで故障率が高く消費電力も高く騒音も大きい
テレビやブルーレイ(DVD)プレーヤーに付属しているハードディスクレコーダーでTVを録画するためにHDDが採用されたことで、パソコンに興味がない一般人でもHDDを認識する機会が増えました。そのHDDには大きな欠点がいくつもあります。
HDDはディスクを回転させているため常に音がします。読み込んだり書き込んだりするときはヘッド(アーム)が動くためさらに大きな音がします。
ですがSSDは音がしません。内部で何も回転していないからです。例えばiPhoneなどのスマホ内部に搭載されているストレージは音がしません。スマホに搭載されているのはSSDだからです。
SSDは以下の特徴があります。
- 音がしない
- モーターが入ってないので振動もない
- 駆動部品がないため衝撃に強い
- ハードディスクの1/10ほどの消費電力
- 読込みと書込みが高速
- スペースを取らずコンパクト
つまりSSDには欠点が存在しません。あえて欠点があるとすれば「価格が高い」ことです。つまり価格の高さを気にせず「高くてもいいものが欲しい」場合は全てにおいてSSDがHDDよりも優れています。
価格は高くてもいいから、静かで省電力で高速で壊れにくいデータ保存機器(ストレージ)が欲しいならHDDではなくSSDを選択することになります。
QLC、TLC、MLC、SLCの違い
SSDはNANDフラッシュメモリを基礎として構成されています。NANDセルに蓄積されている電子の量でデータを記憶させています。そのNANDセルの数が多ければ多いほど大容量になります。基本的に1つのNANDセルに1ビット書き込みます。
しかしNANDセルを増やせば増やすほど高価になってしまい市場競争で勝てなくなります。多くの人は安いものを求めているからです。
そこで1つのNANDセルに複数の情報(ビット:bit)を書き込んでしまえばいいという発想の下、1セルに複数のビットを記憶させる技術が誕生してきました。それがQLC(Quadruple Level Cell)、TLC(Triple Level Cell)、MLC(Multi Level Cell)です。
図のようにSLCだと1セルあたり1ビットを記憶させるため、”0″と”1″の2つを区別できればいいので楽です。しかしこれがQLCになると4ビット=16通りの情報を閾(しきい)値で区別しなければならず、技術的に困難になり耐久性が低下します。
SSDは半導体セルに蓄積する電子の量で記録します。SLCなら単に「電子が蓄積されているなら”0″」「電子が蓄積されていないなら”1″」だけの区別で済みます。
しかしこれがMLCになると、「電子が蓄積されていないなら”11″」「電子が少量蓄積されているなら”10″」「電子が中量蓄積されているなら”01″」「電子が大量に蓄積されているなら”00″」のように、蓄積されている電子の量を4つに区分して区別しなければなりません。
そこでどういう問題が起こるかというと、当初は電子を大量に蓄積していたはずが時間の経過とともに電子の電荷数が減少することが発生します。そうなると「電子が大量に蓄積されている”00″」の電子の量が減ることによって、「電子が中量蓄積されている”01″」と誤認されていまうのです。つまり本来”00″のデータが”01″に変化してしまうことになります。これが上図でMLC、TLC、QLCと右側へ行けばいくほど信頼性が低下する理由です。
SLC(Single Level Cell)
最も基本的な初期のSSDに多かったNANDタイプです。1ビットをNANDセル1つに記憶するだけなので、0と1を区別するだけで足ります。よってこのように余裕のある書込ができます。
この矢印の長さが閾値の余裕を表しています。SLCではNANDセルに電子が蓄積されていれば電圧をかけてもその電圧による電位を打ち消してしまうことでドレイン電流が流れないので”0″を意味し、電子が蓄積されていなければゲート電圧により電流が流れるので”1″を意味します。この両者の区別は明確にできるため、図の矢印の長さを長くとることができ、本来”0″だったデータが”1″と誤認される問題が発生する確率は非常に低いです。つまり信頼性が極めて高いことを意味します。
MLC(Multi Level Cell)
2014年~2015年頃はこのMLCが主流でした。MLCではNANDセルに蓄積されている電子の量が「ゼロなら”11″」「少量なら”10″」「中量なら”01″」「大量なら”00″」のように4つに区分してデータを書き込みます。4つの状態を用意することで、デジタルデータは0と1の2進数のため、2の2乗は4(4の2乗根は2)ということで、2ビット分のデータを1つのNANDセルに保存することができます。
SLCと比較したMLCのデメリットは、この図のように閾値の距離が短くなってしまうことです。閾値の距離(余裕)は半分になります。よってMLCはSLCに比べて信頼性が低いです。
TLC(Triple Level Cell)
2016年年初からTLC製品がリリースされはじめ現在でもTLCが主流です。下記のQLC製品はTLCのSSDよりまだ少ないです。
TLCでは8つの「電子の量」の状態を用意します。NANDセルに蓄積電子の量が「ゼロなら”111″」「非常に少ないなら”110″」「少ないなら”101″」「やや少ないなら”100″」「中程度なら”011″」「やや多いなら”010″」「多いなら”001″」「非常に多いなら”000″」のように8通りに区分します。
8通りの電子の量の状態を用意することで、2の3乗は8(8の2乗根は3)になるため3ビットの情報量を1つのNANDセルに書き込むことができます。
TLCはMLCよりも閾値の距離が1/2になります。隣り合った値と区別するための余裕が1/2になってしまうということです。これはTLCがMLCよりも信頼性が低いことを意味します。実際に2016年頃はまだTLCが登場したばかりということもあって、TLCよりもMLCを熱心に好む「MLC信者」が数多くいました。しかし2018頃にはTLCも十分信頼性が高いと実証されてきたため、ごく一部のMLC信者以外はTLC製品を普通に選択するようになりました。QLCが既に登場している現在においては、今度はQLCの信頼性の低さに矛先が向かい、むしろTLCは「信頼性が高い」立ち位置になってきています。TLC登場当初は信頼性が低い扱いされていたTLCが、たった数年で真逆の立ち位置に変化しました。
QLC(Quadruple Level Cell)
QLCになると4ビットを1つのNANDセルに書き込まなければならないため、NANDセルに存在する電子(負電荷)の量を0000~1111の16通り区別できるようにしなければなりません。「電子がないなら”1111″」「電子の量が非常に少ないなら”1110″」「電子の量がやや非常に少ないなら”1101″」のように、NANDセルに蓄積されている電子の量を非常に細かく細分化して区別しなければならないということです。
そのため、”1111″と”1110″の電子の量の違いは微々たるものになります。本来”1110″だったNANDセルの電子の量が時間の経過とともに減少し、”1111″と誤認されてしまう確率が高いということです。これがQLCの耐久性や信頼性が低い要因です。
この信頼性の低さは閾値の矢印の短さが要因です。隣の情報までの距離が近いため、情報が誤りやすいのです。
耐久性が1/8になっても容量はたった4倍しか増えていない
SLCからQLCにしたことで、閾値の距離は1/8まで減少しました。つまり耐久性が1/8程度まで低下しているわけです。耐久性(信頼性)が1/8まで低下したなら、SSDの容量は8倍くらいになってくれないと割に合いません。しかし実際は容量4倍に留まっています。
これは1ビットという情報は0と1という2通りがあるため、1ビットの情報を追加すると2倍の速度で閾値の距離が短くなってしまうためです。閾値は1/2、1/4、1/8と指数関数的に小さくなりますが、ビット数の増加は2,3,4加算的にしか増えていかないことになります。そのため1つのNANDセルに4ビットを書込QLCが限界だと言われています。
個人PCでQLC NANDが最適なのはRead:Write=70%:30%までのリードメイン用途
このように耐久性が低くなっているQLCですが以下のような用途だったらQLCで十分であることがわかっています。米国Micron社の公表資料です。
一番左の「Read-Intensive Workloads」というのは一度書き込んだらあとはそのデータを読み出すのがメインとなる用途を指します。Read:Write=70%:30%までがRead-Intensiveに該当し、Read:Write=60%:40%以下になると「Mixed Workloads」に該当します。Mixed Workloadsは読み書きが同程度混在する用途です。
一方で縦軸は一度のアクセスで読み書きされる単位を指しています。これが4KB単位だとRead:Write=70:30までしかQLCはフィットしないことがわかります。Read:Write=60:30かつ4KBランダムアクセスが多い用途ではTLC NANDを採用することになります。
個人向けのPC用途では4Kランダムアクセスが普通に発生します。物理メモリ上の「ページ」が4KB単位で区切られているため、メモリ上からSSDへページアウトしたり、SSDからメモリへページインするときに4KBランダムアクセスが発生するためです。
個人向けPCであっても、Read:Write=60%:40%以上の書込み比率が発生するならばQLCよりもTLC NANDがおすすめです。
従来のMLCよりも「3D TLC」のほうが耐久性が高くなっている
TLC は2016年頃からSSDに搭載されてきた技術であり、簡単に言えば1bit分の情報量しか入らないNAND1セルに、3bitの情報を「詰め込む」ものです。1bitの情報を詰め込むのがSLC(シングル)、2つを詰め込むのがMLC(マルチプル)、3つ詰め込むのがTLC(トリプル)というわけです。それぞれSingle Level Cell、Multiple Level Cell, Triple Level Cellの省略です。2018年には4bit詰め込んだQLC(Quad Level Cell)のSSDが誕生しました。
より多く詰め込んでいるQLCが最も安くなります。少ないNANDセルでより多くの容量を実現できるからです。
しかし、QLCはTLCに比べてかなり耐久性が下がります。システムドライブにするならTLCのほうがおすすめです。
現在は東芝・WestenDigital連合のNAND FlashダイもIntel・Micron連合も1セルに3ビット詰め込むTLCを「耐久性の高いメインNAND」に据えています。
2017年頃までは「信頼性が必要な用途ではTLCを使わずMLCを使う」ということで、わざわざ発売時期が古いMLCを買う人が多くいました。しかし今では3D構造にした3D TLCが存在し、この3D TLCは従来の2D MLCよりも耐久性が高く総書込バイト数が遥かに大きくなっています。多層構造にすることで書換えの耐久性が向上したためです。
つまり、2017年以前に発売された古いMLCを使うよりも、2019年以降に発売された新しい3D TLCのほうが耐久性が高いということです。
Cドライブのようなシステムドライブ用途で使うなら3D TLCタイプのSSDをおすすめします。システムドライブは書換頻度が高いからです。一方で大規模な書換えが発生しないデータ保存領域(ゲームのインストール用)のDドライブとして使うならQLCで十分です。また防犯カメラのように一筆書きで連続してデータを書いていく用途にはQLCは最適です。QLCはランダム書込みを続けると耐久性が低い(TBWが小さい)ですが、シーケンシャル書込みの耐久性は非常に高いです。
全世界でNAND Flashダイメーカーは5グループしか存在しない
以上みてきたNANDですが、NAND Flashのダイを作ることができるのは全世界で5グループしかありません。
最も品質が高いのが東芝・Western Digital(Sandisk)連合です。東芝とSandiskはSSDというものが一般的になる以前からフラッシュメモリを製造してきた老舗企業です。ダイ自体は日本国内で製造されています。
次に高品質なのがMicron・Intel連合。IntelとMicron社が半導体ストレージに関しては協業しています。
そして下から2番目がサムスンで、最下位がSK hynixです。
実は番外で中国のYMTCという企業が存在します。このYMTCは最近NANDに参入したばかりの企業で品質は未知数なのですが、東芝・Sandisk、Micron・Intel、サムスン、SK hynixに依存せず中国内部でNANDを内製化し外国に依存するリスクを低下させるためにYMTCはNAND Flashダイの生産に参入しました。
NAND FlashダイとそれをパッケージングしたBGAは別物
基板上に見えるチップ=ダイと勘違いしている人がたまにいますが違います。基板上に見えるのはパッケージングしたあとのBGA(ball grid array)パッケージであり、その内部に複数のダイが封入されています。2,4,6,8,16の2の倍数で封入され、4枚以上のダイが封入されたBGAパッケージが使われることが一般的です。6枚というのは中途半端に見えますが例えば2TBのSSDとして有名になったMicron 1100シリーズは1つのBGAあたり6枚のNAND Flashダイを封入しています。
Micronでは16枚のダイを1つのBGAにパッケージしたものがあります。ダイのことをチップと呼ぶ場合もあれば、BGAパッケージを指してチップと呼ぶ場合もあります。
ダイ自体は上記の4大企業グループにしか製造できませんが、封入なら中国企業でもできます。BGAとしてパッケージングするのを実施したのが東芝メモリ株式会社なら上図のように「TOSHIBA」と刻印されています。たとえダイが東芝製でも、パッケージングした企業が別の企業であった場合はTOSHIBAの刻印をしてはいけません。よって東芝製ダイを用いていてもTOSHIBA刻印がされていないBGAが大量に存在します。その場合、SSDのメーカー(アセンブラー)は「東芝製NAND採用のSSD」と公式に謳って売ることができません。「NANDメーカー非公開」だったり、NANDメーカー名をあえて伏せて「3D TLC NAND搭載」のように記載されているSSDはこのようにBGAパッケージングをしたメーカー名を隠したい意図があります。そのかわり安くSSDが提供されています。
耐久性と速度と容量を決定するコントローラ:
1. チャネル数は並列アクセス数を決定、
2. CE数は平行アクセス可能なダイ枚数を決定、
3. CE1つあたりで制御可能なダイ枚数は1~8枚、
4. 特にDRAMキャッシュバッファ搭載可能かどうかで価格が大きく変化する
SSDではNANDが第一に重要ですがコントローラも重要です。コントローラはチャネル数により並列に書き込みできる並列度が異なります。
また1チャネルあたりで制御可能なダイ枚数に関係するChip Enable(CE)数もコントローラによって違います。
チャネル数は並列アクセス可能な数を表す
コントローラでは4チャネル8CEといったスペック表記のものが一般的です。4チャネルというのは並列(parallel)にアクセス可能な数が4という意味です。平行(concurrent)ではなく並列であることに注意します。SATA通信規格のSSDでは4チャネルもあればSATAの通信速度を十分使い切れるので4チャネルコントローラが採用されています。一方でPCIe通信規格に対応したコントローラでは8チャネル用意されていることが多いです。
CE数は1チャネルあたりに接続可能なNAND Flashダイの最大数を決定
そして1つのチャネルには複数のCEが用意されていることが一般的です。
例えば「4チャネル8CE」とスペック表記されているコントローラなら1チャネルあたり8つのCEを持っています。
1つのCEに接続できるダイ枚数は1~8枚です(この理由は後述)。そしてCE数がいくら多くても各ダイに「時分割で平行してアクセスする」ことしかできません。いくらCE数が多くても並列アクセスはできません。
例えば上図だとチャネル数は2つありますがCE数は4つです。そして1CEあたり4枚のNAND Flashダイを制御しています。各チャネルは並列にデータ転送可能ですが、1チャネルあたりの各CEへは時分割で並行データ転送します。
1CEあたりで制御可能なダイ枚数は1~8枚
1つのCEで1枚のダイを制御するとすれば、4チャネル8CEのコントローラだと合計32枚のダイを制御できます。これが基本です。この場合ダイ1枚あたり128Gbit(16GB)が一般的だった2D TLC NANDだと32枚×16GBで512GBのSSDが実現できます。
CEはLowのときにNAND Flashダイが有効化され、HighのときにNAND Flashダイが無効化されます。
しかしこういうこともできます。「CEがLowのときにNAND Flashダイ0を有効化しNAND Flashダイ1を無効化する」「CEがHighのときにNAND Flashダイ0を無効化しNAND Flashダイ1を有効化する」という使い方です。このようにすればCE1つで2枚のダイを制御できることになります。
でも実際はさらに無理をしており1CEで最大8枚のダイを制御できるところまで実現されています。BGAに封入する際に1つのCEに8枚のダイを連結してしまうものです。
BGAパッケージに封入されている16枚のNAND Flashダイを制御するにはできれば8、最低でも2つのCE端子が必要
NAND Flashダイはそのまま基盤にハンダ付けされているのではなく、上図のようなBGAにパッケージングされて製品化されています。
現在1つのBGAには4~8枚のダイを封入することが一般的です。Micronは16枚封入を実現しています。
1つのBGAに16枚のダイを封入するとなると、その8枚のダイを制御するためには16のCEが必要です。しかし上述したように合計8つのCEでも実現できます(これが一般的)。
しかし中には4つのCEで16枚のダイを制御したり、少数派ですが2つのCEで16枚のダイを制御することに対応したBGAもあります。
その結果、ダイが封入されているBGAパッケージの裏にはCE端子が4つ出ていることが多いです。4つのCEピンがあれば16枚のダイが封入されたBGAを制御可能なためです。
4チャネル8CEコントローラで1CEあたり2枚のダイを制御する場合、1TGbit NANDなら8TBを実現可能
ここで1つの実例としてMicronの8TB SSDの事例を扱ってみます。
Micronの8TB SSDでは1枚のダイで1Tbit(128GB)の容量を実現できる64層3D QLC NANDを採用しています。これに4チャネル8CEコントローラを組み合わせるとどのような容量を実現できるか計算してみます。
1CEあたり2枚のダイを制御可能であることに注意すると、このコントローラは4チャネル×8CE×ダイ2枚=64枚のダイを制御可能であることがわかります。
NAND Flashダイ1枚あたり1Tbit(128GB)なので、この構成だと64枚×128GB=8TBとなり8TBのSSDが実現できることになります。
耐久性はDRAMキャッシュの存在が大きく影響する
耐久性に関わってくるのは、そのコントローラがDRAMキャッシュバッファに対応しているかどうかです。コントローラ内部にキャッシュを内蔵したものもありますが容量が限られます。高級なものだとコントローラとは別にDRAMが搭載されています。容量は高級モデルだと1/1000が目安で4TBのSSDだったら4GBのDRAMを搭載していることがあります。廉価モデルだとさらに少なくなっていきます。
またTLCやQLCタイプのNANDをSLCとして用いてキャッシュとして使う手法に対応した「SLCキャッシュバッファ」対応コントローラも2018年以降登場しています。
おすすめSSDメーカーをNAND製造元別に評価
1位 東芝・WesternDigital(Sandisk)連合
米国Sandisk社は「SSDの耐久性確保のためのコントーローラ・アルゴリズム」が2007年頃から盛んに研究されてIEEEやACMのSIGMOD等の分科会で積極的に論文投稿されるようになった以前からSSDを取り扱っていたメーカーです。Micronと並び米国で半導体ストレージを手がけてきた企業がSandiskです。同時に東芝は日本国内で半導体ストレージを手がけてきたメーカーです。これら先進国の日米連合が半導体ストレージを牽引しています。
このSandiskと東芝の両社はSSDが普及する以前から企業提携をしていました。
SSDが半導体ストレージの主戦場になることが確実になると、東芝とSandiskは共同で出資して工場を三重県四日市市に建設しました。2015年に米Western Digital社はSandiskを完全子会社化することを発表し、2016年に完全子会社化を完了しました。Sandisk社は現在米国Western Digital社の完全子会社となっているため、東芝・Western Digital連合と呼ばれるようになりました。
さらに岩手県北上市にこれも東芝とWestern Digital共同出資による3D NAND製造工場を建設しました。
これらの工場で東芝WesternDigital連合のチップ(NAND Flashダイ)を製造しています。
この半導体ストレージ部門は東芝メモリという形で東芝から分社化されましたが東芝本社が40%以上の議決権を握りさらに日本政策投資銀行(DBJ:民営化が延期されている政府系金融機関の一つ)が出資することになったので、東芝と日本政府が過半数の議決権を持ち主導権を握っている安心できるメーカーです。
東芝は直接自社で販売しているものと、他のメーカーにNAND Flashダイを供給して販売されているものがあり、東芝製NANDを用いているSSDを販売しているのは以下のメーカーがあります。どれも比較的価格の高いプレミアム帯の製品です。
・Sandisk
米国Sandisk社は米国WesternDigital社の子会社となりましたが、いまでもSandiskブランドの名前でSSDを販売しています。Sandisk製のSSDで使われているチップは東芝製です。
SandiskはWesternDigitalに買収されたため、Western Digital社はHDDとSSDを抑え、HDD・SSDともに世界一のメーカーになりました。特にSSDのNANDチップは三重県の四日市市にある四日市工場で生産されています。米国企業ですが日本で生産されているものです。
SandiskのSSD選びで難しいのはラインナップが多すぎることです。同じ容量でも種類が多すぎるのでどれを選べばいいのかわかりにくいのがSSD選びを難しくしています。
Sandiskで最廉価のPlusシリーズはDRAMキャッシュバッファ非対応のコントローラを採用したものです。UltraやUltraIIシリーズはDRAMキャッシュバッファ対応のコントローラを使用しておりDRAMが搭載されています。
・WesternDigital
東芝と提携しNANDを生産している米国企業です。
米国のSandisk社は、同じく米国のWestern Digital社に買収されました。Western Digital社はHDDでは世界第一位の企業でですが、半導体ストレージであるSSDに移行しつつある流れに対応するため半導体ストレージの老舗であるSandiskを買収しました。
世界一のHDDメーカーであるWestern Digitalは、半導体ストレージで歴史が長く実績のあるSandisk社を子会社化することで手っ取り早く半導体ストレージに参入しました。HDD界の雄であるWestern DigitalでさえもHDDの将来性に見切りを付けてSSDに鞍替えしました。
Sandiskを完全子会社化をした2016年に早速第一弾のWestern Digital製SSDが発売されました。当然ながら従来からのSandiskと東芝間の企業提携の恩恵をWestern Digitalは受けているので東芝製NAND Flashダイ搭載です。
東芝とSandiskが共同出資している三重県の向上で作られている東芝製のNANDを採用しています。よってWestern DigitalのSSDの本体であるNANDは東芝で一本化されています。
Sandiskは東芝と三重県四日市工場、岩手県北上市工場を共同利用しているので、Western Digital社のSSDを買えば東芝製の日本で製造されたNANDチップを使用したSSDが手に入ります。
・Corsair
CorsairはPC電源からケースから簡易水冷クーラーと様々なPC機器を販売していますがSSDも販売しています。Corsair製のSSDで採用されているNANDは東芝製です。
台湾や香港メーカーだらけのPCパーツ市場で、数少ない米国企業であるCorsairからもSSDが発売されたのは大きいです。CorsairからのSSD発売は2015年の次は2017年なのでそこまで頻繁にSSDを発売しているメーカーではありません。
CorsairのSSDは日本国内で正規品としては販売されてはいますが流通量が少なく価格が高めです。流通しているものは海外で販売されているものの並行輸入品が多いです。場合によっては米国Amazon.comから個人輸入してしまったほうがいいかもしれません。品質は確かです。
Corsairの上位機種であるNeutronシリーズは東芝製のNANDを使用しています。安めの機種であるForceシリーズは以前はMicron製のNANDを使用していましたが現在では東芝製を採用したものが多いです。現在では採用しているNANDを東芝製に絞っており、高級路線を打ち出しているのは評価できます。容量も1.92TBといった大容量向けが多いです。今まで東芝製のMLCといったら1TBまでしかなかったのでCorsairはいい仕事をしました。
・OCZ
OCZは米国の企業ですが、経営不振から東芝が買収し東芝のグループ企業になりました。よって今のところ最も密接な販売メーカーはOCZです。SandiskやWestern Digitalと同じく米国企業だということも安心できます。
・Plextor
東芝製のMLCを採用したM8Peが有名です。いまでも米国Amazon.comでは売られており評価が高いです。以前Plextorは東芝製NANDを用いてSSDを製造する筆頭格のようなメーカでしたが、現在ではSandiskやWestern Digitalがメインとなり、PlextorはCFDよりも東芝製SSDのラインナップが減ってきました。
・CFD
CFDのSSDは東芝製NANDを使ったり、Micron製NANDを使ったり、SK hynix製NANDを使ったりと玉石混交です。しっかり内蔵のNANDを見極めて購入する必要があります。
・Kingston
KingstonのSSDには主に、SSDNowシリーズ、HyperX Savageシリーズ、HyperX Predatorシリーズがあります。一番最後のHyperX Predatorシリーズは毎回東芝製のNANDを使っています。
SSDNow、HyperX Savageシリーズで採用するNANDメーカーはまちまちですが、安いHyperX Savageシリーズでも東芝製NANDを採用した製品が存在します。
・ADATA
台湾のADATA社は主にMicronからNANDを仕入れて製造しているSSDが大多数です。ゲーム向けの最上位SSDだと東芝製NANDを採用している高級モデルがごく一部あります。また最も廉価なモデルだとSK hynix製NANDを用いたSSDもごく一部あります。CFDと同じくADATAも内蔵しているNANDを見極めてから購入する必要があります。
・グリーンハウス
グリーンハウスは廉価な製品を多く扱う企業ですが一応日本企業。生産は海外。東芝製NANDを採用した製品が出ています。
・Apacer
台湾メーカーです。Silicon Motionコントローラ+東芝製NANDを採用した製品が存在します。
・Essencore
Essencoreは中国メーカーです。おすすめしません。Essencoreからは東芝製NANDを採用した高級路線とSK hynixを採用した廉価路線の2種類がでていますが、東芝製NANDであったとしても中国製であるessencoreはおすすめできません。
2位 Micron(Crucial)連合
世界一の半導体メーカーであるIntelとMicron連合によるチップです。Crucialは米国Micron社の個人向けSSDのブランド名です。
企業向け(エンタープライズモデル)ではそのまま「Micron」として売られています。Intelは実は80年代半ばまでメモリ(RAM)を作っているメーカーでした。ですがある国からRAMの世界シェア9割を握られてしまってIntelは泣く泣く半導体メモリから撤退しました。そのある国とは日本です。そしてIntelは仕方なくメモリから撤退し、プロセッサ(CPU)に参入し大当たりします。Intelを今の地位まで押し上げたのは、実は日本のおかげだったということになります。半導体というのは初期投資額の大きさがものをいうので、資本力が最も大きいIntel・Micron連合の半導体ストレージも東芝と並んで品質が高いです。Intel・Micron連合が製造しているNAND Flashダイはものとしては同じです。それをパッケージングして製品化するところでIntelとMicronには方向性に違いがあります。どちらかというとIntelは法人向けだとデータセンター向けをメインとした高価なものが多く、個人向けだと逆に安いものが多いです。さらにIntel製SSDはSK hynix製のNAND Flashダイを採用した製品も存在するので、Intel製SSDはかならずしもIntel・Micron連合のNAND Flashダイを使用しているとは限りません。
そしてMicronは法人向けであっても高級路線から廉価路線まで用意してあります。Micronが個人向けに展開しているCrucialブランドは廉価なモデルが多いですが、たとえ個人向けのCrucialブランドであってもIntelのように他社のSK hynix製NANDを使うといったことはMicronはしていません。必ずIntel・Micron連合のNANDを使用しています。
・Crucial(クルーシャル)
個人向けにはMicronよりもCrucialという名前のほうがなじみがあるかもしれません。Crucialは米国の半導体企業Micronが展開している個人向けSSD用のブランド名です。そのためCrucialのSSDに使われている半導体はMicronが製造しているものです。Sandiskと東芝が日本国内で製造している半導体に比べると少し劣りますが、米国製のSSDということでSandisk・東芝に次ぐ品質があります。
Intel・Micron連合のNANDは、IntelやMicron(Crucialブランド)以外の企業にも大量に納入されています。たとえばTranscendなんかもそうです。
では同じIntel・Micron連合のNANDを使っていればCrucialとTranscendは同一品質なのかというと違います。SSDにはNANDの他にコントローラもあり、さらにDRAMキャッシュバッファのコントローラだとDRAMも基盤に搭載されています。このDRAMのメーカーがCrucial製のSSDだとMicron製のNANDを使用しています。Transcendは毎回サムスン製です。
Micronは半導体ストレージ用のNANDをシンガポール工場で製造していますが、DRAMは国内の広島県東広島市にある広島工場(旧エルピーダ・メモリの工場)で製造しています。特に広島工場ではSSDで使われる低消費電力LPDDRを製造しています。
つまりCrucialやMicron製のSSDだと、NANDも当然Intel・Micron連合のNAND Flashダイ採用ですが、DRAMもMicron製になります。これがMicronやCrucialのSSDと、それ以外のTranscendやSiliconPowerといったメーカーの違いです。
・Micron
CrucialはMicron社の個人向けブランドの名称ですが、Micronブランドとしても展開しています。Micronブランドは法人向けのものであり、書込耐久性が高い低容量モデルから、書込耐久性が低い大容量モデルまで展開されています。個人用途だと読込みと書込みが7:3程度ですが、法人向けの用途だと一度書き込んだらあとは読込みしかしない用途だったり、読込みと書込みが5:5の比率だったり様々な用途があります。その用途ごとにきめ細かくラインナップしているのがMicronの特徴です。
・Intel
Intel製のSSDは個人向けもありますが法人向けの高級品がメインです。耐久性が高くさらに読書性能も高速というデータセンター向けのモデルが多くそのかわりものすごく高価です。
しかし個人向けの廉価版の540sシリーズは、SSDの本体とも言えるNANDチップがhynixという海外低品質メーカー製のものになってしまっています。
IntelのSSD=Intel・Micron連合製NAND採用とは限らないので、NANDがどこから供給されているかを見ていく必要があります。IntelのSSDは玉石混交です。
・Trancend(トランセンド)
安いSSDの代表格です。TranscendはMicron製のNANDチップを使っています。安い理由はコントローラが廉価なものだったり、DRAMがサムスン製であるためです。
・ADATA(エーデータ)
ADATAは台湾のメーカーですが、Micron社のNANDを使ってSSDにも参入しています。
・旭東エレクトロニクス
かなり安価なSSDを製造するメーカー。日本籍の企業だが製造は日本ではありません。Micron製NANDを採用しています。
・J&A Information
台湾のメーカー。Micron製NANDを仕入れてSSDを組み立てています。
・Silicon Power
Phison製コントローラ+Micron製3D TLC NANDを採用したSSDがあります。
・Patriot Memory
Patriot Memoryは米国企業ですが非常に廉価です。Phison製コントローラ+Micron製NANDという組合せのSSDがメインです。
・Colorful
Colorful自体は中国メーカーですが、NANDはMicron製を採用したものが存在します。
・Seagate
HDDメーカーの一角であるSeagateがSSDに本格参入してきました。とはいってもSeagateはNANDを製造する技術を持っていないため、他社からNANDを調達し組み立てて(アセンブルして)いるだけです。
おすすめしないSSDメーカー
東芝・WesternDigital(Sandisk)連合は日本×米国の企業提携ですし、Intel・Micron連合は米国×米国の企業提携です。双方とも信頼ある先進国の半導体ストレージチップメーカーです。
しかし一方で世界には品質の低い発展途上国の半導体メーカーもあります。
・Samsung(サムスン)
サムスンのSSDは米国と日本での価格差が激しいことで有名です。米国では300ドルなのに日本では5万円だったりします。1ドル150円くらいの為替レートを設定して日本では売られています。日本の市場ではサムスンのSSDは他のメーカーのSSDより高いためサムスンは高級路線を行っているかのように見えますが、実際は日本では他国より高く売られているだけです。日本だけサムスンから足元を見られているということです。
各オンラインショップのレビューや各メディアのレビューでサムスン製のSSDの評価が異常に高いのは、製品を供与して貰った上でレビューを書く仕事をしている人が多いためです。つまりオンラインショップであたかも一個人のレビューに見せかけて投稿されているものは実はサムスンのポジショントークなので注意が必要です。
サムスンとスポンサー契約をするとSSDを供与してくれるだけでなく、コンスタントに報酬がもらえます。そのかわり他のSSDメーカーのSSDをレビューしてはいけない制約が付きます。
またサムスンのSSDはCrystalDiskMarkというベンチマークソフトで高スコアがでるように最適化されてコントローラが製造されているので、実際にシステムドライブとして使ったときは遅く、実際的な用途では速度が全く速くないことでも有名です。ベンチマークだけでいい結果がでることに特化したSSDだと言えます。
サムスンは他社に先駆けて大容量SSDを出す傾向があり、2TBもサムスンが他社に先行して発売し、4TBもサムスンが先行して発売しました。サムスンしか大容量が出てない時期は品質が低いものの非常に高価格になります。競合相手が居ないためです。しかし後からMicron(Crucial)、Western Digitalから2TB、4TBの製品が出てくるとサムスンのSSDも値崩れして分相応の価格に収まります。つまりサムスンの競合相手が居ないときは価格を非常に釣り上げてくるため、高づかみすることになってしまいます。たとえサムスン製を買うとしても、競合他社から同じ容量帯のSSDが出てきたからのほうがいいです。
・SK hynix
最も安いNANDチップを製造しているメーカーです。世界中のSSD用NANDメーカーの中で最もシェアが低く参入も最も遅かったメーカーであり、価格の安さで勝負しようとしている新興メーカーです。安かろう悪かろうであり全くおすすめしません。
コントローラをメーカー別に評価
Silicon Motion(SMI)
Micron製(Crucial)のNANDと組合せて採用されることの多いコントローラ。
Silicon Motionだからといって高品質とは限らずピンキリです。廉価なモデルではDRAMキャッシュ非対応で、SUNEASTやColorfulといった安いSSDにも使われています。
・SM2256S
「SM22456XT」の後継品。DRAMキャッシュバッファ非対応。TLC NANDへ対応するためにエラー訂正機能に主眼がおかれたのが先行モデルからの改良点。
・SM2246XT
「SM2246EN」をDRAMキャッシュバッファ非対応にした廉価版。
・SM2246EN
SATA 6Gb/s用のコントローラ。MLC,TLC,SLCに対応。インターフェースはToggle 2.0(東芝NAND等)またはONFI 3.0(Micron NAND等)対応。TLC対応とは書かれているがMLC用を念頭に開発されたもの。
チャネル数:4
1チャネルあたりのChip Enable(CE)数:8
最大シーケンシャルリード速度:540MB毎秒
最大シーケンシャルライト速度:487MB毎秒
最大ランダムリード速度:80,000 IOPS
最大ランダムライト速度:80,000IOPS
DRAMキャッシュバッファ:DDR2/DDR3/DDR3Lに対応
DRAMバンド幅:16bit
Phison
東芝製NANDと組み合わされることの多いPhison。Phisonコントローラも高品質か低品質はモデルによりけりで、安いモデルだとDRAMキャッシュに対応しておらずNANDの耐久性が低くなります。逆にMLC NANDを用いた高級モデルのSSDにも採用されることのあるピンキリのコントローラメーカです。
SandForce
いわゆる最も安物のコントローラメーカー。価格の安さをウリにしています。SK HynixがSandForceを傘下に置いたため、事実上SK hynixの内製化コントローラです。SandForceの名を見たらNANDはSK hynixだと疑ってかかったほうがいいです。
SSDの仕組み・内部構造と今後のSSD容量増加の展望
2.5インチSSD内部の構造をみていきます。これをみればどのようにSSDの容量を増加させていくのかがわかります。
上図は2.5インチSSDの内部に搭載されている基盤です。これは表面であり、製品によっては裏面にもこのようなBGAパッケージがハンダ付けされて搭載されているSSDもあります。
まず画像右上に2つ見えるBGAパッケージがDRAMです。2基搭載されています。このことからこのSSDはDRAMキャッシュバッファ対応のコントローラを搭載していることがわかります。
そのコントローラはDRAMの下に1つだけあります。画像の中央よりやや下の右の部分にあるBGAがコントローラです。
そして基盤の左半分に合計8基並んでいるのがNAND Flashダイを封入したBGAパッケージです。これがSSDの本体部分です。
この8基のBGA数はコントローラの性能と、BGAパッケージあたりのダイ封入数のバランスで決定されています。
現在主流のコントローラは4チャネル8CE(Chip Enabled)で、1チャネルあたり8つのCEがありそれが4チャネル分あるので合計32のCEがあります。各CEは各NAND Flashダイの有効or無効をONOFFできます。CEから有効化信号が供給されているNAND Flashダイに対して書込みや読込みが実行されます。
また1CEあたり1~8枚のNAND Flashダイを制御できる技術が確立されているため、64枚のダイなら個人向けの一般的な安いコントローラでも対応可能です。
そしてNAND Flashダイ4~8枚を1つのBGAパッケージに封入することが現在一般的です。
そうなると8基のBGAパッケージ×NAND Flashダイ封入数8枚=64枚のダイを合計8基のBGAパッケージで実現できることになり、これを2.5インチ基盤の片面に搭載するのが最もローコストになります。
次はこの2.5インチのサイズ制限下でどのようにSSDの容量を増やしていくか複数の手法をみていきます。
手法1:基盤裏面にもNAND Flashダイを搭載し容量を増やす
先程の図では片面のみにNAND Flashダイを封入したBGAパッケージを8基搭載していました。これを基盤裏面にも搭載すれば単純計算で容量2倍にできてしまいます。
しかしこれにはいくつかの問題点があります。まずBGAパッケージの数を2倍にするということはNAND Flashダイの数も2倍になるということです。そうなるとコントローラが扱えるダイ枚数の制限を受けます。この制限を解決する安く済ませる方法としては1CEで4~8枚のダイを制御するようにしてしまうことです。実際にMicron製のBGAでは4CEで16枚のダイを制御できるようになっています。しかしこの手法だとスループットが悪化します。
もう一つの方法が8チャネル8CEにして64のCEを用意する手法です。実際にPCIe接続のコントローラでは8チャネルコントローラが一般的に採用されています。しかし問題があり、チャネル数の増加は消費電力を大幅に上昇させます。各チャネルは並列(時間的に同時)に各NAND Flashダイにアクセスするため消費電力が単純に2倍になってしまいます。またこの方法だとコントローラが高価になってしまいSSDの価格が高騰します。これは個人向けの販売では不利になります。高速性のためにSSDを買うと決めている人相手ならいいですが、HDDの価格を横目に見ながらSSDを選ぶ人もいるのでそういった人相手にもマーケティングするとなると、2.5インチSATA接続規格のSSDにおいて8チャネルコントローラの採用は好ましくありません。
手法2:BGAパッケージに封入するNAND Flashダイの数を増やす
基盤の裏面にNAND Flashダイを追加搭載するのではなく、基盤の表面の8基のBGAパッケージのままでNAND Flashダイの枚数を増やす手法です。
BGAの数が8基止まりだとしても、BGA1つあたりに封入するダイ枚数を8枚から16枚に増やせば容量を2倍にできます。
しかしこの手法でも「手法1」と同じようにCE数が足りなくなり1CEが制御するダイ枚数が増えることになってしまいます。BGAに封入するNAND Flashダイ枚数を増やすということは、コントローラで制御するダイ枚数が増えるということです。そのためにはコントローラのチャネル数を増やすか、1CEで制御するダイ枚数をBGA封入時の技術で増やすしかありません。つまり「手法1」でみた基盤の裏面に搭載するBGA数を増やすというものと本質的には同じものです。ただし、「手法1」では物理的な体積が増加してしまいますが、この「手法2」では体積が増加しないというメリットはあります。
手法3:NAND Flashダイ1枚あたりの容量を増やす
最もsmartでありながら最も技術的に困難であり競争する対象として適切な手法です。
上記の「基盤に搭載するBGAを増やす」「BGAあたりに封入するNAND Flashダイ枚数を増やす」といった手法は中国企業でもできてしまいます。実際に「3D TLC NAND搭載」のようにNANDメーカー名が伏せられているSSDが大量に存在しますが、そういったSSDでも使用されているNANDは東芝製だったりMicron製だったりします。このようにNAND Flashメーカー名が伏せられているSSDはいわゆる「自封片モデル」と呼ばれており、東芝やMicronからNAND Flashダイを購入して中国企業がパッケージングしています。だから「東芝製NAND搭載」と記載してSSDを売ることができず、「3D TLC NAND搭載」と出所をぼかして売っているわけです。
このようにNAND Flashダイを仕入れてそれをパッケージングするのは中国企業でもできてしまい技術的に優位性がありません。
一方でNAND Flashダイ1枚あたりの容量を増やすことは簡単にはできません。NAND Flashダイの主なメーカーは全世界で東芝・Sandisk、Micron・Intel、サムスン、SK hynixの4グループしか存在せず、中国企業のYMTCはまだNANDに参入したばかりでこれら4大グループの後を追っているフォロワーだからです。これらの4大グループでもそう簡単には容量を増やせず日進月歩です。
例えばMicron製の32層3D TLC NANDでは384Gbitを実現しており、64層の3D TLC NANDは面積を縮小させながらFlashダイ1枚あたり512Gbitを実現しています。
またMicronのQLCタイプについては64層の3D QLC NANDでは1Tbitを実現しています。96層では1.5Tbitであり、128層では2Tbitまで届きます。
つまり2TbitのNAND Flashダイを用いれば4チャネル8CEのコントローラであっても、
{4チャネル}×{8CE}×{1CEあたり2枚のNAND Flashダイ}×{1枚のNAND Flashダイ容量2Tbit(256GB)}=16TBのSSDを実現できてしまうことになります。2.5インチ基盤片面に8基のBGAで16TBを実現できてしまうということです。256層の3D QLC NAND(4Tbit)を用いれば4チャネル8CEコントローラでも32TBのSSDが実現でき、もはや3.5インチHDDが追いつけない容量をたった2.5インチ7mm厚のSSDで実現できてしまいます。
今後しばらくはこの手法3の「NAND Flashダイの容量を増やす」方法を主流として容量増加が図られます。その手法で限界がきたら、手法2の「BGAパッケージあたりに封入するNAND Flashダイを増やす」方法を採用していくことになります。それでも限界が来たらあとは2.5インチ基盤の裏面にもBGAを搭載する手法1を使ったり、あるいはHDDと同じ3.5インチサイズの筐体に大量にBGAパッケージを詰め込む手法で容量を増やしていくことになります。
現時点では手法1がまだまだ発展途上で深掘りする余地があるため、NAND Flashの積層数を増やしていく方法でSSDの容量が増加していきます。
ただし、現時点で手に入るNAND Flashダイの範囲内でどうしても容量を増やしたい場合は手法1のような愚直な方法が採用されています。「15mm厚の2.5インチSSD」は手法1のように表面と裏面にBGAを搭載するのに加えてさらにもう1枚基盤を重ねて2枚基盤で実現されたSSDです(普通のSSDは7mm厚)。
2019年において各HDDメーカーは16TBのHDDの大量生産をしようと必死になっています。まだ数が多く出せていないため製造コストが高く、大量生産にこぎつけて「SSDよりも安いHDD」の存在意義をいち早く示すためです。HDDは重ね書きをするなど技術的にかなり無理のある限界まで到達してしまっています。
一方でSSDはまだまだ余裕です。3D NANDの64層を128層にすることは技術的に容易どころか既に現物ができてしまっているので、何事もなかったかのように16TBのSSDをリリースしてくるでしょう。3.5インチHDDの容量20TBを狙って各HDDメーカーが競っている間に、2.5インチSSDは32TB品がリリースされ、3.5インチHDDは絶対容量で2.5インチSSDにあっけなく追い越される時期がもう間もなくやってきます。
いままでは「SSDは容量が小さい。HDDは容量が大きい」で棲み分けされてきましたが、その常識はもう既に覆されています。「SSDは容量が大きいのにコンパクト。HDDは容量が小さいのに場所をとる」と言われるようになるのはこの16TBが分水嶺になるかもしれません。
12TB
2018年には64層のTLCとQLCが相次いで発売され、Micronからは8TB容量のSSDが1,200ドル程度でリリースされました。それが2019年には900ドルまで下がっています。
そして同時に2018年にはIntel・Micron連合が第3世代96層3D TLC NAND(512Gbit)、東芝・WesternDigital(Sandisk)連合はBiCS4世代96層3D TLC NAND(512Gbit)と96層3D QLC NAND(1.33Tbit)を実現しました。この量産は2019年です。
またサムスンといったNAND Flashダイメーカーも96層技術を完成させています。
2019年にはこの96層NANDを搭載したSSDがリリースされるでしょう。その場合、旧来の8TBSSDの64層チップを96層チップに置き換えることによって、同じコストを維持するならSSDの容量は12TB程度になります。もし96層3D NANDでも8TBになるとしても容量あたりの単価は大きく下がります。
一方でHDDは既に12TB品が発売されており、14TBのHDDも既に発売されています。16TBも技術的には既に確立されていますが現在16TBの量産化を競って数を多く出そうとしている段階です。絶対容量としてはSSDは2019年でもHDDに遅れをとります。しかし128層のNANDが量産化されてしまうと簡単に16TBのSSDを実現できてしまいSSDとHDDの容量は並ぶことになるため、12TBのSSDは単なる経由点であり、16TBの2.5インチSATA接続SSDの登場がHDDにとって脅威になります。