オルタナティブ投資のリスク管理

スポンサーリンク

この本はいわゆるヘッジファンド戦略について説明しています。マーケットニュートラル、ドルニュートラル、マネージドフューチャーズ、グローバルマクロ。このあたりの言葉に興味がある人は読む価値があります。
最近買った中でこの本は良い買い物でした。新品で買ったのですが、版は初版の第一刷。2005年の本というかなり前のものにもかかわらず、第一刷ということはあまり買う人がいない本なんでしょう。この本を翻訳しているのはみずほ信託銀行の運用部です。以前、三菱信託銀行の運用部門が翻訳したマーケットニュートラルの書を紹介しましたが、それよりも硬派な本で、内容がしっかりしています。三菱信託銀行の本はパンローリングのウィザードブックシリーズなので、個人投資家の「これなら勝てる!稼ぐためのプロの手法」みたいな類の本に近いです。原著はおそらくそのような扱いの可能性があります。
今回のみずほ信託銀行の本は、学問的にオルタナティブ投資というものを分類しています。まず18ページに、「オルタナティブ投資」の分類図があります。まずこの図そのものが有益です。オルタナティブ投資には「オルタナティブ投資戦略」と「オルタナティブ資産」があるわけです。個人投資家にとって有益なのは、「オルタナティブ投資戦略」です。この投資戦略を株や為替に応用することが個人投資家にできることです。オルタナティブ資産に投資するのは個人では難しく、できたとしても巨額の手数料を取られるので割に合いません。手数料がやすい株や為替をやるのが個人投資家には向いています。為替も本当は東京金融取引所がやっている取引所為替が望ましいのですが、このことは別項で話したいと思います。
さらに40ページには、「オルタナティブ投資戦略」をさらに分類した樹形図が書かれています。この表もまた有益で、個人投資家が巷で使っている「サヤ取り」という手法は、講学上はレラティブ・バリュー戦略の一種であるということがわかります。
さらにページが進むと、戦略ごとに、その戦略の概要、リターンの源泉、リスク要因が書いてあります。
この部分は特に「聖杯がある!」とか、「それ聖杯じゃないですか!」とか言っている人は読むべき部分です。
つまりリターンには、その源泉となるリスクがあるということ。そのリスクを負っているからリターンがあるわけです。そもそも「聖杯」なんて頭の悪い言葉を投資の分野で使うのはさっさとやめましょう。リスクがあるところに投資するからリターンがあるわけです。これは数学的に記述できます。「聖杯」なる手法があると信じて探すことに時間を使うのは、徳川埋蔵金があると信じて探している人と同じか、それよりも愚かな行動です。
この本にはアービトラージ戦略も載っており、実際の数値例を用いて説明されています。つまり定量的にリスクを分析できるようになっているので、自分の手法がどれだけエッジがあるのか数字で確かめたい時には有益な本です。
また、ロングとショートを同時にとって、市場リスクを軽減する手法というのがオルタナティブ投資戦略のコア・コンピテンシーなので、ロングとショートを同時にとる戦略に興味がある人も一読の価値があります。

スポンサーリンク