GeForce GTX 1650搭載おすすめグラボメーカー&パソコンの性能比較 1世代前の1050Tiを19%上回るゲーミング性能 補助電源不要のTDP75WでもRadeon RX 570(150W)と性能が互角

2019年4月にリリースされたGeForce GTX 1650は「補助電源不要のTDP75Wの範囲内でできるだけ性能を高くする」をコンセプトとしたGPUです。

記事の後半では、NVIDIA GeForce GTX 1650をカスタマイズで選択可能なBTOパソコンを比較しています。GeForce GTX 1650はTuring世代のNVIDIA GeForceの中では最も低性能になりますが、事務作業用途なら十分すぎる性能です。

NVIDIA GeForce GTX 1650の詳細

GeForce GTX 1650の位置付けについて各項目ごとに記載しておきます。

GeForce GTX 1650の補助電源コネクタ

MSIの製品のように、中には6ピン×1のPCIe補助電源が必要なレベルまでファクトリーオーバークロックしたグラボも販売されています。

このGPUより1ランク上のGPUがGTX1660無印ですが、1660では玄人志向の製品を除いてすべて8ピン×1が必要です。

こういったことを踏まえると、補助電源なしの1650の次が一つ飛んで補助電源8ピン×1の1660無印では座りが悪いので、原則として補助電源不要とされているGTX1650に6ピン×1搭載モデルをリリースしておきたいメーカーの事情は理解できます。

また、TDP75Wは2スロット専有(40mm以下)の厚さの範囲内でファンレス仕様にできるギリギリの発熱量です。台湾Palit社からはGTX750Tiから1050Tiまで毎回のようにファンレスタイプのグラボがリリースされています。

このGTX1650はTDP75Wなのでファン×1でも十分ですが、各メーカからはファン×2のタイプとファン×1のタイプがそれぞれリリースされています。当然ながらファン×2のグラボのほうがより高い動作周波数までオーバークロックされています。

ゲームのフレームレート性能

ゲーミング性能はRadeon RX 570と互角程度です。GTX1650はコア数が少ない分だけ動作周波数が高めなので、少ないオブジェクトを高フレームで描画するゲームに向いています。

1世代前のPascal世代GTX1050TiではDisplayport×1、HDMI×1、DVI-D×1の3端子品でした。今回のTuring世代1650でも基本的にその端子を継承しています。しかしMSIのオーバークロックモデルのようにDisplayport×2、HDMI×1のようにDVI-D端子が搭載されていないグラボも存在します。DVI-D端子は既に過去の遺物なのでDVI-Dを搭載していないグラボを私は評価しているのですが、古いディスプレイで使えるようにあえてDVI-D搭載グラボを探している人は要注意です。

TU117のブロック図

GPU性能の根幹をなすGPUコアの細部について見ていきます。

GeForce GTX 1650では「TU117」というチップが使われています。GeForce GTX 1650より1つ上位のGeForce GTX 1650 Superでは「TU116」というチップが使われており、TU116のほうが型番の数が小さいものの性能面ではTU116のほうが圧倒的に高性能です。

まずGeForce GTX 1650で採用された「TU117」チップのダイアグラム見てみます。

上図のようにTU117チップにはSM(Streaming Multiprocessor)が合計16基搭載されています。

次に、GeForce GTX 1650 Superや1660Ti, 1660Super, 1660で採用されている「TU116」チップのダイアグラムは以下の通りです。

このように合計24基のSM(Streaming Multiprocessor)が搭載されています。つまり、GeForce GTX 1660Ti, 1660Super, 1660, 1650Super, 1650の一連のGPUの中で、GeForce GTX 1650だけが切り離された特殊な仕様(チップ)になっています。これは価格を安くするためです。

一つ上位のGeForce GTX 1650 Superになると上位の「TU116」チップが採用されているため、性能を求めるのならGeForce GTX 1650 Superを選ぶのも一つの手です。

1位: ELSA

・ELSA GeForce GTX 1650 S.A.C GD1650-4GERS (VD7042)

2019年7月発売。2スロット占有(41mm厚)。全長146mm。高さ111mm。ブーストクロック1,665MHz。ファン×1。補助電源コネクタ無し。出力端子Displayport1.4a×2、HDMI2.0b×1

バックプレート非搭載。

2位: ASUS

・ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING

2019年5月発売。2スロット占有未満のサイズで厚さ38.4mm。全長242mm。ブーストクロック1,860MHz。ファン×2。補助電源6ピン×1

・DUAL-GTX1650-O4G

2019年4月発売。2スロット占有で37mm厚。40mmにしっかり収まっているため隣のカードと干渉しない。全長204mm。ブーストクロック1,755MHz。ファン×2

・PH-GTX1650-O4G

2019年4月発売。2スロット占有。38mm厚。全長190mmでファン×1モデルにしては大型。ブーストクロック1,710MHz。ファン×1

3位: MSI

・GeForce GTX 1650 4GT LP(VD6989)

2019年6月発売。2スロット占有(37mm厚)。全長168mm。高さ105mm。ブーストクロック1,665MHz。小型ファン×2。補助電源無し。出力端子HDMI2.0b×1、DVI-D×1

バックプレート無しのため40mm厚の2スロット占有規格にしっかり収まっている。

公称では高さ105mmとなっていてLowProfile規格をオーバーしているがこれは接続端子よりも下にはみ出ているブラケット下方向の長さも含めてしまっているため。全長168mmでMini ITXマザーボードサイズに収まっているのはメリット。

しかしディスプレイ出力端子が2つしかなくトリプルディスプレイにできないのが大きなデメリット。デイジーチェーンにも非対応なようなので最大画面数は2。

・GeForce GTX 1650 GAMING X 4G(VD6935)

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ39mm。全長245mm。ブーストクロック1,860MHz。消費電力85W。補助電源6ピン×1コネクタを搭載している点に注意。

このグラボはDisplayport×2、HDMI×1を搭載していることが非常に高く評価できます。他のグラボはDVI-D端子を搭載しているものがほとんどですが、このグラボはDVI-D端子がありません。古いモニタを使っている人だとむしろDVI-D端子を搭載しているグラボを高く評価する傾向にありますが、USB Type C端子を搭載しているような最新モニタの場合はDisplayportをいかに多く搭載しているかが重要です。

・GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC(VD6936)

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ38mm。全長170mmなので丁度Mini ITXマザーボードに収まるサイズ。ブーストクロック1,740MHzでファン×2モデルよりは低め。ファン×1。DVI-D端子搭載

4位: GIGABYTE

・GV-N1650OC-4GD

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ36mm。全長191mmでファン×2にしては小型。ブーストクロック1710MHz。このグラボの出力端子はDisplayport×1、HDMI×2で、DVI-D端子が搭載されていない。DVI-D端子が搭載されていない点は評価できるが、その代わりがHDMIなのが微妙。Displayport×2、HDMI×1になっているMSIグラボのほうが上位。

・GV-N1650IXOC-4GD

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ36mm。全長152mmなのでMini ITXマザーボードに余裕で収まるタイプ。ブーストクロック1,680MHz。オーバークロック無しのリファレンスモデルのブーストクロックが1665MHzなので若干高くしてある程度。このグラボもDVI-D端子を搭載せずDisplayport×1、HDMI×2になっているのは評価できる。

5位: 玄人志向

・GF-GTX1650-E4GB/OC/DF

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ33mm。ファン×2なのに全長たった181mmなのはいつもの玄人志向らしいコンパクト性。ブーストクロック1,680MHzで低め。厚さがたった33mmしかないので冷却性が低く動作周波数も低い。ファンは8cmタイプなので9cmファンを2基搭載したグラボや、9cm+10cmファンを搭載したものより騒音値が大きい。出力端子はDVI-D搭載。

6位: ZOTAC

・ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 Low Profile ZT-T16500H-10L(ZTGTX1650-4GBLP) VD7014

2019年7月発売。2スロット占有(34mm厚)。全長160mm。高さ111.15mm(付属のロープロファイル用ブラケットに換装すると70mm)。ブーストクロック1,665MHz。ファン×2。補助電源コネクタ無し。出力端子Displayport1.4×1、HDMI2.0b×1、DVI-D×1

裏面にバックプレートはありません。

・ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC ZT-T16500F-10L(ZTGTX1650-4GBOC) VD6937

2019年4月発売。2スロット占有。厚さ38.8mm。全長151mmしかなく玄人志向のグラボよりコンパクト。ブーストクロック1,695MHz。9cmファン×1。DVI-D端子搭載

7位: Palit

・NE51650S06G1-1170F (GeForce GTX1650 STORMX OC 4GB)

このグラボで何よりも注意すべきなのがトリプルディスプレイ表示できずデュアルディスプレイまでだということ。HDMI×1、DVI-D×1端子のみ。GTX1650GPUは3画面表示可能にもかかわらずグラボの仕様制約で2画面までになってしまっているのは非常にもったいない。全長が非常に短く1650グラボの中では最短なのがほぼ唯一のメリット。厚さが40mmもあるので場合によっては隣のボードと干渉する。

2スロット占有。40mm厚。全長145mm。ブーストクロック1,725MHz。ファン×1

GeForce GTX 1650&第12世代Intel Core(Alder Lake)搭載デスクトップパソコン比較

GeForce GTX 1650と第12世代Intel Core(Alder Lake)プロセッサを搭載したデスクトップパソコンをここで比較しています。

BTOパソコンではカスタマイズ前の初期状態を標準構成と呼びますが、標準構成の時点でGeForce GTX 1650が選択されていることは少ないです。そのためGeForce GTX 1650を搭載するためにはカスタマイズで明示的にグラボを変更する必要があります。そうすると標準構成のときの価格と、グラボをGeForce GTX 1650に変更後の価格は異なってくるため、ここではGeForce GTX 1650をカスタマイズで選択したときの価格を表示しています。

グラボ以外にもSSD,メモリ,電源,CPUクーラー等もカスタマイズでおすすめのものに変更しています。標準構成ではSSD容量が512GBになっていることが多々ありますが512GBでは少なすぎるため1TBに統一して比較しています(構成が固定でカスタマイズできないものは標準構成の容量のまま)。

さらに、日本製のメモリモジュールや東芝製(KIOXIA製)NANDを用いたSSD等、日本メーカー製や日本国産の部品を使っているPCパーツがカスタマイズの選択肢にある場合は優先的に日本製のものを選択しています。

TSUKUMO G-GEAR Aim GB5J-B221/B

商品名TSUKUMO G-GEAR Aim ミニタワー
型番GB5J-B221/B (第12世代Intel)
CPUIntel Core i5 12400 (P-Core×6コア)
GPUNVIDIA GeForce GTX 1650 / 4GB(DVI-D×1, HDMI×1, DisplayPort×1)
メモリ16GB(8GB×2) DDR4-3200/PC4-25600 【他:32GB~128GB センチュリーマイクロ製(日本製)メモリモジュール選択可】
SSD1TB NVMe M.2 WD BLUE SN570 【他:WD Black,Crucial, Samsung選択可】
HDD無し 【他:1TB~8TBのHDD1台選択可能】
光学無し(内蔵型搭載不可)
WiFi等LANポート(2.5GBASE-T)×1、Intel製Wi-Fi6 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)+Bluetooth 5.2 【他:WiFiモジュール非搭載可】
USBUSB Type-C×1, USB Type-A×8
電源750W ATX電源 80PLUS GOLD Seasonic製FOCUS 【他:Seasonic FOCUS 650W, Thermaltake PS-TPG-0850FPCGJP-R 850W】
OSWindows 11 Pro 64bit
サイズ幅約210mm×高さ約415mm×奥行約521mm (34.9ℓ) / 重量約9kg
その他CPUクーラー:Noctua NH-U12A(空冷式)【他:簡易水冷240mmラジエータ選択可】、 CPUグリス:Ainex JP-DX1(ダイヤモンドグリス)、 マザーボード:Intel B660 MicroATX(ASUS TUF GAMING B660M-E D4)
価格\ 192,500(税込)

CPUはCore i5 12400一択ですがとてもおすすめできるPCです。下記「TSUKUMO G-GEAR Aim GB5J-C221/BRGB」のスチールパネル版です。RGB装飾が不要な人はこちらのモデルの方がおすすめです。おすすめの理由はPCパーツの選択の広さで、Seasonic製の電源を選択できる上にセンチュリーマイクロ製の日本製メモリモジュールも選択できます。SSDも東芝Kioxia製NANDを搭載したSSDを選択可能です。CPUクーラーもNoctua製を選択できるためどうしても全体的に高額になりがちですが、高品質を重視する人には良いパソコンです。

TSUKUMO G-GEAR Aim GB5J-C221/BRGB

商品名TSUKUMO G-GEAR Aim ミニタワー
型番GB5J-C221/BRGB (第12世代Intel)
CPUIntel Core i5 12400 (P-Core×6コア)
GPUNVIDIA GeForce GTX 1650 / 4GB(DVI-D×1, HDMI×1, DisplayPort×1)
メモリ16GB(8GB×2) DDR4-3200/PC4-25600 【他:32GB~128GB センチュリーマイクロ製(日本製)メモリモジュール選択可】
SSD1TB NVMe M.2 WD BLUE SN570 【他:WD Black,Crucial, Samsung選択可】
HDD無し 【他:1TB~8TBのHDD1台選択可能】
光学無し(内蔵型搭載不可)
WiFi等LANポート(2.5GBASE-T)×1、Intel製Wi-Fi6 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)+Bluetooth 5.2 【他:WiFiモジュール非搭載可】
USB【前面】USB3.1 Gen2(3.2 Gen2) Type-C×1, USB 3.0(3.1 Gen1) Type-A×2、 【背面】 USB3.1 Gen2(3.2 Gen2) Type-A×2、USB 3.0 (3.1 Gen1) Type-A×2, USB2.0 Type-A×2
電源750W ATX電源 80PLUS GOLD Seasonic製FOCUS 【他:Seasonic FOCUS 650W, Thermaltake PS-TPG-0850FPCGJP-R 850W】
OSWindows 11 Pro 64bit
サイズ幅約210mm×高さ約415mm×奥行約521mm (45.4ℓ) / 重量約11kg
その他CPUクーラー:Noctua NH-U12A(空冷式)【他:簡易水冷240mmラジエータ選択可】、 CPUグリス:Ainex JP-DX1(ダイヤモンドグリス)、 マザーボード:Intel B660 MicroATX(ASUS TUF GAMING B660M-E D4)
価格\ 201,400(税込)

CPUはCore i5 12400のみが選択可能なPCです。GPUは10種類から選択可能ですが、NVIDIAのGPUの中ではこのGTX1650搭載が最も安い構成になります。このパソコンは強化ガラスパネルとLED装飾が標準装備されているのが特徴です。強化ガラスではなくスチールサイドパネルを採用した姉妹モデルも存在します。

マウスコンピューター G-Tune PL-B プレミアムモデル (第12世代Intel) 2204PL-B660W11 【24.1ℓ, 空冷】

商品名マウスコンピューター mouse G-Tune PL-B(プレミアムモデル) 第12世代Intel
型番2204PL-B660W11
CPUIntel Core i5 12400 【他:Core i7 12700】
GPUNVIDIA GeForce GTX 1650 GDDR6 / 4GB (DisplayPort×1, HDMI×1, DVI-D×1)
メモリ16GB(8GB×2, DDR4-3200) 【他:32GB(16GB×2, DDR4-3200)】
SSD1TB NVMe M.2 PCIe3.0x4 (メーカ選択不可 【他:512GB~2TB、 Samsung PM9A1】
HDD無し(HDD非搭載可) 【他:内蔵型HDD1TB~8TB】
光学無し 【他:スロットイン型DVDスーパーマルチドライブ選択可】
WiFi等Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n) 、Bluetooth 5 LANポート(2.5GBASE-T)×1、
USB【上面】USB3.0(3.1Gen1)×4、 【背面】USB3.2Gen2x2 Type-C×1, USB3.0(3.1Gen1) Type-A×4, USB2.0 Type-A×2
電源700W ATX電源 80PLUS GOLD
OSWindows 11 Pro 【他:Windows 11 Home】
サイズ幅約180mm×高さ約330mm×奥行約405mm (24.1ℓ) / 重量約7.1kg
その他マザーボード:B660 Mini-ITX M.2スロット×2(空き×1)、CPUクーラー:空冷式、CPUグリス:Ainex AS-05(シルバーグリス)
価格\ 181,700(税込)

CPUはCore i5 12400とCore i7 12700から選べます。HDD非搭載にできるのがメリットです。CPUクーラーや電源の選択肢をもっと用意して欲しいところですが価格の安さのためには仕方ないといったところです。SSDのメーカーはSamsungのみ指定できます。スペックがそこまで高くない割にはPCケースが大きすぎる印象もあります。