ThinkPad X1 Carbon 2019の比較レビュー 前モデルより軽量化され最小1.08kg、最大1.11kg Intel第8世代Whiskey Lake-U Coreプロセッサ搭載 SSD2TB、LTEモジュール、4K液晶パネル選択可能

2019年のThinkPad X1 Carbon、もう既に発売されていたものだと思っていましたが2019年(Gen7)は例年よりも発売が遅くなりました。

私は2017年発売のGen5のX1 Carbonを保有していて2017年4月に買ったのですが、2018年のGen6も2018年4月ごろには既に発売されていました。

それと比較すると2019年のX1 Carbonはだいぶずれ込んでいますが、2018年のGen6と比較するとCPU以外にも意外な改良点があるのでそれについても一つ一つ詳細に見ていきます。

CPUはIntel Core第8世代Whiskey Lake-Uプロセッサ

X1 Carbon 2019に搭載されているプロセッサはIntel Core第8世代Whiskey Lake-Uプロセッサです。このプロセッサのダイの構成は上図のようになっています。

まず一番左の青く着色されている部分がグラフィクス(内蔵グラフィックス:iGPU)です。その右側の黄色く着色されている部分が4コア8スレッドの汎用コアの部分です。そしてその右側の部分がメモリコントローラ、ディスプレイ出力回路、その他IO出力のコントローラ部分です。Whiskey Lake-Uプロセッサは、ディスプレイ出力・メモリコントローラ以外のIOコントローラについてはもう一つのチップに機能を任せる2チップ構成になっているため、上図のチップはそのうちの片方のチップです。

モバイル向けの第8世代Intel Core-Uプロセッサは3つのコードネームが存在します。ThinkPad X1 Carbon2017で採用された第7世代Intel Core-Uから列挙してみます。

第7世代Kaby Lake-Uプロセッサ
・ThinkPad X1 Carbon 2017(Gen5)で搭載
・ThinkPad X1 Carbon 2018(Gen6)で一時期このKaby Lake-U搭載モデルが一部存在
第8世代Kaby Lake Refresh-Uプロセッサ
・ThinkPad X1 Carbon 2018(Gen6)の大多数のモデルで搭載
第8世代Whiskey Lake-Uプロセッサ
ThinkPad X1 Carbon 2019(Gen7)で搭載
第8世代Coffee Lake-Uプロセッサ
・TDP28Wもある高性能モデル 冷却性能に余裕のあるベアボーンで採用

上記のうち太い赤文字で記載した部分が今回のThinkPad X1 Carbon 2019モデルです。

第8世代Intel Core-Uプロセッサには、最も下段に記載したCoffee Lake-Uプロセッサもあるのですが、これはTDPが28Wもある高発熱・高消費電力のCPUなので少し大型の製品で採用されるものです。このようにしてみると、Intel Coreのプロセッサ世代としてはX1 Carbon 2018もX1 Carbon 2019も同じ第8世代であることがわかります。

Whiskey Lake-Uのラインナップ

X1 Carbonでは今までのモデルでも、「Core i7が2種類」「Core i5が2種類」の選択肢で提供されてきていますので、X1 Carbon 2019でも以下のようなラインナップになると予想されます。黒い太字はハイスペックな部分、赤い太字はスペックが劣る部分を意味し強調しておきました。

以下のCPUの違いをまとめておきます。

動作クロックについて明確に違いが出ておりここが各CPUの差を主に決定づけます。

キャッシュサイズに関してはCore i7の2機種はともに8MBで一緒。Core i5の2機種はともに6MBで一緒。

Core i7の2機種のグラフィック性能は同じ。Core i5のグラフィック性能はCore i7よりも劣るものの、Core i5の2機種同士のグラフィック性能は同じ。

ややこしいのはvProの対応と非対応の違い。Core i7のうち8665Uに関してはvPro対応。Core i5のうち8365Uに関してもvPro対応。たとえCore i7であっても 8565UのほうはvPro非対応であることに注意。そもそもvProとは何かと言うと、vPro対応CPUを搭載したノートパソコンの場合、リモートからWindpwsUpdateの要求を受け付けて一括してWindowUpdateを適用できます。vPro非対応CPUのノートパソコンではこのリモートによるWindowsUpdateができません。つまり企業で大量にX1 Carbonを調達する場合は、vPro対応のCPUにしておくとWindowUpdateを一括で同時適用できるので作業が楽になります。一方で個人用途なら自分でX1 CarbonのWindowUpdateをやればいいだけなのでvPro対応の恩恵は少ないです。

・Core i7 8665U

4コア8スレッド。動作クロック1.9GHz~4.8GHz。L3キャッシュサイズ8MB。内蔵グラフィックスIntel UHD Graphics 620の最大動作クロックは1,150MHzで441.6GFlopsvPro対応

・Core i7 8565U

4コア8スレッド。動作クロック1.8GHz~4.6GHz。L3キャッシュサイズ8MB。内蔵グラフィックスIntel UHD Graphics 620の最大動作クロックは1,150MHzで441.6GFlopsvPro非対応

動作クロックとvPro非対応という部分が上記Core i7 8665Uと違う部分。ただしグラフィック性能は上記「Core i7 8665U」と全く同じ。

・Core i5 8365U

4コア8スレッド。動作クロック1.6GHz~4.1GHz。L3キャッシュサイズ6MB。内蔵グラフィクスIntel UHD Graphics 620の最大動作クロックは1,100MHzで422.4GFlopsvPro対応

Core i5のグラフィック性能は上記2つのCore i7より劣ります。しかしこのCore i5はvPro対応。動作クロックもCore i7より下がっている点に注意。

・Core i5 8265U

4コア8スレッド。動作クロック1.6GHz~3.9GHz。L3キャッシュサイズ6MB。内蔵グラフィクスIntel UHD Graphics 620の最大動作クロックは1,100MHzで422.4GFlopsvPro非対応

動作クロックは上記Core i5よりさらに低い上に、vPro非対応。しかしグラフィック性能については上記「Core i5 8365U」と全く同じ。

8コア16スレッドのモバイルプロセッサIntel第9世代Core-HシリーズはX1 Carbonで採用されない

実はIntel Coreモバイル向けプロセッサでは8コア16スレッドCPUが既に存在しています。

AMD Ryzenモバイルのシェアは非常に低くIntelのシェアに勝てないとAMDは諦めていて、コア数が多いRyzenにもかかわらずRyzenのモバイルCPUは最大でも4コア8スレッドです。消費電力が高く爆熱で有名なRyzenはモバイル用プロセッサに適さないためです。

そんな中でIntel Coreモバイルプロセッサは8コア16スレッドを実現し、多コア主義のAMD Ryzenを追い越してしまったわけですが、この「ビジネス用途重視」のX1 Carbonには8コア16スレッドのモバイルプロセッサは使われないと思われます。

なぜならIntel Core-HシリーズはハイエンドなゲーミングノートPCを想定しているからです。高性能なグラフィックチップとセットにしなければゲーミングノートPCとしては機能しないため、プロセッサだけIntel Core-Hを搭載するということは考えづらく、さらにX1 Carbonは事務作業用途を想定しているノートパソコンであるため8コア16スレッドのCore-Hは採用されないでしょう。

つまりCore-Hの選択肢があるMacBookProに比べたらX1 Carbon 2019は絶対性能で劣ることになります。

メモリ(RAM)は8GB or 16GB 半田付け済みのため換装不可

搭載されているメモリはLow Power DDR3(LPDDR3)メモリです。これはX1 Carbon 2017の頃から変わっていません。

容量の選択肢は8GBと16GBの2択でありこの点も以前から変わっていません。また、メモリモジュールは半田付けされており換装不可です。そのため8GB製品を買ってしまうと後から16GBが必要になったとしても造設できません。よってあらかじめ余裕をもって16GBのモデルを選択しておいたほうがいいです。

このメモリ周りに関してはX1 Carbon 2017,2018と比較して新規性は全くないです。

SSDはM.2規格サイズ NVMe規格が主軸

X1 Carbon 2019のSSDはM.2規格サイズSSDを搭載しています。直販サイトでSSDのメーカを直接指定できる選択肢が表示されている場合も時々あります。その場合よくみかけるのが「Intel製SSD」です。その他の選択肢だとメーカ名は表示されていません。その場合どのメーカのSSDが搭載されて届くかはわからず指定できません。 私が購入したX1 Carbon 2017の1TBSSDはSamusung製のNVMe規格SSDでした。

X1 Carbon 2019では2018に続いて2TBのSSDも選択可

X1 Carbon 2018は発売当初は最大で1TBのSSDしか選択肢にありませんでした。しかし後から2TBのSSD搭載モデルが登場し、2TBのSSDも選択できるようになっていました。

一方で今回のX1 Carbon 2019は当初から2TB SSDがラインナップされています。これは2018年当初はまだまだ一般的ではなかった2TB M.2 SSDが、2019年初では既に2TB M.2 SSDが一般的になってきたからです。私もデスクトップPCでは2TBのM.2 SSDをCドライブ用として使用しています。

NVMe規格にこだわり続けているのがThinkPadの特徴

ThinkPadに搭載できるSSDの選択肢はほとんどがNVMe規格のものです。たまにSATA規格の選択肢が存在するモデルがLenovo公式サイトに掲載されていますが一時的だったりするため、SATA規格のSSDを選択するのはあくまでも例外的と捉えておいたほうがいいです。

Let’s NoteはSATA規格にあえてこだわっている

一方でPanasonic Let’s NoteはSATA規格のM.2 SSDにあえてこだわっているノートパソコンです。理由についてはパナソニック社員から直接きいたことがありますが、「OS用のCドライブとして使う場合はNVMeとSATAも実効速度が変わらないこと」「SATAのほうが発熱量が少なく消費電力が少ないこと」を理由に挙げていました。ごもっともという回答です。ノートパソコンのSSDはSATA規格のものでいいと私は思ってますので、SATA規格のSSDの選択肢を増やしてくれたらX1 Carbonの魅力はさらに高まります。

ディスプレイはテキスト処理向けのフルHDから画像編集向けの4Kまで選択肢がある

ノートパソコンのディスプレイの選択で重要なことは、「一番高い4Kなら大は小を兼ねる」という一般論が成立しないことです。私はThinkPad X1 Carbonを購入する際、Lenovoの営業員さんから「フルHDディスプレイ」の選択をあえてすすめられました。本来営業の立場からすれば価格が高い高解像度ディスプレイをすすめるのが普通です。そのほうが利益になるからです。しかし私のX1 Carbon用途は文字列を扱うテキスト処理だったため、その用途を伝えると「高解像度なディスプレイはテキスト処理作業効率をむしろ悪化させる要因で逆効果なので、フルHDを選択したほうがいい」とアドバイスされました。ここがLenovoのしっかりしているところです。

もしExcel・Wordなどの文書事務やブログ執筆など文字を使う用途がメインなら、フルHDの選択を強くおすすめします。高解像度のディスプレイを選択しても結局は文字サイズを大きくしたり、解像度を下げて使用しなければなりません。そうなると文字がにじんだり、アプリケーションによっては文字サイズの拡大を100%以外の150%等で使用していると不便が発生する場合があります。

フルHD(1920×1080) IPS液晶パネル 輝度400nits

文字を扱う用途ならこのフルHDタイプ。タッチ操作不要ならこのモデルが最も廉価になるので、特にディスプレイにこだわりがなければ最も安いこのタイプでも十分です。

フルHD(1920×1080) IPS液晶パネル タッチ操作対応 輝度300nits

X1 Carbon 2018でも存在した「タッチパネル対応」のディスプレイがX1 Carbon 2019でもラインナップされました。光沢なしのノングレアタイプなのか、光沢ありのグレアタイプなのかは各人の用途ごとにしっかり確認して選ぶ必要があります。私はノングレア派です。

フルHD(1920×1080) IPS液晶パネル ePrivacy 輝度400nits

X1 Carbon 2019で最も優位性があるディスプレイ選択肢です。

ePrivacyというのは「電子的にプライバシーを確保したディスプレイ」という意味です。ディスプレイに3M製のプライバシーガラスを貼って左右からの覗き見時に暗く見えるようにするのは、電子的なプライバシー保護対策ではありません。

しかし、ePrivacyではプライバシーガラスに頼らずに、ディスプレイの視野角によって左右からの覗き見防止を実現しているということです。これは後述するThink Shield技術の実現の一つの具体例です。

WQHD(2560×1440) IPS液晶パネル 輝度300nits

これはフルHD解像度ではないので、文字列入力を扱う作業を行う人にはおすすめできない選択です。

高解像度の画像を編集する場合、フルHD解像度だと画像が画面外に収まらないことが発生します。そうなると画像をズームアウトした上で編集するか、スクロールバーで移動させながら編集するしかありません。そのような作業をする人ならフルHDではなくこのWQHD解像度のディスプレイのほうがおすすめです。

4K(UHD,3840×2160) HDR IPS液晶パネル  輝度500nits

このディスプレイは解像度が4Kもあるだけでなく、輝度が高く500nitsもあります。4K解像度というのは映画鑑賞のような用途向けです。Youtubeで4K解像度でアップロードしているPCゲームやPS4ゲームの配信者もたまにいます。

映画はテレビ画面だと綺麗に観えますが、パソコンで観ると暗い部分が落ち込んで黒く見える傾向にあります。つまりテレビ用の映像をパソコンで観ると暗い部分がさらに暗くなります。そのためパソコンで映像を観るときは暗い部分が落ち込まないように輝度を上げる必要があります。EIZOディスプレイなんかでも映画観賞用のモードがあって、ものすごく明るくなります(その明るさで文書作業をすると目が疲れるので文書作業はブルーライトカットのPaperモードで行う)。

このような用途を想定しているならこの4Kタイプがおすすめです。

 

またX1 Carbon本体のディスプレイ解像度に関係なく、自前で用意した外部ディスプレイの出力はHDMIなりUSB Type Cコネクタなりで「4K解像度」でできます。たとえX1 Carbon本体のディスプレイ解像度がフルHDであっても、外部ディスプレイに接続して映したときの解像度は普通に4Kを選択できます。当然ですが、外部ディスプレイが4K解像度に対応している必要があります。

HDMI出力だと1.4規格なので4K@30fpsが限界ですが、USB Type C Thunderbolt3通信規格のポートから4K@60fpsが可能です。

X1 Carbon 2019では「Think Shield」を新規搭載しプライバシーガラスを使わなくても横からの覗き見をされづらくなっている

私はiPhoneにプライバシーガラスを貼っていますがX1 Carbonには貼っていませんでした。X1 Carbonにプライバシーガラスを導入する場合、貼り付けるというより「引っ掛ける」形でプライバシーガラスを装着することになります。3M製のプライバシーガラスはそのような仕様です。

しかし今回のX1 Carbon 2019では、横から見ると暗くなるようにディスプレイパネルの視野角を絞ってしまう機能が搭載されました。これはプライバシーガラス不要な上に、もし複数人で作業していて横から見てもらいたいときには視野角を広げる設定に変更すればいいだけなので柔軟性があります。とても良い機能を搭載してくれたと思います。

左側の出力端子はUSB Type-C(Thunderbolt 3)×2、USB 3.1 Gen1 TypeA×1、HDMI×1、ヘッドホン出力

Think Pad X1 Carbon 2019の外部出力端子を一つ一つ見ていきます。まずは向かって左側に搭載されているポートからです。

見るとわかりますが、左側の端子類に関してはX1 Carbon 2018から変化ありません。

一番左側はUSB Type Cコネクタ形状のThunderbolt 3通信規格ポートです。ここにACアダプタ電源コードを挿し込んで充電もできますし、ディスプレイと接続して外部ディスプレイ出力もできてしまいます。

その一つ右側にあるのもUSB Type Cコネクタ形状をしたThunderbolt 3通信規格ポートです。つまりこのX1 Carbon 2019は2つのUSB Type Cコネクタがあるということです。2つのUSB Type Cコネクタがあるという点ではX1 Carbon 2018,2017と同じです。

USB TypeAポートはUSB 3.1 Gen1通信規格であることに注意

USB TypeAコネクタ形状のポートが1つ搭載されていますが、この通信規格はUSB 3.1 Gen1であり、Gen2ではありません。つまり10Gbpsの速度が出るUSBではありません。そこは注意しておく必要があります。

HDMI端子は有り難いフルサイズ 通信速度はHDMI 1.4規格

USB Type Cコネクタを使ってもディスプレイ出力することができますが、HDMI端子もしっかり搭載されています。しかもmini HDMIコネクタ形状ではなく、フルサイズのHDMIコネクタです。フルサイズのHDMIコネクタというのは「いわゆる普通のHDMIコネクタ」のことです。

ただし、このHDMI端子は「ThinkPad Docking Station」を装着したときは無効化されます。ドッキングステーションを装着しているときは、ドッキングステーション背面に搭載されたディスプレイ出力端子を使うことになります。ドッキングステーション背面のディスプレイ端子と、ThinkPad X1 Carbon2019本体に搭載されているHDMI端子を同時に使うことはできません。

右側には電源ボタン、USB 3.1 Gen1 TypeAポート×1、排気口

X1 Carbon 2019の電源ボタンは向かって右側のサイドにあります。X1 Carbon 2018,2017では、電源ボタンはキーボード上方にありました。ディスプレイを持ち上げてから奥の方に設置されているボタンを押すようになっていました。

しかしX1 Carbon 2019ではサイドに移動しています。これは自宅でX1 Carbonを操作するときには大変好ましい変更です。

ノートパソコンの欠点は画面の狭さとキーボードの打ちにくさです。そこで私は自宅ではEIZOのディスプレイと東プレRealforceキーボードをThinkPad X1 Carbonに接続して操作しています。

その場合、電源スイッチをいれるときはThinkPad X1 Carbonのディスプレイを開けて(フタを開けて)、その中にある電源スイッチを押さなければなりません。そして電源スイッチを押したらまたディスプレイを閉じるわけです。X1 Carbon 2017,2018の場合このような電源スイッチ配置になっています。

一方で今回のX1 Carbon 2019なら電源スイッチが右サイドにあるため、わざわざX1 Carbon本体のディスプレイを開ける必要がありません。閉じたままでOKです。もし誤作動防止として画面が閉まっている間は電源が入らないとしても、少し画面を持ち上げてあげるだけでいいので楽です。X1 Carbon 2017や2018では、電源スイッチが一番奥に設置されているため、画面をほぼ完全に開ききらないと電源スイッチを押せません。

自宅で外付けディスプレイ+外付けキーボード環境で使う場合は、ノートパソコンのサイドに電源スイッチがあることは大変ありがたいことです。今回のX1 Carbon 2019での変更点は歓迎できます。

背面にはLTEモジュール用のSIMカードスロット搭載

X1 Carbon 2019購入時に「LTEモジュール搭載」を選択すると、各自用意したSIMカード(例えば私の場合はNTTコミュニケーションズ+ドコモ回線のOCNモバイルONE)を挿すことができます。

X1 Carbon 2017ではスロットが右サイドにありましたが、X1 Carbon 2018から背面に移動しました。X1 Carbon 2019でもX1 Carbon 2018と同じ場所を踏襲しています。

iphone等のスマホと同じで金属製のピンを差し込むとスロットが出てくる仕組みです。

ThinkPad X1 Carbonでは音声SIMを挿しても080,090通話端末として使えないので、データSIMで十分です。

裏側は空冷ファンの吸気口とスピーカー2つ

本体裏面には、CPUクーラーの吸気口があります。裏面から吸い込んで右サイドから排気するエアフローです。横から吸い込んで裏面から排気というエアフローでは排気が十分できなくなるためこのようになっています。吸気口の部分は少しでも隙間があれば十分ですが、排気口の先は十分なスペースがなければなりません。ノートパソコンの右側なら十分が空間があるということでこうなっています。そのためX1 Carbonを設置するときは右側を塞いではいけません。

光学的(物理的)にカメラ撮影をシャットアウトするThink Shutterを引き続き搭載

パソコンはソフトウェア的にどのようなセキュリティ対策を講じていても、破られるときは破られるものです。

悪意のあるソフトウェアを仕込まれた場合、ノートパソコンに搭載されているカメラを通じて盗撮しそれが流出してしまう事件が海外でありました。

それを防ぐ原始的な方法として「ノートパソコンのカメラにはガムテープを貼る」というものが提唱された時期もあります。これは非常に強力であり、どのような悪意あるソフトウェアを仕込まれたとしても、「ガムテープで物理的に光が通過できないようになっている」というセキュリティ対策は絶対に突破できません。

そこでX1 Carbon 2018から以下のようなThinkShutterが搭載されました。

ガムテープではさすがに格好悪いので、製品として正式に「光学的シャットアウト機構」を搭載したわけです。これをスライドさせてカメラを塞いでおけば、たとえどんな悪意あるソフトウェアに感染してしまっても撮影されることはありません。

X1 Carbon 2019では以下のようなThink Shutterになっています。

これはスライドしてカメラを塞いである状態です。デザインが異なるものの機能は全く同じです。

X1 Carbon 2019(Gen7)のバッテリー容量は51Wh 2018(Gen6)の57Whより少ない

X1 Carbon 2019はX1 Carbon 2018と比較してバッテリーに大きな変更点があります。X1 Carbon 2019ではバッテリー容量が51Wh(ワット時)に減りました。X1 Carbon 2018では57Whありました。51Whとは、51Wの電力を1時間供給し続けることのできる容量です。CPUだけでもTDP25W(仮にTDPと消費電力が同じとしておきます)、NVMeSSDは高負荷時に10Wの消費電力、液晶パネルは高輝度でも10W程度です。合計して45Wとしましょう。つまり、ノートパソコンを最高負荷で使用し続けると51Whのバッテリーでは1時間ちょっとしか持続しないことになります。しかしそのような「常に高負荷」のような場面は実用上ほぼ発生しません。CPUの消費電力は通常1W程度、SSDも通常の読書なら1W、液晶パネルの輝度を下げて4Wという「常に低負荷」にすれば10時間程度使えることになります。両者とも両極端な仮定ですが、ノートパソコンのスペック表に載っている「バッテリ持続時間」はもっと実際的なベンチマークを走らせ続けた場合の持続時間になっています。

バッテリーを少なくして何のメリットがあるのかというと、一つは軽量化です。ノートパソコンの部品の中で最も重いのはバッテリーです。しかもバッテリーの「重さあたりの電気エネルギー量」は全然進歩していません。「バッテリーを増やす=重くなる=体積が大きくなる」ということです。SSD等の半導体は年数が経過するに連れて飛躍的に集積度が向上していますが、バッテリーは重さあたりの電力蓄積量がまったく進歩していません。

そうなると、ノートパソコンを軽くするにはバッテリーの容量を減らすか、ノートパソコンの大きさ自体を小さくするしかないのです。X1 Carbonは14インチサイズがアピールポイントなので大きさを小さくするわけにはいきません。そのためバッテリー容量を減らして軽量化するしかありません。

もう一つのメリットはプラットフォームの共通化です。実はこの51WhのバッテリーはX1 Yogaで今まで使われてきたものです。しかしX1 Carbonでは2018まで57Whのバッテリーが使われてきました。そこでX1 CarbonとX1 Yogaでバッテリーを共通化することで、スケールメリット(規模の利益)で製品あたりの製造原価を引き下げることができます。

バッテリー容量が減ることはデメリットと感じる人が多いかもしれませんが、私がX1 Carbon 2017をもう2年近く使ってきた経験で言えば、バッテリー容量が減ってもまったく困りません。

ノートパソコンは自宅に置いているときは充電していますし、持ち運ぶとしても行き先にかならず電源があります。学生でも大学に行けばどんなボロ教室でも改修されていて必ず電源プラグが机に付いていますし、研究室ならなおさら電源なんていくらでもあります。

田舎を旅行していて朝ホテルから出発して夕方ホテルに戻るまで全く電源無しという状況下ならバッテリー容量が重要なのはわかりますが、都内で自宅を中心に移動している限りはバッテリー容量の削減は問題にならないというのが私の結論です。

重量は最小で1.08kg、最大で1.11kg

ThinkPad X1 Carbon 2019に限らず、カスタマイズ可能なノートパソコンは構成によって重さが変化します。最も重さが変動する要因がバッテリー容量であり、Let’sNote等では選択するバッテリー容量で重さが変化しますが、X1 Carbon 2019では51Whのバッテリー容量で固定なのでバッテリー容量要因で重さが変化しているのではありません。

X1 Carbon 2019の重さ変動要因は「LTEモジュール」です。これを搭載すると重さが1.11kgになります。

X1 Carbon 2019が買いのタイミングかと言えば微妙 急ぎでないならComet Lake-Uか10nmプロセスIce Lake-Uが搭載される見込みのX1 Carbon 2020を待ったほうがいい

X1 Carbon 2019はX1 Carbon 2018と比較して改善点が多く2018より明らかに良い仕上がりになっています。

しかしこれが買いのタイミングかと言ったらちょっと微妙です。このX1 Carbon 2019が2019年1月~2月に発売されたのならまだしも、実際は6月までずれ込んでいます。

2019年6月に第10世代のモバイル向けIntel CoreプロセッサIce Lake-Uが出荷されました。年末にはComet Lake-Uプロセッサも出荷されます。

つまり2020年1月に発表され春先に発売されるであろうThinkPad X1 Carbon 2020ではIce Lake-UかComet Lake-Uが搭載されることが見込まれます。

急ぎでないならThinkPadやLet’sNoteを含めてモバイル機器を買うのは年末まで待つのが得策です。

Let’sNote買い替えのタイミングを狙っている知人はIce Lake-Uが搭載されるのを待っているようです。

MacBookと並んでコンピュータ科学分野の学生に好まれるX1 Carbon

B3~M2までコンピュータサイエンスをともに学んでいた同期の友人は学部生の頃からLet’sNoteとThinkPadを使っています。普通はWindowsノートならこの2つのうちのどちらかです。

ただし、Windows機以外だとMacBookを使う人がコンピュータ科学分野では非常に多いです。Mac保有者が異常に多いのは私の大学だけかもしれませんが、同期でMacBookを講義室や研究室に持参している人は非常に多かったです。実装でLinuxが必要になった場合はMacBookにLinuxをインストールして使ってる人もいます。

教員の場合はMacBook vs. Let’sNoteで二分されています。教員が使うWindows機としてX1 CarbonよりLet’sNoteが多いのは研究室の減価償却資産にできるため高額なPanasonic製を選びたくなるからだそうです。

それなりに学術的なコンピュータ分野に詳しい人だと、MacBookまたはWindows機ならLet’sNoteかThinkPadというのがノートパソコンの選択肢だと思います。日本IBMがThinkPadを作っていた頃はそれこそThinkPadが支持されていたようですが、今はLet’sNoteを使っている教員のほうが多いです。特にLet’sNoteは大企業や国立大学法人含めて採用されているのが強いです。私も研究室からの支給はLet’sNoteでした。ただそれでもMacBookを使いたい学生が多いのでそういった人は各自で用意したMacBookを使用していました。

私は修士で就職しましたが同期の友人は博士まで行って民間の正社員で研究職に就いていて、いまだにプライベートではThinkPadかLet’sNoteを使っています。コンピュータ科学分野の人が好むのはWindowsOSならThinkPadか、Let’sNoteです。

このようにMacBookにしてもThinkPad、Let’sNoteどれにしても共通しているのは「CPUはIntel製」だということです。つまりノートの買い時というのはIntel CPUの新モデルがいつリリースされるかによって大きく左右されます。そういった意味でIntel Ice Lake-Uの出荷が2019年6月、Comet Lake-Uの出荷が2019年末というタイミングはノートパソコンの購入において非常に難しい判断となります。搭載されるとしてもそのモデルが出てくる時期が見通せないことと、そもそも実際にIce Lake-UがX1 CarbonやLet’sNoteに搭載されるのか、Comet Lake-U止まりなのかで性能が大きく変わってくるためです。

Panasonic Let’sNoteは10月下旬に秋冬モデル、1月下旬から春モデル、6月に夏モデルを発売する「年3回サイクル」を維持しています。Let’sNoteにIce Lake-Uが採用されると仮定しても早くて10月下旬の秋冬モデル、遅くて1月下旬の春モデルとなりそうです。

ThinkPad X1 Carbonの場合は2020年1月に発表が見込まれる2020年モデルにIce Lake-UかComet Lake-U搭載されるとみるのが自然です。そうなると例年より発売時期がずれ込んだX1 Carbon 2019は買いのタイミングとして難しいところがあります。