Core i7 11700K搭載おすすめパソコン比較とベンチマーク性能評価レビュー

第11世代Intel Coreの中で、強くおすすめできるのがこのCore i7 11700Kです。

Core i7 11700Kは同じ8コアの第4世代Ryzen 7 5800Xに対して圧勝しているのみならず、16コアのRyzen 9 5950Xに勝ってしまっているレベルであり、多くのユーザーにとってはCore i9 11900Kほどの性能は必要なくCore i9 11700Kでも十分です。

Core i7 11700Kの詳細スペックと特徴

メーカー・モデル名Intel Core i7-11700K
合計コア数8コア16スレッド
基本クロック3.6 GHz
最大クロック5.0 GHz
コードネームRocket Lake-S (第11世代Intel Core)
発売日2021年3月
vProテクノロジ対応
定格外オーバークロック対応
TDP(≒消費電力)125W
L1キャッシュ640KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ16MB
最大メモリサイズ128GB
メモリタイプDDR4-3200
メモリチャネル2
メモリ帯域幅50 GB毎秒
コンピュータの形態デスクトップ
ソケットLGA 1200
グラフィクス(iGPU)UHD Graphics 750
iGPU最大画面数3
iGPU最大周波数1,300MHz
iGPU EU数32
iGPU単精度コア数256
iGPU単精度性能0.6656TFLOPS
アーキテクチャCypress Cove
プロセスルールIntel14nm

Core i7 11700Kの詳細なスペックは上表の通りです。Core i7 11700KはCore i9 11900Kと同じコア数なのでクロックだけの違いになります。第11世代Intel Core(Rocket Lake)では1コアあたりのL1,L2,L3キャッシュサイズは同じなので、Core i7 11700KとCore i9 11900Kの間にはキャッシュサイズの違いもありません。

Core i7 11700KはCore i9 11900Kと殆ど性能が変わらないにも関わらず価格は約半額の高コストパフォーマンスモデル

Core i7 11700KはCore i9 11900Kと殆ど性能に差がありません。性能比で5%程度の違いです。使っているマイクロアーキテクチャは同じCypress Coveですし、SIMD演算命令であるAVX-512 VNNI命令の実行に必要なサイクル数も同じです。違いはクロックだけですが、全コア同時クロックが大きく異なるだけで1~2コアのブーストクロックは0.2GHzの差しかないので、二倍の予算を出してCore i9 11900Kを選んでも恩恵はそこまで大きくありません。Core i7 11700Kは非常にバランスの取れたCPUです。

Core i7 11700KはCore i9 11900KのAdaptive BoostとThermal Velocity Boostを無効化したもの

Core i9 11900Kで有効化されているAdaptive Boostは、全コア同時にTurboBoost2.0の水準までクロックを上げる技術です。TurboBoost2.0はブースト稼働させるコア数によってクロック周波数が変化します。TurboBoost2.0では少ないコア数の時は高いクロック、全コア同時の時は低いクロックとなるわけですが、Adaptive Boostが有効化されていると少ないコア数時の高いクロックを全コア稼働時にも実現できてしまいます。また、Core i9 11900KではThermal Velocity Boostが有効化されているため、CPU温度が70℃以下の場合はTurboBoost3.0よりもクロックが上がるようになっています。これらの技術がCore i7 11700Kでは無効化されています。

Core i7 11700KでもTurbo Boost 3.0は有効化されている

TurboBoost3.0とTurboBoost2.0のみでCore i7 11700Kはクロックブーストを実現しています。それでもTurboBoost3.0の恩恵により1~2コア最大クロックは5.0GHzまで上昇するので十分に高クロックです。

全コア同時クロックも、TurboBoost2.0によって4.6GHzまで上昇します。Core i7 11700Kでも1~2コアなら5.0GHzの大台をオーバークロック無しの定格動作範囲内で達成できているので、Core i9 11900KではなくCore i7 11700Kでも十分に良い選択です。

Core i7 11700KとAMD Ryzen5000(Zen3:Vermeer)の比較

第11世代Intel Core(Rocket Lake-S)プロセッサは、2020年11月に発売された第4世代Ryzen5000シリーズから見て最も発売日が近いプロセッサです。Core i7 11700Kは8コアのCPUなので、同じ8コアのRyzen 7 5800Xと第一義的には比較することになりますが、16コアのRyzen 9 5950Xと12コアのRyzen 9 5900Xとも比較します。Core i7 11700Kよりもコア数が多いRyzen 9 5950XやRyzen 9 5900Xが、Core i7 11700Kに敗北してしまった場合、第4世代Ryzenの各コアの性能が大幅に劣っていることを意味するからです。

Core i7 11700K vs. Ryzen 9 5950X

まずは第4世代Ryzenプロセッサの中で最高峰とされるRyzen 9 5950Xと比較します。この16コアのRyzen 9 5950Xは第4世代Ryzenの中でもAMD愛好家の精神的支柱とも言えるほどの最重要モデルです。非常に低い歩留まり率(良品率)にもかかわらず、コア数だけでもIntel Coreに対しマウントを取るためにAMDが無理にでも投入した背水の陣のCPUです。

しかしその渾身の力作も、たった8コアのCore i7 11700Kに対し+7%の差をつけられてRyzen 9 5950Xが敗北してしまいます。これはコア数が多くても性能が高いとは限らない一例です。例えるなら非常に無能な16人にタスクを割り当てるのと、半分の人数だけれども非常に優秀な8人にタスクを割り当てるのとでは非常に優秀な8人のほうが先にタスクを終えるのと同じです。Intel Coreは1コアあたりの性能が高いためたった8コアであっても、1コアあたりの性能が低い16コアの第4世代Ryzenに簡単に勝ててしまいます。

Core i7 11700K vs. Ryzen 9 5900X

次は12コアのRyzen 9 5900Xと、8コアのCore i7 11700Kを比較してみます。ベースクロックでもRyzen 9 5900Xの方が高く、コア数でもRyzen 9 5900Xの方が多いのでカタログスペックだけみればどうみてもRyzen 9 5900Xが勝つように一見思えます。

結果はCore i7 11700KがRyzen 9 5900Xに対して+6%の性能差で勝利します。再びRyzen 9 5900Xの敗北です。Core i7 11700KとRyzen 9 5950Xの性能差とほぼ同じ結果になっていますが、これには理由があります。Ryzen 9 5950Xはコア数が16コアあるものの動作クロックが低いです。他方、Ryzen 9 5900Xは12コアまで減っているものの動作クロックはRyzen 9 5950Xよりも高くなっています。Ryzen 9 5900XではRyzen 9 5950Xよりも1コアあたりに割り当てることができる電力量が大きいためです。結果的に、16コアのRyzen 9 5950Xは12コアのRyzen 9 5900Xよりもコア数を増やした分だけクロック周波数が犠牲となり、相殺してほぼ同程度の性能になってしまっています。これはTSMC7nmプロセスの限界を表しています。もっと優秀な製造プロセスならばコア数を増やしつつクロックも増やし性能がスケールするためです。結果的に、Ryzen 9 5900XもIntel Core i7 11700Kに対して敗北してしまったことになります。

Core i7 11700K vs. Ryzen 7 5800X

Core i7 11700Kは8コアプロセッサなので、8コアの第4世代Ryzenプロセッサと比較するのが最も妥当です。ここでは2020年11月に発売された第4世代Ryzenプロセッサの8コアモデルの中で最も高性能なRyzen 7 5800Xと比較してみます。これより下にRyzen 7 5800が存在しますがOEM供給のみであり個人向け小売店では取り扱いされていないので、8コアモデルは事実上このRyzen 7 5800Xになります。

性能差+8%もCore i7 11700KがRyzen 7 5800Xに対して勝利しています。しかもベースクロックはCore i7 11700Kの方が低いです。それだけCore i7 11700Kで採用されたCypress CoveマイクロアーキテクチャのIPC(Instructions per Cycle)が上昇していることになります。

Core i7 11700K vs. Ryzen 5 5600X

先程は第4世代Ryzenのコア数が多いモデル(16コア,12コア)と、それよりコア数が少ない8コアの第11世代Intel Core(Rocket Lake)を比較してみたので、今回はその逆で第4世代Ryzenの方がコア数が少なくなるような比較をしてみます。

具体的には第4世代Ryzenの6コアモデルに相当するRyzen 5 5600Xと比較してみます。Ryzen 5 5600Xは2020年11月に発売された第4世代Ryzenの6コアモデルの中では最高峰という位置づけです。

さすがに第4世代Ryzenの6コアモデルの中で最高峰でも、8コアの第11世代Intel Core i7 11700Kに対しては惨敗してしまいました。性能差にして11%。Core i7 11700KがRyzen 5 5600Xに対して+11%の性能差をつけて勝利しています。

1位: パソコン工房(iiyama) LEVEL∞ G-Class LEVEL-G059-LC117K-VAX (ILeDXs-G059-L117K-VASXB)

商品名パソコン工房 LEVEL∞ G-Class LEVEL-G059-LC117K-VAX
型番ILeDXs-G059-L117K-VASXB
CPUIntel Core i7 11700K
GPUNVIDIA GeForce RTX 3080 (HDMI×1, DisplayPort×3)
メモリ16GB(8×2) PC4-25600(DDR4-3200)国産モジュール
SSD1TB M.2 NVMe
HDD無し(HDD×2台選択可)
光学DVDスーパーマルチドライブ
Wi-FiWiFi6(ax)+Bluetooth5.0(TP-LINK Archer TX3000E)
USBUSB3.2Gen2Type-C×1, USB3.0(3.1Gen1)×7, USB2.0×4
OSWindows 10 Pro 64bit版
Office無し(選択可)
電源850W(80Plus認証Gold) ENERMAX製
サイズ横幅230mm×奥行582mm×高さ525mm (70.3ℓ)
価格\ 320,760(税込)

価格と性能のバランスに優れたCore i7 11700Kを採用したモデルです。ただ、RTX3080との組合せは少しオーバースペックです。RTX3070でもゲーム用としては十分でありRTX3060でもいいくらいです。

このCore i7 11700K搭載モデルも、Core i9 11900K搭載モデルと同様で簡易水冷CPUクーラーが標準です。空冷型サイドフローCPUクーラーが選択できればさらに歓迎できます。

メモリが16GBから選択できるようになってるのはCore i9 11900Kモデルより優れてる点です。あとはCore i9 11900Kモデルと同様、M.2 SSDのメーカーを指定できるように尚良いといったところです。

税込みで32万円程度なので、課税事業者かつ税抜会計で会計処理をしている中小企業や個人事業主ならこのPCを減価償却資産にせず単年度一括で経費にできるギリギリのラインのパソコンです。

2位: パソコン工房(iiyama) LEVEL∞ G-Class LEVEL-G059-LC117K-TAX (ILeDXs-G059-L117K-TASXB)

商品名パソコン工房 LEVEL∞ G-Class LEVEL-G059-LC117K-TAX
型番ILeDXs-G059-L117K-TASXB
CPUIntel Core i7 11700K
GPUNVIDIA GeForce RTX 3070 (HDMI×1, DisplayPort×3)
メモリ16GB(8×2) PC4-25600(DDR4-3200)国産モジュール
SSD1TB M.2 NVMe
HDD無し(HDD×2台選択可)
光学DVDスーパーマルチドライブ
Wi-FiWiFi6(ax)+Bluetooth5.0(TP-LINK Archer TX3000E)
USBUSB3.2Gen2Type-C×1, USB3.0(3.1Gen1)×7, USB2.0×4
OSWindows 10 Pro 64bit版
Office無し(選択可)
電源700W(80Plus認証Gold)
サイズ横幅230mm×奥行582mm×高さ525mm (70.3ℓ)
価格\ 273,460(税込)

Core i7 11700Kを搭載しながらも税込み30万円を余裕で下回っているモデルです。グラボをRTX3060にすればさらに魅力的な価格帯になるので、そこを選択肢にいれたモデルが出ればそちらもおすすめです。RTX3060はGeForce GTX 1080Tiよりも高性能なので、殆どのゲーマーにとってはRTX3060もあれば十分です。このモデルはRTX3070搭載なので少しオーバースペックです。

CPUクーラーで簡易水冷ではなく空冷型が選択できればさらに良い製品です。Core i7 11700Kなら空冷型でも余裕で冷却できる上、耐久性に優れるためです。