FX統計的アービトラージ・トレードシグナルの見方

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統計的アービトラージの概要

ここは難解な部分もあると思いますので、とにかく取引するための方法を手っ取り早く知りたい方はここを飛ばして以下の「数量について」から読んでください。

本サイトに掲載しているものはFXの通貨ペアを2つ同時に取引することによって、相場の上下に関係なく価格の歪み(非効率性)を収益として確定させる統計的アービトラージという戦略のトレードです。

これは俗には「サヤ取り」と呼ばれているものですが、本サイトに掲載しているものは単にNT倍率を計算したり、相関係数を計算するといったことは行っていません。それらの方法には為替の分析に対して有効であるという、金融時系列分析としての根拠がないからです。

本サイトで用いている方法は共和分分析と呼ばれる、共和分推定と共和分検定を行ってペアを絞り込む方法です。

それぞれの通貨ペアを取引する比率の決定においてはパラメータの推定が重要ですが、それについては一般化最小二乗法を用いています。

相関係数で行う”サヤ取り”の売買比率は、「不均一分散が存在しない」、「系列相関が存在しない」、「残差と説明変数との相関が存在しない」という条件が満たされいるなら有効ですが、実際に為替というのはこれらの条件を一つも満たしていません。

本サイトでは、以上の条件を全て満たしてなくても真のパラメータを推定することができる一般化最小二乗法を用いています。

数量について

この数量の割合で2つの通貨ペアを同時に取引することによって、マーケットニュートラル性を維持しています。マーケットニュートラルとはベータニュートラルのことで、相場の上下に関係なくアルファのみを収益の対象にする戦略です。

数量は絶対量ではなく比率を指しています。例えばAUDJPYが数量1の買い、NZDJPYが数量2の売りだった場合、AUDJPY 1,000通貨単位、NZDJPY 2,000通貨単位でも同じ結果が得られます。

ペアとなる各銘柄の売買数量の「比率」は重要ですが、数量の絶対量は全く重要でありません。絶対量は各自のリスク許容量で決定されるべきものです。

FXは1,000通貨単位から取引できる業者が多いですから、AUDJPYを1,000通貨単位ロング、NZDJPYを2,000通貨単位ショートのようにしても良いですし、さらに大きいポジションを持ちたいのなら例えば両方10倍して、AUDJPY10,000通貨単位、NZDJPY20,000通貨単位のようにすればマーケットニュートラル性が維持されます。

手数料について

FX統計的アービトラージでは往復で0.1%の売買手数料をマイナスした上で計算しています。

往復手数料0.1%を見積もっているので、AUD/JPYが80円だった場合は8pipsの手数料を考慮しています。

USD/JPYが120円だった場合は12pipsの手数料をマイナスした上で勝率やリターンを算出しています。

USD/JPYで12pipsもの手数料を見積もっていることからも、とても大きい手数料を見積もっていることがわかると思います。

たとえ1ドル70円の円高水準であっても7pipsの手数料がかかるという前提でシグナルを計算しているのです。

さらに統計的アービトラージはAUDJPYとNZDJPYのように、2つの通貨ペアを組み合わせて取引するので、もう片方の通貨ペアでも同様に手数料を引いています。つまりAUDJPYで0.1%、NZDJPYで0.1%の手数料がかかると想定して利益から差っ引いています。手数料をこれだけ引いても利益が出るようにできるのが統計的アービトラージです。

手数料が小さくないと成り立たないロジックは良いロジックとは言えません。良いロジックというのは手数料がとても大きくても利益を出すものです。

トレードの詳細の見方

2つのポジションで一つのエントリー単位

本サイトに掲載しているのはマーケット・ニュートラル戦略を統計的アービトラージを用いて実現し、さらに2銘柄に絞ったペアトレードを用いたシグナルです。

なので同時に2つの銘柄を取引する必要があります。

トレードの詳細には2つの通貨ペアの取引の方向(ロングまたはショート)と数量を掲載しています。

例えばAUD/JPYの買い、NZD/JPYの売りのようになります。このときはAUDとNZDが似た動きをしているため、片方をロングし片方をショートすることで価格の非効率性をアルファ収益として抜き取ることになります。

中には両方とも「買い」のペアになることもあります。これは両銘柄が反対の動きをしている場合に起こります。例えばUSDJPYとUSDCHFのようなものだと両方ロングになることがあります。

参考価格

シグナル発生時点での当方で確認している価格です。この価格にだいたい近ければ、シグナル発生から時間が経った後でもエントリーすることができます。

数量

統計的アービトラージの肝であり、極めて重要な数値です。

例えばAUD/JPY、数量1、NZD/JPY 数量2となっていた場合は、AUD/JPY:NZD/JPY=1:2の割合でポジションを保つ必要があります。

このとき、絶対量は関係なく「比率」のみが重要なので、AUDJPYが0.01ロット、NZDJPYが0.02ロットでもOKです。

各種統計量の見方

勝率

過去の取引のうち、利益がでたトレード回数を総トレード回数で割ったものです。このとき、上述した手数料を引いた上での損益で、利益か損失かを判断しています。

プロフィットファクター(PF)

プロフィットファクター(PF)とは利益総額を損失総額で割ったものです。プロフィットファクターが1のときは利益と損失が釣り合っている、損もしなければ得もしていない状態だと言えます。

プロフィットファクターが2の場合は損失額より利益額が2倍になっていることを示します。

このプロフィットファクターは個人投資家の世界ではよく使われるようですが、あまり優秀な指標ではありません。

しかしこの指標に慣れている人が多く、閲覧したいという要望があることから一応算出して表示しています。

オープンからクローズまでの平均日数

そのペアの過去のトレードにおいて、平均的に何日でポジションが閉じたかを算出して表示しています。

2日とあったら暦上で平均2日でポジションが閉じるという意味です。

暦上というのは、営業日ベースではないということです。

つまり月曜にポジションが開いて、翌週月曜にポジションが閉じた場合は、営業日ベースだと5日ですが、暦上は7日になります。

当サイトは後者の7日で表示しています。

金曜にポジションが開いて、月曜にポジションが閉じた場合は1日ではなく3日と表示しています。

推定リターン

推定リターンとはアービトラージペアから得られるであろうリターンのことです。これはオープン時点での情報を元に算出しているため、実際そのリターンが得られるとは限りません。

相場の状態が維持され、素直に市場の歪みが収斂すればこの推定リターンそのものが得られますが、実際は相場の状態が刻一刻と変化しているため異なる結果となります。

この推定リターンを「スプレッド」とも言います。ここでのスプレッドはよくFXで言われるOfferとBidの差である手数料のことではありません。上場先物やオプションをやっている人なら、限月間スプレッドというのを知っていると思いますが、そのスプレッドの意味です。このスプレッドがまるごと得られるのなら推定リターンと同じ実現リターンが得られることになりますが、実際は得られるスプレッドが小さくなったり大きくなったり相場の変動によって変化します。

推定リターンは実現リターンより大きめになる傾向がありますが、推定リターン方が小さくて実現リターンの方が大きくなることもあります。

実現リターン

ポジションクローズ時にどれだけのリターンが確定できたかの数値です。推定リターンより小さくなることが普通ですが、まれに大きくなります。

この実現リターンも手数料を差し引いた上で算出しています。

例えば1ドル100円の水準で、実現リターンが0.2%だった場合、これは20pipsの利益が得られたことになります。もしFXでレバレッジ10倍を使っていれば2%の利益が得られることになります。

トレード時に事前にわかるのが推定リターン、トレードがクローズした時点でわかるのが実現リターンになります。

代表的な統計的アービトラージペア

オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドル

オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルが似た動きをすることは経験的に知られているようです。その性質を使ったトレードを見たけたことがある人も多いでしょう。

ですが、いつも統計的アービトラージができる「似た動き」をしているわけではありません。取引すべきでない、適切で無い期間が確かに存在します。

数理モデルを用いずにいわゆる「サヤ取り」をしようとしている人は「今は相場が変わったからうまくいかない」で済ませるかもしれませんが、実は相場の変化は数理モデルで客観的に判別可能です。

それが統計理論の検定です。検定を通過しない時期は、いわゆる「似たような動きをする」関係が崩れている時になるわけです。本サイトでは検定を通過しないときはオープンシグナルを出さないようにしています。

この「似たような動き」をしている状態を学術的に定義した言葉があり、さらにはそれを客観的に定量的に判断する理論も存在します。ですがここではその紹介は控えます。

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