おすすめCore i5 9400Fのベンチマーク性能比較レビュー Ryzen 5 2600を完全に上回りRyzen 7 2700にも勝ってしまう性能

2019年2月に発売された第9世代Intel Coreプロセッサは高性能な割に価格がCore i3 9350KFよりも安いということで採用数が非常に多いプロセッサです。

重要なことは、Core i5 9400Fは内蔵グラフィクスが無効化されており別途グラボを用意しないとディスプレイ出力ができないことと、Core i3 9350KFよりも低性能だということです。

しかし、8コア16スレッドのRyzen 7 2700に対してはCore i5 9400Fが勝利し、Ryzen 7 1700XにもCore i5 9400Fが勝利しています。Intel Coreが相手だとCore i5 9400Fが低性能になる局面が多いですが、Ryzenが相手ならCore i5 9400Fが勝つ局面が多いです。

Core i5 9400Fは内蔵グラフィックスが無効化されていますが、内蔵グラフィックスを有効化した版のCore i5 9400はこちらでベンチマーク性能評価しています。

Core i5 9400FはRyzenと同じように別途グラボが必要

Core i5 9400FはIntel UHD Graphics 630が無効化されています。Intel UHD Graphicsとはチップ上に載った内蔵グラフィクス(Integrated GPU:iGPU)のことで、これが有効化されていれば別途グラボを用意しなくてもマザーボード背面のディスプレイ出力端子を使ってディスプレイを映すことができます。

逆に言えば、Intel UHD Graphics 630が無効化されているこのCore i5 9400Fは各自でグラボを別途調達しなければ画面を全く映すことができないことになります。

一応チップ上にはIntel UHD Graphics 630の電子回路が載っているのですが、意図的にそれが無効化してあります。その理由はIntel UHD Graphicsを無効化することで、チップ製造上の良品率(歩留り)を向上させることが可能で、汎用コアの性能を落とさずに価格を安くすることができるからです。

この画像はIntelの6コアCPUのダイ(チップ)のブロック図ですが、左1/3ほどの青く着色された部分がIntel UHD Graphicsの部分です。中央か付近にある黄色く着色された上3つ下3つの合計6つのブロックが6コア6スレッドの汎用コア部分です。

ただし、ゲームを全くやらないから別途グラボにこだわる必要のない人にとっては、Intel UHD Graphicsが無効化されているのはマイナスポイントです。PC用途がWord,Excel,ウェブブラウジング,Youtube再生,Twitch再生程度だったらIntel UHD Graphicsで十分なので、Intel Core i5 9400といったIntel UHD Graphicsが有効化されているモデルのほうがいいでしょう。

6コアのCore i5 9400Fは8コアのRyzen 7 2700より上

同じTDP65W同士のIntel Core i59400FとRyzen 7 2700を比較してみます。重要なことは、Ryzen 7 2700は8コアのCPUであり、Core i5 9400Fは6コアしかないという事実です。

結果はこのように+5%、Core i5 9400FがRyzen 7 2700に勝利しています。コア数が多ければ性能が高いということが成立しない一つの例です。発売時期が9ヶ月程度Ryzen 7 2700側が早いので、Core i5 9400Fが時間的に有利な条件なのですが6コアのCPUが8コアのCPUに同じTDP65Wで勝っているパターンはIntel CoreとAMD Ryzenの比較で頻出します。

当然ながら6コアのRyzen 5 2600相手にもCore i5 9400Fが勝利

8コアのRyzen 7 2700相手でもCore i5 9400Fが勝利したので、6コアのRyzen 5 2600相手でもCore i5が勝つことは容易に想像できますが一応比較しておきます。

このように+5%、Core i5 9400FがRyzen 5 2600に勝利しています。重要なのは、+5%という性能差はRyzen 7 2700相手でもRyzen 5 2600相手でも同じだということです。その理由はRyzen 5 2600はRyzen 7 2700よりコア数が減っていますがそのかわりクロック周波数が上昇しています。そのためRyzen 7 2700と同レベルでRyzen 5 2600も健闘しています。コア数が増えても高性能になるわけではないという事実はRyzen 7 2700とRyzen 5 2600の比較でもわかるわけです。

9400FはvProテクノロジー非対応 法人等の大量調達には向かない

Core i5 9600以上のプロセッサはvProテクノロジーに対応しているのですが、Core i5 9400FはvProテクノロジー非対応です。

vProテクノロジー対応のCPUを搭載したパソコンに対しては、リモートから一括してWindowsUpdateをかける指示を出すことができます。vPro非対応だとWindowsUpdateを適用する必要のあるPC一つ一つにログインして人力でWindowsUpdateを適用する作業が必要です。これは端末が大量にある法人にとっては厳しいコスト負担です。

個人で数台PCを持っているだけだったらそれぞれのパソコンでWindowsUpdateを実行するのは楽です。そのような用途ならvPro非対応でもいいでしょう。

ゲームと配信(ストリーミング)を同時にやるには役不足

PUBGをTwitchやYoutubeで配信しつつ、同じPCで動画のエンコード処理もしていた著名ストリーマーは数多くいます。彼らが異口同音に語っていたのが「Core i7 7700Kでは1PCでは厳しかったけど、Core i7 8700Kにしてから1PCでゲームと配信を同時にできるようになった」というものです。

7700K→8700Kにおいてはコア数が4コア→6コアに増加しています。そして各コア自体の性能は微増です。つまり増加した+2コアの部分を動画エンコードに割り当てることができ、PUBG等の1コアあたりの性能が要求されるゲームでは4つのコアを使うことによって8700Kでは1PCで配信できるとストリーマーが実感したということになります。

今回のCore i5 9400Fでは6コアありますが、これは8700Kの代わりには役不足です。同じ6コアでもクロック周波数に差がありすぎるため、とても8700Kには追いついていません。