【2024年】おすすめグラボのベンチマーク性能比較と選び方 NVIDIA GeForce RTX 4090、AMD Radeon RXまで横断的にゲーム用グラボをランキング評価

グラフィックボードについては大半の人がゲーム用に関心があると思うのでゲーム用途を前提としたグラボ評価も行っていきますが、「ゲームをやらないけど事務処理のグラフィックを軽くしたい」というニーズが大きいため、「ゲームをやるには力不足だけどブラウザ/動画再生/Excel/Word用途なら十分」なグラボも掲載してランキング化しています。

一方でグラフィックボードというのはメインのホストプロセッサ(Intel Core i9, Xeon等)の性能のみでは足りないときに、グラボを「コプロセッサ」として使う深層学習や金融分析などの科学技術計算分野でも重要視されています。ゲーム用途に比べたら遥かに少数派でしょうが、一応そのような科学技術計算の観点からの評価はこちらに分けて掲載しています。

当ページの中盤では各種ベンチマークでの評価結果をグラフ(ヒストグラム)で載せて比較しています。

同時に、それらのベンチマーク結果を統合した「総合平均ベンチマーク」を算出し、一部のベンチマーク結果に左右されない一元化したベンチマーク結果を掲載しています。数多くのベンチマーク結果を列挙されても「結局どれを見て選べばいいのか」となるだけなので、一つのデータにベンチマーク結果の情報を集約することが重要なためです。

インデックス:

1位: NVIDIA GeForce RTX 4090

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 4090
CUDA Core数16,384
ブーストクロック2,520 MHz
メモリ容量24GB
共有キャッシュ72MB
単精度性能82.57536 TFLOPS
倍精度性能1.291 TFLOPS
Tensor Core性能660.60288 TFLOPS
TDP450W
発売日2022年10月
Ray Tracing性能191 TFLOPS
ベースクロック2,230 MHz
ピクセル・レート443.5 GPixel毎秒
テクスチャ・レート1290.2 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック21.0 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅1008.3 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAda Lovelace (GeForce 4000 series)
コードネームAD102-300
ファウンドリTSMC
プロセスルール4nm (4N)
トランジスタ密度125.3 MTr/mm²
トランジスタ数763億
ダイサイズ608.5mm²
SM数128
無効化SM数16
TMU数512
ROPユニット数176
Tensor Core数512
RayTracing Core数128
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)10,009
3DMark Port Royal(DX12)26,072
3DMark Night Raid(DX12)193,018
3DMark Time Spy(DX12)36,225
3DMark Wild Life(DX12)163,951
3DMark Fire Strike(DX11)73,839
PassMark GPU39,084
Userbenchmark GPU(実効)370
Userbenchmark DX10461

GeForce RTX 4090は2022年10月に発売されたGPUで、Ada Lovelaceアーキテクチャを採用した世代の最初の製品です。カタログスペックも規格外ですが実際の性能も規格外です。

前世代で最高峰だったGeForce RTX 3090Tiと比較しトランジスタ数が約2倍になってる一方でチップ面積は縮小。TSMC 4nmプロセスのメリットを最大限に活用しています。

各種ベンチマークの結果もずば抜けていて、ベンチマークによっては2倍弱(+100%弱)に近い性能向上になっています。

ここまで来るともはやAMD Radeon RXには勝ち目がないレベルです。残るRadeon RXの勝ち筋は、L3共有キャッシュを更に増加させること、そして単精度コア数の増加ではなくクロックの上昇に力を入れて「Full HD(1080p)でのゲーム性能ならNVIDIAに負けない」または「価格あたりのフレームレート性能ならNVIDIAに負けない」といった立ち位置を狙うことぐらいでしょう。

GeForce RTX 4090の欠点は価格の高さと、消費電力の高さによる外形サイズの大型化です。

またこれだけのスペックになるとゲーム向けというより機械学習(≒深層学習:deep learning)向けの色が強くなりました。一例として今回のTensor Coreから8bit精度浮動小数点数演算に対応しました。機械学習向けの行列演算では仮数部+指数部合計で32bit精度(単精度)レベルの仮数部精度は必要なく16bit精度(半精度)で十分であることが指摘されてきましたが、何なら8bit精度でも十分な推論結果が得られるということでAda Lovelace世代から8bit精度浮動小数点数演算に対応したTensor Coreとなりました。コア数の増大はそういった機械学習(AI)ニーズに応えたものであり、4K解像度でゲームをする必要性が低いユーザにとっては価格に見合ったリターンが乏しいと考えられます。

NVIDIA GeForce RTX 4090チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

GeForce RTX 4090の各種ベンチマーク性能評価結果

GeForce RTX 4090単独のベンチマーク結果を掲載しておきます。他のGPUと一覧して比較したい場合は当ページの後半に各種ベンチマーク結果を掲載してあります。

GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 4090のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 10,009
3DMark Port Royal(Graphics) 26,072
3DMark Night Raid(Graphics) 193,018
3DMark Time Spy(Graphics) 36,225
3DMark Wild Life(Graphics) 163,951
3DMark Fire Strike(Graphics) 73,839
PassMark GPU(Videocard) 39,084
Userbenchmark(Effective) 370
Userbenchmark(DX10) 461
Userbenchmark(DX9) 625
GPUベンチマーク総合平均スコア 96,870

ほぼ全ての項目(ベンチマーク)において満点に近い性能です。Radeon RX 6950XTに負けているのは3DMark Night Raidぐらいです。

2位: NVIDIA GeForce RTX 3090 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3090 Ti
CUDA Core数10,752
ブーストクロック1,860 MHz
メモリ容量24GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能39.99744 TFLOPS
倍精度性能0.625 TFLOPS
Tensor Core性能319.97952 TFLOPS
TDP450W
発売日2022年3月
Ray Tracing性能79.9 TFLOPS
ベースクロック1,560 MHz
ピクセル・レート208.3 GPixel毎秒
テクスチャ・レート625 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック21.0 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅1008.3 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA102-350-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度45.0 MTr/mm²
トランジスタ数283億
ダイサイズ628.4mm²
SM数84
無効化SM数0
TMU数336
ROPユニット数112
Tensor Core数336
RayTracing Core数84
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)5,884
3DMark Port Royal(DX12)14,840
3DMark Night Raid(DX12)154,158
3DMark Time Spy(DX12)21,693
3DMark Wild Life(DX12)117,117
3DMark Fire Strike(DX11)52,350
PassMark GPU29,641
Userbenchmark GPU(実効)232
Userbenchmark DX10297

GeForce RTX 3090TiはAmpere世代の後期モデルであり2022年4月に発売されました。2020年にAmpere世代が発売されてから2年が経過するタイミングでの発売です。RTX 4090が発売される前の滑り込みモデルなのであまりおすすめしません。これを買うくらいならGeForce RTX 4000シリーズを待つのが得策です。実際に同じTDP値のGeForce RTX 4090に対しRTX3090Tiは惨敗しています。

このGeForce RTX 3090TiはGeForce GTX 980Tiが出た頃と同じ位置づけだと捉えるのが適切です。GeForce GTX 980のマイナー改良版として発売されたGTX 980Tiですが、無理にCUDA Coreを増やしたため非常に高消費電力でした。しかもこれはまもなく発売されたGTX 1080にあっけなく負けてしまいます。GeForce RTX 3090Tiも同じ轍を踏むでしょう。

GeForce RTX 3090Tiの単位時間あたり発熱量はTDP450Wとなっており非常に高消費電力です。また、CUDA Core数をGeForce RTX 3090よりも増やすためにStreamingMultiprocessor84基を全て有効化しているため歩留りが悪く価格が無駄に高くなっています。

このようにStreamingMultiprocessorのいくつかを無効化しないで全てを有効化した「全力投球」は次期モデルが発売される直前に実施される風物詩です。

GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3090 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 5,884
3DMark Port Royal(Graphics) 14,840
3DMark Night Raid(Graphics) 154,158
3DMark Time Spy(Graphics) 21,693
3DMark Wild Life(Graphics) 117,117
3DMark Fire Strike(Graphics) 52,350
PassMark GPU(Videocard) 29,641
Userbenchmark(Effective) 232
Userbenchmark(DX10) 297
Userbenchmark(DX9) 338
GPUベンチマーク総合平均スコア 63,452

3位: AMD Radeon RX 6950 XT

Radeon RX 6950XTはGeForce RTX 3090Tiに対抗するために投入されたGPUです。Radeon RX 6900XTではGeForce RTX 3090Tiに太刀打ちできなかったため、GeForce RTX 3090Tiを超えるためにRadeon RX 6950 XTが設定されましたが結果的にはGeForce RTX 3090Tiに負けています。

Radeon RX 6950XTの各種ベンチマーク性能評価結果

Radeon RX 6950 XTのベンチマーク実行結果は以下の通りです。

GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 6950 XTのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 4,075
3DMark Port Royal(Graphics) 10,818
3DMark Night Raid(Graphics) 168,384
3DMark Time Spy(Graphics) 21,850
3DMark Wild Life(Graphics) 107,557
3DMark Fire Strike(Graphics) 60,183
PassMark GPU(Videocard) 28,472
Userbenchmark(Effective) 186
Userbenchmark(DX10) 300
Userbenchmark(DX9) 323
GPUベンチマーク総合平均スコア 59,801

3DMark Night Raidのみ非常に高いスコアでありこれだけはGeForce RTX 4090を超えています。その理由はRadeon RX 6950 XTのL3共有キャッシュサイズが128MBもあり、GeForce RTX 4090のL2共有キャッシュサイズの72MBを大幅に超えているためです。3DMark Night Raidはデータセットが小さく動作するスレッド数も少ないためデータアクセスの空間的局所性が高くキャッシュの恩恵を強く受けることができます。

しかしそれ以外のベンチマークの結果は標準的です。DirectX10やFireStrike(DirectX11)のような古いベンチマークでは良い結果が出ますが、DirectX12のTimeSpyやPortRoyalのように新しいベンチマークになればなるほどスコアが悪化しています。これらのベンチマーク値をまとめた総合平均スコアではGeForce RTX 3090Tiに負ける水準です。

4位: NVIDIA GeForce RTX 3090

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3090
CUDA Core数10,496
ブーストクロック1,695 MHz
メモリ容量24GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能35.686 TFLOPS
倍精度性能0.558 TFLOPS
Tensor Core性能285.491 TFLOPS
TDP350W
発売日2020年9月
Ray Tracing性能71.1 TFLOPS
ベースクロック1,395 MHz
ピクセル・レート189.8 GPixel毎秒
テクスチャ・レート555.96 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック19.5 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅935.8 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA102-300-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度45.0 MTr/mm²
トランジスタ数283億
ダイサイズ628.4mm²
SM数82
無効化SM数2
TMU数328
ROPユニット数112
Tensor Core数328
RayTracing Core数82
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)5,362
3DMark Port Royal(DX12)13,640
3DMark Night Raid(DX12)135,618
3DMark Time Spy(DX12)19,909
3DMark Wild Life(DX12)112,804
3DMark Fire Strike(DX11)47,343
PassMark GPU26,669
Userbenchmark GPU(実効)210
Userbenchmark DX10262
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3090のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 5,362
3DMark Port Royal(Graphics) 13,640
3DMark Night Raid(Graphics) 135,618
3DMark Time Spy(Graphics) 19,909
3DMark Wild Life(Graphics) 112,804
3DMark Fire Strike(Graphics) 47,343
PassMark GPU(Videocard) 26,669
Userbenchmark(Effective) 210
Userbenchmark(DX10) 262
Userbenchmark(DX9) 309
GPUベンチマーク総合平均スコア 57,673

GeForce RTX 3090はNVIDIAのゲーム用GPUとしてCUDA Coreが初の1万台に乗りました。ゲーム用途で重要な単精度浮動小数点演算性能は35TFLOPSです(32bit小数の乗算or加算を1秒間に35兆回実行できる速度)。

近年GeForceでは冷遇されていた倍精度性能が1TFLOPSまで復活したのもポイントです。

このGeForce RTX 3090をゲーム用途で使いこなせるかはディスプレイ表示の解像度によります。

ディスプレイ表示の解像度をWQHD(2560×1440)や4K(3940×2160)にせずにフルHDでゲームをやるのなら、GeForce RTX 3090はコストの割にさほどメリットのないGPUです(深層学習用アクセラレータとしては大いにメリットあり)。

RTX3080やRTX3070ではブーストクロックが余裕で1,900MHz台に乗るグラボが出てきていますが、RTX3090は単精度演算器数(CUDA Core数)が多いためギリギリ1,900MHzに乗るかどうかという水準です。

NVIDIA GeForce RTX 3090チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

GeForce RTX 3090搭載おすすめグラボ

高い冷却性能を有していながらも厚さが3スロット占有未満に収まっているのが魅力的なグラボです。

5位: NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti
CUDA Core数10,240
ブーストクロック1,665 MHz
メモリ容量12GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能34.0992 TFLOPS
倍精度性能0.533 TFLOPS
Tensor Core性能272.7936 TFLOPS
TDP350W
発売日2021年6月
Ray Tracing性能68.2 TFLOPS
ベースクロック1,395 MHz
ピクセル・レート186.5 GPixel毎秒
テクスチャ・レート532.8 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック19 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅912.0 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA102-225-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度45.0 MTr/mm²
トランジスタ数283億
ダイサイズ628.4mm²
SM数80
無効化SM数4
TMU数320
ROPユニット数112
Tensor Core数320
RayTracing Core数80
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)5,302
3DMark Port Royal(DX12)13,229
3DMark Night Raid(DX12)141,143
3DMark Time Spy(DX12)19,584
3DMark Wild Life(DX12)104,337
3DMark Fire Strike(DX11)47,785
PassMark GPU27,305
Userbenchmark GPU(実効)204
Userbenchmark DX10261
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3080 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 5,302
3DMark Port Royal(Graphics) 13,229
3DMark Night Raid(Graphics) 141,143
3DMark Time Spy(Graphics) 19,584
3DMark Wild Life(Graphics) 104,337
3DMark Fire Strike(Graphics) 47,785
PassMark GPU(Videocard) 27,305
Userbenchmark(Effective) 204
Userbenchmark(DX10) 261
Userbenchmark(DX9) 309
GPUベンチマーク総合平均スコア 57,196

GeForce RTX 3080Tiは、GeForce RTX3090からStreaming Multiprocessorをさらに2コア無効化してCUDA Core数10,240コアまで減らしたGPUです。

しかしCUDA Core数の減少は些末な問題であり、このGeForce RTX 3080Tiが設定された本来の理由は、暗号資産マイニングのハッシュレートを引き下げる「Lite Hash Rate(LHR)」を搭載し、ゲーム用途でGeForceを購入するユーザに製品が行き届くようにするためです。要はGeForce RTX 3090が暗号資産マイニング目的のユーザに買い占められてしまっているので、その代替としてGeForce RTX 3080Tiが投入されました。

GeForce RTX 3090と酷似している点は多く、CUDA Core数はほぼ同じです。リファレンスモデルのベースクロックとブーストクロックはRTX 3090からそれぞれ30MHzずつ下がっています。

しかし、RTX3090と比較してRTX3080TiのCUDA Core数が微減してるにも関わらずクロックの上昇が無いどころかむしろ低下しており、あえて積極的に選ぶことをおすすめできないGPUです。これを選ぶくらいなら、同時に発売されたGeForce RTX 3070Tiを強くおすすめします。

NVIDIA GeForce RTX 3080 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

6位: NVIDIA GeForce RTX 3080 12GB版

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3080 12GB版
CUDA Core数8,960
ブーストクロック1,710 MHz
メモリ容量12GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能30.6432 TFLOPS
倍精度性能0.479 TFLOPS
Tensor Core性能245.1456 TFLOPS
TDP350W
発売日2022年1月
Ray Tracing性能61.3 FLOPS
ベースクロック1,260 MHz
ピクセル・レート177.8 GPixel毎秒
テクスチャ・レート478.8 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック19 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅912.0 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA102-220-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度45.0 MTr/mm²
トランジスタ数283億
ダイサイズ628.4mm²
SM数70
無効化SM数14
TMU数280
ROPユニット数104
Tensor Core数280
RayTracing Core数70
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)5,072
3DMark Port Royal(DX12)12,173
3DMark Night Raid(DX12)141,310
3DMark Time Spy(DX12)18,555
3DMark Wild Life(DX12)100,280
3DMark Fire Strike(DX11)46,134
PassMark GPU26,544
Userbenchmark GPU(実効)196
Userbenchmark DX10252
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3080 12GB版のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 5,072
3DMark Port Royal(Graphics) 12,173
3DMark Night Raid(Graphics) 141,310
3DMark Time Spy(Graphics) 18,555
3DMark Wild Life(Graphics) 100,280
3DMark Fire Strike(Graphics) 46,134
PassMark GPU(Videocard) 26,544
Userbenchmark(Effective) 196
Userbenchmark(DX10) 252
Userbenchmark(DX9) 280
GPUベンチマーク総合平均スコア 54,823

2022年1月に発売されたのがこのGeForce RTX 3080の12GBビデオメモリ版です。2020年9月に発売されたGeForce RTX 3080はビデオメモリ10GBでした。ただしGeForce RTX 3080の12GB版はGeForce RTX 3080から単にビデオメモリを増やしただけのGPUではなく、StreamingMultiprocessorが2基追加して有効化されているためCUDA Core数も増えていますしTensorCore性能もRayTracing性能も向上しています。GeForce RTX 3080無印を買うくらいならこの12GB版を買った方がいいのは当然ですが、RTX4000シリーズも視野に入れて検討するべきです。

7位: NVIDIA GeForce RTX 3080

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3080
CUDA Core数8,704
ブーストクロック1,710 MHz
メモリ容量10GB
共有キャッシュ5MB
単精度性能29.768 TFLOPS
倍精度性能0.465 TFLOPS
Tensor Core性能238.141 TFLOPS
TDP320W
発売日2020年9月
Ray Tracing性能59.5 TFLOPS
ベースクロック1,440 MHz
ピクセル・レート164.2 GPixel毎秒
テクスチャ・レート465.12 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック19 GT毎秒
メモリバス幅320bit
メモリ帯域幅760 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA102-200-KD-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度45.0 MTr/mm²
トランジスタ数283億
ダイサイズ628.4mm²
SM数68
無効化SM数16
TMU数272
ROPユニット数96
Tensor Core数272
RayTracing Core数68
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)4,603
3DMark Port Royal(DX12)11,578
3DMark Night Raid(DX12)129,188
3DMark Time Spy(DX12)17,657
3DMark Wild Life(DX12)90,047
3DMark Fire Strike(DX11)42,193
PassMark GPU25,205
Userbenchmark GPU(実効)187
Userbenchmark DX10234
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3080のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 4,603
3DMark Port Royal(Graphics) 11,578
3DMark Night Raid(Graphics) 129,188
3DMark Time Spy(Graphics) 17,657
3DMark Wild Life(Graphics) 90,047
3DMark Fire Strike(Graphics) 42,193
PassMark GPU(Videocard) 25,205
Userbenchmark(Effective) 187
Userbenchmark(DX10) 234
Userbenchmark(DX9) 266
GPUベンチマーク総合平均スコア 51,031

GeForce RTX 3080はGeForce RTX 3090と同じGA102チップを使っていて多くの点で酷似しています。CUDA Coreを単純に減らしたのがGeForce RTX 3080です。CUDA Coreを減らしたことに付随してビデオメモリサイズやL2共有キャッシュサイズも削減されています。一方で、CUDA Coreを減らしたことによって一つ一つのコアに割り当てることのできる電力に余裕ができているため、動作クロックはGeForce RTX 3090より向上しています。

このGeForce RTX 3080のオリジナルファンモデルではブーストクロックが1,935MHzに達する製品が出てきています。この1,935MHzという動作クロックは前世代(Turing世代)のフラッグシップモデルだったGeForce RTX 2080Tiの空冷式オリジナルファンモデルの中で、大型ヒートシンクを搭載した高級モデルのブーストクロック1,815MHzを大幅に超える水準です。

一方で、GeForce RTX 2080ではNVLink対応だったのがGeForce RTX 3080では非対応になっている点は注意です。

NVIDIA GeForce RTX 3080チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

8位: NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti
CUDA Core数6,144
ブーストクロック1,770 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能21.74976 TFLOPS
倍精度性能0.340 TFLOPS
Tensor Core性能173.99808 TFLOPS
TDP290W
発売日2021年6月
Ray Tracing性能43.5 TFLOPS
ベースクロック1,575 MHz
ピクセル・レート169.9 GPixel毎秒
テクスチャ・レート339.8 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6X
メモリクロック19 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅608.3 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA104-400-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度44.3 MTr/mm²
トランジスタ数174億
ダイサイズ392.5mm²
SM数48
無効化SM数0
TMU数192
ROPユニット数96
Tensor Core数192
RayTracing Core数48
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)3,748
3DMark Port Royal(DX12)8,854
3DMark Night Raid(DX12)130,430
3DMark Time Spy(DX12)14,821
3DMark Wild Life(DX12)84,410
3DMark Fire Strike(DX11)37,129
PassMark GPU23,599
Userbenchmark GPU(実効)158
Userbenchmark DX10180
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3070 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,748
3DMark Port Royal(Graphics) 8,854
3DMark Night Raid(Graphics) 130,430
3DMark Time Spy(Graphics) 14,821
3DMark Wild Life(Graphics) 84,410
3DMark Fire Strike(Graphics) 37,129
PassMark GPU(Videocard) 23,599
Userbenchmark(Effective) 158
Userbenchmark(DX10) 180
Userbenchmark(DX9) 223
GPUベンチマーク総合平均スコア 44,561

GeForce RTX 3070Tiは2021年6月10日にリリースされたGPUです。2021年6月3日のGeForce RTX 3080Tiリリースとほぼ同時期です。このGPUが発売された時期は暗号資産のマイニング目的でGeForceシリーズが買い占められてしまい、本来はゲーム向けのGPUであるGeForceがゲーマーの手に行き届かないことが問題となっており、GeForce RTX 3070Tiは発売当初からハッシュレート制限機能が搭載されました。

評価については、既発売のGeForce RTX 3090,3080,3070,3060Ti,3060を含めて比較しても、FullHDでゲームをやるのならこのGeForce RTX 3070TiはAmpere世代GPUの中で最もおすすめできます。RTX3080よりもブーストクロック、ベースクロック共に向上しており、リファレンスモデルのベースクロックの高さに至ってはAmpere世代GPUの中でトップです。ブーストクロックの高さもGeForce RTX 3060に次いで2位です。GeForce RTX 3060はなぜブーストクロックが高いかというと、RTX3060はそもそもCUDA Core数が少ないGPUなのでブーストクロックを高めやすいという事情があります。

GeForce RTX 3060はCUDA Core数が控えめな一方で、GeForce RTX 3070Tiは6,144コアも搭載しています。RTX3060レベルのブーストクロックを実現しながらも、GeForce RTX 3070TiはCUDA Core数の多さとクロックの高さを両取りできている優秀なGPUになっています。

NVIDIA GeForce RTX 3070 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

9位: NVIDIA GeForce RTX 3070

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3070
CUDA Core数5,888
ブーストクロック1,725 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能20.3136 TFLOPS
倍精度性能0.3174 TFLOPS
Tensor Core性能162.5088 TFLOPS
TDP220W
発売日2020年10月
Ray Tracing性能40.6 TFLOPS
ベースクロック1,500 MHz
ピクセル・レート165.6 GPixel毎秒
テクスチャ・レート317.4 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448.0 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA104-300-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度44.3 MTr/mm²
トランジスタ数174億
ダイサイズ392.5mm²
SM数46
無効化SM数2
TMU数184
ROPユニット数96
Tensor Core数184
RayTracing Core数46
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)3,441
3DMark Port Royal(DX12)8,302
3DMark Night Raid(DX12)116,553
3DMark Time Spy(DX12)13,678
3DMark Wild Life(DX12)75,487
3DMark Fire Strike(DX11)33,833
PassMark GPU22,297
Userbenchmark GPU(実効)148
Userbenchmark DX10161
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3070のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,441
3DMark Port Royal(Graphics) 8,302
3DMark Night Raid(Graphics) 116,553
3DMark Time Spy(Graphics) 13,678
3DMark Wild Life(Graphics) 75,487
3DMark Fire Strike(Graphics) 33,833
PassMark GPU(Videocard) 22,297
Userbenchmark(Effective) 148
Userbenchmark(DX10) 161
Userbenchmark(DX9) 209
GPUベンチマーク総合平均スコア 40,894

GeForce RTX 2080TiからCUDA Coreを大幅に増加させてる一方で、低消費電力化とブーストクロック向上を同時に達成しているGPUです。フルHDでゲームをする場合にはRTX3090,RTX3080よりもおすすめできます。

空冷式タイプでブーストクロックが1,935MHzに達するオリジナルファンモデルが既に存在するため、フレームレート性能を上げるために購入する際はできるだけファクトリーオーバークロック値のブーストクロックが高いモデルを選ぶのがおすすめです。

NVIDIA GeForce RTX 3070チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

10位: AMD Radeon RX 6900 XT

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 6900 XT
SP数5,120
ブーストクロック2,250 MHz
メモリ容量16GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能23.040 TFLOPS
倍精度性能1.440 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP300W
発売日2020年12月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,825 MHz
ピクセル・レート288.0 GPixel毎秒
テクスチャ・レート720.0 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック16 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅512 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 2.0 (Radeon RX 6000 series)
コードネームNavi 21
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度51.5 MTr/mm²
トランジスタ数268億
ダイサイズ519.8mm²
Compute Unit数80
無効化CU数0
TMU数320
ROPユニット数128
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU非対応
3DMark Speed Way(DX12)3,890
3DMark Port Royal(DX12)10,393
3DMark NightRaid(DX12)159,221
3DMark TimeSpy(DX12)20,538
3DMark Wild Life(DX12)107,501
3DMark FireStrike(DX11)57,022
PassMark GPU26,115
Userbenchmark GPU(実効)183
Userbenchmark DX10291
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 6900 XTのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,890
3DMark Port Royal(Graphics) 10,393
3DMark Night Raid(Graphics) 159,221
3DMark Time Spy(Graphics) 20,538
3DMark Wild Life(Graphics) 107,501
3DMark Fire Strike(Graphics) 57,022
PassMark GPU(Videocard) 26,115
Userbenchmark(Effective) 183
Userbenchmark(DX10) 291
Userbenchmark(DX9) 319
GPUベンチマーク総合平均スコア 57,325

AMD Radeon RX 6900 XTは末尾文字(suffix)に”XT”を使い、NVIDIA GeForce 3090よりも型番上は上のグレードに見せつつも実際は単精度コア数が5,120コアにとどまり、GeForce RTX 3090の10,496コアに遠く及ばなかったGPUです。

AMD Radeon RX 6900 XTはNavi21チップに搭載されている80基のCompute Unitを全て有効化しています。つまり最大限に背伸びしても5,120コアしか実現できなかったことになります。2基のStreaming Multiprocessorを無効化しても10,496コアを実現しているNVIDIA GeForce RTX 3090とは対照的です。

AMD Radeon RX 6900 XTチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

11位: NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti
CUDA Core数4,864
ブーストクロック1,665 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能16.19712 TFLOPS
倍精度性能0.253 TFLOPS
Tensor Core性能129.577 TFLOPS
TDP200W
発売日2020年12月
Ray Tracing性能32.4 TFLOPS
ベースクロック1,410 MHz
ピクセル・レート133.2 GPixel毎秒
テクスチャ・レート253.1 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448.0 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA104-200-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度44.3 MTr/mm²
トランジスタ数174億
ダイサイズ392.5mm²
SM数38
無効化SM数10
TMU数152
ROPユニット数80
Tensor Core数152
RayTracing Core数38
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)2,949
3DMark Port Royal(DX12)6,977
3DMark Night Raid(DX12)105,724
3DMark Time Spy(DX12)11,766
3DMark Wild Life(DX12)65,291
3DMark Fire Strike(DX11)29,417
PassMark GPU20,406
Userbenchmark GPU(実効)128
Userbenchmark DX10145
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3060 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 2,949
3DMark Port Royal(Graphics) 6,977
3DMark Night Raid(Graphics) 105,724
3DMark Time Spy(Graphics) 11,766
3DMark Wild Life(Graphics) 65,291
3DMark Fire Strike(Graphics) 29,417
PassMark GPU(Videocard) 20,406
Userbenchmark(Effective) 128
Userbenchmark(DX10) 145
Userbenchmark(DX9) 173
GPUベンチマーク総合平均スコア 35,805

2020年12月にリリースされたGeForce RTX 3060Tiは型番だけみるとミドルエンドに見えますが、実際はCUDA Coreを4,864コアも搭載している高性能GPUです。このCUDA Core数は前世代(Turing世代)のGeForce RTX 2080Ti(4,352コア)を超える水準です。

単にコア数を増やすだけでなく、ASUS ROG STRIX等のオリジナルファンモデルではブーストクロック1,900MHzに迫った高クロックモデルが存在しており、そのようなモデルを使うと競合他社のRadeon RX 6800 XTよりも遥かに高いフレームレート性能を叩き出します。

YouTube等のフレームレート比較動画では、GeForce RTX 3060TiとRadeon RX6800XTを比較したものではGeForce RTX 3060Tiのフレームレートが低いように見せかけているものが掲載されていますが、それはNVIDIAリファレンスモデルだったりブーストクロックが低い低グレードのオリジナルファンモデルのGeForce RTX 3060Tiを使って比較しているためです。

AMD製のGPU全般に言えることなのですが、Radeonはリファレンスモデルとオリジナルファンモデルのブーストクロックは殆ど変わらず性能も殆ど変わりません。

一方で、NVIDIA製GPUはリファレンスモデルのブーストクロックが低く設定されていて、オリジナルファンモデルのブーストクロックは大幅に高くなる傾向があり、リファレンスモデルとオリジナルファンモデルでブーストクロックに大きな差があります。ASUS,MSI,GIGABYTEといったメーカーが出しているオリジナルファンモデルの上位モデルを使うとGeForce RTX 3060Tiは非常に高速であり、どのような分野のゲームでもRadeon RX6800XTを上回るフレームレートになります。

NVIDIA GeForce RTX 3060 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

12位: NVIDIA TITAN RTX

メーカー・モデル名NVIDIA TITAN RTX
CUDA Core数4,608
ブーストクロック1,770 MHz
メモリ容量24GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能16.312 TFLOPS
倍精度性能0.5098 TFLOPS
Tensor Core性能130.49856 TFLOPS
TDP280W
発売日2018年12月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,350 MHz
ピクセル・レート169.92 GPixel毎秒
テクスチャ・レート509.76 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅672 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU102-400-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.7 MTr/mm²
トランジスタ数186億
ダイサイズ754mm²
SM数72
無効化SM数0
TMU数288
ROPユニット数96
Tensor Core数576
RayTracing Core数72
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)3,209
3DMark Port Royal(DX12)9,869
3DMark Night Raid(DX12)120,471
3DMark Time Spy(DX12)15,190
3DMark Wild Life(DX12)78,804
3DMark Fire Strike(DX11)37,783
PassMark GPU20,025
Userbenchmark GPU(実効)189
Userbenchmark DX10240
GPUベンチマーク名 NVIDIA TITAN RTXのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,209
3DMark Port Royal(Graphics) 9,869
3DMark Night Raid(Graphics) 120,471
3DMark Time Spy(Graphics) 15,190
3DMark Wild Life(Graphics) 78,804
3DMark Fire Strike(Graphics) 37,783
PassMark GPU(Videocard) 20,025
Userbenchmark(Effective) 189
Userbenchmark(DX10) 240
Userbenchmark(DX9) 229
GPUベンチマーク総合平均スコア 45,102

4,608コア搭載しブーストクロック1,770MHzのグラボで、Turing世代ゲーム用GPUの中ではフラッグシップモデル。

使用されているダイ(チップ)はTU102でRTX2080Tiと同じです。よってダイ面積も754m㎡で同じです。

ではRTX2080TiとこのTitan RTXでは何が違うかと言うと、Titan RTXではダイ上のすべてのコアが有効化されています。つまりダイ上にエラーが許されないため歩留まりが悪く、それがこの価格の高さに直結しています。

リファレンスモデルしかないので日本国内では菱洋エレクトロ株式会社が代理店となり単一製品を各小売店が販売しています。

FLOPS性能ではブーストクロック1,770MHz時に16.312TFLOPSあるため、2080Tiの「ZOTAC AMP Extreme」が実現しているブーストクロック1,815MHz時の15.798TFLOPSを上回る性能です。

しかし、4,352コアの2080Tiで1,770MHzのブーストクロックを実現した「MSI LIGHTNING Z」は3スロット占有かつ全長328mmの冷却機構を備えています。同じ1,770MHzで4,608コアのTITAN RTXはそれよりも発熱量が大きいのは当然にもかかわらず冷却は2スロット占有267mm全長でファン×2。どうみてもTITAN RTXは1,770MHzのブーストクロックを出すのには適していません。各自で簡易水冷化するなどして冷却しないと本来の性能を引き出すのは難しいです。

TITAN RTXの基板規格はRTX2080Ti Founders Editionと同じであり、RTX2080Tiでも使える簡易水冷化キットが使用可能です。Titan RTXは簡易水冷化キット+CorsairやEVGA等の簡易水冷クーラーを組合せて使用しないと宝の持ち腐れになります。しかしこのTitan RTXは外形上の見た目が非常に良いので、簡易水冷化すると初期状態よりも見た目が悪くなるのは確実でありそこは非常にもったいない点です。

また、TITAN RTXの2080Tiより多いコア数がゲームでのフレームレート性能に直結するかといったらゲームによります。場合によってはコア数の多さよりも動作周波数の高さのほうがフレームレートの高さに貢献する場合があります。その場合は補助電源8ピン×3を搭載した「2080Ti MSI LIGHTNING Z」を限界までオーバークロックしたほうが有利です。

このTITAN RTXは十分に並列性が高い機械学習のコプロセッサとして使うには最適です。機械学習は応用分野によって単精度でいいか倍精度が必要か異なりますが、金融分析以外なら単精度で十分なので単精度浮動小数点演算能力に特化しているTITAN RTXは最適です。並列性が高く各コアを十分に使いきれるのなら補助電源8ピン×2で低い動作周波数であっても、オーバークロックした2080Tiより高いFlops性能が出ます。

難しいことを考えず単にゲーム用として使うことしか考えてないというのなら、2080Tiの「ZOTAC AMP Extreme」や「MSI LIGHTNING Z」を選んだほうが面倒がなくおすすめできます。

13位: NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti
CUDA Core数4,352
ブーストクロック1,545 MHz
メモリ容量11GB
共有キャッシュ6MB
単精度性能13.448 TFLOPS
倍精度性能0.42024 TFLOPS
Tensor Core性能107.58144 TFLOPS
TDP250W
発売日2018年9月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,350 MHz
ピクセル・レート135.96 GPixel毎秒
テクスチャ・レート420.24 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅352bit
メモリ帯域幅616 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU102-300-K1-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.7 MTr/mm²
トランジスタ数186億
ダイサイズ754mm²
SM数68
無効化SM数4
TMU数272
ROPユニット数88
Tensor Core数544
RayTracing Core数68
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)3,035
3DMark Port Royal(DX12)9,111
3DMark Night Raid(DX12)113,336
3DMark Time Spy(DX12)14,665
3DMark Wild Life(DX12)74,936
3DMark Fire Strike(DX11)35,659
PassMark GPU21,852
Userbenchmark GPU(実効)172
Userbenchmark DX10210
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2080 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,035
3DMark Port Royal(Graphics) 9,111
3DMark Night Raid(Graphics) 113,336
3DMark Time Spy(Graphics) 14,665
3DMark Wild Life(Graphics) 74,936
3DMark Fire Strike(Graphics) 35,659
PassMark GPU(Videocard) 21,852
Userbenchmark(Effective) 172
Userbenchmark(DX10) 210
Userbenchmark(DX9) 217
GPUベンチマーク総合平均スコア 42,829

2018年発売のTuring(チューリング)世代ゲーム用グラボの中で上位に位置するモデルです。これより上にTITAN RTXがありますが、TITAN RTXはダイTU102のStreaming Multiprocessor72基全てを有効化しているため歩留まりが悪化し価格が非常に高くなってしまっています。そこで、このRTX2080TiではStreaiming Multiprocessorのうち4基を無効化し68基のみ有効化し歩留まりを改善し価格を安くしています。

Titan RTXでは4,608コア全てが有効化されていますが、RTX2080Tiではそのうち4,352コアが有効化されていることになります。

コア数を絞り1コアあたりの動作周波数を上げた「オーバークロック版の2080Ti」のほうがほとんどのゲームにおいてTITAN RTXよりもゲームのフレームレート(fps)が向上します。

「少ないコア数で高い動作周波数」と「多いコア数で低い動作周波数」なら、前者を達成するほうが後者を達成するよりも技術的に難易度が高いです。IntelもNVIDIAもできるだけ前者を目指していますが、それ以上どうしても動作周波数を上げられない場合はコア数を増やす水平展開をしています。それがTITAN RTXです。コア数を少なくして動作周波数の高さを追求してるのが2080Tiです。

AMDのグラボは動作周波数を高くする技術力がないためコア数の多さで勝負していますが、コア数が多いグラボを活かしきれるゲームが少ないため結果的に1コアの性能が高いNVIDIAのグラボのほうが有利です。

NVIDIA GeForce RTX 2080 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

14位: AMD Radeon RX 6800 XT

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 6800 XT
SP数4,608
ブーストクロック2,250 MHz
メモリ容量16GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能20.736 TFLOPS
倍精度性能1.296 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP300W
発売日2020年11月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,825 MHz
ピクセル・レート288.0 GPixel毎秒
テクスチャ・レート648.0 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック16 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅512 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 2.0 (Radeon RX 6000 series)
コードネームNavi 21
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度51.5 MTr/mm²
トランジスタ数268億
ダイサイズ519.8mm²
Compute Unit数72
無効化CU数8
TMU数288
ROPユニット数128
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU非対応
3DMark Speed Way(DX12)3,634
3DMark Port Royal(DX12)9,534
3DMark NightRaid(DX12)155,724
3DMark TimeSpy(DX12)19,103
3DMark Wild Life(DX12)99,507
3DMark FireStrike(DX11)52,957
PassMark GPU24,079
Userbenchmark GPU(実効)146
Userbenchmark DX10251
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 6800 XTのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,634
3DMark Port Royal(Graphics) 9,534
3DMark Night Raid(Graphics) 155,724
3DMark Time Spy(Graphics) 19,103
3DMark Wild Life(Graphics) 99,507
3DMark Fire Strike(Graphics) 52,957
PassMark GPU(Videocard) 24,079
Userbenchmark(Effective) 146
Userbenchmark(DX10) 251
Userbenchmark(DX9) 260
GPUベンチマーク総合平均スコア 51,931

2020年11月発売のRadeon RX 6800 XTは4,608コアの単精度演算器(StreamProcessor)を搭載し、2018年発売のNVIDIA TITAN RTXと同じ数の単精度演算器(CUDA Core)数です。

アーキテクチャ面ではNVIDIA Turingが、Radeon RX 6800 XTで採用されたAMD RDNA2アーキテクチャよりも優秀ですが、その技術力の差を埋めるためにRadeon RX 6800 XTでは動作クロックを2,000MHz台まで大幅に引き上げています。それでもNVIDIA Ampereアーキテクチャを採用したGeForce RTX 3070より低い性能です。

AMD Radeon RX 6800 XTチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

15位: NVIDIA GeForce RTX 3060

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 3060
CUDA Core数3,584
ブーストクロック1,777 MHz
メモリ容量12GB
共有キャッシュ3MB
単精度性能12.73754 TFLOPS
倍精度性能0.199 TFLOPS
Tensor Core性能101.900 TFLOPS
TDP170W
発売日2021年2月 / 2021年9月
Ray Tracing性能25 TFLOPS
ベースクロック1,320 MHz
ピクセル・レート85.3 GPixel毎秒
テクスチャ・レート199.0 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック15 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅360.0 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0 x16
アーキテクチャAmpere (GeForce 3000 series)
コードネームGA106-300-A1 / GA104-150-A1
ファウンドリSamsung
プロセスルール10nm(8LPP)
トランジスタ密度48.0 MTr/mm² / 44.3 MTr/mm²
トランジスタ数132.5億 / 174億
ダイサイズ276mm² / 392.5mm²
SM数28
無効化SM数2
TMU数112
ROPユニット数48
Tensor Core数112
RayTracing Core数28
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)2,173
3DMark Port Royal(DX12)5,138
3DMark Night Raid(DX12)94,864
3DMark Time Spy(DX12)8,743
3DMark Wild Life(DX12)49,954
3DMark Fire Strike(DX11)22,258
PassMark GPU17,058
Userbenchmark GPU(実効)100
Userbenchmark DX10111
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 3060のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 2,173
3DMark Port Royal(Graphics) 5,138
3DMark Night Raid(Graphics) 94,864
3DMark Time Spy(Graphics) 8,743
3DMark Wild Life(Graphics) 49,954
3DMark Fire Strike(Graphics) 22,258
PassMark GPU(Videocard) 17,058
Userbenchmark(Effective) 100
Userbenchmark(DX10) 111
Userbenchmark(DX9) 127
GPUベンチマーク総合平均スコア 28,197

2021年2月にリリースされたGeForce RTX 3060はGeForce RTX 2080Tiよりは低性能だけれども、GeForce RTX 2080を上回るフレームレート性能を実現する十分に高性能なGPUです。

ただし、GeForce RTX 3060TiとGeForce RTX 3060の間には大きな性能上の乖離があり、CUDA Core数を見てもGeForce RTX 3060Tiの4,864コアに対し、GeForce RTX 3060は3,584コアでありコア数の差にして1,280コアもの違いがあります。単にコア数だけではなく、採用されているGPUチップを見てもGeForce RTX 3060Tiで採用されているのは上位のGA104であり、GeForce RTX 3060で採用されているのはそれよりも下位のGA106チップです。

つまり、「GeForce RTX 3060はGeForce RTX 3060Tiよりちょっとだけ下」という認識は誤りです。「GeForce RTX 3060はGeForce RTX 3060Tiよりも大幅に下でその間に断絶がある」くらいの認識を持っておいた方がいいです。

あえてGeForce RTX 3060TiではなくGeForce RTX 3060を選ぶ理由があるとしたら低消費電力性です。本格的に低消費電力を狙うなら「補助電源不要または補助電源コネクタ6ピン×1」で動作するGeForce RTX 3050を待った方がいいでしょうが、Radeon RX 6800を上回る性能を有してそこそこ低消費電力のGPUを選ぶならGeForce RTX 3060は良いGPUです。

さらにこのGeForce GTX 3060は、2017年3月に発売された名作GPU「GeForce GTX 1080Ti」と同じCUDA Core数3,584コアを搭載しています。にもかかわらず消費電力は1080Tiよりも大幅に削減されており、ブーストクロックはむしろ大幅に上昇。さらにGeForce RTC 3060はTensorCoreという16bit4×4行列の積和浮動小数点演算(FMA)に特化した演算器も搭載し、深層学習(世間では人工知能と呼ばれている機械学習の一類型)向けの演算性能を高めているので、「同じCUDA Core数のGeForce GTX 1080Tiよりも消費電力を下げつつも性能を大幅に引き上げしかも低価格化を実現」したのがGeForce RTX 3060です。

NVIDIA GeForce RTX 3060チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

16位: AMD Radeon RX 6800

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 6800
SP数3,840
ブーストクロック2,105 MHz
メモリ容量16GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能16.166 TFLOPS
倍精度性能1.0104 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP250W
発売日2020年11月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,700 MHz
ピクセル・レート202.1 GPixel毎秒
テクスチャ・レート505.2 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック16 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅512 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 2.0 (Radeon RX 6000 series)
コードネームNavi 21
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度51.5 MTr/mm²
トランジスタ数268億
ダイサイズ519.8mm²
Compute Unit数60
無効化CU数20
TMU数240
ROPユニット数96
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU非対応
3DMark Speed Way(DX12)3,059
3DMark Port Royal(DX12)7,812
3DMark NightRaid(DX12)134,980
3DMark TimeSpy(DX12)15,828
3DMark Wild Life(DX12)89,046
3DMark FireStrike(DX11)44,117
PassMark GPU21,206
Userbenchmark GPU(実効)126
Userbenchmark DX10199
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 6800のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 3,059
3DMark Port Royal(Graphics) 7,812
3DMark Night Raid(Graphics) 134,980
3DMark Time Spy(Graphics) 15,828
3DMark Wild Life(Graphics) 89,046
3DMark Fire Strike(Graphics) 44,117
PassMark GPU(Videocard) 21,206
Userbenchmark(Effective) 126
Userbenchmark(DX10) 199
Userbenchmark(DX9) 223
GPUベンチマーク総合平均スコア 44,143

2020年11月発売のRadeon RX 6800は3,840コアの単精度演算器(StreamProcessor)を搭載しています。リファレンスモデルの時点でブーストクロックが高めですが、オリジナルファンモデルでもブーストクロックは殆ど増えず、むしろオリジナルファンモデルでも本来のブーストクロックを実現するだけの冷却性能を実現できるか微妙なほど高発熱なGPUです。

GeForce RTX 2080Tiよりもフレームレート性能が高いとしているベンチマーク動画が多く出回っていますが、それはリファレンスモデルのGeForce RTX 2080Tiと比較しているためです。NVIDIA GeForceはリファレンスモデルのブーストクロックが極めて低いため、リファレンスモデル同士で比較するとAMD Radeon RX 6800が有利に見えるようにできています。オリジナルファンモデル同士で比較するとGeForce RTX 2080Tiのフレームレート性能がRadeon RX 6800に対して圧勝してしまいます。

AMD Radeon RX 6800チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

17位: NVIDIA GeForce RTX 2080 Super

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2080 Super
CUDA Core数3,072
ブーストクロック1,815 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能11.150 TFLOPS
倍精度性能0.3485 TFLOPS
Tensor Core性能89.21088 TFLOPS
TDP250W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,650 MHz
ピクセル・レート116.16 GPixel毎秒
テクスチャ・レート348.48 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック15.5 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅496 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU104-450-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.7 MTr/mm²
トランジスタ数136億
ダイサイズ545mm²
SM数48
無効化SM数0
TMU数192
ROPユニット数64
Tensor Core数384
RayTracing Core数46
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)2,219
3DMark Port Royal(DX12)7,005
3DMark Night Raid(DX12)107,166
3DMark Time Spy(DX12)11,633
3DMark Wild Life(DX12)64,303
3DMark Fire Strike(DX11)28,692
PassMark GPU19,538
Userbenchmark GPU(実効)138
Userbenchmark DX10162
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2080 Superのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 2,219
3DMark Port Royal(Graphics) 7,005
3DMark Night Raid(Graphics) 107,166
3DMark Time Spy(Graphics) 11,633
3DMark Wild Life(Graphics) 64,303
3DMark Fire Strike(Graphics) 28,692
PassMark GPU(Videocard) 19,538
Userbenchmark(Effective) 138
Userbenchmark(DX10) 162
Userbenchmark(DX9) 181
GPUベンチマーク総合平均スコア 35,583

NVIDIA GeForce RTX 2080 Superは2019年7月リリースのGPUです。位置付けとしてはRTX2080Tiの下位版というよりも、RTX2080の性能を上昇させた位置付けです。

RTX2080Superで採用されているチップはTU104でありRTX2080と同じです。RTX2080TiではTPU102チップが採用されています。

つまりRTX2080Tiの性能を低く抑えたのではなく、RTX2080の性能を向上させる方法で実現されたのがRTX2080Superになります。CUDA Core数はRTX2080比+128の3,072コアで微増ですがクロック周波数が大幅に向上しています。

普通はコア数を増やすと消費電力(単位時間あたりの発熱量)の制約の観点からクロック周波数を引き下げるのが通例です。

例えば2018年発売に発売された2つのGPU、RTX2080(2,944コア、1,710MHz)とRTX2080Ti(4,352コア、1,545MHz)においてはRTX2080TiのCUDA Core数が大幅に多い一方でリファレンスモデルのブーストクロックは1,545MHz止まりとなり、RTX2080のブーストクロック1,710MHzより下がっています。RTX2080Tiオリジナルファンモデルの大型ヒートシンク搭載ZOTAC Amp ExtremeやMSI Lightning Zであってもファクトリーオーバークロック後のブーストクロック周波数1,815MHz止まりです。

しかしRTX2080Superではリファレンスモデルのブーストクロックでも1,815MHzを達成しています。さらにオリジナルファンモデルのZOTAC Amp Extremeではブーストクロック1,875MHzに届きます。

これはRTX2080を2018年にリリースしてから1年近くが経過し半導体製造における歩留まりが向上したことで、より低発熱(低消費電力)でクロック周波数が上昇する個体(チップ)を入手しやすくなったためです。

このようなCUDA Coreあたりのクロック周波数の向上は高画質設定時のフレームレート向上で有利です。CUDA Core数を増やすことは高解像度(4K,1440p)におけるフレームレート向上で有利ですが、逆に低解像度(1080p)ならCUDA Core(FP32演算器)数の多さよりもクロック周波数の高さが重要です。

つまりRTX2080Superでは、解像度をFullHD(1080p)から1440pや4Kまで上げたときのフレームレート性能の向上よりも、高画質設定にしたときのフレームレート性能向上が重視されていることになります。ゲームの結果を重視するなら解像度を1440pや4Kまで上昇させるニーズはほとんどありません。画質設定を高く設定してゲームをするのならRTX2080Superは非常に適しています。

またAMD Radeonとの比較においては、RTX2060Superにも勝てないRadeon RX 5700 XTでは当然RTX2080Superと全く勝負になりません。

そしてRTX2070Superにも勝てていないRadeon VIIも同様にRTX2080Superと全く勝負になりません。

RTX2070SuperとRTX2080を上回るこのRTX2080Super相手に、Radeon VIIやRadeon RX5700XTでは全く歯が立たないということです。つまりAMD RadeonシリーズはRTX2080Superの前では「戦力外」ということになります。RTX2080Superと比較するのはRTX2080TiかRTX2080です。

予算が許すなら簡易水冷版のRTX2080Tiが「価格と消費電力以外」のすべてにおいてRTX2080Superより優れています。簡易水冷版のRTX2080Tiなら120mmラジエータタイプでも1,900MHz弱を実現でき、240mmラジエータタイプなら2,000MHz超を50℃台ピークアウトで実現できます。つまりこの場合RTX2080TiがRTX2080SuperのCUDA Core数を上回りかつクロック周波数もRTX2080Superを上回ることになり完全に上位になります。ただし空冷版のRTX2080Tiになると最大クロック周波数がRTX2080Superと同等かそれ以下になり、「すべての場合においてRTX2080Tiの性能がRTX2080Superを上回るわけではない」ということになります。

RTX2080Super or RTX2080の比較では、空冷版であってもRTX2080SuperがCUDA Core数とクロック周波数両面においてRTX2080より優秀です。これは「高いけど高性能なRTX2080Super」か「安いけど低性能なRTX2080」という予算と性能のトレードオフでの比較になります。

NVIDIA GeForce RTX 2080 Superチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

18位: NVIDIA GeForce RTX 2080

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2080
CUDA Core数2,944
ブーストクロック1,710 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能10.068 TFLOPS
倍精度性能0.31464 TFLOPS
Tensor Core性能80.54784 TFLOPS
TDP215W
発売日2018年9月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,515 MHz
ピクセル・レート109.44 GPixel毎秒
テクスチャ・レート314.64 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU104-400-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度25.0 MTr/mm²
トランジスタ数136億
ダイサイズ545mm²
SM数46
無効化SM数2
TMU数184
ROPユニット数64
Tensor Core数368
RayTracing Core数46
NVLink2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)2,167
3DMark Port Royal(DX12)6,441
3DMark Night Raid(DX12)99,518
3DMark Time Spy(DX12)11,098
3DMark Wild Life(DX12)60,829
3DMark Fire Strike(DX11)27,647
PassMark GPU18,731
Userbenchmark GPU(実効)129
Userbenchmark DX10150
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2080のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 2,167
3DMark Port Royal(Graphics) 6,441
3DMark Night Raid(Graphics) 99,518
3DMark Time Spy(Graphics) 11,098
3DMark Wild Life(Graphics) 60,829
3DMark Fire Strike(Graphics) 27,647
PassMark GPU(Videocard) 18,731
Userbenchmark(Effective) 129
Userbenchmark(DX10) 150
Userbenchmark(DX9) 169
GPUベンチマーク総合平均スコア 33,562

CUDAコアを2,944コア搭載したTuring世代グラボです。RayTracingCoreやTensorCoreを搭載してしまったことにより、ゲーミング用に割り当てる演算回路のチップ上面積が減ってしまい、ゲーミング性能に関しては先代のGTX1080Tiと同程度に留まってしまいました。

とはいっても現在の価格は1080TiよりもRTX2080のほうが安いです。1080Tiは生産を終了し品薄になってしまったためであり現在は2080が主流です。

しかし1080Tiを使わず1080で済ませているプロゲーマーが多かったことから、RTX2080の性能は必要なくRTX2070で十分なケースもあります。

ゲームは画質設定を最低にしたほうが視認性がよくなるため、プロゲーマーでも1080を使い1080Tiを使わない人は多かったです。

TwitchやYoutubeでストリーマーとして配信するのなら見栄えにこだわるため高画質設定でもフレームレートが落ちにくい2080Tiや2080を買うのもありでしょうが、単にフレームレートを高くしゲームでの優位性だけを追求するのなら低画質設定でRTX2070でも十分です。

また各ゲームのフレームレートベンチマークでは、RTX2080TiよりもこのRTX2080無印のほうが上になることが多々あります。その理由はRTX2080無印はRTX2080TiよりもCUDA Core数が少ない一方で、動作クロックが高いためです。コア数を使いきれないゲームではコア数が多いRTX2080Tiではフレームレートが伸びません。そのかわり1コアあたりのクロックが高いRTX2080無印では計算すべきオブジェクト数が少ないゲームの場合、RTX2080Tiより高いフレームレートを叩き出します。

このようにしてみるとRTX2080Tiよりもフレームレートが高くなっているゲームがあることがわかると思います。例えばLoLです。LoLは明らかにハイエンドのグラボが不要なゲームですが、なぜハイエンドが不要かというと計算すべき対象のオブジェクト数が少ないからです。

NVIDIA GeForce RTX 2080チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

19位: NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti
CUDA Core数3,584
ブーストクロック1,582 MHz
メモリ容量11GB
共有キャッシュ2.75MB
単精度性能11.3397 TFLOPS
倍精度性能0.3543 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP250W
発売日2017年3月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,480 MHz
ピクセル・レート139.2 GPixel毎秒
テクスチャ・レート354.3 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5X
メモリクロック11 GT毎秒
メモリバス幅352bit
メモリ帯域幅484 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP102-350-K1-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度25.5 MTr/mm²
トランジスタ数120億
ダイサイズ471mm²
SM数28
無効化SM数2
TMU数224
ROPユニット数88
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink4-waySLI対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)2,205
3DMark Night Raid(DX12)94,663
3DMark Time Spy(DX12)9,995
3DMark Wild Life(DX12)61,989
3DMark Fire Strike(DX11)29,338
PassMark GPU18,401
Userbenchmark GPU(実効)136
Userbenchmark DX10144
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1080 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 2,205
3DMark Night Raid(Graphics) 94,663
3DMark Time Spy(Graphics) 9,995
3DMark Wild Life(Graphics) 61,989
3DMark Fire Strike(Graphics) 29,338
PassMark GPU(Videocard) 18,401
Userbenchmark(Effective) 136
Userbenchmark(DX10) 144
Userbenchmark(DX9) 179
GPUベンチマーク総合平均スコア 33,214

1080Tiは2017年発売でもうかなり古いGPUですが、2018年発売のRTXシリーズが大コケしたため消去法的に価値あるグラボになってしまいました。

特に2018年発売Turing世代のRTX2080Tiは1080Tiに毛が生えた程度のベンチマーク性能しかなく、その後発売されたTuring世代のフラッグシップモデルTITAN RTXにいたってはオーバークロックしたRTX2080Tiにも負けてるということで、さらに1080Tiの価値が高まってしまいました。

残念ながら1080Tiは生産終了した上に正規品の新品は既に在庫が切れているため、高額な転売品を選ぶしか手がないので、それなら新品のRTX2080を正規で購入したほうがいいという状況です。本来ならこのレイトレーシング対応という大ミスをしたNvidiaの失策をチャンスとみてAMD Radeonが追撃するところですがRadeon VIIにはそれだけの力がなかったので、Turing世代の次がでる2020年4月までは2018年発売のRTX失敗作を選ぶしか無いのが現状です。

さすがにRTX2080無印には負けていますが、そこまで大きな差がついていません。特にApex Legendsではほぼ差がついていないので、既にGTX1080Tiを持っているのなら積極的にRTX2080無印に買い換える必要はないでしょう。

NVIDIA GeForce GTX 1080 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

20位: NVIDIA GeForce RTX 2070 Super

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2070 Super
CUDA Core数2,560
ブーストクロック1,770 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能9.060 TFLOPS
倍精度性能0.2832 TFLOPS
Tensor Core性能72.49920 TFLOPS
TDP215W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,605 MHz
ピクセル・レート113.28 GPixel毎秒
テクスチャ・レート283.20 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU104-410-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.7 MTr/mm²
トランジスタ数136億
ダイサイズ545mm²
SM数40
無効化SM数8
TMU数160
ROPユニット数64
Tensor Core数320
RayTracing Core数40
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)2,068
3DMark Port Royal(DX12)6,037
3DMark Night Raid(DX12)101,545
3DMark Time Spy(DX12)10,184
3DMark Wild Life(DX12)57,930
3DMark Fire Strike(DX11)25,590
PassMark GPU18,190
Userbenchmark GPU(実効)118
Userbenchmark DX10143
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2070 Superのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 2,068
3DMark Port Royal(Graphics) 6,037
3DMark Night Raid(Graphics) 101,545
3DMark Time Spy(Graphics) 10,184
3DMark Wild Life(Graphics) 57,930
3DMark Fire Strike(Graphics) 25,590
PassMark GPU(Videocard) 18,190
Userbenchmark(Effective) 118
Userbenchmark(DX10) 143
Userbenchmark(DX9) 152
GPUベンチマーク総合平均スコア 31,901

NVIDIA GeForce RTX 2070 Superチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

21位: NVIDIA GeForce Titan X

メーカー・モデル名NVIDIA TITAN X
CUDA Core数3,584
ブーストクロック1,531 MHz
メモリ容量12GB
共有キャッシュ3MB
単精度性能10.9742 TFLOPS
倍精度性能0.3429 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP250W
発売日2016年8月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,417 MHz
ピクセル・レート146.9 GPixel毎秒
テクスチャ・レート342.9 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5X
メモリクロック10 GT毎秒
メモリバス幅384bit
メモリ帯域幅480 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP102-400-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度25.5 MTr/mm²
トランジスタ数120億
ダイサイズ471mm²
SM数28
無効化SM数2
TMU数224
ROPユニット数96
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink4-waySLI対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)2,261
3DMark Night Raid(DX12)103,025
3DMark Time Spy(DX12)10,311
3DMark Wild Life(DX12)62,009
3DMark Fire Strike(DX11)31,227
PassMark GPU13,660
Userbenchmark GPU(実効)133
Userbenchmark DX10139
GPUベンチマーク名 NVIDIA TITAN Xのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 2,261
3DMark Night Raid(Graphics) 103,025
3DMark Time Spy(Graphics) 10,311
3DMark Wild Life(Graphics) 62,009
3DMark Fire Strike(Graphics) 31,227
PassMark GPU(Videocard) 13,660
Userbenchmark(Effective) 133
Userbenchmark(DX10) 139
Userbenchmark(DX9) 174
GPUベンチマーク総合平均スコア 32,461

2016年8月リリースの古いGPUでPascalアーキテクチャの中でも高額品です。メモリ容量が12GBなのがその理由です。このGPUは買うためのものではなく「性能の位置」を見るための参考値として重要です。

このTitanXは、Turingより1世代前のPascalアーキテクチャを採用した世代のNVIDIA製品の基本中の基本となっている根幹とも言える製品です。

GTX1080TiもQuadro GP100も全てこのTitanXの派生として簡単に導き出せます。

TITAN Xのコア数を3,584コアそのままで動作周波数を「引き上げた」のが1080Tiです。

そしてTITAN Xのコア数のままで倍精度浮動小数点演算能力に特化しつつ、動作周波数を「引き下げた」のがQuadro GP100です。

なぜ1080Tiでは動作周波数を引き上げたのかというと、ゲームを高速化するにはそれが一番手っ取り早いからです。

22位: NVIDIA GeForce RTX 2070

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2070
CUDA Core数2,304
ブーストクロック1,620 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能7.46496 TFLOPS
倍精度性能0.23328 TFLOPS
Tensor Core性能59.71968 TFLOPS
TDP175W
発売日2018年10月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,410 MHz
ピクセル・レート103.68 GPixel毎秒
テクスチャ・レート233.28 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU106-400-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.3 MTr/mm²
トランジスタ数108億
ダイサイズ445mm²
SM数36
無効化SM数0
TMU数144
ROPユニット数64
Tensor Core数288
RayTracing Core数36
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)1,893
3DMark Port Royal(DX12)5,186
3DMark Night Raid(DX12)91,124
3DMark Time Spy(DX12)9,125
3DMark Wild Life(DX12)52,436
3DMark Fire Strike(DX11)23,197
PassMark GPU16,108
Userbenchmark GPU(実効)106
Userbenchmark DX10136
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2070のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 1,893
3DMark Port Royal(Graphics) 5,186
3DMark Night Raid(Graphics) 91,124
3DMark Time Spy(Graphics) 9,125
3DMark Wild Life(Graphics) 52,436
3DMark Fire Strike(Graphics) 23,197
PassMark GPU(Videocard) 16,108
Userbenchmark(Effective) 106
Userbenchmark(DX10) 136
Userbenchmark(DX9) 127
GPUベンチマーク総合平均スコア 28,590

RTX2070はGTX1080を上回る性能を有している上にそれなりに安いので人気のあるモデルです。全長16cm程度のヒートシンクとファン×1でも冷やし切れるため、全長170mm以内に抑えたMini ITXマザーボードからはみ出さないタイプのショートタイプグラボが存在するのもRTX2070のメリットです。

大多数のゲームにおいては下記のRadeon VIIよりもこちらのRTX2070のほうがフレームレートが高くなる上にこちらの2070のほうがRadeon VIIより安いため2070をおすすめします。

RTX2070における各ゲームのフレームレートベンチマークではRTX2080無印と比べると、PUBGのフレームレートが大きく減少しています。一方でApex Legendsはほとんど低下していません。PUBGをするならRTX2080を選んでおくのがおすすめです。

NVIDIA GeForce RTX 2070チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

23位: AMD Radeon VII

メーカー・モデル名AMD Radeon VII
SP数3,840
ブーストクロック1,750 MHz
メモリ容量16GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能13.824 TFLOPS
倍精度性能3.4585 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP300W
発売日2019年2月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,400 MHz
ピクセル・レート112 GPixel毎秒
テクスチャ・レート420 GTexel毎秒
メモリタイプHBM2
メモリクロック2 GT毎秒
メモリバス幅4096bit
メモリ帯域幅1,028 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャGCN 5th gen (Radeon VII series)
コードネームVega 20
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度39.9 MTr/mm²
トランジスタ数132億
ダイサイズ331mm²
Compute Unit数60
無効化CU数4
TMU数240
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)99,004
3DMark TimeSpy(DX12)8,911
3DMark Wild Life(DX12)55,239
3DMark FireStrike(DX11)27,972
PassMark GPU16,837
Userbenchmark GPU(実効)110
Userbenchmark DX10113
GPUベンチマーク名 AMD Radeon VIIのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 99,004
3DMark Time Spy(Graphics) 8,911
3DMark Wild Life(Graphics) 55,239
3DMark Fire Strike(Graphics) 27,972
PassMark GPU(Videocard) 16,837
Userbenchmark(Effective) 110
Userbenchmark(DX10) 113
Userbenchmark(DX9) 151
GPUベンチマーク総合平均スコア 32,801

Radeon VIIは2019年2月発売のGPUですが、2017年3月発売のGeForce GTX 1080Tiのゲーム性能を大幅に下回っています。2016年発売のGTX1080よりは性能は上です。しかしRadeon VIIは10万円近くするので、6万円程度だったGTX1080に比べたらコストパフォーマンスは圧倒的に悪いです。

Radeon VIIは2019年発売のGeForce RTX 2070と性能がほぼ互角です。ただしそれはレイトレーシング非対応ゲームに関してはほぼ互角というだけです。もしレイトレーシング対応ゲームで評価するとなると、Radeon VIIはRTX2070よりも大きく劣ります。

つまりRadeon VIIを買うなら1080TiかRTX2070を買ったほうがお得です。ただし1080Tiは既に品薄で手に入りづらく売っていても高値になってしまっているので、RTX2070が選択肢になります。RTX2070のほうがRadeon VIIより数万円程度安いので、合理的に判断するならばRadeon VIIよりもGeForce RTX2070のほうが得です。

それでも業界1位を嫌って業界第2位を応援したいユーザはこのRadeon VIIを選ぶようなので、合理的判断を抜きにして「AMDが好きだから」という判官びいきで買うのならRadeon VIIはおすすめだと思います。

Radeon VIIが評価できるのはRayTracing CoreやTensor Coreといったものを搭載せずに、シェーダ描画しているゲーム向けに純粋に特化したグラボに仕上がっていることです。

特にApexLegendsに関してはRTX2070を上回りRTX2080を少し下回る程度のフレームレートを叩き出しています。他のゲームだと微妙ですが、PUBGからApexへごっそり移動した現在ではPUBGのフレームレートは無視していいでしょうし、Apex重視ならこのRadeon VIIはおすすめできます。

AMD Radeon VIIチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

24位: NVIDIA GeForce GTX 1080

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1080
CUDA Core数2,560
ブーストクロック1,733 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ2MB
単精度性能8.8729 TFLOPS
倍精度性能0.2772 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP180W
発売日2017年4月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,607 MHz
ピクセル・レート110.9 GPixel毎秒
テクスチャ・レート277.2 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5X
メモリクロック11 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅352 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP104-410-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度22.9 MTr/mm²
トランジスタ数72億
ダイサイズ314mm²
SM数20
無効化SM数0
TMU数160
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink4-waySLI対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)1,634
3DMark Night Raid(DX12)81,404
3DMark Time Spy(DX12)7,598
3DMark Wild Life(DX12)48,850
3DMark Fire Strike(DX11)22,768
PassMark GPU15,346
Userbenchmark GPU(実効)106
Userbenchmark DX10123
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1080のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 1,634
3DMark Night Raid(Graphics) 81,404
3DMark Time Spy(Graphics) 7,598
3DMark Wild Life(Graphics) 48,850
3DMark Fire Strike(Graphics) 22,768
PassMark GPU(Videocard) 15,346
Userbenchmark(Effective) 106
Userbenchmark(DX10) 123
Userbenchmark(DX9) 135
GPUベンチマーク総合平均スコア 26,706

GTX1070の150Wよりも30W発熱量が多くなっています。GTX1080は事実上Pascal世代最高性能のGPUです。実は1080Tiよりも1080のほうが高性能になる(例えばゲームにおいてフレームレートが高くなる)ことが多々あります。その理由として1080はコア数こそ1080Tiより少ないものの、動作周波数は1080のほうが高いからです。

この1080は980Tiと比較してどうなのかという有名な論点があります。これについては答えが出ています。基本的にグラフィックボードはCUDA Coreと呼ばれる整数・浮動小数演算器のコア数が多ければ多いほど速くなります。1080はコア数が980tiよりも少ないことが、「1080よりも980tiの方が速い」と一部の人達から未だに言われている根拠です。しかし、1080はコア数を減らした上で動作周波数を上げたので980Tiより高速になっています。この動作周波数が上がったことが1080が980Tiより高速になった一つの理由です。現在流行りのマルチコア化は「周波数を下げる」ことと「コアを増やす」ことを同時にやることです。ですが1080では少し逆戻りし、「周波数を上げて」「コアを減らす」ということをやりました。なぜこのようなことをしたかと言えば、多すぎるコア数を使い切れるゲームがないからです。それならば余分なコアを削って、その余裕ができた分だけ動作周波数を上げたのが1080です。

動作周波数を上げると1クロックあたりに電気信号が進める長さが短くなってしまい技術的に難しいのですが、コア数を減らすことで1080は動作周波数を上げることに成功しました。

GTX1080が高速になったもう一つの理由は、「倍精度」浮動小数点演算のコアを削って、その分だけ「単精度」浮動小数点演算のコアを増やしたことです。ゲームというのは「単精度」浮動小数点演算が重要であり、「倍精度」はそこまで必要としません。科学技術計算が「倍精度」かそれ以上を要求するのとはゲームは違います。ゲームでは64ビット用いる倍精度浮動小数点演算よりも、32ビット単精度浮動小数点演算用の演算器に半導体チップ面積を大きく割り当てた方が速くなるので、1080ではそのような最適化をしました。つまりはゲーム用途に徹底的に最適化したものが1080です。

GeForce GTX 1080で実行した各ゲームのフレームレートベンチマークでは、Apex Legendsで121fpsを実現していることから十分なフレームレートを叩き出していますが、PUBGでは87fpsしかなく60Hzモニタでゲームをするレベルのフレームレートに留まっています。グラフィック描画処理が重いゲームをやるのなら最低でもRTX2070、できればRTX2080以上を選択しておきたいところです。

NVIDIA GeForce GTX 1080チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

25位: NVIDIA GeForce RTX 2060 Super

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2060 Super
CUDA Core数2,176
ブーストクロック1,650 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能7.180 TFLOPS
倍精度性能0.224 TFLOPS
Tensor Core性能57.44640 TFLOPS
TDP175W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,470 MHz
ピクセル・レート105.60 GPixel毎秒
テクスチャ・レート224.40 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU106-410-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度24.3 MTr/mm²
トランジスタ数108億
ダイサイズ445mm²
SM数34
無効化SM数2
TMU数136
ROPユニット数64
Tensor Core数272
RayTracing Core数34
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)1,836
3DMark Port Royal(DX12)5,073
3DMark Night Raid(DX12)91,434
3DMark Time Spy(DX12)8,792
3DMark Wild Life(DX12)51,578
3DMark Fire Strike(DX11)22,497
PassMark GPU16,568
Userbenchmark GPU(実効)99.2
Userbenchmark DX10131
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2060 Superのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 1,836
3DMark Port Royal(Graphics) 5,073
3DMark Night Raid(Graphics) 91,434
3DMark Time Spy(Graphics) 8,792
3DMark Wild Life(Graphics) 51,578
3DMark Fire Strike(Graphics) 22,497
PassMark GPU(Videocard) 16,568
Userbenchmark(Effective) 99.2
Userbenchmark(DX10) 131
Userbenchmark(DX9) 122
GPUベンチマーク総合平均スコア 28,030

2019年7月発売。RTX2060SuperはRTX2070やRTX2060と同じTU106チップを用いていることから、RTX2060より上位でRTX2070より下位という位置づけです。しかし技術的に見れば、RTX2060の性能を引き上げたというよりも、RTX2070の性能を引き下げたという位置づけが妥当であり、RTX2060Superの性能はRTX2070に近いです。

まずTU106チップはStreaming Multiprocessorが全36コアあり、そのうち全て有効化し36コアにしたものがRTX2070、2つ無効化し34コアにしたものがRTX2060Super、6つ無効化し30コアにしたものがRTX2060です。つまりRTX2060から見たRTX2060Superのコア数は大幅に増えています。

コア数以外でも、RTX2060SuperがRTX2070により近い点があります。RTX2060のL2キャッシュサイズが3MBなのに対して、RTX2060SuperとRTX2070のL2キャッシュは両方とも4MBあります。

メモリの観点からもRTX2060SuperはRTX2070寄りです。RTX2060のメモリバス幅が192bitなのに対し、RTX2060SuperとRTX2070は256bitあります。これによりRTX2060SuperとRTX2070のメモリ帯域幅は448GB毎秒を達成しており、RTX2060の336MB毎秒を上回ります。

このように、RTX2060SuperのスペックはRTX2060よりもRTX2070により近くなっています。

それどころかRTX2070よりもRTX2060Superのほうが優れている点があります。それはクロック周波数です。コア数についてはRTX2070よりもRTX2060が少ないです。その代わりクロック周波数についてはRTX2060SuperがRTX2070を上回ります。リファレンスモデルにおけるRTX2060Superのベースクロック1,470MHz,ブーストクロック1,650MHzは、RTX2070のベースクロック1,410MHz,ブーストクロック1,620MHzを上回っています。

用途によってはコア数の多さよりもクロック周波数の高さが性能向上で有利になることがあります。ゲーム用途であってもPUBGのようにクロック周波数の高さがフレームレート向上に有利なゲームも存在します。主要用途を考慮してRTX2070かRTX2060Superどちらにするか選択するのがいいでしょう。

NVIDIA GeForce RTX 2060 Superチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

26位: NVIDIA GeForce RTX 2060

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce RTX 2060
CUDA Core数1,920
ブーストクロック1,680 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ3MB
単精度性能6.4512 TFLOPS
倍精度性能0.2016 TFLOPS
Tensor Core性能51.60960 TFLOPS
TDP160W
発売日2019年1月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,365 MHz
ピクセル・レート80.64 GPixel毎秒
テクスチャ・レート201.60 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅336 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 2000 series)
コードネームTU106-200-KA-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度25.0 MTr/mm²
トランジスタ数136億
ダイサイズ445mm²
SM数30
無効化SM数6
TMU数120
ROPユニット数48
Tensor Core数240
RayTracing Core数30
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)1,397
3DMark Port Royal(DX12)4,150
3DMark Night Raid(DX12)82,443
3DMark Time Spy(DX12)7,604
3DMark Wild Life(DX12)46,299
3DMark Fire Strike(DX11)19,718
PassMark GPU13,987
Userbenchmark GPU(実効)88.6
Userbenchmark DX10108
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce RTX 2060のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Speed Way(Graphics) 1,397
3DMark Port Royal(Graphics) 4,150
3DMark Night Raid(Graphics) 82,443
3DMark Time Spy(Graphics) 7,604
3DMark Wild Life(Graphics) 46,299
3DMark Fire Strike(Graphics) 19,718
PassMark GPU(Videocard) 13,987
Userbenchmark(Effective) 88.6
Userbenchmark(DX10) 108
Userbenchmark(DX9) 114
GPUベンチマーク総合平均スコア 24,299

1世代前のGTX1070と同じCUDA Core数を持ちますが、性能がほとんど向上していません。しかもTDPを10W上乗せしてTDP160Wにしてこの性能ですから、事実上消費電力量をアップさせて達成した性能向上に見えます。

消費電力が増えたことで補助電源も8ピンになっています。GTX1070では補助電源は6ピン×1でした。6ピン補助電源は最大で75Wを供給すると規格化されています(実際はもっと多くの電力を取り出せますが規格で制限しています)。つまりマザーボードからの供給電力75Wと、6ピン補助電源の75Wでは150W止まりであり、RTX2060のTDP160Wの発熱量(消費電力はTDPより大きくなる)をまかないきれないためRTX2060では8ピン補助電源となりました。8ピン補助電源では最大150Wが規格化されているため、マザーボードからの75Wと合算して225Wもの電力供給があることになり、オーバークロックするとしたらかなり電力に余裕があります。

GTX1070と比較してほとんど性能向上していない理由は、RayTracingCoreやTensorCoreを搭載してしまったためゲーム用演算回路が1世代前からほぼ増加しなかったからです。ユーザーが求めていない機能をメーカーの独善で搭載してしまい失敗した典型例の一つになります。

GeForce RTX 2060で各ゲームを実行したフレームレートベンチマーク結果は非常に興味深い結果です。まずGTX1080よりもフレームレートで勝っているゲームもあれば、RTX2060が負けているゲームもあります。

GTX1080比でRTX2060のフレームレートが大きく下がったのがApex Legendsです。100fps割れしています。GTX1080では120fps超していたので大きな下落です。またApex LegendsにおいてはGTX1070TiのフレームレートよりもRTX2060が下です。

一方でGTX1080よりもフレームレート数が向上したのがPUBGです。RTX2060では102fpsになっており、GTX1080の87fpsから増加し100fps台に乗っています。

このような結果になったのはRTX2060はCUDA Core数がGTX1080よりも少ないものの、リファレンスモデルのクロックではGTX1080と同レベルを実現しているからです。さらに補助電源8ピン×1による225Wの電力供給に余裕があるためファクトリーオーバークロックされたオリジナルファンモデルのグラフィックボードだとコア数が少ないRTX2060がGTX1080より有利になります。1コアあたりの性能の高さがRTX2060でPUBGのフレームレートが伸びた要因です。

このようにRTX2060ではゲームによって大きく差がつくので、どのゲームをやるかでGPUを選択する必要があります。

NVIDIA GeForce RTX 2060チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

27位: AMD Radeon RX 5700 XT

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 5700 XT
SP数2,560
ブーストクロック1,905 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能9.754 TFLOPS
倍精度性能0.6096 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP225W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,605 MHz
ピクセル・レート121.9 GPixel毎秒
テクスチャ・レート304.8 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 1.0 (Radeon RX 5000 series)
コードネームNavi 10 XT
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度41.0 MTr/mm²
トランジスタ数103億
ダイサイズ251mm²
Compute Unit数40
無効化CU数0
TMU数160
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)103,481
3DMark TimeSpy(DX12)9,401
3DMark Wild Life(DX12)60,371
3DMark FireStrike(DX11)27,488
PassMark GPU16,909
Userbenchmark GPU(実効)95.6
Userbenchmark DX10109
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 5700 XTのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 103,481
3DMark Time Spy(Graphics) 9,401
3DMark Wild Life(Graphics) 60,371
3DMark Fire Strike(Graphics) 27,488
PassMark GPU(Videocard) 16,909
Userbenchmark(Effective) 95.6
Userbenchmark(DX10) 109
Userbenchmark(DX9) 139
GPUベンチマーク総合平均スコア 32,748

Radeon RX 5700XTはRadeon VIIより2ランク下のGPUとして投入されたAMD製GPUです。

RX5700XTは単精度32bit(FP32)演算器を2560コア搭載しています。2304コアのRTX2070より多く、2944コアのRTX2080より少ないです。

コア数だけ見ればRTX2070とRTX2080の中間にRadeon RX 5700XTが位置するように思えます。

しかし実際はGeForce RTX 2060より下のフレームレート性能です。

RX5700XTはGeForce RTX 2070のカウンターパートとなることを想定して投入されました。しかしAMD RadeonはNVIDIAよりも技術力で大きく劣っているため「対抗馬として想定しているGeForceモデルよりワンランク下のGPUに負ける」という傾向が続いており、RX5700XTも同じくRTX2060より下の性能になりました。

RX590でも勝てなかったGTX1070に勝てたのがRX5700XTの大きな進歩です。

そしてあまり注目されていないPCIe 4.0対応ですがこれには理由があります。GPUをコプロセッサとして使うGPGPU用途はPCIe 4.0の恩恵を大きく受けることができます。

一方でゲーム用途ではGPU1基ならPCIe3.0×8(64Gbps)の帯域があれば十分であることがわかっています。PCIe3.0×16(128Gbps)と×8(64Gbps)でどれほどフレームレート性能が変わるのか海外でもよく検証されていますが、結果はほぼ同じフレームレートで誤差の範囲内です。

ここでレーン数を更に少なくしてPCIe3.0×4(32Gbps)接続のGPUになると大きくフレームレートが落ちます。バスの帯域幅がボトルネックになっているためです。これは外付けのGPUをThunderbolt 3(40Gbps)で接続するとGPU本来の性能が出せずにフレームレートが下がるのと同じです。ゲーム用途のGPUではThunderbolt 3のような40Gbpsでは足りませんが64Gbpsもあれば十分です。つまりCPU管理のPCIe3.0×16の通信規格でSLI構成する場合は2-wayが限界です。

この点、PCIe4.0対応なら4-way SLIも可能になります。CPU管理のPCIe4.0のレーン数が16だと仮定してもPCIe4.0×4だけで64Gbpsもの帯域幅が得られるからです。4レーンでもフレームレートが落ちないとなれば4-way SLIも可能です。

ただゲームにおいて必要となるのはGPU×2くらいでせいぜい2-wayのSLI構成です。それならPCIe3.0×8の帯域幅でも十分だということでPCIe4.0接続のGPUはゲーマーにあまりアピールしにくい要素だったのでRadeon RX5700でもそれほど強調されていません。

しかしGPGPUとしての用途だったらPCIe4.0接続対応は大きなメリットがあるので積極的にPCIe4.0対応のGPUを採用する動機づけがあります。

AMD Radeon RX 5700 XTチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

派生モデル:AMD Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition
SP数2,560
ブーストクロック1,980 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能10.138 TFLOPS
倍精度性能0.6336 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP235W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,680 MHz
ピクセル・レート126.7 GPixel毎秒
テクスチャ・レート316.8 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 1.0 (Radeon RX 5000 series)
コードネームNavi 10 XTX
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度41.0 MTr/mm²
トランジスタ数103億
ダイサイズ251mm²
Compute Unit数40
無効化CU数0
TMU数160
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)
3DMark TimeSpy(DX12)
3DMark Wild Life(DX12)
3DMark FireStrike(DX11)
Userbenchmark GPU(実効)
Userbenchmark DX10

RX5700XTから動作クロックを少し高めただけのGPUです。クロックを高めた分だけTDPが上昇しておりその他のスペックは全く同じです。クロックを引き上げても正常に動作するチップを選別しているので価格が少し高くなっています。

これはRX590とRX580の関係と非常に似ています。RX590はRX580のクロックを引き上げただけのモデルとして登場しました。コア数等他のスペックは同じでした。RX590とRX580どちらがメインストリームかといえば当然RX580です。

これはRX5700シリーズでも同じで、「RX5700XT」と「RX5700XT Anniversary Edition」のどちらがメインストリームかと言えば当然RX5700XTです。Compute Unitを増やして搭載するFP32演算器を増やしていればRX5700XTより大きく高性能になっていましたが、コア数は全く同じでクロックを引き上げただけなので「ほんの少しだけRX5700XTよりマシ」という出来に仕上がっています。

このAnniversary Editionは米国・カナダといった北米各国、英国を含んだドイツ・フランス等の欧州各国でのみ正規販売され日本国内では正規品として販売されません。

28位: NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti
CUDA Core数2,432
ブーストクロック1,683 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ2MB
単精度性能8.1861 TFLOPS
倍精度性能0.2558 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP180W
発売日2017年11月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,607 MHz
ピクセル・レート107.7 GPixel毎秒
テクスチャ・レート256 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5
メモリクロック8 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅256 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP104-300-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度22.9 MTr/mm²
トランジスタ数72億
ダイサイズ314mm²
SM数19
無効化SM数1
TMU数152
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)1,489
3DMark Night Raid(DX12)77,792
3DMark Time Spy(DX12)6,851
3DMark Wild Life(DX12)44,317
3DMark Fire Strike(DX11)20,121
PassMark GPU14,627
Userbenchmark GPU(実効)96.3
Userbenchmark DX10110
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1070 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 1,489
3DMark Night Raid(Graphics) 77,792
3DMark Time Spy(Graphics) 6,851
3DMark Wild Life(Graphics) 44,317
3DMark Fire Strike(Graphics) 20,121
PassMark GPU(Videocard) 14,627
Userbenchmark(Effective) 96.3
Userbenchmark(DX10) 110
Userbenchmark(DX9) 125
GPUベンチマーク総合平均スコア 24,577

CUDA Cores:2,423、ベースクロック1,607MHz、ブーストクロック1,683MHz、TDP180W

GTX1070TiはPascal世代のGPUの中でも遅れてでてきたモデルです。

GTX1080と1070無印の間を埋めるという意味もありますが、GTX1070Tiの特徴は「1コアあたりの性能の高さ」にあります。

まずCUDA Core数はGTX1080より少ないです。その点はGTX1080より劣っています。しかしGTX1070Tiリファレンスモデルのベースクロックは1,607MHzでありGTX1080と同じです。リファレンスモデルのブーストクロックはGTX1070Tiが1,683MHzしかなく、GTX1080のリファレンスモデルブーストクロック1,733MHzより劣っていますが、ASUS等の各グラボメーカから発売されているオリジナルファンモデルならベースクロックもブーストクロックもファクトリーオーバークロックされているため、CUDA Core数が少ない分だけGTX1070Tiはオーバークロックで有利です。

そのため結果的にGTX1080とほぼ変わりないフレームレートベンチマーク結果となっています。

GeForce GTX 1070Tiで各ゲームを実行したフレームレートベンチマーク結果で着目すべき点はPUBGのフレームレート88fpsがGTX1080無印の87fpsと同レベルだということです。この1fpsは誤差の範囲でしょうがPUBGに限るならばGTX1070TiはGTX1080と同程度のフレームレートを叩き出します。PUBGは計算すべきオブジェクトの数が少ないのでコア数は少なくてもいいからクロックを高くしたほうが有利であり、動作クロックがGTX1080と同程度のGTX1070TiはGTX1080と同じレベルのフレームレートになります。

一方でApex LegendsはGTX1070TiではGTX1080と比較してマイナス20fps程度の103fpsとなっています。Apex Legendsではコア数の多さが重要なのでこのような結果になります。

29位: AMD Radeon RX 5700

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 5700
SP数2,304
ブーストクロック1,725 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ4MB
単精度性能7.949 TFLOPS
倍精度性能0.4968 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP180W
発売日2019年7月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,465 MHz
ピクセル・レート110.4 GPixel毎秒
テクスチャ・レート248.4 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅448 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 1.0 (Radeon RX 5000 series)
コードネームNavi 10 XL
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度41.0 MTr/mm²
トランジスタ数103億
ダイサイズ251mm²
Compute Unit数36
無効化CU数4
TMU数144
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU2-way対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)91,384
3DMark TimeSpy(DX12)8,316
3DMark Wild Life(DX12)53,268
3DMark FireStrike(DX11)24,595
PassMark GPU14,640
Userbenchmark GPU(実効)85.1
Userbenchmark DX1096.6
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 5700のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 91,384
3DMark Time Spy(Graphics) 8,316
3DMark Wild Life(Graphics) 53,268
3DMark Fire Strike(Graphics) 24,595
PassMark GPU(Videocard) 14,640
Userbenchmark(Effective) 85.1
Userbenchmark(DX10) 96.6
Userbenchmark(DX9) 124
GPUベンチマーク総合平均スコア 28,937

Radeon VIIより3ランク下のグレードとして2019年5月に発表されたGPUです。

コア数はRadeon RX 590と同じです。つまりコア数を維持したままコア性能を引き上げたのがこのRX 5700です。RX580→RX590にかけてはコア数を維持したままクロックを引き上げただけでした。そして今回もRX590→RX5700にかけてコア数を維持したままクロックを引き上げたものになっています。

Radeon RX 5700のTDPはRadeon RX 590より低いTDP180Wです。Radeon RX 590がGeForce GTX 1660無印より下の性能だったことを鑑みると、RX5700がGeForce GTX1660無印より上の性能になったということは大きな前進です。

AMDとしてはRadeon VIIのカウンターパートはGeForce RTX2080無印、Radeon RX 5700XTのカウンターパートはGeForce RTX2070、Radeon RX 5700のカウンターパートはGeForce RTX 2060を想定しています。

しかし実際は、GeForce RTX 2080無印のカウンターパートとなることを意識して投入されたRadeon VIIはフレームレートベンチマークでRTX 2070未満のフレームレートしか出せていません。

このようにAMDのGPUは「本来カウンターパートとして想定しているGeForceモデルの1ランク下のモデルに負ける」ということが常態化しています。

つまりRadeon RX 5700を買うならGeForce RTX 2060のほうが得どころかGeForce GTX1070Tiでも十分です。

AMD Radeon RX 5700チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

30位: NVIDIA GeForce GTX 1070

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1070
CUDA Core数1,920
ブーストクロック1,683 MHz
メモリ容量8GB
共有キャッシュ2MB
単精度性能6.4627 TFLOPS
倍精度性能0.2019 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP150W
発売日2016年6月/2018年12月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,506 MHz
ピクセル・レート107.7 GPixel毎秒
テクスチャ・レート201.9 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5/GDDR5X
メモリクロック8 GT毎秒
メモリバス幅256bit
メモリ帯域幅256 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP104-200-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度22.9 MTr/mm²
トランジスタ数72億
ダイサイズ314mm²
SM数15
無効化SM数5
TMU数120
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink4-waySLI対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)1,244
3DMark Night Raid(DX12)71,862
3DMark Time Spy(DX12)6,094
3DMark Wild Life(DX12)40,257
3DMark Fire Strike(DX11)18,715
PassMark GPU13,501
Userbenchmark GPU(実効)79.8
Userbenchmark DX1096
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1070のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 1,244
3DMark Night Raid(Graphics) 71,862
3DMark Time Spy(Graphics) 6,094
3DMark Wild Life(Graphics) 40,257
3DMark Fire Strike(Graphics) 18,715
PassMark GPU(Videocard) 13,501
Userbenchmark(Effective) 79.8
Userbenchmark(DX10) 96
Userbenchmark(DX9) 104
GPUベンチマーク総合平均スコア 21,939

1,920コア 単精度5.783TFlops、倍精度0.181TFlops TDP150W

Displayport 4K対応。HDMI2.0対応。PCI Express 3.0 x 16。最大同時表示画面数4画面。

1070になるとTDPは150Wになり、1060より発熱量が30W上昇します。しかしこれはあまり大きな上昇幅ではありません。1050Tiの75Wから1060の120Wのほうが大きな上昇幅です。

GeForce GTX 1070を使った各ゲームでのフレームレートベンチマーク結果では最も重いゲームに属するPUBGでも80fpsを実現しています。60Hzモニタで使うなら十分な性能です。Apex LegendsはGTX1080では120fps近いフレームレートがありましたがGTX1070では91fpsまで落ちています。これらのゲームで120fps以上を求めるユーザだとGTX1070は少し役不足かもしれません。ただし、軽いことで有名なFortniteは120fps以上をキープしているのでゲームによってはGTX1070でも十分です。

NVIDIA GeForce GTX 1070チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

31位: NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti
CUDA Core数1,536
ブーストクロック1,770 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ1.5MB
単精度性能5.43744 TFLOPS
倍精度性能0.16992 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP120W
発売日2019年2月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,500 MHz
ピクセル・レート72.00 GPixel毎秒
テクスチャ・レート144.00 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック12 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅288.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 1600 series)
コードネームTU116-400-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度23.2 MTr/mm²
トランジスタ数66億
ダイサイズ284mm²
SM数24
無効化SM数0
TMU数96
ROPユニット数48
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)1,657
3DMark Night Raid(DX12)75,482
3DMark Time Spy(DX12)6,378
3DMark Wild Life(DX12)39,457
3DMark Fire Strike(DX11)16,605
PassMark GPU11,869
Userbenchmark GPU(実効)76.2
Userbenchmark DX1087.6
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1660 Tiのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 1,657
3DMark Night Raid(Graphics) 75,482
3DMark Time Spy(Graphics) 6,378
3DMark Wild Life(Graphics) 39,457
3DMark Fire Strike(Graphics) 16,605
PassMark GPU(Videocard) 11,869
Userbenchmark(Effective) 76.2
Userbenchmark(DX10) 87.6
Userbenchmark(DX9) 95.1
GPUベンチマーク総合平均スコア 21,139

1,536コア 単精度5.437TFlops、倍精度0.1699TFlops TDP120W

2019年発売なのに2016年発売のGTX1070無印よりもゲーム性能が低い微妙なチップです。レイトレーシング専用の演算回路が非搭載である点は評価できますが、レイトレーシングコアを削った割には性能が伸びていません。RTX2080TiからRayTracingCoreやTensorCoreといった一般的なゲーマーに不要な演算回路を全面的に削り、その空いた面積をゲーム用の演算用回路に置き換えたチップがリリースされるまで待ったほうがいいくらいの出来です。

NVIDIA GeForce GTX 1660 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

32位: NVIDIA GeForce GTX 1660 Super

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1660 Super
CUDA Core数1,408
ブーストクロック1,785 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ1.5MB
単精度性能5.02700 TFLOPS
倍精度性能0.15708 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP125W
発売日2019年10月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,530 MHz
ピクセル・レート73.44 GPixel毎秒
テクスチャ・レート134.64 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅336.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 1600 series)
コードネームTU116-300-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度23.2 MTr/mm²
トランジスタ数66億
ダイサイズ284mm²
SM数22
無効化SM数2
TMU数88
ROPユニット数48
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)1,563
3DMark Night Raid(DX12)73,975
3DMark Time Spy(DX12)6,086
3DMark Wild Life(DX12)38,824
3DMark Fire Strike(DX11)16,155
PassMark GPU12,768
Userbenchmark GPU(実効)70.5
Userbenchmark DX1087.1
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1660 Superのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Port Royal(Graphics) 1,563
3DMark Night Raid(Graphics) 73,975
3DMark Time Spy(Graphics) 6,086
3DMark Wild Life(Graphics) 38,824
3DMark Fire Strike(Graphics) 16,155
PassMark GPU(Videocard) 12,768
Userbenchmark(Effective) 70.5
Userbenchmark(DX10) 87.1
Userbenchmark(DX9) 88.8
GPUベンチマーク総合平均スコア 20,778

1,408コア、ブーストクロック1,785MHz

このGeForce GTX 1660 Superは、GeForce GTX 1660とコア数も、リファレンスモデルのクロック周波数も一緒ですが、メモリ帯域がGTX1660より強化されています。たったそれだけの違いしかありません。

既にGeForce GTX 1660を持っている人が、このGeForce GTX 1660 Superに買い換える必要性は全くありません。これからGeForce GTX 1660を買うくらいなら、代わりにこのGeForce GTX 1660 Superを買ったほうがいいくらいの位置づけです。

NVIDIA GeForce GTX 1660 Superチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

33位: NVIDIA GeForce GTX 1660

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1660
CUDA Core数1,408
ブーストクロック1,785 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ1.5MB
単精度性能5.02700 TFLOPS
倍精度性能0.15708 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP120W
発売日2019年10月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,530 MHz
ピクセル・レート73.44 GPixel毎秒
テクスチャ・レート134.64 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5
メモリクロック8 GT毎秒
メモリバス幅128bit
メモリ帯域幅192.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 1600 series)
コードネームTU116-300-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度23.2 MTr/mm²
トランジスタ数66億
ダイサイズ284mm²
SM数22
無効化SM数2
TMU数88
ROPユニット数48
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark Night Raid(DX12)65,774
3DMark Time Spy(DX12)5,455
3DMark Wild Life(DX12)33,532
3DMark Fire Strike(DX11)14,150
PassMark GPU11,725
Userbenchmark GPU(実効)68.7
Userbenchmark DX1071.8
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1660のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 65,774
3DMark Time Spy(Graphics) 5,455
3DMark Wild Life(Graphics) 33,532
3DMark Fire Strike(Graphics) 14,150
PassMark GPU(Videocard) 11,725
Userbenchmark(Effective) 68.7
Userbenchmark(DX10) 71.8
Userbenchmark(DX9) 87
GPUベンチマーク総合平均スコア 20,378

1,408コア、OC無ブーストクロック1,785MHz、5.027TFlops、TDP120W

1世代前のGTX1060よりは高性能です。それも当然であり、1060では6ピンの補助電源×1が標準的でしたが、Turing世代のGTX1660では8ピン×1の補助電源が標準的になっています(ごく一部6ピン×1のモデルが存在する)。このグラボを買うなら1世代前の1070か、Turing世代の1660Tiをおすすめします。1660Tiは1660よりCUDAコア数を増やしているもののTDP値は同じであり補助電源も8ピン×1で変化ありません。TDP値が120W級で同じでしかも補助電源も同じなら、1660よりも1660Tiのほうが価格さえ気にしなければメリットが大きいです。

NVIDIA GeForce GTX 1660チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

34位: AMD Radeon RX 5600 XT

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 5600 XT
SP数2,304
ブーストクロック1,750 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ3MB
単精度性能8.066 TFLOPS
倍精度性能0.504 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP150~160W
発売日2020年1月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,375 MHz
ピクセル・レート112 GPixel毎秒
テクスチャ・レート252 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅288~336 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 1.0 (Radeon RX 5000 series)
コードネームNavi 10 XLE
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度41.0 MTr/mm²
トランジスタ数103億
ダイサイズ251mm²
Compute Unit数36
無効化CU数4
TMU数144
ROPユニット数64
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)87,497
3DMark TimeSpy(DX12)7,589
3DMark Wild Life(DX12)49,669
3DMark FireStrike(DX11)22,272
PassMark GPU13,833
Userbenchmark GPU(実効)79.7
Userbenchmark DX1091.2
GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 5600 XTのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 87,497
3DMark Time Spy(Graphics) 7,589
3DMark Wild Life(Graphics) 49,669
3DMark Fire Strike(Graphics) 22,272
PassMark GPU(Videocard) 13,833
Userbenchmark(Effective) 79.7
Userbenchmark(DX10) 91.2
Userbenchmark(DX9) 117
GPUベンチマーク総合平均スコア 27,096

このRadeon RX 5600 XTはRadeon RX 5700と同じ「Navi 10」チップを使っているため、Radeon RX 5700をダウングレードした位置づけになります。

Radeon RX 5600 XTのCompute Unite数(NVIDIAでいうところのStreaming Multiprocessor数)は36基であり、Radeon RX 5700と全く同じです。その結果、Stream Processor数(NVIDIAでいうところのCUDA Core数)が2304基となっており、これもRadeon RX 5700と全く同じです。つまりコア数としてはRadeon RX 5700もRadeon RX 5600XTも同じです。

AMD Radeon RX 5600 XTチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

35位: NVIDIA GeForce GTX 1650 Super

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1650 Super
CUDA Core数1,280
ブーストクロック1,725 MHz
メモリ容量4GB
共有キャッシュ1.5MB
単精度性能4.41600 TFLOPS
倍精度性能0.13800 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP100W
発売日2019年11月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,530 MHz
ピクセル・レート48.96 GPixel毎秒
テクスチャ・レート122.40 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック12 GT毎秒
メモリバス幅128bit
メモリ帯域幅192.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 1600 series)
コードネームTU116-250-KA-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度23.2 MTr/mm²
トランジスタ数66億
ダイサイズ284mm²
SM数20
無効化SM数4
TMU数80
ROPユニット数32
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark Night Raid(DX12)59,637
3DMark Time Spy(DX12)4,701
3DMark Wild Life(DX12)29,952
3DMark Fire Strike(DX11)12,237
PassMark GPU10,075
Userbenchmark GPU(実効)59.7
Userbenchmark DX1064.7
GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GTX 1650 Superのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 59,637
3DMark Time Spy(Graphics) 4,701
3DMark Wild Life(Graphics) 29,952
3DMark Fire Strike(Graphics) 12,237
PassMark GPU(Videocard) 10,075
Userbenchmark(Effective) 59.7
Userbenchmark(DX10) 64.7
Userbenchmark(DX9) 76.8
GPUベンチマーク総合平均スコア 17,955

このGeForce GTX 1650 Superは、GeForce GTX 1650と比較し大幅に性能向上が図られています。

GeForce GTX 1660 SuperはGeForce GTX 1660に毛が生えた程度の差すらありませんでしたが、GeForce GTX 1650 SuperはGeForce GTX 1650と比較しCUDA Core数が+384増えており合計1,280コアです。

GeForce GTX 1650 SuperがGTX1650と比較して大幅に高性能になった理由は、GeForce GTX 1650 SuperのチップはTU116であり、GeForce GTX 1660,1660Super,1660Tiと同じものを採用しているからです。

つまりGeForce GTX 1650 SuperはGeForce GTX 1650のアップグレード版というよりも、GeForce GTX 1660をダウングレードし、性能を若干低くしたというのが正しい位置づけです。

36位: AMD Radeon RX 590

GPUベンチマーク名 AMD Radeon RX 590のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 62,220
3DMark Time Spy(Graphics) 4,780
3DMark Wild Life(Graphics) 31,304
3DMark Fire Strike(Graphics) 16,526
PassMark GPU(Videocard) 9,652
Userbenchmark(Effective) 60
Userbenchmark(DX10) 66.9
Userbenchmark(DX9) 79.6
GPUベンチマーク総合平均スコア 18,910

2,304コア、OC無ベースクロック1,469MHz、ブーストクロック1,545MHz、7.120TFlops、TDP225W

RX580と同じコア数のまま動作周波数を引き上げた焼き直し版として2018年末に発売されたGPUです。AMDにとって2018年末~2019年初頭時点での本命はRadeon VIIであり、このRX590は第5世代RXチップの在庫処分目的でリリースされました。

AMDの決算発表を見るとわかりますが、2017年の仮想通貨ブームでAMDはRadeon RXチップを大量生産しました。しかし2018年に仮想通貨が暴落しブームが終了したことでチップが在庫として大量に積み上がってしまいました。その在庫をさばくためにRX580の焼き直し品としてこのRX590が企画されたわけです。

そのおかげでAMDの2018年1月~12月の通年決算は純利益(最終利益)が赤字でした。2019年1月~3月に順調にRadeon RXのチップ在庫を解消したことで、2019年1月~3月決算は純利益1600万ドルで一応黒字になっているのでこの在庫処分の効果がでているようです(ちなみにIntelは同期間の純利益40億ドルの黒字)。

このRX590は明確なコンセプトがあって企画されたものではなく単に在庫品が損失に化けてしまうのを防止するのが目的でありビジョンが全くないので、ゲーミング性能は1660無印にも負けており微妙な出来です。しかしPUBGでは大差で1660無印に負けていても、Apex Legendsでは健闘しているのでApexをするなら悪くないグラボです。

Radeon RX 590で各ゲームを実行したときのフレームレートベンチマーク結果ではグラフィック処理が軽いと言われてるFortniteでも100fpsを超える程度で、Apex Legendsも95fpsなので悪くはない数字です。しかしPUBGではRX 590をもってしても75fpsなので、コア数をいくら増やしてもクロックを増やせないGPUの限界がここに現れています。

AMD Radeon RX 590チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

37位: NVIDIA GeForce GTX 1060

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1060
CUDA Core数1,280
ブーストクロック1,708 MHz
メモリ容量6GB
共有キャッシュ1.5MB
単精度性能4.372480TFLOPS
倍精度性能0.13664 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP120W
発売日2017年4月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,506 MHz
ピクセル・レート82.0 GPixel毎秒
テクスチャ・レート136.7 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR5
メモリクロック9 GT毎秒
メモリバス幅192bit
メモリ帯域幅216.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャPascal (GeForce 1000 series)
コードネームGP106-410-A1
ファウンドリTSMC
プロセスルール16nm
トランジスタ密度22.0MTr/mm²
トランジスタ数44億
ダイサイズ200mm²
SM数10
無効化SM数
TMU数80
ROPユニット数48
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)813
3DMark Night Raid(DX12)54,011
3DMark Time Spy(DX12)4,203
3DMark Wild Life(DX12)28,948
3DMark Fire Strike(DX11)13,125
PassMark GPU10,065
Userbenchmark GPU(実効)57
Userbenchmark DX1068.2

1,280コア 単精度3.855TFlops、倍精度0.120TFlops TDP120W

GTX1060は補助電源不要のGTX1050Tiと比較してだいぶ高性能になりますがTDPが一気に120Wまで増えます。GTX1050Tiが75Wであることと比較するとかなり大きい発熱量です。

1060のようにTDP120Wになるとグラボ単体でのファンレス化は難しく、ファンレスの1060グラボは売られていません。ただし1060をファンレスで冷やすためのPCケースは発売予定があります。オランダStreacom社のDB6という製品であり1060の熱をケース側面まで運びファンレスで冷やすことができます。2017年6月に発表されましたがケースは未発売です。

GTX1060はフレームレート60fps程度でゲームをするゲーマーにはぴったりのGPUです。

GeForce GTX 1060で各ゲームを実行したフレームレートベンチマーク結果ではCoD Bo4やPUBGでも60~70fps台あります。GTX1060まで来ると、動作が軽いと言われているFortniteでさえもさすがに120fpsを割ってしまいます。Fortniteでフレームレート120fps超が欲しい場合はGTX1070が必要です。

NVIDIA GeForce GTX 1060チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

38位: AMD Radeon RX 5500 XT

メーカー・モデル名AMD Radeon RX 5500 XT
SP数1,408
ブーストクロック1,845 MHz
メモリ容量8GB/4GB
共有キャッシュ2MB
単精度性能5.196 TFLOPS
倍精度性能0.3247 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP130W
発売日2019年12月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,717 MHz
ピクセル・レート59.04 GPixel毎秒
テクスチャ・レート162.4 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック14 GT毎秒
メモリバス幅128bit
メモリ帯域幅224 GB毎秒
接続規格PCIe 4.0
アーキテクチャRDNA 1.0 (Radeon RX 5000 series)
コードネームNavi 14 XTX
ファウンドリTSMC
プロセスルール7nm
トランジスタ密度40.5 MTr/mm²
トランジスタ数64億
ダイサイズ158mm²
Compute Unit数22
無効化CU数2
TMU数88
ROPユニット数32
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
Multi GPU非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark NightRaid(DX12)60,852
3DMark TimeSpy(DX12)4,856
3DMark Wild Life(DX12)32,100
3DMark FireStrike(DX11)14,387
PassMark GPU9,190
Userbenchmark GPU(実効)52.8
Userbenchmark DX1054.2

AMD Radeon RX 5500 XTチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

39位: AMD Radeon RX 580

2,304コア 単精度5,792TFlops、倍精度Flops値不明 TDP185W

2017年4月リリースのGPU。Radeon RX 580で各ゲームを実行したときのフレームレートベンチマーク結果ではFortniteのフレームレートはGTX1060に若干負けています。Apex Legendsでも78fps止まりとなっており、GTX1060の80fpsと誤差の範囲だと思いますがほぼ同等です。PUBGでも若干RX580が負けています。このように比較してみると、全体的にGTX1060より少しだけ性能が低いことがわかります。Radeon RTX 580はGTX1060と同等か少し下というのが結論です。

AMD Radeon RX 580チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

40位: NVIDIA GeForce GTX 1650

メーカー・モデル名NVIDIA GeForce GTX 1650
CUDA Core数896
ブーストクロック1,590 MHz
メモリ容量4GB
共有キャッシュ1MB
単精度性能2.84928 TFLOPS
倍精度性能0.08904 TFLOPS
Tensor Core性能0 FLOPS
TDP75W
発売日2020年4月
Ray Tracing性能0 FLOPS
ベースクロック1,410 MHz
ピクセル・レート45.12 GPixel毎秒
テクスチャ・レート78.96 GTexel毎秒
メモリタイプGDDR6
メモリクロック8 GT毎秒
メモリバス幅128bit
メモリ帯域幅192.0 GB毎秒
接続規格PCIe 3.0
アーキテクチャTuring (GeForce 1600 series)
コードネームTU117
ファウンドリTSMC
プロセスルール12nm
トランジスタ密度23.5 MTr/mm²
トランジスタ数47億
ダイサイズ200mm²
SM数14
無効化SM数2
TMU数56
ROPユニット数32
Tensor Core数0
RayTracing Core数0
NVLink非対応
3DMark Speed Way(DX12)
3DMark Port Royal(DX12)
3DMark Night Raid(DX12)45,311
3DMark Time Spy(DX12)3,548
3DMark Wild Life(DX12)22,602
3DMark Fire Strike(DX11)9,542
PassMark GPU7,821
Userbenchmark GPU(実効)42.9
Userbenchmark DX1049.2

単精度896コア、倍精度56コア ベースクロック1,485MHz、ブーストクロック1,665MHz、単精度浮動小数点演算性能2.984TFlops、倍精度浮動小数点演算性能0.09324TFlops、TDP75W

2019年4月にリリースされたGPUです。2017年にリリースされたGTX1050Tiの後継モデルになります。

コンセプトは「補助電源なしのTDP75Wの範囲内でどこまで性能を高めることができるか」です。これはGTX1050Tiも同じでありこのコンセプトは引き継がれています。

競合するモデルはRadeon RX 570です。コア数だけで比較するとRadeon RX 570の2,048コアはGTX1650の896コアを圧倒しています。しかし、Radeon RX 570はGTX1650よりも動作周波数が低い上に、浮動小数点演算器がNVIDIAよりもAMDのほうが劣っているため結果的に性能はほぼ互角になっています。

PUBGの性能は互角なのですが、描画すべきオブジェクトが少ない場所ではGTX1650のほうがフレームレートが伸びます。例えば屋内や市街地以外のエリアです。屋内のような場所だと視界の中で描画すべきオブジェクトが少なく、その限られたオブジェクトだけを描画すればいいのでコア数が少なく動作周波数が高いNVIDIA GeForce GTX1650がフレームレート性能で有利です。

しかしApexLegendsのようにオブジェクトが常時多く画面に表示されるようなゲームでは、それらのオブジェクトを並列して演算するためのコア数が多いRX570が有利です。

RX570は補助電源が最低でも6ピンが必要でオーバークロックモデルになると8ピンが必要になるほど高消費電力なので、少ないコア数でも高い性能を実現した1650をRX570より上位にしました。

NVIDIA GeForce GTX 1650チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

41位: AMD Radeon RX 570

2,048コア 単精度4.784TFlops、倍精度Flops値不明  TDP150W

2017年4月リリースのGPUです。Apex LegendsやPUBGのフレームレートベンチマークではGTX1060に負けています。このRX570を選ぶならGTX1060のほうが高性能で安いですが、GTX1060は品薄なのでGeForceGTX1660を選ぶことをおすすめします。

AMD Radeon RX 570チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

42位: NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti

768コア 単精度1.981TFlops、倍精度0.062TFlops TDP75W

Displayport 4K対応。HDMI2.0 4K対応。最大同時表示画面数3画面。PCI Express 3.0 x 16

1050TiはTDPが75Wであり1060の120Wと比べてかなり低くなっており補助電源が不要です。そのため1050TiはファンレスGPUとして用いられることが多いです。

特殊なケースの力を借りずに、グラボ単体でファンレスにできてかつ最も高性能なものはこの1050Tiになります。

グラボ単体でのファンレスとしては台湾Palit社が製造し日本のドスパラが販売するKalmXシリーズが有名です。ドスパラから売られているNE5105T018G1-1070H (GeForce GTX1050Ti 4GB KalmX)は1050Ti搭載グラボの中でも特におすすめです。

また1050TiはオランダStreacom製のファンレスケースでも冷やすことができます。

例えばStreacomのMini ITXケースDB4が該当し、このケースはTDP75Wまでのグラボをファンレスで冷やすことができます。グラボの熱をヒートパイプでケース側面まで運び、ケース自体をヒートシンクとして冷却するタイプです。これが1050Tiでなく1060になってしまうとTDPが120Wと急増するため一気に難しくなります。

1050Tiは比較的容易にファンレス環境が作れる上に、PUBGレベルの重いゲームでも60fps前後で動作することからとても貴重なグラフィックボードです。

GeForce GTX 1050Tiを用いた各ゲームのフレームレートベンチマーク結果ではLoLについては問題なく120fpsの大台をクリアしています。Fortniteについては60Hzモニタでプレイするのであれば問題ない程度のフレームレート85fpsを達成しています。

しかしSiegeやApex Legendsをやるのにはたとえ60Hzモニタを前提としても役不足になります。PUBGだと52fpsであり60fpsの達成には程遠いです。

120fps以上を求めるのなら1050Tiは向きません。60fps程度あれば十分だというゲーマーかつ、それなりにグラフィック処理が軽いゲームに絞るのならGTX1050Tiでも十分です。

NVIDIA GeForce GTX 1050 Tiチップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

43位: NVIDIA GeForce GTX 1050

640コア 単精度1.733TFlops、倍精度0.054TFlops、リファレンスモデルのブーストクロック1,455MHz、TDP75W

GTX1050は2016年発売です。これも1050Tiと同じくTDP75Wの低発熱かつ低消費電力がコンセプトですが、各メーカーがあまりこの1050無印チップに力を入れてないのもあって各メーカーからのラインナップが微妙です。

間違いやすいのがGTX1050には2GBのVRAMを搭載したもの(CUDA Core 640)と、3GBのVRAMを搭載したもの(CUDA Core 768)の2種類があるところです。一般的に出回っているのは2GB品なので、「GTX1050といったらVRAM2GB品でCUDA Core 640コア」と見ておけば間違いありません。

1050Tiより1050が優れている点は「価格の安さ」しかありません。他の部分は全て1050Tiが優れています。

GeForce GTX 1050で各ゲームを実行したフレームレートベンチマーク結果ではFortniteが82fpsである以外は、Apex LegendsもPUBGも低いフレームレートに落ち着いています。全体的に1050Tiのフレームレートを綺麗にそのままフレームレートを低くシフトさせた結果になっています。ここまでCUDA Coreが少ないモデル帯になると、1050Tiからコア数が減ってもApex Legendsだけのフレームレートが落ち込むということはなく、等しくPUBGのフレームレートも下がっています。1050Tiと同じく1050もゲーム用としては極一部のタイトルに限られそうです。

NVIDIA GeForce GTX 1050チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

44位: AMD Radeon RX 560

1,024コア 単精度2.406TFlops、倍精度Flops値不明 TDP60~80W

コア数やFlops性能でみればGTX1050やGTX1050Tiを上回っているのですが、実際のゲームフレームレートベンチマークではGTX1050TiどころかGTX1050も下回っているGPUです。Apex LegendsでもPUBGにおいてもGTX1050のフレームレートのほうが上です。

AMD Radeon RX 560チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

45位: AMD Radeon RX 550

640コア 単精度1.211TFlops、倍精度0.075TFlops TDP50W

ゲーミング性能ではApex LegendsだとNVIDIA GeForce GT1030より少し低いフレームレートです。PUBGだとGT1030より若干高いフレームレート性能です。 コア数は640で、GT1030の384コアより多いですが、1コアあたりの性能はGT1030のほうが優秀であるため性能面ではほぼ横並びになっています。

GT1030はTDP30Wしかないのでロープロファイルでありながらファンレスにしたり1スロット占有(ファン×1)にしたりできていますが、RX550はコア数を増やしているぶんだけ消費電力は大きく、ロープロファイルにしていてもファンが2つ付いていたり、ファンレスにできなかったり、1スロット占有にできなかったりと性能の割にグラボ本体が大型になってしまっています。総合的にみればGT1030のほうがおすすめです。

AMD Radeon RX 550チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

46位: NVIDIA GeForce GT 1030

384コア 単精度0.942TFlops、倍精度0.029TFlops TDP30W

Displayport4K対応。HDMI2.0対応。PCI Express 3.0 x 16(接続スロットはx16だが実際の動作はx4)。最大同時表示画面数2画面。

オンボードグラフィクス(内蔵グラフィクス)であるIntel UHD Graphicsが3画面4Kで表示できる中、このグラボは2画面までしかできないので物足りなく感じますが、内蔵グラフィクスよりもこのグラボのほうがFlops値は高いです。つまり描画能力が高いので高いフレームレートでYoutubeやTwitch再生ができます。ExcelやWordの描画も明らかに軽くなるので、ゲームをやらず事務作業をする人にはこのグラボで十分だと思いますが、2画面より3画面あると格段に作業効率がアップするので、できれば1050Tiを使ったほうがいいかもしれません。1050Tiにもロープロファイルモデルは存在します。

このGT1030は「ロープロファイルかつ(ファンレス or 1スロット占有)」を実現できているため、コンパクト製を優先するユーザから支持が大きいです。

GeForce GT 1030で各ゲームを実行したフレームレートベンチマーク結果ではLoLのようなゲームはGT1030でも十分なフレームレートを叩き出しています。しかし他のゲームではフレームレート60fpsを大きく割って30fps近くまでしか出ていません。「ゲーム用途であっても60fpsあれば十分」と主張するゲーマーも存在しますが、彼らでも「さすがに30fpsでは無理」という共通認識を持っています。GT1030でゲーム用途は一部の軽いゲームに限られます。

NVIDIA GeForce GT 1030チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

47位: Intel UHD Graphics 630

FMA演算器192コア、ベースクロック350MHz、ブーストクロック1,250MHz、単精度0.48TFlops

第7世代~第9世代のIntel Core i9,i7,i5,i3プロセッサやPentium Goldプロセッサに搭載されている内蔵グラフィクス(Integrated GPU)です。内蔵グラフィクスはWord/Excelの処理くらいなら十分ですがゲーム用途だと不十分なので、現在内蔵グラフィクスで済ませている人がゲーム用グラボを購入する際の指標としてフレームレートベンチマークを掲載しておきます。

PUBGではGT1030を超えていますが全体的にみればGT1030より下でGT710より上のフレームレートになっています。内蔵グラフィクスより上のグラボを買う場合は最低でもGT1030からになります。

48位: NVIDIA GeForce GT 710

GPUベンチマーク名 NVIDIA GeForce GT 710のベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は母数を元にノーマライズ)
3DMark Night Raid(Graphics) 3,077
3DMark Time Spy(Graphics) 194
3DMark Wild Life(Graphics) 1,512
3DMark Fire Strike(Graphics) 795
PassMark GPU(Videocard) 636
Userbenchmark(Effective) 3.36
Userbenchmark(DX10) 4.5
Userbenchmark(DX9) 4.48
GPUベンチマーク総合平均スコア 1,020

192コア 単精度0.366TFlops、倍精度0.0153TFlops TDP19W

HDMI 1.4a対応。PCI Express 2.0×16~1(接続スロットが×16のモデルもあれば×1のモデルもある)。最大同時表示画面数3画面。

このGT710は「ロープロファイルかつファンレスかつ1スロット占有」を実現できている貴重なグラボです。これより1ランク上位のGT1030では「ファンレスかつ1スロット占有」を実現できないため、ファンレスと1スロット占有を両立したい場合はこのGT710一択になります。

このグラボにはゲーミング性能は期待できません。単精度浮動小数点数演算性能が0.366TFlopsしかなく、Intel Coreプロセッサに搭載されているオンボードグラフィックス(iGPU:内蔵グラフィックス)よりも低性能です。

このGT710は、Xeon-WやXeon Scalable Familyプロセッサのようにオンボードグラフィックスを搭載していないCPUを使う場合に「とりあえずディスプレイが映ればいい」用途でよく使われるGPUです。

GT1030では最大2画面表示まででしたが、GT710は3画面表示可能です(ただしそのうち1画面はアナログD-Sub接続になる)。描画性能はGT1030より大きく劣っているものの、同時接続画面数はGT710のほうが優れています。

NVIDIA GeForce GT 710チップを搭載した各メーカーのグラボはこちらで比較しています。

総合平均スコア:複数のベンチマーク評価結果の平均値を計算し比較

GPUの性能を計測するベンチマークは多く存在します。有名どころだと3DMarkです。しかし3DMarkだけでもベンチマーク種類は非常に多く、他にもPassMark等が存在します。それぞれのスコアをグラフで眺めても、結局どのGPUが優れているのか優劣を比較しにくい問題があります。

また、単一のベンチマークでは「NVIDIA GeForceに有利」「AMD Radeonに有利」といった偏りが出てきます。多くのベンチマークの値を統合することが公平なベンチマークに繋がります。

そこで当サイトでは9種類のベンチマークスコアを正規化(ノーマライズ)した後に平均値を取り「総合平均ベンチマークスコア」を計算しています。

ある一つのベンチマークがAMD Radeonを贔屓しようとAMD Radeonのみ高いスコアがでるような水増し行為をしようとしても、平均値を取ることによって総合平均スコアは殆ど上下しないようになり「よりrobust」なスコアを得ることができます。

正規化する理由は、各ベンチマークごとに絶対水準がまちまちだからです。最大10万レベルのスコアがあるベンチマークもあれば最大1万レベルのスコアのベンチマークもあります。重要なことはそれぞれのベンチマークの中で「上位にあるか下位にあるか」の情報を正確に平均値に反映することです。そのため平均値を取る前に正規化する必要があります。

ここでは100,000を最大値とし各ベンチマークごとに正規化した後に平均値を取っています。つまり総合平均ベンチマークスコアは高々100,000になります。

GPU(グラボ)名 総合平均GPU(グラボ)ベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 96,870
GeForce RTX 4080 78,182
GeForce RTX 4070 Ti 65,941
GeForce RTX 3090 Ti 63,452
Radeon RX 6950 XT 59,801
GeForce RTX 3090 57,673
Radeon RX 6900 XT 57,325
GeForce RTX 3080 Ti 57,196
GeForce RTX 3080 12G 54,823
GeForce RTX 4070 53,829
Radeon RX 6800 XT 51,931
GeForce RTX 3080 51,031
NVIDIA TITAN RTX 45,102
GeForce RTX 3070 Ti 44,561
Radeon RX 6800 44,143
GeForce RTX 2080 Ti 42,829
GeForce RTX 4060 Ti 42,351
GeForce RTX 3070 40,894
NVIDIA TITAN V 40,009
Radeon RX 6750 XT 39,293
Radeon RX 6700 XT 37,564
GeForce RTX 3060 Ti 35,805
GeForce RTX 2080 Super 35,583
NVIDIA TITAN Xp 35,438
Radeon RX 6700 34,300
GeForce RTX 4060 34,268
GeForce RTX 2080 33,562
GeForce GTX 1080 Ti 33,214
Radeon VII 32,801
Radeon RX 5700 XT 32,748
Radeon RX 6650 XT 32,483
NVIDIA TITAN X 32,461
GeForce RTX 2070 Super 31,901
Radeon RX 6600 XT 31,613
Radeon RX 5700 28,937
GeForce RTX 2070 28,590
GeForce RTX 3060 28,197
GeForce RTX 2060 Super 28,030
Radeon RX 5600 XT 27,096
GeForce GTX 1080 26,706
Radeon RX 6600 26,550
GeForce GTX 1070 Ti 24,577
GeForce RTX 2060 24,299
NVIDIA GTX TITAN X 24,196
GeForce GTX 1070 21,939
Radeon RX 5600 21,812
GeForce GTX 1660 Ti 21,139
GeForce GTX 1660 Super 20,778
GeForce RTX 3050 20,505
GeForce GTX 1660 20,378
Radeon RX 590 18,910
GeForce GTX 1650 Super 17,955
Radeon RX 5500 XT 17,703
Radeon RX 580 17,297
Radeon RX 5500 16,807
GeForce GTX 1060 15,805
Radeon RX 570 15,350
Radeon RX 6500 XT 15,072
GeForce GTX 1650 13,558
Radeon RX 5300 13,339
Radeon RX 6400 12,131
GeForce GTX 1050 Ti 10,074
GeForce GTX 1630 8,412
GeForce GTX 1050 8,337
Radeon RX 560 7,420
Radeon RX 550 5,105
GeForce GT 1030 4,603
Radeon 540 3,468
GeForce GT 1010 2,251
Radeon 530 1,975
Radeon 520 1,789
GeForce GT 710 1,020

【ベンチマーク1】3DMark Port Royal (DirectX 12)

3DMark Port Royalは2018年にリリースされたベンチマークで、3DMarkの中でも先端技術を計測可能なことに重きを置いたベンチマークです。比較的処理が重い部類に入ります。RayTracing Coreのパフォーマンス測定にも対応し、Deep Learning(深層学習)向けの半精度4×4行列に特化したTensor Coreをゲームに応用するDLSS (Deep Learning Super Sampling)にも対応しています。特にTensor Coreの4×4行列演算性能はNVIDIA RTXシリーズにおいて非常に強力なため、NVIDIA GeForce RTXにおいて良い結果がでます。

一方で、AMD Radeon RXシリーズではRayTracingや4×4行列演算器の性能に乏しいためRadeon愛好家からは敬遠されあまり好まれないベンチマークとなっています。

GPU(グラボ)名 3DMark Port Royal(Graphics)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 26,072
GeForce RTX 4080 17,884
GeForce RTX 3090 Ti 14,840
GeForce RTX 4070 Ti 13,961
GeForce RTX 3090 13,640
GeForce RTX 3080 Ti 13,229
GeForce RTX 3080 12G 12,173
GeForce RTX 3080 11,578
GeForce RTX 4070 11,115
Radeon RX 6950 XT 10,818
Radeon RX 6900 XT 10,393
NVIDIA TITAN RTX 9,869
Radeon RX 6800 XT 9,534
GeForce RTX 2080 Ti 9,111
GeForce RTX 3070 Ti 8,854
NVIDIA GTX TITAN X 8,323
GeForce RTX 3070 8,302
GeForce RTX 4060 Ti 8,057
Radeon RX 6800 7,812
GeForce RTX 2080 Super 7,005
GeForce RTX 3060 Ti 6,977
GeForce RTX 2080 6,441
Radeon RX 6750 XT 6,259
GeForce RTX 2070 Super 6,037
GeForce RTX 4060 6,024
Radeon RX 6700 XT 5,974
GeForce RTX 2070 5,186
GeForce RTX 3060 5,138
GeForce RTX 2060 Super 5,073
Radeon RX 6700 5,065
Radeon RX 6650 XT 4,648
Radeon RX 6600 XT 4,512
GeForce RTX 2060 4,150
NVIDIA TITAN V 3,820
Radeon RX 6600 3,755
GeForce RTX 3050 3,531
NVIDIA TITAN Xp 2,397
NVIDIA TITAN X 2,261
GeForce GTX 1080 Ti 2,205
GeForce GTX 1660 Ti 1,657
GeForce GTX 1080 1,634
GeForce GTX 1660 Super 1,563
GeForce GTX 1070 Ti 1,489
GeForce GTX 1070 1,244
GeForce GTX 1060 813
Radeon RX 6500 XT 385
Radeon RX 6400 329

Radeon RX 6900XTがGeForce RTX 3080より低い結果になっているのが特徴です。

【ベンチマーク2】3DMark Night Raid (DirectX 12)

3DMark Night Raidは2018年にリリースされたベンチマークで、3DMark Time Spyの計算処理を簡略化した軽量版です。つまり実質的に2016年リリースのTime Spyと同様古いベンチマークです。

処理が軽いというのは実行されるスレッドが数が少ない上に、処理対象のデータサイズが小さいためキャッシュヒット率が高いことを意味します。そのため単精度コア数が少なく性能が低いAMD Radeon RXシリーズであっても、大きなL3キャッシュを搭載したモデルでは上位に食い込みやすいベンチマークになっています。

GPU(グラボ)名 3DMark Night Raid(Graphics)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 193,018
GeForce RTX 4080 174,942
Radeon RX 6950 XT 168,384
GeForce RTX 4070 Ti 164,542
Radeon RX 6900 XT 159,221
Radeon RX 6800 XT 155,724
GeForce RTX 3090 Ti 154,158
GeForce RTX 4070 149,181
GeForce RTX 3080 12G 141,310
GeForce RTX 3080 Ti 141,143
GeForce RTX 4060 Ti 137,005
Radeon RX 6750 XT 136,603
GeForce RTX 3090 135,618
Radeon RX 6800 134,980
GeForce RTX 3070 Ti 130,430
GeForce RTX 3080 129,188
Radeon RX 6700 XT 127,437
Radeon RX 6700 121,154
NVIDIA TITAN RTX 120,471
Radeon RX 6650 XT 119,360
Radeon RX 6600 XT 118,627
GeForce RTX 4060 118,195
NVIDIA TITAN V 116,967
GeForce RTX 3070 116,553
GeForce RTX 2080 Ti 113,336
NVIDIA TITAN Xp 112,752
GeForce RTX 2080 Super 107,166
GeForce RTX 3060 Ti 105,724
Radeon RX 5700 XT 103,481
NVIDIA TITAN X 103,025
GeForce RTX 2070 Super 101,545
Radeon RX 6600 100,429
GeForce RTX 2080 99,518
Radeon VII 99,004
GeForce RTX 3060 94,864
GeForce GTX 1080 Ti 94,663
GeForce RTX 2060 Super 91,434
Radeon RX 5700 91,384
GeForce RTX 2070 91,124
Radeon RX 5600 XT 87,497
GeForce RTX 2060 82,443
GeForce GTX 1080 81,404
GeForce GTX 1070 Ti 77,792
GeForce GTX 1660 Ti 75,482
GeForce GTX 1660 Super 73,975
GeForce RTX 3050 72,698
GeForce GTX 1070 71,862
GeForce GTX 1660 65,774
NVIDIA GTX TITAN X 65,253
Radeon RX 6500 XT 64,674
Radeon RX 6400 64,674
Radeon RX 590 62,220
Radeon RX 5500 XT 60,852
Radeon RX 5500 60,644
GeForce GTX 1650 Super 59,637
Radeon RX 580 57,050
GeForce GTX 1060 54,011
Radeon RX 570 50,436
GeForce GTX 1650 45,311
GeForce GTX 1050 Ti 33,327
GeForce GTX 1630 29,368
GeForce GTX 1050 26,945
Radeon RX 560 25,667
Radeon RX 550 18,012
GeForce GT 1030 15,860
GeForce GT 1010 6,754
Radeon 530 5,471
Radeon 520 4,892
GeForce GT 710 3,077

実際GeForce RTX 4090よりもRadeon RX 6950XTの方が性能が高く出ています。これはRadeon RX 6950 XTが搭載する128MBのL3共有キャッシュのおかげです。GeForce RTX 4090ではL2共有キャッシュが72MBしかありません。結果的にキャッシュミスが多発することになりスレッドの実行スループットが下がります。一方でRadeon RX 6950 XTではベンチマークで使うほぼ全てのデータが共有キャッシュに乗り切ってしまうためこれだけ高い性能が出ています。データセットが小さい3DMark Night Raidならではの結果です。

【ベンチマーク3】3DMark Time Spy (DirectX 12)

3DMark Time Spyは2016年にリリースされたベンチマークで、古いものの未だに広く使われているベンチマークです。3DMark Time SpyはNVIDIAが得意とするTensor Coreをゲームの描画処理に応用したDLSSに対応していません。DLSSに対応していないということはGeForce RTXシリーズの強みを反映できないということで、NVIDIA GeForce RTXに対しAMD Radeon RXのスコアが水増しされるベンチマークです。3DMark Port RoyalはDLSSに対応しているためAMD Radeon RXにとって不利なスコアになりやすく、AMD Radeon RXユーザは「Port Royalで惨敗するぐらいならTime Spyで惜敗」を選択し比較したがる傾向があります。

GPU(グラボ)名 3DMark Time Spy(Graphics)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 36,225
GeForce RTX 4080 28,131
GeForce RTX 4070 Ti 22,741
Radeon RX 6950 XT 21,850
GeForce RTX 3090 Ti 21,693
Radeon RX 6900 XT 20,538
GeForce RTX 3090 19,909
GeForce RTX 3080 Ti 19,584
Radeon RX 6800 XT 19,103
GeForce RTX 3080 12G 18,555
GeForce RTX 4070 17,844
GeForce RTX 3080 17,657
Radeon RX 6800 15,828
NVIDIA TITAN RTX 15,190
GeForce RTX 3070 Ti 14,821
GeForce RTX 2080 Ti 14,665
GeForce RTX 3070 13,678
Radeon RX 6750 XT 13,569
GeForce RTX 4060 Ti 13,463
NVIDIA TITAN V 13,178
Radeon RX 6700 XT 12,786
GeForce RTX 3060 Ti 11,766
GeForce RTX 2080 Super 11,633
Radeon RX 6700 11,213
GeForce RTX 2080 11,098
NVIDIA TITAN Xp 10,649
GeForce RTX 4060 10,598
NVIDIA TITAN X 10,311
GeForce RTX 2070 Super 10,184
Radeon RX 6650 XT 10,004
GeForce GTX 1080 Ti 9,995
Radeon RX 6600 XT 9,705
Radeon RX 5700 XT 9,401
GeForce RTX 2070 9,125
Radeon VII 8,911
GeForce RTX 2060 Super 8,792
GeForce RTX 3060 8,743
Radeon RX 5700 8,316
Radeon RX 6600 8,149
GeForce RTX 2060 7,604
GeForce GTX 1080 7,598
Radeon RX 5600 XT 7,589
GeForce GTX 1070 Ti 6,851
GeForce GTX 1660 Ti 6,378
GeForce RTX 3050 6,202
GeForce GTX 1070 6,094
GeForce GTX 1660 Super 6,086
NVIDIA GTX TITAN X 5,801
GeForce GTX 1660 5,455
Radeon RX 6500 XT 4,972
Radeon RX 5500 XT 4,856
Radeon RX 590 4,780
Radeon RX 5500 4,772
GeForce GTX 1650 Super 4,701
Radeon RX 580 4,351
GeForce GTX 1060 4,203
Radeon RX 570 3,850
Radeon RX 6400 3,605
GeForce GTX 1650 3,548
GeForce GTX 1050 Ti 2,356
GeForce GTX 1630 2,095
Radeon RX 560 1,862
GeForce GTX 1050 1,729
Radeon RX 550 1,192
GeForce GT 1030 1,088
Radeon 530 525
GeForce GT 1010 519
Radeon 520 443
GeForce GT 710 194

このようにRadeon RX 6900XTがGeForce RTX 3090には勝っているので、3DMark Port RoyalよりはRadeonが健闘しています。しかし本来カウンターパートであるはずのGeForce RTX 3090Tiには負けています。

【ベンチマーク4】3DMark Wild Life(Vulkan)

3DMark Wild Lifeは2020年にリリースされた比較的新しいベンチマークで、WindowsのみならずiOSやAndroidにも対応したクロスプラットフォーム対応のベンチマークです。Time SpyよりもWild Lifeの方が、最新世代のGPUを適切に評価できるようになっています。

GPU(グラボ)名 3DMark Wild Life(Graphics)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 163,951
GeForce RTX 4080 141,988
GeForce RTX 4070 Ti 125,249
GeForce RTX 3090 Ti 117,117
GeForce RTX 3090 112,804
Radeon RX 6950 XT 107,557
Radeon RX 6900 XT 107,501
GeForce RTX 3080 Ti 104,337
GeForce RTX 4070 102,838
GeForce RTX 3080 12G 100,280
Radeon RX 6800 XT 99,507
GeForce RTX 3080 90,047
Radeon RX 6800 89,046
GeForce RTX 3070 Ti 84,410
GeForce RTX 4060 Ti 81,911
NVIDIA TITAN RTX 78,804
Radeon RX 6750 XT 77,550
GeForce RTX 3070 75,487
Radeon RX 6700 XT 75,247
GeForce RTX 2080 Ti 74,936
NVIDIA TITAN V 73,253
GeForce RTX 3060 Ti 65,291
Radeon RX 6700 64,314
GeForce RTX 2080 Super 64,303
Radeon RX 6650 XT 63,964
Radeon RX 6600 XT 63,381
NVIDIA TITAN Xp 63,219
NVIDIA TITAN X 62,009
GeForce GTX 1080 Ti 61,989
GeForce RTX 4060 61,752
GeForce RTX 2080 60,829
Radeon RX 5700 XT 60,371
GeForce RTX 2070 Super 57,930
Radeon VII 55,239
Radeon RX 5700 53,268
GeForce RTX 2070 52,436
GeForce RTX 2060 Super 51,578
GeForce RTX 3060 49,954
Radeon RX 5600 XT 49,669
GeForce GTX 1080 48,850
Radeon RX 6600 48,667
GeForce RTX 2060 46,299
GeForce GTX 1070 Ti 44,317
GeForce GTX 1070 40,257
GeForce GTX 1660 Ti 39,457
NVIDIA GTX TITAN X 39,322
GeForce GTX 1660 Super 38,824
GeForce RTX 3050 37,767
GeForce GTX 1660 33,532
Radeon RX 5500 XT 32,100
Radeon RX 6500 XT 31,820
Radeon RX 590 31,304
GeForce GTX 1650 Super 29,952
GeForce GTX 1060 28,948
Radeon RX 580 28,901
Radeon RX 5500 26,184
Radeon RX 570 25,622
Radeon RX 6400 23,672
GeForce GTX 1650 22,602
GeForce GTX 1050 Ti 16,553
GeForce GTX 1630 14,470
GeForce GTX 1050 12,717
Radeon RX 560 12,223
Radeon RX 550 8,082
GeForce GT 1030 8,057
GeForce GT 1010 3,610
Radeon 530 2,846
GeForce GT 710 1,512

この結果は比較的適切です。GeForce RTX 3090TiよりもRadeon RX 6900XTの方が性能が低くでています。さらにGeForce RTX3070よりも古い世代のGeForce RTX 2080Tiの方が性能が低くなっているのも適切です。またGeForce GTX 1080TiよりもRadeon VIIの方が性能が低くなっているのも特徴です。

【ベンチマーク5】3DMark Fire Strike (DirectX 11)

3DMark Fire Strikeは2013年にリリースされたベンチマークで、3DMark系のベンチマークで現役で提供されている中では最も古いベンチマークです。長い間このFire Strikeでベンチマークを元にデータを集めて性能比較してきた自作PCマニアが多いため、未だに多くのグラボ比較サイトではこの古いFire Strikeを主軸に比較していることが多いです。なぜなら2013年以降蓄積してきたFire Strikeのベンチマークデータを思い切って捨てきれない人が多いことと、3DMark Port Royalのような新しいベンチマークで古いグラボのベンチマークを再度計測する面倒さを嫌っているフシがあることと、AMD Radeon RXにおいてはFire Strikeで良い結果がでるためです。よって未だにこのFire Strikeをメインで比較しているサイトが多いです。

GPU(グラボ)名 3DMark Fire Strike(Graphics)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 73,839
GeForce RTX 4080 65,360
Radeon RX 6950 XT 60,183
Radeon RX 6900 XT 57,022
GeForce RTX 4070 Ti 53,816
Radeon RX 6800 XT 52,957
GeForce RTX 3090 Ti 52,350
GeForce RTX 3080 Ti 47,785
GeForce RTX 3090 47,343
GeForce RTX 3080 12G 46,134
GeForce RTX 4070 44,363
Radeon RX 6800 44,117
GeForce RTX 3080 42,193
NVIDIA TITAN RTX 37,783
Radeon RX 6750 XT 37,573
GeForce RTX 3070 Ti 37,129
Radeon RX 6700 XT 35,994
GeForce RTX 2080 Ti 35,659
NVIDIA TITAN V 34,770
GeForce RTX 4060 Ti 34,516
GeForce RTX 3070 33,833
NVIDIA TITAN Xp 31,734
Radeon RX 6700 31,388
NVIDIA TITAN X 31,227
GeForce RTX 3060 Ti 29,417
Radeon RX 6650 XT 29,410
GeForce GTX 1080 Ti 29,338
GeForce RTX 2080 Super 28,692
Radeon RX 6600 XT 28,688
GeForce RTX 4060 28,531
Radeon VII 27,972
GeForce RTX 2080 27,647
Radeon RX 5700 XT 27,488
GeForce RTX 2070 Super 25,590
Radeon RX 5700 24,595
Radeon RX 6600 23,704
GeForce RTX 2070 23,197
GeForce GTX 1080 22,768
GeForce RTX 2060 Super 22,497
Radeon RX 5600 XT 22,272
GeForce RTX 3060 22,258
GeForce GTX 1070 Ti 20,121
NVIDIA GTX TITAN X 19,918
GeForce RTX 2060 19,718
GeForce GTX 1070 18,715
GeForce GTX 1660 Ti 16,605
Radeon RX 590 16,526
GeForce GTX 1660 Super 16,155
GeForce RTX 3050 15,974
Radeon RX 6500 XT 15,526
Radeon RX 580 14,978
Radeon RX 5500 XT 14,387
Radeon RX 5500 14,153
GeForce GTX 1660 14,150
Radeon RX 570 13,440
GeForce GTX 1060 13,125
GeForce GTX 1650 Super 12,237
Radeon RX 6400 11,541
GeForce GTX 1650 9,542
GeForce GTX 1050 Ti 7,708
GeForce GTX 1050 6,773
Radeon RX 560 6,502
GeForce GTX 1630 5,609
Radeon RX 550 4,395
GeForce GT 1030 3,626
Radeon 530 1,857
Radeon 520 1,635
GeForce GT 1010 1,596
GeForce GT 710 795

GeForce RTX 3090TiよりもRadeon RX 6900XTの方が高い結果が出ているのが特徴です。このような結果が出るのは3DMark系だと古いFire Strikeと、Time Spyの軽量版のNight Raidのみです。このFire StrikeはGeForce RTX 3070よりもGeForce RTX 2080Tiの方が上位に来る「逆転現象」が生じるのも特徴です。つまりNVIDIA GeForce間の優劣さえも今となってはFire Strikeで適切に評価できません。

【ベンチマーク6】PassMark (Videocard Benchmarks:G3D)

PassMarkは全体としてはNVIDIA GeForceに比較的有利な結果が出やすいです。ただしデータセットが小さいためデータアクセスの空間的局所性が小さくキャッシュが効きやすくなっています。そのためAMD Radeon RXの一部モデルに見られる極めて大きなL3キャッシュを搭載したモデルではそこまで惨敗せず健闘する結果となっています。

一方でL3キャッシュが多くないRadeon RXに関してはAMD RadeonにとってNVIDIA GeForceよりも大幅に不利な結果が出ます。

GPU(グラボ)名 PassMark GPU(Videocard)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 39,084
GeForce RTX 4080 34,929
GeForce RTX 4070 Ti 31,693
GeForce RTX 3090 Ti 29,641
Radeon RX 6950 XT 28,472
GeForce RTX 3080 Ti 27,305
GeForce RTX 4070 26,901
GeForce RTX 3090 26,669
GeForce RTX 3080 12G 26,544
Radeon RX 6900 XT 26,115
GeForce RTX 3080 25,205
Radeon RX 6800 XT 24,079
GeForce RTX 3070 Ti 23,599
GeForce RTX 4060 Ti 22,507
GeForce RTX 3070 22,297
GeForce RTX 2080 Ti 21,852
Radeon RX 6800 21,206
GeForce RTX 3060 Ti 20,406
NVIDIA TITAN RTX 20,025
GeForce RTX 4060 19,942
NVIDIA TITAN V 19,773
Radeon RX 6750 XT 19,714
GeForce RTX 2080 Super 19,538
Radeon RX 6700 XT 19,237
NVIDIA TITAN Xp 19,127
Radeon RX 6700 18,806
GeForce RTX 2080 18,731
GeForce GTX 1080 Ti 18,401
GeForce RTX 2070 Super 18,190
Radeon RX 6650 XT 17,492
GeForce RTX 3060 17,058
Radeon RX 5700 XT 16,909
Radeon VII 16,837
GeForce RTX 2060 Super 16,568
GeForce RTX 2070 16,108
Radeon RX 6600 XT 16,051
GeForce GTX 1080 15,346
Radeon RX 5700 14,640
GeForce GTX 1070 Ti 14,627
Radeon RX 6600 14,504
GeForce RTX 2060 13,987
Radeon RX 5600 XT 13,833
NVIDIA TITAN X 13,660
GeForce GTX 1070 13,501
NVIDIA GTX TITAN X 13,202
GeForce GTX 1660 Super 12,768
GeForce RTX 3050 12,709
GeForce GTX 1660 Ti 11,869
GeForce GTX 1660 11,725
Radeon RX 5600 11,288
GeForce GTX 1650 Super 10,075
GeForce GTX 1060 10,065
Radeon RX 590 9,652
Radeon RX 6500 XT 9,305
Radeon RX 5500 XT 9,190
Radeon RX 580 8,924
Radeon RX 5500 8,806
Radeon RX 570 8,101
GeForce GTX 1650 7,821
Radeon RX 5300 7,266
Radeon RX 6400 6,936
GeForce GTX 1050 Ti 6,301
GeForce GTX 1050 5,202
GeForce GTX 1630 4,927
Radeon RX 560 3,610
Radeon RX 550 2,717
GeForce GT 1030 2,521
Radeon 540 1,845
Radeon 530 973
Radeon 520 849
GeForce GT 710 636

このようにGeForce RTX 4090に対してもRadeon RX 6950XTは「他のベンチマークと比べれば」そこまで惨敗していません。

【ベンチマーク7】Userbenchmark GPU(Effective)

多くのベンチマーク結果は実際にゲームを実行したときのフレームレート性能と一対一に対応しないことが多いです。つまりベンチマーク結果が良くても実際にゲームを動かしてみたらフレームレートが全然伸びないといった現象が起こります。

そんな中でもこのUserbenchmark(Effective)結果は実際のゲームのフレームレート性能に近いGPUの順序関係(ランク付け)になります。

GPU(グラボ)名 Userbenchmark(Effective)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 370
GeForce RTX 4080 290
GeForce RTX 4070 Ti 240
GeForce RTX 3090 Ti 232
GeForce RTX 3090 210
GeForce RTX 3080 Ti 204
GeForce RTX 3080 12G 196
GeForce RTX 4070 190
NVIDIA TITAN RTX 189
GeForce RTX 3080 187
Radeon RX 6950 XT 186
Radeon RX 6900 XT 183
GeForce RTX 2080 Ti 172
NVIDIA TITAN V 163
GeForce RTX 3070 Ti 158
GeForce RTX 3070 148
Radeon RX 6800 XT 146
GeForce RTX 4060 Ti 145
NVIDIA TITAN Xp 142
GeForce RTX 2080 Super 138
GeForce GTX 1080 Ti 136
NVIDIA TITAN X 133
GeForce RTX 2080 129
GeForce RTX 3060 Ti 128
Radeon RX 6800 126
GeForce RTX 4060 120
GeForce RTX 2070 Super 118
Radeon RX 6750 XT 114
Radeon RX 6700 XT 111
Radeon VII 110
GeForce GTX 1080 106
GeForce RTX 2070 106
GeForce RTX 3060 100
Radeon RX 6700 99.8
GeForce RTX 2060 Super 99.2
GeForce GTX 1070 Ti 96.3
Radeon RX 6650 XT 95.9
Radeon RX 5700 XT 95.6
Radeon RX 6600 XT 94.5
GeForce RTX 2060 88.6
Radeon RX 5700 85.1
GeForce GTX 1070 79.8
Radeon RX 5600 XT 79.7
Radeon RX 5600 78.8
NVIDIA GTX TITAN X 76.9
GeForce GTX 1660 Ti 76.2
Radeon RX 6600 76
GeForce RTX 3050 74.8
GeForce GTX 1660 Super 70.5
GeForce GTX 1660 68.7
Radeon RX 590 60
GeForce GTX 1650 Super 59.7
GeForce GTX 1060 57
Radeon RX 580 54.7
Radeon RX 5500 XT 52.8
Radeon RX 5300 49.4
Radeon RX 5500 48.9
Radeon RX 6500 XT 48.6
Radeon RX 570 46.4
GeForce GTX 1650 42.9
Radeon RX 6400 34.9
GeForce GTX 1050 Ti 30.9
GeForce GTX 1050 27
GeForce GTX 1630 26.4
Radeon RX 560 22.6
GeForce GT 1030 14.4
Radeon RX 550 13.3
Radeon 540 10.9
Radeon 530 6.5
Radeon 520 6.01
GeForce GT 710 3.36

【ベンチマーク8】Userbenchmark GPU(DX10)

ゲームにおけるAPIではDirectX12とDirectX11が現在主流ですが2010年代半ばまではDirectX10が主流だったため未だにDirectX10のゲームが存在します。特に後述するDirectX9が「DirectX入門」として多用されるためDirectX10も普通に現役のAPIです。

GPU(グラボ)名 Userbenchmark(DX10)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 461
GeForce RTX 4080 389
GeForce RTX 4070 Ti 331
Radeon RX 6950 XT 300
GeForce RTX 3090 Ti 297
Radeon RX 6900 XT 291
GeForce RTX 3090 262
GeForce RTX 3080 Ti 261
GeForce RTX 4070 254
GeForce RTX 3080 12G 252
Radeon RX 6800 XT 251
NVIDIA TITAN RTX 240
GeForce RTX 3080 234
GeForce RTX 2080 Ti 210
Radeon RX 6800 199
Radeon RX 6750 XT 187
GeForce RTX 4060 Ti 186
GeForce RTX 3070 Ti 180
Radeon RX 6700 XT 177
Radeon RX 6700 175
NVIDIA TITAN V 173
Radeon RX 6650 XT 165
GeForce RTX 2080 Super 162
GeForce RTX 3070 161
Radeon RX 6600 XT 160
GeForce RTX 2080 150
NVIDIA TITAN Xp 146
GeForce RTX 3060 Ti 145
GeForce GTX 1080 Ti 144
GeForce RTX 4060 143
GeForce RTX 2070 Super 143
Radeon RX 6600 139
NVIDIA TITAN X 139
GeForce RTX 2070 136
GeForce RTX 2060 Super 131
GeForce GTX 1080 123
Radeon VII 113
GeForce RTX 3060 111
GeForce GTX 1070 Ti 110
Radeon RX 5700 XT 109
GeForce RTX 2060 108
Radeon RX 5700 96.6
GeForce GTX 1070 96
Radeon RX 5600 XT 91.2
NVIDIA GTX TITAN X 90.7
Radeon RX 5600 89.3
GeForce GTX 1660 Ti 87.6
GeForce GTX 1660 Super 87.1
GeForce RTX 3050 73.8
GeForce GTX 1660 71.8
GeForce GTX 1060 68.2
Radeon RX 6500 XT 67.3
Radeon RX 590 66.9
GeForce GTX 1650 Super 64.7
Radeon RX 580 61
Radeon RX 570 54.7
Radeon RX 6400 54.6
Radeon RX 5500 XT 54.2
Radeon RX 5500 51.8
Radeon RX 5300 51.7
GeForce GTX 1650 49.2
GeForce GTX 1050 Ti 34.6
GeForce GTX 1050 31
GeForce GTX 1630 30.5
Radeon RX 560 27.2
Radeon RX 550 20.5
GeForce GT 1030 16.3
Radeon 540 16.1
Radeon 530 8.59
Radeon 520 7.89
GeForce GT 710 4.5

【ベンチマーク9】Userbenchmark GPU(DX9)

DirectX9は2000年代のバージョンですが2020年代に入っても未だに現役のAPIです。DirectX9を習得している技術者が多いことと、ノウハウがいくらでもネット上に転がっているためです。旧作ゲームだけでなく、現在進行系で利用されているAPIです。

GPU(グラボ)名 Userbenchmark(DX9)のベンチマーク性能評価スコア値
GeForce RTX 4090 625
GeForce RTX 4080 444
GeForce RTX 4070 Ti 356
GeForce RTX 3090 Ti 338
Radeon RX 6950 XT 323
Radeon RX 6900 XT 319
GeForce RTX 3090 309
GeForce RTX 3080 Ti 309
GeForce RTX 3080 12G 280
GeForce RTX 4070 271
GeForce RTX 3080 266
Radeon RX 6800 XT 260
NVIDIA TITAN RTX 229
Radeon RX 6800 223
GeForce RTX 3070 Ti 223
GeForce RTX 2080 Ti 217
GeForce RTX 3070 209
NVIDIA TITAN V 209
GeForce RTX 4060 Ti 199
NVIDIA TITAN Xp 183
GeForce RTX 2080 Super 181
Radeon RX 6750 XT 180
GeForce GTX 1080 Ti 179
Radeon RX 6700 XT 174
NVIDIA TITAN X 174
GeForce RTX 3060 Ti 173
GeForce RTX 2080 169
Radeon RX 6700 160
Radeon RX 6650 XT 154
GeForce RTX 2070 Super 152
Radeon RX 6600 XT 151
Radeon VII 151
GeForce RTX 4060 146
Radeon RX 5700 XT 139
GeForce GTX 1080 135
Radeon RX 6600 128
GeForce RTX 3060 127
GeForce RTX 2070 127
GeForce GTX 1070 Ti 125
Radeon RX 5700 124
GeForce RTX 2060 Super 122
Radeon RX 5600 118
Radeon RX 5600 XT 117
GeForce RTX 2060 114
GeForce GTX 1070 104
NVIDIA GTX TITAN X 104
GeForce GTX 1660 Ti 95.1
GeForce RTX 3050 93
GeForce GTX 1660 Super 88.8
GeForce GTX 1660 87
Radeon RX 590 79.6
GeForce GTX 1650 Super 76.8
Radeon RX 6500 XT 76
GeForce GTX 1060 72.6
Radeon RX 5500 XT 72.4
Radeon RX 580 71.9
Radeon RX 5500 69
Radeon RX 5300 68.3
Radeon RX 570 63.6
Radeon RX 6400 58.9
GeForce GTX 1650 54.7
GeForce GTX 1050 Ti 39.1
GeForce GTX 1050 33.3
GeForce GTX 1630 31.7
Radeon RX 560 30.6
Radeon RX 550 21
Radeon 540 18.2
GeForce GT 1030 17.5
Radeon 530 9.75
Radeon 520 8.41
GeForce GT 710 4.48

GPUの単精度コア数とクロック数による特性

GPUの特徴を要因分解する際は大雑把に単精度コア数とクロック数で分類するのが容易です。

同一メーカーのGPUで比較する場合、高い解像度でゲームをするならコア数が多い方が有利だが、低い解像度ならコア数が少ない方が有利

コア数を増やさず1コアあたりの性能の高さを優先するメリットは何でしょうか?

ここでは同一メーカー内のGPUラインナップで、どのGPUを選んだらいいかという観点で例を出します。例えばNVIDIA製GPUの中でどのGPUを選ぶべきかの指標です。AMD製GPUの中でどのGPUを選ぶべきかの場合も同様です。

まず、「2,000MHzの動作周波数を持った1,000コアのGPU」と、「1,000MHzの動作周波数を持った2,000コアのGPU」ではどちらが有利でしょうか。

理論性能では両者ともに単精度4TFlops(4,000GFlops)で同じです。しかし実際のゲーミング性能では前者のGPUが勝ちます。

GPUの仕事は、光源とオブジェクトと視点の座標(ベクトル)をCPUから受け取り、ディスプレイの各ピクセル(画素)の色(Red256通り×Green256通り×Blue256通り)を算出することです。1920×1080のフルHDディスプレイだったら、1920×1080=2,073,600ピクセル分の色を計算し終えたところで、1フレームの計算を終えたことになります。もしこの約200万ピクセル分の計算を0.01秒で終えることができるとフレームレート100fpsになります。計算に0.02秒かかるとフレームレートが50fpsになります。

例えば2,000コアのGPUが2,000コアをフルに稼働させて0.02秒で1フレーム分のピクセル数を計算できているとします。この場合フレームレートは50fpsです。

そうすると1,000コアのGPUは1,000コアをフルに稼働させて0.02秒で1フレーム分のピクセル数を計算できます。1,000コアは2,000コアの半分ですが、動作クロックが2倍の2,000MHzあるので、2,000コアのGPUと同じフレームレート50fpsを実現できるわけです。

しかしここで、CPUから送られてくるオブジェクトの数(計算対象の数)が少ない場合を考えます。そうなると2,000コアのようにいくらコア数があっても計算対象となるオブジェクト数が少ない以上、余ったコアは計算に使われずアイドリング状態(手持ち無沙汰)になってしまいます。つまり空回りです。

このようにオブジェクト数が少ない状態になると、2,000コアのGPUはそのうち1,000コアを稼働させて0.02秒で1フレーム分の計算を終えます。つまり先程の例と同じ50fpsです。しかし残り1,000コアは使われないまま放置状態になります。これが「コア数を使い切れない状態」になってしまう「コア数を増やす戦略の弱点」です。AMD Ryzenも同じ理由でコア数が使いきれず性能が伸びなくなっています。

一方で1,000コアのGPUは1,000コアをフルに使って計算をすることができます。もともとコア数が少ないのでコアが余ることがないからです。そして1,000コアのGPUでは2,000MHzの動作クロックがあるために、たった0.01秒で1フレーム分の計算が完了します。先程の例ではオブジェクトの数が多かったため0.02秒かかっていましたが、計算すべきオブジェクトの数が減ったため0.01秒で1フレームの計算を完了できます。そうすると1,000コアのGPUでは100fpsを実現できることになります。

これが「1コアあたりの性能が高い」GPUのメリットです。計算すべきオブジェクト数が多いときは2,000コアのGPUと差が付きませんが、オブジェクト数が少ないときは1コアあたりの性能が高い1,000コアのGPUの方が有利になります。

同一メーカーのGPUで比較する場合、フルHD解像度でゲームをするなら動作クロックが高いGPUが有利

ここでも同一メーカー内でのGPUの選び方を解説します。結論から言うと、同じNVIDIA内のGPUだったら動作クロックが高いGPUが有利です。

ゲームの入れ替わりは激しく、少し時間が経過しただけでそれまでビッグタイトルだったゲームも退場していきます。GPUは高価なPCパーツなので、多くの人は長く使える確かなものを選びたいと考えているはずです。

「今後どのようなゲームが登場しても高い性能を発揮できるGPU」を選ぶことが重要だと言えます。そのような場合には「1コアあたりの性能が高いGPU」が確かな選択です。

「1コアあたりの性能が高いGPU」は下図のうち「汎用」の青い線に該当します。一方で「1コアあたりの性能が低いGPU」は「特殊用途」の赤い線に該当します。横軸は各用途(ゲームの特性)です。

ここで重要なのは、青い線でも赤い線でも積分をすると面積は同じになるということです。

コア数が少なくても1コアあたりの性能が高いGPUでは「汎用性が高い」ため、どのようなゲームでも対応できるようになっています。

しかし、コア数は多いけど1コアあたりの性能が低いGPUでは、計算すべきオブジェクト数が多い一部のゲームでは高い性能を発揮できますが、計算すべきオブジェクト数が少ないゲームでは「1コアあたりの性能が高いGPU」よりも低い性能となってしまいます。

つまり「1コアあたりの性能が低いGPU」は汎用性を犠牲にするかわりに、計算すべきオブジェクト数が多く、多数のコアを使い切れるごく一部のゲームに特化することによってその場合には高い性能を発揮できるようにしているGPUです。4K解像度で主にゲームをする場合もこれに該当します。

一方で平均的に全体的にみれば、ほとんどのゲームで「1コアあたりの性能が高いGPU」の方がフレームレートが高くなっています。上図のように「1コアあたりの性能が低いGPU」の方が汎用性が高いためです。

もし「1コアあたりの性能が低いGPU」がマッチするごく一部のゲームしかやらないというのだったら「1コアあたりの性能が低いGPU」が最適な選択になります。しかし今後どのようなゲームをやることになっても手堅く性能を発揮したいというのなら「1コアあたりの性能が高いGPU」が良い選択です。

グラフィックボードとGPUの違い AIB、オリジナルモデル、オリジナルファンモデルの用語解説

ここではグラフィックボードに関連する用語を解説します。

GPU (graphics processing unit)

GPUとはgraphics processing unitのことで、グラフィック処理に特化した演算器を搭載したチップそのものを指します。NVIDIAやAMDが主たるメーカーです。

graphics processingとは日本語にするとグラフィック処理になりますが、つまりは画面描画のための処理のことです。これは画面(ディスプレイ)の各画素(ドット)に何色を表示したらいいかを決定する計算処理です。

表示する色の決定のためには光源の向きと座標、物体の座標等が必要です。グラフィック処理ではそれらのベクトルを元にベクトルの内積の計算を多用します。この演算に特化しているのがGPUです。

グラフィックボード(グラボ)

一方でグラフィックボードとは、GPUを搭載し、パソコン等のコンピュータに追加的に搭載できるよう拡張ボード状にしたものです。GPUのまま単品で売られていても一般人にはどうすることもできません。動作させるためにはGPUを基盤に(電気的に接続し)搭載する必要があり、周辺の電源回路も必要になり、通信インターフェース回路も必要になります。そういった機能をまとめて組み込んだのがグラフィックボードです。グラフィックボードは、特に個人向け用途では略してグラボと呼ばれることが一般的です。

ビデオカード

ビデオカードはグラフィックボードと完全に同義です。ベンチマークのPassMarkではVideocard benchmarkと呼んでいるように、現在でもVideoCardという呼称は使われています。しかし日本国内においてはビデオカードと呼ばれることはほとんどありません。

日本においては3Dを描画するコンピュータ・グラフィクス(CG)のために必要な機器という意味合いで、「グラフィック」という単語には「重い3D描画と伴う」というイメージが付随するためビデオカードよりグラフィックボードの方がしっくりくると認識されたようです。

用語のイメージは国によって異なります。例えばAIという用語は日本ではゲーム等やロボットに搭載されているイメージが強く「遊び要素」「エンタテイメント要素」といったそこまで堅苦しくない印象があります。しかし英語圏ではAIのArtificial Intelligenceの「Intelligence」には、諜報、安全保障、軍事といったイメージがつきまとうため、英語圏ではAIというと民間のエンタメ要素といったイメージよりも国の軍事目的のイメージが強いです。

このように国によってその用語から連想するものは異なります。

また、日本におけるテレビゲームは米国ではビデオゲームと呼びます。しかし日本ではビデオというと番組を録画したものというイメージが強いためか、ビデオカードという呼称は「単に映像出力するもの」といった捉え方をする人が多いです。前述したように、いわゆるグラフィックボードは「ゲームの3D処理をするために必要な機器」というイメージが強いため、ビデオカードでは「3D処理をする機器」のイメージが捉えにくいのもありビデオカードという呼称はほとんど使われていません。

グラフィックボードの選び方

NVIDIAやAMDが提供するのはチップ(Processing Unit回路を搭載したダイ)のみであり、それを基板に搭載し冷却機構を用意、VRAMの搭載、補助電源回路の搭載といったことはASUS、MSI、ZOTAC等のグラボ製造各社が実施します。たとえ同じチップであってもこの部分で各グラフィックボードの差が付きます。以下、各社から大量にラインナップされているグラフィックボードの選び方を掲載します。

1. PCケースに収まる外形サイズを最優先する

まずは何はともあれ外形サイズが最も重要です。PCケースに搭載できない大きさのグラボを買っても意味がありません。

使用するPCケースが既に決定されている場合は簡単です。そのPCケースに合うサイズの外形のグラボを絞り込んでその中から選ぶだけです。

しかしまだPCケースが決まっていない場合は非常に大変な作業になります。

例えばFractal DesignのDefine Cには、GIGABYTEの簡易水冷一体型(240mmラジエータタイプ)グラボのラジエータをフロントに搭載すると、グラボ本体がサイズの制限で搭載できなくなります。全長が290mm台と長いのが搭載できない要因でありあと数mm足りず入り切らないようです。搭載するためにPCケースのネジ止め部分を4mm無理やり押し込んで曲げて搭載している人もいます。こういった改造(modification)をしてグラボを搭載することはあまりおすすめできません。

最もおすすめなのはPCケースとグラフィックボードを一体的に選択することです。PCケース側の問題としては、グラボの全長、厚み(占有スロット)、高さ(ロープロファイルかどうか)の対応状況が重要になります。またPCケースが334mmのグラボに対応していても、フロントに25mm厚ファンを搭載したり、水冷ラジエータ+ファンを搭載すると290mmのグラボすら搭載できないこともあります。このような部分を詳細に調べて選ぶことが最優先です。

2. 冷却性能を後から向上させるのは難しい 最初から冷却性能が高いグラボを選択する

消費電力が高いグラボは必然的に高発熱になりGPUの性能を悪化させます。貧弱な冷却機構はGPU本来の性能を引き出せない要因です。

例えば3スロット占有で全長324mmもある大型グラボの「MSI 2080Ti LIGHTNING Z(補助電源8ピン×3)」が、それよりも消費電力が低い「Inno3D 2080Ti iCHILL BLACK(補助電源8ピン×2)」に3D Markスコアで負けてしまっている事実があります。

空冷だと、空冷の雄とも言える「ZOTAC AMP Extreme(補助電源8ピン×2)」をもってしても温度は85℃まで上がってしまいます。空冷だとこれが限界です。3スロット占有かつ全長324mmでもこの程度ですから、CPUを簡易水冷化にする前にまずは発熱量と消費電力量が大きいグラボこそまず先に簡易水冷化を考えるべきです。

簡易水冷化する場合、簡易水冷ユニット+通常の空冷ファン(主にVRAMを冷却)のハイブリッド型と、簡易水冷のみでグラボ全体を冷却するタイプの2つがあります。

前者の場合は、「MSI SEA HAWKシリーズ」のような水冷+空冷ファンのハイブリッド型を購入するか、「NZXT」「EVGA」から発売されている簡易水冷化キットを使ってハイブリッドタイプの簡易水冷化を行います。

後者の場合は「GIGABYTE WATERFORCEシリーズ」か「Inno3D Ichill Blackシリーズ」を選択することになります。

3. 補助電源コネクタ搭載数は多いに越したことはない あとから最大電力を絞ることができる

PCIeの補助電源規格はCPU補助電源と比べて非常に冷遇されています。CPU補助電源は12Vの1ケーブルあたり7アンペア弱まで電流を流す仕様になっているマザーボードが多いです。実際は10Aも可能なのですが、あえて抑えています。それでも4ピンで160W程度、8ピンで320W程度も電力を取り出すことができ、8ピン+4ピンのCPU補助電源ではTDP480W級CPUも対応可能です。

一方でPCI Expressの電源規格では、6ピン補助電源が上限75W、8ピン補助電源が上限150Wと「規定」されています。これはコネクタやケーブルの物理的な電流の上限値による制約ではなく、単なる仕様上の上限です。これは非常に絞ってあります。たとえばPCIe補助電源では8ピンであっても実際に来ている12Vのピン数はたった3つです。残り5ピンは全てGNDです。CPU補助電源では8ピンで12Vが4ピン、GNDが4ピンなのに比べるとPCIe補助電源はこの時点で劣っています。

そうなると12V×7A(CPU補助電源と同水準の電流値)×3=252Wまで取り出せると思うかもしれませんが実際は150Wまでです。なぜかというと1ピンあたり4Aまでしか電流を流さない「仕様」になっているからです。

これはあくまでも仕様なので、グラボ側の電源回路でこれを遵守しなければ8ピンPCIeコネクタから12V×7A取り出すことは可能で、実際にそのようなグラボも過去にはありました。しかし最近は律儀に「150W規制」を守っているグラボがほとんどです。

グラボへ供給できる電力は、マザーボードから供給される75Wに加えて、8ピン150W+8ピン150Wの合計375Wが限界になっているものがほとんどです。PCIe電源規格を遵守するならさらに低く、マザーボードからの75W+8ピン150W+6ピン75Wで300Wが限界です。これではさすがに足りないということで、この規格を破って375Wグラボが大量にあるのが現実です。

しかしオーバークロックするとしたら375Wでも足りなくなることがあります。そこで8ピン×3の補助電源を搭載したグラボなら525Wまでグラボに電力供給できるようになります。空冷だとさすがに525Wは多すぎますが、多い分にはあとからツールで最大消費電力を絞って設定してあげればいいので、補助電源コネクタ数が多いに越したことはありません。残念なのは、2080Tiかつ消費電力375W運用で簡易水冷一体型だと最大温度が55℃止まりでさらにオーバークロックを狙えるのにもかかわらず、補助電源8ピン×2のみしか搭載されていないグラボが多いことです。8ピン×3のグラボが少ないのは、PCIe電源規格でコネクタ数は2つまでと規定されているため、堂々とコネクタ3つを搭載できないという事情があります。

4. ファクトリーオーバークロック値は目安 ツールで自由にオーバークロックできるため

NVIDIAが提供するリファレンスモデルは全くオーバークロックされていない基本的な動作クロックです。Founders Editionですらブーストクロックは若干オーバークロックされています。そしてASUS,MSI,ZOTAC各社のグラボはさらにオーバークロックされて出荷されておりこれを「ファクトリーオーバークロック」と呼んで区別しています。

実はファクトリーオーバークロックされていてもいなくても、各人で勝手に自由にオーバークロックできます。

ファクトリーオーバークロックだと、各自がツールでオーバークロック設定をする面倒がなく、購入してパソコンに搭載して電源を入れれば既にオーバークロックされた状態で動作するというメリットがあります。

そのためグラボのスペック表に書いてあるベースクロックの高低、ブーストクロックの高低はあまり気にする必要はありません。ファクトリーオーバークロック値が高すぎる(もっと低消費電力にしたい)場合はツールで動作クロックを落とすこともできます。実際にそのようにクロックを落としてTDP値を下げてファンレス運用しているユーザもいます。

逆にファクトリーオーバークロック値が低すぎる場合はツールでさらにオーバークロックすることもできます。ただしこの場合オーバークロックできる上限は、冷却性能と補助電源からの電力供給量によって制限されるので、冷却性能が高くかつ補助電源コネクタ数が充実しているグラボを選択することが重要です。

5. ファクトリーオーバークロック値は冷却性能の参考になる

「4」の項目でファクトリーオーバークロック値に関係なく各自で自由にオーバークロックできることを説明しました。ではファクトリーオーバークロック値は全く参考にならないかというとそうではありません。ファクトリーオーバークロック値はASUS,MSI,ZOTACといったグラボ製造元が「この程度のブーストクロックなら冷却し切れて正常に動作する」と太鼓判を押している値だからです。

メーカ側が用意した冷却機構で冷やしきれる範囲内でできるだけオーバークロックしようとするのが当然です。ブーストクロック値が大きければ大きいほど高性能なグラボだと消費者は考えるからです。そのためファクトリーオーバークロック値はそのグラボの冷却性能に追随して設定されているということです。メーカによってはギリギリのファクトリーオーバークロックをしたり、できるだけ余裕をもって低めのファクトリーオーバークロックに留めているという差があるので、ブーストクロック値が冷却性能をそのまま表すわけではないのですが参考値にはなります。実際、占有スロット数が大きい分厚いグラボや、全長が長いグラボほど高いファクトリーオーバークロック値が公称されているので一つの目安にはなります。