Ryzen 3とIntel Core i3,i5のベンチマーク比較 価格性能ともにRyzen 3の勝利 失敗だったRyzen 7,Ryzen 5とは異なるRyzen 3

2017年7月に発売されたRyzen 3は一番後発ですが、Ryzenシリーズの中で最も価値のある製品になっています。

2017年春に発売されたRyzen 7とRyzen 5の第一世代製品はIntel Coreに価格でも性能でも負けていました。Ryzen 7はIntel Core i7を出すまでもなくCore i5に負けており、さらにRyzen 5はCore i5を出すまでもなくCore i3に負けていたのは記事1記事2に記載している通りです。圧倒的な設備投資額を持っているIntelですから性能で勝てないのは当然として、せめて価格だけでも勝って欲しかったものですが性能でも価格でも負けるという両負けになっていたわけです。

しかし、2017年7月に発売されたRyzen 3では状況が一変しました。

Ryzen 3 1300Xに対しては、Intel Core i3で最高峰のIntel Core i3 7350Kでさえ実効性能でも価格でも勝つことができずCore i3の全面敗北となりました。

Intel Core i5 7500を持ち出してようやくRyzen 3 1300Xに実効性能で勝てましたが、当然ながら価格の安さでは完全にIntel Core i5 7500が負けています。

これはRyzen 3がコア数を4コアと抑えた上で動作周波数を上げたことによりコアあたりの性能を向上させた結果です。

Ryzen 3にオンボードグラフィクスが付属していなくても、汎用コアの実効性能でも勝利し、価格の安さでも勝利しているRyzen 3なら十分に比較優位があります。

Core i3 7350Kに性能でも価格でも勝利している

定量的に見ていきます。Ryzen 3 1300Xは第7世代Intel Core i3 7350Kに+1%実効性能で勝利しています。Core i3 7350Kは第7世代Core i3の中で最上位のものです。

たった1%と思うかもしれませんが、価格には大きな差があります。圧倒的にRyzen 3 1300Xの方が安いです。

オンボードグラフィクスが無いのはRyzen 3 1300Xでも同様ですが、たった1%の実効性能差であることと、Ryzen 3 1300Xの方が価格が安いことを考慮すれば十分に採用する価値のあるCPUです。価格の安さを”効用”と考えている人にとってはRyzen 3を選択するのが合理的な選択になります。

Ryzen 7,5では実効性能でもIntelに負けていて価格でも負けていたので、合理的に判断するのならどう考えてもIntelを選んだほうが良かったわけですが、今回のRyzen 3では価格の安さでは勝っているためにRyzen 3は比較優位を確保したことになります。

Core i5 7400相手でもRyzen 3 1300Xの方が実効性能・価格ともに勝利

Ryzen 3はIntel Core i3がカウンターパートに見えますが、Ryzen 3は4コア4スレッドであるのに対してCore i3は2コア4スレッドであるため、同じ4コア4スレッドで比較してみることにします。

Intelの4コア4スレッドCPUの中で最も性能が低いCore i5 7400で比較してみます。

実効性能でRyzen 3 1300XがIntel Core i5 7400に+4%勝利しています。しかも価格もRyzen 3の方が安いです。唯一負けているのはオンボードグラフィクス非搭載という点ですが、グラボを使うのを前提としているゲーマーなら問題にならないでしょう。

さらに同じ4コア4スレッドのIntelCPUとして、7400より一つ性能が上であるCore i5 7500とも比較してみます。

ここまでくると+5%Intel Core i5 7500が勝利します。動作周波数はIntelの方が低いですが、同じ4コア4スレッドでIntelの方が性能が高くなるのはIntelの方が技術的優位性があるので仕方ないと言えます。

しかしこのCore i5 7500も当然Ryzen 3 1300Xより高価です。価格の安さを優先するのならRyzen 3 1300Xが良い選択肢になります。

第一世代Ryzenのハードウェアバグを度外視するならRyzen 3はかなり良い選択肢

Ryzenを積んだLinux系OS上でgccコンパイルをするとセグメンテーションフォールトが起こる問題が指摘され、AMDは公式にこの原因がRyzenプロセッサにあることを認めました。

この部分は結線による回路ロジック(ワイヤードロジック)で製造されているため、マイクロプログラム更新のようなプログラム書き換えでは対応できないようです。

さすがにもう一度新たにRyzenを生産し直して交換するのでは採算があわなくなると判断したためか、無償交換のようなものは行わないようです。Threadripperでは解決されているようなので、来年出るであろう第2世代のRyzenシリーズでも当然解決されているでしょう。

私のようなWindowsユーザーにとっては関係ない話しですし、業務用のように失敗が許されない分野でないかぎりは、たとえこのハードウェアバグがあってもRyzenを採用する価値はあると思います。

Ryzen 3は成功だと上述しましたが、Ryzen 7とRyzen 5が性能価格ともにIntelに負けるという失敗をしたのはコア数を技術力の身の丈にあわず増やしすぎたことです。

Intelは2000年代半ばまではそもそもマルチコア化に消極的でした。マルチコア化せず1コアの性能向上でなんとか年率20%以上の性能向上を目指しましたが、微細化によるリーク電流増大によりそれ以上動作周波数を上げられなくなったため、しかたなくマルチコア化に踏み切ったわけです。

基本的にはマルチコア化せずに1コアあたりの性能を上げた方が一般用途での実効性能・体感速度が上がります。他方でマルチコアは並列性の高い特定のアプリケーションでしか性能を引き出せません。

つまりコア数をいたずらに増やす流れは、1コアあたりの性能を上げることは技術的に難しいために、仕方なく出てきたものだったということです。

Intel Core i7やi5は4コア製品ですが、AMD Ryzenが同じ4コアの土俵で勝負するとなると絶対にAMDはIntelに対して勝ち目はありません。そこでコア数を6コア8コアとして増やして、1コアあたりの性能は低いけど並列性が高ければ性能を引き出せるというものがRyzen 7やRyzen 5だったわけです。

Ryzen 7やRyzen 5では1コアあたりの性能を諦めて、コア数を増やす方向に逃げたとも言えます。

しかし、Ryzen 3ではそのような逃げ方はせず、コア数をIntelと同じ4コアに抑え、動作周波数を上げるという方法を取りました。このやり方が功を奏しました。

Ryzen 3 1300Xと同じ4コア4スレッドのCore i5 7500には負けたものの、価格は圧倒的にRyzen 3 1300Xが勝っています。性能を重視するか、価格の安さを重視するかはユーザーそれぞれの価値観なので、価格の安さを重視する人ならRyzen 3が合理的な選択となります。Ryzen 3が出てきてはじめて、Intel Core の代替としてAMD Ryzenが価値を持ったことになります。