おすすめMini ITXマザーボード(Intel第11世代Rocket Lake対応Z590,H570,B560,H510チップセット搭載)のメーカー・価格比較

第11世代Intel Core(Rocket Lake-S)に対応したIntel 500シリーズチップセットを搭載したMini ITXフォームファクタの各メーカーマザーボードを比較しています。

Micro ATXフォームファクタ(Intel 500シリーズチップセット搭載)マザーボードについてはこちらで比較しています。

Core i9 11900K, Core i7 11700K, Core i5 11600Kのような第11世代Intel Core(Rocket Lake)プロセッサは、2021年に発売されたIntel 500シリーズチップセット搭載のマザーボードだけではなく、2020年に発売されたIntel 400シリーズチップセット搭載のマザーボードでも動作可能です。ソケットはLGA1200で同じであり、完全に互換性があります。ただし、以下のような違いがあります。

【2021年発売のIntel 500シリーズチップセット(Z590,H570,B560,H510)】:
PCI Express 4.0(CPU管理)
PCI Express 3.0(チップセット管理)
Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)対応のIntel AX201モジュール内蔵 ※B560,H510はWiFi内蔵せず
Thunderbolt4、USB 3.2 Gen2×2(20Gbps)
【2020年発売のIntel 400シリーズチップセット(Z490, W480, H470, Q470, B460, H410)】:
PCI Express 3.0(CPU管理)
PCI Express 3.0(チップセット管理)
Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)対応のIntel AX201モジュール内蔵 ※B460,H410はWiFi内蔵せず
Thunderbolt3、USB 3.2 Gen2(従来のUSB 3.1 Gen2と全く同じ規格、10Gbps)

通信規格が高速化されているのが主な変更点です。

Mini ITXフォームファクタは近年非常に人気となったフォームファクタです。理由はSFF(Small Form Factor:省スペース)カテゴリの優秀なPCケースが相次いで発売されたことにもよります。Mini ITXではPCI Expressスロットが一つしか搭載されていないため、基本的にマザーボード標準搭載の機能に大きく依存します。そのためMini ITXフォームファクタのマザーボードではWiFiは当然のように搭載されていますし、Thunderbolt4と始めとしたUSB出力も充実しています。ATXフォームファクタではThunderbolt4端子がリアパネルに搭載されていないことが多いですが、Mini ITXでは上位モデルならほぼ確実にThunderbolt4を1コネクタは搭載しています。

1位: MSI MEG Z590I UNIFY MB5239

モデル名MSI MEG Z590I UNIFY
対応CPUIntel第11,10世代
フォームファクタMini ITX
チップセットIntel Z590
CPU補助電源8pin×1
メモリスロット×4 , 最大128GB
メモリクロックDDR4 2,133MHz~
M.2スロット×2
画面出力×2
Thunderbolt×2
USB×6
有線LAN×1(2.5Gbps)
無線LANWiFi6E(ax)+BT5.2
電源フェーズ8+1+1
発売日2021年3月

MSIから発売されたMini ITXフォームファクタのIntel 500シリーズマザーボードの中では最もおすすめできる製品です。しかも、他社のMini ITXマザーボードがいまいちなので相対的に上位になっています。特徴はいくつもありますが、まずはM.2スロットの通信規格についてのデメリットから記載しておきます。

このマザーボードではM.2スロットが2基ありますが、第11世代Intel Coreプロセッサを搭載すると片方のM.2スロットはCPU管理のPCI Express4.0接続になります。NVMe SSDを使うならこれで問題ないのですが、問題はSATAのM.2 SSDを使う場合です。もう片方のM.2スロットはチップセット管理のPCI Express3.0ですが、これはNVMe SSDしか接続できません。第11世代Intel Coreを搭載するといずれのM.2スロットもPCI Express接続となりNVMe SSDしか接続できず、結果的にSATA SSDを使えないことになります。他方、第10世代Intel Coreを使う場合はPCI Express4.0に対応しないため、M.2スロットの片方はSATA接続に対応します。このM.2接続の通信互換性の部分がこのマザーボードのデメリットです。

言い換えればM.2接続のSSDを使う場合NVMe規格しか使わないなら何の問題もありません。

これまでのMini ITXマザーボードでは、2基のM.2スロットのうち片方は裏側にあることが殆どでした。このマザーボードでは両方とも表側にあります。

このようにM.2 SSDを二段重ねで表側に搭載します。マザーボードに近い側(1階目)がチップセット管理のM.2スロットで、上側(2階目)がCPU管理のM.2スロットです。

このようなM.2スロットは人によってはデメリットに感じる場合もあるでしょう。なぜならマザーボード裏側にM.2 SSDがあればそれを取り外すことは容易だからです。滅多に実施するものではないですが、M.2 SSDをクローンコピーしたり、交換等でM.2 SSDを取り外すこともあります。このM.2 SSDがマザーボード表面に装着されていると、SSDを取り外す際にCPUクーラーの取り外しは必須です。グラフィックボードの取り外しだけでも少し面倒ですが、CPUクーラーの取り外しは非常に面倒な作業になります。最近のPCケースはメンテナンス性が重視されており、マザーボード裏側にメンテナンスホールが儲けられていることが多いので、マザーボード裏面にM.2スロットがあったほうがSSD取り外しの観点からは楽です。ただし、放熱の面から考えるとヒートシンクが充実している表面にまとめた方が有利です。

リアパネルもまた少し特殊です。USBコネクタはUSB 3.1 Gen2が2ポート(レッド色)、USB 3.0(Gen1)が2ポート(ブルー色)、USB 2.0が2ポート(ブラック色)の合計6ポートです。正直USBポートは全く充実していません。

WiFi+Bluetoothのアンテナ端子はもっと左側にあった方がいいので大していい評価はできません。オーディオコネクタは3つしか無いですがこれで十分でしょう。基本的にマザーボード標準のオーディオコネクタは使わずUSB接続やBluetooth接続で外部DACやADCを使った方がホワイトノイズが少なく、小さな音が明瞭になります。

このマザーボードで複雑なのはThunderbolt4コネクタです。Thunderbolt4コネクタが2つあるのですが、この2つのコネクタからは内蔵グラフィクスのディスプレイ出力ができません。内蔵グラフィクスの映像出力ができるのはリアパネル左側にあるDisplayPortとHDMI端子の2つのみです。

Thunderbolt4コネクタの右側に2つのminiDisplayPortコネクタが見えますが、これは実はインプット側のコネクタです。ここにグラボからのディスプレイ出力信号を入力することができます。

なぜわざわざグラボからのディスプレイ出力をマザーボードリアパネルから入力するメリットがあるのかというと、このminiDisplayPortから映像信号を入力すると、パススルーでその左側のThunderbolt4コネクタからそのまま出力されます。そしてThunderbolt4の規格上、デイジーチェーン接続が可能になります。またThunderbolt4では映像信号の他にUSB信号も束ねて送信することができます。つまり、グラボとディスプレイをDisplayPortで直結させてしまうと、ディスプレイでUSBハブを使うためには別途USBケーブルをディスプレイに接続しなければならないけれども、このマザーボードのパススルー接続でThunderbolt4規格にしてからディスプレイに接続すれば、映像信号+USB信号を束ねて一本のケーブルで済ませることができるということです。

とはいっても、グラボの出力がType Cになっていればこんなことをする必要はなく、ディスプレイとUSB信号も送受信できます。グラボ側にType Cコネクタがない状況下でケーブル数を削減したいとか、デイジーチェーン接続にしたいという場合にこの「グラボ→マザーボード→ディスプレイ」といった接続にメリットがあります。この機能を必要としているユーザーはそんなに多くないでしょう。