おすすめCore i5 8400のベンチマーク性能比較レビュー 第3世代Ryzen 5 3600と互角の性能

Core i5 8400は2017年10月に発売されました。2017年~2018年にかけて発売された第8世代Intel Core i5プロセッサの中では一番低いグレードに属します。以下Core i5 8400のベンチマーク性能評価を行っていきます。

Core i5 8400と第3世代Ryzen(2019年度発売)プロセッサを比較

2019年7月~2020年にかけて発売された第3世代RyzenプロセッサとCore i5 8400を比較していきます。

第8世代Intel CoreプロセッサであるCore i5 8400から2年も後に発売されただけあって、発売時期だけでみれば第3世代Ryzenプロセッサが競争条件は有利です。

しかし、第3世代Ryzenで採用されたZen+マイクロアーキテクチャは前世代のZen+マイクロアーキテクチャと比較してキャッシュサイズが変更されていますが、そのかわりキャッシュレイテンシが増大してしまっていたり、さらにはCCX(4コア)ごとに共有キャッシュを持つという根本的な結婚構造が改善されなかったため、大して性能が上がっていません。

そのため第3世代RyzenプロセッサのフラッグシップモデルであるRyzen 9 3950Xを持ってしても、第3世代Ryzenより2年も前に発売されたCore i5 8400とほとんど同じ性能です。

Core i5 8400 vs. Ryzen 9 3950X

AMDがIntel Core i5の対抗馬となることを想定して発売したものがRyzen 5ですが、実際にはフェアな比較にはなっていません。

Ryzen 5側が下駄履かせになっており、Core i5の方がハンディキャップがあります。

なぜならRyzen 5には内蔵グラフィックスが搭載されていないからです。Intel Core i5はIntel UHD Graphicsという内蔵グラフィックスを搭載しておりチップ面積の半分がグラフィックスコア回路です。残り半分のチップ面積が汎用コアなので、その分だけ汎用コアのCPU性能が下がってしまいます。

そんな不利な状況下でも、Core i5の中で最も低性能なモデル8400は、Ryzen 5どころかRyzen 7 1800XというRyzenシリーズで最も高性能なモデルに勝ってしまったわけですが、ここではさらにRyzen側に下駄をはかせて2019年7月に発売された第3世代Ryzen 9 3950Xとも勝負させてみます。

このRyzen 9 3950Xも内蔵グラフィックスを搭載していないので、Intel UHD Graphicsを搭載しているCore i5 8400にハンディキャップがあります。

Core i5 8400に対して、Ryzen 9 3950Xがたった+3%だけ勝利しています。Core i5 8400よりもRyzen 9 3950Xが+3%だけ性能が高いことになります。

ここまでCore i5 8400にハンディキャップがある中でも、Ryzen 9 3950Xは+3%しか性能で上回っていません。

本来ならばCore i5 8400と比較する対象はRyzen 5 1400のはずですが、まったく勝負になりません。

そこで、今Core i5 8400とRyzen 9 3950Xの比較をしたので、次は立場を入れ替えて比較してみます。

つまり、Ryzen側をRyzen 5 1400にします。Core i5 8400に相当するものです。

そしてIntel側をCore i9 9900KFにします。これがRyzen 9 3950Xに相当するものです。本当は、Ryzen 9 3950Xに相当するものはCore i9 10900KFなのですが、そこまで強いCPUを持ち出してくるとRyzen側が勝てなさすぎて可哀想なので、ここでは控えめにIntel Core i9 9900KFを使います。

Ryzen 5 1400もIntel Core i9 9900KFも共に内蔵グラフィックスを搭載していません。そういう意味ではこれは先程とは違ってIntel側にハンディキャップがありません。

それでは立場を入れ替えて比較してみます。もしAMD RyzenとIntel Coreの実力が互角であるなら、先程のように+3%の差にとどまるはずです。

結果は+54%もIntel Core i9 9900KFが勝利しました。先程のCore i5 8400 vs. Ryzen 9 3950Xの立場をひっくり返して、Ryzen 5 1400 vs. Core i9 9900KFにしてみたらここまでIntel Coreが圧勝してしまったわけです。

IntelとAMDの実力に対称性があるならば、この比較でもIntel Core i9 9900KFが+3%程度の勝利にとどまるはずでした。しかし実際は+54%もIntel Coreが勝利しています。

先程は+3%の差だったのにここまで差がでてしまうのは、そもそもIntelよりもAMDの技術力が劣っているからです。

つまり性能においてIntel Coreが圧勝しています。「客観的事実」で合理的判断をするなら性能価格ともに優れているIntel Coreを選択することになりますが、世の中には2位のAMDを応援して1位のIntelを嫌う判官贔屓でRyzenを選ぶ人もいるようです。

Core i5 8400 vs. Ryzen 5 3600

2019年7月に発売されたRyzen 5 3600とCore i5 8400を比較してみます。

実際は少しだけCore i5 8400が高性能なのですが1%にも満たない差です。Ryzen 5 3600とCore i5 8400がほぼ互角の性能です。

同じ6コア同士のプロセッサである前提条件で、動作クロックはCore i5 8400のほうが低いにも関わらず同じ性能だということは、Intel CoreのマイクロアーキテクチャがRyzenのZen2マイクロアーキテクチャよりも優れていることを意味します。

さらにはCore i5 8400にはIntel UHD Graphicsという内蔵グラフィックスを搭載しています。一方のRyzen 5 3600には内蔵グラフィックスは非搭載で、グラフィックボードを別途用意しないとディスプレイ出力できず何も映りません。

そうなると汎用コアの性能が互角でも、内蔵グラフィックスを搭載しているCore i5 8400が優れていることになります。本来、グラフィックス機能のように追加の機能を用意すると、他の機能のためのチップ面積が少なくなるため汎用コアのチップ面積が減ってしまいますが、そのような制約下でもCore i5 8400とRyzen 5 3600の汎用コア性能が互角だということは、Ryzen 5 3600が相当劣っていることを意味します。しかもCore i5 8400は2017年発売であることを考慮すると、2019年発売のRyzen 5 3600と同性能だということはAMD RyzenのZen2マイクロアーキテクチャはIntel Coreより2年以上も技術的に遅れていることになります。

Core i5 8400 vs. Ryzen 5 3500X

Ryzen 5 3500Xは海外で2019年11月に発売されたCPUです。Ryzen 5 3500Xは日本国内では正規販売されていないCPUです。2017年10月に発売されたCore i5 8400とは約2年もの発売日の差があります。Ryzen 5 3500XはRyzen 5 3600の最大動作クロック4.2GHzを0.1GHz引き下げたもので、その他の動作クロックやキャッシュサイズ等は全く同じです。

Core i5 8400が+1%だけRyzen 5 3500Xに勝利しています。Ryzen 5 3500XはRyzen 5 3600よりも単コア最大動作クロックを0.1GHzだけ引き下げたため1コアあたりの性能に差ができ、全体としてこのような性能差が発生したことになります。

Core i5 8400 vs. Ryzen 5 3500

Ryzen 5 3500は海外では2019年11月にリリースされましたが、日本国内では2020年2月に発売されました。Ryzen 5 3500XのL3キャッシュサイズ32MBを16MBまで削減したのがRyzen 5 3500です。

Core i5 8400の性能がRyzen 5 3500よりも+2%高速です。Ryzen 5 3500では、Ryzen 5 3500XのL3キャッシュサイズを32MBを半減させ16MBにしたことによってキャッシュミス率が上昇。結果的にメモリアクセスコストが増加しパイプラインのIPC(クロックサイクルあたりの実行命令数)が低下することで全体の性能が低速化しています。それにより性能差が+2%発生しました。

Core i5 8400と第1世代Ryzen(2017年度発売)プロセッサを比較

第1世代Ryzenプロセッサは2017年3月に発売されました。第1世代Ryzen Threadripperシリーズを除けば、第1世代RyzenプロセッサのフラッグシップモデルはRyzen 7 1800Xです。

Core i5 8400は2017年10月に発売されたので、それより前に発売された第1世代Ryzenプロセッサのほうが発売時期的には不利です。そのため、以下紹介するようにRyzen 7 1800X相手でもCore i5 8400が大勝してしまっています。

Core i5 8400 vs. Ryzen 7 1800X

Intel Core i5の中では最も低性能なCore i5 8400と、Ryzen 7の中で最も高性能なRyzen 7 1800Xの比較です。

Core i5の中で最も低性能な8400と比較したにもかかわらず、Ryzen 7で最も高性能な1800Xが負けてしまっています。Core i5 8400が+11%勝利しています。

さらにCore i5 8400にはIntel UHD Graphicsという4K解像度60fpsで3画面表示ができるグラフィックチップがCPU上に載っているので、グラフィックボードを別途用意しなくても十分事足ります。ゲームをやる人だったらグラボ必須でしょうが、ゲームをやらない場合はIntel UHD Graphicsで十分です。

Core i5 8400はCore i5 8500よりもCore i3 8100に近い 理由はvPro、Intel TXT対応の有無

Core i5 8400は第8世代Coffee Lake Core i5シリーズの中では最も性能が低いものです。Core i5 8600Kとはかなりの差があります。Core i5 8400のTDPは65WでありCore i7 8700, Core i5 8600, Core i5 8500と同じです。

Core i5 8500の廉価版がこのCore i5 8400であり、さらに廉価なものがCore i3 8100になります。

このCore i5 8400はCore i5 8500とは大きな違いがあります。Core i5 8500はvProテクノロジに対応しており、Intel TXT(トラステッド・エグゼキューション・テクノロジ)にも対応しています。

しかし、Core i5 8400はvProテクノロジにもIntel TXTにも対応していません。これらに対応してないことによる具体的なデメリットは、vProテクノロジ非対応のCPUを搭載したPC端末に対して、リモートから一括でWindowsUpdateを適用する操作を実行できないことです。

そしてIntel TXT非対応だと、TPMチップをマザーボードに搭載したとしても、Cドライブ(システムドライブ)をBitLockerで丸ごと暗号化できません。

vProテクノロジやIntel TXTが必要ならCore i5 8400ではなくCore i5 8500以上を選択すべきです。

また当然のことながら、長時間動作でTDP91Wの単位時間あたり発熱量が想定されているCore i3 8350KよりはこのCore i5 8400の方が低性能です。一律に、Core i7だからCore i5より高性能だとか、Core i5だからCore i3より高性能とは全く言えません。