2022年9月に発売されたRyzen 9 7950XはZen4マイクロアーキテクチャを採用したデスクトップ向けCPUの中ではフラッグシップと位置づけられるモデルです。
1コアあたりの性能は相変わらず低く第12世代Intel Core(Alder Lake)を超えることができていない結果です。ただしマルチスレッド性能はZen3世代と比べて大幅に向上しています。
しかし今回のRyzen 9 950XはAMD愛好家からも「残念なCPU」として認識されてしまっています。理由はCore i9 13900Kに対して完敗したからです。
Ryzen 9 7950Xが発売されてもAMD愛好家の殆どは古い前世代のRyzen5000シリーズを購入しています。なぜかRyzen 9 7950Xを買いません。なぜなら10万円近い価格でRyzen 9 7950Xを買っても「どうせIntel Core i9 13900Kに負けるケチがついている」からです。それなら安い価格で古い世代のRyzen5000を買ってしまえば第13世代Intel Coreとのタイマン勝負を回避できるから得策だという見立てです。つまり敵前逃亡を選択しているAMDユーザが多いです。第13世代Intel Coreと対決しなくて済む古いRyzen5000を買って、次世代のZen5が発売されるまでの臥薪嘗胆の慰めにした方がマシといったところでしょう。
- Ryzen 9 7950Xの詳細スペックと特徴
- Ryzen 9 7950Xのベンチマーク評価結果
- Ryzen 9 7950Xと第13世代Intel Core(Raptor Lake)の比較
- Ryzen 9 7950Xと第12世代Intel Core(Alder Lake)の比較
- Ryzen 9 7950Xの各種ベンチマークごとの比較
- Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Effective:実効)
- Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Normal)
- Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Heavy)
- Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Server)
- Ryzen 9 7950X@PassMark(Single)
- Ryzen 9 7950X@PassMark(Multi)
- Ryzen 9 7950X@Cinebench R23(Single)
- Ryzen 9 7950X@Cinebench R23(Multi)
- Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(1~8Thread)
- Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(16 Thread)
- Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(Max Thread)
- まとめ:Ryzen 9 7950Xではマルチスレッド性能は大幅に向上したもののシングルスレッド性能は1年前の第12世代Intel Core(Alder Lake)に勝てず
- Ryzen 9 7950Xは12コアのRyzen 9 7900Xより完全に上位 Ryzen 9 5900X未満だったRyzen 9 5950Xとは異なる
- シングルスレッド性能は1年前に発売された第12世代Intelにも勝てない状況
- 第13世代Intel CoreのE-Core倍増を意識して、Ryzen 9 7950Xでは1コアあたりの性能向上は捨ててマルチスレッド性能に全振り
- 評価されるべき点は「目に見えるカタログスペック」にこだわる大衆主義を一瞬たりとも捨てて見えない部分の改良を実施したこと
- Ryzen 9 7950Xで搭載されたのは気休め程度の内蔵グラフィックス 第12世代Intel Coreに搭載されたUHD Graphicsの半分程度
- Zen4は大幅改良のはずが途中で力尽きてしまい、1コアあたりの性能は第12世代Intelに負ける結果
- Ryzen 9 7950X搭載デスクトップパソコンの比較
Ryzen 9 7950Xの詳細スペックと特徴
メーカー・モデル名 | AMD Ryzen 9 7950X |
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合計コア数 | 16コア |
基本クロック | 4.5 GHz |
最大クロック | 5.7 GHz |
コードネーム | Raphael (AMD Ryzen 7000シリーズ) |
発売日 | 2022年9月 |
AMD Pro(AMD版vPro) | 非対応 |
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定格外オーバークロック | 対応 |
PBP(基本消費電力≒TDP) | 170W |
L1キャッシュ | 1MB |
L2キャッシュ | 16MB |
L3キャッシュ | 64MB |
最大メモリサイズ | 128GB |
メモリタイプ | DDR5-5200 |
メモリチャネル | 2 |
メモリ帯域幅 | 83.2GB毎秒 |
コンピュータの形態 | デスクトップ |
ソケット | Socket AM5 |
グラフィクス(iGPU) | AMD Radeon Graphics (RDNA 2) |
iGPU最大画面数 | 4 |
iGPU最大周波数 | 2,200 MHz |
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iGPU CU数 | 2基 |
iGPU単精度コア数 | 128個 |
iGPU単精度性能 | 0.5632 FLOPS |
アーキテクチャ | Zen 4 |
プロセスルール | TSMC 5N (5nm) |
SIMD拡張命令 | Intel AVX-512, SSE4.2 |
SIMD演算器 | 256bit FMA×2 |
SIMD倍精度演算性能 | 16 FLOPs/cycle |
AI(深層学習)拡張命令 | 非搭載 |
Userbenchmark(Normal) | 238 |
Userbenchmark(Heavy) | 1,188 |
Userbenchmark(Server) | 3,741 |
CrossMark | 2,373 |
今世代で初の内蔵グラフィックス搭載になりました。しかしRyzenの内蔵グラフィックスの性能はIntelの半分程度で、大して存在意味のないものになっています。
今回からSocketがAM5に マザーボード投資額が大きいデメリットでさっぱり売れず
今回Ryzen 9 7950Xにとって不遇なのは、ソケットが変更されたためにマザーボード買い替えが必須だということです。5年に1回程度のパソコン買い替えならどのみちマザーボードも買い替えるので問題になりませんが、AMD Ryzenを買うような層はほぼ毎年Ryzenを買っており、マザーボードを含めた殆どのPCパーツを使いまわしている傾向があります。よって今回はマザーボードの新調が重なり負担が大きく、しかもマザーボードが異様に高額という二重苦になっています。それだけのコストを払いながらも第13世代Intel Coreに負けてしまうとなると、AMD愛好家するとRyzen7000なんてやってられないでしょう。
Ryzen 9 7950Xは発売当初明らかな買い控え 1ヶ月後に発売のCore i9 13900K発売まで様子見をしていたユーザ多数
今回Ryzen 9 7950Xは十分な供給量がありAmazonでも店頭でも普通に売っています。当初品薄だったRyzen 9 5950Xとは異なります。しかしこれだけの供給量があってもRyzen 9 7950Xの購入者が少なく、今回は需要が不足しているようです。
これはRyzen 9 7950Xの一ヶ月後にCore i9 13900Kが発売されたためで、「Core i9 13900Kの発売後にRyzen 9 7950Xとベンチマークを比較してからどちらを選ぶか決める買い控え」をしていたことによるものです。もしRyzen 9 7950Xの方が高性能なら、Core i9 13900K後にRyzen 9 7950Xが急激に売れだすはずですがそうとはなりませんでした。なぜかCore i9 13900Kが売れており、それはCore i9 13900Kのベンチマークスコアの投稿サンプル数の増加の速さでも証明されています。
とは言ってもAMD愛好家はIntelを買いたがらないため、Ryzen 9 7950Xの代わりに安い前世代のRyzen 7 5800X3D等を購入しておりRyzen5000シリーズの売れ行きの方がRyzen 9 7950Xより好調になっています。
「性能はIntelより低いけど安いAMD」の位置づけから脱却ならず
Ryzen 9 7950Xの発売後、第13世代Intel Coreが発売されましたがkakaku.comの売れ筋ランキングでRyzen7000がさっぱり上位にランクインしてない状況です。第13世代Intel Coreよりも下位に甘んじています。これは前述したようにマザーボードが高額になりすぎて「AM4マザーボードとRyzen5000で安く済ませたい」と考えるAMD愛好家が増えたためです。結果的にAM4マザーボードが品薄になってしまい、「CPUはあれどマザーボードが在らず」の状況で中古マザーボードまでもが高騰しています。それでもAM5マザーボードより安いというのだから異常です。AMDがRyzenシェアを拡大するための最適戦略は、AM4マザーボードとRyzen5000の生産再開をサポートすることでしょう。
Ryzen 9 7950Xのベンチマーク評価結果
Ryzen 9 7950X単体のベンチマーク評価結果を掲載します。グラフ長は他のCPUと比較した相対値になっています。つまりグラフ長は他のCPUと比較し優位にあるか劣位にあるかの目安になります。
CPUベンチマーク名 | AMD Ryzen 9 7950Xのベンチマーク性能評価スコア値(グラフ長は各ベンチごとの母数を元にノーマライズ) |
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Userbenchmark(Heavy) | |
Userbenchmark(Server) | |
CrossMark | |
Cinebench R23(Single) | |
Cinebench R23(Multi) | |
PassMark CPU(Single) | |
PassMark CPU(Multi) | |
マルチスレッド性能を計測するベンチマークに於いて高い性能が出ている傾向があることがわかります。
他のCPUとの定量的な比較は次の項目で実施していきます。
Ryzen 9 7950Xと第13世代Intel Core(Raptor Lake)の比較
Ryzen 9 7950Xと発売日が近いことで多くの人が注目している第13世代Intel Core(Raptor Lake)とのベンチマーク比較をしていきます。
Ryzen 9 7950X vs. Core i9 13900K
Ryzen 9 7950Xと比較する対象として現時点で妥当なのはCore i9 13900Kです。発売日が近い上に型番も近い900グレードです。形式的な型番で見るとRyzen 9 7950Xの方が950番なので本来はCore i9 13900KSと比較すべきですが、Core i9 13900Kでも十分勝てる水準です。
CPUベンチマーク名 | AMD Ryzen 9 7950X vs. Intel Core i9 13900Kのベンチマーク性能比較 |
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このように、+%の性能差でRyzen 9 7950Xに対しCore i9 13900Kが勝つ水準です。グラフがブルー色になっているのはIntel Coreが勝利したことを示します。
Ryzen 9 7950X vs. Core i7 13700K
Ryzen 9 7950Xよりもグレードが低いCore i7 13700Kと比較します。Core i7 13700Kは高性能コアが8コアで低消費電力コアが8コアなので、高性能コアが16コアあるRyzen 9 7950Xの方がスペック上は有利です。
CPUベンチマーク名 | AMD Ryzen 9 7950X vs. Intel Core i7 13700Kのベンチマーク性能比較 |
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しかしベンチマーク結果はRyzen 9 7950Xに対しCore i7 13700Kが+%勝利しています。グラフを見るとUserbenchmark(Server)だけグラデーション色になっています。これはこのグラフの項目のみRyzen 9 7950Xが勝ったことを示します。つまりマルチスレッド性能に関してはCore i7 13700KよりもRyzen 9 7950Xが上ということです。
Ryzen 9 7950X vs. Core i5 13600K
次に高性能コアが6コアしかないCore i5 13600Kと比較してみます。高性能コアの差だけでみれば16コアのRyzen 9 7950Xが圧倒的に有利なはずです。しかしCore i5 13600K相手であってもRyzen 9 7950Xは苦戦してしまいます。
CPUベンチマーク名 | AMD Ryzen 9 7950X vs. Intel Core i5 13600Kのベンチマーク性能比較 |
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Core i5 13600Kが+%の性能差でRyzen 9 7950Xに対し勝利しています。
Userbenchmark(Normal)のような1コアあたりの性能もCore i5 13600Kに対しRyzen 9 7950Xが負けています。
ただしRyzen 9 7950Xが勝利しているグラデーション色のグラフが増えています。マルチスレッド性能に関してはRyzen 9 7950XがCore i5 13600Kに対し勝っていますためです。マルチスレッド性能はRyzen 9 7950Xの方が高いのはコア数が多いため当然ですが、シングルスレッド性能はRyzen 9 7950Xに対しCore i5 13600Kでも勝ててしまいます。
Ryzen 9 7950Xと第12世代Intel Core(Alder Lake)の比較
Ryzen 9 7950Xよりも1年も前に発売された第12世代Intel Coreとも比較してみます。本来は同時期に発売された第13世代Intel Coreと比較すべきですが、古いCPUと比較する分にはRyzen側にとって不利にはならない前提条件なので比較してみる価値があります。もし1世代前の第12世代Intel Coreに対しRyzen 9 7950Xが負けてしまったらRyzen 9 7950Xが非常に劣っていることを意味するからです。
Ryzen 9 7950X vs. Core i9 12900KS
第12世代Intel Coreで最も高性能なCore i9 12900KSと比較してみます。Ryzen 9 7950Xよりも1年前に発売されたので本来ならRyzen 9 7950Xが+22%程度の性能差で勝たなければなりませんが結果はそうはなりません。
CPUベンチマーク名 | AMD Ryzen 9 7950X vs. Intel Core i9 12900KSのベンチマーク性能比較 |
---|---|
Userbenchmark(Heavy) | -2.9% |
Userbenchmark(Server) | +27.9% |
CrossMark | -7.5% |
Cinebench R23(Single) | -3.3% |
Cinebench R23(Multi) | +32.0% |
PassMark CPU(Single) | -1.4% |
PassMark CPU(Multi) | +43.9% |
このように+%の性能差でCore i9 12900KSがRyzen 9 7950Xに勝つ性能です。僅差ではありますがCore i9 12900KSの方が実効性能が上で、1コアあたりの性能でもCore i9 12900KSが勝っています。Core i9 12900KSが負けているのはマルチスレッド性能です。PassMarkやCinebench等でもマルチスレッド性能においてはRyzen 9 7950Xが上回っていることがわかります。
Ryzen 9 7950Xの各種ベンチマークごとの比較
ここでは各種ベンチマークソフトごとに、Ryzen 9 7950Xと他のCPUを比較していきます。Ryzen 9 7950Xがどのあたりの位置づけにあるか把握することができます。
グラフではRyzen 9 7950Xから見て他のCPUの性能がパーセンテージで表示しています。緑色の数字はRyzen 9 7950Xよりも高いスコアのCPUです。一方で赤色の数字はRyzen 9 7950Xより低いスコアのCPUです。赤色のスコアは「Ryzen 9 7950Xから見た性能差」ではなく、「スコアが低いCPUから見たRyzen 9 7950Xとの性能差」を表しています。
Ryzen 9 7950Xのスコア部分はグラフをグラデーション色で表示しています。
Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Effective:実効)
実際のアプリケーションの性能に近い結果を反映するUserbenchmark(Effective)のベンチマーク結果は以下の通りです。
CPUモデル名 | Userbenchmark(実効)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 12900KS | |
Intel Core i9 12900K | |
Intel Core i9 12900KF | |
Intel Core i9 12900F | |
Intel Core i7 12700K | |
Intel Core i9 12900 | |
Intel Core i7 12700KF | |
Intel Core i7 12700 | |
Intel Core i7 12700F | |
Intel Core i5 12600K | |
Intel Core i5 12600KF | |
Intel Core i5 12600 | |
AMD Ryzen 7 5800X3D | |
Intel Core i5 12500 | |
AMD Ryzen 9 5950X | |
AMD Ryzen 9 5900X | |
Intel Core i5 12400F | |
Intel Core i5 12400 | |
AMD Ryzen 7 5800X | |
AMD Ryzen 9 5900 | |
AMD Ryzen 7 5700X | |
AMD Ryzen 7 5800 | |
AMD Ryzen 5 5600X | |
Intel Core i3 12300 | |
Intel Core i3 12100 | |
Intel Core i3 12100F | |
AMD Ryzen 5 5600 | |
AMD Ryzen 7 5700G | |
AMD Ryzen 5 5600G | |
AMD Ryzen 5 5500 | |
AMD Ryzen 3 5300G | |
Intel Pentium G7400 | |
Intel Celeron G6900 |
前世代の16コアモデルRyzen 9 5950Xは-14%の位置にあります。前世代のRyzen5000シリーズと比較し実効性能はかなり向上したと言っていいでしょう。しかし1年も前に発売された第12世代Intel Coreと比較すると、Ryzen 9 7950XはCore i9 12900Kよりも低い性能です。
Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Normal)
Userbenchmark Normalは1~2スレッドを実行するベンチマークです。1コアあたりの性能を反映するシングルスレッドベンチマークに近い性質があります。
CPUモデル名 | Userbenchmark(Normal)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 13900KS | |
Intel Core i9 12900KS | |
Intel Core i9 12900K | |
Intel Core i9 12900KF | |
Intel Core i9 12900F | |
Intel Core i9 12900 | |
Intel Core i7 12700KF | |
Intel Core i7 12700K | |
Intel Core i5 12600K | |
Intel Core i5 12600KF | |
Intel Core i7 12700 | |
Intel Core i7 12700F | |
Intel Core i5 12600 | |
Intel Core i5 12500 | |
Intel Core i7 12700T | |
Intel Core i3 12300 | |
Intel Core i5 12600T | |
Intel Core i9 12900T | |
Intel Core i5 12400 | |
Intel Core i5 12500T | |
Intel Core i3 12100 | |
Intel Core i5 12400F | |
Intel Core i3 12100F | |
AMD Ryzen 7 5800X | |
AMD Ryzen 9 5900X | |
AMD Ryzen 9 5900 | |
AMD Ryzen 9 5950X | |
AMD Ryzen 7 5800 | |
AMD Ryzen 7 5800X3D | |
AMD Ryzen 5 5600X | |
AMD Ryzen 7 5700X | |
Intel Core i3 12300T | |
Intel Core i5 12400T | |
AMD Ryzen 5 5600 | |
AMD Ryzen 7 5700G | |
AMD Ryzen 5 5600G | |
Intel Core i3 12100T | |
AMD Ryzen 5 5500 | |
Intel Pentium G7400 | |
Intel Celeron G6900 | |
AMD Ryzen 3 5300G | |
Intel Pentium G7400T | |
Intel Celeron G6900T |
前世代のRyzen 9 5950Xは-20%程度になっているため、1コアあたりの性能が大幅に向上しています。しかしCore i9 12900KSを下回る水準になっており、1コアあたりの性能は1年前に発売されたIntel Coreにも勝てていないことになります。
Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Heavy)
Userbenchmark Heavyは4~8スレッドを実行するベンチマークです。ゲーム実行時にかかる負荷を想定しています。
CPUモデル名 | Userbenchmark(Heavy)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 13900KS | |
Intel Core i9 12900KS | |
Intel Core i9 12900KF | |
Intel Core i9 12900K | |
Intel Core i9 12900F | |
Intel Core i9 12900 | |
Intel Core i7 12700K | |
Intel Core i7 12700KF | |
Intel Core i7 12700 | |
Intel Core i7 12700F | |
Intel Core i5 12600K | |
Intel Core i5 12600KF | |
AMD Ryzen 9 5950X | |
Intel Core i9 12900T | |
Intel Core i7 12700T | |
AMD Ryzen 9 5900X | |
Intel Core i5 12600 | |
AMD Ryzen 9 5900 | |
Intel Core i5 12500 | |
AMD Ryzen 7 5800X | |
AMD Ryzen 7 5800 | |
AMD Ryzen 7 5800X3D | |
Intel Core i5 12400 | |
Intel Core i5 12400F | |
AMD Ryzen 7 5700X | |
AMD Ryzen 7 5700G | |
Intel Core i5 12600T | |
Intel Core i5 12500T | |
AMD Ryzen 5 5600X | |
Intel Core i3 12300 | |
Intel Core i3 12100 | |
AMD Ryzen 5 5600 | |
AMD Ryzen 5 5600G | |
Intel Core i3 12100F | |
Intel Core i5 12400T | |
AMD Ryzen 5 5500 | |
Intel Core i3 12300T | |
Intel Core i3 12100T | |
AMD Ryzen 3 5300G | |
Intel Pentium G7400 | |
Intel Pentium G7400T | |
Intel Celeron G6900 | |
Intel Celeron G6900T |
これにおいてもCore i9 13900Kに対しRyzen 9 7950Xが敗北しています。
Ryzen 9 7950X@Userbenchmark(Server)
Userbenchmark Serverは64スレッドを動作させるベンチマークです。
CPUモデル名 | Userbenchmark(Server)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 13900KS | +12.5% |
AMD Ryzen 9 7950X3D | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7950X | +0.0% |
Intel Core i9 12900KS | -27.9% |
Intel Core i9 12900KF | -31.0% |
Intel Core i9 12900K | -32.1% |
Intel Core i9 12900F | -35.0% |
AMD Ryzen 9 7900X3D | -35.7% |
AMD Ryzen 9 7900X | -35.7% |
AMD Ryzen 9 7900 | -35.7% |
Intel Core i9 12900 | -38.2% |
AMD Ryzen 9 5950X | -38.2% |
Intel Core i7 12700K | -60.7% |
Intel Core i7 12700KF | -62.3% |
Intel Core i7 12700 | -71.7% |
Intel Core i7 12700F | -75.3% |
AMD Ryzen 9 5900X | -79.3% |
Intel Core i9 12900T | -85.0% |
AMD Ryzen 7 7800X3D | -100.7% |
AMD Ryzen 7 7700X | -100.7% |
AMD Ryzen 7 7700 | -100.7% |
Intel Core i5 12600K | -109.1% |
AMD Ryzen 9 5900 | -110.3% |
Intel Core i5 12600KF | -110.8% |
Intel Core i7 12700T | -120.1% |
AMD Ryzen 7 5800X | -150.2% |
AMD Ryzen 5 7600X | -161.8% |
AMD Ryzen 5 7600 | -161.8% |
AMD Ryzen 7 5800 | -164.0% |
AMD Ryzen 7 5800X3D | -168.4% |
AMD Ryzen 7 5700G | -168.9% |
AMD Ryzen 7 5700X | -175.9% |
Intel Core i5 12600 | -187.5% |
Intel Core i5 12500 | -207.4% |
Intel Core i5 12400F | -212.8% |
Intel Core i5 12400 | -213.3% |
Intel Core i5 12600T | -239.2% |
AMD Ryzen 5 5600X | -242.6% |
Intel Core i5 12500T | -253.3% |
AMD Ryzen 5 5600 | -254.9% |
AMD Ryzen 5 5600G | -258.7% |
AMD Ryzen 5 5500 | -273.0% |
Intel Core i5 12400T | -274.5% |
Intel Core i3 12300 | -335.0% |
Intel Core i3 12100 | -347.0% |
Intel Core i3 12100F | -357.9% |
Intel Core i3 12300T | -399.5% |
Intel Core i3 12100T | -439.0% |
AMD Ryzen 3 5300G | -459.2% |
Intel Pentium G7400 | -894.9% |
Intel Pentium G7400T | -1,130.6% |
Intel Celeron G6900 | -1,280.4% |
Intel Celeron G6900T | -1,533.6% |
Ryzen 9 7950Xは16スレッドにおいてはCore i9 13900Kよりも強いですが、64スレッドまで増えると24コアのCore i9 13900Kが勝つ結果になります。
Ryzen 9 7950X@PassMark(Single)
PassMarkはRyzen 9 5950XのZen3世代においてはGeekbenchよりもRyzenに有利な結果が出ていましたが今回はそうでもなくなっています。
CPUモデル名 | PassMark CPU(Single)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 12900KS | +1.4% |
AMD Ryzen 9 7950X3D | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7950X | +0.0% |
AMD Ryzen 7 7800X3D | -1.7% |
AMD Ryzen 7 7700X | -1.7% |
AMD Ryzen 7 7700 | -1.7% |
AMD Ryzen 9 7900X3D | -2.0% |
AMD Ryzen 9 7900X | -2.0% |
AMD Ryzen 9 7900 | -2.0% |
Intel Core i9 12900KF | -2.9% |
Intel Core i9 12900K | -3.0% |
AMD Ryzen 5 7600X | -3.2% |
AMD Ryzen 5 7600 | -3.2% |
Intel Core i9 12900F | -5.6% |
Intel Core i9 12900 | -6.1% |
Intel Core i7 12700K | -6.8% |
Intel Core i7 12700KF | -7.1% |
Intel Core i9 12900T | -8.9% |
Intel Core i5 12600K | -8.9% |
Intel Core i5 12600KF | -9.2% |
Intel Core i7 12700F | -9.6% |
Intel Core i7 12700 | -9.8% |
Intel Core i5 12600 | -13.2% |
Intel Core i7 12700T | -15.0% |
Intel Core i5 12500 | -15.8% |
Intel Core i3 12300 | -18.0% |
Intel Core i5 12500T | -19.1% |
Intel Core i5 12400F | -21.7% |
Intel Core i3 12100 | -21.9% |
Intel Core i5 12400 | -22.6% |
Intel Core i3 12100F | -23.3% |
AMD Ryzen 7 5800X | -24.5% |
AMD Ryzen 9 5900X | -25.1% |
Intel Core i5 12400T | -25.2% |
AMD Ryzen 9 5950X | -25.2% |
AMD Ryzen 7 5800X3D | -25.8% |
AMD Ryzen 9 5900 | -25.9% |
Intel Core i3 12100T | -27.5% |
AMD Ryzen 7 5800 | -28.1% |
AMD Ryzen 7 5700X | -29.2% |
AMD Ryzen 5 5600X | -29.2% |
Intel Core i5 12600T | -30.9% |
AMD Ryzen 7 5700G | -32.5% |
AMD Ryzen 5 5600 | -34.1% |
AMD Ryzen 5 5600G | -36.6% |
Intel Pentium G7400 | -42.6% |
AMD Ryzen 5 5500 | -42.8% |
AMD Ryzen 3 5300G | -43.4% |
Intel Celeron G6900 | -61.1% |
Intel Pentium G7400T | -66.6% |
Intel Celeron G6900T | -84.7% |
シングルスレッド性能はRyzen 9 7950Xよりも前に発売されたCore i9 12900KSより下です。1世代前のIntelの性能さえ超えていないということです。Ryzen 9 5950Xと比べると確かにシングルスレッド性能は上がっていますが、第12世代Intel Coreすらも超えてないのは痛手です。
当然ながら、PassMark(Single)においてCore i9 13900K相手にはRyzen 9 7950Xは惨敗しています。
Ryzen 9 7950X@PassMark(Multi)
PassMark(Single)はRyzen 9 7950Xにとって芳しくない結果となりましたが、Multi-thread性能に関してはそうでもありません。
CPUモデル名 | PassMark CPU(Multi)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
AMD Ryzen 9 7950X3D | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7950X | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7900X3D | -24.8% |
AMD Ryzen 9 7900X | -24.8% |
AMD Ryzen 9 7900 | -24.8% |
AMD Ryzen 9 5950X | -40.1% |
Intel Core i9 12900KS | -43.9% |
Intel Core i9 12900K | -54.7% |
Intel Core i9 12900KF | -54.8% |
AMD Ryzen 9 5900X | -63.4% |
Intel Core i9 12900F | -71.4% |
AMD Ryzen 7 7800X3D | -75.5% |
AMD Ryzen 7 7700X | -75.5% |
AMD Ryzen 7 7700 | -75.5% |
Intel Core i9 12900 | -78.0% |
Intel Core i7 12700K | -85.3% |
AMD Ryzen 9 5900 | -85.4% |
Intel Core i7 12700KF | -86.2% |
Intel Core i9 12900T | -99.7% |
Intel Core i7 12700F | -104.2% |
Intel Core i7 12700 | -105.1% |
AMD Ryzen 5 7600X | -125.1% |
AMD Ryzen 5 7600 | -125.1% |
AMD Ryzen 7 5800X | -126.5% |
AMD Ryzen 7 5800X3D | -128.4% |
Intel Core i5 12600K | -131.7% |
Intel Core i5 12600KF | -134.5% |
AMD Ryzen 7 5700X | -140.8% |
AMD Ryzen 7 5800 | -148.7% |
AMD Ryzen 7 5700G | -161.5% |
Intel Core i7 12700T | -183.6% |
AMD Ryzen 5 5600X | -192.5% |
AMD Ryzen 5 5600 | -198.5% |
Intel Core i5 12600 | -202.8% |
Intel Core i5 12500 | -216.3% |
AMD Ryzen 5 5600G | -223.8% |
Intel Core i5 12400F | -224.4% |
Intel Core i5 12400 | -229.1% |
AMD Ryzen 5 5500 | -229.6% |
Intel Core i5 12500T | -266.8% |
Intel Core i5 12600T | -277.1% |
Intel Core i5 12400T | -288.5% |
Intel Core i3 12300 | -327.5% |
Intel Core i3 12100F | -347.7% |
Intel Core i3 12100 | -348.0% |
AMD Ryzen 3 5300G | -393.7% |
Intel Core i3 12100T | -400.2% |
Intel Pentium G7400 | -851.7% |
Intel Pentium G7400T | -991.8% |
Intel Celeron G6900 | -1,361.7% |
Intel Celeron G6900T | -1,496.1% |
マルチスレッド性能はCore i9 12900KSを大幅に超えています。そもそもRyzen 9 5950Xの時点でPassMark(Multi)ではCore i9 12900KSを超えていたので圧倒的大差が付いています。
PassMark(Multi)についてはRyzen 9 5950XにおいてもCore i9 12900Kより有利な結果が出ていたほどRyzenに下駄を履かせているベンチマークであるため、Ryzen 9 7950XにおいてもCore i9 13900Kより良い結果がでるでしょう。
Ryzen 9 7950X@Cinebench R23(Single)
Cinebenchは以前はRyzenにとって有利な結果が出ることが多かったベンチマークですが最近はそうでもなくなっています。
CPUモデル名 | Cinebench R23(Single)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
Intel Core i9 12900KS | +3.3% |
AMD Ryzen 9 7950X3D | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7950X | +0.0% |
Intel Core i9 12900K | -2.5% |
AMD Ryzen 9 7900X3D | -2.7% |
AMD Ryzen 9 7900X | -2.7% |
AMD Ryzen 9 7900 | -2.7% |
Intel Core i9 12900KF | -3.1% |
Intel Core i9 12900 | -3.4% |
AMD Ryzen 7 7800X3D | -4.5% |
AMD Ryzen 7 7700X | -4.5% |
AMD Ryzen 7 7700 | -4.5% |
AMD Ryzen 5 7600X | -6.0% |
AMD Ryzen 5 7600 | -6.0% |
Intel Core i7 12700K | -6.0% |
Intel Core i7 12700KF | -6.7% |
Intel Core i5 12600KF | -7.1% |
Intel Core i5 12600K | -7.6% |
AMD Ryzen 9 5950X | -28.1% |
AMD Ryzen 7 5800X | -30.1% |
AMD Ryzen 9 5900X | -30.6% |
AMD Ryzen 5 5600X | -33.1% |
シングルスレッド性能は1年前に発売されたIntel Core i9 12900Kは上回っていてもCore i9 12900KSには勝てていない状況です。
Ryzen 9 7950X@Cinebench R23(Multi)
第1世代Ryzen以降マルチスレッド性能を計測するのに最も使われてきたベンチマークはCinebenchR23(Multi)です。しかし最近はこのベンチマークでIntel Coreがスコアを伸ばしてきたため、AMD RyzenユーザはAMD Ryzen有利な結果が出るBlenderで計測する傾向があります。
CPUモデル名 | Cinebench R23(Multi)のベンチマーク性能評価スコア値 |
---|---|
AMD Ryzen 9 7950X3D | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7950X | +0.0% |
AMD Ryzen 9 7900X3D | -30.3% |
AMD Ryzen 9 7900X | -30.3% |
AMD Ryzen 9 7900 | -30.3% |
Intel Core i9 12900KS | -32.0% |
Intel Core i9 12900KF | -37.3% |
Intel Core i9 12900K | -37.7% |
AMD Ryzen 9 5950X | -40.4% |
Intel Core i9 12900 | -42.1% |
Intel Core i7 12700K | -64.4% |
Intel Core i7 12700KF | -66.0% |
AMD Ryzen 9 5900X | -90.2% |
AMD Ryzen 7 7800X3D | -91.3% |
AMD Ryzen 7 7700X | -91.3% |
AMD Ryzen 7 7700 | -91.3% |
Intel Core i5 12600K | -112.8% |
Intel Core i5 12600KF | -113.7% |
AMD Ryzen 7 5800X | -148.0% |
AMD Ryzen 5 7600X | -155.6% |
AMD Ryzen 5 7600 | -155.6% |
AMD Ryzen 5 5600X | -226.1% |
シングルスレッド性能に関してはRyzen 9 7950Xよりも1年前に発売された第12世代Intel Coreよりも下でしたが、マルチスレッド性能に関しては第12世代Intel Coreよりも上です。
Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(1~8Thread)
3DMark CPU Profileの1Tread, 2Thread, 4Thread, 8Threadに関してはCore i9 13900KがRyzen 9 7950Xに対してCore i9 13900Kが勝利しています。
Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(16 Thread)
3DMark CPU Profileの16Threadに関してはCore i9 13900KよりもRyzen 9 7950Xが上の性能です。要因としてはRyzen 9 7950Xには高クロックな汎用コアが16コアあるためです。
Ryzen 9 7950X@3DMark CPU Profile(Max Thread)
3DMark CPU ProfileのMax Threadは生成できる最大スレッド数を走らせるベンチマークですが、これはCore i9 13900Kに対しRyzen 9 7950Xが敗北する結果です。非常に多数のスレッドが走る状況に於いてはCore i9 13900Kが有利です。
まとめ:Ryzen 9 7950Xではマルチスレッド性能は大幅に向上したもののシングルスレッド性能は1年前の第12世代Intel Core(Alder Lake)に勝てず
Zen4世代のRyzen 9 7950Xの大きな改善点としては、Zen3世代のRyzen 9 5950Xではコアが多すぎて下位の12コアに負けてしまう事象が見られたものの、今回のRyzen 9 7950Xではそのような点はみられませんでした。
Ryzen 9 7950Xは12コアのRyzen 9 7900Xより完全に上位 Ryzen 9 5900X未満だったRyzen 9 5950Xとは異なる
Zen3世代では実力以上にコア数を増やしすぎてコア同士で電力枠の共食い状態になっていたのが、Ryzen 9 7950Xでは改善されて16コアでもスケーラブルに性能が伸びるようになり、マルチスレッド性能は大幅に向上しています。
シングルスレッド性能は1年前に発売された第12世代Intelにも勝てない状況
しかしその一方でシングルスレッド性能は1年も前に発売された第12世代Intel Coreすらも追い抜けない結果となっています。Ryzen 9 7950Xの発売前の事前情報では「1コアあたりの性能は第12世代Intel Core i9 12900KSにも追いついていない」と言われていましたが発売後もその通りになりました。実際発売された後もCinebenchやPassMarkのシングルスレッド性能を見ると第12世代Intel Coreより下です。
第13世代Intel CoreのE-Core倍増を意識して、Ryzen 9 7950Xでは1コアあたりの性能向上は捨ててマルチスレッド性能に全振り
第13世代Intel Coreは低消費電力コアであるE-Coreが倍増するが早くから出ていました。マルチスレッド性能を向上させるためには高クロックなコアを1つ用意するよりも低クロックなコアを2つ用意する方が有利です。なぜなら消費電力は電圧の二乗に比例して増加することと、クロックを引き上げるには電圧を引き上げなければならないためです。第13世代Intel CoreはE-Coreの倍増でマルチスレッド性能が45%程度上昇するという見込みが出ていました。
「スレッドレベル並列性が高いアプリケーションの性能だけはIntelに勝つ」が存在意義だったAMD Ryzenにとってマルチスレッド性能は絶対に負けられない分野です。実際Ryzen 9 7950XはRyzen 9 5950X比で、CinebenchR23MultiThreadスコアを見ても+40%の性能向上を実現しており、コア数が増加しない中でもこれだけのマルチスレッド性能向上になりました。
Ryzen 9 7950Xでは1コアあたりの性能向上は捨てて第12世代Intelに負けても、マルチスレッド性能だけは第13世代Intelといい勝負をするかあわよくば勝ちたいというAMDの本音が表出していました。
しかし結果的には第13世代Intel Core i9 13900Kに対し、Ryzen 9 7950Xはマルチスレッド性能でも負けてしまいました。
評価されるべき点は「目に見えるカタログスペック」にこだわる大衆主義を一瞬たりとも捨てて見えない部分の改良を実施したこと
今回Ryzen 9 7950XではRyzen 9 5950Xと比較してコア数も増えなかった上にL1,L3キャッシュサイズも増えませんでした。L2キャッシュが倍増したのみでその他は殆どが据え置きです。その代わり分岐予測精度の向上が実現されています。
AMDはカタログスペック主義を一瞬捨てて今回は見えない部分の改良に注力したことになります。
AMD Ryzenでは第1世代からずっとカタログスペック主義でした。その方がコンピュータ・アーキテクチャに詳しくない一般大衆ウケがいいからです。
分岐予測精度の向上というのは、そもそも投機的実行やOut of Order実行におけるフラッシュとコミットの概念を理解していないと具体的にどのように性能向上に直結するのかイメージできない人が殆どです。「分岐予測精度の向上が性能向上に貢献することは漠然とはわかるけど具体的に説明しろと言われたらできない」といった人が大多数なのが現実です。パソコンショップの店員では無理でしょう。そのような部分の改良は「良い見た目のカタログスペック」が作りにくいためAMDはこれまで避けてきましたが、今回は「目に見えにくい部分の改良」を断行した点は評価できます。
Ryzen 9 7950Xで搭載されたのは気休め程度の内蔵グラフィックス 第12世代Intel Coreに搭載されたUHD Graphicsの半分程度
第1世代Ryzen以降、Ryzenの主力のデスクトップCPUには内蔵グラフィックスが搭載されてきませんでした。APUはありましたが内蔵グラフィックスを搭載する代わりに汎用コアが半減しており、「Ryzenならではの多コア」ではないCPUでした。
今回ようやく内蔵グラフィックスを搭載し「内蔵グラフィックスが無いようでは法人用途で採用されるための選択肢にもしてもらえない」長年のコンプレックスを克服した格好です。
しかしRyzenに搭載された内蔵グラフィックスの性能は貧弱です。これはIntel Coreの内蔵グラフィックス未満の性能です。
Ryzen 9 7950Xよりも1年前に発売された第12世代Intel Coreの内蔵グラフィックスでもいまだに1TFLOPSであり、これはGeForce GTX 1050Tiを超えてるかも怪しいレベルです。にも関わらず、Ryzen 9 7950XではIntel Coreの半分の性能の内蔵グラフィックスしか搭載していません。
これはAMDがRadeonというdiscrete GPU(いわゆるグラフィックボード)を抱えている事情によりです。もしRyzen内部に高性能なGPUを統合してしまうと「わざわざグラボを買う必要が無い」となってAMDに打撃になります。いわば「共食い」になってしまうからです。そのためAMDではあえてグラフィックボードを購入してもらうために、低性能な気休め程度の内蔵グラフィックスしか搭載していません。Intel Coreの内蔵グラフィックスよりも低性能にしたのは「Radeonグラボが売れなくなるから」です。
Zen4は大幅改良のはずが途中で力尽きてしまい、1コアあたりの性能は第12世代Intelに負ける結果
Ryzen7000シリーズはAVX-512命令に対応して内蔵グラフィックスを搭載したところで力尽きてしまった設計になっています。
コア数が増えなかったことと、キャッシュはL2キャッシュがが増えたのみであり「Zen3のマイナーチェンジ」との評が付きまとっているのがRyzen7000シリーズです。
Ryzen生みの親であるジム・ケラー氏はZen3までしか関わっておらず、Zen4はジム・ケラー抜きで設計された初のマイクロアーキテクチャです。そのような事情を勘案すると、Zen4がZen3の焼き直し版に見えてしまうのも当然です。
Ryzen 9 7950X搭載デスクトップパソコンの比較
Ryzen 9 7950Xを搭載したデスクトップパソコンを比較しています。Ryzen 9 7950Xは前世代のRyzen 9 5950Xとは異なり内蔵グラフィクス:Radeon Graphicsを搭載しており別途グラボを搭載していなくてもディスプレイ出力可能です。性能はIntel UHD Graphicsの1/2程度なので低性能ですが、パソコン全体の価格を低く抑えたい場合はRadeon Graphicsのみで済ませる選択肢があるカスタマイズパソコンを選ぶのがおすすめです。
パソコン工房 iiyama PC SENSE-F0X7-LCR79W 【Ryzen 9 7950X, メモリ32GB, SSD1TB, 65.9ℓ】
商品名 | パソコン工房 iiyama PC SENSE-F0X7-LCR79W |
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CPU | AMD Ryzen 9 7950X |
GPU | Radeon Graphics, NVIDIA GeForce RTX 4090 |
メモリ | 32GB |
SSD | 1TB |
OS | Windows 11 Home, Windows 11 Pro |
サイズ | 65.9ℓ |
価格 | \ 317,000(税込) |
内蔵グラフィクスのRadeon Graphicsを選択するか、RTX4090にするか選べます。ただしRTX4090は品切れになっていることが多いです。Radeon Graphics版は別途グラボを搭載していない分だけRyzen 9 7950X搭載パソコンの割に安くなっています。メモリ容量が少し過剰なのとPCをケースが大型ですがその他は一般的なスペックです。