おすすめマザーボード(Intel第10世代Comet Lake対応Z490チップセット搭載)の比較 Core i9 10900K,Core i7 10700K,Core i5 10600K対応MBをフォームファクタごとに評価

2020年5月20日からZ490(Intel 400シリーズ)チップセットを搭載したマザーボードが各メーカーから発売されました。

このIntel 400シリーズチップセットを搭載したマザーボードのリリースは、Intel第10世代Comet Lakeプロセッサに対応させるのが主目的です。

従来のIntel 300シリーズチップセット(例Z390)を搭載したマザーボードと比較して、今回のIntel 400シリーズチップセットで抜本的な変更となった点は、CPUソケットがLGA1200に変更されたことです。これは今後Rocket Lakeプロセッサに対応することを見越しての変更です。

これまでのIntel 300シリーズチップセットまで採用されていたソケットのLGA1151は、2015年発売のSkylakeから2018年発売の第9世代CoffeeLakeRefreshに至るまで非常に長く使われてきました。

さすがにLGA1151ソケットではobsoleteになってきたということで、2020年リリースのIntel 400シリーズチップセットからはソケットをLGA1200規格へ変更しプラットフォームが刷新されました。

ただし、LGA1151とLGA1200はソケットの外形寸法が同じなので、これまでのLGA1151対応のCPUクーラーをそのまま使い回せます。

将来的にリリースされるプロセッサとの互換性について、このZ490チップセットは、2021年初旬にリリース予定のRocket Lakeプロセッサに対応することが確定しています。既にEngineeringSampleとしてRocket Lake-S(デスクトップ向けRocket Lake)が出回っており、実際にRocket LakeプロセッサがZ490マザーボードに載ることをGigabyte社が確認したようです。

第10世代Comet Lakeプロセッサは2015年から続く(狭義の)Skylakeマイクロアーキテクチャを採用していますが、Rocket LakeプロセッサではWillow Coveマイクロアーキテクチャを採用することが既に確定しています。

よって、Comet Lakeでは内蔵グラフィックス(統合グラフィックス:integrated GPU)が従来通りのIntel UHD Graphicsですが、Rocket LakeではIntel Xe Graphicsを搭載することになります。これはWillow Coveマイクロアーキテクチャの前世代に相当するSunny Coveマイクロアーキテクチャを採用したIce Lakeプロセッサにも搭載されている内蔵グラフィックスです。当然ながら今回のZ490チップセット(Intel400シリーズチップセット)はこのIntel Xe内蔵グラフィックス出力にも対応しています。

つまり、Intel 400シリーズチップセットは、2015年から続いたSkylakeマイクロアーキテクチャを採用したComet Lakeに対応しつつ、Skylakeマイクロアーキテクチャを採用せずWillow Coveアーキテクチャの採用が確定しているRocket Lakeにも対応することになります。Intel 400シリーズチップセットは、複数の狭義のマイクロアーキテクチャに横断的に対応する珍しいチップセットになります。

Rocket Lakeプロセッサの次は第12世代Alder Lakeプロセッサになることが確定していますが、Alder Lakeプロセッサが出てくるのは早くても2021年10~12月期です。

つまりRocket Lakeプロセッサが現行世代であり続ける2021年上旬までは、Z490チップセットを搭載したマザーボードで最新のプロセッサを使えることになります。

ただし、2021年1~3月期にIntel 500シリーズチップセットを搭載したマザーボードがリリースされることが既に確定しています。早ければ2021年1月にもIntel 500シリーズチップセットを搭載したマザーボードが出てくる可能性があり、Intel 400シリーズチップセットを搭載したマザーボードが市場で最新の位置づけを維持するのは非常に短期間になりそうです。

論点となるのが、Intel 400シリーズチップセットを搭載したマザーボードを買うか、Intel 500シリーズチップセットを搭載したマザーボードが発売されるまで待つかという部分でしょう。

両者の違いを簡単にまとめると以下のようになります。

Intel 400シリーズチップセット(Z490, H470, Q470, B460, W480):
PCI Express 3.0
Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)
Thunderbolt3、USB 3.2 Gen2(従来のUSB 3.1 Gen2と全く同じ規格、10Gbps)
Intel 500シリーズチップセット(Z590):
PCI Express 4.0
Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)
Thunderbolt4、USB 3.2 Gen2×2(20Gbps)

両者の違いは、PCI Expressのリビジョンが3.0と4.0であること、USB 3.2 Gen 2(旧来のUSB 3.1 Gen1の単なるリネーム)とUSB 3.2 Gen2×2であることです。

ゲーム用グラフィックボードに関してはPCI Express 3.0でも十分です。2基のPCI Express 3.0×16スロットにGPUを2枚挿ししてSLI構成にするとGPU1基あたりレーン数が×8になりますが、PCI Express 3.0×8でもゲーム用GPUとしては十分な伝送速度でありPCIe3.0×8でも×16でもほとんど差がありません。

PCIe4.0の×8がPCIe3.0×16に相当しますが、PCIe3.0×8でGPUを2基搭載してSLI構成にするのが現在でも一般的であり「SLI構成時に各GPUの通信規格がPCIe3.0×8でもバスがボトルネックにならない」というコンセンサスが取れているので、実際のところPCIe4.0の通信帯域を活用できるアプリケーションが存在しないのが現実です。

USBについてもUSB 3.2 Gen2×2(20Gbps)ではなくGen2(10Gbps)もあれば十分である場合が現状ほとんどです。つまり大きな差はありません。

よって、Z590チップセットを搭載したマザーボードが発売された時期になったら「古いZ490を買うくらいなら新しいZ590のほうがいい」程度の違いになります。

パソコンを含めてコンピュータというものは応用のニーズに応じて揃えるべきものなので、現在Comet Lakeプロセッサを必要とする応用ニーズがあるのならZ490マザーボードを選ぶべきですし、特にニーズが無いのならIntel 500シリーズを待つのも得策でしょう。

特に機械学習目的で使う人はComet Lake+Z490にするメリットはほとんどなく、Intel DL Boostが搭載されるRocket Lakeプロセッサと、同時期に発売されるZ590マザーボードのほうがおすすめです。Rocket Lakeプロセッサでは、SIMD演算命令の一つであるAVX512命令で8bit幅の畳込み演算が短サイクルで実行可能です。

深層学習等の機械学習は、統計的機械学習が主流であるため数理モデルの理解が必要であり、現在の高性能プロセッサの応用分野はすべて確率解析(金融工学)や数理統計学の理解が必須ですが、そのような分野でPCを使う人だったらIntel DL Boostが搭載されるRocket Lakeプロセッサを採用し、その時にIntel 500シリーズチップセットを搭載したマザーボードを調達すればいいでしょう。

逆に、大学大学院のコンピュータ科学(情報科学・情報工学)分野で機械学習が重視される以前の電気電子系課程出身者のように、ベンチマークを回すくらいしかCPUに負荷をかける用途(応用目的)がない人だったら、今回のIntel 400シリーズチップセットを搭載したマザーボードを購入してベンチマークを回すのがいいと思います。

今後2020年度~2022年度において毎年抜本的にIntelプロセッサのマイクロアーキテクチャが刷新されることになります。第10世代Comet Lake(Skylake)、第11世代Rocket Lake(Willow Coveを元にしたCypress Cove)においてはZ490チップセットで対応できますが、第12世代 Alder Lake(Golden Cove)ではソケットがLGA1700に変更されるため、Z590チップセットでは対応しないことが確定しています。

このマイクロアーキテクチャ刷新過程の文脈上に、一過性としてIntel 400シリーズチップセットを搭載したマザーボードが用意されているということは留意すべきところです。

Mini ITX

Mini ITXフォームファクタについては近年ASRock製が優秀です。同じメーカーとはいえブランド違いのASUS製はMini ITXにさほど力を入れてないようです。

1位: ASRock Z490 Phantom Gaming-ITX/TB3

2020年5月発売。ASUS製のMiniITXではThunderbolt 3に対応しない通常のUSB Type C端子しかないが、このASRock製マザーボードではThunderbolt 3対応Type Cコネクタ搭載。よってリアパネルのディスプレイ出力端子のみでトリプルディスプレイ可能。

リアパネルのUSBポート総数はASUS製より少ない。M.2スロットは表と裏に1つずつ。ただし、裏面のM.2スロットをSATA接続として使っている場合、計4つのSATA出力コネクタのうち1つが無効化される排他仕様。M.2スロットを2つともPCIe接続として使っている場合はSATAコネクタが無効化されない。

CPU補助電源:8(4+4)ピン×1、

ディスプレイ出力:HDMI×1,Displayport×1,Thunderbolt 3(USB Type C)×1、

リアパネルUSB:USB 3.2 Gen2×3, USB 3.2 Gen1×2、

フロントUSB:USB 3.2 Gen1×2、

SATAコネクタ:×4(裏面のM.2スロットがSATA接続で使用されている場合SATA_1は無効)、

M.2スロット:{PCIe3.0×4&SATA}表面×1、{PCIe3.0×4&SATA}裏面×1(SATA_1と排他)、

無線LAN:Wi-Fi6+Bluetooth5.1、

有線LAN:2.5Gbps×1、

電源フェーズ数:9

Micro ATX

Micro ATXフォームファクタに関しては今回のZ490チップセットにおいても、先代のZ390のときと同様にMSI製が優秀です。個人消費者向けとしては、Micro ATXはMini ITXよりも大幅に需要が少ない人気の無いフォームファクタです。そのため各メーカーも毎回そこまで力を入れていないので、少しだけでもまともに作り込まれたMicro ATXマザーボードが目立って圧倒的に支持されます。

1位: MSI MPG Z490M GAMING EDGE WIFI (MB4957)

総合的にみてZ490チップセットのMicro ATXフォームファクタでは最も優れているマザーボードです。リアパネルのUSB Type CコネクタがThunderbolt 3規格に対応していない点だけは残念ですがそれ以外は優秀です。WiFi-6にも対応しており、2.5Gbps有線LANコネクタ搭載。

マルチGPU技術としてAMD CrossFireにしか対応していないMicro ATXマザーボードが多い中で、このマザーボードはNVIDIA SLIにも対応。

電源回路周りの堅牢性も高くZ490チップセットを搭載したMicro ATXマザーボードの中では最もおすすめできます。

CPU補助電源:8+4ピン{8(4+4)ピン×1, 4ピン×1}、

ディスプレイ出力:HDMI×1,Displayport×1、

リアパネルUSB:USB 3.2 Gen2(Type C)×1, USB 3.2 Gen2(Type A)×1, USB 3.2 Gen1×2, USB 2.0×2、

フロントUSB:USB 3.2 Gen2(Type C)×1, USB 3.2 Gen1×2, USB 2.0×4、

SATAコネクタ:×4(CPU寄りのM.2スロットがSATA接続で使用されている場合SATA_2は無効)、

M.2スロット:{PCIe3.0×4&SATA}×2(CPU寄りのM.2スロットがSATA接続で使用されてる場合SATA内部ポート数4が3に減少する排他仕様)、

無線LAN:Wi-Fi6+Bluetooth5.1、

有線LAN:2.5Gbps×1、

電源フェーズ数:12+1+1、

マルチGPU対応:2-Way NVIDIA SLI, 2-Way AMD CrossFire

Extended ATX(EATX)

Xeon Scalable ProcessorではExtended ATXフォームファクタのマザーボードは珍しくなくむしろ小さい部類に入りますが、通常のデスクトップPC向けのIntel Core-SにおいてExtended ATXフォームファクタは大きい部類に入り、しかも極めて製品数が少ないです。

1位: ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME(Z490)

2020年5月発売。

Extended ATXフォームファクタはATXフォームファクタをメモリモジュールスロット方向に拡張しただけであり、PCI Expressスロット方向のサイズは全く同じです。

ASUS独自規格のDIMM.2スロットが1基追加されています。DIMM.2スロットに専用ボードを挿すとボードの表と裏にM.2スロットを1基ずつ追加でき、合計2基M.2スロットを増やすことができます。

面積が大きいほど温度低下には有利です。マザーボードから発生した熱エネルギーをより広い面積に拡散させることができるからです。温度とは熱流束の結果(帰結)ですが、熱流束は熱流束密度×面積で求められます。空気という流体と接する面積が大きいほど熱流束も大きくなるため、その結果としてマザーボードの温度をより低く抑えることができます。

あえてExtended ATXフォームファクタのこのマザーボードを選ぶメリットがあるとすれば、発熱に対する耐性の大きさです。大きな負荷を与える用途では大は小を兼ねます。デメリットはPCケースが大型になるスペース上の問題、部品点数が多いことによる若干の消費電力増、使用者が少ないことによるナレッジの少なさです。

このようにバックプレート搭載です。マザーボード裏面にM.2スロットが無いことも信頼性の面では良いことです。Mini ITXやMicro ATXのような小型フォームファクタのマザーボードにおいてマザーボード裏面にM.2スロットが無いことはデメリットですが、このような大型マザーボードにおいては裏面にM.2スロットが無いほうが望ましいです。本来、マザーボード裏面に発熱量の大きいPCパーツを設置するのはイレギュラーであり望ましいことではありません。

CPU補助電源:8+8ピン{8(4+4)ピン×2}、

ディスプレイ出力:無し、

リアパネルUSB:{USB 3.2 Gen2×2(Type C)}×1(パネル右下のType Cコネクタ), USB 3.2 Gen2(Type C)×1(パネル左下のType Cコネクタ), USB 3.2 Gen2(Type A)×2(レッド色のコネクタ), USB 3.2 Gen1×6(ブルー色のコネクタ), USB 2.0×2、

フロントUSB:USB 3.2 Gen2×2, USB 3.2 Gen1×4, USB 2.0×4、

SATAコネクタ:×8(M.2スロットがSATA接続で使用されている場合SATA_2は無効)、

M.2スロット:{PCIe3.0×4&SATA}×1(このM.2スロットがSATA接続で使用されてる場合SATA内部ポート数8が7に減少する排他仕様), {PCIe3.0×4}×1(このM.2スロットはSATA接続不可)

無線LAN:Wi-Fi6(IEEE 802.11 ax)+Bluetooth5.1、

有線LAN:10Gbps×1, 2.5Gbps×1、

電源フェーズ数:16、

マルチGPU対応:2-Way NVIDIA SLI, 3-Way AMD CrossFire