おすすめCore i5 9600のベンチマーク性能比較レビュー Ryzen 5 3600を+10%も上回る性能 第3世代Ryzen最高峰のRyzen 9 3950Xすら5%も上回る

Core i5 9600は2019年8月発売のプロセッサです。2018年~2019年にかけて発売された第9世代Intel Coreプロセッサの中ではかなり後のほうに発売されたプロセッサです。

Core i5 9600はCore i5 9600Kのベースクロックを単に引き下げただけのCPU

Core i5 9600の動作クロックは3.1GHz~4.6GHzです。 そしてこのCore i5 9600の上位モデルであるCore i5 9600Kの動作クロックは3.7GHz~4.6GHzになります。

Core i5 9600Kのベースクロック3.7GHzを0.6GHz引き下げて3.1GHzにしたものがCore i5 9600です。

このベースクロックの引き下げがCore i5 9600とCore i5 9600Kの1つ目の違いです。

さらにCore i5 9600は末尾文字(suffix)に”K”が無いため手動でのオーバークロック非対応であり、Core i5 9600は4.6GHzより上の動作クロックにはなりません。これが第2の違いです。

つまり、Core i5 9600KはCore i5 9600の完全に上位です。Core i5 9600はCore i5 9600Kに完全に含まれます。

Core i5 9600はTDP65Wであるため消費電力が低いというメリットがあるように一見思えますが、UEFI(BIOS)の設定で最大TDPを絞ることができるので、Core i5 9600KのTDPを低く設定してあげれば低消費電力プロセッサとして動作します。そういった意味で、Core i5 9600はCore i5 9600Kの真部分集合です。

なぜわざわざCore i5 9600Kの動作クロックを引き下げたCore i5 9600をIntelが用意しているかというと、同じ動作クロックでも消費電力(単位時間あたりの発熱量)が低く抑えられるチップと、高くなってしまうチップが半導体製造上発生するからです。

高い動作クロックでも消費電力が抑えられるチップはCore i5 9600Kとして販売されています。一方で動作クロックを下げないと消費電力が抑えられないチップは、ベースクロックを引き下げてCore i5 9600として販売することで、Core i5 9600Kとしては不合格だったチップもCore i5 9600として売り物にすることができ、歩留りを高くして製造原価(コスト)を低く抑えることができます。

消費者からみても、Core i5 9600Kは高すぎるけれどもCore i5 9600なら予算内といったニーズに応える選択肢が増えます。

以上のような理由から、Core i5 9600Kの性能を落としたCore i5 9600という今回のCPUが存在します。

Core i5 9600と第3世代AMD Ryzen(2019年~2020年発売)プロセッサを比較

Core i5 9600は第9世代Intel Coreプロセッサシリーズの中でも発売日がかなり後のほうだったため、2019年8月発売になっています。これは第3世代Ryzenの発売日2019年7月と近いので、Core i5 9600は第3世代Ryzenと比較条件がそこそこ合っているので比較しやすい対象です。

Core i5 9600 vs. Ryzen 5 3600

Core i5 9600は型番600のグレードなので、同じく型番600のグレードのRyzen 5 3600と比較するのが自然です。違いといえば、Core i5 9600はベースクロックが3.1GHzである一方Ryzen 5 3600は3.6GHzであり、さらにCore i5 9600は内蔵グラフィックス搭載なのにRyzen 5 3600は非搭載である点です。内蔵グラフィックス非搭載のほうが汎用コア性能では有利になるはずなので、このカタログスペックを見る分にはどうみてもRyzen 5 3600が勝ちそうです。

しかし実際の結果は真逆になってしまいます。Core i5 9600がRyzen 5 3600を+10%も上回る性能です。Core i5 9600がRyzen 5 3600に対して10%以上の大差をつけて勝利しています。

ベースクロックがCore i5 9600のほうが低いのにRyzen 5 3600に勝ってしまったのは、Ryzen 5 3600のZen2マイクロアーキテクチャがひどく劣っているためです。プロセッサの性能は動作クロックが低くてもマイクロアーキテクチャが優秀なら高性能になります。逆に、マイクロアーキテクチャが劣っていても動作クロックを大幅に高くすれば無理やり高性能にすることもできます。しかし、今回のRyzen 5 3600は動作クロックを高くしてもZen2マイクロアーキテクチャの欠陥を補うことができず、結果としてマイクロアーキテクチャが優秀なCore i5 9600が勝ってしまっています。

Core i5 9600 vs Ryzen 9 3950X

Core i5 9600が発売された2019年8月とほぼ同時期に発売された第3世代Ryzenの中でもフラッグシップモデルであるRyzen 9 3950Xと比較してみます。これは第3世代Ryzenの中でもRyzen愛好家の間では期待の星だったプロセッサであり、AMD Ryzenの精神的支柱とも言える重要なモデルです。

このようにRyzen愛好家の間で第3世代Ryzen最強と言われている精神的支柱のRyzen 9 3950XをもってしてもCore i5 9600に敗北してしまっています。Core i5 9600は第3世代Ryzen最高峰のRyzen 9 3950Xも打ち負かす結果です。Ryzen 9 3950XはRyzen 5 3600のベースクロック3.6GHzよりも0.1GHz低いため、1コアあたりの性能は低性能です。そのかわりコア数を大幅に増やして16コアにして全体としての性能を引き上げようとしています。

しかし世の中のソフトウェアではスレッドレベル並列性がほとんど存在しないため、結果として+5%しかCore i5 9600に勝てていないわけです。ニーズに合わないものを無駄に大量に用意してもそれはメーカー側の自己満足であり、Ryzen愛好家がカタログスペック眺めて満足するメリットしかなく、大多数の人にとっては実際の用途では全く役に立たないという実例の一つです。