SilverStone SST-NJ520は日本国内で正規品として手に入る数少ないファンレス電源の一つです。
日本国内では販売されていないSeasonic SS-520FL2の設計書を用いて、Seasonicが生産し、販売ブランド名だけがSilverStoneになっています。
Seasonicはパソコンに限ればほぼ電源だけのメーカーですし、ケースから様々なPCパーツを販売しているSilverStoneブランドのほうが認知度が高いというのがあるのでしょう。
米国では設計元製品であるSeasonic SS-520FL2の方が人気
米AmazonではこのSilverStone電源の設計元となったSeasonic SS-520FL2の方が人気です。理由は20ドルほどSeasonicの方が安いからだと思われます。日本ではSeasonicのSS-520FL2は売られていないので、SilverStone一択になります。
設計・製造はSeasonic、販売ブランドはSilverStone
OEMには様々な形態がありますが、この電源は台湾のSilverStone社が台湾企業のSeasonic社の設計書を使って、生産もSeasonicが行い、販売はSilverStoneの名で売るというものです。
SilverStoneのものは3年保証なのが痛手です。元となっているSeasonicのSS-520FL2は公式ウェブページに”Warranty 7 Years”とあるので7年保証です。価格もSeasonicの方が安いですが、日本国内では正規品ではなく、米Amazonでもそこまで格段に安いわけでもないので為替レートコストなどを勘案すると日本国内正規品であるSilverStoneの方を買うのが日本国内においてはベストです。
Seasonicらしく箱がでかい
この製品はSilverStoneブランドですが、中身がSeasonicだけあって箱もでかいです。フルプラグインで電源コードが充実しているせいですが、そこそこしっかりした箱に入っているのでこの電源は高級品の部類だと言えるでしょう。
Platinam認証取得電源
520W程度の出力となるとPlatinumあたりが限界かもしれません。Titanium認証取得であるSeasonicのPRIMEシリーズ650W電源も私は購入しましたが、PRIMEシリーズでは最低容量が650Wです。Titanium相当にするのなら650W程度規模の電源ではないと技術的に難しいと言えます。
倒立タイプや上部に設置するPCケースでは厳しい
この電源はファンレスのため、穴の空いている面を上方に向けなければなりません。熱は上に逃げるためです。これを下向きにしてしまうと熱の移動を妨げることになってしまいます。
私が高校時代に購入したPCケースは電源ユニットをケース内部の上部に設置するタイプです。古いケースはたいていそうなっているでしょう。そのようなケースではこのファンレス電源を組み込むのは難しいです。
最近のケースは電源を下に設置するタイプになっており、そのようなタイプなら放熱面を上に向けて電源を設置できます。そのようなケースを想定している電源のようです。
また、Corsairの600Qのように最近のケースでも倒立タイプになっているものは電源を上部に設置するタイプです。そのようなケースでもこのファンレス電源は厳しいため、ファンがついてても静かなSeasonicのPRIMEシリーズを取り付けたほうがいいでしょう。
感想:発売日が少し古いことと、Titaniumでないこと、保証年数3年が残念
この電源は無音PCを作ろうとしている人にとってはほぼ唯一と言ってもいいほどの貴重な電源です。ファンレス電源はいくつか出ていますが、微妙なメーカものばかりであり、Seasonicというまともなメーカ品は数少ないです。
ただ残念なのは、最近のSeasonicはPRIMEシリーズのように静音ファンを取り付けて耐用年数を12年に伸ばし10~12年保証にする方向にかじを切っています。にもかかわらず、このファンレス電源はたった3年の保証でありとても短く感じます。
またTitanium認証取得でないことも少し残念です。
ファンレス電源の新製品がここのところあまり出ておらず、ファンレス電源についてはあまりメーカとしても最近積極的でないようです。ファンレスにするとどうしても熱のせいで劣化が早まってしまうため、メーカとしてはあまりやりたくないのでしょう。
しかし、ファンレスPCにこだわるのならこの電源しか選択肢はないと言えます。ACアダプタは故障率が高く劣化も早く発火の原因になりやすいのでACアダプタはおすすめしません。それなりに信頼のおけるメーカであるSeasonicが設計生産してSilverStoneが販売しているこの製品がベストだと言えます。