2019年7月発売のAMD製GPUです。コードネームVegaで採用されていたGCNアーキテクチャが刷新され、RDNAアーキテクチャを採用した最初のGPUです。アーキテクチャが抜本的に変更されていても、これまでのRadeon RXが得意としていたゲームは5700XTでもフレームレートが高く、これまでのRadeon RXが不得意としていたゲームでは5700XTでもフレームレートが低いといった特性はそのまま維持されています。
Apex LegendsではRTX2070より少し低い程度であり約120fps出ます。ただし2018年発売のRTX2070と2019年発売の5700XTとの比較になります。
一方でPUBGだと2018年発売のRTX2060を下回る100fps以下のフレームレート性能になってしまいます。
現在RTX2080TiやRTX2080でYoutube・Twitch配信をしているストリーマーが5700XTや5700無印に乗り換えてくれたら大きな広告塔になるでしょうが既にRTX2080TiやRTX2080を持っているユーザからすると5700XTに乗り換えるメリットはないでしょう。
2019年7月の同時期に発売されたNVIDIA GeForce RTX Superシリーズと比較すると、この5700XTはRTX2060Superよりも低性能です。本来RTX2070Superが5700XTのカウンターパートになるはずでしたが、各ゲームのフレームレート性能をみてみるとRTX2060Superがカウンターパートになります。しかもゲームごとに各論で判断する必要はなく、総論として大多数のゲームでRTX2060Superが満遍なく上回っています。
さらに5700XTがRTX Superより不利になってしまったのは、2019年7月に発売されたRadeon RXはリファレンスモデルのみだったということです。オリジナルファンモデルの投入は一ヶ月遅れとなりました。一方でNVIDIAはRTX2070SuperもRTX2060Superにおいても、各グラボメーカーにオリジナルファンモデルを2019年7月に一斉発売させることに成功しました。
これはAMDが5700XTのGPUを各グラボメーカーに供給するのが歩留まりの悪さのため遅れてしまったことが要因です。そのため5700XTのオリジナルファンモデルを同時発売するだけの量産が間に合わずリファレンスモデルだけ先行して発売されました。一方でRTX Superシリーズは早い段階からNVIDIAが各グラボメーカーにGPUを供給していたためオリジナルファンモデルの設計・開発と量産が間に合い2019年7月に一斉に発売可能になりました。
タイミングの悪いマイナス要素は2019年夏期において仮想通貨の価格が再び上昇してきてしまっていることです。2017年8月に発売されたRX Vega64はGTX1080を超える性能でありNVIDIAからユーザを奪う好機でした。ですがRX Vegaは当時仮想通貨が高値圏であったことからマイニング用途で買い占められてしまいゲーマーの手に行き渡らずほぼ注目されずに終わってしまいます。仮想通貨マイニングが衰退してRX Vegaの在庫が復活した2018年には既にTuring世代のNVIDIA製GPUが発表されてしまい、RX Vegaはリリースのタイミングが悪手でした。これ以上仮想通貨が上がらなければ5700XTが同じ轍を踏むことはないでしょう。
一方で今回の5700XT発売時の状況がRX Vega発売時2017年8月の状況と異なるのは、5700XT発売の数日後にNVIDIAがTuring世代RTXの2019年版を出してきたことです。2017年8月発売のAMD RX Vegaを意識してNVIDIAはGTX1070Tiを投入しましたが発売時期は2017年10月でありAMDのRX Vega投入から時間があいていました。それと比べると2019年の今回は間髪入れずにNVIDIAが新モデルを投入してきたことになります。同時にNVIDIAとAMDのGPUが発売されるなら多くのゲーマーがNVIDIA製を選ぶといった消費行動を狙ってのNVIDIAの戦略です。
5700XTが高いフレームレートを叩き出すゲームは限定されておりゲームごとにばらつきが大きいです。ApexLegends用に絞るなら5700XTがおすすめです。
しかしApexLegends用であっても解像度FullHD(1920×1080)だとNVIDIA GeForceが有利です。AMD公式でもRadeon RX 5700XTを購入したユーザでもフレームレート計測時に「1440p以上」の解像度で実行しているのは、FullHD(1080p)解像度だとRadeon RX 5700XTのコア数を使いきれずNVIDIA GeForceと全く勝負にならないからです。コア数が少ないけれども各コアの性能が高いNVIDIA GeForceが勝ってしまいます。YoutubeでもTwitchでも9割以上の配信者が1080p解像度で配信してますし、ましてやプロゲーマーになると1920×1080(1080p)解像度を好むため、4Kや1440pにこだわらないゲーマーにとってはFullHD解像度で高画質設定時に高いフレームレートが出るNVIDIA GeForceがおすすめです。
Radeon RX 5700XTで採用されているチップは「Navi10」であり、合計40基のCompute Unit(CU)を搭載しています。AMD RadeonのCompute Unitとは、NVIDIA GeForceでいうところのStreaming Multiprocessor(SM)です。Radeon RX 5700XTで採用されているNavi10チップのブロック図は以下のようになります。
このように全てのCUが有効化されているため40基のCUを実現しており、周囲の4基のメモリコントローラも全て有効化されているため8GBビデオメモリに対応しています。このブロック図を実際に半導体回路に落とし込んだチップは以下のようになります。
下位モデルのRadeon RX 5700では、このNavi10チップをベースとして4基のCUを無効化することで36基のCUにとどめ、半導体製造上の歩留まり(良品率)の向上を図り価格を安くしています。
インデックス:
1位: SAPPHIRE
・SAPPHIRE RADEON RX 5700 XT 8G GDDR6 HDMI/TRIPLE DP (UEFI) 21293-01-40G(VD6994)
2019年7月発売。2スロット占有(40mm厚)。全長270mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
2位: ASUS
・ASUS RX5700XT-8G
2019年7月発売。2スロット占有(40mm厚)。全長270mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
3位: MSI
・MSI Radeon RX 5700 XT 8G(VD7009)
2019年7月発売。2スロット占有(40mm厚)。全長272mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
4位: ASRock
・ASRock Radeon RX 5700 XT 8G
2019年7月発売。2スロット占有(42mm厚)。全長284.8mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
5位: Gigabyte
・GV-R57XT-8GD-B
2019年7月発売。2スロット占有(35mm厚)。全長270mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
6位: PowerColor
・PowerColor RX 5700XT 8GB GDDR6 AXRX 5700XT 8GBD6-M3DH
2019年7月発売。2スロット占有(35mm厚)。全長270mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
7位: 玄人志向
・RD-RX5700XT-E8GB
2019年7月発売。2スロット占有(40mm厚)。全長270mm。ブーストクロック1,755MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1