三菱UFJ国際投信ワールド・リート・オープン(毎月)の評価

先日はフィデリティUSリートを評価しましたが、再び米国以外にも投資するワールドリートに目を向けてみたいと思います。

リートの投資信託はフィデリティUSリートのように、米国に投資するとユニバースをあらかじめ絞ってしまえばその後は簡単です。フィデリティUSリートはFTSE NAREIT指数をベンチマークとしていますから、そのベンチマークを土台として少し比率をいじるだけでアクティブ運用になるわけです。

ですがワールドリートになると話は違います。米国以外の国を含めて、各国にどのくらいの比率で分散させるか、がとても難しい問題になります。この比率こそがワールドリートの特徴を決定づける要素であり、他のワールドリートとの差別化を図るところです。

ですがこの比率の決定にはある程度のメソドロジーが確立されています。

まず各国には代表的なリート指数があります。東証リート指数やオーストラリアのS&P/ASX 200リート指数などはETFとしても上場している指数です 。これらのリート市場の時価総額を比率として使ってとりあえずワールドリートを組んでみるわけです。これが最も客観的なワールドリートファンドと言えます。

ですがそうすると利回りがあまり芳しくないのです。なぜなら利回りがさほど高くない日本のリート市場は米国に次いで世界第2位ですし、第3位のイギリスも低利回りです。さらに米国リートもそこまで高利回りではありません。

そこでオーストラリアなどの高利回りリートの比率を高めて、その分だけ米国や日本やイギリスなどの比率を冷遇するという比率操作を行うわけです。この比率の決定は競合している投資信託を横目に見ながら、利回りで優位に立てる水準までギリギリの調整を続けるわけです。

結局リート投資というのは、国内リートなどの低リスクを選ぶリスク回避型になるか、リスクあたりのリターンを最大化するリターン重視型に落ち着きます。

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米国の比率はラサールと一緒 オーストラリアが高い

この投信の比率を見てみます。まず米国が6割を占めています。この点はラサールリートと酷似しています。

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そして第二位にオーストラリアが来ているのがダイワ・グローバルリートと異なります。ダイワリートは第二位が英国です。しかも以下のように、時価総額では8割近い米国の比率が50%未満まで低いのがダイワリートです。

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ラサールリートの比率を見てみると、米国は今回の投資信託と同じくらいで、オーストラリアはラサールリートの方が少し低い程度です。あと決定的に異なるのは、日本の比率がラサールリートの方が圧倒的に高いことです。今回の投資信託は2%台ですからかなりの違いがあります。

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今回の投資信託は、ラサールリートよりもオーストラリアをひいきすることにより高い利回りを狙っています。また日本の比率を下げることによっても高い利回りを狙っています。

分配金再投資の成績は良い

目論見書で表示が義務付けられている、過去5年の平均リターンと最大リターンと最低リターンの比較図です。アセットクラスごとに比較する単純なものですが、この図を見る限りは今回の投資信託は優秀に見えてしまいます。

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当ファンドと書いてあるのが今回の投資信託ですが、平均リターンで負けているのは先進国株に対してだけです。しかし先進国株は最大リターンと最低リターンの差が大きく、リスクの大きさでは今回の投資信託の方が低いので優秀です。

実はこの実績は分配金再投資の場合のリターンなので、分配金受け取りにしている場合はここまで良くなりません。

分配金を再投資せず受け取りだと東証リート指数に負けている

分配金を再投資せずに、単純に分配金を受け取った額を足しこんでいくとどのような推移になるかは以下の図で確認できます。分配金を再投資するということは複利運用するということですが、分配金を単純に加算するものは単利運用も複利運用もしません。単に口座に入れたまま放置している状態を指します。

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分配金再投資だとリーマン・ショック後の6、000円の水準から21,000円と実に三倍近くになっていますが、再投資しない場合だと8000円から14,000円への成長に留まっています。2倍にもなっていません。

この間に東証リート指数は750から1750まで上がっているので3倍まではいかなくても2倍は余裕で超えています。分配金受け取りコースにしている場合には東証リート指数にすら負けている状態と言えます。もちろんiシェアーズの米国不動産ETFにも負けています。

販売会社にキックバックされる手数料はラサールリートより低い

この投信の手数料体系はわりとまともです。まず販売会社が受け取る手数料が0.55%になっています。

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一方で、ラサールリートの手数料体系をみてみると、売れば売るほど販売会社の取る比率が高まるものになっており、販売会社有利・運用会社不利です。

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ラサールリートの場合は販売会社の取り分が最低額0.55%です。営業員が売りまくるとこの比率が上がっていきますが、今回の投資信託はどんなに投資信託を売り込んでも0.55%で固定になっています。そのため営業員に投資信託を売り込むインセンティブがラサールリートに比べたら働いていないといって良いです。実際に今回の投資信託はラサールリートに比べると若干マイナーです。

5ヶ月連続でタコ足分配の比率が高い

分配金については2015年に入ってからひどいです。2015年に入ってからは米国リートが下落傾向にあるので、分配金を維持するには元本を切り崩すしかないのでしょう。2015年1月からは半分以上が元本の切り崩し、2月以降はおよそ8割近くが元本の切り崩しによる分配になっています。

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2015年5月にいたっては95%近くが元本の切り崩しです。その分だけ分配金利回りは1.48%と上昇していっていますが、これはむしろ低いほうが良いと言えます。