RTX2080(2018年)の焼き直しGPUです。RTX2080Superは2018年9月に発売されたRTX2080と同じTU104チップを使っています。RTX2080TiはTU102チップなので、このRTX2080SuperはRTX2080Tiの性能を引き下げたというよりも、RTX2080の性能を引き上げたものに該当します。
RTX2080SuperとRTX2080の違いは有効化されているStreamingMultiprocessor数で、RTX2080SuperではTU104に搭載されている全48コアのStreamingMultiprocessorのうち48コアすべてが有効化されています。2018年のRTX2080は2コア無効化された46コアでした。すべてのStreamingMultiprocessorが有効化されていることによってCUDA Core数も増えており、RTX2080より+128コア増えています。
つまりこの2019年リリースのRTX2080Superはマイナーチェンジです。一方で2018年にリリースされたGeForce RTXシリーズはアーキテクチャを刷新しTuringアーキテクチャを採用したことで4×4行列FMA演算に特化したTensor Coreを搭載するなどフルモデルチェンジでした。
2019年にあえてマイナーチェンジをしたのには2つ理由があります。
1つめの理由として、2018年当時よりも歩留まりの改善でGPUの製造原価が下がったため、すべてのStreamingMultiprocessorを有効化しても低コストを実現できたことが挙げられます。同時に高いクロック周波数を実現しても消費電力を低く抑えることができる個体を低い製造原価で得られるようになったことで、RTX2080と比較してRTX2080Superではコア数の増加とクロック周波数増加の両取りになっています。
2つめの理由としては、2019年7月にAMDがRadeonで新アーキテクチャを採用しフルモデルチェンジを実施したため、NVIDIAもSuperシリーズをAMD Radeonの発売時期とぶつけて「2019年にGPUを購入する層」の需要をAMDから奪うマーケティング上のメリットがあったからです。AMD Radeonは2019年7月に発売を急いで準備不足のまま見切り発車してしまい、発売日にリファレンスモデルしか用意することができませんでした。一方でNVIDIAのSuperシリーズは2019年7月発売と同時にオリジナルファンモデルもリリースできたため、NVIDIAの狙い通り2019年にGPUを購入する層の需要をAMD Radeonから奪うことができました。PCパーツは非常に陳腐化の著しい分野なので、2018年発売のNVIDIA GeForceRTXと2019年発売のAMD Radeonだと新しい2019年発売のRadeonを好むユーザがいます。そのようなユーザを取り込むために、たとえマイナーチェンジであっても発売日が新しい2019年版のSuperシリーズをNVIDIAが用意したことになります。
AMD Radeon 5700XTの対抗馬とするならGeForce RTX 2060 Superでも十分でも勝てるのでRTX2060Superだけでも良かったのですが、ラインナップがRTX2060Superだけだと座りが悪いので「RTX2070とRTX2080の間」「RTX2080とRTX2080Tiの間」を補うためにRTX2070Super,RTX2080Superも同時期にリリースされたことになります。
1位: ASUS
・ASUS ROG-STRIX-RTX2080S-A8G-GAMING
2019年8月発売。2.7スロット占有(54.1mm厚)。全長299.7mm。高さ130.4mm。ブーストクロック1,860MHz。ファン×3。補助電源8ピン×2。出力端子Displayport1.4×2、HDMI2.0b×2、USB Type C×1
バックプレート搭載。
・ASUS DUAL-RTX2080S-O8G-EVO
2019年8月発売。公称2.7スロット占有だが厚さが58mmもあるため実質2.9~3スロット占有。全長267mm。高さ118mm。ブーストクロック1,860MHz。ファン×2。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
バックプレート搭載。
2位: MSI
・MSI GeForce RTX 2080 SUPER GAMING X TRIO(VD7015)
3スロット占有(56.5mm厚)。全長328mm。ブーストクロック1,845MHz。ファン×3。補助電源8ピン×2。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1、USB Type C×1
・MSI GeForce RTX 2080 SUPER VENTUS XS OC (VD7100)
2019年10月発売。2.5スロット占有(51mm厚)。全長257mm。高さ127mm。ブーストクロック1,830MHz。ファン×2。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
バックプレート搭載。総合的にみてこの「MSI GeForce RTX 2080 SUPER VENTUS XS OC」は先行品の「MSI GeForce RTX 2080 SUPER VENTUS OC」よりも全長を短くして小型化しつつも、ファクトリーオーバークロックの水準を引き下げず、出力端子の充実度も維持したモデルになっています。
・MSI GeForce RTX 2080 SUPER VENTUS OC (VD7027)
2019年7月発売。2.5スロット占有(50mm厚)。全長268mm。ブーストクロック1,830MHz。ファン×2。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1
3位: GIGABYTE
・Gigabyte AORUS GeForce RTX 2080 SUPER 8G(GV-N208SAORUS-8GC)
2019年7月発売。3スロット占有(59.9mm厚)。全長290mm。高さ134.31mm。ブーストクロック1,860MHz。ファン×3。補助電源8ピン×2。出力端子Displayport1.4×3、HDMI.0b×3、USB Type C×1
バックプレート搭載
・Gigabyte GeForce RTX 2080 SUPER GAMING OC 8G (rev. 1.0) GV-N208SGAMING OC-8GC
2019年7月発売。2.5スロット占有(50.2mm厚)。全長286.5mm。高さ114.5mm。ブーストクロック1,845MHz。ファン×3。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1、USB Type C×1
バックプレート搭載
・Gigabyte GeForce RTX 2080 SUPER TURBO 8G(GV-N208STURBO-8GC)
2019年7月発売。2スロット占有(35.1mm)。全長272mm。高さ113.65mm。ブーストクロック1,815MHz。ブロワーファン×1。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport1.4×3、HDMI2.0b×1、USB Type C×1
4位: ZOTAC
・ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 SUPER Twin Fan ZT-T20820F-10P (ZTRTX2080STWIN-8GBGDR6) VD7000
2019年7月。2スロット占有(38mm)。全長268mm。ブーストクロック1,815MHz。ファン×2。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport×3、HDMI2.0×1
5位: 玄人志向
・玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX2080SP-E8GB/DF
2019年7月発売。2.5スロット占有(52mm厚)。全長285mm。ブーストクロック1,845MHz。ファン×2。補助電源8ピン×1、6ピン×1。出力端子Displayport×3、HDMI×1
6位: Palit
・Palit GeForce RTX 2080 SUPER GRP(NE6208SH20P2-1040G)
2019年7月発売。公称2.7スロット占有で実質3スロット占有(59.6mm厚)。全長292mm。ブーストクロック1,860MHz。ファン×2。補助電源8ピン×2。出力端子Displayport1.4a×3、HDMI2.0b×1、USB Type C×1