RyzenとIntel Core第8世代(Coffee Lake)のベンチマーク比較 i7 8700K,8700, i5 8600K,8400, i3 8350K,8100とRyzenを横断評価

2017年10月に海外ではIntel第8世代Coffee Lakeプロセッサが発売され日本国内でも11月に発売されました。

このIntel Coreとよく対比されているのがAMDから発売されたRyzenプロセッサです。Ryzenプロセッサにはオンボードグラフィクスが内蔵されておらず、全チップ面積を汎用コアに割り当てることができているために、比較においてはRyzenの方が有利です。

さらに加えて、2017年1月に発売されたIntel第7世代Kaby Lakeプロセッサよりも2,3ヶ月後にRyzenが発売されたため、半導体回路の集積度向上といった点でもRyzenの方が有利でした。

しかし蓋を開けてみれば、オンボードグラフィクスを搭載していて不利なはずのIntel Core(第7世代Kaby Lake)が第1世代Ryzenに性能・価格ともに勝利してしまう結果となりました。その点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

今回については2017年10月に発売されたIntel Core(第8世代 Coffee Lake)はRyzen発売から半年経過しているため、この時間経過分だけでも半導体の集積度向上・アーキテクチャの改良でIntel Coreが有利になることは容易に想像できます。

第1世代Ryzenが発売された2017年3月頃は、それよりも前の2017年1月に発売されたIntel Core側には時間的ハンディキャップがありましたが、今回は逆にそのようなハンディキャップがRyzen側にあるため通年でみればフェアになります。

2017年3月時点でのRyzenとIntel第7世代Coreの比較でも価格・性能ともにIntel Coreが完勝していました。今回Intel第8世代Coffee LakeとRyzenの比較がどのような結果になるのかは興味を持っていました。

Core i7 8700KとRyzenを比較

Intel第8世代Coreのフラッグシップモデルである8700Kと比較してみます。

Ryzen 7 1800XとCore i7 8700Kを比較

まずは2017年3月に発売された第1世代Ryzenのフラッグシップモデル1800Xと比較してみます。

比べるまでもなくこれはわかりきっていた結果ですが、Intel Core 8700Kの圧勝です。+24%も勝利しています。教科書的な一般論として、CPUは集積度の進歩とアーキテクチャの改良による両輪によって、年率+22%の性能向上を近年は続けています。

つまり+24%の性能差というのは1年分に相当するものでありかなり大きいものです。

発売日の差は約6ヶ月あるので、AMD RyzenがIntelと同等の技術力を持っているならば、RyzenよりもIntel Coreが「+10%しか勝利しないはず」でした。

しかしここまで圧倒的な差がついてしまうというのはIntelとAMDに根本的な研究開発費・設備投資の資金的な差があり、それによる技術力の差があるからです。

「+10%」の根拠は、一般的な年間CPU性能向上率の22%の平方根です。1年で22%なら半年で11%というのは間違っており、相加平均ではなく相乗平均で増加率というのは按分します。1.22の平方根は1.10なので、Ryzenの発売からIntel Core(Coffee Lake)の発売まで半年経過しているならば、その性能差は10%にとどまるはずですが、実際には24%もの開きができてしまっているということです。

しかもIntel Coreはオンボードグラフィクスを搭載している分だけチップ面積のうち汎用コアが占める割合が低いです。つまりこれはIntel Core側のハンディキャップです。

性能差のみならず、価格差も以下のように発売日が新しいIntel Core(第8世代 Coffee)の方が、Ryzen 1800Xよりも安くなっています。今回も性能・価格ともにIntel Coreの完勝となりました。

Threadripper 1950XとCore i7 8700Kを比較

おまけとしてRyzen Threadripper 1950Xと比較しておきます。このThreadripperもオンボードグラフィクスを搭載していないため、搭載しているIntel Core 8700Kよりも条件は有利です。しかしそんなハンディキャップを物ともしない結果になりました。

性能でもIntel Core i7 8700Kが+6%Ryzen Threadripper 1950Xに勝利する結果となりましたが、それよりも圧倒的差が出ているのは価格です。

以下の現在の価格で2つのCPUの価格を見比べてみてください。

私がこの記事を書いている時点では3倍近い差があります。Ryzen Threadripper 1950Xの方がIntel Core i7 8700Kよりも3倍も高いです。

性能で勝っており、また価格面でも圧倒的に安いとなったら合理的選択をする限り8700Kを選択することになるでしょう。

Core i5 8600KとRyzenを比較

次に比較するのはCore i7 8700ではなくCore i5 8600Kです。8700よりもCore i5 8600Kの方が性能が高いためこちらを先に掲載します。

Core i7 8700よりもCore i5 8600Kの方が性能が高いのは、8600Kの動作周波数の高さにあります。8700は6コア12スレッドであり、スレッドレベル並列性を抽出するには8700は優秀です。しかし8600Kはスレッドレベル並列化よりも、6コア6スレッドに抑えて1コアあたりの処理能力を重視しています。つまりこれは命令レベルの処理能力を重視しているということです。これがCore i7 8700よりもCore i5 8600Kの方が性能が高い理由です。

Ryzen 7 1800XとCore i5 8600Kを比較

まずは第1世代Ryzenのフラッグシップモデルである1800Xと比較してみます。

Core i5なのにもかかわらず、Ryzen 7で最上位の1800Xに性能で勝利しているのは特筆すべきことです。

しかもこのCore i5 8600Kと、Ryzen 7 1800Xというのは「カタログスペックではRyzenの方が速い」のが面白いところです。

例えばCore i5 8600Kも、Ryzen 7 1800Xもともに動作周波数は3.6GHzであり動作周波数は同等です。

しかしコア数ではCore i5 8600Kは6コア6スレッドなのに対して、Ryzen 7 1800Xでは8コア16スレッドでありRyzen 7 1800Xが勝利するかのように見えます。

しかし結果はCore i5 8600Kの方が+15%も性能で勝利しています。価格面でも圧倒的にCore i5 8600Kの方が安いです。

普通に考えれば、動作周波数は3.6GHzで同じなのだから、コア数が多いRyzen 7 1800Xが勝つはずです。

そのような結果にならなかった理由は、単純にRyzenの方がアーキテクチャが技術的に劣っており、多コアをもってしても6コア6スレッドのIntel製品に勝てなかった、それだけです。Intel Coreの方が命令レベル並列処理のスループットやSIMD演算命令が優れているのが理由です。

また8700Kのときと同じように、Core i5 8600Kもオンボードグラフィクスを内蔵しているので拡張グラボなしで4Kディスプレイを3画面表示できます。一方でRyzen 7 1800Xは拡張グラボを挿さないと画面すら映りません。

オンボードグラフィクスというのは気休め程度ではなく、CPU内部のチップ面積の半分も占めており、CPUの性能の半分はオンボードグラフィクスのために割り当てられています。残り半分で汎用コアとキャッシュですから、Core i5 8600Kはオンボードグラフィクスを搭載するというハンディキャップがありながらRyzen 7 1800Xに性能でも価格でも勝利してしまったことになります。

Ryzen Threadripper 1920XとCore i5 8600Kを比較

2017年8月に発売されたRyzen Threadripperとも比較してみます。Intel第8世代Coffee Lakeが2017年10月発売なので約2ヶ月の差です。

Threadripper 1920Xは8600Kよりも動作周波数が0.1GHzだけ低いですが、コア数重視であり12コア24スレッドもあります。コア数だけでみれば2倍です。理論的にみればThreadripperの方が1.8倍近い性能を叩き出してもおかしくないものですが結果は異なります。

このように+7%もCore i5 8600KがRyzen Threadripper 1920Xに勝利しています。一般論としてCPUの年間性能向上率が+22%で推移していることを考慮すれば、ほぼ同時期の発売で+7%は大きな差です。

また決定的なのは価格差です。Threadripper 1920Xは発売後2週間で大幅に値崩れしたこで有名ですがそれでもまだ価格が約10万円近くする一方で、Core i5 8600Kは発売当初から4万円未満です。

さらにThreadripper 1920Xは拡張グラボがないと画面が映りません。Core i5 8600Kはオンボードグラフィクスが付属しているので4K3画面表示が拡張グラボ無しで実現できるのは先程記載した通りです。

Core i7 8700とRyzenを比較

Core i7 8700はCore i7 8700Kと同じく6コア12スレッドですが決定的な違いがあります。8700はTDP65Wであり、8700Kの95Wより低発熱(低消費電力)になっていることです。私は大型CPUクーラーのThermalright Le Grand Macho RTを持っていますが、このCPUクーラーならファンを付けずにTDP65Wをファンレスで冷却できます。穴の多いケース(いわゆる窒息ケースでないもの)ならケースファンすら不要です。

8700は性能というより低消費電力・静音・ファンレスで無音のコンセプトでPCを組むときに有効です。

とはいっても、以下示すようにRyen 7 1800X(TDP95W)とRyzen Threadripper 1920X(TDP180W)に余裕で性能で勝利しており、さらに価格もRyzenよりCore i7 8700の方が安いので性能・価格・消費電力ともにIntel Core Coffee Lakeが有利です。

Ryzen 7 1800XとCore i7 8700を比較

Core i7 8700は6コアで3.2GHz、Ryzen 7 1800Xは8コアで3.6GHzです。カタログスペックだけ見ればRyzen 7 1800Xの圧勝です。

しかし結果は額面通りにはいかないものになりました。

Core i7 8700が+15%性能で勝利しています。発売日はおよそ6ヶ月の差があるので、発売時期の差による技術進歩分は+10ポイントほどあります。それを差し引いても+5%も性能でCore i7 8700が有利です

またTDPが65WのCore i7 8700でも95WのRyzen 7 1800Xに勝利したわけですから、消費電力あたりの性能でみればCore i7 8700はさらに圧勝になります。

そして価格面で見ても8700の方が安いです。私がこの記事を書いている時点ではCoffee LakeのCoreシリーズは8700に限らずAmazonで品切れを起こしており品薄状態が続いていますがそのうち解消されるでしょう。

価格も安く性能も高く消費電力も低く、さらに4K 60fpsで3画面表示できるオンボードグラフィクスも付属している第8世代Coffee Lake Intel Core i7 8700の完勝となりました。

Ryzen Threadripper 1920XとCore i7 8700を比較

次は12コア24スレッドで3.5GHzの性能を持つRyzen Threadripper 1920XとCore i7 8700の比較です。

Ryzen Threadripper 1920Xは12コア24スレッドあるので、Core i7 8700の6コア12スレッドの2倍のコア数を保有しています。スレッドレベル並列性を抽出できれば単純計算でRyzen Threadripper 1920Xが2倍(+100%)の性能になるはずです。

消費電力はCore i7 8700がTDP65W、Ryzen Threadripper 1920XがTDP180WでありRyzenの方が2~3倍近く高消費電力です。

また動作周波数もRyzen Threは3.5GHzであり、Core i7 8700の3.2GHzよりも高いです。これもカタログスペックだけみればRyzen Threadripper 1920Xの圧勝になりそうです。

結果は+8%Core i7 8700がRyzen Threadripper 1920Xに勝利しました。発売時期の差による技術的優位性の時間効果が+10%ほどだとすると、発売時期が同時ならRyzen Threadripper 1920Xが速かったとも言えるでしょう。しかし第8世代のCoreが発売された今となっては8700の圧勝です。

しかしRyzen Threadripperは1920XはCore i7 8700よりも3倍近く価格が高いです。これも性能・価格・消費電力すべてにおいてCore i7 8700が勝利しました。コア数が多い場合にメリットを受けられるのは並列性が極めて高いアプリケーションだけであり、1コアあたりの性能を重視しているコンセプトのIntel Coreは並列性がないアプリケーション(世の中のアプリのほとんどは並列性がない)と並列性が高いアプリケーションどちらでも性能を引き出せるようになっています。

Ryzen ThreadripperのTDP180Wの高発熱では静音PCにも限界があります。Core i7 8700のTDP65Wで静音またはファンレス無音PCができて、さらに性能も高く価格も安いとなれば8700を選ぶのが合理的選択になりそうです。

Core i3 8350KとRyzenの比較

私が今回のIntel Core 第8世代Coffee LakeとRyzenの比較で一番楽しみにしていたのは、このCore i3とRyzen 7,Ryzen Threadripperの比較です。購入予定のCore i7 8700Kよりも、Core i3 8350KとRyzenの比較の方が楽しみでした。

このCore i3 8350KはCore i3だからといって侮れないプロセッサです。まずTDPが91Wもある時点で低スペックCPUではありません。

私は2016年初頭に組んだ6700Kマシンを使っていますが、この6700KのTDPが91WであることからもこのCore i3 8350Kが高性能だということが予想できます。しかも6700Kが発売されたのは2015年夏で、第8世代Core i3が発売されたのは2017年11月ですから、私が使っている6700Kを余裕で凌駕することは比較するまでもなくわかります。

一世代前のCore i3 7350Kも高性能なCPUでした。Ryzen 5 1500Xよりも性能でも価格でも優れており、さすがにRyzen 7 1700には勝てなかったもののかなり健闘していたプロセッサです。

それから1世代経過したCore i3 8350KはRyzen 7にも対抗しうるものになっているのではないかと予測していました。

Ryzen 7 1800XとCore i3 8350Kを比較

Ryzen 7のフラッグシップモデルである1800XとCore i3 8350Kを比較してみます。

+7%もCore i3 8350KがRyzen 7 1800Xに勝利しています。Core i3なのにRyzen 7の最高峰である1800Xに+7%も勝っているというのは驚く結果です。一般的にCPUの性能向上が年率+22%だということを考慮すると+7%は大きな差です。

また価格面でみると、私がこの記事を書いている時点ではCore i3 8350Kの方がRyzen 7 1800Xの半分以下の価格になっています。そもそもCore i3自体が廉価なモデルですし価格面でCore i3が勝つのは当然と言えます。

Ryzen Threadripper 1920XとCore i3 8350Kを比較

私がさらに驚いたのはRyzen ThreadripperとCore i3 8350Kの比較でした。

Core i3 8350KとRyzen Threadripper 1920Xに性能差はありません。互角なCPUだということです。ということはCore i3 8350Kの方が優れています。

なぜかというとCore i3 8350Kは4コアしかないため、並列性がほとんどない応用分野でも性能を引き出せるからです。一方でRyzen Threadripper 1920Xは多くのコアを用意してもCore i3 8350Kと同じ性能なので、並列性が十分ある応用分野でしか性能を引き出せません。

また価格面でも十分Core i3 8350Kの圧勝です。Ryzen Threadripper 1920Xの1/4ほどの価格で買えてしまいます。さらにCore i3 8350KはCPU上にグラフィクス機能が載っているので3画面表示4K 60fpsを拡張グラボ無しで実現できます。

なぜこのようにRyzen 7 1800XがCore i3に負けて、Ryzen Threadripper 1920XをもってしてもCore i3 8350Kとようやく互角になるレベルになってしまったのかというと、世の中の応用(アプリケーションソフトウェアン)はメニーコアを活用できるだけの並列性がそもそもないからです。

並列性というのは工夫してプログラムコードを作成すれば抽出できるものもあれば、アルゴリズムの原理的に(数学的に)並列性がそもそも存在しない場合があります。

マルチプロセッシングの研究というのはマルチコアが誕生する前から長く行われています。もし巷のアプリケーションが並列性で溢れていたらプロセッサの性能を上げることは簡単でした。単にCPUを大量に用意して相互接続すればいいだけだからです。

しかし世の中の大半の応用分野では並列性がありません。つまりCPUを大量に並列接続しても性能が上がらないわけです。これはマルチコア(メニーコア)になっても同じです。マルチコアとマルチプロセッサの違いというのは1つのダイ上にコアが乗っているか、複数のダイに分かれてソケットが別々になっているかの違いであり、マルチコアになっても並列性の抽出という根本的問題は解決されていません。

他の記事でも書いていますが、1コアあたりの性能を向上させるのと、愚直にコアを増やしまくることだったら後者のほうが技術的に簡単です。前者の1コアあたりの性能向上ではIntelに勝てないので、コア数を増やして「コア数」というカタログスペックだけは勝てる方向に逃げたのがRyzen 7,5,3やRyzen Threadripperだからです。

Core i5 8400とRyzenの比較

Core i5 8400は第8世代Coffee Lake Core i5シリーズの中では最も性能が低いものです。Core i5 8600Kとはかなりの差があります。TDPは65WでありCore i7 8700と同じです。Core i7 8700の廉価版がこのCore i5 8400であり、さらに廉価なものがCore i3 8100になります。当然のことながら、TDP91WをほこるCore i3 8350KよりはこのCore i5 8400の方が低性能です。一律に、Core i7だからCore i5より高性能だとか、Core i5だからCore i3より高性能とはまったく言えません。

以上みてきたCore i3 8350KまではRyzen 7 1800XやRyzen Threadripper 1920Xに性能・価格ともに完勝してきましたが、Core i5 8400についても比較してきます。

Ryzen 7 1800XとCore i5 8400を比較

Intel Core i5の中では最も低性能なCore i5 8400と、Ryzen 7の中で最も高性能なRyzen 7 1800Xの比較です。

Core i5の中で最も低性能な8400と比較したにもかかわらず、Ryzen 7で最も高性能な1800Xが負けてしまっています。Core i5 8400が+2%勝利しています。

しかも私がこの記事を書いている時点では2万円程度もCore i5 8400の方が安いです。Ryzen 7 1800Xよりも高性能なのに価格は安いということは性能・価格両面でCore i5 8400が勝利しているということです。

さらにCore i5 8400にはIntel UHD Graphicsという4K解像度60fpsで3画面表示ができるグラフィックチップがCPU上に載っているので、グラフィックボードを別途用意しなくても十分事足ります。ゲームをやる人だったらグラボ必須でしょうが、ゲームをやらない場合はIntel UHD Graphicsで十分です。

Ryzen Threadripper 1900XとCore i5 8400を比較

AMDがIntel Core i5の対抗馬となることを想定して発売したものがRyzen 5ですが、実際にはフェアな比較にはなっていません。Ryzen 5側が下駄履かせになっており、Core i5の方がハンディキャップがありあmす。なぜならRyzen 5にはオンボードグラフィクスが搭載されていないからです。Intel Core i5はオンボードグラフィクスを搭載しておりチップ面積の半分がグラフィックです。残り半分のチップ面積が汎用コアなので、その分だけ汎用コアのCPU性能が下がってしまいます。そんな不利な状況下でも、Core i5の中で最も低性能なモデル8400は、Ryzen 5どころかRyzen 7 1800XというRyzenシリーズで最も高性能なモデルに勝ってしまったわけですが、ここではさらにRyzen側に下駄をはかせてThreadripperとも勝負させてみます。このThreadripperもオンボードグラフィクスを搭載していないので、Intel UHD Graphicsを搭載しているCore i5 8400にハンディキャップがあります。

たった+1%だけRyzen Threadripper 1900Xが勝利しています。ここまでCore i5 8400にハンディキャップがある中でも、Ryzen Threadripper 1900Xは+1%しか性能で上回っていません。しかも価格は圧倒的にCore i5 8400の方が安いです。この記事を書いている時点では4万円以上も、Ryzen Threadripper 1900XよりもCore i5 8400の方が価格が低くなっています。

本来ならばCore i5 8400と比較する対象はRyzen 5 1400のはずですが、まったく勝負になりません。そこで、先程Core i5 8400とRyzen Threadripper 1900Xの比較をしたので、次は立場を入れ替えて比較してみます。

つまり、Ryzen側をRyzen 5 1400にします。Core i5 8400に相当するものです。

そしてIntel側をCore i7 7800Xにします。これがRyzen Threadripper 1900Xに相当するものです。本当は、Ryzen Threadripper 1900Xに相当するものはCore i7 7900Xなのですが、そこまで強いCPUを持ち出してくるとRyzen側が勝てなさすぎて可哀想なので、ここでは控えめにIntel Core i7 7800Xを使います。

Ryzen 5 1400もIntel Core i7 7800Xもともにオンボードグラフィクスを搭載していません。そういう意味ではこれは先程とは違ってIntel側にハンディキャップがありません。

それでは立場を入れ替えて比較してみます。もしAMD RyzenとIntel Coreの実力が互角であるなら、先程のように+1%の差にとどまるはずです。

結果は+47%もIntel Core i7 7800Xが勝利しました。先程のCore i5 8400 vs. Ryzen Threadripper 1900Xの立場をひっくり返して、Ryzen 5 1400 vs. Core i7 7800XにしてみたらここまでIntel Coreが圧勝してしまったわけです。

IntelとAMDの実力に対称性があるならば、この比較でもIntel Core i7 7800Xが+1%程度の勝利にとどまるはずでした。しかし実際は+47%もIntel Coreが勝利しています。

先程は+1%の差だったのにここまで差がでてしまうのは、そもそもIntelよりもAMDの技術力が劣っているからです。

しかも先程の比較ではRyzen Threadripper 1900XとCore i5 8400の間に4万円以上の価格差がありましたが、今回のCore i7 7800XとRyzen 5 1400の価格差は2万円程度です。

つまり性能・価格両面においてIntel Coreが圧勝しています。「客観的事実」で合理的判断をするなら性能価格ともに優れているIntel Coreを選択することになりますが、世の中には「感情」で弱い立場の2位のAMDを応援して1位のIntelを嫌う判官贔屓でRyzenを選ぶ人もいるようです。

Core i3 8100とRyzenの比較

Core i3 8100は第8世代Coffee LakeのIntel Coreシリーズの中で最も性能が低いプロセッサです。Intel Coreプロセッサの最弱CPUでもRyzenプロセッサをどの程度打ち負かすことができるかという比較になります。TDPは65Wです。

Ryzen 5 1600とCore i3 8100を比較

Ryzen 7は8コアですが、Ryzen 5になると6コアになります。Ryzen 5 1600は6コア12スレッドです。一方でCore i3 8100は4コア4スレッドです。Corei 3 8100の方がコア数は少ないですが、動作周波数は3.6GHzあり、Ryzen 5 1600の3.2GHzより高いです。

コア数が少なくてもCore i3 8100が+2%と若干勝利しました。Ryzen 5 1600は1コアあたりの性能が低かったのが敗因です。

私がこの記事を書いている時点ではCore i3 8100の方が1万円程度安いです。しかもRyzen 5やCore i3 8100レベルのCPUになると、ゲームはやらずにWord,Excel,Webサイト閲覧といった用途を想定している人が多いと思います。そういった人なら拡張グラフィックボードなんて不要でしょうし、Intel UHD Graphics 630でも十分すぎるほどです。4Kで3画面表示できてしまうので、マザーボードのリアパネルに搭載されているディスプレイ出力だけで事足ります。

Ryzen 7 1700とCore i3 8100を比較

Ryzen 7 1700は第一世代Ryzenシリーズの中で最も人気があるCPUです。Amazonでもkakaku.comでも、Ryzenの中では上位に来ています。その理由は1800Xほどは価格が高くないものの8コアあるからでしょう。Ryzen 5にしてしまうとIntel Core i7と同じ6コアになってしまいますし、かといってRyzen 7 1800Xだと高すぎるということで、Intel Coreよりもコア数が多いというカタログスペックのプライドを保ちつつ最も安いものということでRyzenシリーズの中ではRyzen 7 1700が人気があります。

+3%だけRyzen 7 1700が勝利しています。Intel Coreシリーズで最も低い性能のCPU、Core i3 8100相手でも+3%しか上回ることができなかったのは、動作周波数があまりにも低いからでしょう。

しかも私がこの記事を書いている時点ではCore i3 8100の方が2万円近く安くなっています。

Ryzen Threadripper 1900XとCore i3 8100を比較

最後にRyzen Threadripper 1900Xとも比較してみます。Threadripperは本来ならIntel Core Xと比較すべきものです。ThreadripperはIntel Core i9と同じコンセプトだからです。Intel Core i9などのCore XシリーズはIntel UHD Graphicsというオンボードグラフィクスを搭載していないため、本来ならオンボードグラフィクスがないRyzenと比較するならCore Xと比較すべきなのですが、Intel Core Xを持ち出すまでもなくCore i3 8350Kでも十分だったのは上述した通りです。

このようにRyzen Threadripper 1900Xが+15%勝利しています。

さすがにIntel Core最低スペックのi3 8100ではThreadripperには勝てませんでしたが、5万円以上もCore i3 8100の方が安いのにたった+15%しか上回っていないのはRyzen Threadripperの性能の低さを裏付けます。

逆にIntel CoreとAMD Ryzenの立場を入れ替えて、Threadripperに相当するIntel Core i7 7800Xと、Intel Core i3 8100に相当するRyzen 3 1200(Ryzenの中で最も低スペック)で比較してみたら同じように+15%の差になるのかといったらそうはなりません。

このように+46%も差がついてしまいます。Intel Core i3の最低スペックとRyzen Threadripper 1900Xを比較したら15%の差、逆にRyzen 3の最低スペックとIntel Core i7 7800Xと比較したら46%の差。立場を入れ替えるとここまで違いがでてしまいます。言うまでもなくこれはAMDの技術力の弱さから来るもので、Ryzenのアーキテクチャが劣っていることを意味します。

まとめ:第1世代Ryzenの発売から半年ほど経過しているためIntel Coreが大きく引き離す結果に

先程も記載しましたが、Ryzen発売当初の比較ではRyzenの方が発売日が後だったため、Ryzenの方がそもそも有利であるという「下駄はかせ」がありました。

しかしそのような時間的ハンディキャップがあったIntel Core 第7世代(Kaby Lake)でも、Ryzen 1800XにはCore i7 7700Kを持ち出すまでもなくCore i5 7600Kでも性能でRyzen 1800Xに勝利していました。

本来IntelとAMDは純資産(内部留保)の大きな差から研究開発費と設備投資額に大きな差があります。よって普通に勝負をしたらIntelに勝つのは相当困難になるのですが、Ryzenが発売された頃はIntel Core発売日の後だったので「時間の利」があったため、Ryzenの圧倒的大敗までは行きませんでした。

しかし今回はIntel Core側に「時間の利」があるため、資金力の差から生まれる技術的なIntelの優位性にさらに拍車がかかり、Intel Core(第8世代)が大きく引き離す結果となってしまったわけです。

本来ならば、発売日を同一とし、さらにオンボードグラフィクス無しなら両方とも無し、搭載するなら両方とも搭載といった条件で比較するのが理想です。

幸いなことに、Ryzen ThreadripperとIntel Core Xシリーズは両方ともオンボードグラフィクスを搭載していない上に、発売日もほぼ同時期なのでこれについてはフェアな比較ができるでしょう。