RyzenとCore i7 7700Kのベンチマーク比較 ゲーム用ならRyzen、作業用なら7700K

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私も当初はRyzen発売を好意的に受けとめていましたが、非ゲーマーにとってはあまりメリットの見いだせないCPUだという印象です。海外でもgaming cpuとして認識されています。

私は2017年5月あたりにバックアップ用の副系パソコンを自作する予定で、既にケース・ファンレス電源とRyzenにも対応したCPUクーラーも購入して残りはマザボCPUメモリを買うだけなのですが、Ryzenが良かったらそれを選択するでしょうが残念ながら今の情勢だとCore i7 7700Kを購入することになりそうです。

比較のために原則としてRyzen7の代表は1800Xを前提に話を進めます。今回発売されたRyzen7の中で最も高性能なものと比較すれば文句は出ないでしょう。

Intelの代表としてはBroadwell-Eはさすがに価格が高い上にCPUソケットが多く普及している1151ではないので、Ryzen7 1800XのカウンターパートとしてCore i7 7700Kを前提として話を進めます。

まずRyzenが持て囃されているのはIntelの独壇場を打ち崩す役割を果たし、高止まりしているCPU価格を引き下げる効果が期待されていることにあると思います。

Ryzenで採用された8コア16スレッドのようにコア数を増やすことでCPU全体のFLOPS性能を向上させるのは今までの潮流でもあり、それは今後も長く続く流れです。

ゲームや動画エンコードをメインでやる人はこのRyzen1800Xを選んで間違いありません。並列性を十分に活かせるからです。ただし、Excel・Word・ブラウザでウェブ閲覧(Youtube閲覧)などの一般的なPC用途や、深層学習・金融分析などの科学技術計算のプログラミングで用いるならIntel Core i7 7700Kをおすすめします。

ゲームや動画エンコードなど1コアあたりの性能より並列性を優先するならRyzen

Ryzenが叩かれている部分は何かというと、1コアあたり、または1スレッドあたりの性能の低さです。これはコア数を増やせば自然と動作周波数を下げなければTDPが高止まりしてしまうため技術上の問題で仕方のないことです。

しかし、1コアあたりの性能が低くなることは、Word・Excelなどのテキスト作業、VisualStudioなどでのプログラミングで圧倒的に不利になります。Excelは重い計算処理は自動的に並列化して実行してくれますが、計算処理以外の部分ではマルチコアの恩恵をあまり受けることができません。

VisualStudioなどでプログラムを作ったあとにそれを実行するなら1800Xでも”あり”です。でもプログラム作成段階では1コアあたりの性能が低いと非常に作業効率が悪くなります。最初から並列化してプログラミングすることはまずなく、まずはシングルスレッドのプログラムを作ってバグを潰してから並列化するという手順を踏むので、趣味でVisualStudioを使って深層学習や金融分析をしているような”非ゲーム用途”で使う人は7700Kの方が作業効率が圧倒的に高いです。

さらにIntelにはMath Kernel Libraryという非常に数値計算精度が高く、さらにIntelプロセッサが独自に用意しているSIMD演算器をフル活用してくれるライブラリが備わっています。このMath Kernel Libraryを利用する際の恩恵を受けられるのがIntelプロセッサの非常に大きなメリットです。

深層学習や金融分析のように数値計算・数値解析・科学技術計算といった分野の作業をするのなら、残念ですがRyzen1800Xが選択肢として載ることはまずありません。大学や大学院などでアカデミックな分野で使いたい人もIntelにしておいたほうが無難です。つまりRyzenは遊び向けということです。

国内ウェブサイトの記事を見ていると、「ゲームならシングルコアあたりの性能が高いIntel core i7 7700Kのほうがいい」という意見を見ますが、それは単にベンチマークがシングルコア性能を測るものになっているか、並列化実行できないゲームを前提としている評価だと思います。海外でもRyzenは”a gaming cpu”として認識されており、AMDやNVIDIAグラボと組み合わせて使うゲーム用CPUの色がかなり濃いです。Ryzenはそもそもオンボードグラフィックスが内蔵されていません。

このようなことはExcelWordをやる事務用PCだったら考えられないことですが、ゲーム用なら「ゲーマーはグラボを別途買うだろうしCPUにわざわざグラフィック機能を乗せる必要はないだろう」ということでRyzenにはオンボードグラフィックスがないのです。このことからもRyzenがゲーマー用CPUだということがわかります。

ゲーム・動画エンコードに特化しない汎用的なPC用途ではIntel Core i7 7700Kが完勝
しかも7700Kの方が安くオンボードグラフィックス付

最終的にはRyzen7 1800Xと比較しますが、まずは1700から順にIntel Core i7 7700Kと比較してみます。

ここでは実際にプロセッサを保有しているユーザーから申告されたベンチマークを集計し統計データとして公表しているuserbenchmark.comで比較してみます。これは各ユーザーのベンチマーク報告を平均しているものです。

メーカー発表のベンチマークというのはできるだけベンチマーク結果が良くなる方向にバイアスが働いている”大本営発表”のようなものなので、実際にプロセッサを保有している各ユーザーが様々なマザーボードなりメモリなりを接続して測ったベンチマークにこそ意味があるということです。

まずはCore i7 7700KとRyzen7 1700とのベンチマーク比較です。

Intel Core i7 7700Kが+20%性能で勝っています。

相手がRyzen7 1700なら7700Kの方が速いのは当然の結果と言えますが、私がこの記事を書いている時点では7700Kの方がCPU価格が安くなっています。Ryzen7 1700の方が価格が高いのです。

しかもCore i7 7700KにはIntel HD Graphics630というグラフィックスコアがCPUに内蔵されており、グラフィックボードなしでも4K画質の60fps動画再生を余裕でこなす能力があります。一方でRyzen7はCPU内部にオンボードグラフィックを内蔵していないので別途グラフィックボードを購入することが必須です。そういった意味でも7700Kの方が遥かにコストパフォーマンスに優れていることがわかります。

では次に1700Kと比較してみます。こちらもオンボードグラフィックは無しです。

こちらもIntelの7700Kの性能が+15%上回っています。もちろん現時点でのCPU価格も7700Kの方が安いです。

最後にRyzen7 1800Xと勝負させてみましょう。

Ryzen7 1800XですらIntel Core i7 7700Kに勝てていません。7700Kの性能が+10%で上回っています。

この画像の左下を見てもらえるとわかる通り、7700Kは全CPUのうちでも2位です。1位は昨年発売されたBroadwell-EのCore i7 6950Kです。2位がCore i7 7700Kであり、Core i7 6900KでさえCore i7 7700Kに勝てていません。6950Kは20万円近くしますし、4万円程度で買える7700Kが最もコストパフォーマンスの高いCPUだと言えます。

このようにRyzenが全敗しIntel Core i7 7700K全勝の結果になった理由は簡単です。Ryzenの方が1コアあたりの性能が低いからです。Ryzenのように7700Kの2倍のコア数である8コアのようにいくらコア数を増やしても実行するソフトウェアの並列性がない限りは実行性能を上げることはできません。これは1964年に世界初のスパコンが出来た時から現在に至るまで、大学の研究者から企業の技術者も頭を悩ませる古典的な問題です。いくら並列実行するためのコア数が増えてもそれを使いこなせるソフトウェアがなければ宝の持ち腐れであり、今回のベンチマークが示しているのは結局世の中の大半のソフトウェアは1コアのみで動くようにできているということです。

一般人の用途で多数のコアを有効活用できるのはゲームと動画エンコードくらいです。しかし日頃からゲームと動画エンコードしかひたすらやっていない人は極々一握りであり、ほとんどの人はブラウザでウェブ閲覧をしていたり、Wordで文書作成をしているわけです。そのような用途では1コアあたりの性能が高い7700Kの方が優秀です。

オンボードグラフィックスで十分な人にとってはIntel Coreシリーズの方がお得
Ryzen単体ではディスプレイすら映らない

またIntel CoreシリーズからみてRyzenが異様なのはオンボードグラフィックスがないことです。

今回AMDのRyzenではIntel Core i7と互角な勝負をするためにオンボードグラフィックス用のチップ面積を削りました。それを汎用プロセッサに振り分けたわけです。

逆にIntel Coreプロセッサは世代が重なるごとにオンボードグラフィックスのチップ面積を増やし着実に強化しています。IntelとAMDは向いている方向が全く逆です。

なぜIntelは汎用プロセッサ用のチップ面積を減らしてまでオンボードグラフィックス性能を年々上げているかというと、NVIDIA GeForceやAMD Radeonから顧客を奪って、オンボードグラフィックスであるIntel HD Graphicsだけで間に合うようにすることをIntelは狙ってるからです。

実はIntel Coreプロセッサの4コアの面積が、Intel HD Graphicsのオンボードグラフィックスコアの面積とほぼ同じということはあまり知られていないようです。

これは第6世代のSkylakeプロセッサのチップダイです。第7世代のKabylakeもこれと同じ割当です。

一番左の部分がオンボードグラフィックスであり、真ん中の4つの青い長方形がある部分がCPUの中枢とも言える汎用プロセッサの部分です。

このようにみると汎用プロセッサとオンボードグラフィックスの面積がほぼ同じだということがわかります。

以前はオンボードグラフィックスの面積はこんなに大きくなく非常に冷遇されていました。気休め程度に「ディスプレイが取り敢えず映りさえすればいい」程度の認識しかIntelにはありませんでした。

現在のIntel Coreプロセッサのチップは大半をグラフィックのために面積を割いています。

なぜそのようなことをするかと言えば、深層学習・金融分析などの科学技術計算や業務用として使う人にとっては「画面出力としての」グラフィックボードなんて不要であり、とりあえず液晶ディスプレイに画面が映ればいいからです。だからこそIntelはCPU内にグラフィックスコアを内蔵しています。

次にRyzenのチップを見てみます。

中央に2つ見える横長の長方形がRyzenの汎用コアです。

このように片方の長方形で4コア、もう片方の長方形で4コアで合計8コアにしています。

この図にはグラフィック部分が見当たりません。それは当然であり、Ryzenでは一切グラフィックスを載せていないからです。グラボを別途お買い求めくださいというコンセプトなのがRyzenです。

なぜここまでしてRyzenではオンボードグラフィックスを削ったのかと言えば、単なるコンセプトだけではありません。Intel Core i7に太刀打ちするために仕方なくオンボードグラフィックスを削ったのです。

理由1:オンボードグラフィックスを削減して汎用コアにチップ面積をまわさないとIntelに太刀打ちできないから

Ryzenは一切グラフィックスコアをCPU内部に搭載していません。その部分を汎用プロセッサ部分に割り当てて、技術力ではIntelに敵わないから汎用コア用のチップ面積を増やすことでなんとかIntelの背中に追いつこうとしているのが今回のRyzenです。Intelプロセッサではオンボードグラフィックスと4コア8スレッドの汎用コアで半分ずつ面積を使っているものの、Ryzenではオンボードグラフィックスを載せない代わりに4コア8スレッドの汎用コアをもう1セット追加してなんとかIntel Core i7 7700Kと勝負しようとしたものの、やはりベンチマークでは負けてしまいました。でもそこそこ健闘した方だとは思います。

理由2:そもそもAMDはNVIDIAと並ぶグラボチップメーカーなのでオンボードグラフィックスをRyzenに搭載してしまうとAMDの自社グラボチップが売れなくなる

AMDはCPUではIntelに大きく水を開けられていますが、グラフィックボードではそこそこ健闘しています。NVIDIAという巨人がいるものの、グラフィックボードは単価が高いので稼ぎ頭です。

もしグラフィックボードが売れなくなってしまうとAMDとしても困ります。

例えばRyzenにオンボードグラフィックスを内蔵してしまうと、ゲーマーでない限りはオンボードグラフィックスで十分なのでグラフィックボードを買おうとしません。そうなるとグラフィックボードを売りたいAMDとしては好ましい展開ではありません。

Ryzenはあくまでも汎用プロセッサ。グラフィックプロセッサが欲しいなら別途グラフィックボードを購入する方向に持っていくほうがAMDとしても望ましいということです。

まとめ:
ゲーマー、動画エンコード専門ならRyzenもあり
ウェブ閲覧、文書作成などの一般的用途や深層学習・金融分析などの科学技術計算をやるならIntel Core i7 7700Kが優秀な上に安い

私から見ればRyzenは”パソコンはゲーム機”として捉えているゲーマー向けのCPUであり、硬派な用途である科学技術計算や文書事務作業などをやるならやはりIntel core i7 7700Kを選んでおいたほうが後悔がないと思います。

趣味でC#やC++を書かない、ExcelWordよりゲームをやる、Math Kernel Library(MKL)や数値解析と言われても全くピンとこないという人は、Core i7 7700KではなくRyzen1800Xが十分いい選択になると言えます。

Youtuberをやっていて動画の編集エンコードなどを日頃からやっていたり、録画が趣味だったり、ゲームが趣味の人はRyzen1800Xでいいでしょう。

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