MAXISトピックスリスクコントロール(5%)ETFの評価

先日はMAXISトピックスリスクコントロール(10%)ETFを評価しましたが、今回はその姉妹ETFの5%版です。

リスクコント ロールETFは、TOPIXが暴落したときにその検知が遅れて、TOPIXの比率を下げるという作業が間に合わずに大きく損失を被ることを前回解説しまし た。そして、暴落からしばらく時間が経って暴落が数式で検知されると、TOPIXの投資比率をようやく下げて安全運転になりますが、そのときにTOPIX が回復基調にあると、TOPIXの投資比率が既に低くなってしまっているために回復基調の利益を取り損ねることを指摘しました。

それは今回のETFも同じです。ですが逆に考えると、TOPIXが暴騰した後に下落傾向の相場では有利ということになります。暴落→回復のとき不利なら、ひっくりかえして考えれば、暴騰→下落のときは有利ということになります。

ですが、実際の金融市場ではそうはならない、そうはなりにくいということが示されていることを解説していきます。

ボラティリティを下げるために現金とTOPIXの比率を調整

この部分は10%版の原理と同じです。

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前回の10%版はボラティリティを10%になるように、TOPIX投資の比率と現金部分の比率をコントロールしていましたが、このETFは5%になるようにするわけです。

よって10%よりも値動きが更に小さくなるようにできています。

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こ のETFの投資比率を見てみると分かる通り、1位が短期金融資産になっており、これはいつでもTOPIXを買い付けることができる資金源になるものです。 無リスク金利というMRFや普通預金で運用しているようなものです。これが10%のリスクコントロールETFでは30%台でしたが、このETFでは60% 台になっています。このETFでは5%のボラティリティに抑えることを目標にしているため、現金比率が高くなっているということです。

TOPIXと比較

前回と同じくTOPIXと比較します。このTOPIXとはTOPIXにすべての資金を投資したものを示しますから、赤い線はTOPIXに2015年8月末時点で33%ほどしか投資してないものを表します。

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これを見ると、10%のリスクコントロールETFよりもさらに値動きが小さくなっていることがわかります。ですが、グラフの一番右=一番最近のところがTOPIXとこのリスクコントロールETFともに大きく下がっています。

次に数字で確認してみます。

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数 字で見てみても、このリスクコントロールETFは「過去1年」までマイナスです。これは8月のTOPIX暴落で大きく下げてしまったことに起因します。リ スクコントロールETFはいままで解説しているとおり、相場の急変を即座に織り込むことができませんから、8月のTOPIX急落によってマイナスリターン となってしまっています。

過去3年はプラスになっていますが、これは2012年9月から2015年8月末までを指しますから、丁度アベノミクス相場が始まる直前を基準にしているので過去3年はプラスになっているのです。

こ のETFは前回評価した10%のものと原理は同じであり、5%とどちらを選ぶかというのはどの程度リスクを取りたいかというリスク選好度の問題になりま す。つまり投資家の好みになるということですが、リスク選好度とは優劣をつけにくい問題なので10%ETFと同じCランクとします。

次は、急騰してから下落するパターンでは有利ということについて解説します。

急騰してその後下落というパターン

このリスクコントロールETFは相場の急変を即座に織り込むことができないという弱点がありますが、これは場合によっては強みにもなります。

例えば、TOPIXが1日で10%高と急騰して、その後徐々に下がっていく、つまり完全に戻して元の水準に戻るというパターンを考えてみます。

もし単純なTOPIX連動型のETFを持っていた場合は、せっかく10%と急騰してもその後徐々に下がって元の水準に戻ってしまったとしたら、何も利益が出ていないことになります。

ですが、もしこのリスクコントロールETFを持っていたとしたら話は違います。

急 騰後しばらくすると「TOPIXのボラティリティが上がっている」と検知されます。この検知は分散を計算する数式でヒストリカルボラティリティとして計測 されると前回書きました。そうするとTOPIXの投資比率を下げて、現金に退避させるということがこのETFでは行われるということでした。

ということは、

急騰したときに大きく上がる→ボラティリティを抑えるためにTOPIXの投資比率が下がる→株価が下落し元の水準に戻るときはTOPIXの投資比率が低い→最初の急騰時の利益が残る

といったことが起こります。つまり急騰時の利益が、その後の下落時にすべて消し飛ぶことがないということです。

簡単にいうと、上がるときは全力でTOPIXにつぎ込む、下がるときはTOPIXからある程度撤退して軽傷で済ませる、ということがこのリスクコントロールETFでは自動で可能なのです。

さて問題は、そのような急騰してから下落という相場が本当に起こるのかということですが、実はこれは経験的にも、理論的にもあまり起こらないことが示されています。

株 式相場が急騰しているのを目撃した経験と、暴落しているのを目撃した経験、どちらが多いですか?ときくと、ほとんどの人が暴落の方が多いと答えます。これ は単に暴落の印象が強く残っているからではありません。実際、数学的にも暴落することのほうが多く、急騰することのほうが少ないと示されているのです。

つ まり、急騰してその後下落という理想のパターンは実際問題としてほとんど現れないということです。これは投資信託の投資戦略ともからんでくるので、そのう ち投資信託の評価と絡めて、急騰より暴落の方がなぜ頻発するのかについて客観的に検証されている学術的な論文を引用して解説したいと思います。そしてその 上で最適な投資信託の投資戦略も紹介します。

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