東芝製TLCNAND採用のPlextor M8Seの耐久性はTBW680TB、サムスンTLC版960EVOの400TBを超える

スポンサーリンク

Plextorから2016年10月発売に発売されたM8Peシリーズに続いて、2017年にM8Seシリーズが発売されました。

M8Peシリーズからさらなる高速化・大容量化路線は取らず、低速化・低消費電力化・高耐久化に進んだのが今回のM8Seです。

サムスンの960PROのように2TBという大容量かつ高速というコンセプトではなく、サムスン960EVOのように低価格で1TBという路線です。

サムスン960EVOはTLC版のため総書き込みバイト数(TBW)は400TBですが、今回Plextorから発売されたM8Seは640TBもあります。つまり耐久性でサムスン960EVOに勝利しています。MLCとして2016年に発売されたM8Peは768TBだったので、TLCにも関わらずそれに引けを取らないレベルです。

2017年M8Seの最大容量は1TB 2016年M8Peの最大容量1TBから増加せず

2017年に入ってからSSDの低価格化にはストップがかかっており、むしろNANDの供給不足で価格が上がっている状態です。

このような状況下なのであえて大容量・高速化版といったコンセプトで出すよりかは、低容量・低消費電力版として出したM8Seは時機を得ていると言えます。

2016年10月にPlextorから出たM8Pe 1TBは、それまで独壇場だったサムスン950PRO 512GBを打ち崩すものでした。しかしその数ヶ月後にサムスンは960PRO 2TBを出し再びNVMe SSDのトップになります。

Plextorは2016年と同じ高速大容量の高級路線で行くかと思っていましたが、廉価路線として容量は2016年と同じ1TB、速度はむしろ低下、低発熱と低消費電力性は向上といった、速度よりも低消費電力性や価格の安さを重視したコンセプトになりました。

TLCのサムスン960EVOを上回る耐久性

今回のM8Seの耐久性は640TBという総書き込みバイト数を実現しています。同じくTLCを採用するサムスン960EVO(バルク品ではない方)は、TLCであるためM8Seと比較できる対象ですが、960EVOは400TBしか総書き込みバイト数(TBW)がありません。これは私が購入したThinkPad X1 Carbon 2017のSSD 1TBに使われている品とほぼ同等のものです。Let’sNoteほどの高級品でもSSDはサムスン製なので、ノートパソコンのようにCPU以外の部分では徹底的にコストカットしないとシェアが取れない製品ではSandisk・東芝製NANDや、米国Micron・Intel製NANDのような高耐久性SSDを使用するのは難しいのでしょう。

自作PCのように、SSDを個別に自分で選択できるのなら、サムスン960EVOより高いTBWを持つ高耐久なM8Seをおすすめします。

TLCであるため、2016 M8Peの総書き込みバイト数(TBW)より低い

M8Pe 1TBのM.2接続ヒートシンク無しモデルは私も購入しましたが、耐久性の指標である総書き込みバイト数(TBW)は768TBあります。これは半導体素子に2bit詰め込むMLCであるため総書き込みバイト数が大きくなっています。

その一方で、今回発売されたM8SeはTLCであるため640TBというTBWになっています。これは1素子に3bit詰め込むTLCであることから仕方ないとも言えますが、768TBを単純に2/3すると512TBになることから、512TBよりも大幅に大きい640TBというTBWをTLCで実現できているということは1bitあたりの耐久性は2016年より向上しているということになります。

SSD選びで最も重視すべきはSSDの弱点である耐久性

SSDはHDDとよく比較されますが、SSDがHDDよりも劣っていると言われる点が3つあります。

1.HDDの方が大容量でありSSDは容量が少ないこと(容量の問題)

2.SSDはHDDよりも容量あたりの価格が高いこと(価格の問題)

3.HDDは書き換えバイト数が原因で劣化することはないがSSDは書き換えで劣化が急速に進むこと(耐久性の問題)

このうち1については2016年にサムスンから2.5インチ4TB SSDが発売され、MicronのCrucialシリーズなどが追随し4TB、8TBが今後出てくると考えられるので今後数年でHDDに追いつくでしょう。

また2.についても2020年代前半にはSSDの容量単価がHDDの容量単価より安くなり、容量単価が逆転すると言われています。これも時間の問題です。

しかし、時間の経過だけでは解決できない根本的な弱点がSSDにはあります。書き換えを繰り返すと半導体素子が機能しなくなり、書き換えができなくなると同時にひどくなると正常に読み込みさえできなくなるということです。

東芝製NANDでは半導体素子の寿命を検知すると自動的にリードオンリーモードに切り替えてくれるため、データを破壊することは避けることができます。ほとんどのメーカーではこのような設計にはなっていないため、SSDの総書き込みバイト数を超えて書き換えをするとデータを破壊し続けながらデータを読み書きし続けるという困った事態になります。

そのためSSDはこの総書き込みバイト数(TBW)が大きいSSDを購入することがとても重要です。TBWが大きいSSDを買っておけば交換するまでの期間を長くできますし、データが壊れてしまうリスクは低減できます。NANDの寿命がきたら自動的にリードオンリーにしてくれる東芝製NANDを採用したSSDを選ぶのが良いでしょう。

NVMeもSATAも体感速度はほとんど変わらない
むしろ低消費電力・低発熱でSATA SSD採用に舵を切ったPanasonic Let’sNote

今回発売されたM8Seシリーズはシーケンシャルリード・ライト速度、ランダムリード・ライト速度など全ての速度が、サムスン960EVOやPlextorからら2016年10月に発売されたM8Peよりも遅くなっています。

2015年にサムスンが950PROをリテール向けNVMe SSDとして初めて発売した当初は、「NVMeがSATAより完全に勝っている」という論説一色になっていました。しかし2016年、2017年と経過してくると「SATAと実用面での速度はほとんど変わらない。それより消費電力が大きいことによる発熱の大きさ、発熱による経年劣化の速さ、ノートパソコンなどのバッテリー駆動製品には高消費電力・高発熱のNVMeは向かない」といった論調が増えてきています。

速度についてはSATAもNVMeでも体感速度はほとんど変わらないということがわかってきています。

私はSATA SSDのパソコンと、NVMe SSDのパソコン双方にVisualStudio 2017をインストールしリビルドをしてみましたが完了までの時間は同じです。またWindows10ProのCreators Updateを同時に開始してみましたが、CPUは双方ともCore i7,メモリ16GBにも関わらずほぼ同時に完了というよりむしろSATAのパソコンの方が早く完了しました。

法人向け分野でもSATAが好まれています。

法人向けノートパソコンでは独壇場とも言えるPanasonicのLet’s NoteはNVMeをやめて、低消費電力で発熱の少ないSATAのSSDになっています。私はThinkPad X1 Carbonの1TB NVMeモデルを21万円(割引前価格36万円)で購入しましたが、47万円近くするPanasonic Let’sNoteの最高級品であるXZ6でもSATAであることを考えるとSSDはSATAで十分ではないかという結論になります。

このようなことからSSDは公称速度で選択する必要はもはやないと私は思っています。公称速度でいくら違いがあっても実際の用途では速度が変わらないからです。

そうなるとSSD選びでは、SSDの弱点である耐久性をどの程度克服しているかで選ぶのがベストです。いくらMLCでも総書き込みバイト数(TBW)が小さくては意味が無いので、たとえMLCであってもしっかり総書き込みバイト数がどの程度あるかを確認して、できるだけ総書き込みバイト数が大きいSSDを選ぶことが重要です。

スポンサーリンク