【2022年最新版】おすすめ小型PCケースの比較 Mini ITX・Micro・ATX、容積リットル数、静音性、CPUクーラー全高クリアランス、GPU全長・占有スロット数、電源規格ATXorSFXで評価

Mini ITXやMicro ATXフォームファクタに対応した小型PCケースを覚え書きとしてまとめています。

重視するのは容積(体積)が小さいこと、1辺の長さが短いこと、全ての辺が30cm以内に収まっている外形のケースになっていること、CPUクーラー高が十分確保できること、グラボの対応スロット数です。

1. 体積(容積):容積が小さいのが理想
2. 静音性(密閉性):密閉性が高いいわゆる窒息型ケースが理想
3. 1辺の長さ:理想は全ての辺の長さがそれぞれ30cm未満
4. CPUクーラー高:CPU直上を電源が塞いでいないタイプが理想
5. 対応電源規格:ATXまたはSFXが理想 ACアダプタタイプは微妙
6. 対応ケースファンサイズ:12cmまたは14cmが理想
7. 搭載できる拡張ボード(グラボ)の全長:267mm(10.5インチ)以上が理想
8. 搭載できる拡張ボードのスロット数:3スロット占有に対応してると理想

 

2017年に登場したDan Cases A4 SFXはMini ITXフォームファクタ採用のPCケースの中で小型化を重視した急先鋒のケースでした。

それまではNCase M1がありましたが大きい割にはCPUクーラー高130mmまでだったり、ATX電源付近にデッドスペースがありました。

しかしそのDan Cases A4 SFXであっても時間が経過するにつれ、Dan Cases A4 SFXの欠点が浮き彫りになってきました。Dan Cases A4 SFXはCPUクーラー高が48mmしかないこと、92mmサイズの簡易水冷ラジエータしか搭載できないこと、120mmラジエータを搭載するにはGPU長を170mmにするか電源をHDPLEX製のACアダプタタイプにして妥協しなければならないこと等です。

その後、スウェーデンのLouqe社からGhost S1がリリースされました。これはDan Cases A4 SFXの「横幅が小さすぎる」という欠点を克服したものであり120cmファンをボトムファンとして搭載できるようになっています。そのかわりLouqe Ghost S1にも欠点が新たに発生しました。Dan Cases A4 SFXと差を付けようとケースの高さをGhost S1では低くしたことで、ボトムファンの部分に120mm簡易水冷ラジエータを搭載できないケースとなってしまいました。この点は92mm AIOとはいえDan Cases A4 SFXのほうが優秀です。結局Dan CasesもLouqe Ghost S1も「帯に短し襷に長し」状態になっています。

このようにSFFケースはなかなか完成形を見ることができない状況ですが現時点で存在する小型ケースを以下評価していきます。

容積の小ささも重要ですが1辺の短さも重要です。たとえ容積が小さくても40cmを超える辺が存在するケースは微妙です。「30cm未満の辺は黒」、「30cm以上40cm未満の辺は青」、「40cm以上の辺は赤」として長さを記載しています。

1位: 【4.45L】In Win Chopin (幅84mm×高225mm×奥行220mm)
ITX、ケース内蔵型ADアダプタ、クーラー高43mm、PCIスロット無し

In Win Chopin(ショパン)は小型化を追求するためにSFX電源搭載スペースを削ったものです。

超小型ケースは最終的にはSFXやATX電源搭載スペースがネックになります。電源のせいで小型化が阻害されます。そこでHDPLEX社だとADアダプタを独自に販売しているわけですが、このChopinでははじめから専用電源が内蔵されています。80PLUS認証Bronze取得の150Wです。

排気ファンはありません。CPUファンのみで吸気と排気を兼務することになります。そのため熱はこもりがちです。

CPUクーラー高がたった43mmしかないので、搭載するとしたらNoctua NH-L9i一択です。クーラー高60mmあればBig Shuriken 2が搭載できるのに残念です。NH-L9iではTDP95W級CPUの冷却は難しいため、TDP65WのCPUがおすすめです。

2位: 【6.74L】CCD MI-6 (幅135mm×高246mm×奥行203mm)
ITX、SFX電源、クーラー高68mm、GPU190mm×2スロット

CPUクーラー最大高:68mm(65mm以下推奨)

拡張ボード{最大厚:2スロット占有(40mm,バックプレート込みで43mm)、最大長:190mm、最大高:143mm}

電源ユニット規格:SFX(SFX-Lの場合ボトムファン搭載不可)

ボトムファン:92mmファン。厚さは14mm~16mm以下。25mm厚のファンを取り付けると電源ユニットのケーブルコネクタと干渉する

ストレージ:2.5インチ7mm厚×2(オプションでさらに追加可)

フロントUSBポート:USB 3対応TypeAポート×2

このケースはCPUクーラー高が低いのと排気。ボトムファンを排気にするのは無理がありこれは吸気用として使う。しかし吸気のみだとケース内に熱がこもり冷却性は微妙です。厚さ15mmでもいいので排気ファン搭載スペースをトップに用意していたらまだ良いケースでした。

3位: 【7.07L】Lazer3D LZ7 (幅226mm×高158mm×奥行198mm)

 

アクリルパネルのケースです。単なるアクリルパネルなので薄いダンボール箱で届きます。それを各自で組み立てます。素材は可燃ごみとして出せる上に30cm以内に収まっているので粗大ごみにならないので処分時に楽です。

厚さ15mmの14cmファンをサイドに搭載可能です。公式ではこのサイドファンは吸気として扱ってますが、反対側にグラボがあることを考慮すると排気ファンとして設置し、グラボ側がから吸気するエアフローのほうが冷えます。

CPUクーラー高は最大でも70mmまで。クーラー高は公式では66mmとされていますが、実際は70mmのNH-L12Sが搭載できます。しかもLazer3D公式がこの70mmCPUクーラーを搭載したビルド例をRetweetしてるくらいなので、積極的に推奨してるわけではありませんが一応70mmクーラー対応を暗に示しています。

また特殊な事例になると、SFX電源ではなくHDPLEXのACアダプタ電源ユニットを使うと、CPUクーラーの上部スペースが空くので、全高130mm程度のCPUクーラー高を確保できます。公式ではクーラー高125mmのNoctua NH-U9Sを推奨しています。

このケースはオリオスペック等で購入可能ですが、公式サイトからカスタマイズして買うことをおすすめします。このケースの醍醐味の一つがこのカスタマイズ性なので、日本国内の店頭で売られている「ブラック単色」や「ホワイト単色」ではこのケースを選ぶ優位性のほとんどを失ってしまいます。

このようにファンのベントの種類まで選択できます。選択するものによって価格は上下します。この画像では160スターリングポンドになっているので日本円だと2万円を超えます。

このケースの弱点はITXサイズのグラボしか搭載できないことです。175mm程度のグラボまでです。あとサイドファンの厚さが15mmまでなのが残念なところ。14cmかつ15mm厚のファンはNoctuaから販売されていないので、Noctua NF-A12x15PWMを使うことをおすすめします。

4位: 【7.25L】 Dan Cases A4 SFX v4(112mm×200mm×317mm)

発売された当初は「超小型」を極めた斬新で高く評価できていたケースですが、他の競合ケースとの比較検討をすると少しずつ優位性が薄れてきたケースです。

ゲーム用ではCPU性能が重要にもかかわらずCPUクーラー最大高がたったの48mm

このPCケースはCPUとGPUの性能が非常にアンバランスです。CPU性能を高くできないのにグラボは高性能にできるという意味でアンバランスです。原因はCPUクーラー高が48mmまでであり冷却能力に限界があるからです。一方でグラボは長さ300mmまで可能なので、グラボの冷却能力が高くCPUの冷却能力が低いといった構成になってしまいます。

92mm簡易水冷のみの対応で120mm簡易水冷を使えないのが最大のデメリット 120mm簡易水冷を使うためにはグラボ全長170mmにする必要がある

このケースではAsetekの92mm簡易水冷を使うしかありません。120mmサイズのファンをボトムに搭載できないからです。Asetek以外のメーカから92mm AIOが発売されていないので消去法でAsetek製を選ぶしかないわけですが、どのみちCorsairにしてもEVGAにしても簡易水冷はAsetekがOEM生産しているのでモノとしては同じです。

このケースは一応120mm AIOに対応しています。しかしその場合は他のPCパーツを「妥協」しなければなりません。

例えば120mmサイズの簡易水冷を搭載するにはグラボ長を170mm以下にしなければなりません。

もしくはグラボを270mmに対応させつつHDPLEX社のACアダプタ用電源モジュールを購入して搭載する必要があります。しかし24時間365日パソコンをつけっぱなしにする傾向のある人はACアダプタを使ってはいけません。ACアダプタはそのような用途を想定していないからです。

もしボトムに設置できる92mm水冷を120mm水冷にできるのなら、CPUの冷却能力とGPUの冷却能力はほぼ対等になるのでバランスのとれたケースとなっていました。その点を解決しようとトップ方向に拡張可能にして240mm AIO水冷に対応したのがLouqe Ghost S1なので、今はDan CasesよりLouqeに軍配が上がります。

5位: 【9.35L】Sidearm T1(210mm×135mm×330mm)

小型PCケースの弱点となりやすいのはCPU性能とGPU性能の不均衡です。例えばDanCases A4-SFXはGPU性能の高さに偏りすぎていることで有名です。DanCases A4-SFXのCPUの最大クーラー高は48mmしかなく、一方でGPUは330mmの全長に対応しています。DanCases A4-SFXは簡易水冷に対応していますがラジエータサイズが92mmであり貧弱なものです。

その点、このSidearm T1はCPUの冷却能力とGPUの冷却能力の不均衡が生じづらくなっており、ユーザ自身で冷却性能の配分ができるようになっています。それはデュアルチャンバー構造でマザーボード側とGPU側を仕切るパネルを移動できるからです。

最大のアピールポイントは「CPUクーラー高」と「GPUの占有スロット数」をトレードオフで自由に選択可能なこと

Louqe Ghost S1やRaijintek OPHIONはデュアルチャンバー構造にしながらも比較的CPUクーラー高を高く確保したケースです。

しかし、簡易水冷を使うユーザからすると大きすぎるCPUクーラー高は不要です。それならCPUクーラー高に割り当てているサイズ分をGPU側の占有スロット数増加に割り当てたほうが得になります。

逆に、故障率の高い簡易水冷を使わず故障率の低い空冷を好むユーザからするとCPUクーラー高は大きく確保したいものです。

そういったニーズに応えたのがこのSidearm T1であり、このケースはCPUクーラー高を犠牲にする代わりにGPUの占有スロット数を3まで増やすことができます。逆に、CPUクーラー高を70mm(Noctua NH-L12Sに公式対応)まで大きくする代わりに、GPUの占有スロット数を2まで減らすことができます。

全長324mmGPUに対応していない点は残念

ただしこのケースにも弱点があります。それはGPUの最大全長が315mmまでだということです。MSI Lightning ZシリーズやZotac AMP Extremeシリーズは全長324mmで3スロット占有です。この2つの「空冷タイプでは最も高性能なGPU」が搭載できないようではわざわざ3スロット占有を確保するメリットは大きくありません。

次点としてCPU冷却は120mm簡易水冷にして、GPUはASUSのROG STRIXシリーズ(全長304.7mm、厚さ54.1mm)を搭載するのも一つの手です。

簡易水冷を使ったさらに他の選択肢としては、CPUは70mm空冷(Noctua NH-L12S)にして、GPUは120mm簡易水冷一体型のGPU(例えばMSIのSeaHawkシリーズ)を使うパターンも可能です。

そうなるとこのケースの空冷版としての使い道はCPUクーラーを70mm高のNH-L12Sに、GPUは2スロット占有の315mm以下のEVGA製にして、「Raijintek OPHIONよりも小型なのにNH-L12Sを搭載可能」といった立ち位置になりそうです。

240mmラジエータは公称スペックから除外され120mmラジエータまでの対応

このT1がプロトタイプとして制作されていた段階では240mmラジエータ対応になる予定でした。しかし完成品からは240mmラジエータはサポート外となりました。

このように240mmラジエータを搭載し、片方の12cmファンは25mm厚に対応し、もう片方の12cmファンは15mm厚にすることで240mmラジエータに対応するのが当初の予定でした。

しかし最終型のリリースモデルでは120mmラジエータのみの対応となりました。

たった120mmラジエータという気もしますが、DanCases A4-SFXが底面に搭載できるラジエータは92mmまで、Louqe Ghost S1は底面にラジエータを設置できずファンのみ、といった点を考慮すればSidearm T1の新規性はあります。

6位: 【10L】Lazer3D LZ7 XTD (幅226mm×高158mm×奥行198mm)

このLZ7 XTDは全長170mm程度のMini ITXサイズGPUにしか対応してないLZ7の奥行を拡張したPCケースです。

LZ7 XTDでは全長268mm(10.5インチ)×2スロット占有までのGPUに対応しています。

素材はLZ7と同じく側面天板底板すべてアクリル製でファンベントのみ金属製です。

各PCパーツの配置手法はRaijintek Metis Plusと同じ

Mini ITXサイズのGPUしか搭載できないLZ7ではCPUクーラーの上にSFX規格電源ユニットを設置するタイプでした。

一方でこのLZ7 XTDはGPUの長さを268mmまで対応させるためにPCケースの奥行を長くしたことにより、マザーボードとGPUに囲まれる部分にスペースができました。そのためLZ7 XTDではそのスペースにSFX規格電源ユニットを配置するようになっています。CPUクーラー上のSFX電源が別の場所に移動したことで、CPUクーラー最大高がLZ7の70mmまでの制約から、135mmまでの制約まで拡張されています。

位置づけはRaijintek Metis Plusをさらに小型にしたもの

PCパーツの配置がRaijintek Metisと同じなので全体的なサイズ感もほぼ同じです。

異なるのはRaijintek MetisがATX規格電源ユニットに公式対応し、GPUはMini ITXサイズまである部分です。Raijintek MetisであってもSFXマウンタを設置しSFX電源を用いれば268mmのGPUが搭載できます。しかしこれはイレギュラーな方法です。

LZ7 XTDではSFX規格電源+268mmGPUの設置が公式対応されています。

Raijintek Metisのほうが優れている部分も多くあり、例えばRaijintek MetisではCPUクーラー最大高160mmに対応しています。LZ7 XTDはたった135mmです。さらにRaijintek MetisではGPUの厚さ2.7スロットくらいは入るくらいの余裕があります。しかしLZ7 XTDは綺麗に2スロット占有までです。さらに、CPUの熱を逃がすための背面ファンについてLZ7 XTDはファン直径92mmまで。Raijintek Metisは120mmまで対応しています。

LZ7+αの位置付けにこだわるあまり真新しさがないLZ7 XTD

LZ7 XTDは既にLZ7を購入したユーザを意識して、差分の一部パーツ(パネル)のみ購入すればXTDに拡張できることにこだわって設計されています。つまりケースの横幅と高さはLZ7とLZ7 XTDで共通化されており奥行きのみが異なります。

このケースサイズの互換性にこだわるあまり、サイドファンの対応サイズが15mm厚までである点、GPU最大厚が2スロット占有までである点、CPUクーラー背面にあるケースファンの直径が最大92mmまでになっている点、最大クーラー高が135mmしかない点といったデメリットをそのまま引き継いでしまいました。

これはクーラー高を大きくしたりGPUのスロット最大占有数を増やしたりしてしまうとRaijintek Metisとさほどかわらないサイズ感になってしまい、既製品との差分が生み出せないことを嫌ったようです。