Ryzen 5とIntel Core i5のベンチマーク比較 実効性能・価格ともにIntel Core i5,Core i3の勝利

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2017年4月11日にRyzen 5が発売されました。Ryzen 5は先に発売されていたRyzen 7と同じ設計であるため、Core i7とCore i5との関係と同じでRyzen 7の廉価版だと言えます。

結論から言うとRyzen5は、Intel Core i5とCore i3に性能で完敗しています

Intel Core i5 7600KとRyzen 5 1600Xでは性能は当然7600Kが圧勝です。詳しくはこの記事で後述します。さらにこのCore i5はRyzenシリーズの最高峰であるRyzen 7 1800Xにすら性能で勝っているのです。Ryzen 5が勝てないのも当然です。

しかもCore i5の方がRyzen 5より安い。おまけにCore i5にはIntel HD Graphicsというオンボードグラフィックスがついています。Ryzen 5はオンボードグラフィックスがついていないので別途グラボ購入が必須です。Ryzenとマザボだけでは画面が全く映りません。

RyzenがIntel Coreよりも多少性能が低くても価格がIntel Coreより安いのならまだわかります。しかし実際はIntel Coreの方が安いわけです。

さらにAMDはまともにIntelと勝負しても勝てないので、RyzenではCPUに内蔵されるオンボードグラフィックス用のチップ面積を削減し、その面積を汎用コアに割り当てることによって、コア数を増やしてなんとかIntelと勝負しようとしています。

でもそこまでやって6コア8コアまで増やしても、4コアのIntel Core i5や2コアのCore i3に勝てていないのです。

Intelはオンボードグラフィックスを載せているため汎用コアに使えるチップ面積が少ないにもかかわらず汎用コア性能でRyzenに勝利しています。もはやIntelは圧倒的な強さです。

これは半導体という世界は初期投資額の大きさで技術競争力が決まるからです。Intelの資金力は圧倒的ですからこれは仕方ないとも言えます。

Ryzen 5 1600XとCore i5 7600Kのベンチマーク比較

RyzenよりもIntelの方が価格が安いと紹介したので、ここからは性能について記載していきます。当然、見ていくのはカタログスペックではなく実効性能です。カタログスペックやベンチマークで早くても実際の用途で遅かったら意味がありません。実際にRyzenやIntel Coreなどのプロセッサを所有して使っているユーザーから寄せられた統計量を集約して、実際の用途における性能評価結果を実効性能といいます。

私達はベンチマークを動かすためにパソコンを買っているのではなく、普段使いの用途で待ち時間を短縮したりスループットを改善したり体感速度を快適にするために性能の高いパソコンを選んでいるわけですから、最も重要なのは実効性能(effective performance)がどれほどあるかどうかというところです。

Ryzen 5というのはCore i5を念頭に置いて出されたCPUなので、2017年1月に発売されたCore i5シリーズの最高峰である7600Kと比較してみます。Ryzen 5 1600XはRyzen 5シリーズのトップという位置づけなのでカウンターパートとして適切です。

実効性能で+12%もIntel Core i5 7600Kが上回っています。Core i5の発売日が2017年1月であり、Ryzen 5の発売日が2017年4月という発売日の差があるにもかかわらずこの性能差です。

実はこのCore i5 7600KというのはRyzen 7のフラッグシップモデルであるRyzen 7 1800Xにすら勝利しています。Ryzen 5が勝てないはずです。

そこで、2015年8月に発売された一世代前のSkylake世代のCore i5 6600Kと比較してみることにします。

2015年8月に発売された一世代前のCore i5にもかかわらず、2017年4月に発売されたRyzen 5に+5%の実効性能で勝利しています。

2015年に発売された一世代前のCoreに負けているのみならず、価格でもCoreが勝利しています。つまりCore i5の方がRyzen 5 1600Xより安いのです。どこからどうみてもCore i5 7600K,6600Kの圧勝と言えます。

Ryzen 5 1600とCore i5 7600のベンチマーク比較

次は1600Xよりもクロックを下げたRyzen 5 1600です。同じようにIntel Coreも7600Kよりクロック周波数が低いcore i5 7600が適切な比較対象となっています。

このように実効性能は+9%core i5 7600が上です。しかも価格も2017年5月時点ではCore i5 7600の方が安くなっています。

なぜ実効性能でRyzen 5 1600が負けたかというと、動作周波数が3.2GHzと低いからです。Core i5は3.5Ghzあります。

Ryzen 5 1600の動作周波数が低くなっている理由は、コア数を増やすと動作周波数を上げられないからです。コア数を増やして動作周波数を上げると消費電力が高くなりすぎるため技術的に無理です。

ならばcore i5を見習って3.5GHzと4コアにすればいいと思いますが、そうするとRyzenは絶対にIntel Coreに勝てません。Intelの方が技術力が上だからです。

十分に並列性があるアプリケーションを使うならRyzen 5にも勝機があります。しかし、世の中のソフトウェアはほとんどがシングルスレッドで動作します。多くの一般的なPCユーザーがそのようなシングルスレッドのソフトウェアをメインで使っている現状では、1コアあたりの性能が高いIntel Coreが勝つのも当然です。

つまりRyzenは「世の中のソフトウェアはマルチコアを十分に使い切れる」という机上の空論で理論的にはCore i5を超えそうに見えますが、実際問題としてそのようにコアを使い切れることなんてなく、1コアあたりの性能が高いIntel Coreの方が現実的には高速なわけです。

Ryzen 5 1500XとCore i5 7500のベンチマーク比較

次にRyzen 5 1500XとIntel Core i5 7500を比較します。1500XはXがついているので動作周波数が高いモデルですが、Intelでは7500Kというのはなく7500でも十分動作周波数が高いので7500で十分Ryzen 5 1500Xに勝ててしまいます。

これは面白い結果です。動作周波数はRyzenの方が100KHz高く、コア数が同じにもかかわらず、Intel Core i5 7500が実効性能で+7%勝っています。

完全にIntelCPUの設計が良いということから生まれる結果です。

まず同じキャッシュ回路にしてもキャッシュのヒット率を向上させたり、キャッシュ読み取りまでのサイクルを短縮したりなどのノウハウがIntelにあります。

さらに動作周波数の高いプロセッサでは、パイプラインをどれだけスムーズに流すかで性能が決まってきます。CPUは命令を勝手に並び替えて実行できるものから先に実行するout of order実行をしますが、その技術差も性能に直結します。コア数も同じ、動作周波数もほぼ同じという状況でIntelに負けたのは技術力の完敗です。さらに前述した通りRyzenにはオンボードグラフィックスがありませんから、オンボードグラフィックスのチップ面積だけ汎用コアが使えるチップ面積が少ないというハンデを持っていながら勝利したIntelはさらに差をつけた勝利ということになります。

Ryzen 5 1400とCore i3 7300のベンチマーク比較

ではRyzen 5シリーズの最後のラインナップである1400です。これはもはやCore i5 7400どころかCore i3 7300でも十分Intel Coreが勝利してしまいます。

Core i3 7300が+1%実効性能で勝利していますが、勝因はCore i3の動作周波数が4GHzと高いからです。Ryzen 5 1400は3.2GHzしかありまえせん。

Core i3の動作周波数を高くできているのはたった2コアしかないためです。一方でRyzen 5 1400は4コアあるので1コアあたり4GHzも出したらTDP95Wまで余裕で届いてしまいます。

コア数を増やしたら動作周波数は消費電力の問題で下げざるを得ないというのは先程も記載しました。このことからも、単純にコア数を増やせばコア数の少ないCPUに勝てるわけではないということがわかると思います。

一応Core i5とも比較しておきます。本来Ryzen 5 1400というのはこのCore i5 7400を念頭において作られたものです。

Core i5 7400が+9%実効性能で勝利しています。今度はCore i5の方が動作周波数が低いにもかかわらずCore i5が勝利しています。コア数は同じです。Core i5が勝利した理由はIntelCPUの設計がいいという技術上の優位性にあります。

限られたチップ面積にいかに多くの演算器を載せるか、またその演算をいかに少ないクロック数で完了させるか、各演算命令を効率よくパイプラインで流してスループットを向上させるかという点においてIntelの技術が完全に勝利していることが要因です。

Ryzen 5がやってることはRyzen 7と同じ
グラフィックスを削って汎用コアに割り当ててIntelに勝とうとするが勝てず

Ryzen 5もRyzen 7と同じようにオンボードグラフィックスを一切搭載していません。オンボードグラフィックスがないのはXeonなどのメモリエラー訂正&検知ができる高信頼性が要求されるサーバ向けに見られる形態であり、大して性能が高くない普通のPC向けのCPUでオンボードグラフィックスを全く載せないのは少しやりすぎです。

オンボードグラフィックスを削減してその部分に汎用コアを載せて、その結果Intel CoreよりもRyzenが高速になるのならよいのですが、結果的にはオンボードグラフィックスを持っているIntel Coreに全く追いついていないという結果です。

Intel Coreと勝負するならオンボードグラフィックスを載せた状態で、載せないのならExtreme EditionやXeonの土俵で戦えるレベルのものを作ってこないとお話になりません。

Ryzen 5 1600XはRyzen 7 1700に実効性能で勝っている
理由は1コアあたりの性能がRyzen 5の方が高く、多数のコアを使いこなせるソフトウェアが少ないため

最後にRyzen 7よりもRyzen 5の方が性能が高いという逆転現象が起きている理由について述べておきます。

2017年4月11日に発売されたRyzen 5シリーズのうちフラッグシップモデルとなるのがRyzen 5 1600Xです。

Xというのはクロック周波数が高いモデルであり、Ryzen 5 1600Xは6コアで4GHzあります。

一方でRyzen 7 1700は8コアで3.7GHzであり、Ryzen 5 1600Xはコア数が少ないかわりに動作周波数が高くなっていることがわかります。

この両者のうちどちらのほうが性能が高いかと言えば、実は6コア4GHzであるRyzen 5 1600Xの方が上です。カタログスペックでは8コア3.7GHzであるRyzen 7 1700の方が上ですが、実効性能ではRyzen 5 1600Xの方が上なわけです。

”実行”性能ではなく”実効”性能です。カタログスペックではRyzen 7 1700の方がコア数が多いため性能が高いと思われがちですが、実際の用途ではRyzen 5 1600Xの方が性能が高くなってしまっています。これは実際の用途では1コアあたりの性能が高いほうが体感速度も快適になり、アプリケーションのスループットが向上する傾向にあるからです。コア数だけ多くてもコアを使い切れる用途なんてそうそうないがためにRyzen 7が敗北した格好です。

このように1600Xの方が2コアも少ない6コアにもかかわらず、8コアもある1700に勝っています。いかにマルチコアを使いこなすソフトウェアが世の中に少ないかということを表しています。

実は1コアあたりの性能を上げるのと、コア数を増やすのとでは、前者のほうが圧倒的に技術的に困難です。コア数を増やす方が技術的に簡単です。

2000年代後半からマルチコアやメニーコアプロセッサが主流になってきた理由は、1コアあたりの性能を引き上げることが技術的に難しくなってきたためです。特に動作周波数を上げることが決定的に困難になっています。

その点コア数を増やすことは楽です。コア数を増やすなら動作周波数は下げていいので、動作周波数が低いコアを大量に作ることは技術的に簡単です。コア数が増えるとチップ面積が増えるので、面積増加に伴う歩留まり悪化(つまりはコスト)だけを気にすればいいからです。

まとめ:Ryzen 5がIntel Core i5に勝っているのはコア数のみ

Extreme Editionは別として、Intel Coreプロセッサは高々4コアです。一方でRyzenは8コア6コアが低価格で提供されています。単純にコア数だけで自慢する目的でCPUを買うのならRyzen5はIntel Core i5より賢い選択と言えるでしょう。

ですが、ほとんどの人はコア数を自慢するためにPCのCPU選びをしているのではなく、応答時間を短縮したいとか、スループットを向上させたいとか、体感速度を改善させたいといった実効性能の向上のためにCPUを選んでいるはずです。そういった実益・実利重視で合理的な選択をするのなら、性能面でも価格面でもIntel Coreプロセッサしかあり得ないという結論になります。

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