Intel製のベアボーンNUC6i7KYKが米Amazon.comで予約開始 発売は5月

現在新規にPCを買おうと思っていまして、発売後に一ヶ月ほど経過を観察したら購入しようと思っているのがIntelのベアボーン:NUC6i7KYKです。

現時点ではAmazon.comで発売日は5月6日とされています。とはいっても私がウォッチしているかぎり、少し前までは4月30日リリースとなっていて、次に5月4日になり、といったようにどんどん伸びているので正式にいつが発売日なのかはわかりません。

ベアボーンの位置づけは24時間稼働できる小型PC

ベアボーンの本来の意味は、ベアボーン自体はPCの骨格だけを提供するので、メモリやSSDなどは各自で選んで調達してきて自分で付けてくださいというものです。ですがそういった形式的なものより、実態としてベアボーンはどういうときに使うのか、使えるのかという部分で捉えなくては選定基準になりえません。

まずノートPCの欠点は壊れやすいということ。あの薄さに人間が力を入れて叩くキーボードまで入れているわけですから、当然無理なハードウェア構成になっています。ノートPCは24時間連続稼働させることを前提に作られていないため、自分で作った常に動かしておきたいソフトウェアを常時稼働させるPCとしては向いていません。さらに液晶までもが一体化しているために、他の部分は大丈夫なのに液晶だけこわれたから全体を買い替えなくてはならないといったことも生じします。ベアボーンは液晶も各自で用意するのでそういった問題はおきません。

ではスリム型のPCと何が違うのかと言えば、スリム型のPCなどではデスクトップ向けCPUが使われています。つまりある程度発熱量が大きく消費電力が大きいものがスリム型では使われています。ゆえに電源もACアダプタではなくごつい電源回路をPC内部に備えて交流を直流にしなければなりません。

一方でベアボーンで採用されるCPUはモバイル型が多いです。さらに電源はたいていACアダプタです。消費電力はスリム型より小さくなります。ですがノートパソコンよりは消費電力が大きくなります。

このようなことから、私はベアボーンというのは常時稼働できてスリム型PCよりスペックが低く、物理的な大きさが小さく、消費電力が小さいものと捉えています。

実際にマウスコンピューターから販売されているスリム型PCであるLUV Machineの一番上の構成、core i7 6700K, 32GB, M.2 Samsung 950 SSD 512GBのうち、CPU性能だけは今回紹介する新型のIntelベアボーンの最高機種でも勝てません。ベアボーンではcore i7 6700HQだからです。ですが今回のベアボーンでも32GBメモリ、M.2 PCIe接続でSamsung 950 SSDを最大限高速化して使えますし、グラフィックにいたってはマウスコンピューターのスリム型 LUV MachineのIntel HD Graphics 530よりかなり高性能です。マウスコンピューターのスリム型では電源はPCケースの中に入っていますが(最大350W)、今回のIntelベアボーンではACアダプタで接続します(最大120W)。

よってIntelのベアボーンであるNUCシリーズを選択するのは、ノートパソコンよりは壊れにくい24時間動かしても大丈夫な耐久性のあるものがほしい、据え置きのデスクトップ型スリム型PCより物理的に小さいものがほしい、引っ越しなどのときに鞄に放り込めるほど簡単に持ち運べるものにしたい、デスクトップ型より消費電力を小さく抑えたい、といったときでしょう。

以下で説明する通り、Intel NUC6i7KYKはベアボーンにしてはとてつもなく全部入りのハイスペックPCとなっており、下手なデスクトップ型PCよりCPU性能もグラフィクス性能も上回るものになっています。

NUC6i7は第6世代Skylakeのcore i7版

これはIntelベアボーンのネーミングルールなのですが、ベアボーンはNUCから始まり6i7とあったら第6世代のcore i7版という意味です。

現在第6世代のNUCはcore i3,i5のものが既に発売されていますが、これらは評判が良くありません。

理由は米Amazon.comのレビューを読んでいただけるとわかると思いますが、メモリの相性により起動しない、画面が映らなくなったというものです。

「このマシン(NUC6i5)を買うくらいなら(第5世代の)NUC5i5の方がマシ」といった意見がほとんどです。「第6世代のNUCは未完成でありまったく使いものにならない」といった手厳しい意見も見られます。

実際に、第6世代のNUC6i5を買うかわりに5i5や5i7を買っている人がけっこういるようです。

台湾Gigabyteのベアボーンは米国と価格が変わらないが、Intel製は米市場の方が為替レートを勘案しても安い

まずベアボーンは米Intelと台湾Gigabyteが日本市場においては主流だと言えます。

価格コムやAmazon.co.jpで検索すると、検索結果のベアボーンはIntelとGigabyteだらけです。

台湾Gigabyteのベアボーンは日本での流通価格と米国での流通価格がさほどかわりません。米Amazon.comで個人輸入しようとしても、為替の手数料と送料で損になり日本で買ったほうがお得です。

一方でIntelのNUCは完全に米国の方が安いです。上述のように問題となっている6i5は米Amazon.comでクレジットカードの為替手数料や送料を考慮しても安く買えます。

しかもIntelベアボーンのリリースは米国の方が必ず早いので、米Amazon.comで発売されたら個人輸入してしまうのも手でしょう。

ようやく2016年5月に発売されるNUC6i7

第6世代のcore i5版NUCが発売されたのは2015年12月頃です。i7は未発売のまま時間が過ぎていましたが、ようやく3月中旬に米国で5月にcore i7版が発売されることが告知されました。

ただし、見た目はこれまでのベアボーンとは大きく異なっています。大きさも今までの薄いタイプでは11cmx11cmの底面と3cmの高さの直方体でしたが、6i7では21cmx11cmと面積が二倍になっています。厚さは3cmないようですが、今までよりは大きいという印象は残ります。

ゲーミングモデルをうたっているがワークステーション目的でも使用可

今までのcore i7モデルと最も異なるのは見た目です。今まではすべての世代でもだいたい外観は似ていました。実際はコネクタのサイズが違ったり、SDカードスロットがなかったりなど細かい違いはあったのですが、概ね同じ見た目でした。

しかし今回の第6世代core i7ベアボーンは見た目が完全に変わっています。完全に大変革を遂げています。

Intelの公式サイトでは3つの応用例が例示されています。1つ目はゲームです。ですが私はゲーム実況をYoutubeで見ることはあってもゲーム自体はやらないので、Youtubeが再生できればその点はOKです。

私が想定しているのは3つ目のワークステーションとしての使い方です。数値計算のためにXeonのマルチプロセッサ構成にして2つのプロセッサに分散し、さらに各プロセッサごとに各コアで分散させるということをやっているのですが、Xeonマシンは物理的に大きくメンテナンスが面倒です。最悪、このベアボーンが壊れたらSSDとメモリを引っこ抜いてベアボーン自体を買い直すといった極めてシンプルな移行ができます。使わなくなった大型パソコンの処分も面倒です。メーカーものであっても取りに来てもらうか、メーカーまで送らないといけないです。自作なら自分で中古に出すのも本当に面倒です。このベアボーンなら鞄に放り込めますし、簡単に店まで持っていけるでしょう。

CPUは i7 6700HQ

CPUはモバイル向けのCore i7 6700HQです。これはデスクトップ向けのi7 6700や、6700Kよりも低スペックになります。その分消費電力は低く抑えられておりTDP45Wです。デスクトップ型の6700Kのほうが6700HQよりどのくらい速いかということですが、userbench.comによると24%ほど速いようです。

これは本ベアボーンの6700HQで10分かかる処理が、デスクトップ版の6700Kでは8分で終わる速さだということです。またデスクトップ版の消費電力はTDP65Wなので消費電力が大きいぶんだけ速いといえるでしょう。この点においては本ベアボーンはデスクトップに負けています。

ですが4コア8スレッドというのは共通です。

私はC#のParallel並列処理を行っていますが、並列性を活かすという点ではデスクトップ版との間に差はありません。差は1コアあたりの処理能力です。動作周波数も6700Kの方が高いので、その分処理速度が速いということです。

とても目立つ天板のスカルカバーは無地のものに交換できる 製品にスペアが同封されています

物議を醸しているのは天板のスカルのエンブレムでしょう。これはあまりにも目立ち過ぎますし、別にこんなのいらないというのが私の正直な感想です。

ですがこれは交換できると英語で記載されています。代わりの天板が同封されているとも書いてあります。米Amazon.comにいくと外観の画像を見ることができますが、その中にスカルが描かれていない画像が含まれています。

 

トリプルディスプレイ表示が可能 HDMI1つとDisplayPortx2で対応

今までのIntelベアボーンはデュアルディスプレイまででした。HDMI+DisplayPortでデュアルディスプレイ構成です。第5世代はもちろん、第6世代のcore i5,i3のNUCもそうでした。

ですが第6世代のcore i7はトリプルディスプレイ対応になりました。HDMI+2つのDisplayPortです。Intel公式サイトでの使用例の画像をみても、3枚のディスプレイを使って作業している姿が描かれています。

2.5インチSSDは搭載できません M.2接続のSSDが必要です

このベアボーンは2.5インチSSDが入りません。そこは注意しておくべきです。M.2接続のSSDを買うことになるので、問題はSATA 6gbpsの速度にするか、更に高速なPCIeの速度を享受できるSSDを買うかどうかです。

私はSamsung 950 Pro 512GBを差してそこにWindows10を入れる予定です。

デスクトップ型6700Kのオンボードグラフィクスより2倍以上の性能を持つIris Pro Graphics 580を採用 メタルギアソリッドV TPP程度のゲームなら余裕か

使用されているCPUはcore i7 6700HQであり、モバイル向けcore i7の中では最もハイスペックな部類だと言えます。さらにグラフィックはデスクトップタイプのcore i7 6700Kで用いられるIntel HD Graphics 530より高性能です。デスクトップのcore i7 6700KのIntel HD Graphics 530は441Gという性能です。flopsというのは1秒間あたりに浮動小数点演算を何回行えるかというプロセッサの速度を計るための尺度であり、スパ コンを含めて世のコンピュータはこのflops値の大きさで競い合っています。

一方で今回のIntelベアボーンはcore i7 6700HQなのでIris Pro Graphics 580というオンボードグラフィクスを搭載しており、1094G Flopsという処理性能を持っています。これはデスクトップ型の6700Kの二倍以上のグラフィクス性能です。

基準としてメタルギアソリッドVの必要スペックで図ってみます。ちなみに私はこのゲームを持っていてもやったこともなくYoutubeで実況を見ていたくらいです。

core i7 6700K +  Intel HD Graphics 530(オンボードグラフィクス)でどのくらいまでこのゲームができるか計測している方がいるので検索してみてください。

結果からいうと厳しめでありゲームをするのにはストレスがたまる程度のようです。

先ほど記載したように、6700Kのオンボードグラフィクスの性能は441GFlopsです。

メタルギアソリッドVのコナミ公式サイトに推奨スペックがGeForceGTX760(2257.9G FLOPS),最低必要スペックがGeForceGTX650(812.54G FLOPS)となっています。ちなみにコナミの公式サイトにはFLOPSの表記はなく、製品名だけの表記なので、FLOPS値は私がWikipediaから持ってきました。

このことから、6700Kのオンボードグラフィクスの441G Flopsでは全く足りないということがわかります。最低スペックすら満たしていません。

一方で今回のベアボーンで搭載されているIris Pro Graphics 580は1094GFlopsです。これは最低必要スペックは満たしています。GeforceGTX750の性能が1044.5GFlopsであることから、本ベアボーンのIris Pro Graphics 580の性能はGeforceGTX750相当だと言えます。

よってメタルギアソリッドVの最低スペックはクリアしているが、推奨スペックにはグラフィクス性能が2倍ほど足りていないということなので、ゲーム目的で買う予定の人はよく調査しましょう。

第6世代の代わりに第5世代のNUCを買ってみようかなと思っている方はディスプレイ出力とSDカードスロット、メモリタイプに注意

まず第5世代はDDR3Lになります。DDR4は動かないので注意。

さらに第5世代はSDカードスロットがありません。自分でUSB接続のSDカードアダプタを用意するしかありません。

またディスプレイ出力のうちHDMIはminiなので、フルサイズのHDMIに繋ぐ場合は変換コネクタが必須です。

なぜ本体の面積が約二倍になったのか

今までのIntel NUCの本体サイズは底面が11cmx11cmほどの面積でした。2.5インチSSDが乗らない薄いタイプは厚さが3cmです。一方でゲーミングモデルとされる第6世代のCore i7のNUCは21cmx11cmx3cmのように、底面積が約二倍になりました。

およその大きさを知りたい方は21cmx11cmの長方形を紙に書いてみましょう。ちょうどティッシュ箱の面積くらいです。当然高さはティッシュ箱ほどではなくもっと薄いです。

おそらくこの製品は11cmx11cmの区画2つ分に分けられています。片方はユーザーがフタをあけて、SSDやメモリを装着するための領域です。そしてもう片方の領域は開かない領域。ここはCPUとクーラーが設置されている開かずの専用領域だと言えます。

なぜそのように分けたかというすべての理由は開発者に訊かないとわかりませんが、必ず含まれているだろう理由の一つは冷却のためでしょう。

競合製品のサーベイ

私はNUC6i7が発売されればそれがベストだと思っています。ですがまだ未発売な上に情報が蓄積されてないので他の選択肢をまとめます。

Intel NUCなら第5世代を選択する NUC5i7、NUC5i5

残念ながら第6世代のNUC6i5は十分なテストを行わずに見切り発車で販売されてしまった感が否めません。

よって米Amazon.comでも安定した評価がされている第5世代NUC5i7やNUC5i5を選ぶという選択肢は有力です。あえて第6世代を選ばないわけです。実際に米Amazon.comでNUC6i5の購入者の中では、NUC5i7が現状のベストだとレビューしている人もいます。

唯一残された第6世代で期待できるNUC6i7は発売が5月なので、6i5などの不具合報告を十分に斟酌してテストを行っていると思われますが、発売後の報告を待たないかぎりはなんとも言えません。

ただし、第5世代のNUCにはいくつか第6世代より劣っている部分もあります。

まずはメモリがDDR3であるということ。さらに搭載されているHDMI端子がMiniであるということ。さらにSDカードスロットがついていないということ。あとはCPUが第5世代のBroadwellであるということです。

NUC5i7で使われているのはCore i7 5557Uです。日本国内でもGigabyteのGB-BXI7-5500というのもが販売されていますが、こちらはCore i7 5500UなのでIntelのほうが高スペックです。

より安いものを選ぶならGigabyteのBrixシリーズ ただしSSD接続はPCIeをサポートせずSATA 6Gbpsのみ

最近kakaku.comで人気のでている第5世代のCore i7を積んだものを選ぶという選択肢もあります。特に価格が4万円を切っているものもあり、これにメモリとSSDを足しても6万円くらいでPCが完成することになります。

注意点ですが、GigabyteのこのモデルはM.2 PCIeタイプのSSDが乗りません。速さで定評のあるSamsung 950 V-NAND使用タイプのSSDは使えませんし、KingstonのHyperX Predatorも使えません。使うのならSandiskやSamsung 850シリーズなどのSATA 6Gbps接続のものになります。これらは512GBタイプであっても1万円台で買えます。

さらにメモリはDDR3で16GBまでしか入らないので、8GBの2枚入りを買うことになります。これは4~6千円で手にはいります。

つまり全部合計しても6万円くらいで第5世代core i7のPCが完成してしまうのです。

そこまで速いSSDが使えなくても良い、数値計算のようにメモリアクセスがボドルネックになる作業はやらないといった人はこのGigabyteのものでも良いでしょう。