経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)

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ビッグデータ分析に興味がある人の間、特にネット上でとても人気のある本です。Rでデータマイニングをしたり、Rで時系列分析をしている人に人気があるようです。

どちらかというとそこまで入門書ではありません。数学3Cをやってた人なら普通に読めると思いますが、「中高のときから数学が苦手だった」とか、「理論はわからないからとりあえず手っ取り早く役立つRのコードが欲しい」という人には不向きです。

内容としては、田中勝人さんや山本拓さんの本よりは内容が薄く概要のみといったもので、より立ち入った話については英字論文を含めた参考文献を参照してくださいという方向性です。

私は沖本さんが邦訳したHamiltonのTime Series Analysisを上下巻とも所有しており、特に下巻については、代替不可能なほどに役だっていて、かなりの利益を生み出してくれています。

沖本さんはHamilton研究室の出身であり、同研究室出身の井上さんと共同してこの邦訳を行ったようです。そして作成の方が大変なのは確かですが、Hamiltonは読むのも大変です。この大変というのは、難解という意味ではなくて、分量が多いので時間がかかるという意味です。Hamilton書はとても平易に書かれています。数式が多いですがそれは丁寧に展開しているためで、省略がない分、とても安心して読めます。

なのでHamiltonを読むのが大変だと感じたらとりあえず本書を読んでもいいと思いますが、私は両方の本を用意することをおすすめします。

私は共和分分析に興味があって本書を購入しましたが、Hamiltonの方が詳しく、共和分については真新しいことは載っていないので、共和分目当ての人はHamiltonだけでもいいでしょう。

この本の特徴としては、マルコフスイッチングモデルについて記載があります。

一時期レジームスイッチモデルというのが流行っていて、投資工学などの分野ではレジームスイッチに関する論文をよく見かけていました。ですが株価などの予測においてはそこまで良い結果がだせないのか、あまり見かけなくなってきています。どちらかというと景気の判断を行う計量経済学の行政分野において有用なのかもしれません。

この本はレジームスイッチの実現方法の一つとしてマルコフスイッチを取り上げていますが、そこまで詳細に書かれていないので、本書だけで全て実装とまではいきません。

マルコフスイッチにコピュラを追加して一般化した論文を沖本さんが執筆しているようで、その紹介が最後にあって終わっています。

コピュラについての解説も一応ありますが、初学者には十分と言えません。コピュラというのは信用リスク分析において、数理ファイナンスの分野では最も用いられているので、コピュラがわからなかったら信用リスクモデルの分野の本を読みましょう。

コピュラは相関係数をより一般化したものとして金融分野では用いられます。相関係数は上下対象ですが、コピュラは非対称のものも扱えるのです。株価というものはボラティリティが低い安定期には上がる銘柄もあれば下がる銘柄もあってまちまちです。ですが株価が下がるときは同時株安になる傾向があります。つまり各銘柄間の相関は株価のブル相場とベア相場で非対称なので、それをコピュラを用いて表現したバージョンが沖本さんによって論文化されています。

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