おすすめCore i5 9600Kのベンチマーク性能比較レビュー 第3世代Ryzen 5 3600Xを+11%も上回る性能

2018年10月20日にCore i5 9600Kが発売されました。日本国内では最も早く発売された第9世代Coffee Lake Refreshプロセッサです。3.7GHz~4.6GHzの動作周波数をもつ6コア6スレッドのプロセッサです。L3共有キャッシュは9MBあります。

結論から言うとこのCore i5 9600KはRyzen 7 2700Xよりも高い性能を叩き出しています。

同じ基本動作周波数3.7GHzなら、6コアのCore i5 9600Kよりも8コアのRyzen 7 2700Xのほうが高性能になりそうなものです。しかもTDPはRyzen 7 2700Xの105Wのほうが余裕があるため尚更性能が高くなりそうに見えます。

しかしそれは単なるカタログスペックの比較であり、実際に実行させてみるとそうはなりません。

同じ動作周波数でもプロセッサコアのマイクロアーキテクチャが劣っていると性能は伸びません。特に1コアあたりの性能を向上させる技術についてはIntel CoreがAMD Ryzenを大きく引き離しています。

Core i5 9600Kは1コアあたりの性能がRyzen 7 2700Xよりも極めて高いため、ゲーム用途、特にCoD BO4やPUBGのように1コアあたりの性能が要求されるゲーム用途ならCore i5 9600Kが圧倒的に優位です。

2019年に発売された第3世代Ryzen 5 3600Xの性能をCore i5 9600Kが11%上回る

2018年に発売された6コアプロセッサのCore i5 9600Kは、2019年に発売された第3世代Ryzen 5 3600Xとよく比較されます。

このように+11%もCore i5 9600KがRyzen 5 3600Xに勝利しています。同じ6コア同士で、Core i5 9600Kのほうがベースクロックが0.1GHz低いにもかかわらず、結果としての性能は11%もCore i5 9600Kが上です。これは第9世代Intel Coreのマイクロアーキテクチャが、第3世代RyzenのZen2マイクロアーキテクチャよりも優れているためです。

さらにはCore i5 9600KはIntel UHD Graphicsという内蔵グラフィックスを搭載しているため、グラフィックボード無しでもディスプレイ出力することができます。一方のRyzen 5 3600Xは内蔵グラフィックス非搭載であるためグラフィックボード無しではディスプレイ出力できません。

AMD Ryzenでは内蔵グラフィックスをあえて削ることで、その空いたチップ面積を汎用コアに割り当てることでIntel Coreに太刀打ちしようとしていますが、その戦略はまたもや失敗しCore i5 9600Kに大敗してしまう結果となりました。

Core i5 9600K vs. Ryzen 7 2700X

まずはRyzen 7 2700Xの公称スペックを確認しておきます。

基本動作周波数が3.7GHzで最大動作周波数が4.3GHz、8コア16スレッドのプロセッサで、L3共有キャッシュは16MB、TDPは105Wです。

対するCore i5 9600Kは基本動作周波数3.7GHzで最大動作周波数が4.6GHz、6コア6スレッドのプロセッサでL3共有キャッシュは9MB、TDPは95Wです。

もし技術力が同等だとしたら、基本動作周波数が同じである以上、コア数が多くTDPが大きいRyzen 7 2700Xが勝つのは当然です。

しかし実効性能を測定すると実際そうはなりません。

+4%ほどCore i5 9600KがRyzen 7 2700Xに勝利しています。コア数が少ないにもかかわらず

しかもCore i5 9600Kはオンボードグラフィックス(iGPU)をチップ上に搭載しているというハンディキャップがあります。Ryzen 7 7200Xはオンボードグラフィックス非搭載だからです。

限られた半導体ダイ面積の上にどのようにコアを配置するかどうかがプロセッサの性能を決定しますが、オンボードグラフィックスを搭載してしまうと汎用コアに割り当てるチップ面積が減少するため普通に考えればCore i5 9600Kのほうが不利であり、オンボードグラフィックスを搭載しない代わりに空いた面積を汎用コアに割り当てているRyzen 7 2700Xのほうが有利になるはずです。

しかしそれでも、単に1コアあたりの性能を高める技術でAMDはIntelの後塵を拝しているからです。オンボードグラフィックス(iGPU)を搭載しながらも汎用コアの性能でAMD Ryzenに勝ててしまうだけの余裕がIntel Coreにあります。

Intel Coreよりコア数が多くてもTDPが大きくても、AMD Ryzenのようにマイクロアーキテクチャ設計が悪ければ性能は伸びないということです。

Core i5 9600K vs. Ryzen 5 2600X

本来Core i5 9600Kと比較すべきカウンターパートとなるAMDプロセッサはRyzen 5 2600Xです。ともに6コアでありしかも6コア製品の中で最高位モデルです。

Ryzen 5 2600Xの動作周波数は3.6GHz~4.2GHzでTDP95Wです。TDPがCore i5 9600Kと同じであるにもかかわらず、Core i5 9600Kの3.7GHz~4.6GHzよりもRyzen 5 2600Xの動作周波数が低いのは、消費電力あたりの動作周波数を高める技術がIntelに追いついていないからです。

このように+13%もCore i5 9600KがRyzen 5 2600Xに勝利しています。Ryzen 7 2700Xでも歯が立たなかったのですから当然の結果です。

同じ6コア同士の比較なので、実行するアプリケーションにスレッドレベル並列性があるかどうかという要因ではありません。同じコア数同士の比較ですから、単純に1コアあたりの性能の差が全体の差となって現れます。同じコア数、TDPでプロセッサを作ると、Intel CoreとAMD Ryzenには13%ほどの差があるということです。

しかもCore i5 9600Kはオンボードグラフィックス(iGPU)搭載ですが、Ryzen 5 2600Xには搭載されていません。オンボードグラフィックスを削る代わりに汎用コアを強化したのがRyzenですが、それでも汎用コア同士の性能比較で13%もIntelに引き離されてしまっています。

あえてRyzen 5 2600Xを選ぶ理由があるとしたら価格です。現時点では少しRyzen 5 2600Xのほうが安くなっています。性能では劣るけれども資金が乏しく安い方を選ぶといった選択をするのならRyzen 5 2600Xでいいでしょう。