ThinkPadおすすめノートPCの総合比較

ThinkPadノートPCを選ぶ際にサーベイしたThinkPad全シリーズを横断的に比較し覚書としてまとめています。

ThinkPadブランドは旧日本IBM時代と比較するとLenovo傘下のブランドになってから大幅にラインナップが拡大しており、重量級の15.6インチから、1kg未満の13.0インチまで選択肢が広くなっています。

特にThinkPadは歴史的に「重くても信頼性が高く高性能ならいい」と玄人向けに構えていましたが、最近は軽量化も重視しており、比較的新しいシリーズのThinkPad X1 Nanoでは1kgを下回りました。

特に世代が重なるごとに「軽量化」と「画面サイズを維持したまま外形サイズを小型化」が実施されているため、新しい世代ほど有利になっていることが多いです。例外的に、バッテリ容量の増加で新しい世代の方が重量が増えることもありますが、それでも基本的にはCPUを始めとした半導体分野は技術進歩が著しく陳腐化が早いため最新世代ほどおすすめできます。

ThinkPadシリーズ

Lenovo製ノートパソコンの顔とも言える代表的シリーズがThinkPadです。ThinkPadブランドは日本IBMから引き継ぎLenovo社が使っています。厳密に言えば親シリーズとしてThinkシリーズがあり、その下にThinkPadシリーズとThinkBookシリーズがぶら下がっています。しかしThinkPadシリーズの存在があまりにも大きすぎるので、ここではThinkPadシリーズ単独で大区分としています。

ThinkPad X1

ThinkPadシリーズの中でもフラッグシップに位置づけられるのがThinkPad X1シリーズです。小型化, 軽量化, 高セキュリティ化のため研究開発された最新の実装技術が真っ先に投入されます。CPUやGPUの絶対性能面ではX1シリーズよりも上のシリーズは確かに存在するのですが、小型化や軽量化に十分なコストをかけて造っているX1シリーズの方が性能の割に高価格帯になります。高くても良いノートパソコンを買いたい人向けです。

ThinkPad X1 Extreme

ThinkPad X1 Extreme 2022(Gen5)
商品名Lenovo ThinkPad X1 Extreme Gen5(Pro OS選択可能)
型番21DECTO1WWJAJP2
CPU第12世代Intel Core i7-12700H (14コア) 【他: Core i7-12800H, Core i9-12900H】
メモリ16GB(8GB×2) LPDDR5-4800 【他:8GB, 32GB, 64GB】
画面16.0型, WUXGA(1920×1200, 16:10), IPS液晶パネル, 非光沢(ノングレア), タッチ非対応, 100%sRGB, 300nits, ブルーライト低減 【他:2560×1600, 3840×2400】
GPUNVIDIA GeForce RTX 3050Ti Laptop (notebook) ノートパソコン用
SSD1TB PCIe NVMe 【他:4TB, 2TB, 512GB, 256GB】
光学内蔵型搭載不可
WiFi/有線等WiFi6E(Intel AX211 2x2, IEEE 802.11ax 2.4Gbps, a/b/g/n/ac)+Bluetooth v5.2
USB等Thunderbolt4×2, USB Type-A×2, HDMI×1, ヘッドセット4極ジャック、SDカードスロット
OSWindows 11 Pro 【他:Windows 11 Home】
Office無し 【Office Personal, Home and Business, Professional 2021選択可】
電池バッテリ容量90Wh(4セル) / 付属ACアダプタ170W(3ピン)
質量/サイズ1.88kg / 横幅359.5mm×奥行253.8mm×厚さ17.9mm (1.633ℓ)
その他ウェブカメラ1080p(FullHD)シャッター付き、指紋センサー、NFC選択可
価格\ 495,880(税込)

第12世代Intel Core(Alder Lake)プロセッサのノートパソコン向けCPUの中で、最も高性能なAlder Lake-Hシリーズを搭載したのがこのThinkPad X1 Extreme Gen5です。CPUが強力なだけでなく、ノートパソコン向けNVIDIA GeForce RTX 3000シリーズを搭載しており、Intel Iris Xe Graphics(内蔵グラフィックス)を使わないためグラフィック性能が非常に高いです。ACアダプタ接続さえしていれば、画質設定を下げることでゲーム用途もこなせます。

非常に高性能ですが消費電力も高いです。バッテリ容量は90WhあるためX1 Carbonよりは大容量ですがACアダプタ無しではすぐバッテリが無くなります。ACアダプタは170Wもあるため、ACアダプタの供給電力能力をみても高消費電力なノートパソコンであることがわかります。

ThinkPad X1 Carbon

ThinkPad X1 Carbon 2022(Gen10)
商品名Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen10(Pro OS選択可能)
型番21CBCTO1WWJAJP2
CPU第12世代Intel Core i5-1235U (10コア) 【他:Core i5-1245U, Core i7-1255U, Core i7-1265U, Core i5-1240P, Core i5 1250P, Core i7-1260P, Core i7-1270P, Core i7-1280P】
メモリ16GB(8GB×2) LPDDR5-6400 【他:8GB, 32GB(Core i7 1280P選択時は32GBのみ)】
画面14.0型, WUXGA(1920×1200, 16:10), IPS液晶パネル, 非光沢(ノングレア), タッチ非対応, 100%sRGB, 400nits, ブルーライト低減
GPUIntel Iris Xe Graphics (CPU内蔵)
SSD1TB PCIe NVMe 【他:2TB, 512GB, 256GB】
光学内蔵型搭載不可
WiFi/有線等WiFi6E(Intel AX211 2x2, IEEE 802.11ax 2.4Gbps, a/b/g/n/ac)+Bluetooth v5.2
USB等Thunderbolt4×2, USB Type-A×2, HDMI×1, ヘッドセット4極ジャック
OSWindows 11 Pro 【他:Windows 11 Home】
Office無し 【Office Personal, Home and Business, Professional 2021選択可】
電池バッテリ容量57Wh(4セル) / 付属ACアダプタ(Type-C)
質量/サイズ1.12kg / 横幅315.6mm×奥行222.5mm×厚さ15.36mm (1.079ℓ)
その他ウェブカメラ1080p(FullHD)シャッター付き、指紋センサー、NFC
価格\ 409,200(税込)

ThinkPad X1 Carbon 2022(Gen10)ではCPUの選択肢が大幅に増えました。Alder Lake-PとAlder Lake-U(UP3)から選択可能です。前世代ではTiger Lake-UP3がThinkPad X1 Carbon Gen9で、Tiger Lake-UP4がThinkPad X1 Nano Gen1という棲み分けになっていましたが、今回はX1 Carbon Gen10でもX1 Nano Gen2でもAlder Lake-Pを選択できます。よって、もしThinkPad X1 Carbon 2022(Gen10)でAlder Lake-U(UP3)を選択してしまうと小型のThinkPad X1 Nano Gen2よりもCPUが低グレードになってしまう逆転現象もあり得るようになりました。前世代からの違いはディスプレイパネルで有機ELの選択肢が追加されたこと、ウェブカメラの映像をAI(機械学習)-FPGAで分析するComputerVision機能が搭載されたことです。あまり抜本的な刷新という印象はなく、純粋にCPU世代が新しくなったことによる部分が一番大きいです。

ThinkPad X1 Nano

ThinkPad X1 Nano 2022(Gen2) 【13.0型2K16:10, Core i5-1240P~i7-1280P, 内蔵GPU, メモリ16~32GB, SSD256GB~1TB, Win11Pro or Home, 967g】
商品名Lenovo ThinkPad X1 Nano Gen2 (Pro OS選択可能)
型番21E8CTO1WWJAJP2
CPU第12世代Intel Core i5-1240P 【他:Core i5-1250P, Core i7-1260P, Core i7-1270P, Core i7-1280P】
メモリ16GB LPDDR5-6400 【他:Core i7 1280P選択時は32GB】
画面13.0型, 2K(2160×1350), IPS液晶パネル, 非光沢(ノングレア), タッチ非対応, 100%sRGB, 450nits
GPUIntel Iris Xe Graphics (CPU内蔵)
SSD1TB 【他:256GB,512GB】
OSWindows 11 Pro 【他:Windows 11 Home】
質量/サイズ966.5g
価格\ 408,980(税込)

ThinkPad X1 Nano初リリース(2020年)から約1年半ぶりぐらい経ってから発売されたのがこのThinkPad X1 Nano Gen2です。ThinkPad X1 Nano Gen1ではCPUがTiger Lake-U(UP4)であり、X1 Carbonのよりも低性能な位置づけだったのですが、今回のThinkPad X1 Nano Gen2はAlder Lake-Pを搭載しておりX1 Carbon Gen10に十分太刀打ちできるものになっています。ただし同じAlder Lake-Pでも、ThinkPad X1 Nano Gen2はX1 Carbon Gen10よりもTDPが低く設定されています。

ThinkPad X

ThinkPad T

ThinkBookシリーズ

ThinkBookシリーズはThinkPadの廉価版です。ThinkPadでは高すぎて買えない、法人で大量調達したいけどスペックは低くていいのでコストを安く抑えたい場合に選択します。

ThinkBookもThinkPadと同じくビジネス用途(企業や大学等が大量調達するためのもの)ですが、ThinkBookよりも以下掲載するYogaシリーズの方が高価格帯になります。Yogaシリーズは個人消費者(コンシューマ)向けなので、その点でThinkBookとは棲み分けされています。

Yogaシリーズ 【個人消費者向け】

Yogaシリーズは個人消費者向けに提供されているシリーズです。2020年に設定された新しいシリーズです。

ThinkPad X1 Yogaにも”Yoga”というキーワードがありますが全く別のシリーズです。単なるYogaシリーズは、「ThinkPadだと高価に感じてしまう人向けに価格を抑えた」という位置づけです。同じく個人消費者向けのIdeaPadよりは高価格帯のノートパソコンになります。

つまりThinkPadだと高いけどIdeaPadよりも良いノートパソコンが欲しい、そういった場合にこのYogaシリーズが適することになります。

Yoga

Yogaシリーズの中で単なる”Yoga”の製品名を持つモデルは360度画面が回転するタイプの2in1ノートパソコンです。つまりノートパソコンのようにも使えればタブレットのようにも使えます。

Yoga Slim

Yoga Slimは画面を360度できないいわゆる普通のノートパソコンタイプ(クラムシェルタイプ)のシリーズです。つまり”Yoga”ではないです。Lenovoが使い始めた”Yoga”には「画面を360度回転させてタブレットのような形にできる」という意味が込められていました。しかしこのYoga Slimにおいては360度回転はできず、普通のノートパソコン程度の画面開きしかできません。そのためこの”Yoga Slim”はミスリードに陥りやすく紛らわしいネーミングだと言えます。

位置づけとしては「コンシューマ(個人消費者)向けの通常ノートパソコン(クラムシェルタイプ)」といったところです。ThinkPadよりも安くIdeaPadよりも高いクラムシェルタイプのノートパソコンがYoga Slimです。

Lenovo Yoga Slim 770i Carbon (第12世代Intel) 【13.3型】

メーカ名/商品名Lenovo Yoga Slim 770i Carbon
発売時期2022年9月
CPUIntel Core i7 1260P, Core i5 1240P
GPU(グラフィクス)Intel Iris Xe Graphics
画面(ディスプレイ)13.3型, WQXGA (2560×1600, 16:10), IPS液晶, 光沢なし, タッチ対応 or タッチ非対応
メモリ16GB or 8GB
SSD(ストレージ)1TB, 512GB or 256GB
無線(WiFi等)/有線LANWi-Fi 6E + Bluetooth
USB等Thunderbolt4(Type-C)×1, USB Type-C×1
WebカメラIR&720p HDカメラ
セキュリティ顔認証あり、指紋認証センサー無し
OSWindows 11 Pro 64bit or Windows 11 Home 64bit
Office無し or Microsoft Office Home&Business 2021
バッテリ14時間(Core i5 1240P) or 12時間(Core i7 1260P) / 4セル リチウムイオン50Wh
消費電力最大65W
質量(重さ)/サイズ972.7g / 全幅300.98mm × 奥行206.03mm × 全高14.80mm 0.9178ℓ
価格\ 156,970(税込)

Core i7 1260PとCore i5 1240Pから選択できるノート。画面の解像度はもっと低い1920×1200でもよかったのでそこは欠点です。1kgを切るほど軽い上にカーボン素材使用。メモリも16GBが選択可能でSSDも1TBが選択できるため、安かろう悪かろうにはならず実用性のあるノートパソコンです。CPUもAlder Lake-UではなくAlder Lake-Pを搭載しており性能は十分。これで20万円未満を狙えるのはよくできた製品です。

IdeaPadシリーズ

IdeaPadはLenovo製のノートパソコンの中で最も価格帯が安い部類のシリーズです。価格の安さを最優先したい場合にはこのIdeaPadシリーズから選びます。

LenovoノートパソコンCPU世代ごとのまとめ

ここではThinkPadシリーズを含めたLenovo製ノートパソコンをCPU世代ごとにまとめています。

Lenovo:第12世代Intel Core(Alder Lake)搭載

2022年にリリースされた第12世代Intel Core(Alder Lake-H, Alder Lake-P, Alder Lake-U)を搭載したThinkPadをまとめています。まずはThinkPad X1 Carbon Gen10から発売され、その後ThinkPad X1 Extreme Gen5が発売されました。

CPUの世代刷新の他にはウェブカメラの解像度がFullHDになったり、ComputerVision搭載になった変更点があります。しかしこれらはCPUの世代刷新と比較すれば些細な差であり、大きな変化はやはりAlder Lakeになったことでコア数が大幅に増えた部分です。

ThinkPad:第11世代Intel Core(Tiger Lake)搭載

2020年9月にリリースされた第11世代Intel Core(Tiger Lake-UP3, Tiger Lake-UP4)プロセッサを搭載したLenovo ThinkPadシリーズの各モデルを比較しています。抜本的に刷新された第11世代Intel Core(Tiger Lake)を搭載したことでThinkPadシリーズも大きく飛躍しました。Tiger Lakeプロセッサを搭載したThinkPadシリーズではDDR4Xメモリに対応したり、Thunderbolt4コネクタを搭載する変更点があります。他の変更点も大きく、真っ先に発売されたThinkPad X1 Nanoは5G通信に対応しましたし、その後発売されたThinkPad X1 Carbon 2021(Gen9)はDDR4Xメモリ32GB搭載可能になりました。ThinkPad X1 Carbon 2021では有線LANコネクタが非搭載となったのも特徴的です。

さらに大きな変化は画面のアスペクト比が16:10になったことでした。液晶テレビが普及する前はパソコン向けのディスプレイは事務作業がしやすい16:10が主流でしたが、16:9の液晶テレビが普及すると大量生産のスケールメリットを受けるためにパソコン用ディスプレイも16:9(フルHD)が主流になっていきました。つまりThinkPadで採用された16:10ディスプレイはコスト的に割高です。このような変更がなされたのは、現在ではテレワークのニーズが急速に拡大し、ThinkPadでも文書編集に多く登場する縦スクロールの事務作業用途に合わせてきたと言えるでしょう。

ThinkPadを含む第11世代Intel Core搭載ノートパソコンはこちらに掲載してまとめています。

ThinkPad:第10世代Intel Core(Ice Lake, Comet Lake)搭載

第10世代Intel CoreにはSunny Coveマイクロアーキテクチャを採用したIce Lakeプロセッサ(Lakefield含む)の他に、従来のSkylakeマイクロアーキテクチャを採用したComet Lakeプロセッサも存在します。

汎用コアの性能はComet Lakeの方が上なのですが、低消費電力性とグラフィクス性能の側面からするとIce Lakeが有利です。ただし、第11世代Tiger Lakeと比較すると第10世代Comet Lakeより圧倒的に第11世代Tiger Lakeが高性能です。

ThinkPadを含む第10世代Intel Core搭載ノートパソコンはこちらに掲載してまとめています。